説明

容量式センサ

【課題】使用状況が変化しても、高いS/Nを実現できる容量式センサを提供すること。
【解決手段】センサ端子22と、ガード端子20と、前記ガード端子20に接続する導電部13を備えたガード部5と、複数の分割センサ部9を配列して成るセンサ部3と、を備え、前記複数の分割センサ部9は、それぞれ、導電部11を備え、前記分割センサ部9に対し、人体の接触又は接近がある場合、その分割センサ部9の導電部11は前記センサ端子22に接続し、前記接触又は接近がない場合、その分割センサ部9の導電部11は前記ガード端子20に接続することを特徴とする請求項1記載の容量式センサ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、人の心電等の計測に使用できる容量式センサに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の乗員の心電を計測するシステムとして、ステアリングに取り付けた電極と、シートに取り付けられた容量式センサとの間の電圧を測定することで心電を取得するシステムが開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
上記のシステムに用いられる容量式センサP1は、図11及び図12に示す構造を有する。すなわち、容量式センサP1は、センサ部P3と、ガード部P5とを有する。センサ部P3は、1枚の金属薄膜であり、乗員の皮膚に接触せずに(間に衣服を介して)、静電容量結合によって乗員の身体電位を検出するための電極である。ガード部P5は、金属から成る箱体であり、センサ部P3のうち、乗員に対向する面(図11、図12における上面)以外の面を3次元的に覆う。ガード部P5は、外来ノイズを吸収する機能を有する。センサ部P3とガード部P5との間は絶縁体P7により隔てられている。
【0004】
また、容量式センサP1は、ボルテージフォロワーP9を備え、センサ部P3はそのセンサ端子P11に接続し、ガード部P5はそのガード端子P13に接続している。容量式センサP1は、車両のシートに取り付けられ、センサ部P3が、乗員の臀部、腰部、背部等と対向する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−46310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した容量式センサP1においては、乗員の身体と接しているセンサ部P3の面積が大きいほど、心電検出のS/Nを向上させることができる。しかしながら、センサ部P3のうち、乗員の身体と接する部分は、乗員が誰であるか、及び座り方等により異なるので、センサ部P3を一律に大きくすると、使用状況によっては、図13(b)に示すように、センサ部P3に、乗員の身体(例えば臀部)と接触しない部分が生じてしまう。センサ部P3のうち、乗員の身体と接触しない部分は、ノイズを拾うアンテナとなり、心電検出のS/Nを低下させてしまう。また、図13(a)に示すように、センサ部P3を一律に小さくしても、心電検出のS/Nが悪化してしまう。
【0007】
本発明は以上の点に鑑みなされたものであり、使用状況が変化しても、高いS/Nを実現できる容量式センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の容量式センサにおいて、センサ部は、複数の分割センサ部を配列したものである。複数の分割センサ部は、それぞれ、導電部Bを備える。分割センサ部に対し、人体の接触又は接近がある場合、その分割センサ部の導電部Bは、センサ端子に接続し、接触又は接近がない場合、その分割センサ部の導電部Bはガード端子に接続する。
【0009】
よって、本発明の容量式センサにおいては、センサ部を構成する複数の分割センサ部のうち、人体の接触又は接近がある分割センサ部の導電部B(センサ端子に接続する導電部B)が、静電容量結合によって人体の身体電位を検出するための電極として機能し、人体の接触又は接近がない分割センサ部の導電部B(ガード端子に接続する導電部B)は、従来の容量式センサにおけるガード部として機能する。
【0010】
