説明

巻取カラー

【課題】巻芯の内径の大きさに多少のばらつきがあっても、その巻芯を巻取開始時にカラー本体に確実に固定することができ、しかも構造が比較的簡素で容易に狭幅化を図ることができる巻取カラーを提供する。
【解決手段】カラー本体3の外周面に設けた、底面5が中心駆動軸2の回転方向沿いに次第に低くなるように形成してある溝4の中に、その溝4に配置した転動体6の移動方向沿いに伸長した支持体15を溝4の深さ方向に弾力的に変位可能に設け、溝4の深い部分に移動した転動体6を支持体15によって、カラー本体3に被さっている巻芯Cの内周面に押付け可能に下から支える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状シートの中空の巻芯を、帯状シート巻取装置の中心駆動軸上に該中心駆動軸に対して回転可能に保持すると共に、中心駆動軸から回転力伝達手段を介して回転力を受け、その回転力を前記巻芯に伝達する環状の巻取カラーに関する。
【背景技術】
【0002】
帯状シート巻取装置には、広幅の帯状シートをスリッターで複数条に分割しながら、その分割された帯状シートを個々の巻芯のまわりに巻取るために、分割された帯状シート毎の巻芯を貫通して支持する共通の巻軸を備えるものがある。この巻軸は一般に、中心駆動軸と、この中心駆動軸の外周に所定の間隔で装着した多数個の狭幅の巻取カラーと、中心駆動軸から巻取カラーに回転力を伝達する回転力伝達手段とからなる。
【0003】
従来、巻取カラーには、帯状シートを巻取るための中心駆動軸に同心に回転自在に装着され、前記中心駆動軸から回転力伝達手段を介して回転力を受けるカラー本体と、前記カラー本体の外周面に円周方向に間隔をとって設けた複数の溝であって当該溝の底面が夫々前記中心駆動軸の回転方向沿いに次第に低くなるように形成してある複数の溝と、前記溝に配置した転動体と、前記転動体を前記溝から脱落しないよう収容する空所を持つ、前記カラー本体に回転自在に装着した環状のリテーナとを備え、前記カラー本体に被さっている、帯状シート巻取用の中空の巻芯が、前記カラー本体に対して前記溝が浅くなる方向に回転することにより、前記転動体が前記溝の浅い部分に移動すると共に溝の底面により押上げられ、この転動体が前記巻芯の内周面を押圧することによって、巻芯をカラー本体に固く保持するものがある。
【0004】
ところが、巻芯の内径の大きさに多少ばらつきがあり、巻芯挿入時に溝の底面上を溝の深い部分に移動している転動体はその一部分がテーナの外周面から僅かに突出するか又はリテーナと同じ高さにあるので、巻芯の内径が大き過ぎると、帯状シートの巻取開始時に、巻取カラーに外挿した巻芯と転動体との摩擦力が不足して巻芯と転動体並びにリテーナとがスリップし、転動体が溝の浅い部分に移動することができず、巻芯のカラー本体への固定が不十分になる。そして帯状シート巻取中に巻芯がカラー本体に対し空回りして所要の巻取張力が得られず巻取不良を生ずる原因になる。
【0005】
そこで、帯状シートの巻取開始時に巻芯をカラー本体に確実に固定することができるようにするために、従来、下記特許文献1に開示されるようにリテーナの、転動体を収容する切欠部の近傍位置において、そのリテーナの内部にバネ手段を埋設し、このバネ手段により巻芯の内周面に対してピンを弾力的に押接するようにした巻取カラーがある。この巻取カラーでは、巻芯とピンとに摩擦力を生じさせ、その摩擦力によって巻芯の回転をリテーナに伝達することで、そのリテーナをカラー本体に対して回転させ、それによって、転動体が溝の底面と巻芯内周面とに挟まれた楔となって働き確実に巻芯の内周面を押圧することができるようになる位置まで、転動体を溝の深い部分から溝の浅くなる方向に移動させる。
【0006】
ところで、帯状シートに生ずる帯状シート単位幅当りの巻取張力は、巻芯を保持する巻取カラーの個数に概略比例するので、巻取装置で巻取る帯状シートの幅が巻取仕様に応じて多様に変わる場合や、異なる幅の複数の帯状シートを同時に巻取る場合に、各帯状シート間で単位幅当たりの巻取張力の均一化を図るには、巻取カラーの幅を狭くして中心駆動軸上の巻取カラーの個数を多くすることが望ましい。
