説明

実装基板

【課題】治具を用いることなく基板端子をプリント基板に半田付け出来ると共に、基板端子の半田付け部の視認性の確保とプリント基板の高密度化を両立することの出来る、新規な構造の実装基板を提供すること。
【解決手段】プリント基板12に樹脂製の絶縁支持部材16を配設し、該絶縁支持部材16に、基板端子14を挿通する支持筒部30と視認窓38を形成すると共に、該支持筒部30に、前記基板端子14を係止して該基板端子14の挿通量を規定する係止部34を形成する一方、前記絶縁支持部材16に貫設された前記視認窓38を通じて前記基板端子14の前記プリント基板12への半田付け部48を視認可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板端子がプリント基板に半田付けされてなる実装基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等の電気接続箱の内部回路として、実装基板が用いられている。このような実装基板は、例えば特開2003−217437号公報(特許文献1)に記載されているように、ヒューズやコネクタ等の電気部品と接続するための基板端子がプリント基板に半田付けされた構造とされている。
【0003】
ところで、プリント基板に半田付けされる基板端子は、複数本であることが多く、プリント基板のスルーホールに各別に挿通したりすることは手間を要する。そこで、従来では、複数の基板端子を別途に用意した治具に差し込んで仮固定した後に、纏めてプリント基板のスルーホールに挿通する等して半田付けすることが行われていた。
【0004】
しかし、このような構造では、実装基板に応じて治具も必要となることから、製造コストの増加を招くという問題があった。特に、基板端子が少数である場合には、その為に治具を用意することは、コスト効率が悪かった。
【0005】
なお、基板端子が少数の場合には、特許文献1に開示されているように、複数の基板端子を台座で保持した状態で纏めてプリント基板に組み付けることも考えられる。しかし、このような台座を用いると、基板端子の半田付け部が台座で隠されることから、半田付け部の視認性を確保するために、台座の周囲に適当な空間を確保しなければならず、プリント基板の高密度化を阻害するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−217437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、治具を用いることなく基板端子をプリント基板に半田付け出来ると共に、基板端子の半田付け部の視認性の確保とプリント基板の高密度化を両立することの出来る、新規な構造の実装基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様は、基板端子がプリント基板に半田付けされてなる実装基板において、前記プリント基板には樹脂製の絶縁支持部材が配設されており、該絶縁支持部材には、前記基板端子を挿通する支持筒部と視認窓が形成されており、該支持筒部には、前記基板端子を係止して該基板端子の挿通量を規定する係止部が形成されている一方、前記絶縁支持部材に貫設された前記視認窓を通じて前記基板端子の前記プリント基板への半田付け部が視認可能とされていることを、特徴とする。
【0009】
本発明によれば、基板端子をプリント基板に半田付けするに際して、絶縁支持部材の支持筒部に基板端子を挿入して、支持筒部の係止部で基板端子を係止することによって、基板端子を絶縁支持部材で支持することが出来る。これにより、絶縁支持部材で複数の基板端子を支持して、プリント基板のスルーホールに挿通するなどして半田付けすることが出来る。その結果、治具を用いることを不要とすることが出来る。そして、絶縁支持部材は樹脂製であることから、治具のような金属に比して成形が容易で回路形状に応じて容易に加工することが出来ると共に、安価に製造することが出来る。また、絶縁支持部材は基板端子と別体とされていることから、インサート成形等に比しても安価に製造することが出来る。特に、プリント基板に半田付けする基板端子の本数が少ない場合には、治具等を用意する場合に比して、より優れたコスト効率を得ることが出来る。更に、従来の治具のように、プリント基板への基板端子の取付後に絶縁支持部材をプリント基板から取り外す必要が無いことから、半田付け工数の削減を図ることも出来る。
【0010】
さらに、絶縁支持部材には視認窓が貫設されている。これにより、視認窓を通じて基板端子の半田付け部を容易に視認することが出来、半田付け部の目視検査を容易且つ確実に行うことが出来る。また、視認窓を通じて半田付け部の視認性が確保されることから、絶縁支持部材の周囲にスペースを確保する必要も無く、絶縁支持部材に近接して他の電気部品を配設することも可能であり、プリント基板の高密度化を図ることも出来る。
