説明

巻き糸の離隔部材

【課題】ダンボール紙の使用枚数を減少させても隣り合う巻き糸の紙管同士を非接触状態にすることができるようにする。
【解決手段】紙管101の両端部を残して糸102を巻き付けたものであって、紙管101の両側の端部のそれぞれが露出している巻き糸100を、その紙管101の軸方向に複数並設する際に、隣り合う巻き糸100の紙管同士が非接触状態に突き合わされるとともに紙管101の端の露出部101a、101bのその径方向位置を規定する、ダンボール紙からなる巻き糸の離隔部材1において、互いに突き合わされる紙管101同士の間に配設されるもので、厚み方向の両面側に各紙管101の前記露出部101a、101bが入る凹部1a、1bを有する離隔用ダンボール紙3、4を少なくとも備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙管の両端部を残して糸を巻き付けた巻き糸を、保管や搬送等すべく箱詰めする場合に、紙管同士を非接触状態に突き合わせるように用いられる巻き糸の離隔部材に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した巻き糸100は、図7に示すように、紙管101の両端部101a、101bを残して糸102を巻き付けたものであって、紙管101の両側の端部101a、101bのそれぞれが露出した構成となっている。
【0003】
この巻き糸を保管、搬送等するための箱詰めは、例えば紙管の軸方向を上下にして複数段に重ねるとともに各段において多数の巻き糸を並べて配し、隣り合う上下段の巻き糸の間に離隔部材を介在させて行われる(例えば、特許文献1等参照)。その離隔部材は、紙管端部が潰れる等の変形を防止し、糸を解く際に糸が変形部に引っ掛かり難くするために、紙管の露出部同士を非接触の離隔した状態に突き合わさせるために用いられる。
【0004】
具体的には、図8に示すように、例えば同一箇所に紙管101に応じた大きさの貫通する円形孔111aをあけた4枚の同じ厚みのダンボール紙111を、図9に示すように重ね、その重ねてなる離隔部材110の円形孔110a(円形孔111aが重なったもの)の片方(下側)に隣り合う下側の巻き糸100の紙管の上側露出部101aを入れ、円形孔110aのもう片方(上側)に上側の巻き糸100の紙管の下側露出部101bを入れるようにして使用される。
【0005】
この使用状態において、紙管の軸方向で隣り合う巻き糸の紙管同士を非接触の離隔した状態にすべく、4枚のダンボール紙111の合計厚み寸法は、上側露出部101aの長さ寸法L1または下側露出部101bの長さ寸法L2(図7参照)の2倍よりも少し大きく設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】登録実用新案第3028731号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年においてはコストの低減化を図るべくダンボール紙の使用枚数を減少することが検討されているが、ダンボール紙の使用枚数を減少すると、当然のことながら前述したように紙管の軸方向で隣り合う巻き糸の紙管同士を非接触状態で突き合わせることができず、何らかの改善が必要となっていた。
【0008】
本発明は、このような現状に基づいてなされたものであり、ダンボール紙の使用枚数を減少させても紙管の軸方向で隣り合う巻き糸の紙管同士を非接触状態で突き合わせることができる巻き糸の離隔部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係る巻き糸の離隔部材は、紙管の両端部を残して糸を巻き付けたものであって、紙管の両側の端部のそれぞれが露出している巻き糸を、その紙管の軸方向に複数並設する際に、隣り合う巻き糸の紙管同士が非接触状態に突き合わされるとともに紙管の端の露出部のその径方向位置を規定する、ダンボール紙からなる巻き糸の離隔部材において、互いに突き合わされる紙管同士の間に配設されるもので、厚み方向の両面側に各紙管の前記露出部が入る凹部を有する離隔用ダンボール紙を少なくとも備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