説明

大気汚染制御

【課題】容易に入手できる試薬、技術、及び装置を使用してその種の汚染物質を除去するための改良したプロセスを提供することによって燃焼ガス中の水銀、更に言えば、他の重金属の問題を処理する。
【解決手段】大気汚染を制御するための方法において、燃焼ガスが硫化アルカリ土類金属とレドックス緩衝液(例えば、リン酸塩)のスラリを通過し、アルカリ土類炭酸化合物、及び/又は水酸化物と組み合わせることが好ましい。燃焼ガスから重金属を除去するための組成も、硫化アルカリ土類金属のエアロゾル化された水性分散体、又はスラリと緩衝液として提供される。大気汚染制御プロセスの固体残留物も記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は大気汚染制御技術に向けられ、特に、燃焼ガスからの水銀と他の汚染物質を減少させるための技術に向けられる。
【背景技術】
【0002】
一般に、焼却炉、発電所、及び石炭を燃料とする炉からの燃焼ガスは、硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、及び水銀のような揮発性重金属を含有する。石炭中の典型的な水銀濃度は、0.05〜0.25mg/Kgである。燃焼すると直ぐ、水銀は蒸発して燃焼排気ガスに搬入される。
【0003】
水銀は、人間と環境に対して深刻な問題を提出する。最近、 MSNBC.com は、水銀汚染を減少させることにより、米国南東部だけで1年で最高20億ドル節約できると報じた。石炭焚き発電所は、水銀の単一で最大の放出源であり、全体の40%を占める。石炭焚き焼却器が、他の10%を占める。
【0004】
SOx、NOx、及び水銀の放出を制御する従来の努力は、排気ガスに投与された噴射スプレーとして炭酸カルシウムと活性炭の散布を使用すること、及び/又は排気ガスに洗浄集塵塔を通過させてSOx放出とNOx放出を中和し、揮発性水銀を吸収することを含んできた。スクラビング手順に続いて、大気へのガスの放出前に、排気ガスに搬入される固体が静電集塵器によって回収できる。一般に、ガスに囲まれた塵を凝縮するのに使用されるスクラビングと静電集塵器の組み合わせは、ガスで運ばれる水銀の50%〜85%を除去できる。
【0005】
水銀放出を制御するための他の努力は、例えば、多硫化ナトリウム溶液、特に四硫化ナトリウム溶液のような硫化アルカリ金属を利用してきた。例えば、米国特許第6,214,304号、及び Babcock Power Environmental 社の技術刊行物『「Multi-Pollutant Emissions Control & Strategies, Coal-Fired Power Plant Mercury Control by Injecting Sodium Tetrasulfide」 Licata A, Beittel R, Ake T, ICAC Forum, Nashville, TN. Oct. 14-15 2003』を参照のこと。
【0006】
水銀は硫化水銀に変換され、硫化水銀は塵分離器を介して沈殿する。このプロセスは、熱の同時付加に付随して硫化アルカリ金属溶液が煙道ガスに導入されることを必要とする。元素水銀がその酸化された形態に変換され、試薬が元素水銀と更に容易に反応できるように、このプロセスは、例えば、塩素含有化合物のような酸化剤の燃焼中の石炭、又はコークスへの付加と組み合わせて使用できる。このプロセスは、それが温度クリティカルである点、及び石炭原料の中での酸化剤の使用がシステム内部の腐食を増加させる点で不利である。加えて、硫化水銀がpH、又がレドックス誘導反応に安定化されないので、沈殿した硫化水銀を黒、又はβ−結晶の形態で含有するプロセス残留物は容易に酸化でき、それにより、増加した生物学的利用率に対するポテンシャルによって、硫化水銀が水中で再酸化及び再可溶化されやすくする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,214,304号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「Multi-Pollutant Emissions Control & Strategies, Coal-Fired Power Plant Mercury Control by Injecting Sodium Tetrasulfide」 Licata A, Beittel R, Ake T, ICAC Forum, Nashville, TN. Oct. 14-15 2003
