説明

基礎の施工方法及びスリーブ位置決め治具

【課題】基礎の施工に際し、スリーブの設置を容易かつ適正に実施する。
【解決手段】基礎の施工場所には所定間隔を隔てて一対の基礎型枠27が設置されている。一対の基礎型枠27の上には、それらに跨るようにしてスリーブ位置決め治具60が設置されている。スリーブ位置決め治具60は、上下方向に延びる向きで設けられるスリーブ25を支持するものであり、そのスリーブ位置決め治具60の設置状態で、スリーブ25において基礎から突出する部分がスリーブ位置決め治具60により支持される。スリーブ位置決め治具60によりスリーブ25を支持した状態で、基礎型枠により形成されたコンクリート打設域にコンクリートが打設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎の施工方法及びスリーブ位置決め治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物の基礎においてその基礎内にスリーブを埋設し、スリーブに挿通させることにより給排水管などを基礎を貫通した状態で設置する技術が実用化されている。また、スリーブの設置に関して、スリーブの位置決め調整を可能とする技術が各種提案されている。
【0003】
例えば、スリーブを保持するためのスリーブ保持部と、基礎内の鉄筋に対して固定される固定部とを有し、それらスリーブ保持部と固定部との間の連結部の長さを可変とすることで、スリーブの高さ位置を調整できるスリーブ保持具が提案されている(特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−241756号公報
【特許文献2】特開2007−71014号公報
【特許文献3】特開2008−25115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、基礎内に配置されるスリーブには、水平方向に延びる向きで設けられるもの以外に、上下方向に延びる向きで設けられるものもある。しかしながら、特許文献1〜3のスリーブ保持具は、水平方向に延びる向きでスリーブを保持するためのものであり、上下方向に延びる向きで設けられるスリーブに用いるには不適であった。すなわち、水平方向に延びる向きでスリーブを保持する場合なら、スリーブ保持具を基礎内の鉄筋に一部を固定し、自重を利用して吊り下げて設ければよいが、上下方向に延びる向きでスリーブを保持する場合には、スリーブ保持具を基礎内で水平方向に固定しなければならず、複数の縦配筋を有していることやその設置間隔が十分に広いこと等の条件が揃った基礎でなければ特許文献1〜3のスリーブ保持具を設置できないという不都合があった。
【0006】
実際の作業では、上下方向に延びる向きで設けられるスリーブについては、基礎内の立ち上がり配筋や、それとは別に設けられる添え鉄筋等に対して、作業者が結束バンド等を使ってスリーブを個別に接続しているのが実状である。以上から、上下方向に延びる向きで設けられるスリーブの設置技術について改善の余地が存在する。
【0007】
また、既存の基礎の施工技術は、いずれも基礎内部の鉄筋に対してスリーブ保持具を固定することを前提としており、コンクリートの打設によりスリーブ保持具の位置ずれが生じることが懸念され、さらに、位置ずれが生じてもそれを確認できないという不都合もあった。
【0008】
本発明は、基礎の施工に際し、スリーブの設置を容易かつ適正に実施することを第1の目的とする。また、上下方向に延びる向きで基礎内に設けられるスリーブに関して、その設置の作業性を向上させしかも同スリーブを好適に支持することのできるスリーブ位置決め治具を提供することを第2の目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。
【0010】
第1の発明は、上下方向に延びる向きでスリーブが埋設される基礎の施工方法であって、基礎施工場所に基礎型枠を設置し、その後、前記基礎型枠の上にスリーブ位置決め治具を設置し、そのスリーブ位置決め治具の設置状態で、前記スリーブにおいて前記基礎から突出する部分を前記スリーブ位置決め治具により支持させ、その後、前記基礎型枠により形成されたコンクリート打設域にコンクリートを打設することを特徴とする。
【0011】
上記の施工方法によれば、スリーブ位置決め治具が基礎型枠の上に設置され、かつスリーブにおいて基礎から突出する部分がスリーブ位置決め治具により支持されるため、基礎の施工に際し、基礎内(コンクリート内)にスリーブ位置決め治具を埋設せずに、スリーブの埋設を行うことができる。この場合、仮にスリーブ保持具を基礎内に埋設する施工方法では、コンクリートの打設により同保持具の位置ずれが生じる可能性があり、位置ずれが生じたことの確認も不可能であるが、基礎型枠の上にスリーブ位置決め治具を設置する施工方法によれば、位置ずれの発生を抑制できる。また、仮に位置ずれが発生してもそれを容易に把握できるため、所望の位置への修正が可能となる。その結果、基礎の施工に際し、スリーブの設置を容易かつ適正に実施することができる。
【0012】
