説明

容器蓋

【課題】中栓から外蓋を離脱するために外蓋を開方向に回転すると、中栓の閉塞壁に形成されている破断可能薄肉ラインが破断されるように構成した容器蓋の破断容易性、破断による除去領域の落下防止、除去領域の細長形状、製作容易及び中栓に外蓋を装着する際の破断可能薄肉ラインの破断防止。
【解決手段】中栓の閉塞壁には破断可能薄肉ラインに内接した下端縁から上方に突出する細長筒形状の被係止壁36が形成されている。外蓋の天面壁44の下面には下方に突出する円筒形状の係止壁58が形成され、この係止壁58の内周面には一対の外側係止突起60a、60bが形成されている。中栓の被係止壁には被係合手段38、40が配設され、一対の外側係止には係合手段66a、66bが配設されており、中栓に対して外蓋が開方向に回転せしめられると係合手段と被係合手段とが協働して、一対の外側係止突起に対して被係止壁が中心軸線方向に移動するのを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に固着される中栓及びこの中栓に装着される外蓋を具備する容器蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
醤油、食用油及びドレッシングの如き液体調味料のための容器蓋として、容器の口頸部に固着される中栓及びこの中栓に装着される外蓋を具備する容器蓋が広く実用に供されている。中栓は略水平に延在する閉塞壁とこの閉塞壁の上面周縁部から上方に延出する円筒形装着壁とを有する。閉塞壁には破断可能薄肉ラインによって囲繞された除去領域が規定されており、装着壁の外周面には雄螺条が形成されている。外蓋は天面壁とこの天面壁から垂下する円筒形被装着壁とを有する。被装着壁の内周面には雌螺条が形成されている。中栓に外蓋を被嵌して中栓の雄螺条に外蓋の雌螺条を螺合せしめることによって、中栓に外蓋が装着される。
【0003】
上記形態の容器蓋の典型例においては、中栓の除去領域の上面には上方に延びる連結柱を介して引張リングが付設されている。容器の内容物を消費する際には、外蓋を開方向に回転せしめて外蓋の雌螺条と中栓の雄螺条との螺合を解除して中栓から外蓋を離脱し、引張リングを露呈せしめる。次いで、引張リングを引っ張って破断可能薄肉ラインを破断して除去領域を除去し、閉塞壁に排出口を生成する。かような形態の典型例においては、中栓から外蓋を離脱せしめた後に引張リングを引っ張って破断可能薄肉ラインを破断して除去領域を除去する操作が必要であり、使用勝手が必ずしも良好でない。
【0004】
上記典型例における上述したとおりの問題を解決するために、下記特許文献1乃至4には、中栓に装着されている外蓋を中栓から離脱するために外蓋を開方向に回転せしめると、外蓋から中栓の除去領域に力が伝達されて破断可能薄肉ラインが破断されるように構成した容器蓋が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】昭和52年実用新案登録願第46029号の明細書及び図面
【特許文献2】特開2005−289389号公報
【特許文献3】特開2007−238140号公報
【特許文献4】特開2008−308218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
而して、中栓から外蓋を離脱せしめるために外蓋を開方向に回転せしめると破断可能薄肉ラインが破断されるように構成した容器蓋においては、(1)外蓋に過大な回転トルクを加える必要なくして破断可能薄肉ラインを充分容易に破断することができる、(2)破断可能薄肉ラインを破断することによって除去された除去領域は外蓋と共に中栓から離脱され、従って外蓋を除去した後に除去領域を指で摘んで排除する必要がない、(3)破断可能薄肉ラインによって規定されている除去領域の形状、従って除去領域を除去することによって形成される排出口の形状は、内容物の円滑な排出のために円形状ではなくて略楕円形状の如き細長形状である、(4)溶着等の煩雑な製作工程を必要とすることなく充分安価に製作することができる、(5)中栓に外蓋を所要とおりに装着する際に中栓に配設されている破断可能薄肉ラインが破断されてしまうことがない、という要件を充足することが望まれる。しかしながら、上記特許文献1乃至4に開示されている容器蓋は、いずれも上記5個の要件の全てを充足することができない。上記特許文献1に開示されている容器蓋は上記要件1、2及び5を充足することができず、上記特許文献2に開示されている容器蓋は上記要件4及び5を充足することができず、上記特許文献3に開示されている容器蓋は上記要件1及び3を充足することができず、上記特許文献4に開示されている容器蓋は上記要件3及び5を充足することができない。