その結果、人体と容量式センサとの接触面積が大きい場合は、それに応じて、静電容量結合によって人体の身体電位を検出するための電極(人体の接触又は接近がある分割センサ部の導電部B)も大きくなるので、その電極の大きさが小さく固定されている場合に比べて、心電測定のS/Nを向上させることができる。
【0011】
また、人体と容量式センサとの接触面積が小さいと、それに応じて、静電容量結合によって人体の身体電位を検出するための電極(人体の接触又は接近がある分割センサ部の導電部B)も小さくなるので、その電極の大きさが大きく固定されている場合に比べて、心電測定におけるノイズを低減できる。
【0012】
本発明の容量式センサとしては、例えば、分割センサ部に対する押圧力を検出する押圧力検出手段と、押圧力検出手段で検出した分割センサ部に対する押圧力が所定値以上である場合、その分割センサ部の導電部Bをセンサ端子に接続するとともに、分割センサ部に対する押圧力が所定値未満の場合は、その分割センサ部の導電部Bをガード端子に接続する接続切替手段と、を備えるものが挙げられる。この場合、人体の接触の状況に応じて、導電部Bの接続を確実に切り替えることができる。
【0013】
前記押圧力検出手段としては、例えば、押圧された分割センサ部の変位により動作するスイッチが挙げられる。この場合、人体の接触の状況に応じて、導電部Bの接続を確実に切り替えることができる。
【0014】
前記接続切替手段としては、例えば、デマルチプレクサ又はリレーが挙げられる。この場合、人体の接触の状況に応じて、導電部Bの接続を確実に切り替えることができる。
本発明の容量式センサとしては、例えば、導電部Bがセンサ端子に接続している分割センサ部の個数を検出する個数検出手段と、個数検出手段で検出した個数に応じて、容量式センサのゲインを調整するゲイン調整手段とを備えるものが挙げられる。この場合、導電部Bがセンサ端子に接続している分割センサ部の個数(すなわち、接触インピーダンス)が変化しても、その変化に応じて、容量式センサのゲインを適切に調整できるので、容量式センサの測定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】容量式センサ1の外観を表す斜視図である。
【図2】容量式センサ1の電気的構成を表すブロック図である。
【図3】センサ部3周辺の構成を表す断面図であり、(a)は分割センサ部9が人体に押圧されていない状態を表し、(b)は一部の分割センサ部9が人体に押圧されている状態を表す。
【図4】センサ部3周辺の構成を表す断面図である。
【図5】容量式センサ1の電気的構成を表すブロック図である。
【図6】変形例における容量式センサ1の電気的構成を表すブロック図である。
【図7】センサ部3周辺の構成を表す断面図である。
【図8】押下スイッチ19の構成を表す説明図である。
【図9】加算回路33及びその周辺の構成を表すブロック図である。
【図10】容量式センサ1が実行する処理を表すフローチャートである。
【図11】従来の容量式センサの構成を表す斜視図である。
【図12】従来の容量式センサの構成を表すブロック図である。
【図13】従来の容量式センサにおける課題を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施形態>
1.容量式センサ1の構成
容量式センサ1の構成を図1〜図3に基づいて説明する。図1は、容量式センサ1の外観を表す斜視図である。図2は、容量式センサ1の電気的構成を表すブロック図である。図3は、後述するセンサ部3周辺の構成を表す断面図であり、(a)は分割センサ部9が人体に押圧されていない状態を表し、(b)は一部の分割センサ部9が人体に押圧されている状態を表す。
【0017】
容量式センサ1は、図1に示すように、センサ部3、ガード部5、及び配線部7を備える。容量式センサ1は、車両の乗員(運転者)の心電を測定するためのものであり、車両のシートにおける座面に取り付けられる。容量式センサ1の向きは、センサ部3が上面(シートに着座した乗員の臀部に対向する面)となる向きである。
【0018】
