説明

導光板、面光源装置、液晶表示用光源パネルおよび液晶表示装置ならびに導光板の製造方法

【課題】出射光の輝度を向上させることが可能な導光板の構造及びその製造方法を提供する。
【解決手段】導光板1は、光源から入射部に光が入射され、その入射された光を内部で伝播させて出射面から出射させ、その出射した光で表示画面を照明する。出射面と反対側の面には、複数個の微小形状部10が凹形状に形成されて点在するように配置されており、微小形状部の大きさを規定する径寸法が表示画面を構成する画素間隔よりも小さい。この導光板は、製造プロセスの中間工程で頂壁面と頂壁面に対して傾斜している側壁面とを有するレジスト構造体を作製することによって、合成樹脂材料を成形して製造される。前記レジスト構造体は、X線又は紫外線を基板上のレジスト膜に照射して露光部分と非露光部分とを形成し、現像することで形成される。前記X線又は紫外線のエネルギ強度分布を制御することで、照射領域と非照射領域の境界として傾斜面が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、導光板、面光源装置、液晶表示用光源パネルおよび液晶表示装置、ならびに導光板の製造方法に関し、特定的には、携帯電話等の携帯情報端末、パーソナルコンピュータおよびカーナビゲーション装置等における液晶表示装置、液晶表示パネルを照明するための面光源装置としての液晶表示用光源パネル、これらの液晶表示装置と液晶表示用光源パネルに使用される導光板とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、たとえば液晶表示装置においては、液晶表示パネルは自ら発光しないので、外部から光を液晶表示パネルに照射することによって液晶表示画面を見ることができるようにしている。これを実現するために、たとえば、いわゆるライティングパネルと呼ばれる面光源装置を液晶表示パネルの表示画面と反対側に配置している。面光源装置から出射した光が液晶表示パネルを通過することによって、表示画面を照明している。面光源装置は、外部に配置された、たとえば、発光ダイオード(LED)の点光源からの光を面光源に転換して液晶表示パネルに均一に入射させるために導光板を備えている。
【0003】
このような面光源装置においては、導光板に入射された点光源からの光を導光板から均一に効率よく出射することが求められている。出射光の輝度を向上させるために導光板の出射面または出射面と反対側の面に種々の形状の穴、突起または溝等を形成することが提案されている。たとえば、このような導光板の構造は、特開平10−253960号公報(特許文献1参照)、特開2001−228338号公報(特許文献2参照)に開示されている。
【特許文献1】特開平10−253960号公報
【特許文献2】特開2001−228338号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、携帯情報端末の表示装置に用いられる液晶表示パネルにおいては、カラー動画化等によって表示内容が複雑かつ多様になってきている。このため、液晶表示画面の高画質化に対する要求は高まってきている。この要求に応えるために液晶表示装置において回路部と表示部の消費電力が増大しつつある。一方、周辺部品としての面光源装置であるライティングパネルに対しては、より低い消費電力で照明光の利用効率を高めることができるとともに、より精細な表示画面を明るく照らすために出射光の輝度をより高くしたものが求められている。
【0005】
そこで、この発明の目的は、出射光の輝度を向上させることが可能な導光板の構造を提供することである。
【0006】
この発明のもう一つの目的は、照明光の利用効率を高めることが可能な面光源装置、液晶表示用光源パネル、液晶表示装置を提供することである。
【0007】
この発明の別の目的は、出射光の輝度を向上させることが可能な導光板の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、液晶表示画面の高画質化に対する要求に応えるために鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を備えた導光板を用いることによって上記の目的を達成することができることを見出した。このような発明者の知見に基づいて本発明はなされたものである。
【0009】