項2に係る巻き糸の離隔部材は、請求項1に記載の巻き糸の離隔部材において、前記離隔用ダンボール紙は、片面側に前記凹部を有する一対の第1ダンボール紙を備え、各凹部を外側に向けた状態に前記一対の第1ダンボール紙を重ねて用いられることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項3に係る巻き糸の離隔部材は、請求項1に記載の巻き糸の離隔部材において、前記離隔用ダンボール紙は、片面側に前記凹部を有する第1ダンボール紙と、前記露出部が入る貫通孔を有する第2ダンボール紙とを備え、前記凹部を外側に向けるとともにその凹部の位置と前記貫通孔の位置とを揃えた状態に前記第1ダンボール紙及び前記第2ダンボール紙を重ねて用いられることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項4に係る巻き糸の離隔部材は、請求項2に記載の巻き糸の離隔部材において、前記巻き糸が前記紙管の軸を鉛直方向にして配置され、かつ、前記離隔用ダンボール紙の上側に、上側の巻き糸の糸の下端に当接しその糸の下端が垂れるのを防止する糸垂れ防止用ダンボール紙が配設されることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項5に係る巻き糸の離隔部材は、請求項3に記載の巻き糸の離隔部材において、前記巻き糸が前記紙管の軸を鉛直方向にして配置され、かつ、前記第1ダンボール紙を前記第2ダンボール紙の下側に配し、前記第2ダンボール紙の上側に、上側の巻き糸の糸の下端に当接しその糸の下端が垂れるのを防止する糸垂れ防止用ダンボール紙が配設されることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項6に係る巻き糸の離隔部材は、請求項4に記載の巻き糸の離隔部材において、前記糸垂れ防止用ダンボール紙は、同一厚みで所定位置に貫通孔が形成された厚み調整用ダンボール紙を1または2以上で重ねたもので、前記離隔用ダンボール紙の上に配設され、前記離隔用ダンボール紙の上側にある第1ダンボール紙の前記凹部の底面から前記糸垂れ防止用ダンボール紙の上面までの距離が、上側の巻き糸における下側露出部の長さ寸法よりも長くなっていることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項7に係る巻き糸の離隔部材は、請求項5に記載の巻き糸の離隔部材において、前記糸垂れ防止用ダンボール紙は、同一厚みで所定位置に貫通孔が形成された厚み調整用ダンボール紙を1または2以上で重ねたもので、前記第2ダンボール紙の上に配設され、前記第2ダンボール紙の下面から前記糸垂れ防止用ダンボール紙の上面までの距離が、上側の巻き糸における下側露出部の長さ寸法よりも長くなっていることを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項8に係る巻き糸の離隔部材は、請求項7に記載の巻き糸の離隔部材において、前記糸垂れ防止用ダンボール紙は前記厚み調整用ダンボール紙を1枚有し、その糸垂れ防止用ダンボール紙と前記第2ダンボール紙とは、同じ厚みであって、それぞれの厚みをtとして、 1.5×t<露出部の長さ寸法<2×t を満たし、かつ前記紙管の露出部を入れる貫通孔を同じ位置に有するものであることを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項9に係る巻き糸の離隔部材は、請求項2または3に記載の巻き糸の離隔部材において、前記離隔用ダンボール紙が貼着されて一体化されていることを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項10に係る巻き糸の離隔部材は、請求項4乃至8のいずれかに記載の巻き糸の離隔部材において、前記離隔用ダンボール紙及び前記厚み調整用ダンボール紙が貼着されて一体化されていることを特徴とする。
【0019】
