説明

増粘剤造粒物及びその製造方法

【課題】水への分散性が良好で、ダマが発生せず、粘度の立ち上がりが早く、かつ平衡粘度が高く、その上で、飲食品の風味を損なうことのない増粘剤造粒物及びその製造方法、並びに前記増粘剤造粒物を使用した、咀嚼・嚥下困難者向け飲食物を提供する。
【解決手段】本発明の増粘剤造粒物の製造方法は、増粘多糖類を含有する1次原料にバインダー液を噴霧して1次造粒物を得る工程と、前記1次造粒物に前記増粘多糖類100質量部に対して85質量部以上のデキストリンを被覆する工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増粘剤造粒物及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
増粘多糖類は、少量で高い粘性を発現する性質を持ち、食品用途では、食感の調節、テクスチャーの安定化、とろみ付け等に広く使用されている。
【0003】
食品用途で汎用される増粘多糖類としては、キサンタンガム、グアーガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、アルギン酸ナトリウム、及びプルラン等の水溶性高分子が挙げられるが、これらの増粘多糖類は、その粉末自体を液体に添加した場合、分散性の悪さからダマが発生しやすく、ダマを完全に溶解させるために手間がかかるという問題がある。
【0004】
上記問題を解決するために、増粘多糖類を造粒することで、分散性を向上させて、ダマの発生を抑えることが行われている。
【0005】
増粘多糖類の造粒方法としては、バインダー液として特定のカルシウム塩の溶液を噴霧し造粒する方法(特許文献1参照)、バインダー液としてクエン酸および/またはリン酸の溶液を噴霧し造粒する方法(特許文献2参照)、及びバインダー液としてカリウム塩の溶液を噴霧し造粒する方法(特許文献3参照)などが知られているが、使用する塩の種類によっては、苦味やえぐ味を有し、食品用途として適さない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−68194号公報
【特許文献2】WO2007/136083号公報
【特許文献3】WO2006/095756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、咀嚼・嚥下困難者向け飲食品用の用途では、分散性が良好で、ダマが発生せず、粘度の立ち上がりが早く、かつ平衡粘度が高く、その上で、飲食品の風味を損なうことのない増粘剤造粒物が求められている。
【0008】
しかしながら、上記の従来の増粘多糖類の造粒方法では、これらの特性を十分に満たすものではなく、さらに良いものが求められていた。
【0009】
従って、本発明の目的は、分散性が良好で、ダマが発生せず、粘度の立ち上がりが早く、かつ平衡粘度が高く、その上で、飲食品の風味を損なうことのない増粘剤造粒物及びその製造方法、並びに前記増粘剤造粒物を使用した、咀嚼・嚥下困難者向け飲食物を提供できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために、
[1]増粘多糖類を含有する1次原料にバインダー液を噴霧して1次造粒物を得る工程と、前記1次造粒物に前記増粘多糖類100質量部に対して85質量部以上のデキストリンを被覆する工程とを有することを特徴とする増粘剤造粒物の製造方法を提供する。
【0011】
また、本発明は、上記目的を達成するために、下記[2]〜[12]を提供する。
【0012】
[2]前記被覆する工程が、前記1次造粒物にデキストリンを添加、混合して得られる2次原料にバインダー液を噴霧して2次造粒物を得る工程を含むことを特徴とする前記[1]に記載の増粘剤造粒物の製造方法。
【0013】
[3]前記被覆する工程が、前記1次造粒物に前記増粘多糖類100質量部に対して90〜130質量部のデキストリンを被覆する工程であることを特徴とする前記[1]又は前記[2]に記載の増粘剤造粒物の製造方法。
【0014】
[4]前記1次原料が、前記増粘多糖類100質量部に対して0.1〜45質量部のデキストリンを含有することを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の増粘剤造粒物の製造方法。
【0015】
[5]前記1次原料が、前記増粘多糖類100質量部に対して15〜40質量部のデキストリンを含有することを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の増粘剤造粒物の製造方法。
【0016】
