説明

壁面緑化構築物

【課題】壁面緑化時以外の冬季等において、室内やパーゴラの下側からの眺望を阻害することがなく、また、室内やパーゴラの下側への日光の入射を妨げることがない壁面緑化構築物を提供することである。
【解決手段】壁面緑化構築物において、略水平方向に延出する上下一対の水平部材4と略上下方向に延出する左右一対の垂直部材5とを有する略矩形状のフレーム2と、略上下方向に延出する向きに配置され、上下両端を水平部材4に横方向移動可能又は着脱可能に係止される複数の縦支柱3と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、つる植物を用いて建物の窓の外側やパーゴラの側面部等の緑化を図る壁面緑化構築物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建物の窓の外側やパーゴラの側面部に設置され、つる植物(巻きつる型つる植物や巻きひげ型つる植物)の登攀を補助する登攀補助構造物の発明が提案されている(例えば、下記特許文献1、2参照)。
【0003】
このような登攀補助構造物に沿ってつる植物を登攀させることにより、建物やパーゴラ等の壁面緑化を図ることができる。この登攀補助構造物を建物の窓の外側に設置した場合には、登攀したつる植物の葉によって窓から室内に入射される日光を遮断することができ、夏季におけるエアコンの使用を抑制することができるとともに自然の風による涼しさを得ることができる。また、この登攀補助構造物をパーゴラの側面部に設置した場合には、夏季においてパーゴラの下側にできる日陰の範囲を広くすることができ、パーゴラの下側空間の快適性を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2004−219号公報
【特許文献2】特開平2006−16762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2に記載された登攀補助構造物においては、以下の点について考慮されていない。
【0006】
登攀補助構造物に沿って登攀させるつる植物としては、つるを登攀補助構造物に巻き付かせる巻きつる型つる植物であるアサガオやユウガオ、ひげを登攀補助構造物に巻き付かせる巻きひげ型つる植物であるヘチマやゴーヤ等のような1年生のつる植物が多く、1年生のつる植物は秋季から冬季にかけて枯れる。
【0007】
特許文献1、2に記載された登攀補助構造物は、つる植物が枯れた壁面緑化時以外の冬季等においても夏季等の壁面緑化時と同じ状態に維持されているため、この登攀補助構造物が室内やパーゴラの下側からの眺望を阻害している。
【0008】
また、冬季にはできるだけ多くの日光を室内やパーゴラの下側に入射させたいという要望があるが、登攀補助構造物が窓の外側に夏季と同じ状態に維持されていると、登攀補助構造物に妨げられて室内へ入射される日光が減少する。
【0009】
また、枯れたつる植物のつるやひげが登攀補助構造物に巻き付いている場合には、そのつるやひげによって室内やパーゴラの下側からの眺望がさらに妨げられることになり、及び、室内やパーゴラの下側に入射される日光がさらに減少し、しかも、建物の外観やパーゴラの外観が損なわれる。
【0010】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、その目的は、壁面緑化時以外の冬季等において、室内やパーゴラの下側からの眺望を阻害することがなく、また、室内やパーゴラの下側への日光の入射を妨げることがない壁面緑化構築物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施の形態に係る第1の特徴は、壁面緑化構築物において、略水平方向に延出する上下一対の水平部材と略上下方向に延出する左右一対の垂直部材とを有する略矩形状のフレームと、略上下方向に延出する向きに配置され、上下両端を前記水平部材に横方向移動可能又は着脱可能に係止される複数の縦支柱と、を備えることである。
【0012】
本発明の実施の形態に係る第2の特徴は、壁面緑化構築物において、両端を支持体に支持され、略水平方向に延出する上下一対の水平部材と、略上下方向に延出する向きに配置され、上下両端を前記水平部材に横方向移動可能又は着脱可能に係止される複数の縦支柱と、を備えることである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、壁面緑化時以外の冬季等においては、壁面緑化構築物が室内やパーゴラの下側からの眺望を阻害しないようにすることができ、及び、壁面緑化構築物が室内やパーゴラの下側への日光の入射を妨げないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態の壁面緑化構築物の使用形態を示す側面図である。