本発明の請求項11に係る巻き糸の離隔部材は、請求項1乃至10のいずれかに記載の巻き糸の離隔部材において、前記第1ダンボール紙にWフルートを用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明による場合には、紙管の軸方向に並設された2つの巻き糸の間に、離隔用ダンボール紙に設けた前記凹部の底部が介在するので、紙管の軸方向で隣り合う巻き糸の紙管同士を非接触状態で突き合わせることができ、これによりダンボール紙を4枚から1枚に減少させることが可能である。また、離隔用ダンボール紙の両面に紙管露出部が入る凹部が形成されているので、紙管の軸方向で隣り合う巻き糸の位置を規定することができる。
【0021】
請求項2、3の発明による場合にも、離隔用ダンボール紙を2枚のダンボール紙で構成することができる。
【0022】
請求項4の発明による場合には、紙管の軸を鉛直方向にして巻き糸を配置した場合であっても、離隔用ダンボール紙の上側に糸垂れ防止用ダンボール紙を配設しているので、離隔用ダンボール紙の上側の巻き糸の糸の下端が垂れるのを防止することができる。第1ダンボール紙を第2ダンボール紙の下側に配した請求項5の離隔用ダンボール紙にあっても、前同様である。
【0023】
請求項6および7のように、離隔用ダンボール紙より上側の巻き糸の下側露出部が入る穴の深さ寸法(請求項6では第1ダンボール紙の凹部の底面から糸垂れ防止用ダンボール紙の上面までの距離、請求項7では第2ダンボール紙の下面から糸垂れ防止用ダンボール紙の上面までの距離)が、前記下側露出部の長さ寸法よりも長いので、糸垂れ防止用ダンボール紙の上面が、その上側巻き糸の糸の下端が垂れないように保持することになる。
【0024】
請求項8の発明による場合には、糸垂れ防止用ダンボール紙と第2ダンボール紙の貫通孔に、その上側の巻き糸の下側の露出部が入る。このとき、最も上段の糸垂れ防止用ダンボール紙が、その上側の巻き糸の下端の糸に当接するので、糸垂れ防止用ダンボール紙がその上側の巻き糸の糸の垂れを防止する。
【0025】
請求項9または10の発明による場合には、離隔用ダンボール紙が一体化された構成または、離隔用ダンボール紙および厚み調整用ダンボール紙が一体化された構成であるので、取扱いが容易である。
【0026】
請求項11の発明による場合には、第1ダンボール紙にWフルートを用いるので、1枚当たりの厚みを厚くすることができ、使用するダンボール紙の枚数を減らすことが可能になるため、コストの低廉化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る巻き糸の離隔部材を示す正面図である。
【図2】図1に示す離隔部材の詳細を示す正面断面図である。
【図3】図1に示す離隔部材の分解図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る巻き糸の離隔部材に用いる離隔用ダンボール紙を示す正面断面図である。
【図5】本発明の更に他の実施形態に係る巻き糸の離隔部材に用いる離隔用ダンボール紙を示す正面断面図である。
【図6】図5の離隔用ダンボール紙の上に糸垂れ防止用ダンボール紙を配設した状態を示す正面断面図である。
【図7】巻き糸を示す正面図である。
【図8】従来の離隔部材を示す分解図である。
【図9】従来の離隔部材を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明の実施形態を具体的に説明する。
【0029】
図1は本発明の一実施形態に係る巻き糸の離隔部材を示す正面図であり、図2は図1に示す離隔部材の詳細を示す正面断面図、図3はその離隔部材の分解図である。
【0030】
この離隔部材1は、巻き糸100の紙管101を上下方向に向けて複数の巻き糸100を並設する際に用いられ、上下方向に隣り合う巻き糸100の紙管101同士が非接触状態に突き合わされるとともに紙管101の上端の露出部101a及び下端の露出部101bのその径方向位置を規定するものである。また、この離隔部材1は、3つのダンボール紙2、3、4を貼着して一体化したものであり、下側に第1凹部1aが形成され、一方上側に第2凹部1bが第1凹部1aと同じ位置に形成されている。下側の2つのダンボール紙3、4は離隔用ダンボール紙を構成し、最上位のダンボール紙2は糸垂れ防止用ダンボール紙を構成する。