第2の発明の基礎の施工方法では、前記スリーブが前記スリーブ位置決め治具により支持された状態で、水平方向と高さ方向との少なくもいずれかで前記スリーブの位置を調整する。この場合、水平方向と高さ方向との少なくもいずれかでスリーブの位置を調整することにより、スリーブの正確な位置だしが可能となる。
【0013】
第3の発明の基礎の施工方法では、前記スリーブ位置決め治具は、所定間隔を隔てて設置される一対の基礎型枠上に跨って設置されるものであり、前記スリーブ位置決め治具を、前記基礎型枠の上に設置された状態で、前記一対の基礎型枠に対してそれぞれ固定する。この場合、スリーブ位置決め治具を設置することで、上記のとおりスリーブの設置が容易になることに加え、セパレータとしての機能を実現できる。つまり、スリーブ位置決め治具の設置作業が、セパレータの設置作業を兼ねていることになる。スリーブ位置決め治具の設置により、コンクリート打設後において一対の基礎型枠の拡がりを抑え、その間隔を一定に保持できる。
【0014】
第4〜第9の発明は、スリーブ位置決め治具に関するものである。
【0015】
第4の発明のスリーブ位置決め治具は、コンクリートの打設により形成される建物の基礎において上下方向に延びる向きで埋設されるスリーブの埋設位置を定めるものであり、
所定間隔を隔てて対向配置される一対の基礎型枠上に跨って設置され、その一対の基礎型枠に対してそれぞれ固定される治具ベースと、
前記治具ベースに一体的に設けられ、前記スリーブにおいて前記基礎から突出する部分を挿通させて支持するスリーブ支持部と、
を備えることを特徴とする。
【0016】
上記のスリーブ位置決め治具は、基礎型枠に対して固定される治具ベースと、その治具ベースに一体化されたスリーブ支持部とを有するものであるため、基礎型枠に対するスリーブの位置決めを容易かつ確実に行うことができる。また、治具ベースは、一対の基礎型枠に対してそれぞれ固定されるため、その治具ベースがセパレータの機能を有することになり、コンクリート打設後において一対の基礎型枠の拡がりを抑え、その間隔を一定に保持できる。
【0017】
スリーブ位置決め治具は、基礎型枠上に設置されて固定されるものであるため、その設置には基礎配筋の形態などによる制限を伴わない。また、その設置及び取り外しの作業が簡易なものとなる。したがって、スリーブの設置作業性が良好なものとなる。その結果、上下方向に延びる向きで基礎内に設けられるスリーブに関して、その設置の作業性を向上させ、しかも同スリーブを好適に支持することができることとなる。
【0018】
なお、治具ベースとスリーブ支持部とは、例えば、一枚の金属板により一体で形成されること以外に、各々の別々の金属板により形成され、締結具により一体化される構成であってもよい。
【0019】
第5の発明では、前記治具ベースは、前記スリーブ支持部を囲む枠形状をなし、前記一対の基礎型枠に架け渡される架け渡し部を有しており、前記治具ベースと前記スリーブ支持部とが複数のアーム部により連結されている。
【0020】
上記構成によれば、治具ベースにおいて、架け渡し部をセパレータとして機能させることができる。また、治具ベースが枠形状をなし、かつ治具ベースとスリーブ支持部とが複数のアーム部により連結される構成であるため、一対の基礎型枠の上にスリーブ位置決め治具が設置されるとしても、コンクリート打設やその後の後作業について作業に支障が及ぶことを抑制できる。つまり、枠形状をなす治具ベースの内側においてスリーブ支持部及び複数のアーム部が設けられていない部分を開口部として確保でき、その開口部を使ってコンクリートの打設やコンクリート表面仕上げ等を実施できる。
【0021】
第6の発明では、前記治具ベースと前記複数のアーム部との各連結部分において、その連結位置が前記治具ベースのフレーム長手方向に可変となっている。この場合、治具ベースと複数のアーム部との連結位置を治具ベースのフレーム長手方向に沿って変更することにより、治具ベースで囲まれた内側領域においてスリーブ支持部の位置を変更できる。これにより、スリーブの支持位置を容易に調整できる。
【0022】
本発明のスリーブ位置決め治具は、基礎内に埋設されることなく、基礎を施工する都度繰り返し使用できるものである。この場合、上記のようにスリーブ位置の調整が可能であると、設計上のスリーブ位置が都度異なっていても、同一のスリーブ位置決め治具を使い回しできる。
【0023】
第7の発明では、前記複数のアーム部は、各々にそのアーム長が可変である。この場合、アーム長を変更することにより、治具ベースで囲まれた内側領域においてスリーブ支持部の位置を変更できる。これにより、スリーブの支持位置を容易に調整できる。
【0024】
第8の発明では、前記治具ベースと前記スリーブ支持部とは、その上面が同一面となっている平板材により構成されている。
【0025】
スリーブ位置決め治具は、平板材でありかつ上面が同一面になっているため、基礎型枠においてスリーブ位置決め治具を設置した部位とスリーブ位置決め治具を設置していない部位とでは基礎型枠の上面部に段差が殆ど生じない。そのため、スリーブ位置決め治具を基礎型枠上に設置したとしても、それが邪魔になることはなく、従前の基礎設置工法を流用できる。仮にスリーブ位置決め治具の上に従前のセパレータを設置するにしても支障は生じない。
