説明

導光部材及びこれを用いた発光表示機能付き電子装置

【課題】本発明は、簡素な構成でありながら、入射光を広い方向に拡散させ、ユーザが広い範囲から発光表示を視認することができる導光部材及びこれを用いた発光表示機能付き電子装置を提供することを目的とする。
【解決手段】板状の形状を有するベース部材31と、該ベース部材31上に所定間隔を空けて複数形成された該ベース部材31を下辺とする略多角形状の断面形状を有する導光板32、38とを有し、該導光板32、38の下端のベース部材31が光の入射面である導光部材30であって、
前記光の入射面は、山34が連続して形成されたローレット部33を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光部材及びこれを用いた発光表示機能付き電子装置に関し、特に、板状の形状を有するベース部材と、ベース部材上に所定間隔を空けて複数形成された略多角形状の断面形状を有する導光板とを有する導光部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、一定方向に明るく発光する発光素子からの光を、プリズムを用いて、当該一定方向から外れた異なる方向に導き、少なくとも二つの異なる位置における観察者に向けて出射可能とした表示器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−71111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の構成では、プリズムを用いて光を異なる方向に導くため、光の出射方向が固定されてしまい、設定された方向以外からの視認が必ずしも十分ではないという問題があった。
【0005】
また、出射方向を設定するために複雑な計算が必要であり、光の出射方向を増やす場合には、プリズムの形状が複雑となり、費やす労力とコストが大きくなるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、簡素な構成でありながら、入射光を広い方向に拡散させ、ユーザが広い範囲から発光表示を視認することができる導光部材及びこれを用いた発光表示機能付き電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る導光部材(30)は、板状の形状を有するベース部材(31)と、該ベース部材(31)上に所定間隔を空けて複数形成された該ベース部材(31)を下辺とする略多角形状の断面形状を有する導光板(32、38)とを有し、該導光板(32、38)の下端のベース部材(31)が光の入射面である導光部材(30)であって、
前記光の入射面は、山(34)が連続して形成されたローレット部(33)を有することを特徴とする。
【0008】
また、前記山(34)は、二等辺三角形であってもよい。
【0009】
また、前記山(34)の先端(34a)は、湾曲形状であってもよい。
【0010】
また、前記山(34)のピッチは、加工可能な範囲で最も細かく設定してあってもよい。
【0011】
また、前記ベース部材(31)の前記導光板(32、38)が形成された面の反対面には、複数の補強板(35)が形成されてもよい。
【0012】
また、前記ベース部材(31)、前記導光板(32、38)及び前記補強板(35)は、一体成形されていてもよい。
【0013】
また、前記補強板(35)は、前記導光板(32、38)同士の間隔の位置に形成されてもよい。
【0014】
また、前記導光板(32、38)の断面形状は、略直角三角形状であってもよい。
【0015】
本発明の他の態様に係る発光表示機能付き電子装置は、前記導光部材(30)と、
該導光部材(30)の導光板(32、38)の下端面近傍に配置された発光素子(40)と、を有することを特徴とする。
【0016】
また、前記導光部材(30)は、前記導光板(32、38)の下辺をなす前記ベース部材(31)が傾斜するように配置され、
前記発光素子(40)は、前記ローレット部(33)の最内側近傍であって、かつ傾斜した前記ローレット部(33)の上下幅内のいずれかの位置に配置されてもよい。
【0017】
また、前記補強板(35)が形成された面側の前記導光板(32、38)と前記補強板(35)との間の位置に、隣接して配置された前記発光素子(40)同士の光の干渉を防止する仕切り板(61)が更に設けられてもよい。
【0018】
なお、上記括弧内の参照符号は、理解を容易にするために付したものであり、一例に過ぎず、図示の態様に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、入射光を多様な角度に拡散させ、ユーザの発光視認範囲を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例1に係る発光表示機能付き電子装置の一例の外観構成図である。
【図2】実施例1に係る発光表示機能付き電子装置のカバーを取り外し状態を示した図である。
【図3】実施例1に係る発光表示機能付き電子装置の表示部内の導光板の拡大図である。