この発明に従った導光板は、光源から入射部に光が入射され、その入射された光を内部で伝播させて出射面から出射させ、その出射した光で表示画面を照明するための導光板であって、以下の特徴を備えている。出射面と反対側の面には、複数個の微小形状部が凹形状で円錐台形状になるように形成されて点在するように配置されている。微小形状部の大きさを規定する径寸法が表示画面を構成する画素間隔よりも小さい。
【0010】
この発明の導光板においては、出射面と反対側の面に形成される微小形状部が画素間隔よりも小さいので、より精細な表示画面を明るく照らすために必要な出射光の輝度を向上させることができる。
【0011】
この発明の導光板においては、微小形状部の大きさを規定する径寸法に対する高さ寸法の比率が0.3以上1.0以下であるのが好ましい。この場合、出射光の輝度を高めることができるとともに均一性を向上させることができる。
【0012】
この発明に従った面光源装置は、上記のいずれかの特徴を有する導光板と、この導光板の入射部に光が入射するように配置された点光源とを備える。
【0013】
さらに、この発明に従った液晶表示用光源パネルは、上記のいずれかの特徴を有する導光板と、この導光板の入射部に光が入射するように配置された点光源と、導光板の出射面から出射した光を制御するように配置された光制御部材とを備える。
【0014】
この発明に従った液晶表示装置は、上記の液晶表示用光源パネルと、この液晶表示用光源パネルから出射した光で照明されるように配置された液晶表示パネルとを備える。
【0015】
この発明に従った導光板の製造方法は、次の工程を備える。なお、以下の製造方法においては、X線の代わりに紫外線(UV)によるリソグラフィ技術を採用してもよい。
【0016】
(a)基板の上に形成されたレジスト膜にX線を照射することによって、レジスト膜にX線露光部分とX線非露光部分とを形成する工程。
【0017】
(b)X線が照射されたレジスト膜を現像することによって、頂壁面と、この頂壁面に対して傾斜している側壁面とを有するレジスト構造体を基板の上に形成する工程。
【0018】
(c)レジスト構造体と基板を被覆するように金属を電着させることによって、金属構造体を形成する工程。
【0019】
(d)金属構造体からレジスト構造体を除去した後、金属構造体を型として用いて合成樹脂材料を成形する工程。
【0020】
なお、前記レジスト膜にX線を照射するときにエネルギ強度分布を制御することによって、照射領域と非照射領域との境界として傾斜面が形成される。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、この発明によれば、より精細な表示画面を明るく照らすために出射光の輝度を従来よりも向上させることが可能な導光板を得ることができる。これにより、液晶表示装置に用いられる液晶表示用光源パネル等の面光源装置において照明光の利用効率を高めることができ、消費電力の低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、この発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態に従った導光板を概念的に示す概略平面図である。図1に示すように、導光板1は、その出射面または出射面と反対側の面の少なくともいずれか一方の面には、多数個の凹形状または凸形状に形成された微小形状部としてドット10が点在するように配置されている。光は矢印Lで示されるように外部の点光源から導光板1に入射される。ドット10は、導光板1の入射部から離れるにしたがって点在の程度が疎の状態から密な状態に徐々に変化するように配置されている。なお、図1は、ドット10の配置パターンを概念的に示したものであり、正確に示したものではない。
【0024】
図2は、図1の導光板1においてドット10の配置パターンの概念を説明するために示す図である。図2に示すように、矢印Lで示されるように光が入射される入射近傍領域IVでは、ドット10の配置密度が最も小さい。導光板1の中央部領域IIIでは、入射近傍領域IVよりもドット10の配置密度が大きい。さらに、導光板1の角領域IIとVでは、中央領域IIIよりもドット10の配置密度が大きい。入射部から最も離れた導光板1の角部領域Iでは、ドット10の配置密度が最も大きい。
【0025】
