説明

工作機械および積み込みおよび積み下ろし方法

【課題】旋盤を簡略化すること、構造的な手間暇を減少させること、および、コンパクトな構造様式を提供する

【解決手段】機械フレームと、この機械フレームの垂直方向(Z軸)内において移動可能な加工材料スピンドル2と、この機械フレームの水平方向(X軸)内において移動可能な工具保持装置3と、および、加工材料8のための移送装置24加工材料スピンドル2と移送装置24との間の作業位置10内において、切削屑保護装置25が設けられており、この切削屑保護装置25が、前記加工材料スピンドル2と移送装置24との間の前記作業位置の領域10から、外へと移動され、および、この切削屑保護装置25が、移送装置24の保護のために、切削屑の落下の前に、再び、前記加工材料スピンドル2と移送装置24との間の前記作業位置の領域10に帰還移動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に従う、回転して駆動される加工材料を処理するための自動積み込式の(selbstladende)工作機械および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ピックアップ原理に従って作業する工作機械の場合、加工材料は、移送手段から加工材料スピンドルに供給される。加工材料スピンドルは、積荷位置(Ladeposition)内において前記加工材料を掴み、これら加工材料を加工部(Bearbeitung)へと供給し、且つ引き続いて、再びこの移送手段の上に取り去る。副次(二次)的時間を減少するために、特許文献1内において、2つの加工材料スピンドルおよび2つの工具タレットが設けられている。この機械は、揺動機械として作業し、即ち、一方のスピンドルが1つの加工材料を加工している間、他方のスピンドルが積み込み可能である。4つの数値制御された軸線が設けられ、且つ、積み込みが、2つの積み込みおよび積み下ろし装置を介して行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】ヨーロッパ特許第1711309B1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、前記の様式の旋盤を簡略化すること、構造的な手間暇を減少させること、および、コンパクトな構造様式を提供することである。
同様に、本発明の課題は、積み込み方法を提示することであり、このことでもって、その副次的時間内において加工材料の加工も行われない該副次的時間が減少される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の有利な観点に従い、積み込みおよび積み下ろし位置は、作業位置のすぐ下方に設けられており、従って、
この加工材料スピンドルが、唯一の垂直方向内における移動によって、
移送装置の上の、完成して加工された加工材料を取り去り可能であり、且つ、移送装置の上の、加工されていない加工材料を収容可能である。
【発明の効果】
【0006】
この加工材料スピンドルが、単に垂直方向内においてだけ移動可能であるにもかかわらず、如何なる付加的な積み込みおよび積み下ろし装置も必要ではない。
特に有利には、この方法に従い、2つのスピンドルの工作機械が作動され得、その際、工具タレットが、専ら、水平方向において移動可能であり、且つ、両方の加工材料スピンドルの間で往復的に搖動する。この2つのスピンドルの工作機械は、単に3つの制御された軸線のみで十分である。
【0007】
次に、図を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】操作側から見た、工作機械の図である。
【図1a】部分的な、作業位置および積荷位置の図である。
【図2】2つのスピンドルを有する工作機械の図である。
【図3】上から見た、工作機械の図である。
【図4】小さな加工材料のための、2つのスピンドルを有する工作機械の図である。
【図5】上から見た、図4に従う工作機械の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、概略的な図示における工作機械を示している。この機械フレームは、正方形の横断面を有する支柱1、垂直方向の側壁4、4′、および、同様に垂直方向の前壁16として構成されている。この側壁4に沿って、スピンドル移動台6が、案内シュー26の上で、案内装置5、5′を介して、垂直方向(Z軸)内において移動可能である。駆動は、モータ18、および、図示されていないボールローラースピンドルを介して行われる。このスピンドル移動台6は、加工材料スピンドル2を支持している。この加工材料スピンドルの下側に、締付け手段(チャック)15が、加工材料8の収容のために設けられている。
【0010】