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、容易に入手できる試薬、技術、及び装置を使用してその種の汚染物質を除去するための改良したプロセスを提供することによって燃焼ガス中の水銀、更に言えば、他の重金属の問題を処理する。試薬、技術、及び装置は、従来の燃焼ガススクラバ、例えば、煙道ガス脱硫(FGD)スクラバと一緒に、又は中で使用できる。本発明の第1側面によると、燃焼ガスは硫化アルカリ土類金属と緩衝液の混合物と接触することを許容され、緩衝液はリン酸、リン酸塩、アルカリ土類金属を基剤とするpH緩衝液、及びそれらの混合物から成る群から選択された1つであることが好ましい。好都合なことに、本発明の1実施例では、緩衝液がアルカリ土類金属pH緩衝液(例えば、炭酸カルシウム)、及び硫化水銀沈殿物を安定化できるレドックス緩衝液(例えば、重過リン酸石灰)を含む。試薬の混合物は水性分散体、又はスラリとして形成でき、エアロゾルとして、繊維性フィルタ、又は静電集塵器(ESP)のような微粒子除去装置の下流であることが好ましい燃焼ガス流へ導入できる。
【0010】
本発明の第2側面では、燃焼ガスから水銀、又は他の重金属を除去するための組成が提供され、硫化アルカリ土類金属のエアロゾル化された水性分散体、又はスラリと緩衝液、例えば、硫化アルカリ土類金属のエアロゾル化された20−50%のw/w固体分散体と緩衝液を含む。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1側面によると、大気汚染を制御する方法は、燃焼ガスが硫化アルカリ土類金属と緩衝液の混合物に接触することを許容することを含む。緩衝液は、リン酸、リン酸塩、アルカリ土類金属を基剤とするpH緩衝液、及びそれらの混合物から成る群から選択されることが好ましい。硫化アルカリ土類金属、及び(汚染除去剤と総称されることもある)緩衝液は、エアロゾルとして燃焼ガスへ導入され、水銀、及び/又は他の重金属と反応してその除去を容易にする。
【0012】
硫化アルカリ土類金属の限定しない実施例は、硫化カルシウム、硫化マグネシウム、硫化カルシウムのアダクト、硫化マグネシウムのアダクト、混合された硫化カルシウム−マグネシウム、及びそれらの混合物を含む。
【0013】
アルカリ土類金属を基剤とするpH緩衝液の限定しない実施例は、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、混合された炭酸カルシウム−マグネシウム、混合された水酸化カルシウム−マグネシウム、混合されたリン酸カルシウム−マグネシウム、重過リン酸石灰、アパタイト、及びそれらの混合物を含む。(trisuperphosphate 、TSP、及び過リン酸塩としても既知の)重過リン酸石灰は、モノカルシウム・リン酸塩水和物(CaH2PO42・H2O)(CAS No. 65996-95-4))が優位を占める。
【0014】
好ましい実施例では、緩衝液は、後続の酸化還元反応及び/又は水への溶解(再可溶化)に対して硫化水銀沈殿物を安定化できる少なくとも1つのレドックス緩衝液を含む。その種のレドックス緩衝液の限定しない実施例は、リン酸、リン酸塩、及びそれらの混合物を含む。緩衝液は、少なくとも1つのアルカリ土類金属を基剤とする化合物、及び少なくとも1つのレドックス緩衝液を含むことが好ましいことを銘記する。
【0015】
アルカリ土類炭酸化合物、水酸化物、リン酸塩、及び類似の材料は、酸性ガス流の内部でpH緩衝液のように作用し、試薬混合物に安定性を与える。
【0016】
リン酸、及び/又はその塩類(例えば、リン酸塩)はレドックス緩衝液として利用され、最後の沈殿した硫化水銀の安定性を保証する。加えて、硫化アルカリ土類金属によって更に容易に促進できるように、リン酸塩は適度な酸として作用し、燃焼ガス中に元素として存在する水銀を酸化させる。また、リン酸塩は、腐食防止剤である利点も有する。対照的に、元素水銀の酸化を容易にするために石炭供給材料添加剤として現在利用されている塩化カルシウム剤は、プラント腐食のリスクを増加させ得る。
【0017】
リン酸塩は、pH緩衝液とレドックス緩衝液の両方の機能を果たせる。
【0018】
