説明

帯状板結束体及びその解き出し方法

【課題】 螺旋状に巻き回わされて螺旋管とされる長尺の帯状板を輸送するための、巻き取りドラムを要しない中空円筒状に巻き回された帯状板結束体、及びそれを解き出す方法を提供する。
【解決手段】 中空円筒状に巻き重ねた長尺の帯状板結束体であって、複数の剛直な中心側棒体を、その軸が円周上に略等間隔となるように並べて組み合わせた巻き軸に、上記帯状板を、上記中心側棒体の長さより狭い巻き幅で中空円筒状に巻き重ね、巻き終わりの帯状板最外面部の、上記巻き軸の中心と上記中心側棒体とを結ぶ線の延長線が交差する位置に、上記巻き重ねられた帯状板の巻き幅より長い剛直な外側棒体を中心側棒体と平行となるように配置して対とし、中心側棒体とそれと対になる外側棒体との夫々の両端部同士を緊締具で脱着可能に緊結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、螺旋状に巻き回わされて螺旋管とされる長尺の帯状板を輸送するために中空円筒状に巻き重ねた帯状板結束体及びそれを解き出す方法に関し、特に、既設管内にて螺旋状に巻き回わされて螺旋管とされることにより既設管の内周面をライニングするようになった帯状板が巻き付けられて、直接、既設管内に繰り出すようになった帯状板を巻き重ねて輸送するための帯状板結束体及びその解き出し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
老朽化した既設管では、帯板状の帯状板(以下、プロファィルという。)を螺旋状に巻き回わして螺旋管を形成し、形成された螺旋管によって内周面をライニングすることが行われている。このような既設管のライニング工法では、既設管の内部に直接プロファィルを送り込んで、既設管の内部にてプロファィルを螺旋状に巻き回わして螺旋管を製造する方法も採用されている。このような場合には、既設管のライニング工法が実施される現場にまで、長尺のプロファィルを搬送する必要がある。
【0003】
プロファィルは、通常、輸送用ドラムに巻き付けた状態で、現場にまで搬送される。プロファィルが巻き付けられるドラムは、一対の円板状をした側板の中央部間に、円筒状の胴体が架設状態で取り付けられて構成されており、胴体に長尺のプロファィルが巻き付けられるようになっている。プロファイルを巻き付けられた輸送用ドラムは現場に仮置きされ、プロファイルが輸送用ドラムからとき解かれて既設管内に送り込まれ、既設管内にて螺旋状に巻き回わされることにより、順次、螺旋管が製造される。
【0004】
輸送用ドラムに巻き付けられるプロファイルの長さは、一般的には、500m〜2000m程度であり、この長さのプロファイルで形成される螺旋管の長さは、螺旋管の直径を約2m程度とすれば、約5m〜12m程度となる。従って、老朽既設管の長さが長くてライニング長さが長い場合は、多数の輸送用ドラムを現場に持ち込む必要がある。
【0005】
輸送用ドラムは、一度で輸送できるプロファイル長さを長く、かつ、トラック等で輸送可能な最大の大きさにされるが、通常、側板の外径3000mm、胴体の長さ1200mm程度とされるものが多用される。従って、このようなサイズの輸送用ドラムが多数現場に持ち込まれ仮置きされると、仮置き期間中、現場の交通が渋滞したり通行者の歩行路を塞いだりするという問題点がある。
【0006】
この問題点を避けるために、仮に、輸送用ドラムを一個ずつ現場に持ち込むとすると、輸送用ドラムを一時的に保管しておく場所として、別の場所に広大な空間が必要となる。また、プロファイルを製造し輸送用ドラムに巻き付ける工場等では、必要が生じるまでの間、多数の輸送用ドラムを保管しておかねばならなくなるが、その保管可能数には限度があり、プロファイルの製造可能長さ以上に消費があれば、時には一時的なプロファイルの供給量不足が発生する可能性も出てくる。
【0007】
輸送用ドラムとしては、「中心部に貫通孔がそれぞれ設けられており、相互に適当な間隔をあけて平行に配置されるようになった一対の円板状の側板と、各側板同士を一定の間隔をあけた状態に保持するように、それぞれが周方向に適当な間隔をあけて、各側板の相互に対向する外周縁部間に架設状態で取り外し可能に取り付けられる複数の連結ロッドと、各側板の貫通孔内に挿入されて各側板間に架設状態で取り付けられることにより、プロファィルが巻き付けられるようになっており、プロファィルが巻き付けられた状態で各側板の貫通孔から引き抜かれるようになった胴体とを具備することを特徴とするプロファィル用ドラム。」が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特許 第3022353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、これらの輸送用ドラムを用いる方法においては、巻き付けられたプロファイルが使用され終わるまで、現場に仮置きされることに変わりはなく、老朽管のライニング工事には、多数の輸送用ドラムが必要であり、その保管場所に広大な空間を要しているという問題点は依然として残されている。
【0009】