【0026】
第9の発明は、アンカーボルトを挿入するアンカーホールが埋設される基礎に適用され、前記アンカーホールを吊り下げた状態で支持するためのアンカーホール支持部が一体に設けられている。
【0027】
上記構成によれば、1つのスリーブ位置決め治具を使って、スリーブの支持とアンカーホールの支持とを実現でき、スリーブとアンカーホールとが埋設される基礎についてその施工時の作業性を大いに向上させることができる。
【0028】
第10の発明は、上記のスリーブ位置決め治具を用いた基礎の施工方法であり、基礎施工場所に前記一対の基礎型枠を設置し、その後、前記一対の基礎型枠の上に前記スリーブ位置決め治具を設置し、そのスリーブ位置決め治具の設置状態で、前記スリーブ支持部に支持されたスリーブの位置調整処理を行い、その後、前記一対の基礎型枠の間にコンクリートを打設することを特徴とする。
【0029】
上記の基礎設置方法によれば、スリーブ位置決め治具を用いてスリーブの位置決めを行いつつ基礎の施工を行うことで、その作業性を大いに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】基礎型枠にスリーブ位置決め治具を取り付けた状態を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線断面図。
【図2】スリーブ位置決め治具の構成を示す平面図。
【図3】建物について一階部分の間取りを示す図。
【図4】(a)はアルコーブ周辺部分における基礎伏図、(b)は基礎型枠の配置を示す型枠配置図。
【図5】袖壁基礎部の構成を示し、(a)は平面図、(b)は側面図。
【図6】図5(a)のB−B線断面図。
【図7】アンカー部用補強筋の構成を示す斜視図。
【図8】別の実施形態におけるスリーブ位置決め治具を示す図。
【図9】別の実施形態におけるスリーブ位置決め治具を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、複数の建物ユニットを組み合わせて構築されるユニット式建物の基礎について具体化しており、まずは、適用対象の建物について一階部分の間取りを図3を用いて説明する。なお周知のとおり、建物ユニットは、複数の柱と、その上端仕口部及び下端仕口部に接続される天井大梁及び床大梁とを直方体状に連結してなる躯体を有する構成となっている。
【0032】
図3に示すように、建物10には、居室やキッチン等からなる複数の屋内空間が形成されている。四辺からなる建物外周部のうち一辺には、建物10の外壁を屋内側に後退させてアルコーブ(凹所)11が形成されており、そのアルコーブ11の屋内側に居室12が形成されている。アルコーブ11には、ユニット柱Hの外側に設けられる外壁から屋内側に後退させた位置にアルコーブ窓部13が設けられており、アルコーブ窓部13の左右両側であってアルコーブ11の側方部分にはアルコーブ袖壁部14が設けられている。アルコーブ袖壁部14は、屋内方向に向けて斜めに配置されたアルコーブ壁面材15によりアルコーブ空間から区画されて形成されており、アルコーブ壁面材15の裏面側の空間部にユニット柱Hが収容される構成となっている。アルコーブ壁面材15は、アルコーブ11の屋外開放側に向けてアルコーブ空間が広がるように設置されている。
【0033】
アルコーブ袖壁部14の内部空間は、上下方向に延びる配管スペースとなっており、同内部空間には、屋根面を流れる雨水を回収し下方に導く雨樋等の配管16が設けられている。その他、アルコーブ袖壁部14にはその内部空間を利用して空調ダクトや換気ダクトが適宜設けられる。
【0034】
次に、アルコーブ11における基礎の構成について説明する。図4(a)は、アルコーブ周辺部分における基礎伏図である。図4(a)において、基礎20は、大別してアルコーブ窓部13の下方に設置されるアルコーブ基礎部21と、アルコーブ袖壁部14の下方に設置される袖壁基礎部22と、アルコーブ以外において建物外壁部に沿って設置される外壁基礎部23とを有している。本実施形態において、基礎20は基本的に地中に埋設されるフーチング部とそのフーチング部から地上に立ち上げられた立ち上がり部とからなる鉄筋コンクリート造の布基礎構造をなす。なお、説明の便宜上、図4(a)には立ち上がり部にハッチングを付している。アルコーブ基礎部21においてアルコーブ窓部13よりも屋外側となる部分は、コンクリート上面が地上面(GL)と同じ高さレベルになる地中梁部21aとなっている。
【0035】
基礎20において袖壁基礎部22には、配水管などを挿通配置するためのスリーブ(基礎埋設管)25と、建物ユニットを基礎20上に固定するためのアンカーボルトが挿入されるアンカーホール26とが設けられている。スリーブ25は上下方向に延びる向きで基礎20に埋設され、その上端部分が基礎の天端よりも上方に突き出されている。このスリーブ25には、又はスリーブ25内に配設される配水管には、アルコーブ袖壁部14内の配管16が連結される。本実施形態では、スリーブ25は、L字管にて構成されており、上下方向に延びる鉛直部分以外に水平方向に延びる水平部を有し、その水平部の先端が基礎側面などに開口する構成となっている。