本発明の実施に使用される試薬の混合物の多数の一般的及び特定の実施例が、提供される。一般的な実施例では、試薬の混合物は、硫化アルカリ土類金属、及び緩衝液を含む。僅かに一般的でない実施例では、試薬の混合物は、硫化アルカリ土類金属、アルカリ土類金属pH緩衝液、及びレドックス緩衝液を含む。少し一般的でない実施例では、試薬の混合物は、硫化アルカリ土類金属、アルカリ土類炭酸化合物、及びリン酸塩を含む。更に特定の実施例では、緩衝液は、重過リン酸石灰、及び少なくとも1つのアルカリ土類炭酸化合物、又は水酸化物(例えば、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、等)を含む。他の実施例では、試薬の混合物は、硫化カルシウム、重過リン酸石灰、及び炭酸カルシウムの混合物を含む。更に、本発明の1実施例では、試薬の混合物は、硫化カルシウム、重過リン酸石灰、及び炭酸カルシウムを含み、重量(w/w)で相対量にして3:1:2で各々が存在する。その種の混合物は、 Solucorp Industries 社(West Nyack, ニューヨーク州)からMBS2.1(登録商標)として購入できる。
【0019】
試薬の混合物は、水中で最終的に分割された粒子の水性分散体、又はスラリとして提供でき、エアロゾル、若しくはスプレーとして、又は他の便利な方法で投与できる(燃焼ガスへ導入される)。分散体、又はスラリは、少量(1000分の1)の分散体を、好ましくはハイパー分散体を、更に好ましくは Noveon Specialty Additives, Noveon Division, Lubrizol 社, Blackley, マンチェスタ M9 8ZS, 英国からの「Solsperse」アダクトのような高分子ハイパー分散体を含むことが好都合であり好ましい。特定の実施例は、「SolPlus D540」である。固体分散体は、ビード・ミーリングによって準備できる。
【0020】
試薬の分散体、又はスラリは、特定の大気汚染制御装置、又は湿式スクラバ、若しくは乾式スクラバのような特定の型の装置で使用するのに適切な濃度で提供される。例えば、乾式FGD型スクラバが利用される場合、硫化アルカリ土類金属と緩衝液の混合物は20−50%のw/w固体分散体を含むことができ、分散体はノズルから燃焼ガス流の内部へ吹き込むことができる。乾式スクラバでは、低濃度分散体、又はスラリ、例えば、硫化アルカリ土類金属の20%のw/wスラリと緩衝液、が適切であり、回転噴霧器を介して適用される。乾式スクラビング・システムに対して、典型的な粒子サイズ(固体)は、おおよそ325メッシュ(例えば、約45マイクロメートル)より小さい。湿式スクラビング・システムに対して、200メッシュ(例えば、約75マイクロメートル)より大きい更に大きな粒子が受入可能である。
【0021】
図1は、FGDプロセスでの使用、及び本発明の実施に対して適切な湿式スクラバ10の1実施例を示す。硫化アルカリ土類金属、及び緩衝液を含む試薬の混合物は添加剤供給タンク12の中に存在し、グラウンド・ライム(ground lime)及び/又は石灰岩を有するか有さない。試薬の混合物は、湿式スクラバの水溜14へ弁Cを介して導入される。塔16の中のスプレーは弁Aを介して制御され、上方へ流れる燃焼ガス、繊維性フィルタ、又は静電集塵器(ESP)のような微粒子除去装置の下流と適合するように調節される。反応タンク18のpHは、おおよそpH6〜8に維持される。反応は硫化物の内容物に対してモニタされ、これが効率レベルより下に下がるとき、反応タンクは排水移動タンク20へ弁Bを介して排水し、スラリが脱水される(濃くされる)。排水された水は、プロセス中でリサイクルされる。濃縮されたスラリは圧搾フィルタ又は回転真空フィルタ(図示されない)へ弁Hを介して移動させられ、乾燥した固体が販売又は廃棄のために梱包される。反応タンクは再充填され、プロセスが再開する。単一のスクラバは孤立して動作できるが、3〜6個の湿式スクラバのバンクが並列に動作することが更に好ましい。複数の湿式スクラバは既存の石膏製造ユニットと関連して使用されるか、前処理として1又は複数の石膏製造ユニットの上流で動作する。
【0022】
大気汚染制御のためのスクラバは周知である。その種のスクラバの限定しない実施例は、 Babcock and Wilcox 社(McDermott International 社の子会社)によって販売される湿式煙道ガス脱硫(FGD)スクラバである。スクラバは試薬を導入するためのスプレー・レベルを有し、少なくとも1つのノズル、即ち、スラリ・スプレーノズルを含む。
【0023】
図2は、本発明の実施で使用するのに適切な乾式スクラバ50の1実施例を示す。試薬の混合物は、乾式スクラバに20%のw/wスラリとして回転噴霧器52を介して導入される。スクラバ54のための形状は、燃焼ガスとの試薬エアロゾルの湿った接触時間を最大にするようなものであるべきであり、バッグハウス濾過システムを見えなくしないように、乾燥したエアロゾルがバッグハウス56の内部まで乾燥形態で通過することを可能にする。乾燥した反応生成物が、リサイクル又は販売のために回収される。