【図4】実施例1に係る発光表示機能付き電子装置の表示部付近の内部構成を示した側断面図である。
【図5】本発明の実施例1に係る導光部材の一例の構成を示した図である。図5(A)は、実施例1に係る導光部材の表面側の構成を示した斜視図である。図5(B)は、実施例1に係る導光部材の裏面側の構成を示した第1の斜視図である。図5(C)は、実施例1に係る導光部材の裏面側の構成を示した第2の斜視図である。
【図6】実施例1に係る導光部材の製造方法の一例を説明する図である。図6(A)は、実施例1に係る導光部材を製造する射出成形の射出・保圧工程の一例を示した図である。図6(B)は、実施例1に係る導光部材の製造方法の型開き工程の一例を示した図である。図6(C)は、固定側金型側に製品が残った状態を示した図である。
【図7】実施例1に係る導光部材の一例の断面構成を示した図である。図7(A)は、実施例1に係る導光部材の断面構成を示した図である。図7(B)は、実施例1に係る導光部材のローレット部の一部を拡大した図である。
【図8】実施例1に係る発光表示機能付き電子装置の一例の外観構成及び内部構成を示した図である。図8(A)は、実施例1に係る発光表示機能付き電子装置の外観構成を示した図である。図8(B)は、実施例1に係る発光表示機能付き電子装置の内部構成を示した分解図である。
【図9】インナーシャーシをシャーシ上に組み込んだ状態を示した図である。
【図10】実施例1に係る発光表示機能付き電子装置の導光部材と発光素子収容部材との位置関係の説明図である。図10(A)は、本実施例に係る発光表示機能付き電子装置の上面図である。図10(B)は、図10(A)のA−A’断面における正面断面構成図である。図10(C)は、図10(A)のB−B’断面における側面断面構成図である。
【図11】実施例1に係る発光表示機能付き電子装置の発光表示例を示した図である。図11(A)は、天面側の発光表示例を示した図である。図11(B)は、正面側の発光表示例を示した図である。図11(C)は、左側面の発光表示例を示した図である。図11(D)は、右側面の発光表示例を示した図である。
【図12】本発明の実施例2に係る導光部材の一例を示した構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明の実施例1に係る発光表示機能付き電子装置の一例の外観構成を示した図である。図1において、本実施例に係る発光表示機能付き電子装置は、上ケース10と、カバー11と、下ケース20とを備える。図1において、本実施例に係る発光表示機能付き電子装置は、下ケース20上を上ケース10が覆って蓋をし、上ケース10の一部をカバー11が覆った構成を有している。
【0023】
図2は、本発明の実施例1に係る発光表示機能付き電子装置のカバー11を取り外した状態を示した図である。カバー11の下には、表示部12が設けられている。表示部12は、導光板32を備え、導光板32が、インジケータの役割を果たすように構成されている。導光板32は、例えば、電源のオン・オフ、光入力の有無等、入力信号の状態や、装置の状態を示すインジケータとして用いられる。よって、導光板32は、表示部12内に複数設けるようにしてもよい。
【0024】
また、本実施例に係る発光表示機能付き電子装置は、種々の分野の電子装置に利用することができるが、例えば、光信号を電気信号に変換する信号変換装置等に利用してもよい。本実施例においては、以下、発光表示機能付き電子装置を、光回線終端装置として構成した例を挙げて説明するが、発光表示機能付き電子装置の用途は、これに限られるものではなく、種々の装置に適用できる。
【0025】
図3は、本発明の実施例1に係る発光表示機能付き電子装置の表示部12内の導光板32の1つを拡大して示した図である。図3において、表示部12に設けられた導光板32が示されているが、導光板32は、所定の厚さを有し、断面形状及び側面形状が略三角形状に構成されている。導光板32は、天面32aと、正面32bと、左側面32cと、右側面32dとを有し、4面に発光表示を行うことが可能な形状に構成されている。導光板32を、例えばこのようなある程度の厚さを有する三角形状に構成することにより、天面、正面、左側面及び右側面からの発光表示を視認することができる。
【0026】
図4は、本発明の実施例1に係る発光表示機能付き電子装置の表示部付近の内部構成を示した側断面図である。図4において、本実施例に係る発光表示機能付き電子装置は、上ケース10と、導光部材30と、発光素子40と、プリント基板50とを有する。
【0027】
図4において、上ケース10の表示部12には、開口13が形成され、開口13から導光板32が上方に突出している。導光板32は、カバー11に覆われている。導光板32は、導光部材30の一部であり、導光部材30は、ベース部材31と、導光板32と、ローレット部33と、支持部36とを有する。導光部材30の下端のローレット部33の近傍には、発光素子40が配置されている。発光素子40は、基板50に接続されて設けられている。
【0028】
