多孔質人工骨
【課題】より生体骨に近い構造を備えた多孔質人工骨の提供。
【解決手段】多孔質人工骨が、正四面体の重心から各頂点に延びるように4本のロッドを配置した4配位ロッド構造のユニットを繰り返し配置した構造からなる。第1のユニットの気孔率と第2のユニットの気孔率が異なっても良い。ロッドは、アパタイト、α−第3リン酸カルシウム(α−TCP)、β−第3リン酸カルシウム(β−TCP)、リン酸4カルシウム(TTCP)、リン酸8カルシウム(OCP)、またはこれらの混合物からなることが好ましい。
【解決手段】多孔質人工骨が、正四面体の重心から各頂点に延びるように4本のロッドを配置した4配位ロッド構造のユニットを繰り返し配置した構造からなる。第1のユニットの気孔率と第2のユニットの気孔率が異なっても良い。ロッドは、アパタイト、α−第3リン酸カルシウム(α−TCP)、β−第3リン酸カルシウム(β−TCP)、リン酸4カルシウム(TTCP)、リン酸8カルシウム(OCP)、またはこれらの混合物からなることが好ましい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質人工骨に関し、特に、4配位ロッド構造のユニットを繰り返し配置した多孔質人工骨に関する。
【背景技術】
【0002】
疾患や外傷により生体骨に生じた欠損を補うために、ハイドロキシアパタイト製の人工骨が用いられている。かかる人工骨としては、人工骨の中を生体液が循環し、骨芽細胞が生着できる足場材料(スキャホールド)として、多孔質構造が用いられる。具体的には、ハイドロキシアパタイトの粉体に、直径が数百μmのプラスチックビーズを混合した後、焼結を行ってプラスチックビーズを消失させて、焼結体中に球体の気孔のネットワークを形成し、多孔質構造を得ている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】名井陽、山崎直美、玉井宣行、橋本伸之、村瀬剛、吉川秀樹、“セラミックス人工骨の進歩”、人工臓器 Vol.37 (2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の構造では、ハイドロキシアパタイトの粉体とプラスチックビーズとを混合した後、プラスチックビーズを消失させて気孔を形成していたため、気孔率の分布の制御はできなかった。このため、生体骨に近い、気孔率の分布が傾斜した人工骨の作製は不可能であった。
【0005】
また、一般に、生体骨の気孔率は50%〜80%であるが、従来の人工骨では、気孔率が60%を越えた場合、強度が大幅に低下するという問題があった。
【0006】
また、生体骨は柱状構造体の集合であり、球状の気孔を有する構造とは大きく異なるため、より実際の生体骨に近い構造が求められていた。
【0007】
更に、骨再生を行う場合、骨芽細胞を含む生体液が人工骨の気孔中を通り、骨芽細胞を人工骨に付着させる必要があるが、流体シミュレーションを行った結果、従来の球体の気孔を有する人工骨では、生体液の流路や速度にばらつきが生じ、部分的に骨芽細胞が人工骨に付着しないという問題があった。
【0008】
そこで本発明は、より生体骨に近い構造を備えた多孔質人工骨の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、正四面体の重心から各頂点に延びるように4本のロッドを配置した4配位ロッド構造のユニットを繰り返し配置した多孔質人工骨である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の多孔質人工骨では、より生体骨に近い構造の多孔質人工骨の提供が可能である。
【0011】
即ち、本発明の一の形態では、気孔率傾斜構造の多孔質人工骨の提供が可能である。また、他の形態では、50%〜80%の範囲内で気孔率を制御できる。また、他の形態では、柱状構造の人工骨の提供が可能になる。また、他の形態では、骨再生の足場材料に使用する人工骨を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態にかかる4配位ロッド構造の多孔質人工骨の概略図(CADモデル)である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる4配位ロッド構造の1つのユニットの概略図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかる多孔質人工骨の作製工程を示す概略図である。
【図4】本発明の実施の形態にかかる多孔質人工骨の作製に用いる脱脂処理工程と焼結処理工程の温度ダイヤグラムである。
【図5】従来技術にかかる空気球構造の多孔質人工骨の流体シミュレーション結果である。
【図6】流体シミュレーションに用いる4種類の配位のロッド構造を有する多孔質人工骨である。
【図7】4種類の配位のロッド構造を有する多孔質人工骨の流体シミュレーション結果である。
【図8】4配位ロッド構造の多孔質人工骨の、アスペクト比と気孔率との関係である。
【図9】アスペクト比が1.2、1.4、1.6、1.8、および2.0の4配位ロッド構造を一体化した構造(CADモデル)である。
【図10】気孔率傾斜型構造の多孔質人工骨の設計モデル(CADモデル)である。
