小動物用給餌装置
【課題】餌の食べこぼしや餌の飛散、餌への排泄物の混入、床敷き等による汚染、餌の付着を防止し、餌摂餌量を正確に測定できる小動物用給餌装置を提供すること。
【解決手段】給餌孔、給餌皿及び摂餌誘導孔を有する小動物用給餌装置であって、摂餌誘導孔が給餌皿に向かって下方に傾斜し、摂餌誘導孔の下端の下部が、給餌皿の上部開口と給餌孔の下端の開口との空隙に連通して給餌口を形成し、摂餌誘導孔の下端の上部の給餌孔の下端近傍に接する部分に給餌孔の下端に達する縦状の切り欠きからなる餌掻き落とし口を形成し、且つ、摂餌誘導孔の長さを小動物の排泄部位を除く上半身のみが収まり得る長さとした小動物用給餌装置である。
【解決手段】給餌孔、給餌皿及び摂餌誘導孔を有する小動物用給餌装置であって、摂餌誘導孔が給餌皿に向かって下方に傾斜し、摂餌誘導孔の下端の下部が、給餌皿の上部開口と給餌孔の下端の開口との空隙に連通して給餌口を形成し、摂餌誘導孔の下端の上部の給餌孔の下端近傍に接する部分に給餌孔の下端に達する縦状の切り欠きからなる餌掻き落とし口を形成し、且つ、摂餌誘導孔の長さを小動物の排泄部位を除く上半身のみが収まり得る長さとした小動物用給餌装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小動物用給餌装置に関するものであり、更に詳細には、小動物による餌の食べこぼしや餌の飛散、餌への排泄物(糞又は尿)の混入、床敷き等による汚染、小動物への餌の付着を防止し、飼育小動物の摂餌量を正確に測定することができる小動物用給餌装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
小動物に給餌する場合、飼育室において、通常、顆粒状等の餌を単純な給餌器に入れて与えている。
しかし、単純な給餌器では、小動物が摂餌する際に、餌を周囲に飛散させるため、飼育室内の清掃を頻繁に行う必要があり、更に、小動物が給餌器の上で排泄(糞又は尿)することから、餌が汚染されることもある。
例えば、小動物を使用する長期連続投与試験、発癌性試験などの動物実験では、餌の中に薬物を混和して、その摂取量から小動物の生体内に取り込まれた薬物量を算定し、安全性を評価することが行われており、摂餌量を正確に測定することは重要な項目である。
一般に、摂餌量は給餌前・後の餌の量を計量して算出するが、餌の食べ散らかしや、給餌器に小動物の排泄物が混入すること等によって、正確な測定値を得ることが非常に困難であり、正確な実験データが得られにくい欠点があった。
【0003】
餌の食べ散らかしや、給餌器に小動物の排泄物が混入することを改善する目的で、給餌器と摂餌誘導筒で構成する小動物用の給餌器が知られている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、上記問題点を満足に解決するに至ってはおらず、時には、上記給餌器の摂餌誘導筒内で小動物が死亡に至ることがある。
【0004】
【特許文献1】特開平8−114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたものであって、小動物による餌の食べこぼしや餌の飛散、餌への排泄物の混入、床敷き等による汚染、小動物への餌の付着等を防止し、飼育小動物の摂餌量を正確に測定することができる小動物用給餌装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、摂餌誘導孔が給餌皿に向かって下方に傾斜し、摂餌誘導孔の下端の下部が、給餌皿の上部開口と給餌孔の下端の開口との空隙に連通して給餌口を形成し、且つ、摂餌誘導孔の長さを、対象とする小動物の排泄部位を除く上半身のみが収まり得る長さとすることにより、その目的を達成し得ることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0007】
すなわち、本発明は、
