塗布、現像装置、塗布、現像方法及びその方法を実施するためのコンピュータプログラム。
【課題】液層を用いた露光時にレジスト膜を保護する撥水性材料からなる塗布膜の基板の周縁部への密着性を向上させる塗布、現像装置を提供すること。
【解決手段】基板の表面に薄膜を形成した被処理基板の上にレジスト液を塗布するレジスト膜形成用の塗布ユニットCOTと、レジスト膜の表面に光を透過する液層を形成した状態で露光した後のレジスト膜を現像する現像ユニットDEVと、を備えた塗布、現像装置において、レジスト膜の周縁部を溶剤により除去するための第1の周縁部洗浄手段と、レジスト膜を保護するために、撥水性材料を含む塗布液を基板の表面全体に塗布する保護膜形成用の塗布ユニットITCと、レジスト膜の周縁部の除去により露出した基板の露出面を含む領域に、前記保護膜の密着性を向上させるための密着性向上用の流体を供給する密着性向上処理部と、を備えるように塗布、現像装置を構成する。
【解決手段】基板の表面に薄膜を形成した被処理基板の上にレジスト液を塗布するレジスト膜形成用の塗布ユニットCOTと、レジスト膜の表面に光を透過する液層を形成した状態で露光した後のレジスト膜を現像する現像ユニットDEVと、を備えた塗布、現像装置において、レジスト膜の周縁部を溶剤により除去するための第1の周縁部洗浄手段と、レジスト膜を保護するために、撥水性材料を含む塗布液を基板の表面全体に塗布する保護膜形成用の塗布ユニットITCと、レジスト膜の周縁部の除去により露出した基板の露出面を含む領域に、前記保護膜の密着性を向上させるための密着性向上用の流体を供給する密着性向上処理部と、を備えるように塗布、現像装置を構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理基板にレジスト液を塗布し、レジスト膜の表面に液層を形成して液浸露光した後にその被処理基板を現像する塗布、現像装置、塗布、現像方法及びその塗布、現像方法を実施するためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造工程の一つであるフォトレジスト工程においては、例えば半導体ウエハ(以下ウエハとする)の表面にレジスト液を塗布してレジスト膜を形成し、このレジスト膜を所定のパターンで露光した後に、現像してレジストパターンを作成している。このような処理は、一般にレジストの塗布、現像を行う塗布、現像装置に、露光装置を接続したシステムを用いて行われる。
【0003】
ところで近年、デバイスパターンの微細化、薄膜化の要請から露光の解像度を上げることを目的として液浸露光と呼ばれる露光手法を導入することが検討されている。液浸露光とはウエハの表面に光を透過させる超純水等の液層を形成した状態で光源から発せられた光を、この液層を透過させることでウエハ表面に照射させて、所定の回路パターンをレジストに転写する露光処理である。詳しく述べると例えばArFを露光処理を行うための光源として用いた場合に、その光源から発せられた光の波長は大気中では183nmであるが水中では実質134nmになるように、この手法は光の波長が水中では短くなることを利用して解像度の高い露光処理を行うものである。液浸露光については特許文献1にも記載されている。
【0004】
この液浸露光処理を受けるウエハWは、例えばシリコンからなり、フォトレジスト工程の前の各工程における処理によりその表面に様々な材質の薄膜が積層された状態で塗布、現像装置に搬送され、この塗布、現像装置において露光装置に搬入されるまでに反射防止膜15、レジスト膜16、保護膜17が夫々この順に下から上に向けて積層されるように形成される。保護膜17は、光を透過する撥水性の薄膜であり、レジスト膜16が液浸露光に用いられる液体に接触することでその液体による影響を受けることを抑える役割を有しており、例えば有機系物質やフッ素系の物質などにより構成される。
【0005】
図14は、前記ウエハWに液浸露光処理が行われる様子を示している。なお既述のようにフォトレジスト工程の前の各工程における処理により反射防止膜15とウエハWとの間には実際には各種の薄膜が積層されているが、それらの薄膜については便宜上、図示を省略している。ウエハWが露光装置に搬入されると、図示しない露光ステージに載置され、水平姿勢に保持される。そしてそのウエハWの上方にはウエハWと隙間をあけて対向するように露光手段である液浸露光ヘッド1が配置される。液浸露光ヘッド1の中央先端部にはレンズ1aが介設されており、このレンズ1aの外周側にはウエハWの表面に液層を形成するための溶液例えば純水を供給するための供給ロ1bと、ウエハWに供給した純水を吸引して回収するための吸引口1cとが夫々設けられている。この液浸露光ヘッド1において供給口1bからウエハWの表面に純水を供給する一方で、この純水を吸引口1cにより回収することにより、レンズ1aとウエハWの表面との間に液層18が形成される。そして図示しない光源から発せられた光が、当該レンズ1a、液層18を透過してウエハWに照射され所定の回路パターンがレジスト膜16に転写される。
【0006】
続いて、レンズ1aとウエハWの表面との間に液層18を形成した状態で、図15に示すように液浸露光ヘッド1を横にスライド移動させて次の転写領域(ショット領域)に対応する位置に当該液浸露光ヘッド1を配置し、光を照射する動作を繰り返すことによりウエハW表面に回路パターンを順次転写していく。
【0007】
ところでウエハWのエッジのベベル部分(傾斜部分)を含む周縁部はデバイスの形成領域に含まれず、また例えばパーティクルの発生を防止するなどの目的から前記反射防止膜15及びレジスト膜16は、夫々ウエハWに成膜された後にその周縁部に溶剤が供給されリンスされることによって当該周縁部が除去され、図16(a)に示すようにウエハWの周縁部において段差を有するように積層される場合がある。また既述のフォトレジスト工程よりも前の工程でウエハW上に形成される各薄膜も反射防止膜15及びレジスト膜16と同様に夫々成膜された後にそれらの周縁部が除去されるため、塗布、現像装置に搬送されるウエハWの周縁部には薄膜が形成されておらず、既述のようにウエハWの周縁部においてレジスト膜16の周縁部が除去されると、ウエハWの表面、つまりシリコンにより形成される面1Aが露出し、保護膜17はそのシリコンの露出面1Aに接するように成膜される場合がある。
【0008】
しかし既述のように保護膜17は例えば有機物で構成されるため、前記露出面1Aに対する密着性は、有機物からなるレジスト膜16に対する密着性に比べて低く、また液浸露光ヘッド1は露光処理時に500mm/sec程度の高い速度で移動する場合があることから例えば露光ヘッド1が液層18を形成しながらウエハWの端部から中央部へ向けて移動すると液層18の圧力の影響を受けて図16(b)に示すように保護膜17が露出面1Aから剥がれてしまうおそれがあり、また反射防止膜15及びレジスト膜16が段差を形成している部分においては、その形状の複雑さゆえに保護膜17の密着性が低くなる場合があるため、更に液浸露光ヘッド1がウエハWの中央部へ向けて移動すると図16(c)に示すようにこの段差部分にまで保護膜17の剥離が起こるおそれがある。その結果としてレジスト膜16の端部が露出してしまい、その端部が露光処理時に用いられる純水から物理的な力を受けてウエハWからの剥がれ(Peeling)を起こす結果として、正常な現像処理が妨げられるおそれがある。
【0009】
また図16(b),(c)のようにウエハWから保護膜17及びレジスト膜16が剥がれると、その剥がれたレジスト膜16及び保護膜17は夫々パーティクル19となり、例えばそのパーティクル19が、露光装置のレンズ1aに付着して正常な露光処理を妨げたり、ウエハWに付着して当該ウエハWの露光処理後の各処理に影響を与えたりするおそれがある。またこのパーティクル19は、ウエハWが載置される露光ステージ上に飛散し、その露光ステージを介して後続のウエハWに付着して、それらのウエハWの各処理にも影響を与えるおそれがある。なお特許文献1にはこのような問題及びその解決手段については記載されていない。
【0010】
なおレジスト膜16のウエハW表面への密着性を向上させるために、反射防止膜15を形成した後、レジスト膜16を形成する前にウエハW表面全体にHMDS(ヘキサメチルジシラザン)ガスを供給してウエハW表面を疎水化処理(AD処理)する場合があり、この疎水化処理により前記露出面1Aの保護膜17への密着性が高まるが、疎水化処理後のレジスト膜16の成膜及びウエハWの周縁部のレジスト膜16の除去処理によって露出面1Aにおける疎水化処理の効果は低下する。従ってこのような疎水化処理が行われる場合においても露出面1Aと保護膜17との十分な密着性が得られないおそれがある。
【特許文献1】特開2005−294520
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、レジスト膜の表面に光を透過する液層を形成した状態で露光するフォトレジスト工程において、露光時にレジスト膜を保護する撥水性材料からなる塗布膜の基板の周縁部への密着性を向上させる塗布、現像装置、塗布、現像方法及びその方法を実施するコンピュータプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の塗布、現像装置は、基板の表面に薄膜を形成した被処理基板の上にレジスト液を塗布するレジスト膜形成用の塗布ユニットと、レジスト膜の表面に光を透過する液層を形成した状態で露光した後のレジスト膜を現像する現像ユニットと、を備えた塗布、現像装置において、レジスト膜の周縁部を溶剤により除去するための第1の周縁部洗浄手段と、液層を用いた露光時に前記レジスト膜を保護するために、撥水性材料を含む塗布液を基板の表面全体に塗布する保護膜形成用の塗布ユニットと、前記撥水性材料を含む塗布液を被処理基板の表面に塗布する前に、レジスト膜の周縁部の除去により露出した基板の露出面を含む領域に、前記保護膜の密着性を向上させるための密着性向上用の流体を供給する密着性向上処理部と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
この塗布、現像装置において密着性向上用の流体を供給する領域は、被処理基板の裏面の周縁部を含んでいてもよい。またこの塗布、現像装置は例えば被処理基板の表面にレジスト液を塗布する前に、反射防止膜を形成するための塗布液を塗布する反射防止膜形成用の塗布ユニットと、レジスト液を基板に塗布する前に反射防止膜の周縁部を溶剤により除去するための第2の周縁部洗浄手段と、を備え、第1の周縁部洗浄手段により処理された後のレジスト膜の周縁は、反射防止膜の周縁よりも内側に位置している。
【0014】
前記密着性向上処理部は、例えば被処理基板を水平に保持して鉛直軸回りに回転させるための回転ステージと、この回転ステージに保持された被処理基板の周縁部を表裏両面側から間隙をおいて挟むように形成されたコ字型のノズル本体と、このノズル本体に設けられ、被処理基板表面の周縁部における基板の露出面と、被処理基板の裏面の周縁部と、を含む領域に密着性向上用の流体を供給するためのノズル部と、前記ノズル本体に設けられ、密着性向上用の流体を吸引する吸引部と、を備えており、この場合密着性向上処理部の回転ステージは、保護膜形成用の塗布ユニットに設けられた回転ステージを共用していてもよい。
【0015】
さらに密着性向上処理部は、処理容器内に設けられ、被処理基板を載置したときに被処理基板の周縁部が飛び出るように被処理基板よりも小さく形成された基板載置台と、基板載置台に載置された被処理基板の表面の周縁部における基板の露出面を含む領域及び被処理基板の裏面の周縁部に密着性向上用のガスを供給するための密着性向上用のガス供給部と、処理容器内を排気する排気部と、を備えていてもよく、この場合前記排気部は、例えば被処理基板上に供給されたガスが被処理基板の外側に向かって流れるように設けられている。また、前記ガス供給部は、基板載置台に載置された被処理基板の表面の周縁部に対向するように設けられ、このガス供給部よりも被処理基板の中央部側には、被処理基板の表面と対向するようにパージ用のガス供給部が設けられている。
【0016】
本発明の塗布、現像方法は、基板の表面に薄膜を形成した被処理基板の上にレジスト膜を形成し、次いでレジスト膜の表面に光を透過する液層を形成した状態で露光した後、レジスト膜を現像する塗布、現像方法において、前記被処理基板の上にレジスト液を塗布する工程と、前記被処理基板上のレジスト膜の周縁部を溶剤により除去する工程と、液層を用いた露光時に前記レジスト膜を保護するために、撥水性材料を含む塗布液を基板の表面全体に塗布する工程と、撥水性材料を含む塗布液を被処理基板の表面に塗布する前に、レジスト膜の周縁部の除去により露出した基板の露出面を含む領域に密着性向上用の流体を供給して、前記保護膜の密着性を向上させる処理を行う工程と、を含むことを特徴とする。
【0017】
前記塗布、現像方法において密着性向上用の流体を供給する領域は、例えば被処理基板の裏面の周縁部を含み、また前記塗布、現像方法は、被処理基板の表面にレジスト液を塗布する前に、反射防止膜を形成するための塗布液を塗布する工程と、レジスト液を基板に塗布する前に反射防止膜の周縁部を溶剤により除去する工程と、を含み、溶剤により周縁部の除去処理がされた後のレジスト膜の周縁は、反射防止膜の周縁よりも内側に位置していてもよい。
【0018】
前記保護膜の密着性を向上させる処理を行う工程は、例えば回転ステージに水平に保持された被処理基板の周縁部をコ字型のノズル本体により表裏両面側から間隙をおいて挟む工程と、回転ステージにより被処理基板を鉛直軸回りに回転させる工程と、前記ノズル本体に設けられたノズル部から、被処理基板の表面の周縁部における基板の露出面と、被処理基板裏面の周縁部と、を含む領域に密着性向上用の流体を供給する工程と、を含み、また処理容器内に設けられ、被処理基板よりも小さく形成された基板載置台に被処理基板を載置する工程と、基板載置台の上方側に設けられたガス供給部から、基板載置台上の被処理基板の表面の周縁部における基板の露出面を含む領域及び被処理基板の裏面の周縁部に密着性向上用のガスを供給する工程と、処理容器内を排気する工程と、を含む。
【0019】