また、容量式センサ1は、図2に示すように、ボルテージフォロワー8を備える。ボルテージフォロワー8は周知の構成を有するものであり、アンプ10から構成される。配線部7は、センサ部3及びガード部5からボルテージフォロワー8に至る配線をその内部に収容する筒状部材である。
【0019】
センサ部3は、複数の分割センサ部9から構成される。各分割センサ部9は、長方形形状を有する板状部材である。各分割センサ部9は、その表面に、金属薄膜から成る導電部11(導電部B)を備えている。センサ部3において、複数の分割センサ部9は、同一平面上で規則正しく配列されている。図2及び図3に示すように、分割センサ部9同士の間には、所定の隙間が設けられている。また、センサ部3の周縁に位置する分割センサ部9とガード部5との間にも、所定の隙間が設けられている。
【0020】
ガード部5は、図1〜図3に示すように、天板5aの中央部が切り欠かれた直方体の箱形状を有する。センサ部3は、天板5aにおいて切り欠かれた部分を覆っている。ガード部5は、その外側面に、金属薄膜から成る導電部13(導電部A)が設けられている。導電部13は、ボルテージフォロワー8のガード端子20に接続している。
【0021】
ガード部5の内部には、図2及び図3に示すように、支持板15が設けられている。分割センサ部9は、この支持板15に対し、弾性変形(伸縮)可能なバネ17により取り付けられている。分割センサ部9に人体が接触していない場合、バネ17は伸びており、分割センサ部9は、図3(a)に示すように、ガード部5の天板5aと面一の位置にある。一方、車両のシートに乗員が座り、乗員の臀部が分割センサ部9を下向きに押圧した場合、図3(b)に示すように、バネ17は縮み、分割センサ部9は下側(ガード部5の内部)に押し込まれる。なお、分割センサ部9に対する押圧が解除されると、バネ17が伸長し、分割センサ部9の位置は、図3(a)で示す位置に復帰する。複数の分割センサ部9は、それぞれが独立して、上記の変位を行うことができる。
【0022】
支持板15の上面であって、分割センサ部9に対向する位置には、押下スイッチ19(押圧力検出手段、接続切替手段)が設けられている。押下スイッチ19は、複数の分割センサ部9のそれぞれについて、1個ずつ設けられている。押下スイッチ19の入力側には、対応する(その真上に位置する)分割センサ部9の導電部11が接続している。また、押下スイッチ19の2つの出力側は、それぞれ、ボルテージフォロワー8(図2参照)のガード端子20とセンサ端子22に接続されている。
【0023】
押下スイッチ19は、押圧により押し下げられた分割センサ部9の変位により動作するスイッチである。すなわち、押下スイッチ19は、図3(a)のように、対応する(真上にある)分割センサ部9が押し下げられていない場合は、導電部11をガード端子20に接続し、センサ端子22に対しては接続しない。一方、図3(b)に示すように、対応する分割センサ部9が押し下げられ、押下スイッチ19に所定値以上の圧力が加わり、押下スイッチ19が押し下げられた場合は、導電部11をセンサ端子22に接続し、ガード端子20に対しては接続しない。
【0024】
2.容量式センサ1が奏する作用効果
容量式センサ1は、上述したしたように、センサ部3が上側となる向きで、車両のシートの座面に取り付けられる。乗員がシートに着座したとき、複数の分割センサ部9のうち、乗員の臀部に接触するものは、図3(b)における右側の分割センサ部9のように押し下げられ、その分割センサ部9の導電部11は、センサ端子22に接続する。一方、乗員の臀部に接触しない分割センサ部9は、図3(a)に示すように押し下げられず、その分割センサ部9の導電部11は、ガード端子20に接続する。
【0025】
よって、容量式センサ1においては、センサ部3を構成する複数の分割センサ部9のうち、乗員の臀部に接触する分割センサ部9の導電部11(センサ端子22に接続する導電部11)のみが、静電容量結合によって乗員の身体電位を検出するための電極(従来の容量式センサにおけるセンサ部)として機能し、乗員の臀部に接触しない分割センサ部9の導電部11(ガード端子20に接続する導電部11)は、従来の容量式センサにおけるガード部として機能する。
【0026】