1.縦方向に伸延し、上端及び下端が開口した筒状の飼料タンク兼用の給餌孔、給餌孔の下方に位置し、給餌孔の下端の開口より大きな上部開口を有する給餌皿及び給餌皿に向かって伸延する筒状の摂餌誘導孔を有する小動物用給餌装置であって、摂餌誘導孔が給餌皿に向かって下方に傾斜し、摂餌誘導孔の下端の下部が、給餌皿の上部開口と給餌孔の下端の開口との空隙に連通して給餌口を形成し、摂餌誘導孔の下端の上部の給餌孔の下端近傍に接する部分に給餌孔の下端に達する縦状の切り欠きからなる餌掻き落とし口を形成し、且つ、摂餌誘導孔の長さを、対象とする小動物の排泄部位を除く上半身のみが収まり得る長さとしたことを特徴とする小動物用給餌装置、
2.給餌口の最小の幅が小動物の頭の1.1〜1.5倍である請求項1に記載の小動物用給餌装置、
3.餌掻き落とし口の幅が小動物の前肢の幅程度である上記1又は2に記載の小動物用給餌装置、
4.直方体形状の内部に、中央に給餌孔及び給餌皿が位置し、両側面から給餌皿方向に2本の摂餌誘導孔が位置する形で、各構成要素が形成され、且つ、給餌孔及び2本の摂餌誘導孔の上部を包含する部分と、2本の摂餌誘導孔の下部と給餌皿を包含する部分とに分割・組合せ可能に構成してなる上記1〜3のいずれかに記載の小動物用給餌装置
を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の小動物用給餌装置によれば、小動物による餌の食べこぼしや餌の飛散、餌への排泄物の混入、床敷き等による汚染、小動物への餌が付着する問題点を解決することができ、正確な摂餌量の測定が可能になり、更に飼育室の清掃業務が軽減され、作業効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の小動物用給餌装置は、実験動物として一般に用いられている小動物に用いることができるが、特にマウス、ラット、ハムスター、モルモット等に好適である。
本発明の小動物用給餌装置の材質としては、特に制限はないが、小動物、特にげっ歯類がかじり取ることが困難な材質のものが好ましく、メチルメタクリレート等の硬質プラスチック、アルミ、ステンレス等の金属などが挙げられ、特にオートクレーブ殺菌処理が可能なものがよい。
本発明において、給餌皿に供給される餌としては、特に制限はなく、粒餌、粉餌、マッシュ、乾燥練餌、固型飼料、クランブル等が挙げられる。
【0010】
以下、図面を用いて本発明に係る小動物用給餌装置について説明する。
図1は本発明に係る小動物用給餌装置の第1実施例の使用状態を示す断面図である。
図2は本発明に係る小動物用給餌装置の第1実施例の断面図であり、金属、プラスチック等により一体に形成されたものである。
図3はその正面図、図4は図3において、A−A線における断面図である。
図1〜4に示すように、給餌装置1は給餌孔2、給餌皿3、摂餌誘導孔4、給餌口5及び餌掻き落とし口6を備えている。
給餌孔2は、縦方向に伸延し、上端及び下端が開口した筒状である。
その形状は筒状であれば、断面が円形、楕円形、四角形などどの様な形状でも良い。
特に、給餌孔2は給餌皿3に向うにしたがって、その径が大きくなるようにテーパーを設けることが、餌のつまりを防ぐ点から好ましい。
給餌皿3は、給餌孔の下方に位置し、給餌孔の下端の開口より大きな上部開口を有している。
摂餌誘導孔4は、給餌皿3に向かって下方に傾斜し、摂餌誘導孔4の下端の下部が、給餌皿3の上部開口と給餌孔2の下端の開口との空隙に連通して給餌口5を形成している。
また、摂餌誘導孔4の下端の上部の給餌孔2の下端近傍に接する部分に給餌孔2の下端に達する縦状の切り欠きからなる餌掻き落とし口6が形成されている。
給餌装置1には、脚7が設けられているが、必ずしも設けなくてもよい。
【0011】
小動物が摂餌を行うに際しては、小動物は摂餌誘導孔4の入り口から排泄部位を除く上半身を入れ、給餌口5に口を差入れ、下方の給餌皿3から摂餌することができる。
小動物は必要に応じて、餌掻き落とし口6から前肢を入れ給餌孔2中の餌を給餌皿3に掻き落して摂餌することもできる。
摂餌が終了した小動物は、後退することによって、その上半身を摂餌誘導孔4から外に出し、給餌装置1から離れることができる。
【0012】
摂餌誘導孔4、すなわち、給餌口5から摂餌誘導孔4の入り口までの長さは、対象とする小動物の排泄部位を除く上半身のみが収まり得る長さに設定されている。