導光部材30は、発光素子40から入射した光を拡散させ、種々の方向から視認できるように光を放射する部材であり、光を拡散させる機能を有する材料から構成される。ベース部材31は導光板32を支持する、板状の形状を有する部材である。
【0029】
導光板32は、発光素子40から入射した光を、導光板32が有する面の方向に出射する発光媒体となる部材である。図3において説明したように、天面32a、正面32b、左側面32c及び右側面32dを有し、4面方向に光を出射する。図4においては、上方に面した天面32a、カバー11の側面に面した正面32bが示されている。
【0030】
導光板32は、ベース部材31を下辺とする略多角形状の断面形状を有するように構成される。図4においては、導光板32は、略三角形状の断面形状を有するように構成され、特に、カバー11の上面と側面に2辺が面した略直角三角形の断面形状を有するように構成されている。かかる構成を有することにより、カバー11の面に近接した状態で光を出射することができ、効率的に外部に光を発することができる。なお、「略」直角三角形状と表現しているのは、導光板32の断面形状は、全体的に見ればほぼ直角三角形状であるが、上ケース10表面と高さを合わせるために、上ケース10の厚さ分が削れ、正面32b側から見ると台形とも言え、厳密には直角三角形とは言えないからである。また、天面32aと正面32bの辺が交わる角も、湾曲形状に加工されているので、正確には台形とも言えない形状である。このように、導光板32の形状は、適用する表示機能付き電子装置の上ケース10の外形等に合わせる必要があり、必ずしも数学的に厳密な多角形の形状を有していない場合もある。そこで、そのような厳密な表現ではなく、「略」という表現を用いて、当業者が断面形状を普通に見て思うであろう近似した形状で断面形状を表現している。本願の明細書及び特許請求の範囲においては、そのような、数学的には厳密には該当しないが、常識的又は観念的には該当するある形状に近似した形状を「略」という言葉を用いて表現することとする。
【0031】
ローレット部33は、山が連続して形成されたローレット状の領域である。ローレット部33は、断面構成が、山が連続したギザギザの形状を有しており、導光部材30の光の入射面として用いられる。ローレット部33は、発光素子40から入射した光を、ローレットのギザギザにより種々の方向に拡散させ、入射光を効率的に拡散させる機能を有する。なお、ローレット部33は、導光板32の下端、つまり多角形状の下辺を構成するベース部材31の表面に形成される。
【0032】
支持部36は、導光部材30を固定支持するための部分であり、基板50に接触し、ネジ止め等により導光部材30を所定の位置に固定支持する。
【0033】
発光素子40は、自ら発光し、導光部材30の入射面に光を入射させるための光源である。発光素子40は、種々の素子から構成されてよいが、例えば、発光ダイオードから構成されてもよい。
【0034】
発光素子40は、ローレット部33が形成されたベース部材31の下端面付近に配置されることが好ましい。ローレット部33の近傍に発光素子40を設けることにより、発光素子からの光を、減衰少なく効率よく導光部材30に入射させることができる。
【0035】
具体的には、水平方向においては、発光素子40は、ローレット部33の最内側付近に配置されることが好ましい。発光素子40に発光ダイオードを用いた場合、発光は発光素子の先端部分で起こるため、発光した光が総てローレット部33に減衰無く入射可能なように、ローレット部33とあまり重ならず、かつローレット部33から離れ過ぎない位置に発光素子40が配置されることが好ましい。
【0036】
また、鉛直方向においては、ローレット部33の傾斜の上下幅内に収まるように発光素子40が配置されることが好ましい。発光素子40に、方向性が特に無く一様に発射光が拡散する発光ダイオードを用いた場合、ローレット部33と接近した状態で光をローレット部33に入射させることができるからである。
【0037】
基板50は、発光素子40に接続され、発光素子40を駆動するとともに、本実施例に係る発光表示機能付き電子装置の本来の機能を実現するための回路を搭載するための手段である。例えば、発光表示機能付き電子装置は、光通信を行う光通信装置や、光から電気信号への変換又はその逆の変換を行う信号変換装置、光回線終端装置等として構成されてよく、各装置に応じた回路が搭載されてよい。
【0038】
このように、本実施例に係る発光表示機能付き電子装置は、ローレット部33を入射面に有する導光部材30を用い、発光素子40をローレット部33の近傍に配置することにより、効率的に光を多方向に拡散させ、種々の方向に居るユーザに発光表示を視認させることができる構成となっている。
【0039】
次に、図5乃至図7を用いて、本発明の実施例1に係る導光部材の構成及び機能についてより詳細に説明する。
【0040】
図5は、本発明の実施例1に係る導光部材の一例の構成を示した図である。図5(A)は、実施例1に係る導光部材30の表面側の構成を示した斜視図である。図5(A)に示すように、本実施例に係る導光部材30の表面側は、ベース部材31と、導光板32と、支持部36と、開口部37とを有する。また、図5(A)において、本実施例に係る導光部材30の裏面側には、補強部材35が設けられていることが示されている。