図3は、図1の導光板1においてドット10の配置パターンの別の概念を説明するために示す図である。図3の(A)で示すようにドット10は規則的に配置することもでき、あるいは(B)で示すようにドット10は不規則にランダムに配置することもできる。出射光の輝度の均一性を高めるためには、(B)で示すようにドット10をランダムに配置するのが好ましい。
【0026】
図4は、図1の導光板1においてドット10の種々の断面形状を概念的に示すための導光板の概略的な断面図である。図4の(A)で示すように、一つの実施の形態では導光板1の出射面と反対側の面に多数個の円柱形状凹部11が点在するように配置されている。(B)で示すように、もう一つの実施の形態では導光板1の出射面に多数個の円柱形状凸部12が点在するように配置されている。また、(C)で示すように、導光板1の出射面には円柱形状凸部12が形成されるとともに、出射面と反対側の面には円柱形状凹部11が形成されてもよい。図4の(D)で示すように、別の実施の形態では導光板1の出射面と反対側の面に多数個の円錐台形状凹部13が点在するように配置されている。(E)で示すように、さらに別の実施の形態では導光板1の出射面に多数個の円錐台形状凸部14が点在するように配置されている。また、(F)で示すように、導光板1の出射面には円錐台形状凸部14が形成されるとともに、出射面と反対側の面には円錐台形状凹部13が形成されてもよい。
【0027】
なお、図4では、横断面が円形状のドット11〜14を示したが、三角形、正方形、長方形等の多角形状のドット10を形成してもよい。また、図4の(D)〜(F)では円錐台形状のドット10を示したが、少なくとも側壁が頂壁に対して傾斜している凸部、または、少なくとも側壁が底壁に対して傾斜している凹部であればよい。
【0028】
図5は、この発明の導光板1を備えた面光源装置の一例である液晶表示用光源パネルとしてライティングパネル100の概略的な構成を示す分解斜視図である。図5に示すように、ライティングパネル100は、反射フィルム5、導光板1、拡散フィルム2、レンズフィルム3と4が順に積層されて構成されている。導光板1の側部に配置された発光ダイオード(LED)等の点光源6から光が導光板1に入射される。この例では、3つの点光源6が配置されている。点光源6から導光板1に入射された光は、導光板1の内部で伝播させて、面光源に変換されて導光板1の出射面(図5では上面)から拡散フィルム2に向かって出射する。反射フィルム5は、導光板1の出射面と反対側に漏れ出る光を上記の出射方向に反射させて導光板1の内部に集めるために設けられている。導光板1から出射した光は、光制御部材としての拡散フィルム2を通過することによって進行方向が拡散される。拡散フィルム2を通過して拡散した光は、光制御部材としての、いわゆるプリズムシートと呼ばれるレンズフィルム3と4を通過することによって液晶表示画面の視野角内に集中し、輝度をより高めた光が液晶表示画面を照射する。
【0029】
図6は、図5のライティングパネル100を備えた液晶表示装置500を概念的に示す図である。図6に示すように、点光源6から導光板1に入射された光は矢印で示すように導光板1の内部で反射を繰り返した後、導光板1の出射面から出射し、拡散フィルム2、レンズフィルム3と4を通過し、液晶表示パネルとしての液晶セル200を照射する。液晶セル200の表示画面と反対側の面がライティングパネル100の光の出射面に対向するように配置されている(バックライト方式)。なお、液晶セル200の表示画面がライティングパネル100の光の出射面に対向するように配置されていてもよい(フロントライト方式)。
【0030】
点光源6から導光板1に入射した光は、導光板1と空気の屈折率の差によって全反射を繰り返し、導光板1の内部を伝播する。導光板1の出射面または出射面と反対側の面の少なくともいずれか一方の面には、図1〜図4に示されるように多数個の微小形状部として凸形状または凹形状のドット10が点在して配置されていることによって、光は全反射を繰り返して屈折し、出射面から出射する。この発明では、図4に示す種々の断面形状においてドット10の大きさを規定する径寸法は、液晶セル200の表示画面を構成する画素間隔よりも小さい。具体的には、液晶表示画面の画素間隔(ピッチ)は最小でも100μm程度であるので、ドット100の径寸法は100μm以下である。
【0031】