処理容器内を排気する工程は、例えば被処理基板上に供給されたガスが被処理基板の外側に向かって流れるように排気する工程であってもよく、さらに前記保護膜の密着性を向上させる処理を行う工程は、例えば基板載置台に載置された被処理基板の表面の周縁部に密着性向上用のガスを供給する工程と、被処理基板における密着性向上用のガス供給位置よりも中央部側にパージ用のガスを供給する工程と、を含んでいてもよい。なお、これらの塗布、現像装置および塗布、現像方法に用いられる密着性向上用の流体は、例えばヘキサメチルジシラザンの流体である。なお、本発明のコンピュータプログラムは、レジスト膜の表面に光を透過する液層を形成した状態で露光した後のレジスト膜を現像する塗布、現像装置に用いられるコンピュータプログラムにおいて、既述の塗布、現像方法を実施することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、撥水性材料を含む塗布液を被処理基板の表面に塗布してレジスト膜の保護膜を形成する前に、レジスト膜の周縁部の除去により露出した、前記基板の露出面を含む領域に密着性向上処理部により前記保護膜の密着性を向上させるための密着性向上用の流体を供給する。従って被処理基板上に液層が形成される露光時において、前記液層の影響を受けて保護膜が前記被処理基板の露出面から剥がれることが抑えられるため、レジスト膜が前記液層を形成する液体に接触し、この液体から物理的な力を受けて基板から剥がれることにより正常な現像処理が妨げられることが抑えられる。また基板の露出面から剥がれた保護膜及び前記レジスト膜からパーティクルが発生し、そのパーティクルが露光装置を汚染して被処理基板の正常な露光処理を妨げたり、被処理基板に付着して露光処理後の当該基板への正常な各処理を妨げたりすることが抑えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施の形態を、液浸露光を行うシステムに適用した全体構成について、図1及び図2を参照しながら簡単に説明する。このシステムは、塗布、現像装置に露光装置を接続したものである。図中B1はキャリアブロックであり、基板例えばウエハWが例えば13枚密閉収納されたキャリアC1を搬入出するための載置部20aを備えたキャリアステーション20と、このキャリアステーション20から見て前方の壁面に設けられる開閉部21と、開閉部21を介してキャリアC1からウエハWを取り出すための受け渡し手段A1とが設けられている。なおこのキャリアC1に収納されたウエハWは例えばシリコンにより構成されており、「背景技術」の欄で説明したようにその表面の周縁部は薄膜に覆われておらず、シリコンが露出している。
【0022】
キャリアブロックB1の奥側には筐体22にて周囲を囲まれる処理ブロックB2が接続されており、この処理ブロックB2には手前側から順に加熱・冷却系のユニットを多段化した棚ユニットU1,U2,U3及び液処理ユニットU4,U5の各ユニット間のウエハWの受け渡しを行う主搬送手段A2,A3とが交互に配列して設けられている。また主搬送手段A2,A3は、キャリアブロックB1から見て前後方向に配置される棚ユニットU1,U2,U3側に一面部と、後述する例えば右側の液処理ユニットU4,U5側の一面側と、左側の一面側をなす背面部とで構成される区画壁23により囲まれる空間内に置かれている。前記棚ユニットU1,U2,U3は、液処理ユニットU4,U5にて行われる処理の前処理及び後処理を行うための各種ユニットを複数段例えば10段に積層した構成とされている。また図中24,25は各ユニットで用いられる処理液の温度調節装置や温湿度調節用のダクト等を備えた温湿度調節ユニットである。
【0023】
液処理ユニットU4は例えば図2に示すようにレジスト液や反射防止膜を形成するための薬液などを収納する薬液収納部の上に反射防止膜形成用の塗布ユニット(BARC)(以下「反射防止膜形成ユニット(BARC)」という)26が2段、レジスト膜形成用の塗布ユニット(COT)(以下「レジスト塗布ユニット(COT)」という)27が2段、保護膜形成用の塗布ユニット(ITC)28(以下「保護膜形成ユニット(ITC)」という)が1段、上から下に向かってこの順に積層されて構成されている。この保護膜形成ユニット(ITC)28は、例えば撥水性の有機材料を含む塗布液をレジスト膜が形成されたウエハW表面全体に塗布して、液浸露光を行う際に用いる液体がレジスト膜に浸みるのを防ぐための撥水性保護膜を形成する。この保護膜形成ユニット28及び前記レジスト膜塗布ユニット27の構成については夫々後述する。
【0024】
液処理ユニットU5は、現像液などを収納する薬液収納部の上に、前記撥水性保護膜を除去するための撥水性保護膜除去ユニット(ITR)29(以下「保護膜除去ユニット(ITR)」が2段、現像ユニット(DEV)2Aが例えば3段、上から下に向かいこの順に積層されて構成されている。また既述の棚ユニットU1,U2,U3は、液処理ユニットU4,U5にて行われる処理の前処理及び後処理を行うための各種ユニットを複数段例えば10段に積層した構成とされており、レジスト膜を塗布する前にウエハW表面全体に疎水化処理を行う疎水化処理ユニットやウエハWを加熱(ベーク)する加熱ユニット(PAB)、ウエハWを冷却する冷却ユニット等を含んでいる。また棚ユニットU1には、キャリアブロックB1と処理ブロックB2との間でウエハWを受け渡すための受け渡しユニット(TRS)が、棚ユニットU3には、処理ブロックB2とインターフェイスブロックB3との間でウエハWの受け渡しを行うための受け渡しユニット(TRS)が夫々含まれている。
【0025】
処理ブロックB2における棚ユニットU3の奥側には、インターフェイスブロックB3を介して露光装置B4が接続されている。このインターフェイスブロックB3は、例えば処理ブロックB2と露光装置B4との間に前後に設けられる第1の搬送室3A、第2の搬送室3Bにより構成されており、夫々に基板搬送装置である第1の受け渡しアーム31A及び第2の受け渡しアーム31Bが設けられている。第1の搬送室3Aには、棚ユニットU6及びバッファカセットC0が設けられている。棚ユニットU6には第1の受け渡しアーム31Aと第2の受け渡しアーム31Bとの間でウエハWの受け渡しを行うための受け渡しステージ(TRS)、露光処理を行ったウエハWを加熱処理する加熱ユニット(PEB)及び冷却プレートを有する高精度温調ユニットなどが上下に積層された構成となっている。
【0026】
第2の搬送室3Bには例えば液浸露光処理によりウエハWに付着した水滴を除去するために、ウエハWの表面を洗浄する洗浄ユニット(RD)が設けられている。また露光装置B4にはインターフェイス部B3からのウエハWを受け取るステージ40Aとインターフェイス部B3に対して露光処理後のウエハWを受け渡すステージ40Bとが設けられている。
【0027】
この塗布、現像装置は制御部100を備えており、この制御部100は、例えばコンピュータからなるプログラム格納部を有しており、プログラム格納部には後述するような塗布、現像装置の作用、つまり各加熱、冷却ユニットにおけるウエハWの温度調節、ウエハWへの各膜の成膜処理、ウエハWへの疎水化処理、各ユニット間におけるウエハWの受け渡しなどが実施されるように命令が組まれた例えばソフトウエアからなるプログラムが格納される。そして前記プログラムがこの制御部に読み出されることにより当該制御部はこの塗布膜除去処理装置の作用を制御する。なおこのプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカードなどの記録媒体に収納された状態でプログラム格納部に格納される。
【0028】
続いてレジスト塗布ユニット(COT)27の構成について図3及び図4を用いて詳述する。図3、図4は夫々レジスト塗布ユニット27の縦断側面図、横断平面図である。この塗布ユニット27は例えば処理容器をなす筺体50を備えており、主搬送手段A2、A3が移動する領域に面する筺体50の側壁にはウエハWの搬送口51が設けられている。この搬送口51は例えばシャッタ52により開閉自在に構成されている。筺体50の内部にはウエハWの載置台をなすステージ53が設けられており、このステージ53はウエハWの裏面中央部を吸着して水平に保持できるようにバキュームチャックになっている。またステージ53は軸部53aを介して駆動部53bに接続されており、この駆動部53bにより昇降自在かつ鉛直軸回りに回転自在に構成されることにより後述するレジスト液のスピンコーティング及び主搬送手段A2,A3との間でのウエハWの受け渡しができるようになっている。。
【0029】
図中54は上部側が開口したカップであり、ステージ53に保持されたウエハWの周縁外側を囲うように設けられている。カップ54の側周面上端側は内側に傾斜しており、カップ54の底部側には凹部状をなす液受け部55がウエハWの周縁下方側において全周に亘って設けられている。この液受け部55は外側領域と内側領域とに区画されており、外側領域の底部には貯留されたレジスト液のドレインを排出するための排液口56が設けられている。また前記内側領域の底部には2つの排気口57,58が設けられており、これらの排気口57,58はカップ54内の気体を例えば所定の排気量で排気し、ウエハWの回転により飛散したレジスト液が前記液受け部55を介して排液口56から排出されるようになっている。
【0030】
図中61はウエハWにレジスト液を供給するレジスト液供給ノズルである。このレジスト液供給ノズル61にはレジスト液供給管62の一端が接続されており、この供給管62の他端はバルブV1を介してレジスト液が貯留されたレジスト液供給源63に接続されている。またレジスト液供給ノズル61にはこのレジスト液供給ノズル61を支持するアーム体64の一端が接続されており、このアーム体64の他端は駆動部65に接続されている。駆動部65は例えば水平に、筺体50の長さ方向に沿って敷設されたガイドレール66に沿って摺動自在に構成されている。
【0031】
筺体50内において搬送口51が設けられた側を手前側とするとこの筺体50の奥側のカップ54の外側領域は、レジスト液供給ノズル61の待機領域となっており、主搬送機構A2とステージ53との間でウエハWの受け渡しが行われる間、供給ノズル61はこの待機領域にて待機している。そしてステージ53にウエハWが保持されると前記レジスト液供給ノズル61は駆動部65の移動に伴ってウエハWの中心部上方に移動し、然る後バルブV1が開かれ、レジスト液供給源63から供給管62に所定の流量のレジスト液が流入して、そのレジスト液が供給ノズル61からウエハWの中心部上に供給される。
【0032】
図中71は、レジスト膜が成膜されたウエハWの周縁部に溶剤を供給する第1の周縁部洗浄手段をなすエッジリンスノズルである。このエッジリンスノズル71には溶剤供給管72の一端が接続されており、この供給管72の他端はバルブV2を介してレジストの溶剤例えばシンナーが貯留された溶剤供給源73に接続されている。またエッジリンスノズル71には当該ノズル71を支持するためのアーム体74の一端が接続されており、アーム体74の他端は駆動部75に接続されている。駆動部75は鉛直軸周りに回動自在に構成され、この駆動部75の回動に従ってエッジリンスノズル71は、カップ54の外側の待機領域からウエハWの周縁部の上方に移動する。
【0033】
前記エッジリンスノズル71がウエハWの周縁部上方に移動するとバルブV2が開かれ、溶剤供給源73から供給管72に例えば所定の流量の溶剤が流入し、その溶剤が当該リンスノズル71からステージ53により回転するウエハWの周縁部に供給されて、例えばレジスト膜の周縁がそのレジスト膜の下層に形成されている反射防止膜の周縁よりも内側に位置するようにウエハWの周縁部のレジスト膜が除去される。なおウエハWは反射防止膜が形成された後、このレジスト塗布ユニット(COT)27に搬送される前に棚ユニットU1〜U3を構成する加熱ユニットに搬送されて加熱処理を受け、この加熱処理により反射防止膜が焼き固められるため、当該反射防止膜はエッジリンスノズル71から供給される溶剤によりほとんど溶解されない。
【0034】
また図4中実線で描かれたレジスト液供給ノズル61及びエッジリンスノズル71は、待機領域に移動した状態の各ノズル61,71を示しており、鎖線で描かれたノズル61及びノズル71は、夫々ウエハWに対して処理を行う処理位置に移動した状態の各ノズル61,71を示している。
【0035】
図1に示すように筺体50内の上部にはパーティクルを除去するためのフィルタ76が設けられており、フィルタ76の上部には区画された空間である通気室77が設けられている。通気室77にはガス供給管78の一端が開口しており、ガス供給管78の他端はバルブV3を介して例えばN2ガスが貯留されたN2ガス供給源79に接続されている。ウエハWが筺体50内に搬入されてレジスト膜の塗布処理が行われる間、前記バルブV3が開かれ、ガス供給源79から通気室77に供給されたN2ガスが筺体50内にダウンフローされる。
【0036】
なお棚ユニットU4,U5に含まれる反射防止膜形成ユニット26、保護膜除去ユニット29、現像ユニット2Aは、ウエハWに供給される薬液が夫々異なることを除いてこのレジスト塗布ユニット27と同様に構成されており、例えば反射防止膜形成ユニット26にはレジスト液供給ノズル61に対応する、反射防止膜を形成するための材料を供給する材料供給ノズル及びエッジリンスノズル71に対応するエッジリンスノズルが設けられている。前記エッジリンスノズルは特許請求の範囲でいう第2の周縁部洗浄手段を構成し、ウエハWの周縁部に溶剤を供給して、当該周縁部における反射防止膜を除去する。
【0037】
続いて保護膜形成ユニット28の構成について図5、図6を参照しながら説明する。図5、図6は夫々保護膜形成ユニット28の縦断側面図、横断平面図である。この保護膜形成ユニット28は、前記レジスト塗布ユニット27と略同様の構成を有しており、以下に塗布ユニット27との差異点を中心に説明する。また図5,6中、この保護膜形成ユニット28を構成する各部について、レジスト塗布ユニット27を構成する各部に対応するものには図3、4に付した番号と同一の番号を付している。この保護膜形成ユニット28における供給ノズル61は、既述の保護膜を形成するための塗布液をウエハWに供給する。なおこのユニット28においては例えば筺体50内の手前側のカップ54の外側領域が供給ノズル61の待機領域となっている。
【0038】
この保護膜形成ユニット28にはウエハWと保護膜との密着性を向上させるための密着性向上処理部8が設けられている。この密着性向上処理部8について図7も参照しながら説明する。この処理部8は側面視コ字型のノズル本体81を備えており、ノズル本体81は、上片部81a、下片部81b及び壁部81cから構成されている。