【図11】光造形法を用いて形成したハイドロキシアパタイト(HAp)からなる造形体の顕微鏡写真である。
【図12】熱処理(脱脂処理および焼結処理)を行った気孔率傾斜型構造の多孔質人工骨の顕微鏡写真である。
【図13】気孔率傾斜型構造の多孔質人工骨の流体シミュレーション結果である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の実施の形態にかかる4配位ロッド構造の多孔質人工骨の概略図(CADモデル)である。図2は、図1の4配位ロッド構造の1つのユニットの概略図である。図1に示す多孔質人工骨は、図2に示す4配位ロッド構造のユニットが、同一方向に繰り返し接続された構造からなる。ここで「4配位」等の配位数は、ある1点(例えば、4配位の場合は正四面体の重心)を基準として、この点から各方向に延びるロッドの数を意味する。
【0014】
図2に示すように、4配位ロッド構造のユニットでは、正4面体の重心の位置oで接続された4つのロッドが、正四面体の各頂点a、b、c、dまで延びた構造を有する。ロッド間のなす角度θは、全て等しい。
【0015】
ロッドは、例えば、後述する光造形法を用いて形成したハイドロキシアパタイト(HAp)からなる。ロッドの材料としては、リン酸カルシウム系材料が好ましく、例えば、上述のハイドロキシアパタイトに代表されるアパタイト、α−第3リン酸カルシウム(α−TCP)、β−第3リン酸カルシウム(β−TCP)、リン酸4カルシウム(TTCP)、リン酸8カルシウム(OCP)、またはこれらの混合物が用いられる。
【0016】
ここでは、1つのユニットに含まれる4つのロッドは、同一形状で、円柱形状である場合について述べるが、形状の異なるロッドを用いたり、角柱等の他の形状のロッドを用いることも可能である。
【0017】
このような4配位ロッド構造を用いることにより、柱状構造体の集合であり生体骨に近い構造の人工骨が提供できる。また、このような4配位ロッド構造では、気孔率が60%を越える場合でも、十分な強度を有することができる。
【0018】
続いて、本発明の実施の形態にかかる多孔質人工骨の作製方法について説明する。図3は、本発明の実施の形態にかかる多孔質人工骨の作製工程を示す概略図である。多孔質人工骨の作製には、光造形装置(株式会社ディーメック製)を用いる。
【0019】
多孔質人工骨の作製に先立って、まず、図1に示すような多孔質人工骨の立体構造を、CADソフトウエア(マテリアライズ社製:Magics)を用いて設計する。そして、図3の左図に示すように、多孔質人工骨の立体構造を、高さ方向に対して一定間隔(例えば10μm〜100μm)にスライスし、2次元断面データ(スライスデータ)を得る。
【0020】
次に、多孔質人工骨の作製に用いる光造形材料を作製する。光造形材料は、粒径10μmのハイドロキシアパタイトの粒子40vol%を、アクリル系の光硬化性樹脂に混ぜて作製する。これによりスラリー状の光造形材料が得られる。
【0021】
次に、図3の右図に示すように、光造形装置の造形ステージ上に、スラリー状の光造形材料を塗布し、ナイフエッジを用いて表面を平坦にする。光造形材料の厚さは、スライスデータに合わせて、10μm〜100μmの範囲から選択される。
【0022】
次に、2次元断面データに基づいて、紫外線レーザ光のスキャンを行う。紫外線レーザ光は、例えば波長が355nmでスポット径が100μmである。紫外線レーザ光が照射された部分の光造形材料は硬化する。
【0023】
次に、造形ステージを1層分の距離だけ降下させた後、紫外線レーザ光でスキャンした光造形材料の上に、新たな光造形材料を塗布し、2次元断面データに基づいて紫外線レーザ光のスキャンを行う。かかる工程を2次元断面データの全てについて順次行うことで、未硬化のスラリー中に3次元硬化構造体が含まれた構造が得られる。
【0024】
次に、造形ステージから光造形材料を外し、例えばエタノール中で超音波洗浄を行う。これにより、未硬化のスラリーが除去されて3次元硬化構造体が残る。
【0025】
次に、大気中で600℃に昇温し、2時間保持することにより、3次元硬化構造体の脱脂処理を行う。
【0026】
次に、同じく大気中で1100℃〜1300℃、好ましくは1250℃に昇温し、2時間保持することにより、3次元硬化構造体の焼結を行う。図4は、脱脂処理工程と焼結処理工程の温度ダイヤグラムである。
【0027】
以上の工程で、図1に示すCADモデルに基づく4配位ロッド構造の多孔質人工骨が得られる。
【0028】
続いて、人工骨中の生体液の流れについて流体シミュレーションを行い、従来構造の多孔質人工骨、4配位以外の配位数を有するロッド構造の多孔質人工骨のシミュレーション結果を、本実施の形態にかかる4配位ロッド構造の多孔質人工骨のシミュレーション結果と比較する。
【0029】
図5は、従来構造にかかる、球状の気孔を有する空気球構造の多孔質人工骨の流体シミュレーション結果である。解析モデルとして、(a)直径150μmの空気球からなる格子定数160μmの反転型体心立方構造、および(b)直径150μmの空気球からなる格子定数200μmの反転型面心立方構造を用いた。図5において、(a)、(b)中に描かれた円がそれぞれの空気球を表し、円と円の交わり部分にある楕円が空気球同士の接続部(連通孔)を示す。(a)、(b)双方の構造の気孔率は約75%である。