【0036】
アンカーホール26はシース管よりなり、基礎の天端に開口させて設けられている。建物ユニットの設置に際しては、アンカーホール26にモルタル等の充填材(グラウト)が充填された状態で、建物ユニットの柱や床大梁から下方に突出して設けられたアンカーボルトが差し入れられる。そしてその後、充填材が固化することで、アンカーボルトが基礎20に対して強固に固定される。
【0037】
また、図4(b)は、(a)に示す基礎20を構築する場合に使用される基礎型枠27の配置を示す型枠配置図である。なお、図4(b)には、基礎20の立ち上がり部を形成するための型枠27aと、地中梁部21aを形成するための型枠27bとが示されている。基礎型枠27は、例えば金属板又は木板により構成されており、設置状態で型枠上端部が基礎設定高さ(立ち上がり部の天端位置)よりも上方となる縦寸法、すなわち基礎立ち上がり部の高さ寸法よりも大きい縦寸法を有するものである。基礎型枠27は、基礎立ち上がり部の厚み方向の幅に相当する所定間隔を隔てて各一対ずつ対向配置され、その型枠間に生コンクリートが流し込まれて基礎20が形成される。
【0038】
次に、袖壁基礎部22の構成について図5,図6を参照しつつさらに詳しく説明する。図5は、袖壁基礎部22の構成を示す図面であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。また、図6は、図5(a)のB−B線断面図である。なお、図5,図6は基礎内部の構成を示すものであるが、便宜上、コンクリートのハッチングを省略している。
【0039】
まずは配筋について説明すると、基礎配筋は、フーチング部分において略水平に設けられるベース配筋部31と、そのベース配筋部31に対して略垂直に立ち上げられた状態で連結されている立ち上がり配筋部32とから構成されている。
【0040】
ベース配筋部31は、基礎20(詳しくは、アルコーブ基礎部21と外壁基礎部23)の長手方向に平行に延びる複数のベース配力筋33と、基礎20の幅方向に延びて前記一対のベース配力筋33に溶接等にて固定されている複数本のベース筋34とを備えている。ベース筋34は、基礎20の長手方向に所定間隔をおいて複数設けられている。ベース配力筋33及びベース筋34は、一般に布基礎に用いられる異形鉄筋により構成されている。
【0041】
立ち上がり配筋部32は、基礎20の長手方向に延びる横鉄筋としての上端主筋36、腹筋37及び下端主筋38と、鉛直方向に延びる縦鉄筋としてのあばら筋39とを備えている。具体的には、立ち上がり配筋部32の上端には上端主筋36が、下端には下端主筋38が、それらの略中央には腹筋37が、それぞれ平行となるように配設されている。そして、これら上端主筋36、腹筋37及び下端主筋38は、あばら筋39に溶接等によって固定されて間隔保持されている。あばら筋39は、基礎20の長手方向に所定間隔をおいて複数形成されている。これら上端主筋36、腹筋37、下端主筋38及びあばら筋39は、一般的に布基礎に用いられる異形鉄筋によって構成されている。立ち上がり配筋部32は、下端主筋38がベース配筋部31のベース筋34の上に載置された状態で設けられている。
【0042】
また、袖壁基礎部22には、上端主筋36と腹筋37との間となる高さ位置に、水平方向に延びるひび割れ防止筋41が設けられている。ひび割れ防止筋41は、袖壁基礎部22のアルコーブ側の斜め部分に沿って配設されており、一端がアルコーブ基礎部21のあばら筋39に連結され、他端が外壁基礎部23のあばら筋39に連結されている。
【0043】
袖壁基礎部22には、アンカーホール26を補強するアンカー部用補強筋43が埋設されている。アンカー部用補強筋43は、複数の鉄筋が組み合わされることにより立体形状で構成されており、袖壁基礎部22においてアンカーホール26を囲むようにして配置される。図7は、アンカー部用補強筋43の構成を示す斜視図であり、図7によりアンカー部用補強筋43の構成を説明する。
【0044】
アンカー部用補強筋43は剥落防止筋51を有している。剥落防止筋51は、基本構成が同じである一対の鉄筋材52を結合させて構成されている。鉄筋材52は、水平方向(基礎への設置状態での水平方向)に延びる剥落防止部53及び水平部54と、鉛直方向(基礎への設置状態での鉛直方向)に延びる鉛直部55とを有する。各鉄筋材52において、剥落防止部53の両端には一対の水平部54が形成され、それら各水平部54の端部(剥落防止部53とは逆側の端部)にはそれぞれ鉛直部55が形成されている。剥落防止部53と水平部54とは水平面内で垂直に折り曲げられた状態で形成され、水平部54と鉛直部55とは鉛直面内で垂直に折り曲げられた状態で形成されている。そして、水平部54同士を重ねた状態で互いに逆向きに両鉄筋材52を組み合わせることにより剥落防止筋51が構成されている。
【0045】
ここで、剥落防止筋51において、一対の剥落防止部53と一対の水平部54とは同一水平面内に存在し、それらにより囲まれて上部開口部が形成されている。この上部開口部は略正方形をなし、その上部開口部に挿通させてアンカーホール42が配置される。