【0007】
しかし、上述の、リテーナに埋設したバネ手段によりピンを巻芯の内周面に弾力的に押接することができるようにした巻取カラーでは、その幅を狭くするとリテーナの幅も狭くなり、ピンやバネ手段の適当な設置場所をリテーナ上に確保できないため、現実には幅の狭いものは得られていない。仮に、ピンとバネ手段を精密加工して小型化し、そのピンとバネ手段を幅の狭いリテーナ上の支障のない箇所に設置することができたとしても、組立作業が面倒なものになるし、巻取カラーの製造コスト等が大幅に増大する。またピンは、リテーナに対してそのリテーナの半径方向に摺動可能に保持されてはいるが、リテーナに対して回転しないように拘束されているので、ピンとバネ手段を小型化した場合、巻芯外挿時のピンの円滑で確実な進退動作を得にくくなり、巻芯とピンとの摩擦力も不安定なものになり易い。また、例えば、転動体とピン並びばね手段とをリテーナの幅方向において同じ位置に設置することができない場合、転動体の幅を狭くし、ピン並びばね手段を転動体に対してリテーナの幅方向にずらして配置することによりリテーナにピン及びバネ手段の設置場所を得ることも考えられる。しかし、そのようした巻取カラーでは、転動体とピンの位置がリテーナの幅方向にずれていると、巻芯の端面が、転動体とピンとの間に位置する場合、転動体が外挿した巻芯の端部の内周面に係合するが、ピンは巻芯端面から外側に位置するため巻芯の内周面に係合できないという状態が発生し得るので、転動体が溝の底面と巻芯内周面とに挟まれた楔となって働く位置まで確実に移動することがでるものにはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−17055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述のような問題点に鑑み、巻芯の内径の大きさに多少のばらつきがあっても、その巻芯を巻取開始時にカラー本体に確実に固定することができ、しかも構造が比較的簡素で容易に狭幅化を図ることができる巻取カラーを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明は、帯状シートを巻取るための中心駆動軸に同心に回転自在に装着され、前記中心駆動軸から回転力伝達手段を介して回転力を受けるカラー本体と、前記カラー本体の外周面に円周方向に間隔をとって設けた複数の溝であって当該溝の底面が夫々前記中心駆動軸の回転方向沿いに次第に低くなるように形成してある複数の溝と、前記溝に配置した転動体と、前記転動体を前記溝から脱落しないよう収容する空所を持つ、前記カラー本体に回転自在に装着した環状のリテーナとを備え、前記カラー本体に被さっている、帯状シート巻取用の中空の巻芯が、前記カラー本体に対して前記溝が浅くなる方向に回転することにより、前記転動体が前記溝の浅い部分に移動すると共に溝の底面により押上げられ、この転動体が前記巻芯の内周面を押圧することによって、前記巻芯を前記カラー本体に固く保持することができる巻取カラーにおいて、前記複数の溝のうちの少なくとも一つの溝の中に、前記転動体の移動方向沿いに伸長した支持体を前記溝の深さ方向に弾力的に変位可能に設け、前記溝の深い部分に移動した転動体を前記支持体によって前記巻芯の内周面に押付け可能に下から支えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カラー本体の外周面に設けた、底面が中心駆動軸の回転方向沿いに次第に低くなるように形成してある溝の中に、その溝に配置した転動体の移動方向沿いに伸長した支持体を溝の深さ方向に弾力的に変位可能に設け、溝の深い部分に移動した転動体を支持体によって、カラー本体に被さっている巻芯の内周面に押付け可能に下から支えることにより、巻芯の内径の大きさに多少のばらつきがあっても、その巻芯を巻取開始時にカラー本体に確実に固定することができるだけでなく、従来の巻取カラーのようにピンを巻芯の内周面に押接するためのバネ手段をリテーナ内部に埋設する必要がなくなるので、リテーナにピンとバネ手段を設けた従来の巻取カラーに比べて構造が簡素になり、容易に巻取カラーの狭幅化を図ることができる。