該摂餌誘導孔4を下方に傾斜させ、その長さを上記のように設定することによって、餌への小動物の排泄物の混入、床敷き等による汚染等の問題点を防止することができる。
従って、たとえ、小動物が排泄を行った場合でも、排泄物は摂餌誘導孔4には入らないことになる。
小動物の排泄部位が収まり得る長さであると、小動物が摂餌誘導孔4内にとどまることが可能となるため、小動物の排泄物が給餌皿3に混入する恐れがあり、該給餌皿3内の餌が汚染される可能性がある。
また、排泄物が混入すれば、該給餌皿3の重量が増加することから、正確な摂餌量の測定が不可能になる。
摂餌誘導孔4の内径は、小動物が円滑に進入できる程度の大きさが好ましく、その断面形状は、特に制限はなく、円形、楕円形、四角形等でもよい。
また、該摂餌誘導孔4の底面からの高さは、対象とする小動物の排泄部位を除く上半身のみでもって容易に摂餌できる高さが好ましい。
更に、摂餌誘導孔4の傾斜は、水平面に対する角度として15°〜45°の範囲が好ましい。
本発明の第1実施例では、摂餌誘導孔は2本設けられているが、その数には特に制限はなく、少なくとも1本設ける必要がある。
給餌口5は、摂餌誘導孔4の下端の下部に設けられており、該給餌口5の最小の幅は、小動物の頭の1.1〜1.5倍であることが好ましい。
ここで、給餌口5の最小の幅とは、給餌口5の縦又は横のいずれかの一辺を指し、小動物の頭の幅とは、本発明の給餌装置において給餌する小動物の頬骨弓幅を意味する。なお、小動物がマウスの場合、マウスの頭の幅は、5週齢で12mm、9週齢で14mm程度である。
摂餌誘導孔4を下方に傾斜させ、該給餌口5を小動物の頭の1.1〜1.5倍に設定することによって、小動物の餌の食べこぼしや餌の飛散、小動物への餌の付着が防止できる。
給餌口5の最小の幅が小動物の頭の1.1〜1.5倍であると、小動物の餌の食べこぼし等があっても摂餌誘導孔4が下方に傾斜しているため、餌が給餌皿3に戻り正確な摂餌量の測定が可能になる。
更に、小動物への餌の付着を防ぐことができることによって、小動物の皮膚を通した経路外からの薬物の吸収による影響等も防止できる
給餌口5の最小の幅が小動物の頭の1.1〜1.5倍を超える場合、餌の食べこぼしや餌の飛散、小動物への餌の付着を防ぐことができないおそれがある。
餌掻き落とし口6は、摂餌誘導孔4の下端の上部に設けられているが、該餌掻き落とし口6の幅は、小動物の前肢の幅程度であることが好ましい。
小動物がマウスの場合、餌掻き落とし口6の幅は9〜11mmの幅であることが好ましい。
小動物の前肢の幅程度であると、餌の飛散、小動物への餌の付着が防止できる。
【0013】
本発明の小動物用給餌装置は、該装置の任意の箇所を分割し、組合せ可能に構成することができる。
組合せる手段としては、螺合、嵌合など通常の着脱自在の固定手段が使用される。
分割・組合せ可能に構成した場合には、本発明の小動物用給餌装置の清掃、殺菌処理等が容易になるという利点がある。
【0014】
図5は図1〜4に示した第1実施例の小動物用給餌装置を分割・組合せ可能に構成した第2実施例の分解図(斜視図)であり、給餌孔2及び2本の摂餌誘導孔4の上部を包含する部分、2本の摂餌誘導孔4の下部と給餌皿3を包含する部分とが別体に形成されており、その他の構成部分は図1と同様である。
図6は正面図、図7は図6における前後方向の中央部を通過する面での断面図、図8はa方向から見た上面図、図9はb方向から見た底面図、図10はc方向より見た側面図、図11はd方向から見た上面図、図12はe方向から見た底面図及び図13はf方向から見た側面図である。
【0015】
第2実施例においては、給餌孔2及び2本の摂餌誘導孔4の上部を包含する部分と、2本の摂餌誘導孔4の下部と給餌皿3を包含する部分の着脱自在の固定手段として、それぞれ凹部8と凸部9が設けられ、これらにより分割・組合せを可能としている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る小動物用給餌装置の第1実施例の使用状態を示す断面図である。
【図2】小動物用給餌装置の第1実施例の断面図である。