【0046】
各鉄筋材52の水平部54は水平方向に(すなわち高さ方向に見て同じ高さ位置に)横並びで配置され、その水平部54同士が結合金具56により結合されている。また、各鉄筋材52においては、各一対の鉛直部55に架け渡して複数のひび割れ防止筋58が固定されている。ひび割れ防止筋58は鉛直部55の長手方向に沿って所定間隔で設けられている。
【0047】
また、アンカー部用補強筋43には、一方の鉄筋材52の鉛直部55と他方の鉄筋材52の鉛直部55との間に架け渡した状態で、上端主筋36に対する高さ位置を規定する位置調整バー59が設けられている。位置調整バー59は、上下方向に見て水平部54に平行に設けられており、水平部54と略同じ長さを有している。ひび割れ防止筋58との関係で言えば、位置調整バー59は、複数のひび割れ防止筋58のうち最も高位側にあるひび割れ防止筋58の端部に当接する位置に設けられている。
【0048】
図6において、アンカー部用補強筋43は、上端主筋36に係合された状態で設置されている。例えば、袖壁基礎部22において上端主筋36が一対の鉛直部55の内側に配置され、かつアンカーホール26を挿通させた状態で設置されている。
【0049】
次に、袖壁部分の基礎20においてスリーブ25の埋設位置を定めるためのスリーブ位置決め治具60について説明する。図1は、基礎型枠27にスリーブ位置決め治具60を取り付けた状態を示す図面であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。また、図2は、スリーブ位置決め治具60の構成を示す平面図である。
【0050】
図2に示すように、スリーブ位置決め治具60は、基礎型枠27に対して固定されるベースフレーム部61と、スリーブ25を保持するためのスリーブ保持部62とを有しており、そのベースフレーム部61とスリーブ保持部62とが複数のアーム部63により連結されている。スリーブ位置決め治具60のこれら各部位61〜63は、一枚の金属板(平板材)が例えばレーザ加工により切り抜き成形されてなるものであり、各部位61〜63の上面は同一面にて構成されている。ベースフレーム部61が治具ベースに相当し、スリーブ保持部62がスリーブ支持部に相当する。
【0051】
ベースフレーム部61は、基礎型枠27の設置レイアウトに合う形状をなす枠状に成形されており、本実施形態では特に、建物外壁面に沿う向きに延び互いに直交する二方向に設けられる直交枠部65と、これらに斜めに交わる斜め枠部66とを有する。ベースフレーム部61の各枠部65,66には、各々複数個を一組とする取付孔67が形成されている。各組複数の取付孔67は、それぞれ所定間隔で形成された孔からなる孔群となっており、各組ごとにいずれかの取付孔67にボルト等の締結具が挿入されることにより、スリーブ位置決め治具60が基礎型枠27に装着されるようになっている。この場合、各組複数の取付孔67のうち、いずれを用いて治具締結されるか、すなわちどの取付孔67と型枠側の孔とでボルト締結されるかにより、水平方向における治具位置が変更できるようになっている。
【0052】
なお、各組複数の取付孔67は、ベースフレーム部61における基礎型枠27との締結位置を可変にできる孔部であればよく、ベースフレーム部61の各辺の長手方向に延びる長孔が形成されていてもよい。
【0053】
また、スリーブ保持部62はリング状をなし、その中央部にはスリーブ挿通孔68が形成されている。スリーブ挿通孔68は、外径が異なる複数のスリーブが挿入可能であり、かつその孔内でのスリーブの移動が可能となるようにその内径寸法が設定されており、例えば直径200mm程度の円形孔となっている。スリーブ保持部62には、スリーブ挿通孔68に向けて延びる複数の保持金具69が設けられている。保持金具69は、図1(b)に示すように、スリーブ保持部62上に起立して設けられる起立部69aと、先端部がスリーブ挿通孔68の中心を向くようにして起立部69aに支持されたネジ69bとを有している。ネジ69bは、その先端部によりスリーブ25の外周面を押圧保持するものであり、ネジ69bのスリーブ挿通孔68への突出量を可変とすることにより、スリーブ保持部62にて保持されるスリーブ径が調整できるようになっている。
【0054】
アーム部63は、スリーブ保持部62を中心として十字状に延びる向きで形成されている。
【0055】
ベースフレーム部61の内側であって、スリーブ保持部62とアーム部63とを除く部位は開口となっており、その開口を通じて、コンクリートの流し込み(打設)や打設後のコンクリートの仕上げ処理等が可能となっている。
【0056】
また、ベースフレーム部61の内側には、平面視でアンカーホール26の設置位置となる位置を横切るようにして連結部71が設けられており、その連結部71には孔部72が形成されている。図1(b)に示すように、孔部72には、アンカーホール26を吊り下げた状態で支持するための支持金具73が設けられている。
【0057】