【0007】
そこで、本発明者等は、先に、特願2011−078740号明細書及び図面において、上記要件1乃至5の全てを充足する容器蓋として、容器の口頸部に固着される中栓、及び中栓に装着される外蓋を具備し、中栓は閉塞壁とこの閉塞壁の上面周縁部から上方に延出する円筒形装着壁とを有し、閉塞壁には破断可能薄肉ラインによって囲繞された細長形状の除去領域が規定されており、除去領域には破断可能薄肉ラインに内接した下端縁から上方に突出する細長筒形状の被係止壁が配設されており、装着壁の外周面には雄螺条が形成されており、外蓋は天面壁とこの天面壁から垂下する円筒形被装着壁とを有し、天面壁の下面における被装着壁よりも内側の領域には下方に突出する一対の外側係止突起が形成されており、被装着壁の内周面には装着壁に形成されている雄螺条と協働する雌螺条が形成されている容器蓋を提供した。中栓の被係止壁には被係合手段が配設され、外蓋の一対の外側係止突起には係合手段が配設されており、中栓に対して外蓋が開方向に回転せしめられると係合手段と被係合手段との協働によって、一対の外側係止突起に対して係止壁が中心軸線方向に移動するのが防止される。
【0008】
然るに、本発明者等が先に提案した上記容器蓋は、上記要件1乃至5を充足する優れたものであるが、本発明者等の経験によれば、未だ充分に満足し得るものではなく、特に使用材料を低減して製造コストの低減を図るために容器蓋の各部位の肉厚を薄くした場合に、一対の外側係止突起が夫々別個独立して外蓋の天面壁の下面に配設されていることに起因して、中栓に対して外蓋を開方向に回転せしめて一対の外側係止突起が被係止壁に係止し、被係止壁を開方向に強制して破断可能薄肉ラインを破断する際に、一対の外側係止突起が弾性的に撓み、これに起因して破断可能薄肉ラインの破断が必ずしも充分容易に且つ確実に遂行されない、という問題を有することが判明した。
【0009】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、本発明者等が先に提案した容器蓋に更に改良を加えて、使用材料を低減して製造コストの低減を図るために容器蓋の各部位の肉厚を薄くした場合にも、中栓に対して外蓋を開方向に回転せしめることによって破断可能薄肉ラインを充分容易に且つ確実に破断することができるようにせしめることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、鋭意検討及び実験の結果、外蓋の天面壁の下面に一対の外側係止突起を別個独立に配設することに代えて、天面壁の下面における被装着壁よりも内側の領域に、下方に突出する係止壁を形成し、かかる係止壁の内周面に一対の外側係止突起を配設することによって、上記主たる技術的課題を達成することができることを見出した。
【0011】
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を達成する容器蓋として、容器の口頸部に固着される中栓、及び該中栓に装着される外蓋を具備する容器蓋にして、
該中栓は閉塞壁と該閉塞壁の上面周縁部から上方に延出する円筒形装着壁とを有し、該閉塞壁には破断可能薄肉ラインによって囲繞された細長形状の除去領域が規定されており、該除去領域には該破断可能薄肉ラインに内接した下端縁から上方に突出する細長筒形状の被係止壁が配設されており、該装着壁の外周面には雄螺条が形成されており、
該外蓋は天面壁と該天面壁から垂下する円筒形被装着壁とを有し、該天面壁の下面における該被装着壁よりも内側の領域には下方に突出する円筒形状の係止壁が形成されており、該係止壁の内周面には一対の外側係止突起が配設されており、該一対の外側係止突起の一方は該除去領域の長手方向片側において該被係止壁の、該開方向に見て上流側に位置する外面に対向して位置せしめられ、該一対の外側係止突起の他方は該除去領域の長手方向他側において該被係止壁の、該開方向に見て上流側に位置する外面に対向して位置せしめられており、