【0030】
流体シミュレーションの解析条件を以下の表1に示す。この解析条件は、多孔質人工骨の流体シミュレーションに一般に用いられるものである。
【0031】
表1
【0032】
図5において、(a)は反転型体心立方構造における流跡線(ある流体粒子がたどる道筋)であり、(b)は反転型面心立方構造における流跡線である。図5(a)(b)から、双方の構造において、空気球からなる気孔中に流入した流体は、流入時の連通孔と同じ高さにある連通孔だけにしか流出しないことがわかる。これは、双方の構造で、流入面に垂直な方向から見た場合、全ての連通孔において、流入面から流出面までの間に障害物が存在しないためである。
【0033】
換言すれば、流体がほとんど通らない気孔部分が発生し、そのような気孔部分では、生体液中の骨芽細胞が人工骨に付着しなくなる。
【0034】
また、図5の下方の、流体速度を示すバーと比較すれば分かるように、双方の構造で、流体速度が1mm/s以上の、局所的に流速の速い部分が存在することがわかる。これは、流体は必ず連通孔を通って流出面へ進むため、連通孔に流れが集中し、流速が速くなるためと思われる。
【0035】
Jungreuthmayer 氏らの研究(C.Jungreuthmayer, M.J. Jaasma, A.A. Al-Munajjed, J. Zanghellini, D.J. Kelly, F.J.O’Brien, "Deformation simulation of cells seeded on a collagen-GAG scaffold in a flow perfusion bioreactor using a sequential 3D CFD-elastostatics model", Medical Engineering & Physics 31 (2009) 420-427)によれば、流体速度が1mm/s以上になると、構造体表面に大きな剪断応力がかかり骨細胞の付着が困難であるため、骨が再生しないことが報告されている。従って、骨再生を促進するには、従来構造の空気球構造を有する人工骨は適さない。
【0036】
次に、図6に示すような、4種類の配位のロッド構造を有する多孔質人工骨について、同じく人工骨中を流れる生体液について流体シミュレーションを行った。図6の(a)は本実施の形態にかかる4配位ロッド構造、(b)、(c)、(d)は比較例であり、6配位、8配位、および12配位のロッド構造である。それぞれ、4配位、6配位、8配位、および12配位のロッド構造からなるユニットが、同一の向きに繰り返し配置された構造となっている。左の面が流体の流入面、右の面が流体の流出面であり、矢印の方向に流体が流れる。
【0037】
各構造は円柱形状のロッドを有し、その直径は400μmである。ロッドの長さは、構造の気孔率が、一般的な生体骨の気孔率である75%となるように、それぞれ調整されている。シミュレーション条件は、表1の条件を用いた。
【0038】
図7の(a)〜(d)は、図6の(a)〜(d)の各構造に対する流体シミュレーション結果の流跡線である。図7(b)に示すように、比較例の6配位構造(図6(b))では、流体速度を示すバー(図7の下方に表示)と比較すれば分かるように、全ての流体が速度1mm/s以上で、かつ直進している。これは、流体が構造体に流入してから流出するまでに、流体の移動方向に対して障害がないためである。
【0039】
また、図7(c)に示すように、比較例の8配位構造(図6(c))では、流体速度が1mm/s以上の部分が数箇所確認された。この原因として、流体に対して障害物であるロッドが非常に多く、構造体内部に広いスペースが少ないことが挙げられる。結果として、そのようなスペースに流体の流れが集中することにより、局所的に流速が大きい箇所が生じたと考えられる。
【0040】
図7(d)に示すように、比較例の12配位構造(図6(d))では、流跡線の多くは構造体への流入部付近で途切れている。この構造体では、8配位構造より更に多くのロッドが存在し、構造体内に広いスペースがほとんど存在しない。このため、流体の進入が困難な構造となっている。また、血液等の流体の粘性は非常に高いため、血液に対して構造体表面で進入方向とは逆方向へ大きな摩擦力がかかる。このため、流入口付近で流体の進入が妨げられる。
【0041】
これに対して、図7(a)に示すように、本実施の形態にかかる4配位構造(図6(a))では、不規則な流路線が形成されていることがわかる。このような不規則な流れは、流体が構造体内をくまなく流れるために不可欠である。また、流体の速度についても、1mm/s以上の部分は見られず、比較的均一な流速となっている。このような流路線となるのは、他の配位構造に比較して4配位構造ではロッド数が少ないために構造体内に広いスペースが存在し、流体が多方向に分かれて流れるためと考えられる。このように、4配位構造では、構造体全体に流体が流れるとともに、その速度も1mm/sより小さくて均一となり、骨細胞の付着に適した環境となっており、人工骨の足場材料として4配位構造が最適であることがわかる。
【0042】