【0024】
湿式スクラビング・システムと乾式スクラビング・システムの両方で、燃焼ガス中に存在する水銀は固体硫化水銀沈殿物に変換され、それによって排気ガスから分離される。理論によって制限されない限り、燃焼ガスがスクラバを通過するときに、本発明は水銀の95%以上の回収を容易にすると考えられる。好都合なことに、水銀を含有するプロセス残留物は固体であり、実質的に不溶性であって、緩衝液が酸化と再可溶化をもたらす酸化還元反応を抑制するために作用するときに、再可溶化に対して安定化されると考えられる。
【0025】
当然のことながら、水銀に加えて、燃焼ガス中に存在する他の重金属が、本発明の実施を通して回収可能であるべきである。重金属の大部分が、硫化金属沈殿物を形成する。これらは、リン酸塩、又は汚染除去剤中に存在する類似の緩衝液にさらした結果としての後続の酸化、及び再可溶化に対して安定化されるべきであり、鉛、及び他の重金属が水安定形態で回収されることを可能にする。
【0026】
更に当然のことながら、銀、及び他の金属が燃焼ガスから本発明によって回収されることは、SOxガス及びNOxガスを燃焼ガスから除去するための既存の大気汚染制御装置及び方法と互換である。
【0027】
上記の大気汚染制御プロセスに加えて、本発明は湿式スクラバ、及び乾式スクラバと一緒に使用するための汚染除去剤も提供する。本発明のこの側面によると、燃焼ガスから水銀、又は他の重金属を除去するための組成は、硫化アルカリ土類金属のエアロゾル化された水性分散体、又はスラリ、及び緩衝液を含み、これら各用語は上に記載されている。1実施例では、エアロゾル化された分散体、又はスラリは、硫化アルカリ土類金属の20−50%のw/w固体分散体、及び緩衝液を含む。エアロゾルは、従来の方法で、例えば、スプレーノズル、回転噴霧器、又は他の適切な装置を使用して形成される。
【0028】
ここに記載される大気汚染制御方法、及び組成は、温度クリティカルではないこと、水銀、更に言えば他の重金属とイオン形態と元素形態の両方で室温における反応を容易に促進することという長所を有する。対照的に、それらのアルカリ性だけによって反応する基本的薬剤は、元素水銀と反応できず、蒸気から元素水銀を除去できない。硫化ナトリウムを利用するプロセスは温度クリティカルであり、それらの有効性は高温の適用を必要とする。
【0029】
硫化アルカリ土類金属の使用は、重要である。本質的に不溶性で固体の形態なので、硫化アルカリ土類金属は硫化アルカリ化合物より悪臭が少なく、それによって取り扱いを容易にし、多硫化ナトリウム、及び四硫化ナトリウムのような硫化アルカリ化合物によって直面する分解酸化の影響を受けにくい。
【0030】
汚染除去剤の内部におけるアルカリ土類炭酸化合物、水酸化物、及び/又は類似の化合物の存在は、硫化アルカリ土類金属を煙道ガスの内部の酸性化合物との不都合な酸化相互作用から守る。従って、未反応の硫化アルカリ土類金属は、分解酸化残留物によって薄められず、リサイクルすることができ、硫化水素ガスの発生が最小化される。
【0031】
加えて、プロセス残留物は固体で、不溶性で、安定化される(Molecular Bonding Systems SITE Report EPA/540/R-97/507 を参照)。プロセス残留物は、レドックス緩衝液、例えば、 trisuperphosphate 、又はリン酸カルシウムの補助によって、この形態に維持される。従って、付加的な長所、及び本発明の1側面は、プロセス残留物が無害の廃棄物として廃棄されるか、或いは、石膏ボード、セメント、及びセメント・ブロックのような建築資材の製造のための無害の原材料として供給されるように、スクラバから回収された副産物、及び集塵器が安定しており非浸出性形態であることである。従って、本発明は、ここに記載される大気汚染制御方法の副産物として生成された固体残留物も提供し、上記の特定の並べ替えを含む。
【0032】
1実施例では、残留物は固体で実質的に水に不溶性の水銀を含有する材料として提供され、水銀を実質的に非浸出形態で含み、水銀を含有する燃焼ガスが硫化アルカリ土類金属と緩衝液の混合物と接触することを許容される大気汚染制御プロセスの副産物として生成された無機マトリックスを含む。対照的に、多硫化ナトリウム、及び四硫化ナトリウム・スクラビングからのプロセス残留物は安定化されず、多量の硫酸塩、亜硫酸塩、及びチオ硫酸塩を含み、それによって廃棄物廃棄問題を引き起こすという点を実質的に解決できる。
【0033】