この前壁16の上側の部分内において、工具20のための工具保持装置3を有する支持移動台17が、案内レール14の上で、水平方向(X軸)内において移動可能である。この支持移動台17は、モータ18′によって、ボールローラースピンドル19を介して駆動される。この加工材料スピンドル2は、作業位置10内における加工材料8を有して存在し、且つ、この工具20が食い込み状態(im Eingriff)にある。移送装置24は、加工されていない加工材料8を積荷位置11へと移送し、且つ、加工された加工材料を導出する。有利には、この積荷位置11は、作業位置10のすぐ下方に設けられており、従って、この加工材料スピンドル2が、唯一の垂直方向内における移動によって、積み込みおよび積み下ろしされ得る。
切削屑保護装置25は、切削屑および冷却剤がこの移送装置24を汚染することを防止する。これら切削屑は、この切削屑保護装置25から分離壁9の上に滑り、且つこの分離壁から集積ケース22内へと滑る。
【0011】
図1内における図示に従って、この切削屑保護装置25は、旋回可能なフラップとして形成されている。この切削屑保護装置は、下側の端部において回転可能に軸受けされており、且つ、図示された傾斜された位置から、垂直方向の位置に旋回され得る。
図1aに従う有利な実施形態の場合、この切削屑保護装置25は、管体として形成されており、この管体を通って、この移送装置24が貫通案内されている。この管体内において、1つの開口部30が設けられている。保護状態において、この開口部30は、移送装置24の下方に存在する。加工材料8、8′の交換のために、この管体は、この管体の長手軸線方向を中心として回転され、従って、この締付け手段15を有する加工材料スピンドル2が、上側から開口部を貫いて、加工材料8、8′を取り去ること、即ち掴むことが可能である。
【0012】
加工材料の交換は、以下の方法のステップにおいて行われる:
1. 作業位置10からの切削屑保護装置25の移動、
2. 垂直方向(Z軸)内における加工材料スピンドル2の移動による、移送装置24の上の、完成して加工された加工材料8の取り去り、
3. 移送装置24の更なる周期的な進行、および、積荷位置11内における加工されていない加工材料8′の位置決め、
4. 加工材料スピンドル2のチャック15(締付け手段)15内における加工材料8′の収容、
5. 作業位置10内への、加工材料スピンドル2の移動、
6. 切削屑保護装置25による、移送装置24の保護。
【0013】
特に有利には、この方法は、2つのスピンドルの工作機械において使用され得る(図2参照)。その際、加工材料スピンドル2、2′は、鏡対称的に、支柱1の相対して位置している側壁4、4′に設けられている。
図1に従う1つのスピンドルの機械と類似して、ここで、両方の加工材料スピンドル2、2′は、スピンドル移動台6、6′の上で、垂直方向(Z軸)内において移動可能である。同様に、積み込みおよび積み下ろしの際の工程も、両方の工具スピンドルの場合と同一である。工具保持装置3は、これら両方の加工材料スピンドル2、2′の間で往復的に搖動する。一方の工具スピンドル内において、一方の加工材料8が加工されている間、他方の工具スピンドルは、積み込みおよび積み下ろしされ得る。このことによって、1つの加工材料のための加工のためのサイクル時間は、もはや、積み込みおよび積み下ろし時間に依存しない。
【0014】
加工材料スピンドル2′から、切削屑は、切削屑保護装置25′および分離壁9を介して、集積ケース22内へと落下する。特に有利には、この2つのスピンドルの機械は、単に3つの制御された軸線(2つのZ軸、および1つのX軸)のみで十分である。
移送装置24は、エンドレスの搬送ベルトとして、支柱1の周囲を回って案内されている。必要のある場合には、この支柱1の背面側に転向装置27が設けられており、加工材料を一方の加工材料スピンドル(2)内において前面側を、および他方の加工材料スピンドル(2′)内において背面側を加工するために、この転向装置がこの移送装置24の上のこれら加工材料8を反転する。
【0015】
これら機構ユニットの配設は、上からの眺望において、図3内において明瞭に示されている。作業室7は、支柱1の前壁16に接続されている。この作業室内において、加工材料8が工具20でもって加工される。前壁16に沿って仮想の面E、および側壁4に沿って仮想の面Fが指向している。これら両方の面E、Fは、支柱1の角部28において交差している。加工材料8の加工は、専ら、この支柱1に向かい合って位置する面E、Fの側で行われる。スピンドル移動台6は、その際、この面Eを貫いて、作業室7内へと突出し、且つ、このスピンドル移動台の端部において、懸吊する加工材料スピンドル2を支持している。
【0016】
垂直方向の案内装置5は、角部28、28′のすぐ近くに設けられている。水平方向の案内レール14は、前壁16の全幅にわたって延在している。従って、支持移動台17がその都度の作業位置内において存在する場合、案内シュー26、26′は同様に角部28、28′のすぐ近くに存在する。
【0017】