【図2】壁面緑化構築物を示す斜視図である。
【図3】壁面緑化構築物を示す正面図である。
【図4】壁面緑化構築物を示す縦断側面図である。
【図5】縦支柱を横方向に移動させて側方に寄せた状態を示す正面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態の壁面緑化構築物を示す斜視図である。
【図7】壁面緑化構築物を示す正面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態の壁面緑化構築物の設置状態を示す斜視図である。
【図9】縦支柱を横方向に移動させて側方に寄せた状態を示す斜視図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態の壁面緑化構築物の設置状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態の壁面緑化構築物1を、図1ないし図5に基づいて説明する。この壁面緑化構築物1は、建物Aの窓Bの外側に立てかけて設置され、1年生のつる植物(巻きつる型つる植物や巻きひげ型つる植物)Cを登攀させるものであり、略矩形状のフレーム2と複数の縦支柱3とを有している。
【0017】
フレーム2は、壁面緑化構築物1を窓Bの外側に立てかけて設置した場合に、略水平方向に延出する上下一対の水平部材4と、略上下方向に延出して一対の水平部材4の端部同士を連結する左右一対の垂直部材5とにより形成されている。これらの水平部材4と垂直部材5とは、金属又は樹脂により形成され、及び、その形状は円柱状又は円筒状に形成されている。
【0018】
縦支柱3は、壁面緑化構築物1を窓Bの外側に立てかけて設置した場合に、略上下方向に延出する向きに配置されている。縦支柱3の両端にはフック6が形成され、これらのフック6が上下一対の水平部材4に横方向移動可能に係止されている。これらの縦支柱3は、金属又は樹脂により形成され、及び、その形状が円柱状又は円筒状に形成されている。
【0019】
ここで、巻きつる型つる植物(例えば、アサガオ、ユウガオ、ルコウソウ、オカワカメ等)のつるや、巻きひげ型つる植物(例えば、ヘチマ、キュウリ、ゴーヤ(ニガウリ)、ヒョウタン、フウセンカズラ等)のひげには、「太い支柱には巻き付きにくい」という性質がある。そこで、この性質を利用してつる植物Cのつるやひげを縦支柱3に緩やかに巻き付かせるため、縦支柱3の太さ寸法が、つる植物Cのつるやひげが巻き付くことが可能な最大の太さ寸法、例えば、φ11.0mmに設定されている。なお、つる植物Cのつるやひげが巻き付くことが可能な最大の太さ寸法は、つる植物Cの種類に応じて変化する値であり、縦支柱3の太さ寸法をつる植物Cの種類に応じて適宜変更することが好適である。
【0020】
隣合う縦支柱3の間隔は、つる植物Cの種類や、つる植物Cの植栽間隔等に応じて適宜調整可能であり、例えば、5〜30cmに設定することが好適である。
【0021】
このような構成において、壁面緑化構築物1に沿ってつる植物Cを登攀させる場合には、図1に示すように、壁面緑化構築物1を建物Aの窓Bの外側に立てかけて設置し、壁面緑化構築物1の下端部側につる植物Cを植栽するプランターDを設置する。
【0022】
プランターDに植栽されたつる植物Cは、つるやひげを縦支柱3に巻き付かせながら壁面緑化構築物1に沿って登攀し、茂った葉や茎によって日光が窓Bから室内に入射することを妨げる。これにより、建物A内の住人は、夏季におけるエアコンの使用を抑制することができ、自然の風による涼しさを得ることができる。
【0023】
なお、つる植物Cを壁面緑化構築物1に沿って登攀させる場合には、必要に応じて「誘引」を行なう。この「誘引」とは、つる植物Cの茎やつるを紙紐やビニール紐を用いて縦支柱3に結び付け、つるや茎を伸びてほしい方向に導き、つる植物Cの形を整える作業である。この「誘引」を行なう回数は、巻きつる型つる植物より巻きひげ型つる植物のほうが多くなることが一般的である。
【0024】
また、つる植物Cのつるやひげが有する「太い支柱には巻き付きにくい」という性質を利用し、縦支柱3の太さ寸法が、つる植物Cのつるやひげが巻き付くことが可能な最大の太さ寸法に設定されているため、つる植物Cのつるやひげは、縦支柱3に緩やかに巻き付きながら壁面緑化構築物1に沿って登攀する。
【0025】
壁面緑化構築物1に沿って登攀しているつる植物Cが秋季から冬季にかけて枯れた場合には、枯れたつる植物Cを壁面緑化構築物1から取除く。これにより、枯れたつる植物Cによって室内からの眺望が妨げられことが防止され、さらに、建物Aの外観が損なわれることが防止される。