上記構成のスリーブ位置決め治具60は、図1(a)(b)に示すように基礎型枠27上に載置した状態で使用される。この場合、ベースフレーム部61が基礎型枠27の上面に載置され、ボルト等によりベースフレーム部61が基礎型枠27に対して固定される。この状態ではベースフレーム部61が一対の基礎型枠27に架け渡された状態となる。スリーブ25の水平方向の位置は、ベースフレーム部61の各組複数の取付孔67のうちいずれを用いるかにより調整可能である。また、スリーブ保持部62に設けられた保持金具69によってもスリーブ25の位置調整が可能である。保持金具69は、スリーブ25の高さ位置を調整する際にも利用される。すなわち、保持金具69のネジ69bによるスリーブ外周面の押圧を緩めた状態ではスリーブ25の移動が可能であり、そのスリーブ25の移動によりスリーブ25の高さ位置が調整できる。
【0058】
ここで、図1(b)に示すように、対向配置された基礎型枠27の間においては、基礎型枠27の上端よりも下方位置を表面高さ位置としてコンクリートが流し込まれる。したがって、スリーブ位置決め治具60は、コンクリート内に埋設されるものではなく、コンクリート打設後には取り外して繰り返しの使用が可能となっている。かかる場合、スリーブ保持具がコンクリート内に埋設される他技術の構成とは異なり、スリーブ保持という機能を果たしつつもコンクリート内に混入する異物の量を極力減らすことができることから、コンクリートの品質向上にも寄与できる。
【0059】
スリーブ位置決め治具60は、対向配置された基礎型枠27に架け渡されるように装着されるため、このスリーブ位置決め治具60(特にベースフレーム部61)はコンクリート打設後において型枠間の拡がりを抑制するセパレータの機能を果たすことになる。
【0060】
次に、基礎施工の作業手順について説明する。
【0061】
建物建築現場において基礎施工場所に鉄筋を配置し、その後、鉄筋を囲むようにして基礎型枠27を設置する。その後、基礎型枠27の上にスリーブ位置決め治具60を装着する。この場合、スリーブ位置決め治具60にはスリーブ25があらかじめ取り付けられており、上述のとおりスリーブ25の水平方向及び高さ方向の位置調整が行われる。なお、スリーブ位置決め治具60によるアンカーホール26及びアンカー部用補強筋43の設置も併せて行われる。
【0062】
その後、基礎型枠27の間の空間部(コンクリート打設域)にコンクリートが流し込まれ、攪拌による空気抜き処理やコンクリート表面のならし処理などの仕上げ処理が行われる。そして、所定期間、コンクリートが養生される。その後、基礎型枠27からスリーブ位置決め治具60が取り外されるとともに、基礎型枠27の取り外しが行われる。
【0063】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0064】
本実施形態における基礎施工方法によれば、スリーブ位置決め治具60が基礎型枠27の上に設置され、かつスリーブ25において基礎20から突出する部分がスリーブ位置決め治具60により支持されるため、基礎20の施工に際し、基礎内(コンクリート内)にスリーブ位置決め治具60を埋設せずに、スリーブ25の埋設を行うことができる。この場合、仮にスリーブ保持具を基礎内に埋設する施工方法では、コンクリートの打設により同保持具の位置ずれが生じる可能性があり、位置ずれが生じたことの確認も不可能であるが、基礎型枠27の上にスリーブ位置決め治具60を設置する施工方法によれば、位置ずれの発生を抑制できる。また、仮に位置ずれが発生してもそれを容易に把握できるため、所望の位置への修正が可能となる。その結果、基礎20の施工に際し、スリーブ25の設置を容易かつ適正に実施することができる。
【0065】
スリーブ位置決め治具60は、基礎型枠27に対して固定されるベースフレーム部61と、そのベースフレーム部61に一体化されたスリーブ保持部62とを有するものであるため、基礎型枠27に対するスリーブ25の位置決めを容易かつ確実に行うことができる。また、ベースフレーム部61は、一対の基礎型枠27に対してそれぞれ固定されるため、そのベースフレーム部61がセパレータの機能を有することになり、コンクリート打設後において一対の基礎型枠27の拡がりを抑え、その間隔を一定に保持できる。
【0066】
スリーブ位置決め治具60は、基礎型枠27上に設置されて固定されるものである(鉄筋に対して固定されるものでない)ため、その設置には基礎配筋の形態などによる制限を伴わない。また、その設置及び取り外しの作業が簡易なものとなる。したがって、スリーブの設置作業性が良好なものとなる。その結果、上下方向に延びる向きで基礎20内に設けられるスリーブ25に関して、その設置の作業性を向上させ、しかも同スリーブ25を好適に支持することができることとなる。
【0067】
スリーブ位置決め治具60をセパレータとしても機能させることができるため、セパレータの設置個数を減らすことができる。
【0068】