【0011】
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、前記支持筒部が前記プリント基板側に延び出されていると共に、前記支持筒部における前記プリント基板側の端部には切欠が形成されており、該切欠を通じて前記基板端子の前記半田付け部が前記支持筒部外に露出されているものである。
【0012】
本態様によれば、基板端子に接続される電気部品の直接乃至は間接の接触等により、絶縁支持部材にプリント基板側への押圧力が及ぼされた場合には、支持筒部がプリント基板に接触することによって、絶縁支持部材を支持筒部で支持することが出来る。これにより、絶縁支持部材の変形を阻止すると共に、絶縁支持部材の変形で基板端子が傾斜する等のおそれも軽減することが出来る。なお、支持筒部は、常にプリント基板に接触されていても良いし、絶縁支持部材がプリント基板側に押し込まれた際にプリント基板に接触するものでも良い。そして、支持筒部に切欠を形成したことによって、支持筒部をプリント基板側に延び出させつつ、基板端子の半田付け部の視認性を確保することが出来る。
【0013】
本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に記載のものにおいて、前記基板端子とは異なる導電部材を前記プリント基板上に支持する支持部材を用いて前記絶縁支持部材が構成されているものである。
【0014】
本態様における導電部材としては、例えばバスバーや、コネクタやヒューズと接続される基板端子等、電流が流されるものであれば良く、それらを支持する支持部材としては、バスバーを支持するための絶縁板や、基板端子を支持するための樹脂製の台座等が例示される。そして、本態様によれば、絶縁支持部材として、導電部材を支持する支持部材を用いることによって、部品点数の増加を招くことなく、治具を不要とすることが出来る。その結果、更なるコスト効率の向上を図ることが出来る。また、例えばバスバーを支持する絶縁板等を絶縁支持部材として用いる場合には、支持筒部に挿通された基板端子の半田付け部の上方に絶縁支持部材が配設されることから、半田付け部の上方にバスバーを配設することも可能であり、プリント基板の更なる高密度化を図ることも出来る。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、樹脂製の絶縁支持部材に支持筒部を形成し、該支持筒部に基板端子を挿通して支持筒部内の係止部で基板端子の挿通量を規定すると共に、視認窓を形成して該視認窓を通じて基板端子の半田付け部を視認可能とした。これにより、基板端子を支持筒部に挿通して絶縁支持部材で支持することが可能となり、基板端子の半田付けに際して、治具を要することなく複数の基板端子を支持してプリント基板に仮固定することが出来る。その結果、製造コストの低減を図ることが出来ると共に、治具のように半田付け後にプリント基板から取り外す必要が無いことから、半田付け工数の削減を図ることが出来る。更に、視認窓で半田付け部を視認可能としたことにより、視認性を確保するために半田付け部の周囲にスペースを設けることが不要となり、絶縁支持部材に近接して電気部品を配設することが可能となることから、プリント基板の高密度化を図ることも出来る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第一の実施形態としての実装基板の要部を示す斜視図。
【図2】図1に示した要部を更に拡大した斜視図。
【図3】図1に示した絶縁板の要部の平面図。
【図4】図3に示した絶縁板の要部の裏面側の斜視図。
【図5】図3におけるV−V断面図。
【図6】図3におけるVI−VI断面図。
【図7】本発明の第二の実施形態としての実装基板の要部を示す斜視図。
【図8】図7におけるVIII−VIII断面に相当する断面説明図。
【図9】図7におけるIX−IX断面に相当する断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
先ず、図1に、本発明の第一の実施形態としての実装基板10の要部を示すと共に、図2に、該要部を更に拡大して示す。実装基板10は、自動車等に搭載される所謂ジャンクションボックス等の電気接続箱のケースに収容されて内部回路を構成するものである。実装基板10は、プリント基板12に複数の基板端子14が突設された構造とされている。そして、プリント基板12に載置された支持部材としての絶縁板16に基板端子14が挿通されて、絶縁板16に載置された導電部材としてのバスバー18に形成された端子部20と対向位置されることにより、複数のヒュージブルリンク接続部22を構成している。
【0019】