【0031】
第2凹部1bは、上側2つのダンボール紙2、3に形成された貫通孔2a、3aの底が最下位のダンボール紙4の上面で塞がれたものであり、貫通孔2a、3aは同じ位置に配されている。一方、第1凹部1aはWフルートからなるダンボール紙4の下部に、上向きに窪ませて形成した凹部4aにより構成されたものである。ここで、離隔用ダンボール紙を構成する下側のダンボール紙4は第1ダンボール紙として用いられ、その上のダンボール紙3は離隔用ダンボール紙を構成する第2ダンボール紙として用いられている。
【0032】
上記凹部4aは、例えば図2に示すように下側ライナー4bから、これと上側ライナー4cとの間の中間ライナー4dの手前までを対象として円形の切り目を入れ、その円形部分を潰して形成されている。
【0033】
ダンボール紙2、3は、共にAフルートまたはBフルートであって、紙管101の下側の露出部101bに対し、下記(1)式を満たす厚みtのものを使用している。この(1)式は、同じ厚みのダンボール紙2(または3)を3枚用いると上側の露出部101aと下側の露出部101bが接触し、4枚用いると上側の露出部101aと下側の露出部101bとを非接触にすることができるような厚みtが得られる条件を表した式である。このような厚みtのダンボール紙2、3を用いる場合は、第2ダンボール紙3の下面から糸垂れ防止用ダンボール紙2の上面までの距離(深さ)D1を下側の露出部101bの長さ寸法L2よりも長くできる。
【0034】
なお、ここで、下側の露出部101bに対して長さを規定するのは、下側の露出部101bの長さ寸法L2と、上側の露出部101aの長さ寸法L1とは互いに異なることがあるからである。但し、寸法L2と寸法L1とを同一にすることができる場合には、上側の露出部101aに対して、下記(1)式を満たす厚みtのものを使用してもよい。
【0035】
[数1] 1.5×t<下側の露出部の長さ寸法L2<2×t ・・・(1)
【0036】
最下位のダンボール紙4は、その上側の2つのダンボール紙2、3の厚みtよりも厚く、上側の露出部101aの長さ寸法L1よりも薄いものを使用している。
【0037】
上記糸垂れ防止用ダンボール紙2は、本実施形態では1枚のダンボール紙を用いているが、上側の巻き糸100の下端の糸102に、糸垂れ防止用ダンボール紙2の上面が当接して糸垂れを防止することを要するため、複数枚の厚み調整用ダンボール紙を予め用意しておき、上側の巻き糸100における下側の露出部101bの長さ寸法L2に応じて、前記厚み調整用ダンボール紙の使用枚数を可変する構成としてもよいが、ダンボール紙の枚数を削減してコストの低廉化を図る上で、下側の露出部101bの長さ寸法L2の最大値に対応する厚みを有する1枚の厚み調整用ダンボール紙で対処することが好ましい。
【0038】
次に、このように構成された本実施形態に係る離隔部材1を用いて巻き糸100を箱詰め作業につき説明する。なお、この箱詰めに際し、巻き糸100は、糸102の端を上側の露出部101aの端面に係止したものとして、上下方向を揃えている。また、上下方向の各段において12個の巻き糸100を配置する場合を例に挙げて述べる。
【0039】
まず、箱の底にダンボール紙2、3と同じものを2枚敷く。その上に、この例では12個の巻き糸100における紙管101の下側の露出部101bを、2枚重ねの第1のダンボール紙2、3の貫通孔2a、3aに入れる。
【0040】
続いて、その巻き糸100の上に本実施形態に係る離隔部材1を載せる。このとき、各巻き糸100における紙管101の上側の露出部101aを、離隔部材1の第1凹部1aに入れて、露出部101aの径方向位置を規制する。
【0041】
続いて、その離隔部材1の上に12個の巻き糸100を載せる。このとき、当該離隔部材1の下側の12個の巻き糸100と紙管101の軸方向を一致させて、つまり紙管101の軸を上下方向に一致させて巻き糸100を載せるとともに、その載せた巻き糸100における紙管101の下側の露出部101bを離隔部材1の第2凹部1bに入れる。露出部101bを第2凹部1bに入れることで、露出部101bの径方向位置を規制する。なお、離隔部材1の凹部1aの底部は、箱詰め前の図2に示す状態から、箱詰めにより図1に示すように圧縮されて潰れた状態になる。