スリーブ位置決め治具60は、平板材でありかつ上面が同一面になっているため、基礎型枠27においてスリーブ位置決め治具60を設置した部位と同治具60を設置していない部位とでは基礎型枠27の上面部に段差(高低差)が殆ど生じない。そのため、スリーブ位置決め治具60を基礎型枠27上に設置したとしても、それが基礎の施工作業に邪魔になることはなく、従前の基礎設置工法を流用できる。仮にスリーブ位置決め治具60の上に従前のセパレータを設置するにしても支障は生じない。
【0069】
スリーブ位置決め治具60には、アンカーホール26を吊り下げた状態で支持するための支持金具73が一体に設けられているため、1つのスリーブ位置決め治具60を使って、スリーブ25の支持とアンカーホール26の支持とを実現できる。したがって、スリーブ25とアンカーホール26とが埋設される基礎についてその施工時の作業性を大いに向上させることができる。
【0070】
[他の実施形態]
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
【0071】
・スリーブ位置決め治具を図8(a)のように構成してもよい。図8(a)のスリーブ位置決め治具80は、基礎型枠27に対して固定されるベースフレーム部81と、スリーブ25を保持するためのスリーブ保持部82とを有しており、そのベースフレーム部81とスリーブ保持部82とが複数のアーム部83により連結されている。本事例では、ベースフレーム部81は平板よりなり平面視で長方形状をなしている。アーム部83は、スリーブ保持部82から延びる内側アーム部83aと、その内側アーム部83aに対して伸縮方向に移動可能な外側アーム部83bとからなり、外側アーム部83bにおいて内側アーム部83aとは反対側には、ベースフレーム部81に対して連結される連結部83cが設けられている。内側アーム部83aに対して外側アーム部83bを伸縮方向に移動させることにより、各アーム部83のアーム長が調整できるようになっている。
【0072】
また、ベースフレーム部81には、各フレーム辺の長手方向に沿って溝部81aが形成されている。溝部81aは、連結部83cに設けられた突起部や連結部83cに挿通されたボルト(いずれも図示略)に係合するものであり、この溝部81aに沿って連結部83cとの連結位置が可変になっている。この場合、連結部83cが溝部81aに沿って移動することにより、ベースフレーム部81の各フレーム辺に沿って連結部83cの位置が変更できる。
【0073】
上記構成によれば、ベースフレーム部81で囲まれた内側領域においてスリーブ保持部82の位置を様々に変更できる。これにより、スリーブ25の支持位置を容易に調整できる。本実施形態のスリーブ位置決め治具80は、基礎20内に埋設されることなく、基礎20を設置する都度繰り返し使用できるものである。この場合、上記のようにスリーブ位置の調整が可能であると、設計上のスリーブ位置が都度異なっていても、同一のスリーブ位置決め治具を使い回しできる。
【0074】
・スリーブ位置決め治具を図8(b)のように構成してもよい。図8(b)のスリーブ位置決め治具90は、基礎型枠27に対して固定される矩形枠状の外側フレーム91と、これとは別体で構成される十字状の内側プレート92とを有しており、それらが連結により一体化されている。これら各部材91,92はいずれも平板状の材料にて構成されている。内側プレート92は、中央部に設けられたスリーブ保持部93と、そのスリーブ保持部93から十字方向に延びるアーム部94とを有しており、各アーム部94には、複数一組の孔部94aが形成されている(長孔でも可)。外側フレーム91には、各フレーム辺の長手方向に沿って溝部91aが形成されている。溝部91aは、アーム部94の孔部94a(複数一組の孔部のいずれかの孔部)に挿通されたボルト(図示略)に係合するものであり、この溝部91aに沿って内側プレート92の位置が可変になっている。
【0075】
上記構成によれば、外側フレーム91で囲まれた内側領域においてスリーブ保持部93の位置を様々に変更できる。これにより、スリーブ25の支持位置を容易に調整できる。
【0076】
ここで、外側フレーム91と内側プレート92とは、いずれも平板状のプレートを成形しただけの単純形状のものであり、大きさや形を変えて各々複数用意しておくとよい。例えば、二辺の幅寸法L1,L2が各々異なる複数の外側フレーム91を用意しておくとともに、二方向の幅寸法L3,L4が各々異なる複数の内側プレート92を用意しておく。これにより、外側フレーム91と内側プレート92との組み合わせにより、種々の大きさ及び形の基礎型枠に対応するスリーブ位置決め治具を提供できる。
【0077】
・スリーブ位置決め治具のベースフレーム部は、基礎型枠27の設置レイアウト(平面形状)や型枠間隔等に合わせたものでなくてもよい。例えば、図9に示すスリーブ位置決め治具100のように、ベースフレーム部101とスリーブ保持部102とアーム部103とを有し、ベースフレーム部101において基礎型枠27との連結部に複数の孔部101aを有するものを考える。かかる場合において、ベースフレーム部101が、基礎型枠27の型枠間隔よりも幅広であって、基礎型枠27からはみ出して設置されるものであってもよい。なお、図9の構成では、スリーブ保持部102が四角形状なし、アーム部103が一字状に設けられている。