【0026】
枯れたつる植物Cを壁面緑化構築物1から取除く作業は、枯れたつる植物Cを根元方向へ引っ張ることにより行なう。なお、上述したようにつる植物Cのつるやひげの縦支柱3への巻き付きが緩やかに行なわれているため、壁面緑化構築物1から枯れたつる植物Cを取除く作業を、短時間で容易に行なうことができる。
【0027】
ここで、壁面緑化構築物1からつる植物Cを取除いてゴミ袋に入れるまでの撤去時間と、壁面緑化構築物1の縦支柱3の太さとの関係を調べる実験を行なったところ、以下のような結果が得られた。なお、第1の実験は、壁面緑化構築物1に約1ヶ月間繁茂させた西洋アサガオ(巻きつる型つる植物)を、縦1800mm、横900mmの範囲で撤去することにより行った。また、第2の実験では、壁面緑化構築物1に約1ヶ月繁茂させたゴーヤ(巻きひげ型つる植物)を、縦1800mm、横900mmの範囲で撤去することにより行なった。
【0028】
第1の実験の結果によれば、縦支柱3の太さがφ5.5mmの場合には撤去時間が5分04秒であったのに対し、縦支柱3の太さがφ11.0mmの場合には撤去時間が2分32秒であった。
【0029】
第2の実験の結果によれば、縦支柱3の太さがφ5.5mmの場合には撤去時間が3分00秒であったのに対し、縦支柱3の太さがφ11.0mmの場合には撤去時間が2分03秒であった。
【0030】
以上の実験結果から、縦支柱3の太さをつる植物Cのつるやひげが巻き付き可能な最大の太さとすることにより、枯れたつる植物Cを壁面緑化構築物1から撤去する作業を短時間で容易に行なえることが判明した。これは、縦支柱3の太さをつる植物Cのつるやひげが巻き付き可能な最大の太さとすることにより、つるやひげがその縦支柱3に緩やかに巻き付いており、つる植物Cを引っ張って縦支柱3から取除く作業を容易に行なえたからである。
【0031】
壁面緑化構築物1から枯れたつる植物Cを取除いた後、図5に示すように、複数の縦支柱3を水平部材4に沿って横方向に移動させて垂直部材5側に寄せることができる。この縦支柱3の横方向への移動は、縦支柱3がフック6を介して水平部材4に係止されている構造であるため、容易に行なうことができる。
【0032】
複数の縦支柱3を垂直部材5側に寄せることにより、壁面緑化時以外の冬季等においては、壁面緑化構築物1の縦支柱3が室内からの眺望を阻害しなくなり、及び、縦支柱3が室内への日光の入射を妨げないようになる。
【0033】
なお、第1の実施の形態では、複数の縦支柱3を水平部材4に横方向移動可能に係止した場合を例に挙げて説明したが、複数の縦支柱3を水平部材4に着脱可能に係止してもよい。着脱可能な係止の態様としては、例えば、ネジ止めすることが挙げられる。この点については、以下に説明する第2〜第4の実施の形態でも同様である。
【0034】
また、第1の実施の形態では、縦支柱3の形状を柱状又は円筒状にした場合を例に挙げて説明したが、縦支柱の形状を角柱状又は角筒状に形成してもよい。縦支柱の形状を角柱状又は角筒状とすることにより、巻き付いたつるやひげと縦支柱の表面との間に隙間ができるので、壁面緑化構築物1からつる植物を取除く作業をより一層容易に行なうことができる。なお、この場合には、縦支柱の長径寸法を、つる植物Cのつるやひげが巻き付き可能な最大寸法とすることが好適である。この点については、以下に説明する第2〜第4の実施の形態でも同様である。
【0035】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態の壁面緑化構築物11を図6及び図7に基づいて説明する。なお、第2の実施の形態及び以下に説明する他の実施の形態において、先行して説明した実施の形態の構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付け、重複する説明は省略する。
【0036】
第2の実施の形態の壁面緑化構築物11の基本的構成は第1の実施の形態の壁面緑化構築物1と同じであり、壁面緑化構築物11は壁面緑化構築物1に対して複数の横支柱である横紐12を追加した構成である。
【0037】
横紐12は、麻縄等の可燃性材料により形成され、両端を垂直部材5に結び付けることにより垂直部材5に対して着脱可能に取付けられ、水平部材4と平行に、及び、縦支柱3と重なるように交差して配置されており、横紐12を縦支柱3に巻回することは不要である。横紐12の太さ寸法は、つる植物Cのひげが強固に巻き付く寸法(例えば、φ2mm程度)とすることが好適である。隣合う横紐12の間隔は、つる植物Cの種類等に応じて適宜調整可能であり、例えば、5〜30cmに設定することが好適である。