その結果、乗員と容量式センサ1との接触面積が大きい場合は、それに応じて、静電容量結合によって乗員の身体電位を検出するための電極(乗員の臀部に接触する分割センサ部9の導電部11)も大きくなるので、その電極の大きさが小さく固定されている場合に比べて、心電測定のS/Nを向上させることができる。
【0027】
また、乗員と容量式センサ1との接触面積が小さいと、それに応じて、静電容量結合によって乗員の身体電位を検出するための電極(乗員の臀部に接触する分割センサ部9の導電部11)も小さくなるので、その電極の大きさが大きく固定されている場合に比べて、心電測定におけるノイズを低減できる。
<第2の実施形態>
1.容量式センサ1の構成
容量式センサ1の構成を図4及び図5に基づいて説明する。図4は、センサ部3周辺の構成を表す断面図である。図5は容量式センサ1の電気的構成を表すブロック図である。
【0028】
容量式センサ1の基本的な構成は前記第1の実施形態と同様であるが、分割センサ部9及びその周辺の構成において一部相違する。以下では、その相違点を中心に説明する。
分割センサ部9は、メンブレンスイッチ(押圧力検出手段、接続切替手段)21と、その上面に設けられた、金属薄膜から成る導電部23(導電部B)と、メンブレンスイッチ21の下面に取り付けられたデマルチプレクサ(DEMUX)25から構成される。分割センサ部9は、支持板15に対し、支持脚27により固定される。導電部23の位置は、ガード部5の天板5aにおける導電部13と面一である。
【0029】
デマルチプレクサ25の入力側には、同じ分割センサ部9の導電部23が接続している。また、デマルチプレクサ25の2つの出力側は、それぞれ、ボルテージフォロワー8(図2参照)のガード端子20とセンサ端子22に接続されている。
【0030】
任意の分割センサ部9に乗員の臀部が接触した場合、その分割センサ部9のメンブレンスイッチ21がONとなってデマルチプレクサ25を動作させ、導電部23をセンサ端子22に接続し、ガード端子20に対しては接続しない。一方、分割センサ部9に乗員の臀部が接触していない場合、その分割センサ部9のメンブレンスイッチ21は、導電部23をガード端子20に接続し、センサ端子22に対しては接続しない。
【0031】
2.容量式センサ1が奏する作用効果
(1)本実施形態の容量式センサ1も、前記第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。すなわち、乗員と容量式センサ1との接触面積が大きい場合は、それに応じて、静電容量結合によって乗員の身体電位を検出するための電極(乗員の臀部に接触する分割センサ部9の導電部23)も大きくなるので、その電極の大きさが小さく固定されている場合に比べて、心電測定のS/Nを向上させることができる。
【0032】
また、乗員と容量式センサ1との接触面積が小さいと、それに応じて、静電容量結合によって乗員の身体電位を検出するための電極(乗員の臀部に接触する分割センサ部9の導電部23)も小さくなるので、その電極の大きさが大きく固定されている場合に比べて、心電測定におけるノイズを低減できる。
(2)また、メンブレンスイッチ21を用いることにより、容量式センサ1を薄型にすることができる。また、デマルチプレクサ25を用いることにより、容量式センサ1を柔らかいものにすることができる。
【0033】
3.変形例
本実施形態では、図6に示すように、デマルチプレクサ25の代わりに、リレー27を用いてもよい。リレー27もデマルチプレクサ25と同様に機能する。すなわち、任意の分割センサ部9に乗員の臀部が接触した場合、その分割センサ部9のメンブレンスイッチ21がONとなってリレー27を動作させ、導電部23をセンサ端子22に接続し、ガード端子20に対しては接続しない。一方、分割センサ部9に乗員の臀部が接触していない場合、その分割センサ部9のメンブレンスイッチ21は、導電部23をガード端子20に接続し、センサ端子22に対しては接続しない。
【0034】
上記のようにリレー27を用いた場合でも、デマルチプレクサ25を用いる場合と略同様の作用効果を奏することができる。
<第3の実施形態>
1.容量式センサ1の構成