このようにして、加工材料スピンドル2から工具20への動力伝達(Kraftfluss)、および従って、機械剛性(Maschinensteifigkeit)は、特に有利に最適化される。図3から、有利な補助機構ユニットの配設が明瞭である。内側に向かって開放され得る配電盤キャビネット12は、支柱1に対して間隔を有して設けられており、従って、移送装置24が、環状に、この支柱1の周囲を回って案内されている。
【0018】
配電盤キャビネット12に接続して、移送装置24の上方に、液圧および冷却ユニット(Hydraulik- und Kuhlaggregat)13が装着されている。左側の機械側面に、切削屑台車23を有する切削屑搬送装置21が設けられている。この切削屑搬送装置21と配電盤キャビネット12との間は、中間室29である。
このことによって、この機械は、極めてコンパクトに構成され、且つ、メンテナンスの目的のために、それにも拘らず、容易に外から取り扱い可能である。
【0019】
小さな加工材料の加工のための有利な実施形態は、図4および5内において図示されている。小さな加工材料の場合、送りおよび送達道程(Vorschub- und Zustellwege)が相応して短くなるので、両方の加工材料スピンドル2が、直接的に互いに並列して設けること、および従って工具保持装置3の移動道程を短くすることは特に有利である。
この目的で、L字形のスピンドル移動台6、6′が、側壁4、4′における垂直方向の案内装置5、5′の上で移動可能である。このL字形の形状に基づいて、加工材料スピンドル2、2′は、前壁16に沿って、直接的に互いに並列して設けられている。加工材料の加工が、僅かの作業ステップに制限されるので、1つの工具保持装置3は、3つの工具20を設けられており、この工具保持装置が、案内レール14の上で、水平方向(X軸)内において移動可能である。
【0020】
移送装置24は、前壁16に対して平行に延在しており、加工材料スピンドル2、2′の下方で、積荷位置11、11′を貫いて案内されている。切削屑保護装置25は、開口部30、30′を有する管体として形成されている。
これら開口部30、30′は、特に有利には、この管体の相対して位置している側面に設けられており、従って、加工材料スピンドル2、2′を設けられた積荷位置11、11′が、交互に、切削屑から保護されており、または、開放状態において、加工材料8、8′の交換のために外から取り扱い可能である。
【符号の説明】
【0021】
1 支柱
2、2′ 加工材料スピンドル
3 工具保持装置
4、4′ 側壁
5、5′ 案内装置
6、6′ スピンドル移動台
7 作業室
8、8′ 加工材料
9 分離壁
10 作業位置
11 積荷位置
12 配電盤キャビネット
13 液圧および冷却ユニット
14 案内レール
15 締付け手段
16 前壁
17 支持移動台
18、18′、18″ モータ
19、19′ ボールローラースピンドル
20 工具
21 切削屑搬送装置
22 集積ケース
23 切削屑台車
24 移送装置
25、25′ 切削屑保護装置
26、26′ 案内シュー
27 転向装置
28、28′ 角部
29 中間室
30、30′ 開口部
E 仮想の面
F 仮想の面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械フレーム、
この機械フレームの垂直方向(Z軸)内において移動可能な加工材料スピンドル(2)、
この機械フレームの水平方向(X軸)内において移動可能な工具保持装置(3)、および、
加工材料(8)のための移送装置(24)を有する、
工作機械の積み込みおよび積み下ろしのための方法であって、
方法のステップ:
a. 垂直方向内における加工材料スピンドル(2)の移動による、移送装置(24)の上の、完成して加工された加工材料(8)の取り去り、
b. 移送装置(24)の更なる周期的な進行、および、積荷位置(11)内における加工されていない加工材料(8′)の位置決め、
c. 加工材料スピンドル(2)のチャック(15)内における加工材料(8′)の収容、
d. 作業位置(10)内への、垂直方向内における加工材料スピンドル(2)の移動、
の方法のステップを有する前記方法において、
加工材料スピンドル(2)と移送装置(24)との間の作業位置(10)内において、切削屑保護装置(25)が設けられていること、
この切削屑保護装置(25)が、前記方法のステップ(a)の以前に、前記加工材料スピンドル(2)と移送装置(24)との間の前記作業位置の領域から、外へと移動されること、および、
この切削屑保護装置(25)が、前記方法のステップ(d)の以降に、移送装置(24)の保護のために、切削屑の落下の前に、再び、前記加工材料スピンドル(2)と移送装置(24)との間の前記作業位置の領域に帰還移動されること、
を特徴とする方法。
【請求項2】
2つの加工材料スピンドル(2、2′)を有する、請求項1の方法において、
移送装置(24)が、両方の加工材料スピンドル(2、2′)に加工されていない加工材料(8)を供給し、且つ、加工された加工材料を再び導出することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