【0041】
図5(A)に示すように、ベース部材31は、開口部37を有する板状の部材であり、開口部37が形成されていない領域に導光板32が形成されており、導光板32を下から支持している。
【0042】
導光板32は、ベース部材31の長手方向に、所定間隔を有してベース部材31上に複数形成されている。導光板32は、ベース部材31から上に突出するように略多角形状に形成されている。つまり、ベース部材31を下辺とする多角形状となっている。また、導光板32は、所定の厚さを有する板であり、よって多面体を構成し、複数面に光の出射が可能な形状となっている。
【0043】
隣り合う導光板32同士の間隔は、等間隔であってもよいし、等間隔でなくてもよい。導光板32を用いる装置の表示部12の構成に応じて、導光板32の横方向の位置を定めることができる。
【0044】
導光板32は、ベース部材31の面から垂直に突出し、導光板32同士は平行であることが好ましいが、適用する表示部12及び発光表示機能付き電子装置の構成及び用途に応じて、種々の構成とすることができる。
【0045】
導光板32とベース部材31は、光を透過する光透過性を有する材料で構成される。また、導光板32は、光を拡散させる性質をも有する材料で構成されることが好ましい。導光板32とベース部材31は、両方とも光透過性を有することが必要であることから、同一材料で、一体的に形成されることが好ましい。
【0046】
ベース部材31の導光板32が形成された面と反対面には、補強板35が形成されるが、この点については後述する。また、開口部37は、仕切り板が配置される開口であるが、この点についても後述する。
【0047】
図5(B)は、実施例1に係る導光部材30の裏面側の構成を示した斜視図である。図5(B)に示された導光部材30の各構成要素は、図5(A)に示された導光部材30の各要素と表裏が対応する状態で示されている。
【0048】
図5(B)において、導光部材30の裏面側は、ベース部材31と、ローレット部33と、補強部材35と、支持部36と、開口部37とを有する。導光板32の裏面側のベース部材31、つまり導光板32の下端面となるベース部材31の裏面側には、ローレット部33が形成されている。ローレット部33は、導光板32に入射する光の入射面となる。入射光は、ローレット部33に入射する際、山が連続して形成されたローレットにより拡散し、拡散した状態で導光板32に入射するため、導光板32の各面から多方向に光が出射される。
【0049】
ローレット部33同士の間、つまり導光板32の間の位置には、補強板35が形成されている。補強板35は、本実施例に係る導光部材30を補強するとともに、隣接する導光板32の光が干渉しないように、光を吸収する役割を果たす部材である。補強板35は、導光板32と同様に、ある程度の厚さを有して構成される板状部材であるので、ベース部材31の裏面側にも、ベース部材31から突出する補強板35を設けることにより、ベース部材31の両面側から導光部材30の物理的強度を高めることができる。
【0050】
また、補強板35は、隣接する導光板32の光が干渉しないように、各導光板32を伝達する光が、ベース部材31を通じて隣接する導光板32に伝達する前に吸収する機能も有する。本実施例に係る導光部材30は、発光表示機能付き電子装置にインジケータとして用いられることが予想され、そのような場合には、発光対象の導光板32のみを発光させ、発光対象でない導光板32からは光が出射されないようにする必要がある。各導光部材30の下方には、各々発光素子40が配置され、個別に発光が行われるが、ベース部材31も光伝達部材であるため、導光板32に入射された光は、ベース部材31を伝達し、隣の導光板32にも伝達するおそれがある。また、各導光板32で異なる色で発光を行い、隣の導光板32と光が干渉すると、発光色が変化してしまうおそれもある。そこで、そのような問題を解消すべく、導光板32同士の間隔に補強板35を配置し、ベース材料31を伝達する光を、補強板35で吸収するようにする。補強板35は、ある程度の厚さを有する板であるので、光を吸収し、補強板35通過後の光を減衰させることができ、隣接する導光板32同士の光の干渉を低減させることができる。
【0051】
なお、補強板35は、ベース部材31及び導光板32と、一体的に成形されることが好ましい。上述の導光部材30の機械的強度を補強する観点及び光を吸収する観点から、一体的に成形する方が、強度及び光吸収力を容易に高めることができるからである。
【0052】
支持部36は、導光部材30の取り付け固定のための支持部材であり、開口部27は、後に説明する仕切り板の設置のために設けられている。
【0053】
図5(C)は、実施例1に係る導光部材30の裏面側の構成を示した斜視図である。図5(B)と異なり、支持部36を奥側に配置し、ベース部材31が水平となるような配置で導光部材30の構成を示している。導光部材32と補強板35の突出位置は、ベース部材31の短手方向で反対側となっており、重心的にもバランスが取れ、支持する負担が少ない構成となっていることが分かる。なお、具体的な構成については、図5(B)で説明済みであるので、その説明を省略する。