図3に、絶縁板16の表面26の要部を示す共に、図4に、絶縁板16の裏面28の要部を示す。なお、裏面28がプリント基板12側である。また、図3においては、理解を容易とするために、後述する1つの支持筒部30の端子挿通孔32(図3中、左上の端子挿通孔32)に、基板端子14を挿通した状態で示している。絶縁板16は非導電性の合成樹脂から形成された略板形状を有しており、適宜の位置に突設された脚部24を介してプリント基板12上に載置されるようになっている。絶縁板16にはバスバー18が載置されるようになっている。
【0020】
絶縁板16の裏面28には、複数(本実施形態においては、4つ)の支持筒部30が一体形成されている。図5および図6にも示すように、支持筒部30は、裏面28からプリント基板12に向けて突出する略長手矩形の筒形状とされている。支持筒部30の裏面28からの突出寸法は、脚部24の突出寸法と略等しくされている。そして、支持筒部30の内部空所によって、絶縁板16を貫通する端子挿通孔32が形成されている。端子挿通孔32は略矩形断面を有する貫通孔とされており、図5に示すように、短辺方向(図5中、左右方向)の幅寸法は端子挿通孔32の長さ方向(図5中、上下方向)で略一定とされている。一方、図6に示すように、端子挿通孔32の長さ方向(図6中、上下方向)の中間部分には段差面としての係止部34,34が形成されており、端子挿通孔32の長辺方向(図6中、左右方向)の幅寸法は、係止部34,34よりもプリント基板12側の方が大きくされた段付形状とされている。なお、図5から明らかなように、端子挿通孔32の短辺方向の幅寸法は、基板端子14の厚さ寸法よりも大きくされていると共に、図6から明らかなように、長辺方向の幅寸法は、基板端子14の幅寸法よりも僅かに大きくされている。
【0021】
さらに、支持筒部30において、裏面28からの突出先端部には、切欠36が形成されている。本実施形態においては、略長手矩形状とされた支持筒部30の一方の長辺部分に切欠36が形成されており、切欠36が形成された長辺部分の裏面28からの突出量が、他の3辺の裏面28からの突出量よりも僅かに小さくされている。また、支持筒部30の裏面28からの突出先端部には、突出先端縁部に行くに連れて開口寸法が次第に大きくなるテーパ形状が付されており、基板端子14を端子挿通孔32に案内して容易に挿通出来るようになっている。
【0022】
また、絶縁板16には、各支持筒部30のそれぞれに隣接して、視認窓38が形成されている。視認窓38は、端子挿通孔32の長手方向寸法(図3中、上下方向寸法)と略等しい短辺寸法を有する略長手矩形状をもって、絶縁板16を貫通して形成されている。視認窓38は、支持筒部30に対して、切欠36が形成された側に隣接して形成されている。
【0023】
なお、絶縁板16の表面26には、端子挿通孔32と視認窓38の外周縁部を纏めて囲む矩形枠形状をもって表面26から僅かに突出する外周突起40が形成されている。これにより、端子挿通孔32と視認窓38の表面26側の開口端縁部は、表面26から僅かに上方(図5中、上方)に位置されており、外周突起40によって、端子挿通孔32に挿通された基板端子14とバスバー18との短絡が防止されている。
【0024】
また、絶縁板16の表面26には、各端子挿通孔32に近接して位置決め突起42が形成されている。位置決め突起42は、端子挿通孔32を挟んで、視認窓38と反対側に形成されている。位置決め突起42は、外周突起40と略等しい突出寸法をもって表面26から突出されている。本実施形態における位置決め突起42は、上面視(図3参照)において、端子挿通孔32と反対方向に開口するコの字形状を少なくとも部分的に有して形成されている。なお、位置決め突起42の具体的形状は、バスバー18の形状等を考慮して適宜に設定されるものであり、例えば図3中の左上の位置決め突起42のように、必要に応じて外周突起40と接続しても良い。
【0025】
このような絶縁板16の端子挿通孔32には、基板端子14が挿通されている。図5および図6にも示すように、基板端子14は、金属板が打ち抜かれたり、扁平断面の金属線材が所定長さで切断されることにより形成されており、一方の端部には、略長手矩形の扁平断面を有する接続部44が形成されている一方、他方の端部には、プリント基板12のスルーホール46に挿通されて半田付けされる一対(図5においては、一方のみ図示)の半田付け部48が形成されている。
【0026】
基板端子14はクランク形状とされており、接続部44と半田付け部48の間には、クランク状に屈曲された屈曲部52を有している。更に、屈曲部52と接続部44の間には、幅方向(図6中、左右方向)の両側に突出する段差状の係止突部54が形成されており、基板端子14は、係止突部54から接続部44側の幅寸法(図6中、左右方向寸法)が小さくされている。
【0027】