次に、図8に、4配位ロッド構造(ロッドは円柱形状)を用いた場合の、アスペクト比と気孔率との関係を示す。ここでアスペクト比とは、ロッドの長さlをロッドの直径dで割った値(l/d)をいう。生体骨の気孔率は、図8中に帯で示したように、50%〜80%の範囲内で分布している。このため、多孔質人工骨においても、このような気孔率が分布した構造を作製する必要がある。図8より、アスペクト比を1.2〜2.0の範囲内で制御することにより、気孔率も53%〜80%の範囲内で制御できることがわかる。
【0043】
図9は、アスペクト比が1.2、1.4、1.6、1.8、および2.0の4配位ロッド構造を、一体化させた構造(CADモデル)である。一体化するために、全ての4配位ロッド構造の格子定数を、ロッド直径dが400μm、ロッド長さlが800μmで、アスペクト比が2.0であるユニット構造と格子定数を一致させた。これにより、生体骨の気孔率である約50%〜約80%の範囲内で気孔率を変化させた、気孔率傾斜型構造を得ることができる。
【0044】
図9では、左から気孔率80%(アスペクト比2.0(l/d=800μm/400μm))、気孔率76%(アスペクト比1.8(l/d=841μm/467μm))、気孔率71%(アスペクト比1.6(l/d=853μm/533μm))、気孔率63%(アスペクト比1.4(l/d=840μm/600μm))、および気孔率53%(アスペクト比1.2(l/d=800μm/666μm))の4配位ロッド構造が一体化されている。
【0045】
続いて、このような気孔率傾斜型構造の多孔質人工骨の作製について述べる。
図10は、気孔率傾斜型構造の多孔質人工骨の設計モデル(CADモデル)、図11は、光造形法を用いて形成したハイドロキシアパタイト(HAp)からなる造形体の顕微鏡写真である。図10の設計モデルと比較して、寸法誤差は50μm以内となっている。
【0046】
また、図12は、図4に示す条件で熱処理(脱脂処理および焼結処理)を行った気孔率傾斜型構造の多孔質人工骨の顕微鏡写真であり、下部にはロッドの直径が示されている。熱処理による線収縮率は、平面方向で23%、鉛直方向で25%となった。
【0047】
図13は、図12の構造について行った流体シミュレーションの結果である。流体の流れる方向は図6と同じであり、表1の条件を用いて解析を行った。図13より、不規則な流路線が形成され、流体が構造体内をくまなく流れていることがわかる。また、流体速度については、1mm/s以上の部分は見られず、比較的均一な流速となっていることがわかる(図13の下方のバー参照)。
【0048】
図13の流体シミュレーション結果から、気孔率傾斜型の4配位ロッド構造からなる多孔質人工骨では、血液等の生体液が全体に行き渡りやすく、骨細胞の付着による骨再生が全体に渡って行えることがわかる。このように、4配位ロッド構造を基本構造とし、気孔率を変化させた気孔率傾斜型構造の多孔質人工骨は、生体骨に似た特性を有し、特に骨再生の足場材料として使用することができる。
【0049】
なお、本発明の実施の形態では、ハイドロキシアパタイトの粒子と、アクリル系の光硬化性樹脂を混ぜて光造形材料を作製する場合を例に説明したが、上述のような他のリン酸カルシウム系材料や、当業者が選択しうる他の光硬化性樹脂を用いることも可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質人工骨に関し、特に、4配位ロッド構造のユニットを繰り返し配置した多孔質人工骨に関する。
【背景技術】
【0002】
疾患や外傷により生体骨に生じた欠損を補うために、ハイドロキシアパタイト製の人工骨が用いられている。かかる人工骨としては、人工骨の中を生体液が循環し、骨芽細胞が生着できる足場材料(スキャホールド)として、多孔質構造が用いられる。具体的には、ハイドロキシアパタイトの粉体に、直径が数百μmのプラスチックビーズを混合した後、焼結を行ってプラスチックビーズを消失させて、焼結体中に球体の気孔のネットワークを形成し、多孔質構造を得ている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】名井陽、山崎直美、玉井宣行、橋本伸之、村瀬剛、吉川秀樹、“セラミックス人工骨の進歩”、人工臓器 Vol.37 (2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の構造では、ハイドロキシアパタイトの粉体とプラスチックビーズとを混合した後、プラスチックビーズを消失させて気孔を形成していたため、気孔率の分布の制御はできなかった。このため、生体骨に近い、気孔率の分布が傾斜した人工骨の作製は不可能であった。
【0005】
また、一般に、生体骨の気孔率は50%〜80%であるが、従来の人工骨では、気孔率が60%を越えた場合、強度が大幅に低下するという問題があった。
【0006】
また、生体骨は柱状構造体の集合であり、球状の気孔を有する構造とは大きく異なるため、より実際の生体骨に近い構造が求められていた。
【0007】
更に、骨再生を行う場合、骨芽細胞を含む生体液が人工骨の気孔中を通り、骨芽細胞を人工骨に付着させる必要があるが、流体シミュレーションを行った結果、従来の球体の気孔を有する人工骨では、生体液の流路や速度にばらつきが生じ、部分的に骨芽細胞が人工骨に付着しないという問題があった。
【0008】
