説明

工具機械のための2つの自由度を有する平坦な保護カバー

工具機械のための2つの自由度を有する保護カバー(1)であって、少なくとも2つの主たる方向(D1,D2)に沿って可動である作動部材(A)に結合させることができ、該作動部材(A)に作動可能に接続される少なくとも1つの第1の平坦なカバー要素(2)と、少なくとも1つの第2の平坦なカバー要素(3)と、該カバー要素を摺動式に相互につなぐ誘導および保持手段(5a,5b,6a,6b,7a,7b,8a,8b)とを備え、該保護カバー(1)が、該第1の平坦なカバー要素(2)と第2の平坦なカバー要素(3)の間にあり、該平坦な要素(2,3)が2つの相互に直交する主たる方向(D1,D2)に沿って相互に摺動することができるように構成された中間フレーム(4)をさらに備え、該誘導および保持手段(5a,5b,6a,6b,7a,7b,8a,8b)が、ブレードの組(7a,7b,8a,8b)と相互に摺動することによって協働するように配置された線形誘導装置の組(5a,5b,6a,6b)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具機械のための付属品的な機械構成要素の分野に関する。
【0002】
詳細には本発明は工具機械のための2つの自由度を有する平坦な保護カバーに関し、このカバーは、規定された作動領域の範囲内で2つまたは3つの方向に沿って可動である作動部材に結合させることができる。
【背景技術】
【0003】
一般にこの種の平坦な保護カバーは工具機械の作動部材の作動領域を保護するのに適しており、作動部材はこの作動領域の範囲内で同機械の効率および持続期間を脅かす恐れのある外部要素から移動する。このような保護カバーは実際、汚れ、切屑、冷却剤、エマルジョン、偶発的な工具の衝突などに対する有効な補償手段である。
【0004】
一般に普及した該平坦な保護カバーは、保護されるべき範囲に対応するように該機械に固定される第1カバー要素と、該作動部材に作動可能に接続される第2の可動式のカバー要素と、任意選択で、互いに対してならびに該第1および第2カバー要素に対して可動である1つまたは複数の中間カバー要素とを備える。具体的には最も外側の機械の要素はフレーム形状であり、このフレーム形状の要素は、同心上にある要素と共に保護装置を構成する他の全ての平坦な要素が占める空間をその厚みの中に容易に収容することができる。
【0005】
各々のカバー要素は好ましくは例えばスチールなどの金属材料で作製されており、該作動部材が通過するための開口を有する。該開口は、最後の要素を除いて(その開口は概ね円形である)全ての要素に関して概ね矩形形状であることにより、機械の作動部材のシャフトが通過することが可能である。シャフトは特定の面内をカバーを引っ張りながら移動し、同カバーの中でこの面に直交する第3の方向に摺動することができる。
【0006】
このような従来の平坦な保護カバーは誘導および保持手段をさらに備えており、その機能は、一方で該カバー要素を互いに対して摺動式につなぐことで該作動部材が作業中に移動する際その後をたどって保護すべき範囲をカバーし、一方で全てのカバー要素を一塊になるような構成で互いに対して相対的にしっかりと保持することである。詳細には各々のカバー要素は、第1の方向に沿った同要素の摺動を容易にする少なくとも1つの誘導および保持要素と、第1の方向に直交する第2の方向での同要素の摺動を容易にする少なくとも1つの誘導および保持要素に結合される。
【0007】
保護カバーは欧州特許出願公開第1178258(A1)号明細書より既知であり、この場合各々の平坦な要素は、隣接する要素を第1の方向に沿って誘導する装置として機能する上向きのフレームと、これもまた隣接する要素に設けられた好適な軌道と協働して第2の方向に沿って摺動するように構成された少なくとも1つの付属物とを有する。
【0008】
このようなタイプの伸縮式の保護装置にはいくつかの制限と欠点がある。
【0009】
該カバー要素ならびに誘導および保持手段が上記に記載するように成形されることにより、相対的に平坦な保護カバーの厚みが大きくなり、これにより工具機械全体がかなりかさばるものになり、この機械に作動可能に結合された作動部材に重みがかかってしまう。