このような基板端子14は、半田付け部48がプリント基板12のスルーホール46に挿通されて半田付けされると共に、絶縁板16における各支持筒部30の端子挿通孔32に挿通されて、接続部44が絶縁板16の表面26上に突出されている。支持筒部30への挿通状態で、基板端子14の屈曲部52が支持筒部30の切欠36を通じて支持筒部30の外に突出されており、屈曲部52の上方(図5中、上方)に切欠36が位置されていると共に、半田付け部48が支持筒部30の外に位置してスルーホール46に挿通されている。これにより、半田付け部48が、視認窓38の下方に位置されている。また、図6に示すように、基板端子14の係止突部54から僅かな隙間を隔てた上方に支持筒部30の係止部34が対向位置されている。更に、基板端子14は支持筒部30に対して、厚さ方向(図5中、左右方向)で適当な隙間をもって挿通されている一方、幅方向(図6中、左右方向)で略隙間無く挿通されている。
【0028】
そして、図1に示したように、絶縁板16には、バスバー18が載置されている。バスバー18は金属板がプレス打ち抜き加工等されて形成されている。本実施形態におけるバスバー18は、第一平板部56と、第一平板部56から立ち上がる立壁部58と、立壁部58から延びる第二平板部60とを有するクランク形状とされている。そして、詳細な図示は省略するが、第二平板部60の先端縁部には一対の圧接刃を備えた所謂音叉形状の端子部が複数並列して形成されており、プリント基板に半田付けされた基板端子と協働してヒューズ接続部を構成している。
【0029】
第一平板部56には、複数(本実施形態においては、4つ)の端子部20が一体形成されている。端子部20は、第一平板部56が部分的に切り起こされて形成された、基板端子14の接続部44と略同様の大きさを有する扁平断面のタブ形状とされている。また、第一平板部56には、端子部20を残して打ち抜かれることによって、各端子部20に近接して打抜穴64が形成されている。
【0030】
このようなバスバー18の第一平板部56が、プリント基板12上に配設された絶縁板16に載置されることにより、バスバー18が絶縁板16でプリント基板12上に支持されている。絶縁板16への載置状態で、各端子部20に近接した打抜穴64内に絶縁板16の外周突起40が嵌め入れられることにより、第一平板部56が絶縁板16上で位置決めされる。そして、第一平板部56に形成された端子部20が絶縁板16の位置決め突起42に係止されることにより、絶縁板16上で位置決めされる。その結果、バスバー18の端子部20と、端子挿通孔32を通じて絶縁板16上に突出された基板端子14の接続部44が対向位置されて、ヒュージブルリンク接続部22を構成している。
【0031】
なお、このような実装基板10の組み付けは、例えば以下のようにして行われる。先ず、絶縁板16にバスバー18を載置する。詳細な図示は省略するが、本実施形態における絶縁板16には、合成樹脂製のヒューズブロック66や、電気接続箱の側面を構成する合成樹脂製のサイドケース68が組み付けられるようになっており、バスバー18の第二平板部60がヒューズブロック66に載置されると共に、第二平板部60側の端縁部に形成された図示しない音叉状端子部分がサイドケース68に挿通されることによって、バスバー18は絶縁板16から脱落不能に組み付けられるようになっている。また、絶縁板16への組み付け状態で、バスバー18に形成された半田付け部70(図2参照)が、絶縁板16に貫設された貫通孔を通じて絶縁板16の裏面28側に突出されている。
【0032】
そして、バスバー18が組み付けられた絶縁板16を裏面28を鉛直上方に向けた状態で、各支持筒部30の端子挿通孔32に、基板端子14を裏面28側からそれぞれ挿通する。基板端子14は、接続部44側から端子挿通孔32に挿通される。そして、基板端子14の係止突部54が支持筒部30内の係止部34に係止されることによって、基板端子14の支持筒部30への挿通量が規定されると共に、基板端子14が、半田付け部48を裏面28側に突出させた状態で絶縁板16に保持される。
【0033】
続いて、複数の基板端子14を保持した絶縁板16の裏面28側にプリント基板12が重ね合わされることにより、絶縁板16から突出された各基板端子14の半田付け部48と、バスバー18の半田付け部70が、プリント基板12のスルーホール46にそれぞれ挿通される。その後、スルーホール46に挿通された基板端子14の半田付け部48と、バスバー18の半田付け部70がそれぞれ半田付けされることにより、基板端子14がプリント基板12に突設されると共に、基板端子14およびバスバー18がプリント基板12に形成された図示しないプリント配線と電気的に接続される。このようにして、実装基板10が組み付けられる。
【0034】
このような実装基板10は、例えば自動車等に搭載されるジャンクションボックス等の電気接続箱のケース内に収容されることにより、電気接続箱の内部回路を構成する。そして、ヒュージブルリンク接続部22を構成するバスバー18の端子部20と基板端子14の接続部44がケース外に突出されて、図示しない外部の電気部品としてのヒュージブルリンクと接続可能とされている。
