説明

履物およびその装飾品

【課題】履物本体に何ら細工を施すことなく、装飾品を着脱自在に取り付ける。
【解決手段】装飾体本体21の底部21aには、弾性繊維からなるバンド22の一端が取り付けられている。バンド22の一端または底部21aには第1の係止半体23が取り付けられ、バンド22の他端には第2の係止半体24が取り付けられている。第1の係止半体23および第2の係止半体24は嵌合および嵌合解除可能である。バンド22をビーチサンダル10の鼻緒12に巻き付けたのち第1の係止半体23および第2の係止半体24の嵌合により装飾品をビーチサンダル10に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はビーチサンダル等の履物、および履物に着脱自在に取り付けられる装飾品に関する。
【背景技術】
【0002】
ビーチサンダルでは鼻緒やその先端の前坪に花飾りやリボンを付けたものがある。しかしながら、このような飾り付きビーチサンダルは飾り物が固定であり、備え付けの飾り物に飽きた場合には他の飾り物が付いた他のビーチサンダルを別途購入することが多く、無駄になる。また、飾り物を外してシンプルな態様で使用した場合、飾り物を再度取り付けて使用することができない。
【0003】
履物に何ら細工を施すことなく、装飾品を着脱自在に取り付けることが望まれる。
【0004】
なお、この発明と関連する文献としては特許文献1(実開平6−82908号公報)がある。この文献では草履の鼻緒に孔を設け、この孔に装飾品を取り付けることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−82908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、以上の事情を考慮してなされたものであり、履物本体に何ら細工を施すことなく、装飾品を着脱自在に取り付けることができる着脱可能な装飾品付き履物および着脱可能な装飾品を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明によれば、上述の目的を達成するために、特許請求の範囲に記載のとおりの構成を採用している。ここでは、発明を詳細に説明するのに先だって、特許請求の範囲の記載について補充的に説明を行なっておく。
【0008】
この発明の一側面によれば、履物が、履物本体と、履物本体の天側に取り付けられた長尺部材と、上記長尺部材に着脱可能に取り付けられる装飾部材とを有するように構成される。
【0009】
履物は典型的にはビーチサンダル等のサンダルであるがこれに限定されない。。履物本体は例えば台であってよく、全体として一体であれば、底部、巻き部等の各部の構成に応じた別途の材料から構成しても良い。
【0010】
長尺部材は、典型的には、鼻緒または前坪であるが、甲バンド等、履物本体の天側に取り付けられた任意の長尺部材であってよい。
【0011】
上記装飾部材は、典型的には、装飾部材本体と、上記装飾部材本体の底部に一端が固着された帯部材とを有し、上記帯部材は、上記一端側に設けられた第1の係止部材と、上記帯部材の他端に設けられた第2の係止部材とを有し、上記第1の係止部材および上記第2の係止部材が係合して上記装飾部材が上記長尺部材に着脱可能に取り付けられる。
【0012】
上記第1の係止部材および上記第2の係止部材は、典型的には、相互に嵌め合わされる。
【0013】
上記第1の係止部材は、典型的には、嵌め合わせ面が上記底面と同じ向きになるように上記帯部材の上記一端に形成され、上記第2の係止部材は、嵌め合わせ面が上記底面と逆の向きになるように上記帯部材の上記他端に形成される。
【0014】
上記帯部材は、典型的には、少なくとも、長手方向に弾力性がある。
【0015】
また、この発明の他の側面によれば、履物用装飾品が、装飾品本体と、上記装飾品本体の底部に一端が取り付けられた帯部材と、上記帯部材の上記一端側に設けられた第1の係止部材と、上記帯部材の他端に設けられた第2の係止部材とを有するように構成され、上記第1の係止部材は、嵌め合わせ面が上記底面と同じ向きになるように上記帯部材の上記一端に形成され、上記第2の係止部材は、嵌め合わせ面が上記底面と逆の向きになるように上記帯部材の上記他端に形成され、上記第1の係止部材および上記第2の係止部材が嵌合して上記装飾部材が上記長尺部材に着脱可能に取り付けられる。
【0016】
この発明の上述の側面およびこの発明の他の側面は特許請求の範囲に記載され、以下、実施例を用いて詳細に説明される。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、履物本体に何ら細工を施すことなく、装飾品を着脱自在に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施例のビーチサンダルセットを示す図である。
【図2】上述実施例のビーチサンダルを全体として示す斜視図である。
【図3】上述実施例の装飾品のバンドの例を示す図である。