【0010】
さらに都合の悪いことには、該平坦な要素の重量が大きくなることは伸縮式の運動を失速させる一因となり、生産に関する問題および相対的な経済的欠点が伴う。
【0011】
これらの従来の平坦な保護カバーの別の欠点は、厚みをかなり大きくしないことには
1つのカバー要素に真鍮のシートおよびスクレーパなどの清掃手段を設けることが難しい点であり、このような清掃手段は、保護用の構成要素および作動部材を摩耗させたり擦り傷をつけたり損傷させる恐れのある切屑、油または冷却剤からその壁を十分にきれいに保つのに極めて重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1178258(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的はこれらの制限を克服することである。
【0014】
本発明の目的は、工具機械のための2つの自由度を有する平坦な保護カバーを提供することであり、このカバーは規定された作動領域の範囲内で二方向に可動な作動部材と結合させることができ、厚みを薄くすることでほとんど邪魔にならず、製造し易くかつ管理もし易くなるはずである。
【0015】
また本発明の目的は、その寸法および厚みを増大させずに適切に作動部材を清掃し、結果として装置を正しく作動させるための付属手段を要求に応じて容易に設置することができる平坦な保護カバーを提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は、作動部材の性能を上げ、作動領域の範囲内でその動作を二方向で迅速かつ音を立てないようにすることである。
【0017】
最後に本発明の目的は平坦な保護カバーにモジュール性を与えることであり、これにより作業員が組み立てや取り外しが簡単になるはずであり、また任意選択で部品交換作業を簡素化することで(構成要素の交換にも好都合である)、いかなるユーザの要求にもそれらをより適切に適応させるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
これらの目的は、工具機械のための2つの自由度を有する平坦な保護カバーであり、少なくとも2つの主たる方向に沿って可動である作動部材に結合させることができる保護カバーによって達成され、この保護カバーは、
−少なくとも1つの第1の平坦なカバー要素であり、該作動部材に作動可能に接続され、該部材が通過するための別々の開口を備える第1カバー要素と、
−少なくとも1つの第2の平坦なカバー要素であり、保護されるべき領域に対応するように該工具機械に固定することができ、該部材が通過するための別々の開口を備える第2カバー要素と、
−該少なくとも1つの第1カバー要素と少なくとも1つの第2カバー要素を摺動式に相互につなぐための誘導および保持手段とを備え、
該保護カバーがさらに、
−該少なくとも1つの第1の平坦なカバー要素と少なくとも1つの第2の平坦なカバー要素の間にあり、該平坦な要素が相互に直交する2つの主たる方向に沿って相互に摺動することができるように構成された中間フレームを備え、
該誘導および保持手段が、
−該少なくとも1つの第1の平坦なカバー要素にしっかりと結合され、第1の方向に沿って配置される第1の組の線形誘導装置と、
−該中間フレームにしっかりと結合され、該第1の方向に直交する第2の方向に沿って配置される第2の組の線形誘導装置と、
−該中間フレームにしっかりと結合され、第1の方向に沿って配置される第1の組のブレードと、
−該少なくとも1つの第2の平坦なカバー要素にしっかりと結合され、第2の方向に沿って配置される第2の組のブレードとを備えることを特徴とし、
該第1の組のブレードは該第1の組の線形誘導装置と摺動可能に結合され、該第2の組のブレードは該第2の組の線形誘導装置と摺動可能に結合される。
【0019】
本発明の可能性のある実施形態によると、該平坦な保護カバーはさらに
−該作動部材が通過するための別々の開口を備える第3の平坦なカバー要素と、