【0035】
本実施形態に従う構造とされた実装基板10によれば、基板端子14の半田付け部48をプリント基板12のスルーホール46に挿通するに際して、絶縁板16に一体形成した支持筒部30に基板端子14を挿通して、支持筒部30内の係止部34で基板端子14を係止することによって、絶縁板16で基板端子14を保持することが出来る。これにより、基板端子14をプリント基板12に半田付けするに際して、治具を用いること無しに基板端子14をプリント基板12に対して仮固定することが出来る。そして、絶縁板16は樹脂製であることから金属に比して成形が容易で、基板端子14の各種配設態様に柔軟且つ安価に対応することが出来る。特に本実施形態のように、基板端子14の本数が比較的少ない場合には、そのために金属製の治具を用意する場合に比して、より優れたコスト効率を得ることが出来る。
【0036】
加えて、本実施形態においては、バスバー18を載置する絶縁板16を用いて基板端子14の絶縁支持部材が構成されていることから、部品点数の増加を招くことも無く、より優れたコスト効率を得ることが出来る。また、絶縁板16は、従来の治具のように、基板端子14の半田付け後にプリント基板12から取り外す必要も無いことから、半田付け工数を削減することも出来る。更に、基板端子14の半田付け部48の上方に絶縁板16を介在させてバスバー18を載置することが可能とされており、プリント基板12の高密度化を図ることが出来る。
【0037】
そして、絶縁板16に視認窓38が貫設されていることから、視認窓38を通じて、基板端子14の半田付け部48を視認することが出来る。これにより、基板端子14の半田付け部48の目視検査を容易に行うことが出来る。また、視認窓38で半田付け部48の視認性が確保されることから、半田付け部48の視認性を確保するために半田付け部48の周囲にスペースを設けることも不要とされて、半田付け部48に近接して他の電気部品を配設することも可能であることから、プリント基板12の更なる高密度化を図ることも出来る。
【0038】
また、基板端子14が支持筒部30に挿通されて支持筒部30で囲まれることにより、ヒュージブルリンクの挿抜に際する基板端子14の傾き等を抑えることが出来て、半田クラックの発生を抑えることも出来る。具体的には、図6から明らかなように、ヒュージブルリンクの抜去に際して基板端子14に引抜方向(図6中、上方)の力が及ぼされた場合には、基板端子14が支持筒部30の係止部34で係止されることにより、基板端子14の上方への変位が抑えられる。また、基板端子14が幅方向(図6中、左右方向)で略隙間無く支持筒部30に挿通されていることから、幅方向のガタツキも阻止される。特に本実施形態においては、図5から明らかなように、引抜方向の力に対しては支持筒部30の切欠36で基板端子14の屈曲部52を係止することも可能とされており、基板端子14の上方への変位をより効果的に阻止することが出来る。
【0039】
更にまた、支持筒部30がプリント基板12にまで延び出されて、支持筒部30の突出先端縁部が、プリント基板12に対して略隙間無く位置されている。これにより、例えば基板端子14にヒュージブルリンクが接続されるに際して、絶縁板16にプリント基板12に向かう押圧力が及ぼされた場合には、支持筒部30がプリント基板12に接触することによって、絶縁板16の変形や、絶縁板16の変形に伴う基板端子14の傾斜を抑えることが出来る。そして、支持筒部30の切欠36を通じて基板端子14の半田付け部48が支持筒部30の外部に位置されていることから、支持筒部30をプリント基板12にまで延び出させつつ、半田付け部48の視認性が確保されている。
【0040】
次に、図7に、本発明の第二の実施形態としての実装基板72の要部を示す。なお、以下の説明において、前記第一の実施形態と同様の構造とされた部材および部位には、図中に前記第一の実施形態と同一の符号を付すことにより、その詳細な説明を適宜に省略する。
【0041】
本実施形態においては、導電部材としての複数の基板端子74を支持する支持部材としての台座76によって、絶縁支持部材が構成されている。台座76は非導電性の合成樹脂から形成された略長手矩形のブロック形状を有しており、四隅に突出形成された脚部77を介してプリント基板12上に載置されている。基板端子74は、金属線材が所定長さで切断されて形成された、略一定の略正方形断面を有している。そして、複数の基板端子74が、台座76に配列状態で圧入やインサート成形等によって固定されて、プリント基板12上で支持されている。これら基板端子74は、一方の端部がプリント基板12のスルーホール(図示せず)に挿通されて半田付けされると共に、他方の端部が図示しない外部の電気部品としてのコネクタと接続可能とされている。