【0078】
ちなみに、治具ベースとしてのベースフレーム部は、対向配置される一対の基礎型枠27に架け渡して設けられるものであれば、その形状は任意であり、円形状や三角形状などであってもよい。
【0079】
・例えば、図2に示すスリーブ位置決め治具60において、スリーブ保持部62に設けられた保持金具69を有していない構成であってもよい。
【0080】
・例えば、図2に示すスリーブ位置決め治具60において、ベースフレーム部61とスリーブ保持部62と複数のアーム部63とを有し、スリーブ保持部62にスリーブ挿通孔68が形成されている構成に代えて、ベースフレーム部61と同じ外形のベースプレートを有し、そのベースプレートにスリーブ挿通孔68が形成されている構成(スリーブ挿通孔68以外に開口を有していない構成)としてもよい。
【0081】
・上記実施形態では、スリーブ位置決め治具を平板状の金属板により構成したが、これに限定されず、棒状の材料を用いて構成することも可能である。また、ベースフレーム部(治具ベース)を金属製、スリーブ保持部(スリーブ支持部)とアーム部とを合成樹脂製にする等、異なる材質の材料を組み合わせて構成することも可能である。
【符号の説明】
【0082】
10…建物、20…基礎、25…スリーブ、26…アンカーホール、27…基礎型枠、60…スリーブ位置決め治具、61…ベースフレーム部(治具ベース)、62…スリーブ保持部(スリーブ支持部)、63…アーム部、68…スリーブ挿通孔、73…支持金具(アンカーホール支持部)、80…スリーブ位置決め治具、81…ベースフレーム部(治具ベース)、82…スリーブ保持部(スリーブ支持部)、83…アーム部、90…スリーブ位置決め治具、91…外側フレーム(治具ベース)、92…内側プレート、93…スリーブ保持部(スリーブ支持部)、94…アーム部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる向きでスリーブが埋設される基礎の施工方法であって、
基礎施工場所に基礎型枠を設置し、
その後、前記基礎型枠の上にスリーブ位置決め治具を設置し、
そのスリーブ位置決め治具の設置状態で、前記スリーブにおいて前記基礎から突出する部分を前記スリーブ位置決め治具により支持させ、
その後、前記基礎型枠により形成されたコンクリート打設域にコンクリートを打設することを特徴とする基礎の施工方法。
【請求項2】
前記スリーブが前記スリーブ位置決め治具により支持された状態で、水平方向と高さ方向との少なくもいずれかで前記スリーブの位置を調整する請求項1に記載の基礎の施工方法。
【請求項3】
前記スリーブ位置決め治具は、所定間隔を隔てて設置される一対の基礎型枠上に跨って設置されるものであり、
前記スリーブ位置決め治具を、前記基礎型枠の上に設置された状態で、前記一対の基礎型枠に対してそれぞれ固定する請求項1又は2に記載の基礎の施工方法。
【請求項4】
コンクリートの打設により形成される建物の基礎において上下方向に延びる向きで埋設されるスリーブの埋設位置を定めるスリーブ位置決め治具であり、
所定間隔を隔てて対向配置される一対の基礎型枠上に跨って設置され、その一対の基礎型枠に対してそれぞれ固定される治具ベースと、
前記治具ベースに一体的に設けられ、前記スリーブにおいて前記基礎から突出する部分を挿通させて支持するスリーブ支持部と、
を備えることを特徴とするスリーブ位置決め治具。
【請求項5】
前記治具ベースは、前記スリーブ支持部を囲む枠形状をなし、前記一対の基礎型枠に架け渡される架け渡し部を有しており、
前記治具ベースと前記スリーブ支持部とが複数のアーム部により連結されている請求項4に記載のスリーブ位置決め治具。
【請求項6】
前記治具ベースと前記複数のアーム部との各連結部分において、その連結位置が前記治具ベースのフレーム長手方向に可変となっている請求項5に記載のスリーブ位置決め治具。
【請求項7】
前記複数のアーム部は、各々にそのアーム長が可変である請求項5又は6に記載のスリーブ位置決め治具。
【請求項8】
前記治具ベースと前記スリーブ支持部とは、その上面が同一面となっている平板材により構成されている請求項4乃至7のいずれか一項に記載のスリーブ位置決め治具。
【請求項9】
アンカーボルトを挿入するアンカーホールが埋設される基礎に適用され、
前記アンカーホールを吊り下げた状態で支持するためのアンカーホール支持部が一体に設けられている請求項4乃至8のいずれか一項に記載のスリーブ位置決め治具。
【請求項10】
請求項4乃至9のいずれか一項に記載のスリーブ位置決め治具を用いた基礎の施工方法であり、
基礎施工場所に前記一対の基礎型枠を設置し、
その後、前記一対の基礎型枠の上に前記スリーブ位置決め治具を設置し、
そのスリーブ位置決め治具の設置状態で、前記スリーブ支持部に支持されたスリーブの位置調整処理を行い、
その後、前記一対の基礎型枠の間にコンクリートを打設することを特徴とする基礎の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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