【0038】
このような構成において、巻きひげ型つる植物を植栽する場合にこの壁面緑化構築物11を使用することにより、巻きひげ型つる植物はひげを縦支柱3や横紐12に巻き付けながら壁面緑化構築物11に沿って登攀する。
【0039】
巻きひげ型つる植物は、「縦支柱3のみでは登攀しにくい」という特性があり、巻きひげ型つる植物を第1の実施の形態の壁面緑化構築物1に沿って登攀させる場合には、「誘引」の回数が多くなり、手間がかかっている。
【0040】
しかし、横紐12を設けることにより、巻きひげ型つる植物はひげを横紐12に強固に巻き付けながら壁面緑化構築物11に沿って登攀し、「誘引」の回数を大幅に減らすことができ、又は、省くことができる。これにより、巻きひげ型つる植物を用いて壁面緑化を行なう場合の手間を軽減することができる。
【0041】
枯れたつる植物(巻きひげ型つる植物)Cを壁面緑化構築物11から取除く作業に際しては、まず、横紐12をフレーム2から取外す。横紐12をフレーム2から取外すと、つる植物Cのひげの縦支柱3への巻き付きが緩やかであるのに対し、ひげの横紐12への巻き付きが強固であるため、つる植物Cが横紐12と供に壁面緑化構築物11から取除かれる。これにより、ひげを横紐12に強固に巻き付けたつる植物Cを壁面緑化構築物11からの取除く作業を容易に行なうことができる。壁面緑化構築物11から取外した横紐12とつる植物とは、一緒に廃棄し、例えば焼却する。
【0042】
横紐12をつる植物Cと供に壁面緑化構築物11から取外した後は、第1の実施の形態で説明したように必要に応じて縦支柱3を横方向へ移動させ、垂直部材5側へ寄せる。これにより、壁面緑化時以外の冬季等においては、壁面緑化構築物11の縦支柱3が室内からの眺望を阻害しなくなり、及び、縦支柱3が室内への日光の入射を妨げないようになる。
【0043】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態の壁面緑化構築物21を、図8及び図9に基づいて説明する。この壁面緑化構築物21は、パーゴラEの側面部に略垂直に設置され、1年生のつる植物Cを登攀させるものであり、略水平方向に延出する上下一対の水平部材22と、複数の縦支柱3とを有している。
【0044】
水平部材22は、両端を支持部材であるパーゴラEの支柱E1に設けられたネジ止め機構(図示せず)等によりネジ止めして支持されている。この水平部材22は金属や樹脂等により形成され、例えば、ワイヤにより形成されている。
【0045】
縦支柱3は第1の実施の形態で説明したように、上下両端にフック6が形成され、これらのフック6が上下一対の水平部材22に横方向移動可能に係止されている。
【0046】
このような構成において、パーゴラEの側面部に壁面緑化構築物21が設置され、壁面緑化構築物21の下端部側に設置されたプランター等に植栽されたつる植物が生長すると、このつる植物はつるやひげを縦支柱3に巻き付けながら壁面緑化構築物21に沿って登攀する。
【0047】
つる植物が壁面緑化構築物21に沿って登攀することにより、茂った葉や茎によってパーゴラEの下側にできる日陰の範囲を広くすることができ、夏季においてパーゴラEの下側空間の快適性を高めることができる。
【0048】
なお、第1の実施の形態で説明したように、縦支柱3の太さ寸法が、つる植物のつるやひげが巻き付くことが可能な最大の太さ寸法に設定されており、つる植物のつるやひげは、縦支柱3に緩やかに巻き付きながら壁面緑化構築物21に沿って登攀する。
【0049】
壁面緑化構築物21に沿って登攀しているつる植物が秋季から冬季にかけて枯れた場合には、枯れたつる植物を壁面緑化構築物21から取除く。これにより、枯れたつる植物によってパーゴラEの下側からの眺望が妨げられことが防止され、さらに、パーゴラEの外観が損なわれることが防止される。
【0050】
枯れたつる植物を壁面緑化構築物21から取除く作業は、枯れたつる植物を根元方向へ引っ張ることにより行なう。なお、第1の実施の形態で説明したように、つる植物のつるやひげの縦支柱3への巻き付きが緩やかに行なわれているため、壁面緑化構築物21から枯れたつる植物を取除く作業を、短時間で容易に行なうことができる。
【0051】
壁面緑化構築物21から枯れたつる植物を取除いた後、図9に示すように、複数の縦支柱3を水平部材22に沿って横方向に移動させて支柱E1側に寄せることができる。この縦支柱3の横方向への移動は、縦支柱3がフック6を介して水平部材22に係止されている構造であるため、容易に行なうことができる。
【0052】
複数の縦支柱3を支柱E1側に寄せることにより、壁面緑化時以外の冬季等においては、壁面緑化構築物21の縦支柱3がパーゴラEの下側からの眺望を阻害しなくなり、及び、縦支柱3がパーゴラEの下側への日光の入射を妨げないようになる。