該一対の外側係止突起には係合手段が形成され、該被係止壁には被係合手段が形成されており、該中栓に対して該外蓋が開方向に回転せしめられると該係合手段と該被係合手段との協働によって、該係止壁に対して該被係止壁が中心軸線方向に移動することが防止される、
ことを特徴とする容器蓋が提供される。
【0012】
好ましくは、該被係合手段は該除去領域の長手方向片側及び他側において該被係止壁の、該開方向に見て上流側に位置する外面に形成された溝或いは突条を含み、該係合手段は該一対の外側係止突起の、該被係止壁の該溝或いは該突条に対向する表面に形成されている突条或いは溝を含み、該外蓋が該開方向に回転せしめられると該一対の外側係止突起の該突条或いは該溝が該被係止壁の該溝或いは該突条に係合し、これによって該外側係止突起に対して該被係止壁が中心軸線方向に移動するのが防止される。該外蓋の該天面壁の下面には、下方に突出して該一対の外側係止突起間に位置する単一の内側係止突起が形成されており、該内側係止突起は該除去領域の長手方向片側において該被係止壁の、該開方向に見て下流側に位置する内面に対向して位置せしめられると共に該除去領域の長手方向他側において該被係止壁の、該開方向に見て下流側に位置する内面に対向して位置せしめられ、該被係止壁の内周面には一対の係止片も形成されており、該係止片の一方は該除去領域の長手方向片側において該被係止壁の内面に形成され、該係止片の他方は該除去領域の長手方向他側において該被係止壁の内面に形成されており、該中栓に対して該外蓋が該開方向に回転せしめられると該内側係止突起が該係止片に係止せしめられ、これによって該係止壁が該被係止壁に対して閉方向に相対的に回転するのが防止されるのが好適である。該被係止壁の内周面における、該内側係止突起が対向して位置する部位以外の部位には、中心軸線方向に延びる複数個のリブが周方向に間隔をおいて配設されているのが好ましい。該中栓の該閉塞壁の下面における、該除去領域の外側部位には複数個のリブが間隔をおいて配設されている、のが好適である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の容器蓋においては、外蓋の天面壁の下面に円筒形状の係止壁を形成し、この係止壁の内周面に一対の外側係止突起を配設したので、一対の外側係止突起が被係止壁に作用して被係止壁を開方向に強制する際に、係止壁による保持作用によって、そしてまた係止壁によって相互に連結されている一対の外側係止壁の相互作用によって、一対の外側係止突起が被係止壁から遠ざかる方向に撓むことが効果的に防止され、かくして一対の外側係止突起から中栓の被係止壁を介して破断可能薄肉ラインに効果的に力が伝達され、これによって破断可能薄肉ラインが充分容易に且つ確実に破断される。外蓋が開方向に回転せしめられると、一対の外側係止突起に配設されている係合手段と中栓の被係止壁に配設されている被係合手段とが協働して、係止壁に対して被係止壁が中心軸線方向に移動するのが防止され、従って破断可能薄肉ラインの破断によって除去された除去領域は外蓋から離脱されることなく外蓋に付随して中栓から離脱される。加えて、本発明の容器蓋は、溶着の如き煩雑な工程を遂行することなく充分安価に製作することができる。中栓に外蓋を所要とおりに装着する際に中栓の破断可能薄肉ラインに力が伝達されることはなく、破断可能薄肉ラインが破断されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に従って構成された容器蓋の好適実施形態を、一部を断面で示す正面図。
【図2】図1の容器蓋における中栓の斜面図。
【図3】図1の容器蓋における中栓の正面図。
【図4】図1の容器蓋における中栓の断面図。
【図5】図1の容器蓋における中栓の平面図。
【図6】図1の容器蓋における外蓋を倒立状態で示す斜面図。
【図7】図1の容器蓋における外蓋の断面図。
【図8】図1の容器蓋を、中栓に外蓋が所要とおりに装着されている状態で示す断面図。