容量式センサ1の構成を図7に基づいて説明する。図7は、センサ部3周辺の構成を表す断面図である。
【0035】
容量式センサ1の基本的な構成は前記第1の実施形態と同様であるが、センサ部3及びその周辺の構成において一部相違する。以下では、その相違点を中心に説明する。
センサ部3を構成する複数の分割センサ部9は、支持板15に対し、弾性変形(伸縮)可能なバネ17により取り付けられている。分割センサ部9に人体が接触していない場合、バネ17は縮んでおらず、分割センサ部9は、図7(a)に示すように、ガード部5の天板5aと面一の位置にある。一方、車両のシートに乗員が座り、乗員の臀部が分割センサ部9を下向きに押圧した場合、図7(b)に示すように、バネ17は縮み、分割センサ部9は下側(ガード部5の内部)に押し込まれる。なお、分割センサ部9に対する押圧が解除されると、バネ17が伸長し、分割センサ部9の位置は、図7(a)で示す位置に復帰する。
【0036】
分割センサ部9は、その全面(上面、側面、及び下面を含む)にわたって、金属薄膜から成る導電部11(導電部B)を備えている。また、ガード部5は、その外側面に、金属薄膜から成る導電部13(導電部A)を備えているが、その導電部13は、天板5aにおける、分割センサ部9と対向する側面5bにも、延びている。なお、導電部13は、ガード端子20に接続している。
【0037】
図7(a)に示すように、隣接する分割センサ部9のいずれもが押し込まれていない場合、それらの導電部11は互いに接触し、導通する。また、ガード部5に隣接する分割センサ部9が押し込まれていない場合、その分割センサ部9の導電部11と、ガード部5の導電部13とは、接触し、導通する。
【0038】
よって、押し込まれていない分割センサ部9の導電部11は、隣接する分割センサ部9の導電部11、及びガード部5の導電部13を介して、ガード端子20に接続する。
支持板15には、導電層29と、その導電層29に接続し、上方に突出した接点部31とが設けられている。接点部31は金属から成り、各分割センサ部9ごとに設けられている。導電層29及び接点部31は、センサ端子22に接続している。図7(b)に示すように、分割センサ部9が押し下げられた場合、その分割センサ部9の導電部11は、接点部31に当接し、センサ端子22に接続する。
【0039】
また、図7(b)に示すように、押し下げられた分割センサ部9の導電部11は、押し下げられていない分割センサ部9の導電部11や、ガード部5の導電部13とは接続しない。よって、押し下げられた分割センサ部9の導電部11は、ガード端子20には接続しない。
【0040】
2.容量式センサ1が奏する作用効果
本実施形態の容量式センサ1も、前記第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。すなわち、乗員がシートに着座したとき、複数の分割センサ部9のうち、乗員の臀部に接触するものは、図7(b)における右側の分割センサ部9のように押し下げられ、その分割センサ部9の導電部11は、接点部31及び導電層29を介して、センサ端子22に接続する。一方、乗員の臀部に接触しない分割センサ部9は、図7(a)に示すように押し下げられず、その分割センサ部9の導電部11は、隣接する分割センサ部9の導電部11や、ガード部5の導電部13を介して、ガード端子20に接続する。
【0041】
よって、容量式センサ1においては、センサ部3を構成する複数の分割センサ部9のうち、乗員の臀部に接触する分割センサ部9の導電部11(センサ端子22に接続する導電部11)のみが、静電容量結合によって乗員の身体電位を検出するための電極(従来の容量式センサにおけるセンサ部)として機能し、乗員の臀部に接触しない分割センサ部9の導電部11(ガード端子20に接続する導電部11)は、従来の容量式センサにおけるガード部として機能する。
【0042】
その結果、乗員と容量式センサ1との接触面積が大きい場合は、それに応じて、静電容量結合によって乗員の身体電位を検出するための電極(乗員の臀部に接触する分割センサ部9の導電部11)も大きくなるので、その電極の大きさが小さく固定されている場合に比べて、心電測定のS/Nを向上させることができる。
【0043】