加工材料スピンドル(2、2′)が転向装置(27)を備えており、
加工材料を、一方の加工材料スピンドル(2)内において前面側を、および他方の加工材料スピンドル(2′)内において背面側を加工するために、
この転向装置が、移送装置(24)の上の加工材料(8)を反転することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載の方法を実施するための工作機械であって、
この工作機械が、
機械フレームと、
少なくとも1つの加工材料スピンドル(2)と、
工具(20)を備える工具保持装置(3)と、
加工材料(8)のための移送装置(24)と、
その作業位置内において加工材料(8)が加工される該作業位置(10)と、
および、
その積荷位置内において加工材料スピンドル(2)が、完成して加工された加工材料(8)を移送装置(24)の上へ取り去りおよび加工されてない加工材料(8)を収容する、該積荷位置(11)と、
を有する前記工作機械において、
加工材料スピンドル(2)が、唯一の垂直方向内における移動によって、作業位置(10)から積荷位置(11)内へと移動可能であることを特徴とする工作機械。
【請求項5】
側壁(4)に沿って指向する仮想の面F、および、前壁(16)に沿って仮想の面Eが、支柱(1)の角部(28)において交差している、請求項4に記載の工作機械において、
加工材料(8)における工具(20)の食い込みが、専ら、この支柱1に向かい合って位置する、面E、Fの側で行われることを特徴とする工作機械。
【請求項6】
請求項5に従う工作機械であって、
その際、加工材料スピンドル(2)が、スピンドル移動台(6)を用いて、
案内シュー(26)の上で、案内装置(5、5′)を介して、垂直方向(Z軸)内において、側壁(4)に沿って移動可能であり、且つ、
その際、工具保持装置(3)を有する支持移動台(17)が、案内レール(14)の上で、案内シュー(26、26′)でもって、水平方向(X軸)内において、前壁(16)に沿って移動可能である、前記工作機械において、
案内装置(5)が、角部(28)のすぐ近くに設けられていること、および、
支持移動台(17)が作業位置(10)内において存在する場合、案内シュー(26′)が、同様に、角部(28)のすぐ近くに位置している、
ことを特徴とする請求項5に記載の工作機械。
【請求項7】
2つの加工材料スピンドル(2、2′)を有する、請求項4から6のいずれか一つに記載の工作機械において、
工具(20)が、唯一の水平方向(X軸)内における移動によって、案内レール(14)に沿って、交番して、加工材料スピンドル(2、2′)の加工材料(8)に送達可能であることを特徴とする工作機械。
【請求項8】
2つの加工材料スピンドル(2、2′)を有する、請求項4に記載の工作機械であって、
その際、これら加工材料スピンドル(2、2′)が、スピンドル移動台(6、6′)を用いて、案内シュー(26)の上で、案内装置(5、5′)を介して、垂直方向(Z軸)内において、側壁(4、4′)に沿って移動可能であり、
その際、
工具保持装置(3)が、案内レール(14)の上で、水平方向(X軸)内において、前壁(16)に沿って移動可能である、前記工作機械において、
スピンドル移動台(6、6′)がL字形の形状を有していること、および、
加工材料スピンドル(2、2′)が、前壁(16)に沿って、直接的に互いに並列して設けられていることを特徴とする工作機械。
【請求項9】
1つの切削屑保護装置(25)を有する、請求項4から8のいずれか一つに記載の工作機械において、
この切削屑保護装置(25)が、移送装置(24)の保護のために、
切削屑の落下の前に、作業位置(10)と積荷位置(11)との間の領域内において移動可能であることを特徴とする工作機械。
【請求項10】
切削屑保護装置(25)が、開口部(30、30′)を有する管体として形成されていること、
加工材料スピンドル(2、2′)を設けられた積荷位置(11、11′)が、交互に、切削屑から保護されており、または、開放状態において、加工材料(8、8′)の交換のために外から取り扱い可能であることを特徴とする請求項9に記載の工作機械。

【図1】
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【図1a】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−111030(P2012−111030A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253505(P2011−253505)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(502323988)エマーク・ホールディング・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (13)
【Fターム(参考)】