【図9】図8に示す状態における中栓の係止壁と外蓋の係止突起との関係を示す部分斜面図。
【図10】図1の容器蓋を、中栓から外蓋を離脱するために外蓋を開方向に幾分回転せしめた状態で示す断面図。
【図11】図10に示す状態における中栓の係止壁と外蓋の係止突起との関係を示す部分斜面図。
【図12】図1の容器蓋を、中栓から外蓋を離脱せしめた状態で示す断面図。
【図13】図12に示す状態における中栓の係止壁と外蓋の係止突起との関係を示す部分斜面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に従って構成された容器蓋の好適実施形態を図示している添付図面を参照して更に詳細に説明する。
【0016】
図1を参照して説明すると、本発明に従って構成された容器蓋は、口頸部2のみを図示している容器の口頸部に固着される中栓4、及びこの中栓4に装着されている外蓋6を具備している。ポリエチレンテレフタレートの如き適宜の合成樹脂、ガラス或いは金属薄板から形成することができる容器の口頸部2は全体として円筒形状であり、上面は開口されている。口頸部2の外周面には係止あご部8とこの係止あご部8よりも下方に位置するサポートリング10が形成されている。中栓4は軟質ポリエチレンの如き適宜の合成樹脂から射出乃至圧縮成形することができ、同様に外蓋6もポリプロピレンの如き適宜の合成樹脂から射出乃至圧縮成形することができる。
【0017】
図1と共に図2乃至図5を参照して説明を続けると、中栓4は全体として水平に延在する円形閉塞壁12を有している。この閉塞壁12の中央領域には細長形状の除去領域が形成されていることが重要である。図示の実施形態においては、閉塞壁12の中央領域に略楕円形状の破断可能薄肉ライン14が形成されており、略楕円形状の除去領域16が規定されている(特に図4及び図5を参照されたい)。図4を参照することによって明確に理解される如く、除去領域16は破断可能薄肉ライン14の外側領域よりも上方に変位せしめられており、除去領域16の下面は破断可能薄肉ライン14よりも外側の領域の上面と実質上同高或いはこれよりも幾分上方に位置せしめられているのが好適である。閉塞壁12の下面には、最外周縁部から垂下する円筒形垂下壁18と、この垂下壁18よりも半径方向内側に位置する環状シール片20とが形成されている。更に、閉塞壁12の下面における、上記環状シール片20よりも半径方向内側で且つ破断可能薄肉ライン14よりも外側の領域には、図5において上下方向に間隔をおいて平行に延在する複数個の補強リブ22が形成されている。リブ22の各々横断面形状は半円形状或いは矩形状でよい、垂下壁18の内周面下端部には環状係止突条24が形成されている。閉塞壁12の上面には、その外周縁部から上方に延出する円筒形装着壁26と、装着壁26よりも半径方向内側に位置する略円筒形状の注出筒28が形成されている。装着壁26の外周面には雄螺条30が形成されている。注出筒28の上端部は半径方向外方に円弧状に湾曲せしめられている。図2及び図3を参照することによって理解される如く、閉塞壁12の上面外周面部(装着壁26よりも半径方向外側の領域)には、周方向に90度の角度範囲に渡って延びる4個の弧状制限部32が形成されている。制限部32の各々の上面は外蓋6の閉回転方向(図2及び図5に矢印Aで示す方向)に向かって下方に傾斜せしめられており、制限部32の各々の、外蓋6の閉回転方向上流端には実質上鉛直に延びる制限端面34が規定されている。
【0018】
閉塞壁12の上面には、更に、破断可能薄肉ライン14に内接した下端縁から上方に突出する被係止壁36が形成されていることが重要である。被係止壁36は実質上鉛直に上方に突出せしめられていて略楕円筒形状であるのが好適である。被係止壁36の、除去領域16の長手方向片側において外蓋6の開回転方向(図2及び図5において矢印Bで示す方向)上流側に位置する外面には、実質上水平に延びる溝38が形成されている。同様に、図2には図示していないが、被係止壁36の、除去領域16の長手方向他側においても外蓋6の開回転方向上流側に位置する外面には、実質上水平に延びる溝38が形成されている。被係止壁36には、更に、除去領域16の長手方向両端部において内周面から外蓋6の開回転方向に見て下流側に弧状に延出する係止片40が形成されている。