−該少なくとも1つの第2のカバー要素と該第3のカバー要素の間にあり、該平坦な要素が相互に直交する2つの主たる方向に沿って相互に摺動することができるように構成された第2の中間フレームとを備えており、
該誘導および保持手段はさらに
−該少なくとも1つの第2カバー要素としっかりと結合され、該第2の方向に沿って配置される第3の組の線形誘導装置と、
−該第2フレームとしっかりと結合され、該第1の方向に沿って配置される第4の組の線形誘導装置と、
−該第2中間フレームとしっかりと結合され、第1の方向に沿って配置される第3の組のブレードと、
−該第3の平坦なカバー要素としっかりと結合され、第2の方向に沿って配置される第4の組のブレードとを備え、
該第3の組のブレードは該第3の組の線形誘導装置と摺動するように結合され、該第4の組のブレードは該第4の組の線形誘導装置と摺動するように結合される。
【0020】
有利には該平坦な保護カバーは複数の平坦なカバー要素、中間フレームならびに誘導および保持手段を備えることができ、これらはモジュール式シーケンスの適切な延長部を形成するように配置される。
【0021】
本発明の好ましい態様によると、該線形誘導装置はL字形部分を備えた細長い要素であり、該ブレードは該平坦なカバー要素の厚みと該中間フレームの厚みの中に生じるへこんだ部分によって形成される。
【0022】
本発明の別の好ましい態様によると該誘導および保持手段は摺動手段を備えており、この手段は相互に接触する部品の間に生じる滑り摩擦を軽減させるように構成される。
【0023】
本発明の一実施形態によると、該第1および第3の組の線形誘導装置は、該少なくとも1つの第1カバー要素と少なくとも1つの第2カバー要素のそれぞれの開口に向いており、該第2および第4の組の線形誘導装置は該第1および第3の組の線形誘導装置とは反対側を向いており、該第2および第4の組のブレードは、該少なくとも1つの第2カバー要素と第3カバー要素のそれぞれの開口に向いており、該第1および第3の組のブレードは該第2および第4の組のブレードとは反対側を向いている。
【0024】
本発明にはいくつかの利点があり、それらは明らかである。
【0025】
該平坦な保護カバーは、このようなタイプの誘導および保持手段が使用され、かつそれらを1つのカバー要素に固定する方法により全体の厚さが小さくなる。その結果その重量がかなり軽くなり、有利には工具機械全体の反応と作動速度が速くなり、製造コストおよびそれに関連するコストが最適なものになる。
【0026】
該保護装置は有利にはその全体の厚さを大きくせずに、但し中間フレームの厚さを利用して、例えば真鍮およびスクレーパなどの好適な清掃手段に適合させることが可能であり、このような手段は保護用の構成要素または作動部材を摩耗させたり擦り傷をつけたり損傷させる恐れのある切屑、油および冷却剤からその壁を十分にきれいに保つのに極めて重要である。
【0027】
該平坦な保護カバーの構造が簡素であることにより1つのカバー要素を加工する必要がほとんどなく、誘導および保持手段を収容するためにより大きな箱形の最終要素に無理に成形することもなく、有利には該保護装置は作動部材を妨げずに工具機械の外側から全体を取り外すことが可能であり、一部の部品のメンテナンスおよび交換のためのいずれの作業も容易になる。
【0028】
さらに該平坦な保護カバーはモジュール式の構造を有しており、この構造によってその設計を極めて可撓性にすることが可能であり、いかなる状況やユーザの要求にも容易に適合し、いかなる構成の工具機械および使用中の各々の作動部材にも容易に適合する。
【0029】
さらに有利には該保護カバーは規格化することができ、すなわち各々のカバー要素が異なる寸法だとしても、それらを全て同一の寸法の誘導および保持手段に適合させることができ、製造速度を速め、そのコストを抑えることができる。さらに各々の誘導および保持手段が2つの平坦なカバー要素のみと協働するため、同誘導手段を迅速に交換することができ、好適には機械の重量または作動速度によって選択され容易に取り換えることが可能である。
【0030】