【図3】小動物用給餌装置の正面図である。
【図4】図3において、A−A線から見た断面図である。
【図5】小動物用給餌装置を分割・組合せ可能に構成した第2実施例の分解図である。
【図6】小動物用給餌装置の正面図である。
【図7】小動物用給餌装置の断面図である。
【図8】図6において、a方向から見た上面図である。
【図9】図6において、b方向から底面図である。
【図10】図6において、c方向より見た側面図である。
【図11】図6において、d方向から見た上面図である。
【図12】図6において、e方向から見た底面図である。
【図13】図6において、f方向より見た側面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 給餌装置
2 給餌孔
3 給餌皿
4 摂餌誘導孔
5 給餌口
6 餌掻き落とし口
7 脚
8 凹部
9 凸部
【技術分野】
【0001】
本発明は、小動物用給餌装置に関するものであり、更に詳細には、小動物による餌の食べこぼしや餌の飛散、餌への排泄物(糞又は尿)の混入、床敷き等による汚染、小動物への餌の付着を防止し、飼育小動物の摂餌量を正確に測定することができる小動物用給餌装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
小動物に給餌する場合、飼育室において、通常、顆粒状等の餌を単純な給餌器に入れて与えている。
しかし、単純な給餌器では、小動物が摂餌する際に、餌を周囲に飛散させるため、飼育室内の清掃を頻繁に行う必要があり、更に、小動物が給餌器の上で排泄(糞又は尿)することから、餌が汚染されることもある。
例えば、小動物を使用する長期連続投与試験、発癌性試験などの動物実験では、餌の中に薬物を混和して、その摂取量から小動物の生体内に取り込まれた薬物量を算定し、安全性を評価することが行われており、摂餌量を正確に測定することは重要な項目である。
一般に、摂餌量は給餌前・後の餌の量を計量して算出するが、餌の食べ散らかしや、給餌器に小動物の排泄物が混入すること等によって、正確な測定値を得ることが非常に困難であり、正確な実験データが得られにくい欠点があった。
【0003】
餌の食べ散らかしや、給餌器に小動物の排泄物が混入することを改善する目的で、給餌器と摂餌誘導筒で構成する小動物用の給餌器が知られている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、上記問題点を満足に解決するに至ってはおらず、時には、上記給餌器の摂餌誘導筒内で小動物が死亡に至ることがある。
【0004】
【特許文献1】特開平8−114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたものであって、小動物による餌の食べこぼしや餌の飛散、餌への排泄物の混入、床敷き等による汚染、小動物への餌の付着等を防止し、飼育小動物の摂餌量を正確に測定することができる小動物用給餌装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、摂餌誘導孔が給餌皿に向かって下方に傾斜し、摂餌誘導孔の下端の下部が、給餌皿の上部開口と給餌孔の下端の開口との空隙に連通して給餌口を形成し、且つ、摂餌誘導孔の長さを、対象とする小動物の排泄部位を除く上半身のみが収まり得る長さとすることにより、その目的を達成し得ることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0007】
すなわち、本発明は、
1.縦方向に伸延し、上端及び下端が開口した筒状の飼料タンク兼用の給餌孔、給餌孔の下方に位置し、給餌孔の下端の開口より大きな上部開口を有する給餌皿及び給餌皿に向かって伸延する筒状の摂餌誘導孔を有する小動物用給餌装置であって、摂餌誘導孔が給餌皿に向かって下方に傾斜し、摂餌誘導孔の下端の下部が、給餌皿の上部開口と給餌孔の下端の開口との空隙に連通して給餌口を形成し、摂餌誘導孔の下端の上部の給餌孔の下端近傍に接する部分に給餌孔の下端に達する縦状の切り欠きからなる餌掻き落とし口を形成し、且つ、摂餌誘導孔の長さを、対象とする小動物の排泄部位を除く上半身のみが収まり得る長さとしたことを特徴とする小動物用給餌装置、