本発明が種々の典型的な好ましい実施例という形で記載されたが、それに限定されるものではない。種々の変更が本発明から逸脱することなく可能であり、本発明の範囲は添付の請求項、及びそれらの等価物によって限定される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の1実施例によって燃焼ガスから水銀を除去するための湿式スクラバの略図である。
【図2】本発明の1実施例によって燃焼ガスから水銀を除去するための乾式スクラバの略図である。
【符号の説明】
【0035】
10 湿式スクラバ
12 添加剤供給タンク
14 水溜
16 スプレー塔
18 反応タンク
20 排水移動タンク
50 乾式スクラバ
52 回転噴霧器
54 スクラバ
56 バッグハウス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気汚染を制御するための方法であって、
燃焼ガスが、硫化アルカリ土類金属とリン酸、リン酸塩、アルカリ土類金属を基剤とするpH緩衝液、及びそれらの混合物から成る群から選択された緩衝液の混合物と接触することを許容されることを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記硫化アルカリ土類金属が、硫化カルシウム、硫化マグネシウム、硫化カルシウムのアダクト、硫化マグネシウムのアダクト、混合された硫化カルシウム−マグネシウム、及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記緩衝液が、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、混合された炭酸カルシウム−マグネシウム、混合された水酸化カルシウム−マグネシウム、混合されたリン酸カルシウム−マグネシウム、重過リン酸石灰、アパタイト、及びそれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1つのアルカリ土類金属を基剤とするpH緩衝液を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記緩衝液が、水への再可溶化に対して硫化水銀沈殿物を安定化できる少なくとも1つのレドックス緩衝液を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのレドックス緩衝液がリン酸、又はリン酸塩を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記緩衝液が、重過リン酸石灰、及び少なくとも1つのアルカリ土類炭酸化合物、又は水酸化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
硫化アルカリ土類金属と緩衝液の前記混合物が、水性分散体、又はスラリを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記水性分散体、又はスラリがハイパー分散体を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ハイパー分散体が高分子である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
硫化アルカリ土類金属と緩衝液の前記混合物が、硫化カルシウム、重過リン酸石灰、及び炭酸カルシウムの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記硫化カルシウム、重過リン酸石灰、及び炭酸カルシウムが重量で相対量にして3:1:2で各々が存在する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
硫化アルカリ土類金属と緩衝液の前記混合物が、20−50%のw/w固体分散体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記固体分散体がビード・ミーリングによって準備される、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記燃焼ガスが焼却炉、又は発電所によって生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記燃焼ガスが、石炭焚き焼却器によって生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
大気汚染を制御するための方法であって、