【0039】
前記上片部81aの下面及び下片部81bの上面には夫々ガス供給部を構成する多数の気体供給口82a,82bが間隔をおいて開口しており、これらの気体供給口82a,82bは、後述するようにノズル本体81がウエハWへの処理位置に移動した際に、ウエハWの周縁部におけるレジスト膜及び反射防止膜が除去されることにより露出したウエハWの表面及びウエハWの裏面の周縁部にHMDSガスを供給して、これらの面を疎水化することにより保護膜への密着性を向上させる。
【0040】
またこれらの気体供給口82a,82bは、上片部81a及び下片部81b夫々の内部に形成されたガス流路83a,83bに連通している。ガス流路83a,83bの上流側は夫々合流し、合流したガス流路83a,83bは、上片部81aの上部、下片部81bの下部に夫々設けられたガス導入ポート84a,84bに向かうように形成されている。ガス導入ポート84a,84bには夫々ガス供給管85a,85bの一端が接続されており、これらのガス供給管85a,85bは前記ガス流路83a,83bに連通している。ガス供給管85a,85bの他端はバルブV4a,V4bを介してHMDSガスが貯留されたHMDSガス供給源86a,86bに接続されている。
【0041】
ノズル本体81の壁部81cにおいて、ウエハWに向かう面の例えば中央部には吸引口86が開口しており、この吸引口86には吸引管87の一端が接続されている。吸引管87の他端はバルブV5を介して真空ポンプなどからなる吸引機構88に接続されている。この吸引口86は既述のように前記気体供給口82a及び気体供給口82bからHMDSガスが吐出される際にノズル本体81の各片部81a,81b及び壁部81cに囲まれる空間を排気し、気体供給口82a,82bから供給された余剰のHMDSガス及びHMDSガスとウエハW表面の水とが反応することにより生成したNH3(アンモニア)ガスが当該吸引口86から吸引されて除去される。図7中の矢印はウエハWの処理時における前記片部81a〜81cに囲まれる空間内の気流の流れを示したものである。なお、吸引口86、吸引管87、バルブV5及び吸引機構98は請求の範囲でいう吸引部に相当する。
【0042】
また上片部81aのガス導入ポート84の上部にはこのコ字型のノズル本体81を支持するアーム体88の一端が接続されており、アーム体88の他端は、前記ガイドレール66を摺動自在な駆動部89に接続されている。なおこの保護膜形成装置28の筺体50の奥側におけるカップ54の外側領域はノズル本体81の待機領域となっており、図5中実線で示したノズル本体81は、この待機領域に移動した状態のノズル本体81を示している。主搬送手段A2,A3と駆動部53bを介して上昇したステージ53との間でウエハWの受け渡しが行われる間、ノズル本体81は前記待機領域において待機し、ステージ53がウエハWを受け取ると駆動部89の移動に伴って前記待機領域から図5中鎖線で示すようにその上片部81aと下片部81bとが夫々ウエハWの周縁部を、間隙をおいて挟む処理位置へと移動する。
【0043】
続いて、上述の塗布、現像装置の作用について液浸露光処理が行われる前後の処理を中心に図8〜10を参照しながら説明する。図8,9はウエハW表面にレジスト膜102が形成されてからそのレジスト膜102の表面に保護膜103が形成されるまでのウエハWの様子を示した図であり、図10はウエハWにレジスト膜102が成膜されてから現像処理が行われるまでの各工程を示したフローチャートである。先ず外部からウエハWの収納されたキャリアC1が載置台20aに載置されると、開閉部21と共にキャリアC1の蓋体が外されて受け渡し手段A1によりウエハWが取り出される。そしてウエハWは棚ユニットU1の一段をなす受け渡しユニット(TRS)を介して主搬送手段A2へと受け渡される。
【0044】
主搬送手段A2はウエハWを反射防止膜形成ユニット26に搬送し、このユニット26においてウエハWは、その表面全体に材料供給ノズルから反射防止膜形成材料が供給され反射防止膜101が形成された後、エッジリンスノズルから溶剤が供給され、その周縁部における反射防止膜101が除去される。然る後ウエハWは、主搬送手段A2→棚ユニットU1〜U3の一の棚を構成する加熱ユニット→主搬送手段A2→棚ユニットU1〜U3の一の棚を構成する冷却ユニット→棚ユニットU1〜U3の一の棚を構成する疎水化処理ユニット→棚ユニットU1〜U3の一の棚を構成する冷却ユニット→主搬送手段A2の順に搬送された後、前記主搬送手段A2によりレジスト塗布ユニット(COT)27内に搬送され、上昇したステージ53にその裏面中央部が吸着保持される。主搬送手段A2がユニット27から退避すると共にステージ53はウエハWを保持したまま下降し、ウエハWがカップ54内に収まるとレジスト液供給ノズル61が、カップ54の外側の待機領域からウエハWの中心部上方の処理位置に移動する。
【0045】
続いて駆動部53bによりステージ53を介してウエハWが鉛直軸周りに所定の速度で回転されると共に、バルブV2が開かれてレジスト液供給ノズル61からウエハWにレジスト液が供給され、供給されたレジスト液は遠心力により展伸するいわゆるスピンコーティングによってウエハWの中心部から周縁部に広がる。所定の時間が経過してレジスト液の供給が停止された後もしばらくの間ウエハWの回転が続けられてレジスト液中の溶剤が揮発し、図8(a)に示すようにレジスト膜102が反射防止膜101全体を覆うようにウエハWに形成される。
【0046】
続いて駆動部75を介してエッジリンスノズル71がその待機領域からウエハWの周縁部上方に移動し、図8(b)に示すようにこのリンスノズル71から回転するウエハWの周縁部に溶剤が供給され、その周縁部におけるレジスト膜102が溶解、除去されることにより図8(c)に示すようにウエハWの周縁部が露出すると共にレジスト膜102が、その周縁が反射防止膜101の周縁よりも内側に位置するように成形される(ステップS1)。
【0047】
周縁部のレジスト膜102の除去が終わると溶剤の吐出が停止すると共にウエハWの回転が停止し、レジスト液供給ノズル61及びリンスノズル71が夫々の待機領域に退避した後、駆動部53bがステージ53を介して図1に鎖線で示すようにウエハWをカップ54の外へと上昇させる。ユニット27内に進入した主搬送機構A2が、上昇したウエハWを受け取り、棚ユニットU1〜U3に含まれる加熱ユニット(PAB)に搬送し、ウエハWはこの加熱ユニットにより所定の温度で加熱処理され、レジスト膜102中の溶剤が蒸発して除去される(ステップS2)。
【0048】
前記加熱処理後、ウエハWは主搬送手段A2→棚ユニットU1〜U3の冷却ユニット→主搬送手段A2の順に受け渡され、前記主搬送手段A2が、前記冷却ユニットにより温度が調整されたウエハWを保護膜塗布ユニット28内に搬送するとユニット28内のステージ53が上昇してウエハWの裏面中央部を吸着保持する。主搬送手段A2が塗布ユニット28から退避すると共に密着性向上処理部8のノズル本体81がその待機領域からウエハWに向けて移動し、その上片部81a、下片部81bがウエハWの周縁部を挟む処理位置において停止する。
【0049】
続いて駆動部53bがステージ53を介してウエハWを所定の速度で回転させ、また例えばその回転の開始に若干遅れてバルブV4a,V4b及びV5が開かれ、ウエハWの周縁部の表裏面に向けてノズル本体81の供給口82a,82bからHMDSガスが供給されると共に吸引口86によりノズル本体81の上片部81a、下片部81b、壁部81cに囲まれる空間が排気されて、前記空間において図9(a)に矢印で示すような気流が形成される。この気流に曝されることでウエハWの表面側周縁部の露出面104から側端部を介して裏面側の周縁部に跨る領域が疎水化されて保護膜103への密着性が向上し、また余剰のHMDSガス及びこのHMDSガスとウエハW表面の水分との反応生成物であるNH3ガスが排気されて前記空間から除去される(ステップS3)。
【0050】
バルブV4a,V4b及びV5が開かれてから例えば所定の時間が経過し、ウエハWの周縁部の疎水化処理が終了するとこれらの各バルブが閉じられて、供給口82a,82bからのHMDSガスの供給が停止されると共に吸引口86からの吸引が停止する。その後ステージ53の回転が一旦停止し、ノズル本体81がその待機領域に退避するとそのステージ53が下降して、ウエハWがカップ54内に収まり、続いて保護膜形成材料の供給ノズル61が、カップ54の外側の待機領域からウエハWの中心部上方の処理位置に移動する。
【0051】
供給ノズル61が処理位置に移動すると駆動部53bが、ステージ53を介してウエハWを鉛直軸周りに所定の速度で回転させ、例えばこの回転の開始と略同時にバルブV2が開かれて図9(b)に示すように材料供給ノズル61からウエハWに保護膜形成材料105が供給され、供給された保護膜形成材料105は既述のレジスト液と同様に遠心力によりウエハWの中心部から周縁部に広がる。保護膜形成材料104の供給後、所定の時間が経過してこの保護膜形成材料105の供給が停止された後もしばらくの間ウエハWの回転が続けられ、材料105中の溶剤が揮発して、図9(c)に示すようにウエハWの表面全体に撥水性の保護膜103が成膜される(ステップS4)。
【0052】
保護膜103の成膜後、ウエハWの回転が停止し、供給ノズル61がその待機領域に退避した後、ステージ53がウエハWを保持した状態で上昇して、ユニット28内に進入した主搬送機構A2にそのウエハWを受け渡す。主搬送手段A2によりこのウエハWは棚ユニットU1〜U3における一の加熱ユニットに搬入されて所定の温度で加熱処理がなされる(ステップS5)。
【0053】
加熱処理を終えたウエハWは、主搬送手段A2→棚ユニットU1〜U3に含まれる一の冷却ユニット→主搬送手段A2→棚ユニットU3の受け渡しユニット(TRS)→インターフェイスブロックB3の第1の受け渡しアーム31A→棚ユニットU6の受け渡しユニット(TRS)→第2の受け渡しアーム31B→露光装置B4の受け渡しステージ40Aの順に搬送されて、その後詳しくは「背景技術」の欄に記載したように露光装置B4の不図示の露光ステージに載置されると共に液浸露光ヘッド1がその表面に対向するように配置されて液浸露光処理を受ける(ステップS6)。
【0054】
然る後、液浸露光を終えたウエハWは露光装置B4の受け渡しステージ40Bに載置され、第2の受け渡しアーム31BによりインターフェイスブロックB3に搬入された後、洗浄装置(RD)→棚ユニットU6の受け渡しステージ(TRS)→第1の受け渡しアーム31A→棚ユニットU6の加熱ユニット(PEB)に搬入される。当該加熱ユニット(PEB)では加熱処理が行われ(ステップS7)、加熱処理することにより露光された部位のレジストに含まれる酸発生成分から発生した酸がレジストに拡散することになる。この酸の作用によりレジスト成分が化学的に反応した例えばポジ型のレジストの場合には現像液に対して可溶解性となり、ネガ型のレジストの場合には現像液に対して不溶解性となる。
【0055】
加熱処理後、ウエハWは第1の受け渡しアーム31Aにより前記加熱ユニット(PEB)から搬出され、棚ユニットU6の温調ユニット→第1の受け渡しアーム31A→棚ユニットU6の受け渡しステージ(TRS)→主搬送手段A3→保護膜除去ユニット29の順で搬送され、保護膜除去ユニットにおいて保護膜の剥離液が当該ウエハWに供給されて保護膜103が剥離されてウエハWから除去される(ステップS8)。この保護膜103の除去処理後、ウエハWは主搬送手段A3により現像ユニット2A内に搬入される。当該現像ユニット2AではウエハWの表面に万遍なく現像液の供給が行われ、レジスト膜102の現像液に対して可溶解性の部位が溶解されることにより所定のパターンのレジストマスクがウエハWの表面に形成される(ステップS9)。然る後、ウエハWは主搬送手段A3→棚ユニットU1の受け渡しユニット(TRS)→受け渡し手段A1の順に搬送され前記受け渡し手段A1により載置台20a上の元のキャリアC1へと戻される。
【0056】
上述の実施形態の塗布、現像装置は、ウエハW表面に反射防止膜を形成する反射防止膜形成ユニット26と、反射防止膜の上部にレジスト膜を形成するレジスト塗布ユニット27と、ウエハW表面全体に撥水性材料からなる前記レジスト膜の保護膜を形成する保護膜形成ユニット28とを備えており、保護膜形成ユニット28には、前記ユニット26,27の各エッジリンスノズル71から供給された溶剤によりレジスト膜及び反射防止膜が除去されて露出したウエハWの周縁部におけるシリコンの露出面を含む領域に、HMDSガスを供給して前記領域を疎水化して保護膜とその露出面との密着性を向上させる密着性向上処理部8が設けられている。従ってウエハWが液浸露光処理される際に液浸露光ヘッド1により当該ウエハW上に形成される液膜による圧力の影響を受けても前記保護膜が前記ウエハWの露出面から剥がれることが抑えられるため、レジスト膜が前記液層を形成する純水に接触し、この純水から物理的な力を受けて基板から剥がれることにより、正常な現像処理が妨げられてパターンの欠陥が発生することが抑えられる。また前記露出面から剥がれた保護膜及び既述のように純水によりウエハWから剥がれたレジスト膜からパーティクルが発生し、そのパーティクルが露光装置B4内を汚染してウエハWの正常な露光処理を妨げたり、ウエハWに付着して露光処理後の加熱処理や現像処理などの各処理が正常に行われることを妨げたりすることが抑えられる。
【0057】
また密着性向上処理部8は、コ字型のノズル本体81を備えており、このノズル本体81の上片部81aと下片部81bとがウエハWの周縁部を挟み、これらの上片部81a及び下片部81aのガス供給口82a,82bからウエハWの表面の露出面を含む領域にHMDSガスを供給しながらノズル本体81の壁部81cの吸引口86から吸引を行っているためHMDSガスがレジスト膜の表面に付着して、その表面にHMDSが堆積することが抑えられる。従ってこの堆積したHMDSにより正常な露光処理が妨げられることが抑えられる。またウエハW表面全体にHMDSガスを供給する場合に比べてHMDSガスの消費量が抑えられるためコストを抑えることができる。
【0058】
また保護膜形成ユニット28において保護膜形成材料104をスピンコーティングによりウエハW全体に広げるためのステージ53は、HMDSガスをウエハWの周縁部に供給するための回転ステージとしても用いられるため、ユニット28内のステージの数が抑えられるため当該ユニット28の省スペース化が図れ、結果として、塗布、現像装置の大型化が避けられる。