2.給餌口の最小の幅が小動物の頭の1.1〜1.5倍である請求項1に記載の小動物用給餌装置、
3.餌掻き落とし口の幅が小動物の前肢の幅程度である上記1又は2に記載の小動物用給餌装置、
4.直方体形状の内部に、中央に給餌孔及び給餌皿が位置し、両側面から給餌皿方向に2本の摂餌誘導孔が位置する形で、各構成要素が形成され、且つ、給餌孔及び2本の摂餌誘導孔の上部を包含する部分と、2本の摂餌誘導孔の下部と給餌皿を包含する部分とに分割・組合せ可能に構成してなる上記1〜3のいずれかに記載の小動物用給餌装置
を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の小動物用給餌装置によれば、小動物による餌の食べこぼしや餌の飛散、餌への排泄物の混入、床敷き等による汚染、小動物への餌が付着する問題点を解決することができ、正確な摂餌量の測定が可能になり、更に飼育室の清掃業務が軽減され、作業効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の小動物用給餌装置は、実験動物として一般に用いられている小動物に用いることができるが、特にマウス、ラット、ハムスター、モルモット等に好適である。
本発明の小動物用給餌装置の材質としては、特に制限はないが、小動物、特にげっ歯類がかじり取ることが困難な材質のものが好ましく、メチルメタクリレート等の硬質プラスチック、アルミ、ステンレス等の金属などが挙げられ、特にオートクレーブ殺菌処理が可能なものがよい。
本発明において、給餌皿に供給される餌としては、特に制限はなく、粒餌、粉餌、マッシュ、乾燥練餌、固型飼料、クランブル等が挙げられる。
【0010】
以下、図面を用いて本発明に係る小動物用給餌装置について説明する。
図1は本発明に係る小動物用給餌装置の第1実施例の使用状態を示す断面図である。
図2は本発明に係る小動物用給餌装置の第1実施例の断面図であり、金属、プラスチック等により一体に形成されたものである。
図3はその正面図、図4は図3において、A−A線における断面図である。
図1〜4に示すように、給餌装置1は給餌孔2、給餌皿3、摂餌誘導孔4、給餌口5及び餌掻き落とし口6を備えている。
給餌孔2は、縦方向に伸延し、上端及び下端が開口した筒状である。
その形状は筒状であれば、断面が円形、楕円形、四角形などどの様な形状でも良い。
特に、給餌孔2は給餌皿3に向うにしたがって、その径が大きくなるようにテーパーを設けることが、餌のつまりを防ぐ点から好ましい。
給餌皿3は、給餌孔の下方に位置し、給餌孔の下端の開口より大きな上部開口を有している。
摂餌誘導孔4は、給餌皿3に向かって下方に傾斜し、摂餌誘導孔4の下端の下部が、給餌皿3の上部開口と給餌孔2の下端の開口との空隙に連通して給餌口5を形成している。
また、摂餌誘導孔4の下端の上部の給餌孔2の下端近傍に接する部分に給餌孔2の下端に達する縦状の切り欠きからなる餌掻き落とし口6が形成されている。
給餌装置1には、脚7が設けられているが、必ずしも設けなくてもよい。
【0011】
小動物が摂餌を行うに際しては、小動物は摂餌誘導孔4の入り口から排泄部位を除く上半身を入れ、給餌口5に口を差入れ、下方の給餌皿3から摂餌することができる。
小動物は必要に応じて、餌掻き落とし口6から前肢を入れ給餌孔2中の餌を給餌皿3に掻き落して摂餌することもできる。
摂餌が終了した小動物は、後退することによって、その上半身を摂餌誘導孔4から外に出し、給餌装置1から離れることができる。
【0012】
摂餌誘導孔4、すなわち、給餌口5から摂餌誘導孔4の入り口までの長さは、対象とする小動物の排泄部位を除く上半身のみが収まり得る長さに設定されている。
該摂餌誘導孔4を下方に傾斜させ、その長さを上記のように設定することによって、餌への小動物の排泄物の混入、床敷き等による汚染等の問題点を防止することができる。
従って、たとえ、小動物が排泄を行った場合でも、排泄物は摂餌誘導孔4には入らないことになる。