またリテーナの厚みを大きくする必要がないので、カラー本体の内径を大きくすることができ、従来に比べ外径の大きい中心駆動軸を採用することが可能になり、それによって、巻取中の中心駆動軸の撓みを小さく抑えて巻取不良の発生を少なくすることができる。また従来の中心駆動軸に比べて長さが長い中心駆動軸を採用することが可能になり、巻取領域の幅が大きい生産性の高い巻取装置を提供することができるようになる。また、転動体と巻芯内周面との摩擦力が比較的小さくても、転動体が溝の深い部分から、溝の底面と巻芯内周面とに挟まれて楔として働く位置へ移動するとき、リテーナを巻取カラーに対して確実に回転させることができるようになるので、巻芯が、その内径とリテーナ又はカラー本体の外径との差が小さいものであっても、巻芯が長いものであっても、その巻芯の外挿作業が容易な巻取カラーを得ることが可能になる。特に、中心駆動軸の外周に狭幅化した多数の巻取カラーを装着した巻軸を備える巻取装置において、狭幅から広幅まで多様な幅の帯状シートを、内径のばらつきが大きい巻芯のまわりに巻取る場合に本発明の巻取カラーは有効である。
【0012】
また、本発明では、前記転動体が球体であることにより、巻軸の外挿作業を一層円滑に行うことができる。
【0013】
また、本発明では、前記支持体が、転動体の、溝の底面との接触部分の両脇部分に係合することにより、溝の深い部分に移動した転動体を安定性よく支えることができるので、支持体の転動体の押上げ動作が確実になる。また転動体を支持体から溝の底面上に円滑に移動させることができる。
【0014】
また、本発明では、前記支持体が、当該支持体の、前記溝の深い部分側の一端を自由端とし、他の一端を固定端とする片持ち梁になるように、前記支持体の他の一端に装着部を設けて該装着部を前記溝の底面沿いに装着したことにより、支持体を比較的簡単な構造で溝の深さ方向に弾力的に変位可能に設けることができる。
【0015】
また、本発明では、前記装着部が前記溝の底面の略全長にわたって伸長していることにより、片持ち梁となっている支持体を、止めねじ等の固着手段を用いることなく溝内に安定性よく設けることができる。
【0016】
また、本発明では、前記片持ち梁となる支持体を、一本の線材を折曲げて形成し、前記装着部を、前記線材の、前記支持体を形成する残りの部分を折り曲げて形成することにより、支持体及び装着部の加工やその取扱が簡単になり、安価な支持体を得ることができる。
【0017】
また、前記支持体を、一本の線材をU字状に折曲げて形成し、前記U字状の折曲げ部分先端を自由端とすることにより、転動体の、溝の底面との接触部分の両脇部分に係合する支持体の形成が簡単になる。
【0018】
また、前記装着部を、前記線材の、前記支持体を形成した残りの部分を前記溝に適合するように折り曲げて形成することによって、その装着部を溝に嵌めるだけで支持体の溝の所定位置への装着が可能になるので、組立が簡単な巻取カラーを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例に係る巻取カラーの正面図である。
【図2】本発明の一実施例に係る巻取カラーの横断面を示す断面図である。
【図3】図1に示す巻取カラーに設けた支持体の、巻芯挿入前の拡大側面図である。
【図4】図3に示す支持体の平面図である。
【図5】巻芯外挿後の支持体の状態を示す拡大側面図である。
【図6】本発明の他の実施例に係る巻取カラーの縦断面を示す断面図である。