そこで本発明は、より生体骨に近い構造を備えた多孔質人工骨の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、正四面体の重心から各頂点に延びるように4本のロッドを配置した4配位ロッド構造のユニットを繰り返し配置した多孔質人工骨である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の多孔質人工骨では、より生体骨に近い構造の多孔質人工骨の提供が可能である。
【0011】
即ち、本発明の一の形態では、気孔率傾斜構造の多孔質人工骨の提供が可能である。また、他の形態では、50%〜80%の範囲内で気孔率を制御できる。また、他の形態では、柱状構造の人工骨の提供が可能になる。また、他の形態では、骨再生の足場材料に使用する人工骨を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態にかかる4配位ロッド構造の多孔質人工骨の概略図(CADモデル)である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる4配位ロッド構造の1つのユニットの概略図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかる多孔質人工骨の作製工程を示す概略図である。
【図4】本発明の実施の形態にかかる多孔質人工骨の作製に用いる脱脂処理工程と焼結処理工程の温度ダイヤグラムである。
【図5】従来技術にかかる空気球構造の多孔質人工骨の流体シミュレーション結果である。
【図6】流体シミュレーションに用いる4種類の配位のロッド構造を有する多孔質人工骨である。
【図7】4種類の配位のロッド構造を有する多孔質人工骨の流体シミュレーション結果である。
【図8】4配位ロッド構造の多孔質人工骨の、アスペクト比と気孔率との関係である。
【図9】アスペクト比が1.2、1.4、1.6、1.8、および2.0の4配位ロッド構造を一体化した構造(CADモデル)である。
【図10】気孔率傾斜型構造の多孔質人工骨の設計モデル(CADモデル)である。
【図11】光造形法を用いて形成したハイドロキシアパタイト(HAp)からなる造形体の顕微鏡写真である。
【図12】熱処理(脱脂処理および焼結処理)を行った気孔率傾斜型構造の多孔質人工骨の顕微鏡写真である。
【図13】気孔率傾斜型構造の多孔質人工骨の流体シミュレーション結果である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の実施の形態にかかる4配位ロッド構造の多孔質人工骨の概略図(CADモデル)である。図2は、図1の4配位ロッド構造の1つのユニットの概略図である。図1に示す多孔質人工骨は、図2に示す4配位ロッド構造のユニットが、同一方向に繰り返し接続された構造からなる。ここで「4配位」等の配位数は、ある1点(例えば、4配位の場合は正四面体の重心)を基準として、この点から各方向に延びるロッドの数を意味する。
【0014】
図2に示すように、4配位ロッド構造のユニットでは、正4面体の重心の位置oで接続された4つのロッドが、正四面体の各頂点a、b、c、dまで延びた構造を有する。ロッド間のなす角度θは、全て等しい。
【0015】
ロッドは、例えば、後述する光造形法を用いて形成したハイドロキシアパタイト(HAp)からなる。ロッドの材料としては、リン酸カルシウム系材料が好ましく、例えば、上述のハイドロキシアパタイトに代表されるアパタイト、α−第3リン酸カルシウム(α−TCP)、β−第3リン酸カルシウム(β−TCP)、リン酸4カルシウム(TTCP)、リン酸8カルシウム(OCP)、またはこれらの混合物が用いられる。
【0016】
ここでは、1つのユニットに含まれる4つのロッドは、同一形状で、円柱形状である場合について述べるが、形状の異なるロッドを用いたり、角柱等の他の形状のロッドを用いることも可能である。
【0017】
このような4配位ロッド構造を用いることにより、柱状構造体の集合であり生体骨に近い構造の人工骨が提供できる。また、このような4配位ロッド構造では、気孔率が60%を越える場合でも、十分な強度を有することができる。
【0018】
続いて、本発明の実施の形態にかかる多孔質人工骨の作製方法について説明する。図3は、本発明の実施の形態にかかる多孔質人工骨の作製工程を示す概略図である。多孔質人工骨の作製には、光造形装置(株式会社ディーメック製)を用いる。
【0019】
多孔質人工骨の作製に先立って、まず、図1に示すような多孔質人工骨の立体構造を、CADソフトウエア(マテリアライズ社製:Magics)を用いて設計する。そして、図3の左図に示すように、多孔質人工骨の立体構造を、高さ方向に対して一定間隔(例えば10μm〜100μm)にスライスし、2次元断面データ(スライスデータ)を得る。
【0020】
次に、多孔質人工骨の作製に用いる光造形材料を作製する。光造形材料は、粒径10μmのハイドロキシアパタイトの粒子40vol%を、アクリル系の光硬化性樹脂に混ぜて作製する。これによりスラリー状の光造形材料が得られる。
【0021】
次に、図3の右図に示すように、光造形装置の造形ステージ上に、スラリー状の光造形材料を塗布し、ナイフエッジを用いて表面を平坦にする。光造形材料の厚さは、スライスデータに合わせて、10μm〜100μmの範囲から選択される。
【0022】