図1と図2で示す導光板1に矢印Lで示す方向に点光源から光を入射した場合に、微小形状部としてのドット10の形状と寸法を変化させたときに導光板1から出射する光の輝度がどのように変化するのか、について導光板のモデルを用いて光線追跡シミュレーション実験によって調べた。
【0032】
光線追跡シミュレーション実験においては、導光板1の内部での光の反射・屈折と外部への光の透過を考慮し、光の干渉と回折については考慮しないことを前提条件とした。また、導光板1の厚みを1.0mm、出射領域の大きさを33mm×33mm、点光源の光度を数100mcdとし、図1と図2で示されるドット10の配置パターンは、点光源の光量と点光源からの距離とドット当たりの出射量とを因子とする関数に従って点在の程度が入射部から離れるにつれて疎の状態から密の状態に変化するように設定し、図3の(B)で示すようにランダム配置とした。導光板の材質はポリメチルメタクリレート(PMMA)とし、屈折率は1.49とした。
【0033】
図7は、微小形状部としての円柱形状のドット10の径寸法を60μmとした場合のシミュレーション結果を示す。図7の(A)は図4の(A)で示されるようにドット10の形状として円柱形状凹部11を導光板1の出射面と反対側の対向面に形成した場合、(B)は図4の(B)で示されるようにドット10の形状として円柱形状凸部12を導光板1の出射面と反対側の面に形成した場合、(C)は図4の(C)で示されるようにドット10の形状として円柱形状凸部12を導光板1の出射面に形成し、円柱形状凹部11を導光板1の出射面と反対側の面に形成した場合を示す。
【0034】
図8は、微小形状部としての円錐形状のドット10の径寸法を100μmとした場合のシミュレーション結果を示す。図8の(A)は図4の(D)で示されるようにドット10の形状として円錐台形状凹部13に準じて円錐形状凹部を導光板1の出射面と反対側の面に形成した場合、(B)は図4の(E)で示されるようにドット10の形状として円錐台形状凸部14に準じて円錐形状凸部を導光板1の出射面と反対側の面に形成した場合、(C)は図4の(F)で示されるようにドット10の形状として円錐台形状凸部14に準じて円錐形状凸部を導光板1の出射面に形成し、円錐台形状凹部13に準じて円錐形状凹部を導光板1の出射面と反対側の面に形成した場合を示す。
【0035】
図9は、微小形状部としての円錐形状のドット10の径寸法を60μmとした場合のシミュレーション結果を示す。図9の(A)は図4の(D)で示されるようにドット10の形状として円錐台形状凹部13に準じて円錐形状凹部を導光板1の出射面と反対側の面に形成した場合、(B)は図4の(E)で示されるようにドット10の形状として円錐台形状凸部14に準じて円錐形状凸部を導光板1の出射面と反対側の面に形成した場合、(C)は図4の(F)で示されるようにドット10の形状として円錐台形状凸部14に準じて円錐形状凸部を導光板1の出射面に形成し、円錐台形状凹部13に準じて円錐形状凹部を導光板1の出射面と反対側の面に形成した場合を示す。
【0036】
図10は、微小形状部としての円錐形状のドット10の径寸法を30μmとした場合のシミュレーション結果を示す。図10の(A)は図4の(D)で示されるようにドット10の形状として円錐台形状凹部13に準じて円錐形状凹部を導光板1の出射面と反対側の面に形成した場合、(B)は図4の(E)で示されるようにドット10の形状として円錐台形状凸部14に準じて円錐形状凸部を導光板1の出射面と反対側の面に形成した場合、(C)は図4の(F)で示されるようにドット10の形状として円錐台形状凸部14に準じて円錐形状凸部を導光板1の出射面に形成し、円錐台形状凹部13に準じて円錐形状凹部を導光板1の出射面と反対側の面に形成した場合を示す。
【0037】
なお、図7〜図10において、縦軸は、導光板の出射面から出射される光の平均輝度(cd/m2)、横軸は、凹部の場合は微小形状部としてのドット10の深さ(μm)、凸部の場合は高さ(μm)を示す。
【0038】
これらのシミュレーション結果から次のことがわかる。
【0039】
(1)図7〜図10のそれぞれにおいて、出射面に凸部、その反対側の面に凹部を形成した場合(C)の方が、出射面と反対側の面に凹部のみを形成した場合(A)、出射面と反対側の面に凸部のみを形成した場合(B)よりも、出射光の輝度は向上する傾向が認められる。
【0040】
(2)図7と図9を比較すると、微小形状部としてのドット10の径寸法が同一であれば、円錐形状の凹部または凸部を形成した場合の方が、円柱形状の凹部または凸部を形成した場合よりも、出射光の輝度は向上する傾向が認められる。