【図7】図6のA−A矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1乃至図5により本発明の一実施例を説明する。図1及び図2に示す巻取カラー1は中心駆動軸2に装着した状態にある。また図1では巻取カラー1の上半分は縦断面が示してある。図1及び図2に示すように、巻取カラー1は、帯状シートを巻取るための中心駆動軸2に同心に回転自在に装着されるカラー本体3を備えている。カラー本体1の外周面には、円周方向に間隔をとって複数の溝4が設けてあり、溝4の底面5は、図2の矢印A1で示す中心駆動軸2の回転方向に沿って次第に低くなるように形成してあり、溝4は、この実施例ではカラー本体1の円周方向の6箇所に等間隔に配置してある。各溝4には個別に転動体6が配置してあり、この転動体6を溝4から脱落しないよう個々に収容する空所7を持つ環状のリテーナ8が、カラー本体3の外周に回転自在に装着してある。
【0021】
転動体6はこの実施例では球体である。リテーナ8が有する空所7は、リテーナ8の片方の縁部を内周側が外周側より幅が広くなるように切欠いて形成してあり、その外周側の切欠き幅は転動体6の直径より僅かに狭くなっており、収容した転動体6を、その一部が外周側に突出可能に保持すると共に、リテーナ8に対して回動可能に保持する。
【0022】
リテーナ8は、カラー本体3の外周面にすきまばめしてあり、カラー本体3の片方の端部に形成した鍔部3aと、カラー本体8のもう片方に端部に固着した環状部材10とで挟んでカラー本体3から抜け落ちないようにしてある。カラー本体6の鍔部3aの内周と、環状部材10の、カラー本体3から突き出た端部の内周には、夫々ベアリング11が装着してあり、各ベアリング11の内輪は夫々中心駆動軸2に装着してある。
【0023】
中心駆動軸2からカラー本体3に回転力を伝える回転力伝達手段12は、この実施例の場合、中心駆動軸2にその半径方向にスライド可能に保持した摩擦部材13と、摩擦部材13をカラー本体3に押付けるための、中心駆動軸2の中空部に沿って伸びる、例えばゴムのような弾性体でできたチューブ14と、チューブ14に所要圧力の圧縮空気を供給することができる圧縮空気供給手段と(図示しない)からなる。摩擦部材13は棒状に形成してあり、中心駆動軸2の円周方向の3箇所に設けた孔に夫々挿入してある。そして摩擦部材13の下端はチューブ14の外周面に接触し、その上端はカラー本体3の内周面に、チューブ14に供給される圧縮空気の働きにより、適当な押付力を伴って接触するようになっている。
【0024】
帯状シート巻取用の中空の巻芯Cを巻取カラー1に外挿するとき、転動体6は溝4の深い部分にある。またカラー本体3は停止中の中心駆動軸2に対して回転しないように回転力伝達手段12により拘束されている。この状態で巻取カラー1に外挿した巻芯Cが、カラー本体3に対して溝4が浅くなる方向に回転することにより、転動体6が溝4の浅い部分に移動すると共に溝4の底面5により押上げられ、この転動体6が巻芯Cの内周面を押圧することによって、巻芯Cをカラー本体3に固く保持することができる。
【0025】
本発明の巻取カラー1では、巻取開始時に巻芯Cを回転させたとき、その巻芯Cの内径が多少大きくても、その巻芯の内周面に、溝4の深い部分にある転動体6が確実に係合するようにするために、巻取カラー1の複数の溝4のうちの一つの溝4の中に、転動体6の移動方向沿いに伸びた支持体15を溝4の深さ方向に弾力的に変位可能に設け、溝4の深い部分に移動した転動体6を支持体15によって巻芯Cの内周面に押付け可能に下から支えている。
【0026】
支持体15を溝4の深さ方向に弾力的に変位可能に設けるために、図3に示すように、支持体15が、当該支持体15の、溝4の深い部分側の一端15aを自由端とし、他の一端15bを固定端とする片持ち梁になるよう、支持体15の他の一端15bに装着部16を設け、この装着部16を溝4の底面5沿いに装着している。装着部16は、その幅を溝4の幅に適合する幅を有し、その長さを溝4の長さに略等しい長さを有しているので、その装着部16を溝4に嵌めるだけで装着することができ、支持体15を溝4の中の所定位置に保持することができる。