【0042】
以上のことを繰り返し、所定段で巻き糸100を積み重ねる。そして最後に、ダンボール紙4と同じものを、凹部4aを下向きにして1枚敷き、その凹部4aに巻き糸100の上側露出部101aを入れ、箱を閉じる。なお、各段において12個の巻き糸100を配置しているが、12個に限らない。
【0043】
したがって、本実施形態による場合には、以下のような効果を奏する。
(1)本実施形態による場合には、紙管101の方向に並設された2つの巻き糸100の間に、ダンボール紙4に設けた第1凹部1a(または4a)の底部が介在するので、隣り合う巻き糸100の紙管101同士を非接触状態にすることができる。また、ダンボール紙を4枚から3枚に減少させることが可能である。更に、ダンボール紙2、3、4が一体化されているので、取扱いが容易である。
(2)本実施形態による場合には、上段の2つのダンボール紙2、3における第2凹部1bに、その上側の巻き糸100の下側の露出部101bが入る。このとき、最上位の糸垂れ防止用ダンボール紙2が、その上側の巻き糸100の下端の糸102に当接するので、糸垂れ防止用ダンボール紙2がその上側の巻き糸100の糸102の垂れを防止する。なお、前記糸102としては、本実施形態ではエアバックを縫製するための糸が該当する。
(3)本実施形態による場合には、ダンボール紙4にWフルートを用いるので、1枚でも厚みを厚くすることができ、コストの低廉化を図ることができる。
【0044】
なお、上述した実施形態においては、ダンボール紙4は上側の露出部101aの長さ寸法L1よりも薄いものを使用しているが、本発明はこれに限らず、上側の露出部101aの長さ寸法L1と同等以上のものを使用してもよい。
【0045】
また、上述した実施形態においては、3つのダンボール紙2、3、4を貼着して一体化したものを使用しているが、本発明はこれに限らず、3つのダンボール紙2、3、4が別々に分離したものを組み合わせて使用しても実施できることは勿論である。
【0046】
更に、上述した実施形態ではダンボール紙2、3としてAフルートまたはBフルートを用いているが、Wフルートを用いてもよい。また、上述した実施形態ではダンボール紙4としてWフルートを用いているが、AフルートまたはBフルートを用いてもよい。
【0047】
更にまた、上述した実施形態では離隔用ダンボール紙の第1ダンボール紙4を下側、第2ダンボール紙3を上側に配した構成としているが、本発明はこれとは逆に、第1ダンボール紙4を上側、第2ダンボール紙3を下側に配した構成としてもよい。
【0048】
更にまた、本発明は他の形態を採用することができる。
【0049】
例えば、離隔用ダンボール紙として、図4に示すように1枚のダンボール紙5の両面に凹部5a、5bを互いに逆向きに形成したものを用いることができる。或いは、図5に示すように、片面側に凹部4aが形成された第1ダンボール紙4を1対用い、これら両ダンボール紙4を、各凹部4aを外側に向けて重ねた状態にしたものを用いることもできる。なお、図5に示す構成の場合において、離隔用ダンボール紙の上に糸垂れ防止用ダンボール紙2を配設するときは、図6に示すように離隔用ダンボール紙を構成する上側のダンボール紙4の上側に開口した凹部4aの底面から糸垂れ防止用ダンボール紙2の上面までの距離(深さ)D2を前記D1と同様に調整する。
【符号の説明】
【0050】
1 離隔部材
1a 第1凹部
1b 第2凹部
2 ダンボール紙(糸垂れ防止用ダンボール紙)
3 ダンボール紙(離隔用ダンボール紙:第2ダンボール紙)
4 ダンボール紙(離隔用ダンボール紙:第1ダンボール紙)
100 巻き糸
101 紙管
101a 上端の露出部
101b 下端の露出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙管の両端部を残して糸を巻き付けたものであって、紙管の両側の端部のそれぞれが露出している巻き糸を、その紙管の軸方向に複数並設する際に、隣り合う巻き糸の紙管同士が非接触状態に突き合わされるとともに紙管の端の露出部のその径方向位置を規定する、ダンボール紙からなる巻き糸の離隔部材において、