次に、2次元断面データに基づいて、紫外線レーザ光のスキャンを行う。紫外線レーザ光は、例えば波長が355nmでスポット径が100μmである。紫外線レーザ光が照射された部分の光造形材料は硬化する。
【0023】
次に、造形ステージを1層分の距離だけ降下させた後、紫外線レーザ光でスキャンした光造形材料の上に、新たな光造形材料を塗布し、2次元断面データに基づいて紫外線レーザ光のスキャンを行う。かかる工程を2次元断面データの全てについて順次行うことで、未硬化のスラリー中に3次元硬化構造体が含まれた構造が得られる。
【0024】
次に、造形ステージから光造形材料を外し、例えばエタノール中で超音波洗浄を行う。これにより、未硬化のスラリーが除去されて3次元硬化構造体が残る。
【0025】
次に、大気中で600℃に昇温し、2時間保持することにより、3次元硬化構造体の脱脂処理を行う。
【0026】
次に、同じく大気中で1100℃〜1300℃、好ましくは1250℃に昇温し、2時間保持することにより、3次元硬化構造体の焼結を行う。図4は、脱脂処理工程と焼結処理工程の温度ダイヤグラムである。
【0027】
以上の工程で、図1に示すCADモデルに基づく4配位ロッド構造の多孔質人工骨が得られる。
【0028】
続いて、人工骨中の生体液の流れについて流体シミュレーションを行い、従来構造の多孔質人工骨、4配位以外の配位数を有するロッド構造の多孔質人工骨のシミュレーション結果を、本実施の形態にかかる4配位ロッド構造の多孔質人工骨のシミュレーション結果と比較する。
【0029】
図5は、従来構造にかかる、球状の気孔を有する空気球構造の多孔質人工骨の流体シミュレーション結果である。解析モデルとして、(a)直径150μmの空気球からなる格子定数160μmの反転型体心立方構造、および(b)直径150μmの空気球からなる格子定数200μmの反転型面心立方構造を用いた。図5において、(a)、(b)中に描かれた円がそれぞれの空気球を表し、円と円の交わり部分にある楕円が空気球同士の接続部(連通孔)を示す。(a)、(b)双方の構造の気孔率は約75%である。
【0030】
流体シミュレーションの解析条件を以下の表1に示す。この解析条件は、多孔質人工骨の流体シミュレーションに一般に用いられるものである。
【0031】
表1
【0032】
図5において、(a)は反転型体心立方構造における流跡線(ある流体粒子がたどる道筋)であり、(b)は反転型面心立方構造における流跡線である。図5(a)(b)から、双方の構造において、空気球からなる気孔中に流入した流体は、流入時の連通孔と同じ高さにある連通孔だけにしか流出しないことがわかる。これは、双方の構造で、流入面に垂直な方向から見た場合、全ての連通孔において、流入面から流出面までの間に障害物が存在しないためである。
【0033】
換言すれば、流体がほとんど通らない気孔部分が発生し、そのような気孔部分では、生体液中の骨芽細胞が人工骨に付着しなくなる。
【0034】
また、図5の下方の、流体速度を示すバーと比較すれば分かるように、双方の構造で、流体速度が1mm/s以上の、局所的に流速の速い部分が存在することがわかる。これは、流体は必ず連通孔を通って流出面へ進むため、連通孔に流れが集中し、流速が速くなるためと思われる。
【0035】
Jungreuthmayer 氏らの研究(C.Jungreuthmayer, M.J. Jaasma, A.A. Al-Munajjed, J. Zanghellini, D.J. Kelly, F.J.O’Brien, "Deformation simulation of cells seeded on a collagen-GAG scaffold in a flow perfusion bioreactor using a sequential 3D CFD-elastostatics model", Medical Engineering & Physics 31 (2009) 420-427)によれば、流体速度が1mm/s以上になると、構造体表面に大きな剪断応力がかかり骨細胞の付着が困難であるため、骨が再生しないことが報告されている。従って、骨再生を促進するには、従来構造の空気球構造を有する人工骨は適さない。
【0036】
次に、図6に示すような、4種類の配位のロッド構造を有する多孔質人工骨について、同じく人工骨中を流れる生体液について流体シミュレーションを行った。図6の(a)は本実施の形態にかかる4配位ロッド構造、(b)、(c)、(d)は比較例であり、6配位、8配位、および12配位のロッド構造である。それぞれ、4配位、6配位、8配位、および12配位のロッド構造からなるユニットが、同一の向きに繰り返し配置された構造となっている。左の面が流体の流入面、右の面が流体の流出面であり、矢印の方向に流体が流れる。
【0037】
各構造は円柱形状のロッドを有し、その直径は400μmである。ロッドの長さは、構造の気孔率が、一般的な生体骨の気孔率である75%となるように、それぞれ調整されている。シミュレーション条件は、表1の条件を用いた。
【0038】
図7の(a)〜(d)は、図6の(a)〜(d)の各構造に対する流体シミュレーション結果の流跡線である。図7(b)に示すように、比較例の6配位構造(図6(b))では、流体速度を示すバー(図7の下方に表示)と比較すれば分かるように、全ての流体が速度1mm/s以上で、かつ直進している。これは、流体が構造体に流入してから流出するまでに、流体の移動方向に対して障害がないためである。
