説明

家具の吊下げ支持構造

【課題】壁パネルの表裏に家具を取付けられる様にして壁パネルの利用範囲を拡大させる。
【解決手段】家具1を取付け保持する家具保持体2の背部に垂直面2aを設けると共に、該垂直面2a上端より後方へ突設した上向き傾斜状の掛止片2bを、壁パネル3の横幅方向に渡って形成した溝部4に挿入掛止して、前記垂直面2aを壁パネル3の壁面に当接させて成る家具の吊下げ支持構造であって、前記溝部4は壁パネル3の表裏に対称配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚、収納ボックス、テーブルなどの各種家具を壁パネルに着脱自在に取付ける家具の吊下げ支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内の壁面部に棚や収納ボックスなどの家具を取付けるには、特許文献1に開示されている様に、既設壁面に沿って設置した壁パネルに着脱自在と成した家具の吊下げ支持構造が用いられている。
この吊下げ支持構造は、上記壁パネルを構成する複数のボード材間に介装され、奥行きに向けて断面が上向き円弧状に形成されると共に、正面にボード材の横幅方向へ渡る一条の挿入口を有する挿入溝部を設けた取付具と、該取付具の挿入口から挿入溝部へ挿入可能な円弧状の挿入係止部と、該挿入係止部の下端に家具を取付けてなる垂下状支持板とを有する家具部品用アダプタとから構成されている。
そして、家具部品用アダプタの挿入係止部を挿入溝部へ差し込んで係入し、壁パネルから抜止めしつつ、家具の重量でこれが壁パネルに押し付けられることで、そのパネル壁面上に各種家具が設置される。
【特許文献1】実用新案登録第3078692号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の吊下げ支持構造においては、家具は壁パネルの表面側のみに取り付けられるだけのため、壁パネルは既設壁面に沿って設置するだけに限定されるといった課題を有していた。
そこで、本発明では、壁パネルの表裏に家具を取付けられる様にして、壁パネルの利用範囲を拡大させた吊下げ支持構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題に鑑み、本発明の家具の吊下げ支持構造は、家具を取付け保持する家具保持体の背部に垂直面を設けると共に、該垂直面上端より後方へ突設した上向き傾斜状の掛止片を、壁パネルの横幅方向に渡って形成した溝部に挿入掛止して、前記垂直面を壁パネルの壁面に当接させて成り、前記溝部は壁パネルの表裏に対称配置したことを特徴とする。
又、溝部の開口部下端縁に上方突出するリップ片を設け、該リップ片を上方より遊嵌する凹溝を掛止片の付け根下部に切欠形成しても良い。
【発明の効果】
【0005】
要するに本発明は、上記構成より成るので、壁パネルの表裏に家具を取付けでき、よって壁パネルを間仕切りとして利用でき、室内レイアウトの幅を拡大できる。
しかも、家具を取付けた家具保持体の掛止片を壁パネルの溝部に挿入掛止するだけで壁パネルの表面又は裏面に家具を簡単容易に取付けでき、壁パネルからの家具の取り外しにあっても前記溝部から掛止片を抜き出すだけのため、壁パネルに対する家具のレイアウト変更も容易に行える。
【0006】
溝部の開口部下端縁に上方突出するリップ片を設け、該リップ片を上方より遊嵌する凹溝を掛止片の付け根下部に切欠形成することにより、溝部への掛止片の挿入掛止状態で、溝部のリップ片が掛止片の凹溝に嵌まり込むことで、掛止片の溝部に対する抜止め効果を発揮し、家具を手前に引いても壁パネルから外れず、家具の背面が後倒する程度の振動や揺れを生じても、リップ片の内側面に対峙する凹溝の一側壁がリップ片に引っ掛かるので、壁パネルから脱落することはない等その実用的効果甚だ大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下本発明の実施の一形態例を図面に基づいて説明する。
図1は家具の吊下げ支持構造の一例を示す要部断面図、図2は壁パネルへの家具の一設置例を示す斜視図である。
この吊下げ支持構造は、図1に示す様に、家具1を取付け保持する家具保持体2の背部に垂直面2aを設けると共に、該垂直面2a上端より後方へ突設した上向き傾斜状の掛止片2bを、壁パネル3の横幅方向に渡って形成した溝部4に挿入掛止して、垂直面2aを壁パネル3の壁面に当接させることにより、壁パネル3の壁面上に家具1を吊下げ保持するものであり、溝部4は壁パネル3の表裏に対称配置して成る。
【0008】
家具1は、棚1a、収納ボックス1b、テーブル1cなど壁パネル3に着脱自在に取付けられるものである。
家具保持体2は、図3(a) 〜(c) に示す様に、各種家具1a〜1cの形態に対応して形成されている。
即ち、棚1aやテーブル1cの家具保持体2は、図3(a) に示す様に、棚1aの基端部、又はテーブル1cの天板の一側端部を、その長さ方向に渡って上下に挟持する様に構成され、収納ボックス1bの家具保持体2は、図3(b) に示す様に、収納ボックス1bの背面上端部をその幅方向に渡ってビス止め固定する様に構成され、掛時計やその他の掛け物を吊下げる家具保持体2は、図3(c) に示す様にフック2cを形成しており、いずれの形態の家具保持体2においても、上記の如くその背部に垂直面2aと掛止片2bを設けている。
【0009】
各家具保持体2にあっては、溝部4の開口部4a下端縁に沿って上方突設したリップ片5を上方より遊嵌する凹溝6を、掛止片2bの付け根下部に切欠形成するのが、望ましい。