【0059】
なお上記実施の形態においてはウエハWと保護膜103との密着性を高めるためにウエハWの露出面を含む領域にHMDSガスを供給することで疎水化処理を行っているが疎水化処理を行うためにはこの他にイソプロペノキシトリメチルシランなどのメチルシラン系化合物のガスを供給してもよい。またこれらのガスを供給する他にこれらメチルシラン系の化合物を含んだ液体を前記露出面に塗布し、例えば当該液体によるパドルを形成するなどして疎水化処理を行ってもよい。
【0060】
またウエハWにレジスト膜を形成し、その周縁部を除去してからそのレジスト膜の保護膜を形成するまでにウエハWの周縁のシリコンの露出面に前記HMDSガスを供給すれば本発明の効果を達成することができるため例えば上述の塗布、現像装置によるウエハWの処理工程においてウエハWに反射防止膜は形成されなくてもよく、また例えば反射防止膜とレジスト膜との間に他の材質による膜が形成されてもよい。
【0061】
既述の実施形態のように疎水化処理を行う密着性向上処理部8は、保護膜形成ユニット28に組み込まれるように構成されることに限らず、例えば保護膜形成ユニット28とは別に、既述の塗布、現像装置の棚ユニットU4〜U5を構成する一つの処理ユニットとして構成されていてもよい。図11はこのような密着性向上処理ユニットの一例を示したものであり、この密着性向上処理ユニット9は、前記塗布ユニット27と同様に筺体50、搬送口51、シャッタ52を備えている。筺体50の内部には蓋体91及び下部容器92からなる密閉容器9Aが設けられている。下部容器92内にはウエハWの載置台93が設けられており、この載置台93には昇降自在に構成された、不図示の支持ピンが設けられ、この支持ピンにより既述の主搬送機構A2,A3と載置台93との間でウエハWの受け渡しが行われるようになっている。
【0062】
また載置台93を囲むように排気路94が形成されている。排気路94には当該排気路94を介して密閉容器9A内を排気するための排気管94aの一端が接続されており、排気管の他端はバルブV6を介して吸引手段94bに接続されている。
【0063】
蓋体91の中央部には載置台93に載置されたウエハWの中央部に対向するようにN2ガス供給部95が設けられており、蓋体91の周縁部にはウエハWの周縁部に対向し、前記N2ガス供給部95を囲むようにHMDSガス供給部96が設けられている。N2ガス供給部95は、ガス供給管95aを介してN2ガスが貯留されたガス供給源95bに接続されている。このN2ガスは後述するように余剰のHMDSガスをウエハWの周縁部からパージしてレジスト膜に付着することを抑えるためのパージ用ガスである。またHMDSガス供給部96は、ガス供給管96aを介してHMDSガスが貯留されたガス供給源96bに接続されている。図中V7,V8は夫々ガス供給管95a,96aに介設されたバルブである。
【0064】
この密着性向上処理ユニット9においては、蓋体91が上昇し、ウエハWが前記支持ピンを介して載置台93に載置される。ウエハWが載置されると蓋体91が閉じ、HMDSガス供給部96からウエハWの周縁部にHMDSガスが、N2ガス供給部95からウエハWの中央部にN2ガスが、夫々供給されると共に、排気管94aにより密閉容器9A内の排気が行われる。図12はこのときの密閉容器9A内の気流の流れを示したものであり、実線はHMDSガスの流れを、点線はN2ガスの流れを夫々示している。この図に示すようにHMDSガスは、レジスト膜及び反射防止膜が除去されたウエハWの露出面に供給されてこの露出面を疎水化処理した後、排気管94aによりウエハWの外側へ吸引される。またN2ガスは、ウエハWの中央部に供給された後、排気管94aに吸引されて当該ウエハWの表面に沿ってその周縁部に向かい、余剰のHMDSガスをウエハWの周縁部からその外側へパージし、パージしたHMDSガスと共に排気路94を介して排気管94aに流入して密閉容器9A内から除去される。
【0065】
このような密着性向上処理ユニット9を塗布、現像装置に設けても既述のような効果が得られるが、先の実施形態のように前記密着性向上処理部8を、保護膜形成ユニット28に組み込むような構成とした方が塗布、現像装置の処理ユニット数が抑えられるため、各処理ユニットにウエハWの搬送を行う主搬送機構A2,A3の動きが複雑化するのを抑えることができ、従ってこれらの主搬送機構A2,A3の動きを制御するための搬送プログラムの作成が容易になる。
【0066】
続いて本発明の効果を確認するために行った評価試験について説明する。先ずシリコンからなる複数のウエハWを用意し、そのうちの一方のウエハWにはベベル部分を含むその周縁部表面にHMDSガスを供給して疎水化処理を行い、他方のウエハWにはこのようなHMDSガスの供給を行わなかった。なお用意したウエハWの表面にはいかなる薄膜も形成されていない。
【0067】
その後疎水化処理を行ったウエハW及び疎水化処理を行わなかったウエハWの表面全体に夫々レジスト膜の保護膜として用いられる処理液を既述の実施形態で示すような塗布ユニットを用いて塗布し、図13(a)に示すようにウエハW表面全体に有機膜111を形成した。次に有機膜111が成膜されたこれらのウエハWを図13(b)に示すように垂直に保持し、各ウエハWの上方にノズル112を配置して、このノズル112からウエハWに向けて鉛直下方に純水を吐出した。この純水の吐出流量は4.1L/min、吐出時間は60secに夫々設定した。なおこのときの純水の流速は500mm/sec程度である。
【0068】
その後、各ウエハWにおける純水流が供給されたベベル部分の様子を夫々観察した。図13(c)に示すように有機膜111を形成する前に周縁部にHMDSガスを供給したウエハWについては有機膜111の剥離は見られなかった。しかしHMDSガスを供給しなかったウエハWについては有機膜111の剥離が見られた。従って周縁部にHMDSガスを供給して当該周縁部を疎水化することでウエハのシリコン表面とその表面に形成された有機膜との密着性が高められることが証明された。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の基板洗浄装置を備えた塗布、現像装置の一例を示す平面図である。
【図2】前記塗布、現像装置を示す全体斜視図である。
【図3】前記塗布、現像装置に設けられたレジスト膜形成用の塗布ユニットの縦断側面図である。
【図4】前記塗布ユニットの横断平面図である。
【図5】前記塗布、現像装置に設けられた保護膜形成用の塗布ユニットである。
【図6】前記塗布ユニットの横断平面図である。
【図7】前記塗布ユニットに設けられた密着性向上処理部の縦断面図である。
【図8】上記塗布、現像装置によりウエハに保護膜が形成される様子を示した説明図である。
【図9】上記塗布、現像装置によりウエハに保護膜が形成される様子を示した説明図である。
【図10】前記塗布、現像装置によるウエハのレジスト膜の成膜から現像処理までの工程のフローチャートである。
【図11】前記塗布、現像装置に設けられた密着性向上処理ユニットの一例を示した縦断側面図である。
【図12】前記密着性向上処理ユニットにおける気流の流れを示した説明図である。
【図13】本発明の効果を確認する評価試験の様子を示した説明図である。
【図14】ウエハを液浸露光するための露光手段を示す説明図である。
【図15】前記露光手段によりウエハ表面を液浸露光する様子を示す説明図である。
【図16】前記露光手段によりウエハ周縁部のレジストの保護膜が剥離する様子を示した説明図である。
【符号の説明】
【0070】
W 半導体ウエハ
26 反射防止膜形成ユニット
27 レジスト塗布ユニット
28 保護膜形成ユニット
2A 現像ユニット
61 レジスト液供給ノズル
71 エッジリンスノズル
8 密着性向上処理部
81 ノズル本体
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理基板にレジスト液を塗布し、レジスト膜の表面に液層を形成して液浸露光した後にその被処理基板を現像する塗布、現像装置、塗布、現像方法及びその塗布、現像方法を実施するためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造工程の一つであるフォトレジスト工程においては、例えば半導体ウエハ(以下ウエハとする)の表面にレジスト液を塗布してレジスト膜を形成し、このレジスト膜を所定のパターンで露光した後に、現像してレジストパターンを作成している。このような処理は、一般にレジストの塗布、現像を行う塗布、現像装置に、露光装置を接続したシステムを用いて行われる。
【0003】
ところで近年、デバイスパターンの微細化、薄膜化の要請から露光の解像度を上げることを目的として液浸露光と呼ばれる露光手法を導入することが検討されている。液浸露光とはウエハの表面に光を透過させる超純水等の液層を形成した状態で光源から発せられた光を、この液層を透過させることでウエハ表面に照射させて、所定の回路パターンをレジストに転写する露光処理である。詳しく述べると例えばArFを露光処理を行うための光源として用いた場合に、その光源から発せられた光の波長は大気中では183nmであるが水中では実質134nmになるように、この手法は光の波長が水中では短くなることを利用して解像度の高い露光処理を行うものである。液浸露光については特許文献1にも記載されている。
【0004】
この液浸露光処理を受けるウエハWは、例えばシリコンからなり、フォトレジスト工程の前の各工程における処理によりその表面に様々な材質の薄膜が積層された状態で塗布、現像装置に搬送され、この塗布、現像装置において露光装置に搬入されるまでに反射防止膜15、レジスト膜16、保護膜17が夫々この順に下から上に向けて積層されるように形成される。保護膜17は、光を透過する撥水性の薄膜であり、レジスト膜16が液浸露光に用いられる液体に接触することでその液体による影響を受けることを抑える役割を有しており、例えば有機系物質やフッ素系の物質などにより構成される。
【0005】
図14は、前記ウエハWに液浸露光処理が行われる様子を示している。なお既述のようにフォトレジスト工程の前の各工程における処理により反射防止膜15とウエハWとの間には実際には各種の薄膜が積層されているが、それらの薄膜については便宜上、図示を省略している。ウエハWが露光装置に搬入されると、図示しない露光ステージに載置され、水平姿勢に保持される。そしてそのウエハWの上方にはウエハWと隙間をあけて対向するように露光手段である液浸露光ヘッド1が配置される。液浸露光ヘッド1の中央先端部にはレンズ1aが介設されており、このレンズ1aの外周側にはウエハWの表面に液層を形成するための溶液例えば純水を供給するための供給ロ1bと、ウエハWに供給した純水を吸引して回収するための吸引口1cとが夫々設けられている。この液浸露光ヘッド1において供給口1bからウエハWの表面に純水を供給する一方で、この純水を吸引口1cにより回収することにより、レンズ1aとウエハWの表面との間に液層18が形成される。そして図示しない光源から発せられた光が、当該レンズ1a、液層18を透過してウエハWに照射され所定の回路パターンがレジスト膜16に転写される。
【0006】
続いて、レンズ1aとウエハWの表面との間に液層18を形成した状態で、図15に示すように液浸露光ヘッド1を横にスライド移動させて次の転写領域(ショット領域)に対応する位置に当該液浸露光ヘッド1を配置し、光を照射する動作を繰り返すことによりウエハW表面に回路パターンを順次転写していく。
【0007】
ところでウエハWのエッジのベベル部分(傾斜部分)を含む周縁部はデバイスの形成領域に含まれず、また例えばパーティクルの発生を防止するなどの目的から前記反射防止膜15及びレジスト膜16は、夫々ウエハWに成膜された後にその周縁部に溶剤が供給されリンスされることによって当該周縁部が除去され、図16(a)に示すようにウエハWの周縁部において段差を有するように積層される場合がある。また既述のフォトレジスト工程よりも前の工程でウエハW上に形成される各薄膜も反射防止膜15及びレジスト膜16と同様に夫々成膜された後にそれらの周縁部が除去されるため、塗布、現像装置に搬送されるウエハWの周縁部には薄膜が形成されておらず、既述のようにウエハWの周縁部においてレジスト膜16の周縁部が除去されると、ウエハWの表面、つまりシリコンにより形成される面1Aが露出し、保護膜17はそのシリコンの露出面1Aに接するように成膜される場合がある。
【0008】
しかし既述のように保護膜17は例えば有機物で構成されるため、前記露出面1Aに対する密着性は、有機物からなるレジスト膜16に対する密着性に比べて低く、また液浸露光ヘッド1は露光処理時に500mm/sec程度の高い速度で移動する場合があることから例えば露光ヘッド1が液層18を形成しながらウエハWの端部から中央部へ向けて移動すると液層18の圧力の影響を受けて図16(b)に示すように保護膜17が露出面1Aから剥がれてしまうおそれがあり、また反射防止膜15及びレジスト膜16が段差を形成している部分においては、その形状の複雑さゆえに保護膜17の密着性が低くなる場合があるため、更に液浸露光ヘッド1がウエハWの中央部へ向けて移動すると図16(c)に示すようにこの段差部分にまで保護膜17の剥離が起こるおそれがある。その結果としてレジスト膜16の端部が露出してしまい、その端部が露光処理時に用いられる純水から物理的な力を受けてウエハWからの剥がれ(Peeling)を起こす結果として、正常な現像処理が妨げられるおそれがある。
【0009】
また図16(b),(c)のようにウエハWから保護膜17及びレジスト膜16が剥がれると、その剥がれたレジスト膜16及び保護膜17は夫々パーティクル19となり、例えばそのパーティクル19が、露光装置のレンズ1aに付着して正常な露光処理を妨げたり、ウエハWに付着して当該ウエハWの露光処理後の各処理に影響を与えたりするおそれがある。またこのパーティクル19は、ウエハWが載置される露光ステージ上に飛散し、その露光ステージを介して後続のウエハWに付着して、それらのウエハWの各処理にも影響を与えるおそれがある。なお特許文献1にはこのような問題及びその解決手段については記載されていない。
【0010】