これらのおよび他の利点は、図面の助けを借りて非制限的な例として作製された以下の本発明の好ましい実施形態からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による平坦な保護カバーの、それが適用される機械の中から見た不等角投影図である。
【図2】図1の平坦な保護カバーを分解組立図で示した不等角投影図である。
【図3】本発明の詳細の部分的な切り欠き図である。
【図4】可能な一実施形態の変形による平坦な保護カバーの機械の中から見た不等角投影図である。
【図5】図4の平坦な保護カバーの機械の外から見た不等角投影図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1および図3を参照すると、2つの自由度を有し互いに直交する2つの主たる方向D1およびD2に沿って作用する平坦な保護カバー1が示されており、このカバーは、所定の工具機械上で作動する可動の作動部材Aと結合させることができる。
【0033】
該保護装置1は、第1の平坦なカバー要素2と、第2の平坦なカバー要素3と、該第1の平坦な要素と該第2の平坦な要素の間にある中間フレーム4とを備える。
【0034】
該第1の平坦なカバー要素2は該作動部材Aが通過するための開口2’を備えており、そこに作動可能に接続されることで任意選択でこの作動部材Aが該開口2’の中を自由に摺動する。
【0035】
該第2の平坦なカバー要素3は、保護されるべき範囲に対応するように該工具機械に固定され、これもまた該作動部材Aが通過するための別々の開口3’を備える。
【0036】
該フレーム4は、該第1の平坦なカバー要素2と第2の平坦なカバー要素3の間に中間の開口4’の範囲を定め、このフレーム4は、該平坦な要素2および3が2つの互いに直交する方向D1およびD2に沿って相互に摺動することができるように構成されている。
【0037】
該保護カバー1はさらに誘導および保持手段5a,5b,6a,6b,7a,7b,8a,8bを備えており、これらの手段は、該カバー要素2および3ならびに該フレーム4を摺動式につなぐように配置されている。
【0038】
具体的には該誘導および保持手段5a,5b,6a,6b,7a,7b,8a,8bは、L字形の部分を有する細長い要素で構成される2組の線形誘導装置 5a,5bおよび6a,6bを備えており、第1の組の線形誘導装置5a,5bは、該第1の平坦なカバー要素2にしっかりと結合され第1の方向D1に沿って配置されており、第2の組の線形誘導装置6a,6bは、該中間フレーム4にしっかりと結合され第1の方向D1に直交する第2の方向D2に沿って配置されている。
【0039】
さらに該誘導および保持手段5a,5b,6a,6b,7a,7b,8a,8bは、2組のブレード7a,7bおよび8a,8bを備えており、第1の組のブレード7a,7bは、該中間フレーム4にしっかりと結合され第1の方向D1に沿って配置されており、第2の組のブレード8a,8bは、該第2の平坦なカバー要素3にしっかりと結合され第2の方向D2に沿って配置されている。該ブレードの組7a,7bおよび8a,8bはくぼんだ部分によって形成され、それらが属している平坦なカバー要素3と中間フレーム4の厚みに中に形成される。
【0040】
示される組み立て方法によると、該第1の組の線形誘導装置5a,5bは該第1の平坦なカバー要素2の開口2’に向いており、その一方で該第2の組の線形誘導装置6a,6bは該第1の組の線形誘導装置5a,5bとは反対側を向いている。該第2の組のブレード8a,8bは該第2の平坦なカバー要素3の開口3’に向いており、その一方で該第1の組のブレード7a,7bは該第2の組のブレード8a,8bとは反対側を向いている。
【0041】
図2を参照すると平坦な保護カバー1は、複数の平坦なカバー要素と、中間フレームと誘導および保持手段を備えており、これらは作動部材Aが移動する面の寸法によって、該保護装置のモジュール式シーケンスの適切な延長部を形成するように配置される。
【0042】