【図4】上述実施例の装飾品のバンドの係止半体の構成例を示す図である。
【図5】図4の係止半体の取付状態を示す図である。
【図6】上述装飾品をビーチサンダルに取り付ける態様を説明する図である。
【図7】取付状態の係止半体および装飾品の位置関係を説明する図である。
【図8】上述装飾品が取り付けられた状態のビーチサンダルを示す図である。
【図9】この発明の変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明をビーチサンダルに適用した実施例について説明する。なお、この発明はビーチサンダルへの適用に限定されるものではなく、鼻緒や前坪や甲バンド等の長尺部材を具備する履物に広く適用可能である。
【0020】
図1は、実施例のビーチサンダルセット100を示しており、ビーチサンダルセット100は、一足のビーチサンダル10、10、装飾品20をなす、リボン20A、20A、花飾り20B、20B、を含んで構成されている。装飾品20の種類、個数は種々に選定できる。ビーチサンダル10は、図2にも示すように、通常のビーチサンダルと同様に、台部11、台部11の天11aに取り付けられた鼻緒12および前坪13を含んで構成される。ビーチサンダル10の各部は、通常のビーチサンダルと同様に、適切な材料、例えば、EVA(エチレン酢酸ビニル)ポリマー、PVC(ポリ塩化ビニル)ポリマー等の合成樹脂、天然ゴム等から構成できる。台部11は、全体として一体であれば、底部、巻き部等の各部の構成に応じた別途の材料から構成しても良い。
【0021】
装飾品20(リボン20Aおよび花飾り20B)は、それぞれ布地を組みあわせて構成された装飾品本体21を有し、図3にも示すように、装飾品本体21の底部(裏側に位置する部分)21aには、弾性繊維(平ゴム)からなるバンド22の一端が取り付けられている。なお、底部21aは装飾体本体21の裏面全体と区別なく構成されて良く、また、他の補助布等で別体に構成されても良い。バンド22の長さは後述する装飾品20(リボン20Aおよび花飾り20B)を鼻緒12等に取り付けるのに適したものであり、典型的には7cm程度であるが、これに限定されない。バンド22の一端側、すなわち底部21aには第1の係止半体23が取り付けられ、バンド22の他端には第2の係止半体24が取り付けられている。図3に破線で示すように、第1の係止半体23および第2の係止半体24は、バンド22の表裏の別の面に取り付けられている。なお、図3や後述の図7では示さないが、第2の係止半体24とともにバンド22を挟むようにボタン部材が配置され(図3の紙面側)、このボタン部材を第2の係止半体24と一体にしてバンド22を挟む付けて第2の係止半体24がバンド22に取り付けられるようになっているが、これに限定されない。
【0022】
第1の係止半体23は図4(a)に示す雌型のスナップロック用のボタン状の係止半体であり、環状の突起23aを具備する。第2の係止半体24は図4(b)に示すような雄型のスナップロック用のボタン状の係止半体であり、環状の突起24aを有する。第1の係止半体23および第2の係止半体24の全体の径はこれに限定されないが例えば1cmである。底部21a側のバンド22の一端に雄型の第2の係止半体24が取り付けられ、バンド22の他端に雌型の係止半体23が取り付けられても良い。第1の係止半体23および第2の係止半体24は例えば図5に示すように嵌合される。嵌合状態の第1の係止半体23および第2の係止半体24の間には隙間があり、例えば、この隙間に硬い薄物を際入れる等して力を加えて両者を引き離しその嵌合を解除できる。
【0023】
図6は、装飾品20(リボン20A)をビーチサンダル10の鼻緒12に巻き付けて取り付ける態様を示している。図6の例では、[1]、[2]、[3]、[4]の手順でバンド22を若干引っ張りながら鼻緒12および前坪13の結合部位置で鼻緒12に前坪13の右および左位置で巻き付ける。巻き付けた状態では、図7で示すように鼻緒12の上側面12aに第1の係止半体23、第2の係止半体24、および装飾品本体21が一体に構成され、装飾品が鼻緒12に確実に取り付けられる。なお、第1の係止半体23および第2の係止半体24をバンド22の同一面に取り付けてもよい。この場合には、バンド22の表裏をその長さ方向の途中で反転させて第1の係止半体23および第2の係止半体24が嵌合可能なようにする。
【0024】
図8はリボン20Aおよび花飾り20Bを取り付けたビーチサンダル10を示す。
【0025】
なお、上述の例では、バンド22の第1の係止半体23および第2の係止半体24を嵌め合わせて装飾品20をビーチサンダル10に着脱自在に取り付けたけれども、第1の係止半体23および第2の係止半体24を磁力、ネジ合わせ、面ファスナ等の着脱可能な取り付け手法により着脱自在に結合させて良い。また、バンド22をビーチサンダル(履物)に上述と同様に着脱可能に取り付け、さらに装飾品20をバンド22に着脱自在に取り付けても良い。装飾品20とバンド22との結合も第1の係止半体23および第2の係止半体24と類似のスナップロック、その他種々の着脱可能な取り付け手法を採用して良い。