【0041】
(3)図8〜図10を比較すると、微小形状部としてのドット10の径寸法が100μm、60μm、30μmと小さくなるにつれて、出射光の輝度は向上する傾向が認められる。
【0042】
(4)図8〜図10に示すように、微小形状部としてのドット10の径寸法に対する深さまたは高さ寸法の比率、いわゆるアスペクト比が高くなるにつれて(図において深さまたは高さ寸法が大きくなるにつれて)出射光の輝度は向上するが、アスペクト比が高くなりすぎると出射光の輝度の値は飽和するか、かえって低くなる、あるいは不安定になる傾向が認められる。
【0043】
(5)図9に示すように微小形状部としてのドット10の径寸法が液晶表示画面の画素間隔(ピッチ)よりも小さい60μmの場合には、アスペクト比が1を超えると出射光の輝度は低くなる傾向が認められ、0.3〜1.0の範囲内のアスペクト比であれば高い輝度を得ることができる。
【0044】
以上の結果から、出射光の輝度を向上させるためには、径寸法が液晶表示画面の画素間隔(ピッチ)よりも小さい微小形状部を形成し、微小形状部の形状としては、導光板の出射面に円錐形状または円錐台形状の凸部、その反対側の面に円錐形状または円錐台形状の凹部を形成するのが最も好ましいといえる。径寸法はより小さい方が好ましいが、輝度の均一性を考慮すると60μm程度が好ましい。また、アスペクト比は0.3〜1.0の範囲内であるのが好ましい。
【0045】
図11と図12は、本発明の導光板の製造方法の実施の形態として、工程順に従った概略的な断面を示す図である。製造方法の実施の形態の例として、図11は円柱形状の凸部からなる微小形状部を形成する場合の導光板の製造方法を示し、図12は円錐台形状の凸部からなる微小形状部を形成する場合の導光板の製造方法を示す。本発明の導光板は、いわゆるLIGA(Lithographie Galvanoformung Abformung)プロセスを用いて製造される。以下、導光板の製造方法について具体的に説明する。
【0046】
まず、円柱形状の凸部からなる微小形状部を形成する場合の導光板の製造方法について説明する。
【0047】
図11の(A)に示すように、シリコンの基板20の表面上に厚み数10〜100μm程度のたとえば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のレジスト膜30を形成する。
【0048】
図11の(B)に示すように、X線マスク40を用いて、基板20の上に形成されたレジスト膜30にX線を矢印Pで示す方向に照射する。X線は直進性に優れたシンクロトロン放射(SR)光装置から発生するX線を用いる。これにより、レジスト膜30にアスペクト比の高いX線露光部分とX線非露光部分とを形成する。この場合、X線マスク40は、円柱形状X線吸収体41と、このX線吸収体41を被覆するX線透過膜42とから構成されている。
【0049】
図11の(C)に示すように、現像液に浸漬することにより、X線露光部分が現像液に溶解し、X線非露光部分が残存し、レジスト構造体として円柱形状レジストパターン31が基板20の上に形成される。この段階で円柱形状レジストパターン31の高さを調整するために頂壁面を削ってもよい。
【0050】
図11の(D)に示すように、電鋳法を用いて、円柱形状レジストパターン31と基板20を被覆するように金属としてニッケル等を電着させることによって、金属構造体50を形成する。図11の(D)は、金属構造体50から円柱形状レジストパターン31を除去した状態を示している。金属構造体50には円柱形状凹部51が形成されている。
【0051】
図11の(E)に示すように、金属構造体50を金型として用いてシクロオレフィン系の高転写性樹脂等の合成樹脂を射出成形することによって導光板1を得る。この工程において合成樹脂を圧縮成形してもよい。図11の(E)は、金属構造体50を導光板1から除去した状態を示している。導光板1は微小形状部として円柱形状凸部12を備えている。
【0052】
次に、円錐台形状の凸部からなる微小形状部を形成する場合の導光板の製造方法について説明する。
【0053】
図12の(A)に示すように、シリコンの基板20の表面上に厚み数10〜100μm程度のたとえばポリメチルメタクリレート(PMMA)等のレジスト膜30を形成する。
【0054】