そして、凹溝6において、溝部4への掛止片2bの挿入掛止状態で、リップ片5の内側面に対峙する一側壁6a下端は断面楔形に形成され、リップ片5の内角部に掛止し易い様に成している。
尚、凹溝6を形成した家具保持体2は、垂直面2aの上方は凹欠されているが、その下方には、掛止片2bの溝部4への挿入掛止状態で壁パネル3の壁面に当接可能な垂直面2aを有している。
【0010】
壁パネル3は、同一横幅を有する複数の方形状のボード3aと、該ボード3aの横幅と同長の溝部4を図1において左右対称に設けた複数で同一形状のレール材7とから成り、上下に配置するボード3aの間にレール材7を介して連結し、壁パネル3の側縁には竪框を固定している(図1、2参照)。
尚、各ボード3aの高さは適宜設定されるものにして、ボード3aの表面には化粧板が貼着されている。
【0011】
レール材7は、アルミニウムやステンレス製の押し出し成形材であって、図1に示す様に、左右対称形状にして、その両側面に長手方向に渡って開口部4aが開設され、該開口部4aより上方へ湾曲した溝部4を穿設し、該溝部4内の上側には、家具保持体2の掛止片2bの上端が掛止する突起4bを形成している。
又、レール材7の上下面の中央には、左右に鋸歯状突起を有する突片8を設け、該突片8をボード3aの上下端面の中央に設けた接続溝9に差し込むことにより、レール材7の上下にボード3aが固定される。
【0012】
上記の様に構成された壁パネル3は、室内に自立させた間仕切りとして主に使用され、壁パネル3の表裏に適宜な上下間隔(各ボード3aの高さに相当)を置いて溝部4が配置される。
そして、使用者の好みに応じ壁パネル3の表裏に家具1(1a〜1c)を取付ける。
これらの取付けは、家具1(1a〜1c)に備えられた家具保持体2の掛止片2bの溝部4への挿入掛止により成し得るが、家具1(1a〜1c)の家具保持体2の主要部となる垂直面2a及び掛止片2bは上述の如く基本的に同一構成であるため、図4に代表的に棚1aに取付けた家具保持体2の溝部4への着脱過程を示し、主に図4に基づきその取付け方を説明する。
即ち、図4に示す如く、家具1(1a)を斜めに傾けながら、その家具保持体2の掛止片2bを溝部4へその開口部4aから挿入し、かかる状態から垂下面2aを壁パネル3の壁面へ近づけて当接させる。
すると、図1に示す様に、掛止片2bの斜めに傾いた上端が、溝部4の突起4bに引っ掛かると共に、開口部4a下端縁のリップ片5が凹溝6内に遊嵌し、凹溝6の一側壁6a下端がリップ片5の内角部に掛止する。
これにより、家具保持体2が溝部4に掛止して家具1が壁パネル3に吊下げ保持される。
【0013】
上記の様に、壁パネル3に取付けられた家具1(1a〜1c)は、溝部4への掛止片2bの挿入掛止状態で、溝部4のリップ片5が掛止片2bの凹溝6に嵌まり込むことで、掛止片2bの溝部4に対する抜止め効果を発揮する。
このため、家具1を手前に引いても壁パネル3から外れず、図5に示す様に、家具1の背面が後倒する程度の振動や揺れを生じても、リップ片5の内側面に対峙する凹溝6の一側壁6aが引っ掛かるので、壁パネル3から家具1(1a)が脱落することはない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】家具の吊下げ支持構造の一例を示す要部断面図である。
【図2】壁パネルへの家具の一設置例を示す斜視図である。
【図3(a)】棚又はテーブル用の家具保持体の斜視図である。
【図3(b)】収納ボックス用の家具保持体の斜視図である。
【図3(c)】掛け物用の家具保持体の斜視図である。
【図4】家具の壁パネルへの着脱過程を示す断面図である。
【図5】家具に振動等が生じた時の状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0015】
1 家具
2 家具保持体
2a 垂直面
2b 掛止片
3 壁パネル
4 溝部
4a 開口部
5 リップ片
6 凹溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具を取付け保持する家具保持体の背部に垂直面を設けると共に、該垂直面上端より後方へ突設した上向き傾斜状の掛止片を、壁パネルの横幅方向に渡って形成した溝部に挿入掛止して、前記垂直面を壁パネルの壁面に当接させて成る家具の吊下げ支持構造であって、前記溝部は壁パネルの表裏に対称配置したことを特徴とする家具の吊下げ支持構造。
【請求項2】
溝部の開口部下端縁に上方突出するリップ片を設け、該リップ片を上方より遊嵌する凹溝を掛止片の付け根下部に切欠形成したことを特徴とする請求項1記載の家具の吊下げ支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3(a)】
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【図3(b)】
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【図3(c)】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−297397(P2009−297397A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−157836(P2008−157836)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【出願人】(391054992)株式会社榊原 (6)
【Fターム(参考)】