[6]前記増粘多糖類が、キサンタンガム、グアーガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、アルギン酸ナトリウム、プルラン、及びCMCナトリウム塩から選ばれる1種又は2種以上のものであることを特徴とする前記[1]〜[5]のいずれか1つに記載の増粘剤造粒物の製造方法。
【0017】
[7]前記1次原料中のデキストリンが、前記被覆するデキストリンと同一種類のデキストリンであること特徴とする前記[1]〜[6]のいずれか1つに記載の増粘剤造粒物の製造方法。
【0018】
[8]前記バインダー液が、水、又は20質量%以下のデキストリンを含有する水溶液であること特徴とする前記[1]〜[7]のいずれか1つに記載の増粘剤造粒物の製造方法。
【0019】
[9]前記[1]〜[8]のいずれか1つに記載の製造方法で製造されたことを特徴とする増粘剤造粒物。
【0020】
[10]前記増粘剤造粒物が、咀嚼・嚥下困難者向け飲食品用であることを特徴とする前記[9]に記載の増粘剤造粒物。
【0021】
[11]前記[9]又は前記[10]に記載の増粘剤造粒物を含有することを特徴とする飲食品。
【0022】
[12]前記[1]〜[8]のいずれか1つに記載の製造方法で製造された増粘剤造粒物を使用することを特徴とする増粘多糖類の分散性を向上させる方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、分散性が良好で、ダマが発生せず、粘度の立ち上がりが早く、かつ平衡粘度が高く、その上で、飲食品の風味を損なうことのない増粘剤造粒物及びその製造方法、並びに前記増粘剤造粒物を使用した、咀嚼・嚥下困難者向け飲食物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、実施例及び比較例の増粘剤造粒物の製造工程の概略を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
〔本発明の実施の形態に係る増粘剤造粒物の製造方法〕
本発明の実施の形態に係る増粘剤造粒物の製造方法は、増粘多糖類を含有する1次原料にバインダー液を噴霧して1次造粒物を得る工程と、前記1次造粒物に前記増粘多糖類100質量部に対して85質量部以上のデキストリンを被覆する工程とを有することを特徴とする。
【0026】
<1次造粒物を得る工程>
本実施の形態に係る1次造粒物を得る工程では、増粘多糖類を含有する1次原料にバインダー液を噴霧する。
【0027】
(1次原料)
1次原料は、増粘多糖類を含有する。好ましくは、増粘多糖類及びデキストリンを含有する。1次原料中のデキストリンは、増粘多糖類100質量部に対して0.1〜45質量部のデキストリンを含有することが好ましい。より好ましくは、増粘多糖類100質量部に対してデキストリンを15〜40質量部含有する。さらに好ましくは、増粘多糖類100質量部に対してデキストリンを18〜29質量部含有する。最も好ましくは、増粘多糖類100質量部に対してデキストリンを20〜24質量部含有する。増粘多糖類とデキストリンが上記範囲の含量比であると、増粘剤造粒物を水等へ添加して、混合したときに立ち上がりの粘度発現が早く、また、造粒効率にも優れる。立ち上がりの粘度発現が早いという点では、増粘多糖類100質量部に対してデキストリンを20〜40質量部含有することが特に好ましい。デキストリン含量が増粘多糖類100質量部に対して45質量部を超えると、次のデキストリンを被覆する工程において被覆に使用できるデキストリンが少なくなるため、増粘剤造粒物を水等へ添加したときの分散性が悪くなり、ダマが発生する。
【0028】
1次原料中のデキストリンは、次のデキストリンを被覆する工程において被覆されるデキストリンと同一種類のデキストリンであることが生産時の混乱や操作ミスが少なくなるため好ましい。
【0029】
(増粘多糖類)
本実施の形態において、増粘多糖類とは特に限定されるものではないが、溶解後の粘度の立ち上がりに優れる等の観点からキサンタンガム、グアーガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、アルギン酸ナトリウム、プルラン、及びCMCナトリウム塩から選ばれる1種又は2種以上のものであることが好ましい。特に、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム及びCMCナトリウム塩から選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。キサンタンガム、グアーガム及びCMCナトリウム塩を用いることが最も好ましい。