【0039】
また、図7(c)に示すように、比較例の8配位構造(図6(c))では、流体速度が1mm/s以上の部分が数箇所確認された。この原因として、流体に対して障害物であるロッドが非常に多く、構造体内部に広いスペースが少ないことが挙げられる。結果として、そのようなスペースに流体の流れが集中することにより、局所的に流速が大きい箇所が生じたと考えられる。
【0040】
図7(d)に示すように、比較例の12配位構造(図6(d))では、流跡線の多くは構造体への流入部付近で途切れている。この構造体では、8配位構造より更に多くのロッドが存在し、構造体内に広いスペースがほとんど存在しない。このため、流体の進入が困難な構造となっている。また、血液等の流体の粘性は非常に高いため、血液に対して構造体表面で進入方向とは逆方向へ大きな摩擦力がかかる。このため、流入口付近で流体の進入が妨げられる。
【0041】
これに対して、図7(a)に示すように、本実施の形態にかかる4配位構造(図6(a))では、不規則な流路線が形成されていることがわかる。このような不規則な流れは、流体が構造体内をくまなく流れるために不可欠である。また、流体の速度についても、1mm/s以上の部分は見られず、比較的均一な流速となっている。このような流路線となるのは、他の配位構造に比較して4配位構造ではロッド数が少ないために構造体内に広いスペースが存在し、流体が多方向に分かれて流れるためと考えられる。このように、4配位構造では、構造体全体に流体が流れるとともに、その速度も1mm/sより小さくて均一となり、骨細胞の付着に適した環境となっており、人工骨の足場材料として4配位構造が最適であることがわかる。
【0042】
次に、図8に、4配位ロッド構造(ロッドは円柱形状)を用いた場合の、アスペクト比と気孔率との関係を示す。ここでアスペクト比とは、ロッドの長さlをロッドの直径dで割った値(l/d)をいう。生体骨の気孔率は、図8中に帯で示したように、50%〜80%の範囲内で分布している。このため、多孔質人工骨においても、このような気孔率が分布した構造を作製する必要がある。図8より、アスペクト比を1.2〜2.0の範囲内で制御することにより、気孔率も53%〜80%の範囲内で制御できることがわかる。
【0043】
図9は、アスペクト比が1.2、1.4、1.6、1.8、および2.0の4配位ロッド構造を、一体化させた構造(CADモデル)である。一体化するために、全ての4配位ロッド構造の格子定数を、ロッド直径dが400μm、ロッド長さlが800μmで、アスペクト比が2.0であるユニット構造と格子定数を一致させた。これにより、生体骨の気孔率である約50%〜約80%の範囲内で気孔率を変化させた、気孔率傾斜型構造を得ることができる。
【0044】
図9では、左から気孔率80%(アスペクト比2.0(l/d=800μm/400μm))、気孔率76%(アスペクト比1.8(l/d=841μm/467μm))、気孔率71%(アスペクト比1.6(l/d=853μm/533μm))、気孔率63%(アスペクト比1.4(l/d=840μm/600μm))、および気孔率53%(アスペクト比1.2(l/d=800μm/666μm))の4配位ロッド構造が一体化されている。
【0045】
続いて、このような気孔率傾斜型構造の多孔質人工骨の作製について述べる。
図10は、気孔率傾斜型構造の多孔質人工骨の設計モデル(CADモデル)、図11は、光造形法を用いて形成したハイドロキシアパタイト(HAp)からなる造形体の顕微鏡写真である。図10の設計モデルと比較して、寸法誤差は50μm以内となっている。
【0046】
また、図12は、図4に示す条件で熱処理(脱脂処理および焼結処理)を行った気孔率傾斜型構造の多孔質人工骨の顕微鏡写真であり、下部にはロッドの直径が示されている。熱処理による線収縮率は、平面方向で23%、鉛直方向で25%となった。
【0047】
図13は、図12の構造について行った流体シミュレーションの結果である。流体の流れる方向は図6と同じであり、表1の条件を用いて解析を行った。図13より、不規則な流路線が形成され、流体が構造体内をくまなく流れていることがわかる。また、流体速度については、1mm/s以上の部分は見られず、比較的均一な流速となっていることがわかる(図13の下方のバー参照)。
【0048】
図13の流体シミュレーション結果から、気孔率傾斜型の4配位ロッド構造からなる多孔質人工骨では、血液等の生体液が全体に行き渡りやすく、骨細胞の付着による骨再生が全体に渡って行えることがわかる。このように、4配位ロッド構造を基本構造とし、気孔率を変化させた気孔率傾斜型構造の多孔質人工骨は、生体骨に似た特性を有し、特に骨再生の足場材料として使用することができる。
【0049】
なお、本発明の実施の形態では、ハイドロキシアパタイトの粒子と、アクリル系の光硬化性樹脂を混ぜて光造形材料を作製する場合を例に説明したが、上述のような他のリン酸カルシウム系材料や、当業者が選択しうる他の光硬化性樹脂を用いることも可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正四面体の重心から各頂点に延びるように4本のロッドを配置した4配位ロッド構造のユニットを繰り返し配置した多孔質人工骨。