また、乗員と容量式センサ1との接触面積が小さいと、それに応じて、静電容量結合によって乗員の身体電位を検出するための電極(乗員の臀部に接触する分割センサ部9の導電部11)も小さくなるので、その電極の大きさが大きく固定されている場合に比べて、心電測定におけるノイズを低減できる。
<第4の実施形態>
1.容量式センサ1の構成
容量式センサ1の構成を図8〜図10に基づいて説明する。図8は、押下スイッチ19の構成を表す説明図であり、図9は後述する加算回路33及びその周辺の構成を表すブロック図であり、図10は容量式センサ1が実行する処理を表すフローチャートである。
【0044】
容量式センサ1の基本的な構成は前記第1の実施形態と同様であるが、押下スイッチ19及びその周辺の構成において一部相違する。以下では、その相違点を中心に説明する。
押下スイッチ19は、図8に示すように、いわゆる2回路2接点スイッチである。押下スイッチ19の端子19a、19b、19cにそれぞれ、導電部11、ガード端子20、センサ端子22が接続している。前記第1の実施形態と同様に、押下スイッチ19は、対応する分割センサ部9が押し下げられていない場合は、導電部11をガード端子20に接続し、センサ端子22に対しては接続しない。一方、対応する分割センサ部9が押し下げられ、押下スイッチ19が押し下げられた場合は、導電部11をセンサ端子22に接続し、ガード端子20に対しては接続しない。
【0045】
また、押下スイッチ19の他の端子19d、19e、19fには、それぞれ、加算回路(個数検出手段)33、GND、及び電流源が接続している。押下スイッチ19において、導電部11がセンサ端子22と接続するとき、それに連動して、加算回路33と電流源が接続する。また、押下スイッチ19において、導電部11がガード端子20と接続するとき、加算回路33はGNDと接続する。
【0046】
加算回路33は、図9に示すように、周知の構成を有する加算回路であり、抵抗35、37から成る。加算回路33は、複数の押下スイッチ19における端子19dとそれぞれ接続しており、それらから送られる信号(押下スイッチ19における端子19d、19fが接続したときの信号)を加算し、その加算した信号(以下では加算回路出力とする)を、マイコン(ゲイン調整手段)39に出力する。
【0047】
マイコン39は、後述する処理により、加算回路出力に応じて、可変抵抗41における抵抗値を設定する。可変抵抗41の抵抗値は、容量式センサ1のゲインを決定する。
マイコン39が実行する処理を、図10のフローチャートに基づいて説明する。ステップ10では、可変抵抗41の抵抗値を所定の初期値に設定する(初期設定)。
【0048】
ステップ20では、加算回路出力の電圧が0を超えるか否かを判断する。0を超える場合はステップ30に進み、0以下である場合はステップ20に留まる。
ステップ30では、出力数をカウント(算出)する。ここで、出力数とは、加算回路33に対し、電流源の電圧の信号を出力したスイッチ19の数(すなわち、押圧された分割センサ部9の数)である。加算回路出力は、出力数が大きいほど大きいという特性があるので、加算回路出力から、出力数を算出することができる。
【0049】
ステップ40では、前記ステップ30で算出した出力数に対応する、可変抵抗41の抵抗値を算出する。なお、マイコン39は、出力数と抵抗値とを関連付けたマップを、予めメモリ(図示略)に記憶しており、前記ステップ30で算出した出力数をそのマップに当てはめて、抵抗値を算出する。
【0050】
ステップ50では、可変抵抗41の抵抗値を、前記ステップ40で算出した抵抗値に設定する。
2.容量式センサ1が奏する作用効果
(1)本実施形態の容量式センサ1も、前記第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。すなわち、乗員と容量式センサ1との接触面積が大きい場合は、それに応じて、静電容量結合によって乗員の身体電位を検出するための電極(乗員の臀部に接触する分割センサ部9の導電部23)も大きくなるので、その電極の大きさが小さく固定されている場合に比べて、心電測定のS/Nを向上させることができる。
【0051】