小動物の排泄部位が収まり得る長さであると、小動物が摂餌誘導孔4内にとどまることが可能となるため、小動物の排泄物が給餌皿3に混入する恐れがあり、該給餌皿3内の餌が汚染される可能性がある。
また、排泄物が混入すれば、該給餌皿3の重量が増加することから、正確な摂餌量の測定が不可能になる。
摂餌誘導孔4の内径は、小動物が円滑に進入できる程度の大きさが好ましく、その断面形状は、特に制限はなく、円形、楕円形、四角形等でもよい。
また、該摂餌誘導孔4の底面からの高さは、対象とする小動物の排泄部位を除く上半身のみでもって容易に摂餌できる高さが好ましい。
更に、摂餌誘導孔4の傾斜は、水平面に対する角度として15°〜45°の範囲が好ましい。
本発明の第1実施例では、摂餌誘導孔は2本設けられているが、その数には特に制限はなく、少なくとも1本設ける必要がある。
給餌口5は、摂餌誘導孔4の下端の下部に設けられており、該給餌口5の最小の幅は、小動物の頭の1.1〜1.5倍であることが好ましい。
ここで、給餌口5の最小の幅とは、給餌口5の縦又は横のいずれかの一辺を指し、小動物の頭の幅とは、本発明の給餌装置において給餌する小動物の頬骨弓幅を意味する。なお、小動物がマウスの場合、マウスの頭の幅は、5週齢で12mm、9週齢で14mm程度である。
摂餌誘導孔4を下方に傾斜させ、該給餌口5を小動物の頭の1.1〜1.5倍に設定することによって、小動物の餌の食べこぼしや餌の飛散、小動物への餌の付着が防止できる。
給餌口5の最小の幅が小動物の頭の1.1〜1.5倍であると、小動物の餌の食べこぼし等があっても摂餌誘導孔4が下方に傾斜しているため、餌が給餌皿3に戻り正確な摂餌量の測定が可能になる。
更に、小動物への餌の付着を防ぐことができることによって、小動物の皮膚を通した経路外からの薬物の吸収による影響等も防止できる
給餌口5の最小の幅が小動物の頭の1.1〜1.5倍を超える場合、餌の食べこぼしや餌の飛散、小動物への餌の付着を防ぐことができないおそれがある。
餌掻き落とし口6は、摂餌誘導孔4の下端の上部に設けられているが、該餌掻き落とし口6の幅は、小動物の前肢の幅程度であることが好ましい。
小動物がマウスの場合、餌掻き落とし口6の幅は9〜11mmの幅であることが好ましい。
小動物の前肢の幅程度であると、餌の飛散、小動物への餌の付着が防止できる。
【0013】
本発明の小動物用給餌装置は、該装置の任意の箇所を分割し、組合せ可能に構成することができる。
組合せる手段としては、螺合、嵌合など通常の着脱自在の固定手段が使用される。
分割・組合せ可能に構成した場合には、本発明の小動物用給餌装置の清掃、殺菌処理等が容易になるという利点がある。
【0014】
図5は図1〜4に示した第1実施例の小動物用給餌装置を分割・組合せ可能に構成した第2実施例の分解図(斜視図)であり、給餌孔2及び2本の摂餌誘導孔4の上部を包含する部分、2本の摂餌誘導孔4の下部と給餌皿3を包含する部分とが別体に形成されており、その他の構成部分は図1と同様である。
図6は正面図、図7は図6における前後方向の中央部を通過する面での断面図、図8はa方向から見た上面図、図9はb方向から見た底面図、図10はc方向より見た側面図、図11はd方向から見た上面図、図12はe方向から見た底面図及び図13はf方向から見た側面図である。
【0015】
第2実施例においては、給餌孔2及び2本の摂餌誘導孔4の上部を包含する部分と、2本の摂餌誘導孔4の下部と給餌皿3を包含する部分の着脱自在の固定手段として、それぞれ凹部8と凸部9が設けられ、これらにより分割・組合せを可能としている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る小動物用給餌装置の第1実施例の使用状態を示す断面図である。
【図2】小動物用給餌装置の第1実施例の断面図である。
【図3】小動物用給餌装置の正面図である。
【図4】図3において、A−A線から見た断面図である。
【図5】小動物用給餌装置を分割・組合せ可能に構成した第2実施例の分解図である。
【図6】小動物用給餌装置の正面図である。
【図7】小動物用給餌装置の断面図である。