図12の(B)に示すように、X線マスク40を用いて、基板20の上に形成されたレジスト膜30にX線を矢印Pで示す方向に照射する。X線は直進性に優れたシンクロトロン放射(SR)光装置から発生するX線を用いる。これにより、レジスト膜30にアスペクト比の高いX線露光部分とX線非露光部分とを形成する。この場合、X線マスク40は、円錐台形状X線吸収体43と、このX線吸収体43を被覆するX線透過膜42とから構成されている。
【0055】
図12の(C)に示すように、現像液に浸漬することにより、X線露光部分が現像液に溶解し、X線非露光部分が残存し、レジスト構造体として円錐台形状凸部レジストパターン32が基板20の上に形成される。この段階で円錐台形状凸部レジストパターン32の高さを調整するために頂壁面を削ってもよい。
【0056】
図12の(D)に示すように、電鋳法を用いて、円錐台形状凸部レジストパターン32と基板20を被覆するように金属としてニッケル等を電着させることによって、金属構造体50を形成する。図12の(D)は、金属構造体50から円錐台形状凸部レジストパターン32を除去した状態を示している。金属構造体50には円錐台形状凹部52が形成されている。
【0057】
図12の(E)に示すように、金属構造体50を金型として用いてシクロオレフィン系の高転写性樹脂等の合成樹脂を射出成形することによって導光板1を得る。この工程において合成樹脂を圧縮成形してもよい。図12の(E)は、金属構造体50を導光板1から除去した状態を示している。導光板1は微小形状部として円錐台形状凸部14を備えている。
【0058】
図13は、図12の(B)と(C)に示される導光板1の製造工程を部分的に拡大して示す断面図である。図13の(A)に示すように、X線マスク40は円錐台形状X線吸収体43を備えている。円錐台形状X線吸収体43は両端部に傾斜面を有する。この傾斜面においては、X線吸収体の厚みと照射されるX線エネルギ強度とに応じて、一部のX線はX線マスク40から漏れ出て、レジスト膜30を照射して露光する。このため、照射されたレジスト膜30には、X線非照射領域32aとX線照射領域32bとの境界が傾斜面として形成される。このレジスト膜30を現像すると、図13の(B)に示すように、レジスト膜30の上記傾斜面に対応した傾斜面を有する円錐台形状凸部レジストパターン32が形成される。
【0059】
図14は、図12の(B)、図13の(A)で用いられるX線マスクの製造方法の実施の形態として、工程順に従った概略的な断面を示す図である。
【0060】
図14の(A)で示すように、シリコンの基板44の表面上に円柱形状貫通穴45aを有するレジスト膜45を形成する。
【0061】
図14の(B)で示すように、円柱形状貫通穴45aを充填するように金(Au)等のX線吸収体材料をスパッタリング法またはめっき法によって堆積する。このとき、レジスト膜45の上で円柱形状貫通穴45aの外周近傍にもX線吸収体材料を堆積する。これによって形成された略円錐台形状X線吸収体46は、頂壁面と、この頂壁面に対して傾斜している側壁面とを有する。
【0062】
図14の(C)で示すように、レジスト膜45を除去する。
【0063】
図14の(D)で示すように、略円錐台形状X線吸収体46を被覆するように基板44の上にポリイミド等からなるX線透過材層47を形成する。
【0064】
図14の(E)で示すように、基板44の中央部をエッチングで除去することによって、X線透過窓を形成する。このようにして略円錐台形状X線吸収体を備えたX線マスクを製造する。
【0065】
円錐台形状のレジストパターンを製造する方法として、図13に示された方法以外にX線マスクを移動する方法がある。
【0066】
図15は、一例として円錐台形状貫通穴レジストパターンを形成する方法を示す図である。図15の(A)に示すように、X線マスク40として、X線透過材層49の上に円柱形状貫通穴48aを有するX線吸収材層48が形成されたものを用いる。X線が照射される対象物としては、基板20の上にレジスト膜30が形成されている。円柱形状貫通穴48aの中心Rを中心とする円周Q上に沿ってX線マスク40全体を連続的に移動させながら、X線マスク40を通じてレジスト膜30にX線を照射する。このとき、X線吸収材層48の厚みとX線吸収特性と、X線の照射時間すなわちX線の照射エネルギとに応じて、(A)で示されるようにX線エネルギ強度分布を制御することができる。その結果、レジスト膜30にはX線照射領域33bとX線非照射領域33aとの境界として傾斜面が形成される。このレジスト膜30を現像することによって、(B)で示すように円錐台形状貫通穴レジストパターン33が基板20の上に形成される。