係止片40の基端は被係止壁36の内面を実質上鉛直に延びている。上記溝38及び係止片40は、後の説明から明らかになるとおり、被係合手段を構成する。被係止壁36の内周面には、更に、上記溝38が形成されている部位に対応する部位に、周方向に間隔をおいて実質上鉛直に延びる複数個の補強リブ42が形成されている。図2を参照することによって明確に理解される如く、リブ42の各々の両側面は上方に向かって相互に接近する方向に若干の傾斜角度で傾斜せしめられており、リブ42の上端面は内側に向かって下方に傾斜せしめられている。
【0019】
図1と共に図6及び図7を参照して説明を続けると、図示の実施形態における外蓋6は円形天面壁44とこの天面壁44の外周縁から垂下する円筒形状のスカート壁46とを有する。図1に図示する如く、スカート壁46の外周面にはそこに掛けられる指の滑りを防止するためのナール(凹凸形状)48が形成されている。天面壁44の下面には、その外周縁部から下方に垂下する円筒形被装着壁50が形成されている。この被装着壁50の内周面下部には雌螺条52が形成されている。図6に明確に図示する如く、被装着壁50の下端面には90度の角度範囲に渡って延在する4個の被制限部54が形成されている。被制限部54の各々の下面は外蓋6の閉回転方向(図6において矢印Aで示す方向)に向かって漸次下方に傾斜せしめられており、被制限部54の各々の、実質上鉛直に延びる被制限端面56が規定されている。
【0020】
天面壁44の下面には、更に、被装着壁50よりも半径方向内側の領域において下方に垂下する円筒形状の係止壁58も形成されており、この係止壁58の内周面には一対の外側係止突起60a及び60bが付設されていることが重要である。図1及び図7を参照することによって明確に理解される如く、係止壁58は上方に向かって厚さが漸次増大せしめられており、上部には厚さが急激に増大する部位が存在する。一対の外側係止突起60a及び60bは直径方向に対向して、即ち周方向に180度の角度間隔をおいて係止壁58の内周面に付設されている。一対の外側係止突起60a及び60bの各々は全体として略勾玉形状であり、係止壁58の内周面から、外蓋6の開回転方向に向かった半径方向内方に弧状に延出する凹弧状係止面62a及び62bを有する。一対の外側係止突起60a及び60bの各々には、使用材料量を低減するために2個の空所64a及び64bが形成されている。一対の外側係止突起60a及び60bの各々の係止面62a及び62bには実質上水平に延在する突条66a及び66bが形成されている。後に更に言及する如く、突条66a及び66bは係合手段を構成し、中栓4の被係止壁36に形成されている溝38と協働する。所望ならば、図示の実施形態の場合とは逆に、被係止壁36に突条を形成し外側係止突起60a及び60bに溝を形成することもできる。天面壁44の内面には、下方に突出して一対の外側係止突起60a及び60bの間に位置する単一の内側係止突起68も配設されている。この内側係止突起68は全体として略平行四辺形状であり、直径方向に対向して位置する2個の凸弧状係止面70a及び70bが規定されている。この内側係止突起68にも使用材料量を低減するために3個の空所72が形成されている。
【0021】
上述したとおりの中栓4と外蓋6とは、中栓4の被係止壁36と外蓋6の一対の外側係止突起60a及び60b並びに内側係止突起68とを図9に図示するとおりの関係に位置付けて、外蓋6内に中栓4を図8に図示する状態、即ち中栓4の閉塞壁12の上面周縁部が外蓋6の被装着壁50の下端に近接乃至当接する状態、まで軸線方向に強制的に押込むことによって相互に組み合わされる。かくすると、図8に明確に図示する如く、中栓4の装着壁26の外周面に形成されている雄螺条30が外蓋6の被装着壁50の内周面に形成されている雌螺条52を弾性的に乗り越え、雄螺条30と雌螺条52とが相互に螺合せしめられた状態が確立される。かかる状態において、中栓4の閉塞壁12の上面外周縁部に形成されている制限部32の制限面34が外蓋6の被装着壁50の下端面に形成されている被制限部54の被制限面56に対向して位置し、これによって中栓4に対して外蓋6が閉方向に若干の遊びを越えて回転することが阻止される。