【請求項2】
同一ユニットに含まれる4つのロッドが、同一形状であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質人工骨。
【請求項3】
ロッドが、円柱形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の多孔質人工骨。
【請求項4】
ロッドの直径が、400μm〜670μmであることを特徴とする請求項3に記載の多孔質人工骨。
【請求項5】
ロッドの長さが、800μm〜860μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の多孔質人工骨。
【請求項6】
ロッドのアスペクト比が、1.2〜2.0であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の多孔質人工骨。
【請求項7】
ロッドが、アパタイト、α−第3リン酸カルシウム(α−TCP)、β−第3リン酸カルシウム(β−TCP)、リン酸4カルシウム(TTCP)、リン酸8カルシウム(OCP)、またはこれらの混合物からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の多孔質人工骨。
【請求項8】
第1のユニットと第2のユニットとを含む多孔質人工骨において、第1のユニットの気孔率と第2のユニットの気孔率が異なることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の多孔質人工骨。
【請求項9】
第1および第2のユニットの気孔率が、50%〜80%の範囲内にあることを特徴とする請求項8に記載の多孔質人工骨。
【請求項1】
正四面体の重心から各頂点に延びるように4本のロッドを配置した4配位ロッド構造のユニットを繰り返し配置した多孔質人工骨。
【請求項2】
同一ユニットに含まれる4つのロッドが、同一形状であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質人工骨。
【請求項3】
ロッドが、円柱形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の多孔質人工骨。
【請求項4】
ロッドの直径が、400μm〜670μmであることを特徴とする請求項3に記載の多孔質人工骨。
【請求項5】
ロッドの長さが、800μm〜860μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の多孔質人工骨。
【請求項6】
ロッドのアスペクト比が、1.2〜2.0であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の多孔質人工骨。
【請求項7】
ロッドが、アパタイト、α−第3リン酸カルシウム(α−TCP)、β−第3リン酸カルシウム(β−TCP)、リン酸4カルシウム(TTCP)、リン酸8カルシウム(OCP)、またはこれらの混合物からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の多孔質人工骨。
【請求項8】
第1のユニットと第2のユニットとを含む多孔質人工骨において、第1のユニットの気孔率と第2のユニットの気孔率が異なることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の多孔質人工骨。
【請求項9】
第1および第2のユニットの気孔率が、50%〜80%の範囲内にあることを特徴とする請求項8に記載の多孔質人工骨。
【図2】
【図4】
【図1】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図4】
【図1】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−232023(P2012−232023A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103701(P2011−103701)
【出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 研究集会名 平成22年度修士論文発表会 主催者 国立大学法人大阪大学 開催日時 平成23年2月23日
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【出願人】(507178785)Bionic株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 研究集会名 平成22年度修士論文発表会 主催者 国立大学法人大阪大学 開催日時 平成23年2月23日
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【出願人】(507178785)Bionic株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
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