なおレジスト膜16のウエハW表面への密着性を向上させるために、反射防止膜15を形成した後、レジスト膜16を形成する前にウエハW表面全体にHMDS(ヘキサメチルジシラザン)ガスを供給してウエハW表面を疎水化処理(AD処理)する場合があり、この疎水化処理により前記露出面1Aの保護膜17への密着性が高まるが、疎水化処理後のレジスト膜16の成膜及びウエハWの周縁部のレジスト膜16の除去処理によって露出面1Aにおける疎水化処理の効果は低下する。従ってこのような疎水化処理が行われる場合においても露出面1Aと保護膜17との十分な密着性が得られないおそれがある。
【特許文献1】特開2005−294520
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、レジスト膜の表面に光を透過する液層を形成した状態で露光するフォトレジスト工程において、露光時にレジスト膜を保護する撥水性材料からなる塗布膜の基板の周縁部への密着性を向上させる塗布、現像装置、塗布、現像方法及びその方法を実施するコンピュータプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の塗布、現像装置は、基板の表面に薄膜を形成した被処理基板の上にレジスト液を塗布するレジスト膜形成用の塗布ユニットと、レジスト膜の表面に光を透過する液層を形成した状態で露光した後のレジスト膜を現像する現像ユニットと、を備えた塗布、現像装置において、レジスト膜の周縁部を溶剤により除去するための第1の周縁部洗浄手段と、液層を用いた露光時に前記レジスト膜を保護するために、撥水性材料を含む塗布液を基板の表面全体に塗布する保護膜形成用の塗布ユニットと、前記撥水性材料を含む塗布液を被処理基板の表面に塗布する前に、レジスト膜の周縁部の除去により露出した基板の露出面を含む領域に、前記保護膜の密着性を向上させるための密着性向上用の流体を供給する密着性向上処理部と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
この塗布、現像装置において密着性向上用の流体を供給する領域は、被処理基板の裏面の周縁部を含んでいてもよい。またこの塗布、現像装置は例えば被処理基板の表面にレジスト液を塗布する前に、反射防止膜を形成するための塗布液を塗布する反射防止膜形成用の塗布ユニットと、レジスト液を基板に塗布する前に反射防止膜の周縁部を溶剤により除去するための第2の周縁部洗浄手段と、を備え、第1の周縁部洗浄手段により処理された後のレジスト膜の周縁は、反射防止膜の周縁よりも内側に位置している。
【0014】
前記密着性向上処理部は、例えば被処理基板を水平に保持して鉛直軸回りに回転させるための回転ステージと、この回転ステージに保持された被処理基板の周縁部を表裏両面側から間隙をおいて挟むように形成されたコ字型のノズル本体と、このノズル本体に設けられ、被処理基板表面の周縁部における基板の露出面と、被処理基板の裏面の周縁部と、を含む領域に密着性向上用の流体を供給するためのノズル部と、前記ノズル本体に設けられ、密着性向上用の流体を吸引する吸引部と、を備えており、この場合密着性向上処理部の回転ステージは、保護膜形成用の塗布ユニットに設けられた回転ステージを共用していてもよい。
【0015】
さらに密着性向上処理部は、処理容器内に設けられ、被処理基板を載置したときに被処理基板の周縁部が飛び出るように被処理基板よりも小さく形成された基板載置台と、基板載置台に載置された被処理基板の表面の周縁部における基板の露出面を含む領域及び被処理基板の裏面の周縁部に密着性向上用のガスを供給するための密着性向上用のガス供給部と、処理容器内を排気する排気部と、を備えていてもよく、この場合前記排気部は、例えば被処理基板上に供給されたガスが被処理基板の外側に向かって流れるように設けられている。また、前記ガス供給部は、基板載置台に載置された被処理基板の表面の周縁部に対向するように設けられ、このガス供給部よりも被処理基板の中央部側には、被処理基板の表面と対向するようにパージ用のガス供給部が設けられている。
【0016】
本発明の塗布、現像方法は、基板の表面に薄膜を形成した被処理基板の上にレジスト膜を形成し、次いでレジスト膜の表面に光を透過する液層を形成した状態で露光した後、レジスト膜を現像する塗布、現像方法において、前記被処理基板の上にレジスト液を塗布する工程と、前記被処理基板上のレジスト膜の周縁部を溶剤により除去する工程と、液層を用いた露光時に前記レジスト膜を保護するために、撥水性材料を含む塗布液を基板の表面全体に塗布する工程と、撥水性材料を含む塗布液を被処理基板の表面に塗布する前に、レジスト膜の周縁部の除去により露出した基板の露出面を含む領域に密着性向上用の流体を供給して、前記保護膜の密着性を向上させる処理を行う工程と、を含むことを特徴とする。
【0017】
前記塗布、現像方法において密着性向上用の流体を供給する領域は、例えば被処理基板の裏面の周縁部を含み、また前記塗布、現像方法は、被処理基板の表面にレジスト液を塗布する前に、反射防止膜を形成するための塗布液を塗布する工程と、レジスト液を基板に塗布する前に反射防止膜の周縁部を溶剤により除去する工程と、を含み、溶剤により周縁部の除去処理がされた後のレジスト膜の周縁は、反射防止膜の周縁よりも内側に位置していてもよい。
【0018】
前記保護膜の密着性を向上させる処理を行う工程は、例えば回転ステージに水平に保持された被処理基板の周縁部をコ字型のノズル本体により表裏両面側から間隙をおいて挟む工程と、回転ステージにより被処理基板を鉛直軸回りに回転させる工程と、前記ノズル本体に設けられたノズル部から、被処理基板の表面の周縁部における基板の露出面と、被処理基板裏面の周縁部と、を含む領域に密着性向上用の流体を供給する工程と、を含み、また処理容器内に設けられ、被処理基板よりも小さく形成された基板載置台に被処理基板を載置する工程と、基板載置台の上方側に設けられたガス供給部から、基板載置台上の被処理基板の表面の周縁部における基板の露出面を含む領域及び被処理基板の裏面の周縁部に密着性向上用のガスを供給する工程と、処理容器内を排気する工程と、を含む。
【0019】
処理容器内を排気する工程は、例えば被処理基板上に供給されたガスが被処理基板の外側に向かって流れるように排気する工程であってもよく、さらに前記保護膜の密着性を向上させる処理を行う工程は、例えば基板載置台に載置された被処理基板の表面の周縁部に密着性向上用のガスを供給する工程と、被処理基板における密着性向上用のガス供給位置よりも中央部側にパージ用のガスを供給する工程と、を含んでいてもよい。なお、これらの塗布、現像装置および塗布、現像方法に用いられる密着性向上用の流体は、例えばヘキサメチルジシラザンの流体である。なお、本発明のコンピュータプログラムは、レジスト膜の表面に光を透過する液層を形成した状態で露光した後のレジスト膜を現像する塗布、現像装置に用いられるコンピュータプログラムにおいて、既述の塗布、現像方法を実施することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、撥水性材料を含む塗布液を被処理基板の表面に塗布してレジスト膜の保護膜を形成する前に、レジスト膜の周縁部の除去により露出した、前記基板の露出面を含む領域に密着性向上処理部により前記保護膜の密着性を向上させるための密着性向上用の流体を供給する。従って被処理基板上に液層が形成される露光時において、前記液層の影響を受けて保護膜が前記被処理基板の露出面から剥がれることが抑えられるため、レジスト膜が前記液層を形成する液体に接触し、この液体から物理的な力を受けて基板から剥がれることにより正常な現像処理が妨げられることが抑えられる。また基板の露出面から剥がれた保護膜及び前記レジスト膜からパーティクルが発生し、そのパーティクルが露光装置を汚染して被処理基板の正常な露光処理を妨げたり、被処理基板に付着して露光処理後の当該基板への正常な各処理を妨げたりすることが抑えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施の形態を、液浸露光を行うシステムに適用した全体構成について、図1及び図2を参照しながら簡単に説明する。このシステムは、塗布、現像装置に露光装置を接続したものである。図中B1はキャリアブロックであり、基板例えばウエハWが例えば13枚密閉収納されたキャリアC1を搬入出するための載置部20aを備えたキャリアステーション20と、このキャリアステーション20から見て前方の壁面に設けられる開閉部21と、開閉部21を介してキャリアC1からウエハWを取り出すための受け渡し手段A1とが設けられている。なおこのキャリアC1に収納されたウエハWは例えばシリコンにより構成されており、「背景技術」の欄で説明したようにその表面の周縁部は薄膜に覆われておらず、シリコンが露出している。
【0022】
キャリアブロックB1の奥側には筐体22にて周囲を囲まれる処理ブロックB2が接続されており、この処理ブロックB2には手前側から順に加熱・冷却系のユニットを多段化した棚ユニットU1,U2,U3及び液処理ユニットU4,U5の各ユニット間のウエハWの受け渡しを行う主搬送手段A2,A3とが交互に配列して設けられている。また主搬送手段A2,A3は、キャリアブロックB1から見て前後方向に配置される棚ユニットU1,U2,U3側に一面部と、後述する例えば右側の液処理ユニットU4,U5側の一面側と、左側の一面側をなす背面部とで構成される区画壁23により囲まれる空間内に置かれている。前記棚ユニットU1,U2,U3は、液処理ユニットU4,U5にて行われる処理の前処理及び後処理を行うための各種ユニットを複数段例えば10段に積層した構成とされている。また図中24,25は各ユニットで用いられる処理液の温度調節装置や温湿度調節用のダクト等を備えた温湿度調節ユニットである。
【0023】
液処理ユニットU4は例えば図2に示すようにレジスト液や反射防止膜を形成するための薬液などを収納する薬液収納部の上に反射防止膜形成用の塗布ユニット(BARC)(以下「反射防止膜形成ユニット(BARC)」という)26が2段、レジスト膜形成用の塗布ユニット(COT)(以下「レジスト塗布ユニット(COT)」という)27が2段、保護膜形成用の塗布ユニット(ITC)28(以下「保護膜形成ユニット(ITC)」という)が1段、上から下に向かってこの順に積層されて構成されている。この保護膜形成ユニット(ITC)28は、例えば撥水性の有機材料を含む塗布液をレジスト膜が形成されたウエハW表面全体に塗布して、液浸露光を行う際に用いる液体がレジスト膜に浸みるのを防ぐための撥水性保護膜を形成する。この保護膜形成ユニット28及び前記レジスト膜塗布ユニット27の構成については夫々後述する。
【0024】
液処理ユニットU5は、現像液などを収納する薬液収納部の上に、前記撥水性保護膜を除去するための撥水性保護膜除去ユニット(ITR)29(以下「保護膜除去ユニット(ITR)」が2段、現像ユニット(DEV)2Aが例えば3段、上から下に向かいこの順に積層されて構成されている。また既述の棚ユニットU1,U2,U3は、液処理ユニットU4,U5にて行われる処理の前処理及び後処理を行うための各種ユニットを複数段例えば10段に積層した構成とされており、レジスト膜を塗布する前にウエハW表面全体に疎水化処理を行う疎水化処理ユニットやウエハWを加熱(ベーク)する加熱ユニット(PAB)、ウエハWを冷却する冷却ユニット等を含んでいる。また棚ユニットU1には、キャリアブロックB1と処理ブロックB2との間でウエハWを受け渡すための受け渡しユニット(TRS)が、棚ユニットU3には、処理ブロックB2とインターフェイスブロックB3との間でウエハWの受け渡しを行うための受け渡しユニット(TRS)が夫々含まれている。
【0025】
処理ブロックB2における棚ユニットU3の奥側には、インターフェイスブロックB3を介して露光装置B4が接続されている。このインターフェイスブロックB3は、例えば処理ブロックB2と露光装置B4との間に前後に設けられる第1の搬送室3A、第2の搬送室3Bにより構成されており、夫々に基板搬送装置である第1の受け渡しアーム31A及び第2の受け渡しアーム31Bが設けられている。第1の搬送室3Aには、棚ユニットU6及びバッファカセットC0が設けられている。棚ユニットU6には第1の受け渡しアーム31Aと第2の受け渡しアーム31Bとの間でウエハWの受け渡しを行うための受け渡しステージ(TRS)、露光処理を行ったウエハWを加熱処理する加熱ユニット(PEB)及び冷却プレートを有する高精度温調ユニットなどが上下に積層された構成となっている。
【0026】
第2の搬送室3Bには例えば液浸露光処理によりウエハWに付着した水滴を除去するために、ウエハWの表面を洗浄する洗浄ユニット(RD)が設けられている。また露光装置B4にはインターフェイス部B3からのウエハWを受け取るステージ40Aとインターフェイス部B3に対して露光処理後のウエハWを受け渡すステージ40Bとが設けられている。
【0027】
この塗布、現像装置は制御部100を備えており、この制御部100は、例えばコンピュータからなるプログラム格納部を有しており、プログラム格納部には後述するような塗布、現像装置の作用、つまり各加熱、冷却ユニットにおけるウエハWの温度調節、ウエハWへの各膜の成膜処理、ウエハWへの疎水化処理、各ユニット間におけるウエハWの受け渡しなどが実施されるように命令が組まれた例えばソフトウエアからなるプログラムが格納される。そして前記プログラムがこの制御部に読み出されることにより当該制御部はこの塗布膜除去処理装置の作用を制御する。なおこのプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカードなどの記録媒体に収納された状態でプログラム格納部に格納される。
【0028】
続いてレジスト塗布ユニット(COT)27の構成について図3及び図4を用いて詳述する。図3、図4は夫々レジスト塗布ユニット27の縦断側面図、横断平面図である。この塗布ユニット27は例えば処理容器をなす筺体50を備えており、主搬送手段A2、A3が移動する領域に面する筺体50の側壁にはウエハWの搬送口51が設けられている。この搬送口51は例えばシャッタ52により開閉自在に構成されている。筺体50の内部にはウエハWの載置台をなすステージ53が設けられており、このステージ53はウエハWの裏面中央部を吸着して水平に保持できるようにバキュームチャックになっている。またステージ53は軸部53aを介して駆動部53bに接続されており、この駆動部53bにより昇降自在かつ鉛直軸回りに回転自在に構成されることにより後述するレジスト液のスピンコーティング及び主搬送手段A2,A3との間でのウエハWの受け渡しができるようになっている。。