燃焼ガスが、硫化アルカリ土類金属とリン酸、リン酸塩、及びそれらの混合物から成る群から選択される緩衝液の混合物と接触することを許容されることを含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
大気汚染を制御するための方法であって、
燃焼ガスが、硫化アルカリ土類金属、アルカリ土類炭酸化合物、及びリン酸塩を含む水性分散体、又はスラリと接触することを許容されることを含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
前記硫化アルカリ土類金属が硫化カルシウムを含み、前記アルカリ土類炭酸化合物が炭酸カルシウムを含み、前記リン酸塩が重過リン酸石灰を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
大気汚染を制御するための方法であって、
硫化アルカリ土類金属と緩衝液の混合物を燃焼ガスの内部へ湿式スクラバ、又は乾式スクラバの中で導入することを含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
前記緩衝液が、リン酸、リン酸塩、アルカリ土類金属を基剤とするpH緩衝液、及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記硫化アルカリ土類金属が、硫化カルシウム、硫化マグネシウム、硫化カルシウムのアダクト、硫化マグネシウムのアダクト、混合された硫化カルシウム−マグネシウム、及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記緩衝液が、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、混合された炭酸カルシウム−マグネシウム、混合された水酸化カルシウム−マグネシウム、混合されたリン酸カルシウム−マグネシウム、重過リン酸石灰、アパタイト、及びそれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1つのアルカリ土類金属を基剤とするpH緩衝液を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記緩衝液が、水への再可溶化に対して硫化水銀沈殿物を安定化できる少なくとも1つのレドックス緩衝液を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
水への再可溶化に対して硫化水銀沈殿物を安定化できる前記少なくとも1つのレドックス緩衝液が、リン酸、又はリン酸塩を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
硫化アルカリ土類金属と緩衝液の前記混合物が、1又は複数のスプレーノズルを通して導入される、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
燃焼ガスから重金属を除去するための組成であって、
硫化アルカリ土類金属のエアロゾル化された水性分散体、又はスラリと緩衝液を含むことを特徴とする組成。
【請求項27】
前記エアロゾル化された分散体、又はスラリが、硫化アルカリ土類金属の20−50%のw/w固体分散体と緩衝液を含む、請求項26に記載の組成。
【請求項28】
前記エアロゾル化された分散体、又はスラリが、スプレーノズル、又は回転噴霧器を使用して形成される、請求項26に記載の組成。
【請求項29】
固体残留物が副産物として生成される、請求項1、16、17、19の何れか1つに記載の方法。
【請求項30】
固体で実質的に水に不溶性の水銀を含有する材料であって、
水銀を実質的に非浸出形態で含み、水銀を含有する燃焼ガスが硫化アルカリ土類金属と緩衝液の混合物と接触することを許容される大気汚染制御プロセスの副産物として生成された無機マトリックスを含むことを特徴とする材料。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−212678(P2011−212678A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147412(P2011−147412)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【分割の表示】特願2007−511068(P2007−511068)の分割
【原出願日】平成17年4月29日(2005.4.29)
【出願人】(506179631)ソルコープ インダストリーズ リミテッド (6)
【Fターム(参考)】