【0067】
なお、上述した導光板の製造方法においては、シンクロトロン放射(SR)光装置から発生するX線を用いてレジストパターンを形成し、いわゆる放射光によるLIGAプロセスを採用しているが、商品名SU−8(Microlithography Chemical Corp 社製)と呼ばれる厚膜レジストを用いて、通常の半導体装置の製造工程で適用されている紫外線(UV)によるリソグラフィ技術によってレジストパターンを形成し、いわゆるSU−8におけるLIGAライクプロセスを採用してもよい。ここで、SU−8はバインダーポリマーとエポキシモノマーと光酸発生剤で構成された光カチオン重合系レジストである。
【0068】
また、上記のシミュレーション実験においては微小形状部として円錐形状の凹凸部について説明し、本発明の実施の形態においては微小形状部として円錐台形状の凹凸部について説明したが、いずれの形状でも本発明の作用効果を達成することができる。特に微小形状部として円錐形状の凹凸部を採用した場合、円錐の頂角が45〜50°の範囲内が好ましく、ほぼ45°であるのが最も好ましい。
【0069】
さらに、上記の実施の形態では、微小形状部としてのドットの配置パターンは、ドットの径寸法を同一にして点在の程度が入射部から離れるにつれて疎の状態から密の状態に変化するように設定している。つまり、入射部に近い箇所では同一径のドットの密度を疎にし、入射部から遠い箇所では同一径のドットの密度を密にしている。しかし、径寸法の異なるドットを採用し、入射部に近い疎の領域ではドットの径寸法を相対的に小さくし、入射部から離れた密の領域ではドットの径寸法を相対的に大きくすることによって、より均一な面光源を実現することができる。
【0070】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施の形態に従った導光板を概念的に示す概略平面図である。
【図2】図1の導光板においてドットの配置パターンの概念を説明するために示す図である。
【図3】図1の導光板においてドットの配置パターンの別の概念を説明するために示す図である。
【図4】図1の導光板においてドットの種々の断面形状を概念的に示すための導光板の概略的な断面図である。
【図5】この発明の導光板を備えた面光源装置の一例である液晶表示用光源パネルとしてライティングパネルの概略的な構成を示す分解斜視図である。
【図6】図5のライティングパネルを備えた液晶表示装置を概念的に示す図である。
【図7】微小形状部としての円柱形状のドットの径寸法を60μmとした場合のシミュレーション結果を示す図である。
【図8】微小形状部としての円錐形状のドットの径寸法を100μmとした場合のシミュレーション結果を示す図である。
【図9】微小形状部としての円錐形状のドットの径寸法を60μmとした場合のシミュレーション結果を示す図である。
【図10】微小形状部としての円錐形状のドットの径寸法を30μmとした場合のシミュレーション結果を示す図である。
【図11】円柱形状の凸部からなる微小形状部を形成する場合の導光板の製造方法の実施の形態として、工程順に従った概略的な断面を示す図である。
【図12】円錐台形状の凸部からなる微小形状部を形成する場合の導光板の製造方法の実施の形態として、工程順に従った概略的な断面を示す図である。
【図13】図12の(B)と(C)に示される導光板の製造工程を部分的に拡大して示す断面図である。
【図14】図12の(B)、図13の(A)で用いられるX線マスクの製造方法の実施の形態として、工程順に従った概略的な断面を示す図である。
【図15】円錐台形状貫通穴レジストパターンを形成する方法を示す図である。
【符号の説明】
【0072】
1:導光板
2:拡散フィルム
3,4:レンズフィルム
5:反射フィルム
6:点光源
10:ドット
11:円柱形状凹部
12:円柱形状凸部
13:円錐台形状凹部
14:円錐台形状凸部
20:基板
30,45:レジスト膜
31:円柱形状レジストパターン
32:円錐台形状凸部レジストパターン
40:X線マスク
41:円柱形状X線吸収体
42:X線透過膜
43:円錐台形状X線吸収体
44:基板
45a:円柱形状貫通穴
46:略円錐台形状X線吸収体