【図8】図6において、a方向から見た上面図である。
【図9】図6において、b方向から底面図である。
【図10】図6において、c方向より見た側面図である。
【図11】図6において、d方向から見た上面図である。
【図12】図6において、e方向から見た底面図である。
【図13】図6において、f方向より見た側面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 給餌装置
2 給餌孔
3 給餌皿
4 摂餌誘導孔
5 給餌口
6 餌掻き落とし口
7 脚
8 凹部
9 凸部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向に伸延し、上端及び下端が開口した筒状の飼料タンク兼用の給餌孔、給餌孔の下方に位置し、給餌孔の下端の開口より大きな上部開口を有する給餌皿及び給餌皿に向かって伸延する筒状の摂餌誘導孔を有する小動物用給餌装置であって、摂餌誘導孔が給餌皿に向かって下方に傾斜し、摂餌誘導孔の下端の下部が、給餌皿の上部開口と給餌孔の下端の開口との空隙に連通して給餌口を形成し、摂餌誘導孔の下端の上部の給餌孔の下端近傍に接する部分に給餌孔の下端に達する縦状の切り欠きからなる餌掻き落とし口を形成し、且つ、摂餌誘導孔の長さを、対象とする小動物の排泄部位を除く上半身のみが収まり得る長さとしたことを特徴とする小動物用給餌装置。
【請求項2】
給餌口の最小の幅が小動物の頭の1.1〜1.5倍である請求項1に記載の小動物用給餌装置。
【請求項3】
餌掻き落とし口の幅が小動物の前肢の幅程度である請求項1又は2に記載の小動物用給餌装置。
【請求項4】
直方体形状の内部に、中央に給餌孔及び給餌皿が位置し、両側面から給餌皿方向に2本の摂餌誘導孔が位置する形で、各構成要素が形成され、且つ、給餌孔及び2本の摂餌誘導孔の上部を包含する部分と、2本の摂餌誘導孔の下部と給餌皿を包含する部分とに分割・組合せ可能に構成してなる請求項1〜3のいずれかに記載の小動物用給餌装置。
【請求項1】
縦方向に伸延し、上端及び下端が開口した筒状の飼料タンク兼用の給餌孔、給餌孔の下方に位置し、給餌孔の下端の開口より大きな上部開口を有する給餌皿及び給餌皿に向かって伸延する筒状の摂餌誘導孔を有する小動物用給餌装置であって、摂餌誘導孔が給餌皿に向かって下方に傾斜し、摂餌誘導孔の下端の下部が、給餌皿の上部開口と給餌孔の下端の開口との空隙に連通して給餌口を形成し、摂餌誘導孔の下端の上部の給餌孔の下端近傍に接する部分に給餌孔の下端に達する縦状の切り欠きからなる餌掻き落とし口を形成し、且つ、摂餌誘導孔の長さを、対象とする小動物の排泄部位を除く上半身のみが収まり得る長さとしたことを特徴とする小動物用給餌装置。
【請求項2】
給餌口の最小の幅が小動物の頭の1.1〜1.5倍である請求項1に記載の小動物用給餌装置。
【請求項3】
餌掻き落とし口の幅が小動物の前肢の幅程度である請求項1又は2に記載の小動物用給餌装置。
【請求項4】
直方体形状の内部に、中央に給餌孔及び給餌皿が位置し、両側面から給餌皿方向に2本の摂餌誘導孔が位置する形で、各構成要素が形成され、且つ、給餌孔及び2本の摂餌誘導孔の上部を包含する部分と、2本の摂餌誘導孔の下部と給餌皿を包含する部分とに分割・組合せ可能に構成してなる請求項1〜3のいずれかに記載の小動物用給餌装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−195114(P2009−195114A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−37250(P2008−37250)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(000006116)森永製菓株式会社 (130)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(000006116)森永製菓株式会社 (130)
【Fターム(参考)】
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