また、外蓋6の係止壁58の上端部外周面が中栓4の注出筒28の上端部内周面に密接せしめられる。図8に示すとおりに組み合わされた容器蓋は、容器の口頸部2に対して図8に示す状態まで強制的に下降せしめることによって容器の口頸部2に装着される。かくすると、中栓4における垂下壁18の内周面に形成されている係止突条24が口頸部2の外周面に形成されている係止あご部8を弾性的に乗り越えてこれに係止せしめられ、中栓4が口頸部2に固着される。また、中栓4のシール片20が口頸部2内に進入せしめられ、これによって口頸部2が密封される。
【0022】
容器の内容物を消費する際には、外蓋6のスカート壁46に指を掛けて、中栓4に装着されている外蓋6を開方向(矢印Bで示す方向)に回転する。外蓋6が略25度程度の角度に渡って開方向に回転せしめられると、図10及び図11に図示する状態となり、図11を参照することによって明確に理解されるとおり、一対の外側係止突起60a及び60bの各々の係止面62a及び62bが被係止壁36の外面に当接せしめられ、そしてまた係止面62a及び62bに形成されている突条66a及び66bが被係止壁36の外面に形成されている溝38に係合せしめられ、これによって一対の外側係止突起60a及び60bに対して被係止壁36が軸線方向に移動することが防止される。一方、内側係止突起68においては、2個の係止面70a及び70bが被係止壁36の内面に当接せしめられる。被係止壁36の内周面に配設されているリブ42は、内側係止突起68の係止面70a及び70bが当接する部位(従って、図9に示す状態において内側係止突起68の係止面70a及び70bが対向して位置する部位以外の部位)に配設されており、係止面70a及び70bがリブ42に当接することはない。図9と図11とを比較参照することによって理解される如く、内側係止突起68は被係止壁36の内面に形成されている係止片40を弾性的に乗り越え、かくして内側係止突起68が被係止壁36に対して相対的に閉方向(矢印Bで示す方向)に回転することが防止される。外蓋6が更に開方向に回転せしめられると、図12及び図13に図示する如く、一対の外側係止突起60a及び60b並びに内側係止突起68を介して被係止壁36に加えられる力によって破断可能薄肉ライン14が破断されて除去領域16が閉塞壁12から除去され、排出口が生成される。外蓋6の天面壁44の下面には円筒形状の係止壁58を形成し、この係止壁58の内周面に一対の外側係止突起60a及び60bを付設しているので、一対の外側係止突起60a及び60bが被係止壁36に作用して被係止壁36を開方向に強制する際に、係止壁58による保持作用によって、そしてまた係止壁58によって相互に連結されている一対の外側係止突起60a及び60bの相互作用によって、一対の外側係止突起60a及び60bが被係止壁36から遠ざかる方向に撓むことが効果的に防止され、かくして充分容易に且つ確実に破断可能薄肉ライン14を破断することができる。また、閉塞壁12の下面における、除去領域16の外側部位に間隔をおいて配設された複数個の傾斜リブ22によって閉塞壁12の変形が効果的に抑制され、そしてまた被係止壁36の内周面に配設されたリブ42によって、一対の外側係止突起60a及び60bを介して加えられる力による被係止壁36が変形することも効果的に抑制され、これらによっても破断可能薄肉ライン14の破断が助長される。閉塞壁12から除去された、被係止壁36を含む除去領域16は、外蓋6から落下することなく外蓋6と共に中栓4から離脱せしめられる。しかる後においては中栓4の閉塞壁12に生成された排出口を通して内容物を排出することができる。内容物の必要量の排出が終了した後においては、必要に応じて被係止壁36を含む除去領域16を外蓋6から離脱して、外蓋6を中栓4に被嵌し、次いで閉方向に回転せしめて外蓋6の被装着壁50の内周面に形成されている雌螺条52を中栓4の装着壁26の外周面に形成されている雄螺条30に螺合せしめて中栓4に再び外蓋6を装着し、排出口を閉じることができる。外蓋6の係止壁58の外周面上端部が中栓4の注出筒28の上端部外周面に密接せしめられ、これによって密封効果が達成される。
【符号の説明】