具体的には図1に示される全ての要素を備える他に、平坦な保護装置1は、作動部材Aが通過するための別々の開口9’を備えた第3の平坦なカバー要素9と、該第2のカバー要素3と第3のカバー要素9の間に第2の中間フレーム10を備えている。
【0043】
該中間フレーム10もまた、該第2の平坦な要素3と第3の平坦な要素9が2つの互いに直交する主たる方向D1およびD2に沿って相互に摺動することができるように構成されている。
【0044】
平坦な保護装置1はさらに、誘導および保持手段11a,11b,12a,12b,13a,13b,14a,14bを備えている。
【0045】
第3の組の線形誘導装置11a,11bは、該第2の平坦なカバー要素3にしっかりと結合され該第2の方向D2に沿って配置されており、その一方で第4組の線形誘導装置12a,12bは、該フレーム10にしっかりと結合され該第1の方向D1に沿って配置されている。
【0046】
第3の組のブレード13a,13bは、該第2の中間フレーム10にしっかりと結合され該第1の方向D1に沿って配置されており、その一方で第4の組のブレード14a,14bは、該第3の平坦なカバー要素9にしっかりと結合され第2の方向D2に沿って配置されている。
【0047】
示される組み立て方法によると、該第3の組の線形誘導装置11a,11bは該第3の平坦なカバー要素9の開口9’に向いており、その一方で該第4の組の線形誘導装置12a,12bは、該第1の組の線形誘導装置11a,11bの反対側を向いている。該第4の組のブレード14a,14bは該第3の平坦なカバー要素9の開口9’に向いており、その一方で該第3の組のブレード13a,13bは、該第4の組のブレード14a,14bの反対側を向いている。
【0048】
特に図3を参照すると清掃手段15が示されており、この手段は、平坦なカバー要素の表面をきれいに保ち、かつ切屑または液体残留物が作動部材および工具機械の様々な構成要素に接触するのを阻止するのに適している。該清掃手段15は、真鍮のシートまたは可撓性材料でできたタブを備えており、平坦なカバー要素2の保護されるべき範囲に向いている面に結合され、該平坦な要素2の全ての外側の面に沿って配置される。該清掃手段15は、それが属している要素に隣接する平坦な要素3の保護されるべき範囲の反対を向いている面に対して作用し、その厚さは、該隣接する要素2と3の間に配置された中間フレーム4の厚さとほぼ等しい。
【0049】
図4および図5は、4つの平坦なカバー要素と3つの中間フレームで構成された平坦な保護カバーを示しており、これらのカバーとフレームは、作動部材Aが広範な保護範囲の中を移動することができるように互いに対して組み立てられている。
【0050】
示されていない可能な変形形態によると、該誘導および保持手段は例えばランナーなどの摺動手段を備えており、これは相互に接触する部品の間に生じる滑り摩擦を軽減するのに適している。
【0051】
示されていない別の可能な変形形態によると、該平坦な保護カバーは、該平坦なカバー要素のための緩衝装置として作用する付属手段を備えている。具体的には該緩衝付属手段は、各ブレードに対応するように配置された少なくとも1つの弾性式の止め具を備えており、これは該ブレード上を摺動する線形誘導装置と協働するのに適している。
【0052】
本発明の作用を以下に記載する。
【0053】
各々の平坦なカバーがそこに隣接する他のカバーに運動学的に接続されることで、工具機械に結合された作動部材が移動した後に、該部材に作動可能に結合された要素もまたそれによって他の平坦なカバー要素を2つの直交する主たる方向D1およびD2に沿って次々に引っ張り、これらの要素は誘導および保持手段によって相互に摺動しつつ作動部材が移動する間その作動領域を閉鎖され保護された状態に保つ。
【0054】
誘導装置の形状が特有のL字形であることにより平坦な要素を保持することができ、作動部材Aが保護カバー面に直交する方向に移動することができる。
【0055】
当然のことながら、本発明の原理が理解されることで、実施形態、使用される材料、寸法および構造の詳細は、本発明の範囲から逸脱することなく用途の要件に従って記載され示されるものと比べ広範囲にわたって変化する可能性がある。