【0029】
図中54は上部側が開口したカップであり、ステージ53に保持されたウエハWの周縁外側を囲うように設けられている。カップ54の側周面上端側は内側に傾斜しており、カップ54の底部側には凹部状をなす液受け部55がウエハWの周縁下方側において全周に亘って設けられている。この液受け部55は外側領域と内側領域とに区画されており、外側領域の底部には貯留されたレジスト液のドレインを排出するための排液口56が設けられている。また前記内側領域の底部には2つの排気口57,58が設けられており、これらの排気口57,58はカップ54内の気体を例えば所定の排気量で排気し、ウエハWの回転により飛散したレジスト液が前記液受け部55を介して排液口56から排出されるようになっている。
【0030】
図中61はウエハWにレジスト液を供給するレジスト液供給ノズルである。このレジスト液供給ノズル61にはレジスト液供給管62の一端が接続されており、この供給管62の他端はバルブV1を介してレジスト液が貯留されたレジスト液供給源63に接続されている。またレジスト液供給ノズル61にはこのレジスト液供給ノズル61を支持するアーム体64の一端が接続されており、このアーム体64の他端は駆動部65に接続されている。駆動部65は例えば水平に、筺体50の長さ方向に沿って敷設されたガイドレール66に沿って摺動自在に構成されている。
【0031】
筺体50内において搬送口51が設けられた側を手前側とするとこの筺体50の奥側のカップ54の外側領域は、レジスト液供給ノズル61の待機領域となっており、主搬送機構A2とステージ53との間でウエハWの受け渡しが行われる間、供給ノズル61はこの待機領域にて待機している。そしてステージ53にウエハWが保持されると前記レジスト液供給ノズル61は駆動部65の移動に伴ってウエハWの中心部上方に移動し、然る後バルブV1が開かれ、レジスト液供給源63から供給管62に所定の流量のレジスト液が流入して、そのレジスト液が供給ノズル61からウエハWの中心部上に供給される。
【0032】
図中71は、レジスト膜が成膜されたウエハWの周縁部に溶剤を供給する第1の周縁部洗浄手段をなすエッジリンスノズルである。このエッジリンスノズル71には溶剤供給管72の一端が接続されており、この供給管72の他端はバルブV2を介してレジストの溶剤例えばシンナーが貯留された溶剤供給源73に接続されている。またエッジリンスノズル71には当該ノズル71を支持するためのアーム体74の一端が接続されており、アーム体74の他端は駆動部75に接続されている。駆動部75は鉛直軸周りに回動自在に構成され、この駆動部75の回動に従ってエッジリンスノズル71は、カップ54の外側の待機領域からウエハWの周縁部の上方に移動する。
【0033】
前記エッジリンスノズル71がウエハWの周縁部上方に移動するとバルブV2が開かれ、溶剤供給源73から供給管72に例えば所定の流量の溶剤が流入し、その溶剤が当該リンスノズル71からステージ53により回転するウエハWの周縁部に供給されて、例えばレジスト膜の周縁がそのレジスト膜の下層に形成されている反射防止膜の周縁よりも内側に位置するようにウエハWの周縁部のレジスト膜が除去される。なおウエハWは反射防止膜が形成された後、このレジスト塗布ユニット(COT)27に搬送される前に棚ユニットU1〜U3を構成する加熱ユニットに搬送されて加熱処理を受け、この加熱処理により反射防止膜が焼き固められるため、当該反射防止膜はエッジリンスノズル71から供給される溶剤によりほとんど溶解されない。
【0034】
また図4中実線で描かれたレジスト液供給ノズル61及びエッジリンスノズル71は、待機領域に移動した状態の各ノズル61,71を示しており、鎖線で描かれたノズル61及びノズル71は、夫々ウエハWに対して処理を行う処理位置に移動した状態の各ノズル61,71を示している。
【0035】
図1に示すように筺体50内の上部にはパーティクルを除去するためのフィルタ76が設けられており、フィルタ76の上部には区画された空間である通気室77が設けられている。通気室77にはガス供給管78の一端が開口しており、ガス供給管78の他端はバルブV3を介して例えばN2ガスが貯留されたN2ガス供給源79に接続されている。ウエハWが筺体50内に搬入されてレジスト膜の塗布処理が行われる間、前記バルブV3が開かれ、ガス供給源79から通気室77に供給されたN2ガスが筺体50内にダウンフローされる。
【0036】
なお棚ユニットU4,U5に含まれる反射防止膜形成ユニット26、保護膜除去ユニット29、現像ユニット2Aは、ウエハWに供給される薬液が夫々異なることを除いてこのレジスト塗布ユニット27と同様に構成されており、例えば反射防止膜形成ユニット26にはレジスト液供給ノズル61に対応する、反射防止膜を形成するための材料を供給する材料供給ノズル及びエッジリンスノズル71に対応するエッジリンスノズルが設けられている。前記エッジリンスノズルは特許請求の範囲でいう第2の周縁部洗浄手段を構成し、ウエハWの周縁部に溶剤を供給して、当該周縁部における反射防止膜を除去する。
【0037】
続いて保護膜形成ユニット28の構成について図5、図6を参照しながら説明する。図5、図6は夫々保護膜形成ユニット28の縦断側面図、横断平面図である。この保護膜形成ユニット28は、前記レジスト塗布ユニット27と略同様の構成を有しており、以下に塗布ユニット27との差異点を中心に説明する。また図5,6中、この保護膜形成ユニット28を構成する各部について、レジスト塗布ユニット27を構成する各部に対応するものには図3、4に付した番号と同一の番号を付している。この保護膜形成ユニット28における供給ノズル61は、既述の保護膜を形成するための塗布液をウエハWに供給する。なおこのユニット28においては例えば筺体50内の手前側のカップ54の外側領域が供給ノズル61の待機領域となっている。
【0038】
この保護膜形成ユニット28にはウエハWと保護膜との密着性を向上させるための密着性向上処理部8が設けられている。この密着性向上処理部8について図7も参照しながら説明する。この処理部8は側面視コ字型のノズル本体81を備えており、ノズル本体81は、上片部81a、下片部81b及び壁部81cから構成されている。
【0039】
前記上片部81aの下面及び下片部81bの上面には夫々ガス供給部を構成する多数の気体供給口82a,82bが間隔をおいて開口しており、これらの気体供給口82a,82bは、後述するようにノズル本体81がウエハWへの処理位置に移動した際に、ウエハWの周縁部におけるレジスト膜及び反射防止膜が除去されることにより露出したウエハWの表面及びウエハWの裏面の周縁部にHMDSガスを供給して、これらの面を疎水化することにより保護膜への密着性を向上させる。
【0040】
またこれらの気体供給口82a,82bは、上片部81a及び下片部81b夫々の内部に形成されたガス流路83a,83bに連通している。ガス流路83a,83bの上流側は夫々合流し、合流したガス流路83a,83bは、上片部81aの上部、下片部81bの下部に夫々設けられたガス導入ポート84a,84bに向かうように形成されている。ガス導入ポート84a,84bには夫々ガス供給管85a,85bの一端が接続されており、これらのガス供給管85a,85bは前記ガス流路83a,83bに連通している。ガス供給管85a,85bの他端はバルブV4a,V4bを介してHMDSガスが貯留されたHMDSガス供給源86a,86bに接続されている。
【0041】
ノズル本体81の壁部81cにおいて、ウエハWに向かう面の例えば中央部には吸引口86が開口しており、この吸引口86には吸引管87の一端が接続されている。吸引管87の他端はバルブV5を介して真空ポンプなどからなる吸引機構88に接続されている。この吸引口86は既述のように前記気体供給口82a及び気体供給口82bからHMDSガスが吐出される際にノズル本体81の各片部81a,81b及び壁部81cに囲まれる空間を排気し、気体供給口82a,82bから供給された余剰のHMDSガス及びHMDSガスとウエハW表面の水とが反応することにより生成したNH3(アンモニア)ガスが当該吸引口86から吸引されて除去される。図7中の矢印はウエハWの処理時における前記片部81a〜81cに囲まれる空間内の気流の流れを示したものである。なお、吸引口86、吸引管87、バルブV5及び吸引機構98は請求の範囲でいう吸引部に相当する。
【0042】
また上片部81aのガス導入ポート84の上部にはこのコ字型のノズル本体81を支持するアーム体88の一端が接続されており、アーム体88の他端は、前記ガイドレール66を摺動自在な駆動部89に接続されている。なおこの保護膜形成装置28の筺体50の奥側におけるカップ54の外側領域はノズル本体81の待機領域となっており、図5中実線で示したノズル本体81は、この待機領域に移動した状態のノズル本体81を示している。主搬送手段A2,A3と駆動部53bを介して上昇したステージ53との間でウエハWの受け渡しが行われる間、ノズル本体81は前記待機領域において待機し、ステージ53がウエハWを受け取ると駆動部89の移動に伴って前記待機領域から図5中鎖線で示すようにその上片部81aと下片部81bとが夫々ウエハWの周縁部を、間隙をおいて挟む処理位置へと移動する。
【0043】
続いて、上述の塗布、現像装置の作用について液浸露光処理が行われる前後の処理を中心に図8〜10を参照しながら説明する。図8,9はウエハW表面にレジスト膜102が形成されてからそのレジスト膜102の表面に保護膜103が形成されるまでのウエハWの様子を示した図であり、図10はウエハWにレジスト膜102が成膜されてから現像処理が行われるまでの各工程を示したフローチャートである。先ず外部からウエハWの収納されたキャリアC1が載置台20aに載置されると、開閉部21と共にキャリアC1の蓋体が外されて受け渡し手段A1によりウエハWが取り出される。そしてウエハWは棚ユニットU1の一段をなす受け渡しユニット(TRS)を介して主搬送手段A2へと受け渡される。
【0044】
主搬送手段A2はウエハWを反射防止膜形成ユニット26に搬送し、このユニット26においてウエハWは、その表面全体に材料供給ノズルから反射防止膜形成材料が供給され反射防止膜101が形成された後、エッジリンスノズルから溶剤が供給され、その周縁部における反射防止膜101が除去される。然る後ウエハWは、主搬送手段A2→棚ユニットU1〜U3の一の棚を構成する加熱ユニット→主搬送手段A2→棚ユニットU1〜U3の一の棚を構成する冷却ユニット→棚ユニットU1〜U3の一の棚を構成する疎水化処理ユニット→棚ユニットU1〜U3の一の棚を構成する冷却ユニット→主搬送手段A2の順に搬送された後、前記主搬送手段A2によりレジスト塗布ユニット(COT)27内に搬送され、上昇したステージ53にその裏面中央部が吸着保持される。主搬送手段A2がユニット27から退避すると共にステージ53はウエハWを保持したまま下降し、ウエハWがカップ54内に収まるとレジスト液供給ノズル61が、カップ54の外側の待機領域からウエハWの中心部上方の処理位置に移動する。
【0045】
続いて駆動部53bによりステージ53を介してウエハWが鉛直軸周りに所定の速度で回転されると共に、バルブV2が開かれてレジスト液供給ノズル61からウエハWにレジスト液が供給され、供給されたレジスト液は遠心力により展伸するいわゆるスピンコーティングによってウエハWの中心部から周縁部に広がる。所定の時間が経過してレジスト液の供給が停止された後もしばらくの間ウエハWの回転が続けられてレジスト液中の溶剤が揮発し、図8(a)に示すようにレジスト膜102が反射防止膜101全体を覆うようにウエハWに形成される。
【0046】
続いて駆動部75を介してエッジリンスノズル71がその待機領域からウエハWの周縁部上方に移動し、図8(b)に示すようにこのリンスノズル71から回転するウエハWの周縁部に溶剤が供給され、その周縁部におけるレジスト膜102が溶解、除去されることにより図8(c)に示すようにウエハWの周縁部が露出すると共にレジスト膜102が、その周縁が反射防止膜101の周縁よりも内側に位置するように成形される(ステップS1)。
【0047】
周縁部のレジスト膜102の除去が終わると溶剤の吐出が停止すると共にウエハWの回転が停止し、レジスト液供給ノズル61及びリンスノズル71が夫々の待機領域に退避した後、駆動部53bがステージ53を介して図1に鎖線で示すようにウエハWをカップ54の外へと上昇させる。ユニット27内に進入した主搬送機構A2が、上昇したウエハWを受け取り、棚ユニットU1〜U3に含まれる加熱ユニット(PAB)に搬送し、ウエハWはこの加熱ユニットにより所定の温度で加熱処理され、レジスト膜102中の溶剤が蒸発して除去される(ステップS2)。
【0048】
前記加熱処理後、ウエハWは主搬送手段A2→棚ユニットU1〜U3の冷却ユニット→主搬送手段A2の順に受け渡され、前記主搬送手段A2が、前記冷却ユニットにより温度が調整されたウエハWを保護膜塗布ユニット28内に搬送するとユニット28内のステージ53が上昇してウエハWの裏面中央部を吸着保持する。主搬送手段A2が塗布ユニット28から退避すると共に密着性向上処理部8のノズル本体81がその待機領域からウエハWに向けて移動し、その上片部81a、下片部81bがウエハWの周縁部を挟む処理位置において停止する。
【0049】
続いて駆動部53bがステージ53を介してウエハWを所定の速度で回転させ、また例えばその回転の開始に若干遅れてバルブV4a,V4b及びV5が開かれ、ウエハWの周縁部の表裏面に向けてノズル本体81の供給口82a,82bからHMDSガスが供給されると共に吸引口86によりノズル本体81の上片部81a、下片部81b、壁部81cに囲まれる空間が排気されて、前記空間において図9(a)に矢印で示すような気流が形成される。この気流に曝されることでウエハWの表面側周縁部の露出面104から側端部を介して裏面側の周縁部に跨る領域が疎水化されて保護膜103への密着性が向上し、また余剰のHMDSガス及びこのHMDSガスとウエハW表面の水分との反応生成物であるNH3ガスが排気されて前記空間から除去される(ステップS3)。
【0050】