【0054】
図6は、本発明の実施例1に係る導光部材30の製造方法の一例について説明するための図である。図6を用いて、導光部材30の製造方法を説明するとともに、補強部35を設ける製造プロセス上の意義についても説明する。
【0055】
図6(A)は、実施例1に係る導光部材30を製造する射出成形の射出・保圧工程の一例を示した図である。導光部材30は、例えば、光透過性を有する樹脂から構成されてよく、その場合には、射出成形により導光部材30を製造することができる。図6(A)において、製品130の型が、固定側金型110と、移動側金型120により型取られ、樹脂材料が射出されて加圧された状態が示されている。このように、固定側金型110と移動側金型120が閉じて成形空間を形成し、成形空間に溶融した樹脂材料が射出され、移動側金型120が加圧されることにより、製品130が成形される。なお、図6(A)において、移動側金型120に設けられたエジェクタピン121、122も示されている。
【0056】
図6(B)は、実施例1に係る導光部材30の製造方法の型開き工程の一例を示した図である。型開き工程においては、移動側金型120が開き、次いでエジェクタピン121、122を製品130側に突出させることにより、製品取り出しが行われる。よって、型開き工程においては、製品130が、固定側金型110側に残るのではなく、移動側金型120側に付着した状態となっていることが要求される。そうでないと、製品130を取り出すことができない。
【0057】
図6(C)は、固定側金型110側に製品135が残った状態を示した図である。このような状態となると、移動側金型125にのみエジェクタピン126、127が設けられているので、製品135を取り出すことができなくなる。図6(C)に示した現象は、製品135の移動側金型125に接触する面の形状が簡素であり、移動側金型125側に製品135が引き寄せられる力が作用していないときに生じる。つまり、図6(C)においては、製品135の移動側金型125に接触する面は単なる平面であるので、型開き工程の際、移動側金型125に引っ掛かるような力が作用しない。
【0058】
一方、図6(A)、(B)に示した製品130の形状は、移動側金型120と接触する面に凹凸が形成されているので、移動側金型120側に製品130が付着し、型開きの際にも、移動側金型120の方に引き寄せられ、製品130をエジェクタピン121、122により取り出すことが可能となる。
【0059】
また、製品130の移動側金型120に接触する面は、製品取り出しの際、エジェクタピン121、122による加圧により、製品130の面にエジェクタピン121、122の跡が残る場合が多い。よって、製品130の表面側は、固定側金型110に接触するように金型110、120を成形するのが一般的である。
【0060】
本実施例に係る導光部材30は、導光板32のある側が製品の表面側となる。よって、導光板32側の面が固定側金型110と接触し、補強板35側の面が移動側金型120に接触するように金型110、120を成形することになる。この場合において、移動側金型120に接触するベース部材31の裏面側に凹凸が存在しないと、導光部材30を射出成形した際、製品取り出しを行うことができない。そこで、ベース部材31の裏面側にも補強板35を形成し、導光板32に対応する凹凸形状を形成すれば、射出成形の際にも、導光部材30を容易に取り出すことができる。
【0061】
以上、説明したように、補強板35は、導光部材30を射出成形で製造する場合に、製品取り出しを適切に行うことができるので、導光部材30の製造方法として、射出成形を採用することを可能にする。
【0062】
なお、導光部材30の製造は、必ずしも射出成形で行う必要がある訳ではなく、他の製造方法により製造してもよい。必要に応じて補強板35を設けることにより、導光部材30の製造を、射出成形で行うという製造方法の選択肢を増やすことができる。
【0063】
図7は、本発明の実施例1に係る導光部材の一例の断面構成を示した図である。図7(A)は、実施例1に係る導光部材の断面構成を示した図である。図7(A)において、本実施例に係る導光部材30は、ベース部材31を下辺とする略三角形状の導光板32を有し、導光板32の下端には、ローレット部33が形成されている。また、導光部材30は、支持部36も必要に応じて備えてよい。
【0064】