【0030】
キサンタンガムは、増粘剤造粒物中のキサンタンガムの含量が30〜45質量%となる量を1次原料中に含有することが好ましい。より好ましくは、33〜43質量%であり、さらに好ましくは、35〜40質量%である。
グアーガムは、増粘剤造粒物中のグアーガムの含量が0.5〜3質量%となる量を1次原料中に含有することが好ましい。より好ましくは、1〜3質量%であり、さらに好ましくは、1〜2.5質量%である。
CMCナトリウム塩は、増粘剤造粒物中のCMCナトリウム塩の含量が1〜4質量%となる量を1次原料中に含有することが好ましい。より好ましくは、1.5〜3質量%であり、さらに好ましくは、1.5〜2.5質量%である。
【0031】
(バインダー液)
1次原料に噴霧するバインダー液は、水、又は20質量%以下のデキストリンを含有する水溶液であることが好ましい。好ましくは、デキストリンを1〜20質量%含有する水溶液、より好ましくは5〜20質量%含有する水溶液、さらに好ましくは5〜15質量%含有する水溶液である。
次のデキストリンを被覆する工程において使用されるバインダー液についても同様である。
【0032】
本工程と次のデキストリンを被覆する工程において噴霧される上記バインダー液の総量は、製造する増粘剤造粒物の総量の1〜10質量%に相当するデキストリンが噴霧されるような液量であることが好ましい。より好ましくは、3〜8質量%である。
【0033】
本実施の形態において使用されるバインダー液中のデキストリンは、1次原料中のデキストリンと同一種類のデキストリンであることが生産時の混乱や操作ミスが少なくなるため好ましい。
【0034】
また、バインダー液は、デキストリンの他に増粘多糖類を含有することもできる。例えば、キサンタンガムを含有できる。
【0035】
<1次造粒物にデキストリンを被覆する工程>
デキストリンを被覆する工程では、上記工程で得られた1次造粒物に、1次原料中の増粘多糖類100質量部に対して85質量部以上のデキストリンを被覆する。好ましくは、増粘多糖類100質量部に対して90〜130質量部のデキストリンを被覆する。より好ましくは95〜120質量部のデキストリンを被覆する。さらに好ましくは100〜115質量部であり、最も好ましくは100〜110質量部である。デキストリンを上記範囲で1次造粒物に被覆すると、ダマを発生せずに容易に分散する増粘剤造粒物が得られる。
【0036】
1次造粒物にデキストリンを被覆する工程は、具体的には、上記1次造粒物にデキストリンを添加、混合して得られる2次原料にバインダー液を噴霧して2次造粒物を得る工程を含むことが好ましい。また、所望により2次造粒物にデキストリンを添加、混合してバインダー液を噴霧して3次造粒物を得ることもでき、さらに、同様にして4次造粒物以降を得ることもできる。すなわち、1次造粒物にデキストリンを被覆する工程を何段階かに分けて行なうこともできるが、1回、つまり2次造粒物を目的の増粘剤造粒物とすることが製造効率等の観点から望ましい。
【0037】
<造粒方法>
本実施の形態に係る1次造粒物を得る工程及びデキストリンを被覆する工程における造粒方法としては、例えば、流動層造粒法、撹拌造粒法、転動式造粒法、及びコーティング造粒法が挙げられるが、流動層造粒法が特に好ましい。
【0038】
流動層造粒法では、例えば、粉体(1次原料)を流動層造粒法コーティング装置に入れ、下方から50〜100℃に加温した温風を送り込むことで、粉体を流動させて混合し、この流動層に上記バインダー液を上方よりノズル噴霧し、粉体表面に均一にバインダー液を3〜5mL/min、空気圧0.5〜1.5MPaで噴霧することで、凝集粒をつくり、これを乾燥させることにより1次造粒物を得る。次に、流動層造粒法コーティング装置の運転を一旦停止し、装置にデキストリンを追加投入し、装置の下方から50〜100℃に加温した温風を吹き込み、1次造粒物と追加したデキストリンを流動させて混合して得られる2次原料について、上記と同じ条件で造粒し、乾燥することにより増粘剤造粒物(2次造粒物)を製造することができる。
【0039】
〔本発明の実施の形態に係る増粘剤造粒物〕
本発明の実施の形態に係る増粘剤造粒物は、上記の製造方法で製造されるものであり、飲食品、特に咀嚼・嚥下困難者向け飲食品用として好適に使用することができる。当該増粘剤造粒物を使用することにより、増粘多糖類の水等への分散性を向上させることができる。
【0040】