【0023】
2:容器の口頸部
4:中栓
6:外蓋
12:閉塞壁
14:破断可能薄肉ライン
16:除去領域
26:装着壁
30:雄螺条
36:被係止壁
38:溝(被係合手段)
40:係止片(被係合手段)
44:天面壁
50:被装着壁
58:係止壁
60a:外側係止突起
60b:外側係止突起
68:内側係止突起
66a:突条(係合手段)
66b:突条(係合手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口頸部に固着される中栓、及び該中栓に装着される外蓋を具備する容器蓋にして、
該中栓は閉塞壁と該閉塞壁の上面周縁部から上方に延出する円筒形装着壁とを有し、該閉塞壁には破断可能薄肉ラインによって囲繞された細長形状の除去領域が規定されており、該除去領域には該破断可能薄肉ラインに内接した下端縁から上方に突出する細長筒形状の被係止壁が配設されており、該装着壁の外周面には雄螺条が形成されており、
該外蓋は天面壁と該天面壁から垂下する円筒形被装着壁とを有し、該天面壁の下面における該被装着壁よりも内側の領域には下方に突出する円筒形状の係止壁が形成されており、該係止壁の内周面には一対の外側係止突起が配設されており、該一対の外側係止突起の一方は該除去領域の長手方向片側において該被係止壁の、該開方向に見て上流側に位置する外面に対向して位置せしめられ、該一対の外側係止突起の他方は該除去領域の長手方向他側において該被係止壁の、該開方向に見て上流側に位置する外面に対向して位置せしめられており、
該一対の外側係止突起には係合手段が形成され、該被係止壁には被係合手段が形成されており、該中栓に対して該外蓋が開方向に回転せしめられると該係合手段と該被係合手段との協働によって、該係止壁に対して該被係止壁が中心軸線方向に移動することが防止される、
ことを特徴とする容器蓋。
【請求項2】
該被係合手段は該除去領域の長手方向片側及び他側において該被係止壁の、該開方向に見て上流側に位置する外面に形成された溝或いは突条を含み、該係合手段は該一対の外側係止突起の、該被係止壁の該溝或いは該突条に対向する表面に形成されている突条或いは溝を含み、該外蓋が該開方向に回転せしめられると該一対の外側係止突起の該突条或いは該溝が該被係止壁の該溝或いは該突条に係合し、これによって該外側係止突起に対して該被係止壁が中心軸線方向に移動するのが防止される、請求項1記載の容器蓋。
【請求項3】
該外蓋の該天面壁の下面には、下方に突出して該一対の外側係止突起間に位置する単一の内側係止突起が形成されており、該内側係止突起は該除去領域の長手方向片側において該被係止壁の、該開方向に見て下流側に位置する内面に対向して位置せしめられると共に該除去領域の長手方向他側において該被係止壁の、該開方向に見て下流側に位置する内面に対向して位置せしめられ、
該被係止壁の内周面には一対の係止片も形成されており、該係止片の一方は該除去領域の長手方向片側において該被係止壁の内面に形成され、該係止片の他方は該除去領域の長手方向他側において該被係止壁の内面に形成されており、該中栓に対して該外蓋が該開方向に回転せしめられると該内側係止突起が該係止片に係止せしめられ、これによって該係止壁が該被係止壁に対して閉方向に相対的に回転するのが防止される、請求項1又は2記載の容器蓋。
【請求項4】
該被係止壁の内周面における、該内側係止突起が対向して位置する部位以外の部位には、中心軸線方向に延びる複数個のリブが周方向に間隔をおいて配設されている、請求項3記載の容器蓋。
【請求項5】
該中栓の該閉塞壁の下面における、該除去領域の外側部位には複数個のリブが間隔をおいて配設されている、請求項1から4までのいずれかに記載の容器蓋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−43651(P2013−43651A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180418(P2011−180418)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000228442)日本クラウンコルク株式会社 (382)
【Fターム(参考)】