図7(B)は、実施例1に係る導光部材のローレット部の一部を拡大した図である。図7(B)において、本実施例に係る導光部材30のローレット部33の一部が示されている。ローレット部33は、山34がベース部材31の裏面に連続して形成されることにより、ギザギザ状の断面形状を有するローレットとして構成される。山34は、用途に応じて種々の山頂角度又は山34間の開き角度や形状を有して構成されてよいが、例えば、70°〜85°の範囲の角度で、二等辺三角形の形状で構成されてもよい。図7(B)においては、山34の山頂角度及び山34間の開き角度が77.05°に設定された例が示されている。また、山34の先端34aの形状は、尖った形状であってもよいが、図7(B)に示すように、円弧状にカーブした湾曲形状に構成してもよい。山34の先端34aを湾曲形状に構成することにより、入射光を多様な方向に拡散させ、導光板32内を伝達する光を拡散させることができる。これにより、導光板32から出射される光が拡散し、より多方向から視認可能な光を発することができる。
【0065】
このように、導光部材30のローレット部33の山34の先端の形状を湾曲形状に形成することにより、光の拡散効果を高めることができる。
【0066】
また、複数形成された山34のピッチは、1.1mmにしているが、細かければ細かい程よい。よって、山34のピッチは、加工可能は範囲内で、最も細かく設定するようにしてよい。なお、山34のピッチは、例えば、山34の先端34aの間隔で定めるようにしてもよい。
【0067】
図8は、本発明の実施例1に係る発光表示機能付き電子装置の一例の外観構成及び内部構成を示した図である。図8(A)は、実施例1に係る発光表示機能付き電子装置の外観構成を示した図である。図8(A)に示すように、本実施例に係る発光表示機能付き電子装置は、下ケース20上を上ケース10が覆い、上ケース10の一部をカバー11が覆った外観構成を有する。カバー11の部分で発光表示が行われることになる。
【0068】
図8(B)は、実施例1に係る発光表示機能付き電子装置の内部構成を示した分解図である。図8(B)に示すように、上ケース10のカバー11を外すと、表示部12があり、開口13が設けられている。表示部12の下方には、本実施例に係る導光部材30が設けられ、導光板32が開口13に挿入され、表示部12上に露出する。そして、透光性を有するカバー11越しに発光表示が行われる。
【0069】
導光部材30の下方には、発光素子収容部材60に収容された発光素子40が設けられる。発光素子収容部材60は、発光素子40を収容するための部材である。発光素子収容部材60は、仕切り板61を備える。仕切り板61は、発光素子40から出射される光を遮光し、隣接する発光素子40同士の光が干渉して混合しないようにするためのリブである。仕切り板61で遮光しつつ対応する導光板32の下端面にあるローレット部33に光を照射することにより、各発光素子40からの光を独立して導光板32で拡散出射させることができる。なお、仕切り板61と、補強板35及び導光板32との位置関係の詳細は後述する。
【0070】
発光素子収容部材60は、インナーシャーシ62と一体的に構成されてよい。本実施例に係る発光表示機能付き電子装置は、光信号を電気信号に変換する信号変換装置として構成されている例を挙げて説明しているので、基板50には光ファイバ(図示せず)が接続されている。光ファイバは、折り曲げて取り扱うことができないので、ケース10、20に収納する際、余長処理を行う必要がある。本実施例に係る信号変換装置においては、そのような余長処理を、基板50に装着するインナーシャーシ62を用いて、インナーシャーシ62内に余長処理を行うスペースを設けて処理する。一方、発光素子40も、基板50に接続した状態で設けられる。よって、発光素子収容部材60は、インナーシャーシ62と一体的に構成されてよく、基板50に接続された発光素子40を、基板50に接続された光ファイバとともに、基板50と一体化した状態で保持する。
【0071】
発光素子40及び光ファイバを保持したインナーシャーシ62は、シャーシ70に収容されて固定支持される。シャーシ70は、基板50を保持したインナーシャーシを保持し、下ケース20に固定支持される。これにより、発光素子40を下ケース20上に固定支持することができる。
【0072】
このように、本実施例に係る発光表示機能付き電子装置は、信号変換装置として構成され、下ケース20と上ケース10との間に、発光表示に必要な部品を収容して構成される。
【0073】
図9は、図8において説明したインナーシャーシ62を、シャーシ70上に組み込んだ状態を示した図である。図9に示すように、発光素子収容部材60に収容され、仕切り板61により隣同士が仕切られた発光素子40が、基板50に覆われることなく、インナーシャーシ62及びシャーシ70に固定支持されている。これにより、上方の導光部材30に光を照射することができる。
【0074】
図10は、本発明の実施例1に係る発光表示機能付き電子装置の導光部材と発光素子収容部材との位置関係を説明するための図である。図10(A)は、本実施例に係る発光表示機能付き電子装置の上面図である。図10(A)において、上ケース10及びカバー11が示されている。
【0075】