【0042】
このような台座76に、一対の支持筒部78,78が一体形成されており、各支持筒部78に、基板端子80がそれぞれ挿通されている。図8及び図9に示すように、本実施形態における基板端子80は、前記第一の実施形態における基板端子14において屈曲部52が形成されていないストレート形状とされている。
【0043】
支持筒部78は、台座76の裏面82からプリント基板12に向けて一直線状に延びる略矩形の筒形状とされている。そして、支持筒部78の幅方向(図8中、左右方向)の両端部には、切欠84,84がそれぞれ形成されている。また、各支持筒部78には、前記実施形態と略同様に、台座76を貫通する視認窓38が隣接して形成されている。
【0044】
本実施形態によれば、基板端子80をプリント基板12に半田付けするに際して、台座76の支持筒部78に基板端子80を挿通して、台座76を用いて基板端子80を支持することが出来る。そして、台座76で支持された一対の基板端子80,80の半田付け部48がプリント基板12のスルーホール46に挿通されて半田付けされることにより、一対の基板端子80の接続部44が台座76上で対向位置されている。また、支持筒部78に形成された切欠84と視認窓38を通じて、基板端子80の半田付け部48を視認することが可能とされている。
【0045】
本実施形態から明らかなように、絶縁支持部材としては、基板端子を支持する台座などを用いることも可能である。また、支持筒部に挿通される基板端子としては、ストレート形状のものでも良い。そして、支持筒部の具体的形状も、基板端子の具体的形状等に応じて適宜に設定可能である。例えば、本実施形態においては、基板端子80がストレート形状とされていることにより、半田付け部48が支持筒部78内に位置されている。このように、半田付け部48は支持筒部78内に位置して、切欠84を通じて外部に露出されて外部から視認可能とされていても良いのであって、必ずしも支持筒部78の外部に位置されている必要は無い。
【0046】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、前記実施形態においては、絶縁支持部材として、他の導電部材としてのバスバー18や基板端子74を支持する絶縁板16や台座76を利用することによって部品点数の削減が図られていたが、必ずしも他の導電部材を支持する支持部材を流用することなく、絶縁支持部材を別途に用意しても良い。そのような場合でも、金属製の治具を用意するような場合に比して、成形容易性やプリント基板からの取外し工程の不要化による製造コストの低減や、半田付け後も絶縁支持部材で基板端子を支持可能であることによる基板端子の半田クラックの軽減等の効果を図り得る。
【0047】
また、支持筒部は、必ずしもプリント基板に接触可能な程度にまで延び出されている必要は無く、支持筒部の絶縁支持部材からの突出端縁部が、プリント基板に対して隙間を隔てて位置されていても良い。
【符号の説明】
【0048】
10,72:実装基板、12:プリント基板、14,80:基板端子、16:絶縁板(支持部材、絶縁支持部材)、18:バスバー(導電部材)、30,78:支持筒部、34:係止部、36,84:切欠、38:視認窓、48:半田付け部、54:係止突部、74:基板端子(導電部材)、76:台座(支持部材、絶縁支持部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板端子がプリント基板に半田付けされてなる実装基板において、
前記プリント基板には樹脂製の絶縁支持部材が配設されており、該絶縁支持部材には、前記基板端子を挿通する支持筒部と視認窓が形成されており、該支持筒部には、前記基板端子を係止して該基板端子の挿通量を規定する係止部が形成されている一方、
前記絶縁支持部材に貫設された前記視認窓を通じて前記基板端子の前記プリント基板への半田付け部が視認可能とされている
ことを特徴とする実装基板。
【請求項2】
前記支持筒部が前記プリント基板側に延び出されていると共に、前記支持筒部における前記プリント基板側の端部には切欠が形成されており、該切欠を通じて前記基板端子の前記半田付け部が前記支持筒部外に露出されている
請求項1に記載の実装基板。
【請求項3】
前記基板端子とは異なる導電部材を前記プリント基板上に支持する支持部材を用いて前記絶縁支持部材が構成されている
請求項1又は2に記載の実装基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−129030(P2012−129030A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278454(P2010−278454)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】