【0053】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態の壁面緑化構築物31を図10に基づいて説明する。第4の実施の形態の壁面緑化構築物31の基本的構成は第3の実施の形態の壁面緑化構築物21と同じであり、壁面緑化構築物31は壁面緑化構築物21に対して複数の横紐12を追加した構成である。
【0054】
横紐12は、麻縄等の可燃性材料により形成され、両端を支柱E1に結び付けることにより支柱E1に対して着脱可能に取付けられ、水平部材4と平行に、及び、縦支柱3と重なるように交差して配置されており、横紐12を縦支柱3に巻回することは不要である。
【0055】
このような構成において、巻きひげ型つる植物を植栽する場合にこの壁面緑化構築物31を使用することにより、この巻きひげ型つる植物はひげを縦支柱3や横紐12に巻き付けながら壁面緑化構築物31に沿って登攀する。
【0056】
巻きひげ型つる植物は、上述したように「縦支柱3のみでは登攀しにくい」という特性があり、巻きひげ型つる植物を第3の実施の形態の壁面緑化構築物21に沿って登攀させる場合には、「誘引」の回数が多くなり、手間がかかっている。
【0057】
しかし、横紐12を設けることにより、巻きひげ型つる植物はひげを横紐12に強固に巻き付けながら壁面緑化構築物31に沿って登攀し、「誘引」の回数を大幅に減らすことができ、又は、省くことができる。これにより、巻きひげ型つる植物を用いて壁面緑化を行なう場合の手間を軽減することができる。
【0058】
枯れたつる植物(巻きひげ型つる植物)Cを壁面緑化構築物31から取除く作業に際しては、まず、横紐12をパーゴラEの支柱E1から取外す。横紐12を支柱E1から取外すと、つる植物Cのひげの縦支柱3への巻き付きが緩やかであるのに対し、ひげの横紐12への巻き付きが強固であるため、つる植物Cが横紐12と供に壁面緑化構築物31から取除かれる。これにより、ひげを横紐12に強固に巻き付けたつる植物Cを壁面緑化構築物31からの取除く作業を容易に行なうことができる。壁面緑化構築物11から取外した横紐12とつる植物とは、一緒に廃棄し、例えば焼却する。
【0059】
横紐12をつる植物Cと供に取外した後は、第3の実施の形態で説明したように必要に応じて縦支柱3を横方向へ移動させ、支柱E1側へ寄せる。これにより、壁面緑化時以外の冬季等においては、壁面緑化構築物31の縦支柱3がパーゴラEの下側からの眺望を阻害しなくなり、及び、縦支柱3がパーゴラEの下側への日光の入射を妨げないようになる。
【符号の説明】
【0060】
1 壁面緑化構築物
2 フレーム
3 縦支柱
4 水平部材
5 垂直部材
11 壁面緑化構築物
12 横紐(横支柱)
21 壁面緑化構築物
22 水平部材
31 壁面緑化構築物
E1 支柱(支持部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略水平方向に延出する上下一対の水平部材と略上下方向に延出する左右一対の垂直部材とを有する略矩形状のフレームと、
略上下方向に延出する向きに配置され、上下両端を前記水平部材に横方向移動可能又は着脱可能に係止される複数の縦支柱と、
を備えることを特徴とする壁面緑化構築物。
【請求項2】
両端を支持体に支持され、略水平方向に延出する上下一対の水平部材と、
略上下方向に延出する向きに配置され、上下両端を前記水平部材に横方向移動可能又は着脱可能に係止される複数の縦支柱と、
を備えることを特徴とする壁面緑化構築物。
【請求項3】
両端が前記支持体又は前記垂直部材に着脱可能に取付けられ、前記縦支柱と交差して配置された複数の横支柱を有することを特徴とする請求項1又は2記載の壁面緑化構築物。
【請求項4】
前記横支柱は、可燃性材料により形成されていることを特徴とする請求項3記載の壁面緑化構築物。
【請求項5】
前記縦支柱は、巻きつる型つる植物のつる、又は、巻きひげ型つる植物のひげが巻き付き可能な最大の太さに形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の壁面緑化構築物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−268738(P2010−268738A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−124096(P2009−124096)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【Fターム(参考)】