説明

工具洗浄方法および装置

【課題】工具装置の工具を洗浄し、測定するための方法および装置として、大きいばらつきなしに極めて正確な測定を可能とし、作業プロセスに直接に組み込むことのできる方法および装置を提案する。
【解決手段】測定すべき工具3を超音波により洗浄する。洗浄は、液体5を充填された容器4内で行われ、液体として、例えば水、油溶性および/または脂溶性の媒体を使用する。超音波洗浄のための容器は工作機械内の適宜な位置、すなわち、工具のできるだけ近傍に、加工材の加工工程の妨げとならないように配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械の工具を洗浄し、測定するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械では、加工材を加工するために必要な工具を測定するために測定装置が使用される。一般に、このような工具の幾何学形状(長さ、直径など)が測定される。通常、工具は収容部で締め付けられ、収容部はスピンドル内に配置される。工具を測定するために、スピンドルは、収容部で締め付けられた工具と共に測定装置、例えば従来技術で公知のレーザ装置内に移動され、所望の測定値が検出される。この測定工程は、工具が停止している場合および工具が回動している場合に行う。
【0003】
工具は作動プロセスで通常使用される潤滑剤、エマルジョンなどにより汚染されるので、できるだけ正確な測定値を得るためには実際の測定プロセス前の洗浄が不可欠となることが公知である。
【0004】
欧州特許出願公開第1591196号明細書には、工作機械の工具を測定するための方法が記載されている。この場合、工具はレーザ測定装置により測定される。測定前に工具には洗浄のために油溶性または脂溶性の媒体を吹き付けられる。
【0005】
欧州特許出願公開第0834378号明細書には、加工材を機械加工するための装置において工具寸法を測定するための手段が記載されている。
【0006】
また、ドイツ国特許出願公開第4126405号明細書には、測定対象のねじ面を測定するためのさらなる方法が記載されている。
【0007】
従来技術に示された工具の洗浄方法は全て十分な結果をもたらさず、測定にエラーが生じ、頻繁にばらつきが生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1591196号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0834378号明細書
【特許文献3】ドイツ国特許出願公開第4126405号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、大きいばらつきなしに極めて正確な測定を可能とし、作業プロセスに直接に組み込むことのできる方法および装置を形成することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、この課題は、測定すべき工具を超音波により洗浄することにより解決される。
【0011】
本発明に係る工具の洗浄装置により、従来技術に比べて著しく高い測定精度が得られる。
【0012】
有利には、洗浄は、液体を充填された容器内で行われ、液体として、例えば水、油溶性および/または脂溶性の媒体を使用することができる。
【0013】
超音波洗浄のための容器は工作機械内の適宜な位置、すなわち、工具のできるだけ近傍に、加工材の加工工程の妨げとならないように配置されており、これにより、工具の実際の測定前に作動工程において自動的な洗浄を行うことができる。
【0014】
工具は、スピンドルの停止状態または回動状態で洗浄することが可能であり、後者の場合にスピンドルの速度は様々であってよい。洗浄のための通常のサイクル時間は5秒〜15秒である。スピンドルが回動している場合に、有利には液体粒子を遠心力により分解することができる。さらに必要に応じて、洗浄済工具を吹飛し装置により乾燥させることもできる。
【発明の効果】
【0015】
工作機械の工具を洗浄し、測定するための本発明の方法および装置によれば、従来技術に比べて著しく高い測定精度が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1a】超音波浴の外部のスピンドル工具装置を示す図である。
【図1b】超音波浴の内部のスピンドル工具装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1aおよび図1bは、チャック2を備える工作機械のスピンドル1を示している。洗浄する工具3はチャック2で締め付けられている。スピンドル1の下方には容器4が設けられており、容器4には超音波洗浄のための適宜な液体が充填されている。図1aには、工具3を備えるスピンドル1が容器の外部で示されている。図1bは、工具3を備えるスピンドル1が洗浄位置で示されている。
【0018】
工作機械および測定装置は一般的な従来技術であり、これらについては図示してない。
【0019】
本発明により達成される利点は、特に超音波洗浄を利用することにより、極めて高い測定精度が得られることである。工具の幾何学サイズ、例えば工具長さまたは工具径などのばらつきを著しく低減することができる。超音波浴は、工具の測定前に自動的な洗浄サイクルを開始することができるように、工作機械に取り付けることができる。これにより、有利には装置動作時間が短縮される。
【符号の説明】
【0020】
1 スピンドル
2 チャック
3 工具
4 容器
5 液体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械の工具を洗浄し、測定するための方法において、
測定すべき工具(3)を超音波により洗浄することを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記超音波による洗浄を、液体(5)を充填した容器(4)内で行う方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、
前記液体(5)として水を使用する方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法において、
前記液体(5)として、油溶性および/または脂溶性の媒体を使用する方法。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法を実施するための装置において、
該装置が工作機械の工具(3)を洗浄するのに適した容器(4)として形成されていることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置において、
前記容器(4)が、工作機械、測定装置および/または工具交換器に隣接して配置されており、測定すべき工具(3)の洗浄が、作業工程、測定工程および/または工具交換工程に組み込まれている装置。

【図1a】
image rotate

【図1b】
image rotate