また、乗員と容量式センサ1との接触面積が小さいと、それに応じて、静電容量結合によって乗員の身体電位を検出するための電極(乗員の臀部に接触する分割センサ部9の導電部23)も小さくなるので、その電極の大きさが大きく固定されている場合に比べて、心電測定におけるノイズを低減できる。
(2)容量式センサ1においては、導電部11がセンサ端子22に接続している分割センサ部9の個数が、状況により変化するので、容量式センサ1の接触インピーダンスも、状況により変化する。
【0052】
そこで、容量式センサ1は、導電部11がセンサ端子22に接続している分割センサ部9の個数(接触インピーダンスを反映する数値)を、加算回路出力として取得し、その加算回路出力に応じて、可変抵抗41の抵抗値(容量式センサ1のゲイン)を設定する。
【0053】
よって、容量式センサ1は、接触インピーダンスが変化しても、それに応じて、容量式センサ1のゲインを適切に調整できるので、測定精度を向上させることができる。
尚、本発明は前記実施の形態になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【0054】
例えば、前記第1〜第4の実施形態において、乗員の接触又は接近を圧力変化ではなく、磁気変化、静電容量の変化等により検出してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1・・・容量式センサ、3・・・センサ部、5・・・ガード部、
5a・・・天板、5b・・・側面、7・・・配線部、
8・・・ボルテージフォロワー、9・・・分割センサ部、
10・・・アンプ、11、13・・・導電部、12・・・抵抗、
15・・・支持板、17・・・バネ、19・・・押下スイッチ、
19a、19b、19c、19d、19f・・・端子、
20・・・ガード端子、21・・・メンブレンスイッチ、
22・・・センサ端子、23・・・導電部、25・・・デマルチプレクサ、
27・・・リレー、27・・・支持脚、29・・・導電層、
31・・・接点部、33・・・加算回路、35・・・抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ端子と、
ガード端子と、
前記ガード端子に接続する導電部Aを備えたガード部と、
複数の分割センサ部を配列して成るセンサ部と、
を備え、
前記複数の分割センサ部は、それぞれ、導電部Bを備え、
前記分割センサ部に対し、人体の接触又は接近がある場合、その分割センサ部の導電部Bは前記センサ端子に接続し、前記接触又は接近がない場合、その分割センサ部の導電部Bは前記ガード端子に接続することを特徴とする容量式センサ。
【請求項2】
前記分割センサ部に対する押圧力を検出する押圧力検出手段と、
前記押圧力検出手段で検出した前記分割センサ部に対する押圧力が所定値以上である場合、その分割センサ部の導電部Bを前記センサ端子に接続するとともに、前記分割センサ部に対する前記押圧力が前記所定値未満の場合は、その分割センサ部の導電部Bを前記ガード端子に接続する接続切替手段と、を備えることを特徴とする請求項1記載の容量式センサ。
【請求項3】
前記押圧力検出手段は、押圧された前記分割センサ部の変位により動作するスイッチであることを特徴とする請求項2記載の容量式センサ。
【請求項4】
前記接続切替手段は、デマルチプレクサ又はリレーであることを特徴とする請求項2又は3記載の容量式センサ。
【請求項5】
前記導電部Bが前記センサ端子に接続している前記分割センサ部の個数を検出する個数検出手段と、
前記個数検出手段で検出した前記個数に応じて、容量式センサのゲインを調整するゲイン調整手段と、を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の容量式センサ。

【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図11】
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【図13】
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