互いに突き合わされる紙管同士の間に配設されるもので、厚み方向の両面側に各紙管の前記露出部が入る凹部を有する離隔用ダンボール紙を少なくとも備えることを特徴とする巻き糸の離隔部材。
【請求項2】
請求項1に記載の巻き糸の離隔部材において、
前記離隔用ダンボール紙は、片面側に前記凹部を有する一対の第1ダンボール紙を備え、各凹部を外側に向けた状態に前記一対の第1ダンボール紙を重ねて用いられることを特徴とする巻き糸の離隔部材。
【請求項3】
請求項1に記載の巻き糸の離隔部材において、
前記離隔用ダンボール紙は、片面側に前記凹部を有する第1ダンボール紙と、前記露出部が入る貫通孔を有する第2ダンボール紙とを備え、前記凹部を外側に向けるとともにその凹部の位置と前記貫通孔の位置とを揃えた状態に前記第1ダンボール紙及び前記第2ダンボール紙を重ねて用いられることを特徴とする巻き糸の離隔部材。
【請求項4】
請求項2に記載の巻き糸の離隔部材において、
前記巻き糸が前記紙管の軸を鉛直方向にして配置され、かつ、前記離隔用ダンボール紙の上側に、上側の巻き糸の糸の下端に当接しその糸の下端が垂れるのを防止する糸垂れ防止用ダンボール紙が配設されることを特徴とする巻き糸の離隔部材。
【請求項5】
請求項3に記載の巻き糸の離隔部材において、
前記巻き糸が前記紙管の軸を鉛直方向にして配置され、かつ、前記第1ダンボール紙を前記第2ダンボール紙の下側に配し、前記第2ダンボール紙の上側に、上側の巻き糸の糸の下端に当接しその糸の下端が垂れるのを防止する糸垂れ防止用ダンボール紙が配設されることを特徴とする巻き糸の離隔部材。
【請求項6】
請求項4に記載の巻き糸の離隔部材において、
前記糸垂れ防止用ダンボール紙は、同一厚みで所定位置に貫通孔が形成された厚み調整用ダンボール紙を1または2以上で重ねたもので、前記離隔用ダンボール紙の上に配設され、前記離隔用ダンボール紙の上側にある第1ダンボール紙の前記凹部の底面から前記糸垂れ防止用ダンボール紙の上面までの距離が、上側の巻き糸における下側露出部の長さ寸法よりも長くなっていることを特徴とする巻き糸の離隔部材。
【請求項7】
請求項5に記載の巻き糸の離隔部材において、
前記糸垂れ防止用ダンボール紙は、同一厚みで所定位置に貫通孔が形成された厚み調整用ダンボール紙を1または2以上で重ねたもので、前記第2ダンボール紙の上に配設され、前記第2ダンボール紙の下面から前記糸垂れ防止用ダンボール紙の上面までの距離が、上側の巻き糸における下側露出部の長さ寸法よりも長くなっていることを特徴とする巻き糸の離隔部材。
【請求項8】
請求項7に記載の巻き糸の離隔部材において、
前記糸垂れ防止用ダンボール紙は前記厚み調整用ダンボール紙を1枚有し、その糸垂れ防止用ダンボール紙と前記第2ダンボール紙とは、同じ厚みであって、それぞれの厚みをtとして、 1.5×t<露出部の長さ寸法<2×t を満たし、かつ前記紙管の露出部を入れる貫通孔を同じ位置に有するものであることを特徴とする巻き糸の離隔部材。
【請求項9】
請求項2または3に記載の巻き糸の離隔部材において、
前記離隔用ダンボール紙が貼着されて一体化されていることを特徴とする巻き糸の離隔部材。
【請求項10】
請求項4乃至8のいずれかに記載の巻き糸の離隔部材において、
前記離隔用ダンボール紙及び前記厚み調整用ダンボール紙が貼着されて一体化されていることを特徴とする巻き糸の離隔部材。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の巻き糸の離隔部材において、
前記第1ダンボール紙にWフルートを用いることを特徴とする巻き糸の離隔部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−265008(P2010−265008A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−118452(P2009−118452)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(000177911)山下印刷紙器株式会社 (12)
【Fターム(参考)】