図10(B)は、図10(A)のA−A’断面における正面断面構成図である。図10(B)において、発光素子収容部材60の上方に、導光部材30があることが示されている。発光素子収容部材60は、複数の発光素子40を収容しており、発光素子40の両側を、仕切り板61で仕切るようにして囲んでいる。また、発光素子40の上方には、ベース部材31上に形成された導光板32が上方に突出して形成されている。また、発光素子40の対向面には、ローレット部33が形成されている。また、発光素子40を囲んでいない側の仕切り板61の間には、ベース部材31から下方に突出するように補強板35が形成されている。つまり、補強板35の両側を、仕切り板61が挟むような配置となっている。ここで、発光素子40を中心として全体を見ると、発光素子40の真上に導光板32があり、発光素子40の両側に仕切り板61が存在し、仕切り板61の更に外側の両側に補強板35があるような配置となる。見方を変えて、導光部材30側から見ると、隣接する導光板32同士の間に補強板35が設けられ、最も接近した導光板32と補強板35との間に、仕切り板61が設けられた配置関係となる。このような配置関係とすることにより、発光素子40から発光された光は、仕切り板61で遮光された状態で各々の導光板32に対応するローレット部33に入射し、各導光板32内を伝搬し、発光する。このとき、各ローレット部33に入射した光は、ベース部材31を経由して、横方向に移動し、隣接する導光板32の方向にも向かうが、最も外側にある補強板35でベース部材31から伝搬する光を吸収し、隣接する導光板32に向かう光を減衰させ、光の干渉を低減させる。
【0076】
このように、本実施例に係る発光表示機能付き電子装置によれば、導光部材30の導光板32と補強板35との間に発光素子収容部材60の仕切り板61を配置する構成とすることにより、隣接する導光板32同士の光の干渉を低減することができる。
【0077】
図10(C)は、図10(A)のB−B’断面における側面断面構成図である。図10(C)において、カバー11の下方に導光部材30が設けられ、略三角形状の断面形状を有する導光板32がカバー11の直下に配置されている。導光板32の天面32aは、カバー11の上面に沿って水平に設けられているので、カバー11の上面に効率よく光を出射することができる。また、導光板32の正面32bは、若干間隔が空いているものの、カバー11の側面(正面向きの側面)にも沿っているため、正面にも効率よく光を出射することができる。このように、導光板32を、カバー11に沿った形状とすることにより、効率よく光を出射することができる。
【0078】
また、導光板32の下端には、光の入射面としてローレット部33が形成されており、ローレット部付近に、発光素子40が配置されている。発光素子40は、ローレット部33の最も内側の下方に発光部分が来るように配置され、発光素子40から発射された光が、総てローレット部33に入射される配置となっている。また、発光素子40は、傾斜して配置されたローレット部33の傾斜の上下幅内に収まる高さの位置に配置され、発光素子40からの光が最短距離でローレット部33に入射するように構成されている。
【0079】
このように、発光素子40の発光部が、ローレット部33の内側端の下方及び上下幅に収まる位置にくるように構成することにより、発光素子40からの光を効率よく出射し、ユーザの視認性を高めることができる。
【0080】
なお、図10(C)において、基板50上に設けられた通信回路51のトランシーバが示されている。発光素子40も、基板50に接続されて設けられている。このように、基板50及びそれに接続する部品を効率よく配置することにより、省スペースで発光表示機能付き電子装置を構成することができる。
【0081】
図11は、本発明の実施例1に係る発光表示機能付き電子装置の発光表示例を示した図である。図11(A)は、天面側の発光表示例を示した図である。図11(A)において、上カバー10及びケース11が示されているが、インジケータを構成するケース11の領域において、導光板32の天面32aが発光しており、左端の電源の発光表示を容易に確認することができる。
【0082】
図11(B)は、正面側の発光表示例を示した図である。図11(B)に示すように、ケース10、20の正面においては、導光板32の正面32bが発光し、正面からも発光表示が容易に確認できる。
【0083】
図11(C)は、左側面の発光表示例を示した図であり、図11(D)は、右側面の発光表示例を示した図である。図11(C)に示すように、左側面においては、導光板32の左側面32cが発光し、左側面からの発光表示が容易に確認できる。同様に、図11(D)に示すように、右側面においては、導光板32の右側面32dが発光し、右側面からの発光表示が確認できる。
【0084】
なお、図11(C)、(D)において、各々左側側面32c、右側側面32dのみならず、天面32aも示されている。このような場合には、左側側面32と天面32a、右側側面32dと天面32aの2面の発光を同時に確認することができる。本実施例に係る発光表示機能付き電子装置に用いられている導光板32からは、光が拡散されるように出射されるので、各面32a〜32dの正面に限らず、物理的に導光板32を視認できれば、そのまま発光を視認することができる。よって、4面以上からの視認が可能となる。
【0085】
このように、本実施例に係る発光表示機能付き電子装置によれば、4面からの発光表示により、種々の方向から発光表示を容易に視認することができ、多方面からインジケータの表示を確認することができる。