【0026】
また、上述の例では、鼻緒12と前坪13との結合位置にバンド22を巻き付けたけれども、巻き付け位置はこれに限定されず、鼻緒12の任意の位置、または前坪13の任意の位置に巻き付けて良い。また、図9に示すような甲バンド31を有する履物30の場合には甲バンド31に装飾品取付用のバンド22を巻き付けて取り付けて良い。バンド22は履物の天側30aに取り付けられたストラップ(図示しない)等、その他の任意の長尺部材に取り付けて良い。
【0027】
また、上述の例では、ビーチサンダル等の履物の長尺部材に装飾品を取り付けるようにしたけれども、以上で説明した装飾品は、それに限定されず、文房具、ストラップ、時計ベルト、腰ベルト、鞄の把手(例えば、ビーチサンダル等を収納するビーチ用のバッグの把手であるが、これに限定されない)等、任意の製品の任意の長尺部材に着脱自在に取り付けられる装飾品として構成できる。すなわち、ここに開示した装飾品は、装飾品本体と、上記装飾品本体の底部に一端が取り付けられた帯部材と、上記帯部材の上記一端側に設けられた第1の係止部材と、上記帯部材の他端に設けられた第2の係止部材とを有し、上記第1の係止部材は、嵌め合わせ面が上記底面と同じ向きになるように上記帯部材の上記一端に形成され、上記第2の係止部材は、嵌め合わせ面が上記底面と逆の向きになるように上記帯部材の上記他端に形成され、上記第1の係止部材および上記第2の係止部材が嵌合して上記装飾部材が上記長尺部材に着脱可能に取り付けられることを特徴とする装飾品として構成できる。
【0028】
上述の例では、バンド22は装飾品20に例えば第1の係止部材23により回動自在に取り付けられている。このような構成により例えば装飾品がリボン等その配位によって美観が異なる場合には、取り付ける長尺部材に対して任意の角度にも取付可能であり、また、時宜に応じてその角度位置を修正できる。例えば、鞄の把手に取り付ける際には把手の長手方向にリボンの長手方向を整合させると取り付けが容易である反面(もちろん取り付け作業時の配位は任意であり、これに限定されない)、取り付け後の美観上、把手の長手方向に角度をもたせて配置したほうがよいので、このような回動可能な構成は有益である。
【符号の説明】
【0029】
10 ビーチサンダル
11 台部
11a 天
12 鼻緒
13 前坪
20 装飾品
20A リボン
20B 花飾り
21 装飾品本体
21a 底部
22 バンド
23 第1の係止半体
24 第2の係止半体
100 ビーチサンダルセット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物本体と、
履物本体の天側に取り付けられた長尺部材と、
上記長尺部材に着脱可能に取り付けられる装飾部材とを有することを特徴とする履物。
【請求項2】
上記長尺部材は、鼻緒である請求項1記載の履物。
【請求項3】
上記長尺部材は、前坪である請求項1記載の履物。
【請求項4】
上記装飾部材は、装飾部材本体と、上記装飾部材本体の底部に一端が固着された帯部材とを有し、上記帯部材は、上記一端側に設けられた第1の係止部材と、上記帯部材の他端に設けられた第2の係止部材とを有し、上記第1の係止部材および上記第2の係止部材が係合して上記装飾部材が上記長尺部材に着脱可能に取り付けられる請求項1〜3のいずれかに記載の履物。
【請求項5】
上記第1の係止部材および上記第2の係止部材は相互に嵌め合わされる請求項4記載の履物。
【請求項6】
上記第1の係止部材は、嵌め合わせ面が上記底面と同じ向きになるように上記帯部材の上記一端に形成され、上記第2の係止部材は、嵌め合わせ面が上記底面と逆の向きになるように上記帯部材の上記他端に形成される請求項5記載の履物。
【請求項7】
上記帯部材は長手方向に弾力性がある請求項4〜6のいずれかに記載の履物。
【請求項8】
履物用装飾品において、
装飾品本体と、
上記装飾品本体の底部に一端が取り付けられた帯部材と、
上記帯部材の上記一端側に設けられた第1の係止部材と、
上記帯部材の他端に設けられた第2の係止部材とを有し、
上記第1の係止部材は、嵌め合わせ面が上記底面と同じ向きになるように上記帯部材の上記一端に形成され、上記第2の係止部材は、嵌め合わせ面が上記底面と逆の向きになるように上記帯部材の上記他端に形成され、上記第1の係止部材および上記第2の係止部材が嵌合して上記装飾部材が上記長尺部材に着脱可能に取り付けられることを特徴とする装飾品。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−214138(P2010−214138A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2010−150901(P2010−150901)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(504257184)ビー・ナチュラル株式会社 (9)
【Fターム(参考)】