本発明の実施の形態に係る増粘剤造粒物を添加する対象飲食品として、特に限定されるものではないが、例えば、水、牛乳、乳飲料、乳酸菌飲料、果汁入り清涼飲料、炭酸飲料、果汁飲料、菜汁飲料、茶飲料、スポーツ飲料、機能性飲料、ビタミン補給飲料、栄養補給バランス飲料、ワイン等の果実酒、コンソメスープ、ポタージュスープ、クリームスープ、中華スープ等の各種スープ、味噌汁、清汁を挙げることができ、これらに直接添加して液体を増粘させることができる。
【0041】
〔本発明の実施の形態の効果〕
本発明の実施の形態によれば、分散性が良好で、ダマが発生せず、粘度の立ち上がりが早く、かつ平衡粘度が高く、その上で、飲食品の風味を損なうことのない増粘剤造粒物及びその製造方法を提供することができる。従って、咀嚼・嚥下困難者向け飲食品用の用途として好適な増粘剤造粒物及びその製造方法を提供することができる。
【0042】
次に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【実施例】
【0043】
〔増粘剤造粒物の製造〕
図1は、実施例及び比較例の増粘剤造粒物の製造工程の概略を示すフローチャートである。
実施例1〜5及び比較例1の増粘剤造粒物を流動層造粒法により表1〜2に記載の配合に従って、以下の手順で製造した。
まず各原料を秤量後、1次原料とバインダー液(10質量%デキストリン水溶液100g)をそれぞれ準備し、1次原料を流動層造粒コーティング装置(商品名:SFC−LABO、フロイント産業(株)製)に投入し、当該装置の底部から75℃に加温した温風を吹き込み、粉体を流動させて混合した。続いて、当該装置の上部のスプレーノズルより上記バインダー液を5mL/min、空気圧0.8MPaで1次原料に噴霧して造粒し、乾燥することにより1次造粒物を得た。
次に、流動層造粒法コーティング装置の運転を一旦停止し、装置に1次原料中のデキストリンと同一種類のデキストリンを追加投入し、当該装置の底部から75℃に加温した温風を吹き込み、1次造粒物と追加したデキストリンを流動させて混合して得られる2次原料について、上記と同じ条件で造粒し、乾燥することにより増粘剤造粒物(2次造粒物)を得た。
【0044】
比較例2の増粘剤造粒物を流動層造粒法により表2に記載の配合に従って、以下の手順で製造した。
まず各原料を秤量後、1次原料とバインダー液(10質量%デキストリン水溶液)をそれぞれ準備し、1次原料を流動層造粒コーティング装置(商品名:SFC−LABO、フロイント産業(株)製)に投入し、当該装置の底部から75℃に加温した温風を吹き込み、粉体を流動させて混合した。続いて、当該装置の上部のスプレーノズルより準備したバインダー水溶液を5mL/min、空気圧0.8MPaで噴霧・乾燥し、増粘剤造粒物(1次造粒物)を得た。
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】

【0047】
〔増粘剤造粒物の評価1〕
得られた増粘剤造粒物についてそれぞれ、以下の評価を行なった。評価結果を表3〜4に示す。
【0048】
(水への分散性及びダマの発生抑制の評価)
水(商品名:南アルプスの天然水、サントリー(株)製)100gをスパーテルで撹拌しながら、増粘剤造粒物を1.5g添加し、目視により確認し、下記の3段階で分散性及びダマの発生抑制について評価した。
○:増粘剤造粒物がただちに水中全体に分散し、ダマが発生しない状態
△:増粘剤造粒物がただちに水中全体に分散するが、ダマが若干発生する状態
×:増粘剤造粒物が分散しにくく、ダマが多数発生する状態
【0049】
(粘度の評価)
立ち上がり粘度と平衡粘度を以下の方法により測定し、評価した。粘度は、粘度計(TOKIMEC社製、型番:VISCOMETER(MODEL:BM))のローターNo.3を用いて12rpmの回転数で測定した。
【0050】
立ち上がり粘度:上記の水への分散性及びダマの発生抑制の評価において増粘剤造粒物を添加した30秒後の粘度の測定値を立ち上がり粘度とし、下記の3段階で評価した。
◎:1500mPa・s以上で粘度の立ち上がりが早く、著しく良好
○:900mPa・s以上1500mPa・s未満で粘度の立ち上がりが早く、良好
×:900mPa・s未満で粘度の立ち上がりが遅い
【0051】
平衡粘度:上記の水への分散性及びダマの発生抑制の評価において増粘剤造粒物を添加した60分後の粘度の測定値を平衡粘度とし、下記の2段階で評価した。
○:3000mPa・s以上で平衡粘度は高い
×:3000mPa・s未満で平衡粘度は低い
【0052】
【表3】

【0053】
実施例1〜実施例5は、水への分散性、ダマの発生抑制、立ち上がり粘度及び平衡粘度のいずれも良好であり、咀嚼・嚥下困難者向けの水として、使用できるものであった。
【0054】
【表4】

【0055】
〔増粘剤造粒物の評価2〕