【実施例2】
【0086】
図12は、本発明の実施例2に係る導光部材の一例を示した構成図である。図12において、実施例2に係る導光部材の導光板38は、四角形の断面形状を有して構成されている。また、導光板38は、ある程度の厚さを有しており、薄い四角柱に構成されている。
【0087】
よって、実施例2に係る導光板38は、天面38aと、正面38bと、左側面38cと、右側面38dと、後面38eとを光の出射面として有する。かかる構成によれば、導光板38の後面38dも光の出射面として利用でき、5面からの光の出射が可能となり、実施例1よりも更に多方面から発光表示の視認が可能となる。
【0088】
このように、本実施例に係る導光部材は、導光板32、38の形状を、用途に応じて種々の多角形状に構成することができ、上ケース10やカバー11の外形に応じて適切な形状に構成することができる。なお、多角形状は、厳密な多角形状でなくてもよく、例えば、角が湾曲形状であったり、辺の一部が曲線であったりしてもよい。
【0089】
なお、実施例2においては、導光板38の形状のみ説明したが、他の構成要素については、発光表示機能付き電子装置も含めて、実施例1の内容を適用できるので、その説明を省略する。
【0090】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、発光表示を行う装置全般に利用することができ、例えば、回線を用いて信号の送受信、信号の変換等を行う通信装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0092】
10 上ケース
11 カバー
12 表示部
13 開口
20 下ケース
30 導光部材
31 ベース部材
32、38 導光板
32a、38a 天面
32b、38b 正面
32c、38c 左側面
32d、38d 右側面
33 ローレット部
34 山
34a 先端
35 補強板
36 支持部
37 開口部
38e 後面
40 発光素子
50 基板
60 発光素子収容部材
61 仕切り板
62 インナーシャーシ
70 シャーシ
110 固定側金型
120 移動側金型
121、122、125、126 エジェクタピン
130、135 製品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の形状を有するベース部材と、該ベース部材上に所定間隔を空けて複数形成された該ベース部材を下辺とする略多角形状の断面形状を有する導光板とを有し、該導光板の下端のベース部材が光の入射面である導光部材であって、
前記光の入射面は、山が連続して形成されたローレット部を有することを特徴とする導光部材。
【請求項2】
前記山は、二等辺三角形であることを特徴とする請求項1に記載の導光部材。
【請求項3】
前記山の先端は、湾曲形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の導光部材。
【請求項4】
前記山のピッチは、加工可能な範囲で最も細かく設定してあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の導光部材。
【請求項5】
前記ベース部材の前記導光板が形成された面の反対面には、複数の補強板が形成されたことを特徴とする請求項1乃至4に記載の導光部材。
【請求項6】
前記ベース部材、前記導光板及び前記補強板は、一体成形されていることを特徴とする請求項5に記載の導光部材。
【請求項7】
前記補強板は、前記導光板同士の間隔の位置に形成されたことを特徴とする請求項5又は6に記載の導光部材。
【請求項8】
前記導光板の断面形状は、略直角三角形状であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の導光部材。
【請求項9】
請求項7に記載の導光部材と、
該導光部材の導光板の下端面近傍に配置された発光素子と、を有することを特徴とする発光表示機能付き電子装置。
【請求項10】
前記導光部材は、前記導光板の下辺をなす前記ベース部材が傾斜するように配置され、
前記発光素子は、前記ローレット部の最内側近傍であって、かつ傾斜した前記ローレット部の上下幅内のいずれかの位置に配置されたことを特徴とする請求項9に記載の発光表示機能付き電子装置。
【請求項11】
前記補強板が形成された面側の前記導光板と前記補強板との間の位置に、隣接して配置された前記発光素子同士の光の干渉を防止する仕切り板が更に設けられたことを特徴とする請求項9又は10に記載の発光表示機能付き電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−198366(P2012−198366A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62117(P2011−62117)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】