【符号の説明】
【0056】
1 保護カバー
2 第1カバー要素
2’,3',4’,9’,10' 開口
3 第2カバー要素
4 中間フレーム
5a,5b 第1の組の誘導および保持手段
6a,6b 第2の組の誘導および保持手段
7a,7b 第1の組のブレード
8a,8b 第2の組のブレード
9 第3カバー要素
10 第2中間フレーム
11a,11b 第3の組の誘導および保持手段
12a,12b 第4の組の誘導および保持手段
13a,13b 第3の組のブレード
14a,14b 第4の組のブレード
15 清掃手段
A 作動部材
D1 第1の方向
D2 第2の方向
n カバー要素
m 中間フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具機械のための2つの自由度を有する平坦な保護カバー(1)において、少なくとも2つの主たる方向(D1,D2)に沿って可動である作動部材(A)に結合させることができ、
−少なくとも1つの第1の平坦なカバー要素(2)であり、前記作動部材(A)に作動可能に接続され、前記部材(A)が通過するための別々の開口(2’)を備える第1カバー要素(2)と、
−少なくとも1つの第2の平坦なカバー要素(3)であり、保護されるべき領域に対応するように前記工具機械に固定することができ、前記部材(A)が通過するための別々の開口(3’)を備える第2カバー要素(3)と、
−前記少なくとも1つの第1カバー要素(2)と少なくとも1つの第2カバー要素(3)を摺動式に相互につなぐための誘導および保持手段(5a,5b,6a,6b,7a,7b,8a,8b)とを備える平坦な保護カバー(1)であって、
−前記少なくとも1つの第1の平坦なカバー要素(2)と少なくとも1つの第2の平坦なカバー要素(3)の間にあり、前記平坦な要素(2,3)が相互に直交する2つの主たる方向(D1,D2)に沿って相互に摺動することができるように構成された中間フレーム(4)をさらに備え、
前記誘導および保持手段 (5a,5b,6a,6b,7a,7b,8a,8b)が、
−前記少なくとも1つの第1の平坦なカバー要素(2)にしっかりと結合され、第1の方向(D1)に沿って配置される第1の組の線形誘導装置 (5a,5b)と、
−前記中間フレーム(4)にしっかりと結合され、前記第1の方向(D1)に直交する第2の方向(D2)に沿って配置される第2の組の線形誘導装置(6a,6b)と、
−前記中間フレーム(4)にしっかりと結合され、第1の方向(D1)に沿って配置される第1の組のブレード(7a,7b)と、
−前記少なくとも1つの第2の平坦なカバー要素(3)にしっかりと結合され、第2の方向(D2)に沿って配置される第2の組のブレード(8a,8b)とを備え、
前記第1の組のブレード(7a,7b)が前記第1の組の線形誘導装置(5a,5b)と摺動可能に結合され、前記第2の組のブレード(8a,8b)が前記第2の組の線形誘導装置(6a,6b)と摺動可能に結合されることを特徴とする平坦な保護カバー(1)。
【請求項2】
−前記作動部材(A)が通過するための別々の開口(9’)を備える第3の平坦なカバー要素(9)と、
−前記少なくとも1つの第2のカバー要素(3)と前記第3のカバー要素(9)の間にあり、前記平坦な要素(3,9)が相互に直交する2つの主たる方向(D1,D2)に沿って相互に摺動することができるように構成された第2の中間フレーム(10)とをさらに備え、
前記誘導および保持手段(11a,11b,12a,12b,13a,13b,14a,14b)がさらに
−前記少なくとも1つの第2カバー要素(3)としっかりと結合され、前記第2の方向(D2)に沿って配置される第3の組の線形誘導装置(11a,11b)と、
−前記第2フレーム(10)としっかりと結合され、前記第1の方向(D1)に沿って配置される第4の組の線形誘導装置(12a,12b)と、
−前記第2中間フレーム(10)としっかりと結合され、第1の方向(D1)に沿って配置される第3の組のブレード(13a,13b)と、
−前記第3の平坦なカバー要素(9)としっかりと結合され、第2の方向(D2)に沿って配置される第4の組のブレード(14a,14b)とを備え、