得られた増粘剤造粒物(実施例2)について、以下の方法により分散性及びダマの発生抑制の評価、粘度の評価、並びに風味の評価を行なった。
【0056】
(健康飲料)
健康飲料(商品名:ポカリスエット、大塚薬品(株)製)100gをスパーテルで撹拌しながら、実施例2の増粘剤造粒物を1.5g添加したところ、ただちに液中全体に分散し、ダマの発生が無く、粘度発現も良好(前述の評価基準で立ち上がり粘度は◎及び平衡粘度は○)であった。このトロミを付与した健康飲料は、風味も良好であり、咀嚼・嚥下困難者向けの健康飲料として使用できるものであった。
【0057】
(お茶)
お茶(商品名:お〜いお茶、(株)伊藤園製)100gをスパーテルで撹拌しながら、実施例2の増粘剤造粒物を1.5g添加したところ、ただちに液中全体に分散し、ダマの発生が無く、粘度発現も良好(前述の評価基準で立ち上がり粘度は◎及び平衡粘度は○)であった。このトロミを付与したお茶は、風味も良好であり、咀嚼・嚥下困難者向けのお茶として使用できるものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
増粘多糖類を含有する1次原料にバインダー液を噴霧して1次造粒物を得る工程と、前記1次造粒物に前記増粘多糖類100質量部に対して85質量部以上のデキストリンを被覆する工程とを有することを特徴とする増粘剤造粒物の製造方法。
【請求項2】
前記被覆する工程が、前記1次造粒物にデキストリンを添加、混合して得られる2次原料にバインダー液を噴霧して2次造粒物を得る工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の増粘剤造粒物の製造方法。
【請求項3】
前記被覆する工程が、前記1次造粒物に前記増粘多糖類100質量部に対して90〜130質量部のデキストリンを被覆する工程であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の増粘剤造粒物の製造方法。
【請求項4】
前記1次原料が、前記増粘多糖類100質量部に対して0.1〜45質量部のデキストリンを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の増粘剤造粒物の製造方法。
【請求項5】
前記1次原料が、前記増粘多糖類100質量部に対して15〜40質量部のデキストリンを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の増粘剤造粒物の製造方法。
【請求項6】
前記増粘多糖類が、キサンタンガム、グアーガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、アルギン酸ナトリウム、プルラン、及びCMCナトリウム塩から選ばれる1種又は2種以上のものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の増粘剤造粒物の製造方法。
【請求項7】
前記1次原料中のデキストリンが、前記被覆するデキストリンと同一種類のデキストリンであること特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の増粘剤造粒物の製造方法。
【請求項8】
前記バインダー液が、水、又は20質量%以下のデキストリンを含有する水溶液であること特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の増粘剤造粒物の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法で製造されたことを特徴とする増粘剤造粒物。
【請求項10】
前記増粘剤造粒物が、咀嚼・嚥下困難者向け飲食品用であることを特徴とする請求項9に記載の増粘剤造粒物。
【請求項11】
請求項9又は請求項10に記載の増粘剤造粒物を含有することを特徴とする飲食品。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法で製造された増粘剤造粒物を使用することを特徴とする増粘多糖類の分散性を向上させる方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−229440(P2011−229440A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101950(P2010−101950)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(000227009)日清オイリオグループ株式会社 (251)
【Fターム(参考)】