【0027】
支持体15は弾性体からなり、それを溝4の中に収容する前には装着部16に対して図3に2点鎖線で示すように持ち上がっている。この支持体15を溝4の中に収容するとき、図3に実線で示すように下方に撓ませてあるので、溝4の中の支持体15は、その上に載せた転動体6を、その撓みの大きさ応じた力で弾力的に押上げることができる。そして支持体15によって押上げられた転動体6はリテーナ8の空所7内を上限に至るまで移動して、図3に示すようにリテーナ8外周面から突出する。この支持体15は、例えばばね鋼やステンレス鋼等のように弾性限度や疲労限度の高い弾性体で作るのが望ましい。
【0028】
支持体15の、転動体6との係合部15cは、図1に示すように転動体6と溝の底面5との接触部分Pの両脇に分かれており、図4に示すように転動体6の移動方向に沿って伸びている。そのため、支持体15は、転動体6の、溝の底面5との接触部分Pの両脇部分に係合して下から支えることができる。
【0029】
図4に示す支持体15と装着部16は一本の線材Wから形成してある。支持体15は、線材Wを一端に近い部分においてU字状に折曲げて形成してあり、U字状の折曲げ部分15aは支持体15の自由端となっており、折曲げ部分15aの両側の直線状の係合部15cで転動体6に係合することができる。装着部16は、線材Wの、支持体15を形成した残りの部分を溝4に適合するように折曲げて形成してある。支持体15と線材Wの残り部分との境目Bが折曲げてあり、ここが支持体15の固定端となっている。
【0030】
上述のように構成した巻取カラー1では、巻芯Cを外挿するとき、図3に示すように、リテーナ8の空所7がカラー本体3の溝4の深い部分の上方に位置し、転動体6は溝4の深い部分に移動しており、支持体15により弾力的に押上げられて、リテーナ8の外周面から最大限に突出している。
【0031】
巻芯Cをカラー本体3に外挿すると、この巻芯Cは、図5に示すように、突出している転動体6を押下げ、転動体9を支えている支持体15は撓む。即ち支持体15は溝4の深さ方向に弾力的に変位して溝の底面5に近づく。そして転動体6は、支持体15と巻芯Cとに挟まれた状態で、支持体15から押上げ力を受け、巻芯Cの内周面に押付けられる。この実施例では、転動体6が球体でありリテーナ8に対してあらゆる方向に回転可能に保持されているので、転動体6がローラの場合と比べ外挿中の巻芯Cに働く抵抗が小さくなる。
【0032】
この状態で、巻芯Cに帯状シート先端を接続して中心駆動軸2を回転駆動すると、転動体6がカラー本体3に対して溝4が浅くなる方向に回転しようとする。そして中心駆動軸2を回転駆動するか、或いは作業者が巻芯Cを中心駆動軸2の回転方向と反対の方向に回すと、巻芯Cの内周面と転動体6との摩擦力によりその転動体6に回転力が生じ、その転動体6が支持体15上を溝4の浅い方へ向けて転がろうとしてリテーナ8をカラー本体3の外周面に沿う方向に押す。このとき、転動体6とリテーナ8との接点は、その接点とリテーナ8の中心とを結ぶ直線方向において、転動体6と支持体と15の接点と、転動体6と巻芯Cの内周面との接点の間にあるため、転動体6は、その転動体6と巻芯Cの内周面との摩擦力より大きい力でリテーナ8を押すことができる。また回転力が生じた転動体と6リテーナ8との摩擦力は、転動体6による巻芯Cの内周面の押付力を増大させる方向に働く。それによってリテーナ8はカラー本体3に対して溝4が浅くなる方向に回転し、そのリテーナ8の回転に伴い他の転動体15も溝4の浅い方へ移動し、各転動体6が溝の底面5と巻芯Cの内周面とに挟まれて楔として働く位置(図5に2点鎖線で示す)まで確実に移動することができる。その後は、転動体6は溝の底面5に押し上げられて、巻芯Cの内周面を押圧し、それによって巻芯Cがカラー本体3に固定される。
【0033】