前記第3の組のブレード(13a,13b)が前記第3の組の線形誘導装置(11a,11b)と摺動式に結合され、前記第4の組のブレード(14a,14b)が前記第4の組の線形誘導装置(12a,12b)と摺動式に結合されることを特徴とする、請求項1に記載の平坦な保護カバー(1)。
【請求項3】
複数の平坦なカバー要素と、中間フレームと誘導および保持手段を備えており、これらがモジュール式シーケンスの適切な延長部を形成するように配置されることを特徴とする、請求項1または2に記載の平坦な保護カバー(1)。
【請求項4】
前記線形誘導装置(5a,5b,6a,6b,11a,11b,12a,12b)が、L字形の部分を有する細長い要素であることを特徴とする、請求項1に記載の平坦な保護カバー(1)。
【請求項5】
前記ブレードが(7a,7b,8a,8b,13a,13b,14a,14b)がくぼんだ部分によって形成され、前記平坦なカバー要素(3,9)と前記中間フレーム(4,10)の厚みの中に形成されることを特徴とする、請求項1に記載の平坦な保護カバー(1)。
【請求項6】
−前記第1の線形誘導装置(5a,5b)および第3の組の線形誘導装置(11a,11b)が、前記少なくとも1つの第1の平坦なカバー要素(2)と少なくとも1つの第2の平坦なカバー要素(3)のそれぞれの開口(2’,3’)に向いており、
−前記第2の組の線形誘導装置(6a,6b)および第4の組の線形誘導装置(12a,12b)が、前記第1の線形誘導装置(5a,5b)および第3の組の線形誘導装置(11a,11b)とは反対側を向いており、
−前記第2の組のブレード(8a,8b)および第4の組のブレード(14a,14b)が、前記少なくとも1つの第2の平坦なカバー要素(3)と第3の平坦なカバー要素(9)のそれぞれの開口(3’,9’)に向いており、
−前記第1の組のブレード(7a,7b)および第3の組のブレード(13a,13b)が、前記第2の組のブレード(8a,8b)および第4の組のブレード(14a,14b)とは反対側を向いていることを特徴とする、請求項1から5のうちいずれか一項に記載の平坦な保護カバー(1)。
【請求項7】
前記誘導および保持手段(5a,5b,6a,6b,7a,7b,8a,8b,11a,11b,12a,12b,13a,13b,14a,14b)が、相互に接触する部品の間に生じる滑り摩擦を軽減させるように構成された摺動手段を備えることを特徴とする、請求項1に記載の平坦な保護カバー(1)。
【請求項8】
可撓性の材料でできた清掃手段(15)を備え、この清掃手段が前記平坦なカバー要素(2,3,9)の保護されるべき範囲に向いている面に結合され、少なくとも前記平坦な要素の外側の一面に沿って配置されることを特徴とする、請求項1に記載の平坦な保護カバー(1)。
【請求項9】
前記清掃手段(15)が、それが属している要素に隣接する前記平坦な要素(3,9,n)の保護されるべき範囲の反対を向いている面に対して作用し、その厚さが、前記隣接する要素の間に配置された前記中間フレーム(4,10,m)の厚さとほぼ等しいことを特徴とする、請求項8に記載の平坦な保護カバー(1)。
【請求項10】
請求項1から9のうちいずれか一項に記載の2つの自由度を有する平坦な保護カバーを備えることを特徴とする工具機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−506566(P2013−506566A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531512(P2012−531512)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【国際出願番号】PCT/IB2010/002478
【国際公開番号】WO2011/039618
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(512084466)ラ プロテック エスアールエル (1)
【Fターム(参考)】