バルブV4a,V4b及びV5が開かれてから例えば所定の時間が経過し、ウエハWの周縁部の疎水化処理が終了するとこれらの各バルブが閉じられて、供給口82a,82bからのHMDSガスの供給が停止されると共に吸引口86からの吸引が停止する。その後ステージ53の回転が一旦停止し、ノズル本体81がその待機領域に退避するとそのステージ53が下降して、ウエハWがカップ54内に収まり、続いて保護膜形成材料の供給ノズル61が、カップ54の外側の待機領域からウエハWの中心部上方の処理位置に移動する。
【0051】
供給ノズル61が処理位置に移動すると駆動部53bが、ステージ53を介してウエハWを鉛直軸周りに所定の速度で回転させ、例えばこの回転の開始と略同時にバルブV2が開かれて図9(b)に示すように材料供給ノズル61からウエハWに保護膜形成材料105が供給され、供給された保護膜形成材料105は既述のレジスト液と同様に遠心力によりウエハWの中心部から周縁部に広がる。保護膜形成材料104の供給後、所定の時間が経過してこの保護膜形成材料105の供給が停止された後もしばらくの間ウエハWの回転が続けられ、材料105中の溶剤が揮発して、図9(c)に示すようにウエハWの表面全体に撥水性の保護膜103が成膜される(ステップS4)。
【0052】
保護膜103の成膜後、ウエハWの回転が停止し、供給ノズル61がその待機領域に退避した後、ステージ53がウエハWを保持した状態で上昇して、ユニット28内に進入した主搬送機構A2にそのウエハWを受け渡す。主搬送手段A2によりこのウエハWは棚ユニットU1〜U3における一の加熱ユニットに搬入されて所定の温度で加熱処理がなされる(ステップS5)。
【0053】
加熱処理を終えたウエハWは、主搬送手段A2→棚ユニットU1〜U3に含まれる一の冷却ユニット→主搬送手段A2→棚ユニットU3の受け渡しユニット(TRS)→インターフェイスブロックB3の第1の受け渡しアーム31A→棚ユニットU6の受け渡しユニット(TRS)→第2の受け渡しアーム31B→露光装置B4の受け渡しステージ40Aの順に搬送されて、その後詳しくは「背景技術」の欄に記載したように露光装置B4の不図示の露光ステージに載置されると共に液浸露光ヘッド1がその表面に対向するように配置されて液浸露光処理を受ける(ステップS6)。
【0054】
然る後、液浸露光を終えたウエハWは露光装置B4の受け渡しステージ40Bに載置され、第2の受け渡しアーム31BによりインターフェイスブロックB3に搬入された後、洗浄装置(RD)→棚ユニットU6の受け渡しステージ(TRS)→第1の受け渡しアーム31A→棚ユニットU6の加熱ユニット(PEB)に搬入される。当該加熱ユニット(PEB)では加熱処理が行われ(ステップS7)、加熱処理することにより露光された部位のレジストに含まれる酸発生成分から発生した酸がレジストに拡散することになる。この酸の作用によりレジスト成分が化学的に反応した例えばポジ型のレジストの場合には現像液に対して可溶解性となり、ネガ型のレジストの場合には現像液に対して不溶解性となる。
【0055】
加熱処理後、ウエハWは第1の受け渡しアーム31Aにより前記加熱ユニット(PEB)から搬出され、棚ユニットU6の温調ユニット→第1の受け渡しアーム31A→棚ユニットU6の受け渡しステージ(TRS)→主搬送手段A3→保護膜除去ユニット29の順で搬送され、保護膜除去ユニットにおいて保護膜の剥離液が当該ウエハWに供給されて保護膜103が剥離されてウエハWから除去される(ステップS8)。この保護膜103の除去処理後、ウエハWは主搬送手段A3により現像ユニット2A内に搬入される。当該現像ユニット2AではウエハWの表面に万遍なく現像液の供給が行われ、レジスト膜102の現像液に対して可溶解性の部位が溶解されることにより所定のパターンのレジストマスクがウエハWの表面に形成される(ステップS9)。然る後、ウエハWは主搬送手段A3→棚ユニットU1の受け渡しユニット(TRS)→受け渡し手段A1の順に搬送され前記受け渡し手段A1により載置台20a上の元のキャリアC1へと戻される。
【0056】
上述の実施形態の塗布、現像装置は、ウエハW表面に反射防止膜を形成する反射防止膜形成ユニット26と、反射防止膜の上部にレジスト膜を形成するレジスト塗布ユニット27と、ウエハW表面全体に撥水性材料からなる前記レジスト膜の保護膜を形成する保護膜形成ユニット28とを備えており、保護膜形成ユニット28には、前記ユニット26,27の各エッジリンスノズル71から供給された溶剤によりレジスト膜及び反射防止膜が除去されて露出したウエハWの周縁部におけるシリコンの露出面を含む領域に、HMDSガスを供給して前記領域を疎水化して保護膜とその露出面との密着性を向上させる密着性向上処理部8が設けられている。従ってウエハWが液浸露光処理される際に液浸露光ヘッド1により当該ウエハW上に形成される液膜による圧力の影響を受けても前記保護膜が前記ウエハWの露出面から剥がれることが抑えられるため、レジスト膜が前記液層を形成する純水に接触し、この純水から物理的な力を受けて基板から剥がれることにより、正常な現像処理が妨げられてパターンの欠陥が発生することが抑えられる。また前記露出面から剥がれた保護膜及び既述のように純水によりウエハWから剥がれたレジスト膜からパーティクルが発生し、そのパーティクルが露光装置B4内を汚染してウエハWの正常な露光処理を妨げたり、ウエハWに付着して露光処理後の加熱処理や現像処理などの各処理が正常に行われることを妨げたりすることが抑えられる。
【0057】
また密着性向上処理部8は、コ字型のノズル本体81を備えており、このノズル本体81の上片部81aと下片部81bとがウエハWの周縁部を挟み、これらの上片部81a及び下片部81aのガス供給口82a,82bからウエハWの表面の露出面を含む領域にHMDSガスを供給しながらノズル本体81の壁部81cの吸引口86から吸引を行っているためHMDSガスがレジスト膜の表面に付着して、その表面にHMDSが堆積することが抑えられる。従ってこの堆積したHMDSにより正常な露光処理が妨げられることが抑えられる。またウエハW表面全体にHMDSガスを供給する場合に比べてHMDSガスの消費量が抑えられるためコストを抑えることができる。
【0058】
また保護膜形成ユニット28において保護膜形成材料104をスピンコーティングによりウエハW全体に広げるためのステージ53は、HMDSガスをウエハWの周縁部に供給するための回転ステージとしても用いられるため、ユニット28内のステージの数が抑えられるため当該ユニット28の省スペース化が図れ、結果として、塗布、現像装置の大型化が避けられる。
【0059】
なお上記実施の形態においてはウエハWと保護膜103との密着性を高めるためにウエハWの露出面を含む領域にHMDSガスを供給することで疎水化処理を行っているが疎水化処理を行うためにはこの他にイソプロペノキシトリメチルシランなどのメチルシラン系化合物のガスを供給してもよい。またこれらのガスを供給する他にこれらメチルシラン系の化合物を含んだ液体を前記露出面に塗布し、例えば当該液体によるパドルを形成するなどして疎水化処理を行ってもよい。
【0060】
またウエハWにレジスト膜を形成し、その周縁部を除去してからそのレジスト膜の保護膜を形成するまでにウエハWの周縁のシリコンの露出面に前記HMDSガスを供給すれば本発明の効果を達成することができるため例えば上述の塗布、現像装置によるウエハWの処理工程においてウエハWに反射防止膜は形成されなくてもよく、また例えば反射防止膜とレジスト膜との間に他の材質による膜が形成されてもよい。
【0061】
既述の実施形態のように疎水化処理を行う密着性向上処理部8は、保護膜形成ユニット28に組み込まれるように構成されることに限らず、例えば保護膜形成ユニット28とは別に、既述の塗布、現像装置の棚ユニットU4〜U5を構成する一つの処理ユニットとして構成されていてもよい。図11はこのような密着性向上処理ユニットの一例を示したものであり、この密着性向上処理ユニット9は、前記塗布ユニット27と同様に筺体50、搬送口51、シャッタ52を備えている。筺体50の内部には蓋体91及び下部容器92からなる密閉容器9Aが設けられている。下部容器92内にはウエハWの載置台93が設けられており、この載置台93には昇降自在に構成された、不図示の支持ピンが設けられ、この支持ピンにより既述の主搬送機構A2,A3と載置台93との間でウエハWの受け渡しが行われるようになっている。
【0062】
また載置台93を囲むように排気路94が形成されている。排気路94には当該排気路94を介して密閉容器9A内を排気するための排気管94aの一端が接続されており、排気管の他端はバルブV6を介して吸引手段94bに接続されている。
【0063】
蓋体91の中央部には載置台93に載置されたウエハWの中央部に対向するようにN2ガス供給部95が設けられており、蓋体91の周縁部にはウエハWの周縁部に対向し、前記N2ガス供給部95を囲むようにHMDSガス供給部96が設けられている。N2ガス供給部95は、ガス供給管95aを介してN2ガスが貯留されたガス供給源95bに接続されている。このN2ガスは後述するように余剰のHMDSガスをウエハWの周縁部からパージしてレジスト膜に付着することを抑えるためのパージ用ガスである。またHMDSガス供給部96は、ガス供給管96aを介してHMDSガスが貯留されたガス供給源96bに接続されている。図中V7,V8は夫々ガス供給管95a,96aに介設されたバルブである。
【0064】
この密着性向上処理ユニット9においては、蓋体91が上昇し、ウエハWが前記支持ピンを介して載置台93に載置される。ウエハWが載置されると蓋体91が閉じ、HMDSガス供給部96からウエハWの周縁部にHMDSガスが、N2ガス供給部95からウエハWの中央部にN2ガスが、夫々供給されると共に、排気管94aにより密閉容器9A内の排気が行われる。図12はこのときの密閉容器9A内の気流の流れを示したものであり、実線はHMDSガスの流れを、点線はN2ガスの流れを夫々示している。この図に示すようにHMDSガスは、レジスト膜及び反射防止膜が除去されたウエハWの露出面に供給されてこの露出面を疎水化処理した後、排気管94aによりウエハWの外側へ吸引される。またN2ガスは、ウエハWの中央部に供給された後、排気管94aに吸引されて当該ウエハWの表面に沿ってその周縁部に向かい、余剰のHMDSガスをウエハWの周縁部からその外側へパージし、パージしたHMDSガスと共に排気路94を介して排気管94aに流入して密閉容器9A内から除去される。
【0065】
このような密着性向上処理ユニット9を塗布、現像装置に設けても既述のような効果が得られるが、先の実施形態のように前記密着性向上処理部8を、保護膜形成ユニット28に組み込むような構成とした方が塗布、現像装置の処理ユニット数が抑えられるため、各処理ユニットにウエハWの搬送を行う主搬送機構A2,A3の動きが複雑化するのを抑えることができ、従ってこれらの主搬送機構A2,A3の動きを制御するための搬送プログラムの作成が容易になる。
【0066】
続いて本発明の効果を確認するために行った評価試験について説明する。先ずシリコンからなる複数のウエハWを用意し、そのうちの一方のウエハWにはベベル部分を含むその周縁部表面にHMDSガスを供給して疎水化処理を行い、他方のウエハWにはこのようなHMDSガスの供給を行わなかった。なお用意したウエハWの表面にはいかなる薄膜も形成されていない。
【0067】
その後疎水化処理を行ったウエハW及び疎水化処理を行わなかったウエハWの表面全体に夫々レジスト膜の保護膜として用いられる処理液を既述の実施形態で示すような塗布ユニットを用いて塗布し、図13(a)に示すようにウエハW表面全体に有機膜111を形成した。次に有機膜111が成膜されたこれらのウエハWを図13(b)に示すように垂直に保持し、各ウエハWの上方にノズル112を配置して、このノズル112からウエハWに向けて鉛直下方に純水を吐出した。この純水の吐出流量は4.1L/min、吐出時間は60secに夫々設定した。なおこのときの純水の流速は500mm/sec程度である。
【0068】
その後、各ウエハWにおける純水流が供給されたベベル部分の様子を夫々観察した。図13(c)に示すように有機膜111を形成する前に周縁部にHMDSガスを供給したウエハWについては有機膜111の剥離は見られなかった。しかしHMDSガスを供給しなかったウエハWについては有機膜111の剥離が見られた。従って周縁部にHMDSガスを供給して当該周縁部を疎水化することでウエハのシリコン表面とその表面に形成された有機膜との密着性が高められることが証明された。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の基板洗浄装置を備えた塗布、現像装置の一例を示す平面図である。
【図2】前記塗布、現像装置を示す全体斜視図である。
【図3】前記塗布、現像装置に設けられたレジスト膜形成用の塗布ユニットの縦断側面図である。
【図4】前記塗布ユニットの横断平面図である。
【図5】前記塗布、現像装置に設けられた保護膜形成用の塗布ユニットである。
【図6】前記塗布ユニットの横断平面図である。
【図7】前記塗布ユニットに設けられた密着性向上処理部の縦断面図である。
【図8】上記塗布、現像装置によりウエハに保護膜が形成される様子を示した説明図である。
【図9】上記塗布、現像装置によりウエハに保護膜が形成される様子を示した説明図である。
【図10】前記塗布、現像装置によるウエハのレジスト膜の成膜から現像処理までの工程のフローチャートである。
【図11】前記塗布、現像装置に設けられた密着性向上処理ユニットの一例を示した縦断側面図である。
【図12】前記密着性向上処理ユニットにおける気流の流れを示した説明図である。
【図13】本発明の効果を確認する評価試験の様子を示した説明図である。
【図14】ウエハを液浸露光するための露光手段を示す説明図である。
【図15】前記露光手段によりウエハ表面を液浸露光する様子を示す説明図である。
【図16】前記露光手段によりウエハ周縁部のレジストの保護膜が剥離する様子を示した説明図である。
【符号の説明】
【0070】
W 半導体ウエハ
26 反射防止膜形成ユニット
27 レジスト塗布ユニット
28 保護膜形成ユニット
2A 現像ユニット
61 レジスト液供給ノズル
71 エッジリンスノズル
8 密着性向上処理部
81 ノズル本体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に薄膜を形成した被処理基板の上にレジスト液を塗布するレジスト膜形成用の塗布ユニットと、レジスト膜の表面に光を透過する液層を形成した状態で露光した後のレジスト膜を現像する現像ユニットと、を備えた塗布、現像装置において、