以上、本発明を一実施例により説明したが、本発明は、必要に応じて、発明の要旨を変えることなく多様に変化し得る。例えば、図6及び図7に示す実施例では、転動体6はローラであり、その外周面に円周方向の溝17を有し、この溝17に入れた支持体15により下から弾力的に支えられている。支持体15は一本の線材Wからなっており、線材Wの一端15aを自由端とする片持ち梁となっており、線材Wの、持体15を形成した残りの部分で装着部16が形成されている。また本発明では、転動体がローラの場合、その外周面に、図6に示すように支持体15を入れる溝17を幅方向の2箇所設けたものでもよい。また支持体を線材で形成する代わりに、弾力性のある板材で形成することができる。また例えば溝の浅い側の一端を枢支した板を支持体とし、この板の他の一端を圧縮コイルバネで押上げることにより、支持体を溝の深さ方向に弾力的に変位可能にすることができる。また全ての溝或いは選択した複数の溝に支持体を設けて、その溝内の転動体に押上げ力を付与できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0034】
C 巻芯
1 巻取カラー
2 中心駆動軸
3 カラー本体
4 溝
5 溝の底面
6 転動体
7 空所
8 リテーナ
12 回転力伝達手段
15 支持体
16 装着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状シートを巻取るための中心駆動軸に同心に回転自在に装着され、前記中心駆動軸から回転力伝達手段を介して回転力を受けるカラー本体と、前記カラー本体の外周面に円周方向に間隔をとって設けた複数の溝であって当該溝の底面が夫々前記中心駆動軸の回転方向沿いに次第に低くなるように形成してある複数の溝と、前記溝に配置した転動体と、前記転動体を前記溝から脱落しないよう収容する空所を持つ、前記カラー本体に回転自在に装着した環状のリテーナとを備え、前記カラー本体に被さっている、帯状シート巻取用の中空の巻芯が、前記カラー本体に対して前記溝が浅くなる方向に回転することにより、前記転動体が前記溝の浅い部分に移動すると共に溝の底面により押上げられ、この転動体が前記巻芯の内周面を押圧することによって、前記巻芯を前記カラー本体に固く保持することができる巻取カラーにおいて、前記複数の溝のうちの少なくとも一つの溝の中に、前記転動体の移動方向沿いに伸長した支持体を前記溝の深さ方向に弾力的に変位可能に設け、前記溝の深い部分に移動した転動体を前記支持体によって前記巻芯の内周面に押付け可能に下から支えることを特徴とする巻取カラー。
【請求項2】
前記転動体が球体である請求項1に記載の巻取カラー。
【請求項3】
前記支持体が、前記転動体の、前記溝の底面との接触部分の両脇部分に係合する、請求項1に記載の巻取カラー。
【請求項4】
前記支持体が、当該支持体の、前記溝の深い部分側の一端を自由端とし、他の一端を固定端とする片持ち梁になるように、前記支持体の他の一端に装着部を設けて該装着部を前記溝の底面沿いに装着した、請求項1に記載の巻取カラー。
【請求項5】
前記装着部が前記溝の底面の略全長にわたって伸長している、請求項4に記載の巻取カラー。
【請求項6】
前記片持ち梁となる支持体を、一本の線材を折曲げて形成し、前記装着部を、前記線材の、前記支持体を形成する残りの部分を折り曲げて形成する、請求項4に記載の巻取カラー。
【請求項7】
前記片持ち梁となる支持体を、一本の線材を一端に近い部分においてU字状に折曲げて形成し、前記U字状の折曲げ部分先端を自由端とする、請求項3記載の巻取カラー。
【請求項8】
前記装着部を、前記線材の、前記支持体を形成する残りの部分を前記溝に適合するように折り曲げて形成する、請求項6に記載の巻取カラー。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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