47:X線透過材層
50:金属構造体
51:円柱形状凹部
52:円錐台形状凹部
100:ライティングパネル
200:液晶セル
500:液晶表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から入射部に光が入射され、その入射された光を内部で伝播させて出射面から出射させ、その出射した光で表示画面を照明するための導光板であって、
前記出射面と反対側の面には、複数個の微小形状部が凹形状で円錐台形状になるように形成されて点在するように配置され、前記微小形状部の大きさを規定する径寸法が表示画面を構成する画素間隔よりも小さくなっており、
当該導光板は、
基板の上に形成されたレジスト膜にX線又は紫外線を照射し、前記レジスト膜にX線又は紫外線の露光部分と非露光部分とを形成する工程と、
前記X線又は紫外線が照射されたレジスト膜を現像することによって、頂壁面と、前記頂壁面に対して傾斜している側壁面とを有するレジスト構造体を前記基板の上に形成する工程と、
前記レジスト構造体と前記基板を被覆するように金属を電着させることによって、金属構造体を形成する工程と、
前記金属構造体から前記レジスト構造体を除去した後、前記金属構造体を型として用いて合成樹脂材料を成形する工程と、
を含む方法で製造され、
前記レジスト膜にX線又は紫外線を照射するときにエネルギ強度分布を制御することによって、照射領域と非照射領域との境界として傾斜面が形成されることを特徴とする、導光板。
【請求項2】
前記微小形状部の大きさを規定する径寸法に対する高さ寸法の比率が0.3以上1.0以下である、請求項1に記載の導光板。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の導光板と、
前記導光板の入射部に光が入射するように配置された点光源とを備えた、面光源装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の導光板と、
前記導光板の入射部に光が入射するように配置された点光源と、
前記導光板の出射面から出射した光を制御するように配置された光制御部材とを備えた、液晶表示用光源パネル。
【請求項5】
請求項4に記載の液晶表示用光源パネルと、
前記液晶表示用光源パネルから出射した光で照明されるように配置された液晶表示パネルとを備えた、液晶表示装置。
【請求項6】
光源から入射部に光が入射され、その入射された光を内部で伝播させて出射面から出射させ、その出射した光で表示画面を照明するための導光板の製造方法であって、
前記導光板において、前記出射面と反対側の面には、複数個の微小形状部が凹形状で円錐台形状になるように形成されて点在するように配置されており、前記微小形状部の大きさを規定する径寸法が表示画面を構成する画素間隔よりも小さくなっており、
当該製造方法は、
基板の上に形成されたレジスト膜にX線又は紫外線を照射し、前記レジスト膜にX線又は紫外線の露光部分と非露光部分とを形成する工程と、
前記X線又は紫外線が照射されたレジスト膜を現像することによって、頂壁面と、前記頂壁面に対して傾斜している側壁面とを有するレジスト構造体を前記基板の上に形成する工程と、
前記レジスト構造体と前記基板を被覆するように金属を電着させることによって、金属構造体を形成する工程と、
前記金属構造体から前記レジスト構造体を除去した後、前記金属構造体を型として用いて合成樹脂材料を成形する工程と、
を含み、
前記レジスト膜にX線又は紫外線を照射するときにエネルギ強度分布を制御することによって、照射領域と非照射領域との境界として傾斜面が形成されることを特徴とする、導光板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−270223(P2008−270223A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−122790(P2008−122790)
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【分割の表示】特願2003−168140(P2003−168140)の分割
【原出願日】平成15年6月12日(2003.6.12)
【出願人】(505442819)株式会社ナノクリエート (11)
【出願人】(594208075)フジプレアム株式会社 (15)
【Fターム(参考)】