レジスト膜の周縁部を溶剤により除去するための第1の周縁部洗浄手段と、
液層を用いた露光時に前記レジスト膜を保護するために、撥水性材料を含む塗布液を基板の表面全体に塗布する保護膜形成用の塗布ユニットと、
前記撥水性材料を含む塗布液を被処理基板の表面に塗布する前に、レジスト膜の周縁部の除去により露出した基板の露出面を含む領域に、前記保護膜の密着性を向上させるための密着性向上用の流体を供給する密着性向上処理部と、を備えたことを特徴とする塗布、現像装置。
【請求項2】
密着性向上用の流体を供給する領域は、被処理基板の裏面の周縁部を含むことを特徴とする請求項1記載の塗布、現像装置。
【請求項3】
被処理基板の表面にレジスト液を塗布する前に、反射防止膜を形成するための塗布液を塗布する反射防止膜形成用の塗布ユニットと、
レジスト液を基板に塗布する前に反射防止膜の周縁部を溶剤により除去するための第2の周縁部洗浄手段と、を備え、
第1の周縁部洗浄手段により処理された後のレジスト膜の周縁は、反射防止膜の周縁よりも内側に位置していることを特徴とする請求項1または2記載の塗布、現像装置。
【請求項4】
密着性向上処理部は、被処理基板を水平に保持して鉛直軸回りに回転させるための回転ステージと、この回転ステージに保持された被処理基板の周縁部を表裏両面側から間隙をおいて挟むように形成されたコ字型のノズル本体と、このノズル本体に設けられ、被処理基板表面の周縁部における基板の露出面と、被処理基板の裏面の周縁部と、を含む領域に密着性向上用の流体を供給するためのノズル部と、前記ノズル本体に設けられ、密着性向上用の流体を吸引する吸引部と、を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一に記載の塗布、現像装置。
【請求項5】
密着性向上処理部の回転ステージは、保護膜形成用の塗布ユニットに設けられた回転ステージを共用することを特徴とする請求項4記載の塗布、現像装置。
【請求項6】
密着性向上処理部は、処理容器内に設けられ、被処理基板を載置したときに被処理基板の周縁部が飛び出るように被処理基板よりも小さく形成された基板載置台と、基板載置台に載置された被処理基板の表面の周縁部における基板の露出面を含む領域及び被処理基板の裏面の周縁部に密着性向上用のガスを供給するための密着性向上用のガス供給部と、処理容器内を排気する排気部と、を備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一に記載の塗布、現像装置。
【請求項7】
前記排気部は、被処理基板上に供給されたガスが被処理基板の外側に向かって流れるように設けられていることを特徴とする請求項6記載の塗布、現像装置。
【請求項8】
前記ガス供給部は、基板載置台に載置された被処理基板の表面の周縁部に対向するように設けられ、このガス供給部よりも被処理基板の中央部側には、被処理基板の表面と対向するようにパージ用のガス供給部が設けられていることを特徴とする請求項6または7記載の塗布、現像装置。
【請求項9】
密着性向上用の流体は、ヘキサメチルジシラザンの流体であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一に記載の塗布、現像装置。
【請求項10】
基板の表面に薄膜を形成した被処理基板の上にレジスト膜を形成し、次いでレジスト膜の表面に光を透過する液層を形成した状態で露光した後、レジスト膜を現像する塗布、現像方法において、
前記被処理基板の上にレジスト液を塗布する工程と、
前記被処理基板上のレジスト膜の周縁部を溶剤により除去する工程と、
液層を用いた露光時に前記レジスト膜を保護するために、撥水性材料を含む塗布液を基板の表面全体に塗布する工程と、
撥水性材料を含む塗布液を被処理基板の表面に塗布する前に、レジスト膜の周縁部の除去により露出した基板の露出面を含む領域に密着性向上用の流体を供給して、前記保護膜の密着性を向上させる処理を行う工程と、を含むことを特徴とする塗布、現像方法。
【請求項11】
密着性向上用の流体を供給する領域は、被処理基板の裏面の周縁部を含むことを特徴とする請求項10記載の塗布、現像方法。
【請求項12】
被処理基板の表面にレジスト液を塗布する前に、反射防止膜を形成するための塗布液を塗布する工程と、
レジスト液を基板に塗布する前に反射防止膜の周縁部を溶剤により除去する工程と、を含み、
溶剤により周縁部の除去処理がされた後のレジスト膜の周縁は、反射防止膜の周縁よりも内側に位置していることを特徴とする請求項10または11記載の塗布、現像方法。
【請求項13】
前記保護膜の密着性を向上させる処理を行う工程は、回転ステージに水平に保持された被処理基板の周縁部をコ字型のノズル本体により表裏両面側から間隙をおいて挟む工程と、回転ステージにより被処理基板を鉛直軸回りに回転させる工程と、前記ノズル本体に設けられたノズル部から、被処理基板の表面の周縁部における基板の露出面と、被処理基板裏面の周縁部と、を含む領域に密着性向上用の流体を供給する工程と、を含むことを特徴とする請求項10ないし12のいずれか一に記載の塗布、現像方法。
【請求項14】
前記保護膜の密着性を向上させる処理を行う工程は、処理容器内に設けられ、被処理基板よりも小さく形成された基板載置台に被処理基板を載置する工程と、基板載置台の上方側に設けられたガス供給部から、基板載置台上の被処理基板の表面の周縁部における基板の露出面を含む領域及び被処理基板の裏面の周縁部に密着性向上用のガスを供給する工程と、処理容器内を排気する工程と、を含むことを特徴とする請求項10ないし12のいずれか一に記載の塗布、現像方法。
【請求項15】
処理容器内を排気する工程は、被処理基板上に供給されたガスが被処理基板の外側に向かって流れるように排気する工程であることを特徴とする請求項14記載の塗布、現像方法。
【請求項16】
前記保護膜の密着性を向上させる処理を行う工程は、基板載置台に載置された被処理基板の表面の周縁部に密着性向上用のガスを供給する工程と、被処理基板における密着性向上用のガス供給位置よりも中央部側にパージ用のガスを供給する工程と、を含むことを特徴とする請求項10ないし15のいずれか一に記載の塗布、現像方法。
【請求項17】
密着性向上用の流体は、ヘキサメチルジシラザンの流体であることを特徴とする請求項10ないし16のいずれか一に記載の塗布、現像方法。
【請求項18】
レジスト膜の表面に光を透過する液層を形成した状態で露光した後のレジスト膜を現像する塗布、現像装置に用いられるコンピュータプログラムにおいて、
請求項10ないし17のいずれか一つを実施することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項1】
基板の表面に薄膜を形成した被処理基板の上にレジスト液を塗布するレジスト膜形成用の塗布ユニットと、レジスト膜の表面に光を透過する液層を形成した状態で露光した後のレジスト膜を現像する現像ユニットと、を備えた塗布、現像装置において、
レジスト膜の周縁部を溶剤により除去するための第1の周縁部洗浄手段と、
液層を用いた露光時に前記レジスト膜を保護するために、撥水性材料を含む塗布液を基板の表面全体に塗布する保護膜形成用の塗布ユニットと、
前記撥水性材料を含む塗布液を被処理基板の表面に塗布する前に、レジスト膜の周縁部の除去により露出した基板の露出面を含む領域に、前記保護膜の密着性を向上させるための密着性向上用の流体を供給する密着性向上処理部と、を備えたことを特徴とする塗布、現像装置。
【請求項2】
密着性向上用の流体を供給する領域は、被処理基板の裏面の周縁部を含むことを特徴とする請求項1記載の塗布、現像装置。
【請求項3】
被処理基板の表面にレジスト液を塗布する前に、反射防止膜を形成するための塗布液を塗布する反射防止膜形成用の塗布ユニットと、
レジスト液を基板に塗布する前に反射防止膜の周縁部を溶剤により除去するための第2の周縁部洗浄手段と、を備え、
第1の周縁部洗浄手段により処理された後のレジスト膜の周縁は、反射防止膜の周縁よりも内側に位置していることを特徴とする請求項1または2記載の塗布、現像装置。
【請求項4】
密着性向上処理部は、被処理基板を水平に保持して鉛直軸回りに回転させるための回転ステージと、この回転ステージに保持された被処理基板の周縁部を表裏両面側から間隙をおいて挟むように形成されたコ字型のノズル本体と、このノズル本体に設けられ、被処理基板表面の周縁部における基板の露出面と、被処理基板の裏面の周縁部と、を含む領域に密着性向上用の流体を供給するためのノズル部と、前記ノズル本体に設けられ、密着性向上用の流体を吸引する吸引部と、を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一に記載の塗布、現像装置。
【請求項5】
密着性向上処理部の回転ステージは、保護膜形成用の塗布ユニットに設けられた回転ステージを共用することを特徴とする請求項4記載の塗布、現像装置。
【請求項6】
密着性向上処理部は、処理容器内に設けられ、被処理基板を載置したときに被処理基板の周縁部が飛び出るように被処理基板よりも小さく形成された基板載置台と、基板載置台に載置された被処理基板の表面の周縁部における基板の露出面を含む領域及び被処理基板の裏面の周縁部に密着性向上用のガスを供給するための密着性向上用のガス供給部と、処理容器内を排気する排気部と、を備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一に記載の塗布、現像装置。
【請求項7】
前記排気部は、被処理基板上に供給されたガスが被処理基板の外側に向かって流れるように設けられていることを特徴とする請求項6記載の塗布、現像装置。
【請求項8】
前記ガス供給部は、基板載置台に載置された被処理基板の表面の周縁部に対向するように設けられ、このガス供給部よりも被処理基板の中央部側には、被処理基板の表面と対向するようにパージ用のガス供給部が設けられていることを特徴とする請求項6または7記載の塗布、現像装置。
【請求項9】
密着性向上用の流体は、ヘキサメチルジシラザンの流体であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一に記載の塗布、現像装置。
【請求項10】
基板の表面に薄膜を形成した被処理基板の上にレジスト膜を形成し、次いでレジスト膜の表面に光を透過する液層を形成した状態で露光した後、レジスト膜を現像する塗布、現像方法において、
前記被処理基板の上にレジスト液を塗布する工程と、
前記被処理基板上のレジスト膜の周縁部を溶剤により除去する工程と、
液層を用いた露光時に前記レジスト膜を保護するために、撥水性材料を含む塗布液を基板の表面全体に塗布する工程と、
撥水性材料を含む塗布液を被処理基板の表面に塗布する前に、レジスト膜の周縁部の除去により露出した基板の露出面を含む領域に密着性向上用の流体を供給して、前記保護膜の密着性を向上させる処理を行う工程と、を含むことを特徴とする塗布、現像方法。
【請求項11】
密着性向上用の流体を供給する領域は、被処理基板の裏面の周縁部を含むことを特徴とする請求項10記載の塗布、現像方法。
【請求項12】
被処理基板の表面にレジスト液を塗布する前に、反射防止膜を形成するための塗布液を塗布する工程と、
レジスト液を基板に塗布する前に反射防止膜の周縁部を溶剤により除去する工程と、を含み、
溶剤により周縁部の除去処理がされた後のレジスト膜の周縁は、反射防止膜の周縁よりも内側に位置していることを特徴とする請求項10または11記載の塗布、現像方法。
【請求項13】
前記保護膜の密着性を向上させる処理を行う工程は、回転ステージに水平に保持された被処理基板の周縁部をコ字型のノズル本体により表裏両面側から間隙をおいて挟む工程と、回転ステージにより被処理基板を鉛直軸回りに回転させる工程と、前記ノズル本体に設けられたノズル部から、被処理基板の表面の周縁部における基板の露出面と、被処理基板裏面の周縁部と、を含む領域に密着性向上用の流体を供給する工程と、を含むことを特徴とする請求項10ないし12のいずれか一に記載の塗布、現像方法。
【請求項14】
前記保護膜の密着性を向上させる処理を行う工程は、処理容器内に設けられ、被処理基板よりも小さく形成された基板載置台に被処理基板を載置する工程と、基板載置台の上方側に設けられたガス供給部から、基板載置台上の被処理基板の表面の周縁部における基板の露出面を含む領域及び被処理基板の裏面の周縁部に密着性向上用のガスを供給する工程と、処理容器内を排気する工程と、を含むことを特徴とする請求項10ないし12のいずれか一に記載の塗布、現像方法。
【請求項15】
処理容器内を排気する工程は、被処理基板上に供給されたガスが被処理基板の外側に向かって流れるように排気する工程であることを特徴とする請求項14記載の塗布、現像方法。
【請求項16】
前記保護膜の密着性を向上させる処理を行う工程は、基板載置台に載置された被処理基板の表面の周縁部に密着性向上用のガスを供給する工程と、被処理基板における密着性向上用のガス供給位置よりも中央部側にパージ用のガスを供給する工程と、を含むことを特徴とする請求項10ないし15のいずれか一に記載の塗布、現像方法。
【請求項17】
密着性向上用の流体は、ヘキサメチルジシラザンの流体であることを特徴とする請求項10ないし16のいずれか一に記載の塗布、現像方法。
【請求項18】
レジスト膜の表面に光を透過する液層を形成した状態で露光した後のレジスト膜を現像する塗布、現像装置に用いられるコンピュータプログラムにおいて、
請求項10ないし17のいずれか一つを実施することを特徴とするコンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図11】
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【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−214279(P2007−214279A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−31365(P2006−31365)
【出願日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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