従って、プロファイルを輸送用の巻き取りドラムに巻き付けずに輸送し、巻き取りドラムが必要でない輸送方法及びプロファイルのとき解き方法が求められていたが、従来このような方法は開発されていなかった。
【0010】
本発明は、このような問題を解決するものであり、螺旋状に巻き回わされて螺旋管とされる長尺の帯状板を輸送するための、巻き取りドラムを要しない中空円筒状に巻き回された帯状板結束体、その結束方法、及びそれを解き出す方法を提供する目的でなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための本発明の請求項1記載の帯状板結束体(発明1)は、螺旋状に巻回されることにより螺旋管とされる長尺の帯状板を中空円筒状に巻き重ねた帯状板結束体であって、複数の剛直な中心側棒体をその軸が円周上に等間隔となるように並べて組み合わせた巻き軸に、上記帯状板を上記中心側棒体の長さより狭い巻き幅で中空円筒状に巻き重ね、巻き終わりの帯状板最外面部の上記巻き軸の中心と上記中心側棒体とを結ぶ線の延長線が交差する位置に、上記巻き重ねられた帯状板の巻き幅より長い剛直な外側棒体を中心側棒体と平行となるように配置して対とし、中心側棒体とそれと対になる外側棒体との夫々の両端部同士が結束具で脱着可能に結束されていることを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明(発明2)は、帯状板を巻き終わり後、中心側棒体及びそれと対になる外側棒体が、少なくとも最外面の巻き終わり部近傍にある一組以上を残して取り除かれていることを特徴とする発明1の帯状板結束体である。
【0013】
請求項3記載の発明(発明3)は、円周上に等間隔で並べられた中心側棒体とそれと対になる外側棒体とを、上記結束体の両端部近傍にてリング状結束具にて脱着可能に結束することにより、各中心側棒体の位置を固定することを特徴とする発明1もしくは発明2の帯状板結束体である。
【0014】
請求項4記載の帯状板結束体の解き出し方法(発明4)は、発明1〜3のいずれかの中空円筒状の帯状板結束体を収納する、少なくとも一端部が開口された中空円筒状容器を、円周方向に揺動又は回動自在として円筒状容器の中心軸が略水平となるように受け台の上に載置し、上記中空円筒状の帯状板結束体をその軸方向が容器の軸方向と一致するように挿入し、結束具を外し、中心側棒体とそれと対になる外側棒体とを外し、円筒状容器の開口部を、中心部に貫通孔が設けられた蓋板で覆い、その貫通孔から帯状板結束体を巻き重ねの中心部側からとき解きながら取り出すことを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の発明(発明5)は、等間隔に並べられた外側棒体同士をリング状結束具にて結束することにより、該リング状結束具の外縁部を利用して、帯状板結束体をローラー支承によって円周方向に回転自在とすることを特徴とする発明4の帯状板結束体の解き出し方法である。
【0016】
発明1においては、長尺の帯状板(プロファイル)を円筒形状に成形して巻き、この形状が崩れないように円筒の中心側と外側とに棒体を配置してこの棒体を結束することで巻き取りドラムを不要とするものである。即ち、長尺の帯状板は、棒体が組み合わされた巻き軸上に、あたかも厚さが大きい中空の短円筒形状となるように巻き重ねられる。円筒形状の軸方向の長さは、巻き軸を構成する棒体の長さより短くされ、棒体は円筒形状の両側から突出した状態とされている。
【0017】
ここにいうプロファイルは、特に、既設管内にて螺旋状に巻き回わされて螺旋管とされることにより既設管の内周面をライニングするに適したプロファイルである。従って、プロファイルは、通常、剛性のある合成樹脂が用いられる。それゆえ、このプロファイルを巻き軸上に巻き重ねると、巻き終わりの最外面では、プロファイル自体の剛性によりプロファイルの端末が跳ね上がり、中空円筒形状に巻いたプロファイルが解けてしまうことがおこる。それ故、プロファイルの解け防止のために、通常は、巻き終わりに近い部分を紐、綱、帯板などで巻き縛って解け防止を行う。
【0018】
本発明では、円筒形状に巻き重ねられた帯状板の外周面と中心側面とにそれぞれを棒体をあて、棒体同士を結束具で結束する。従って、円筒形状は、その円筒側面を棒体によって肉厚方向に挟まれているのでその形状が保持され、輸送時の振動等で形状が崩れることがない。また、外側の棒体は、輸送時に円筒状の結束体が転がることを防止し、プロファイルの表面が損傷する可能性を減少する役割も合わせ持つ。
【0019】
中心側に配置される棒体は、それを中心に、その上に帯状板が巻き回される巻き軸となる。また、外側棒体は、円筒状体の帯状板最外面部の、巻き軸の中心と中心側棒体とを結ぶ線の延長線が交差する位置に配置され、中心側棒体と平行とされて一対とされる。外側棒体の長さは、円筒状体の長さより長くされその両端部が円筒状体の両側に突設されている。
【0020】
中心側棒体と外側棒体とは、結束具で止められてプロファイルを結束するので、いずれも曲げ強度が大きいことが要求される。その形状としては中実体であっても中空体であっても構わず、又その断面状は、プロファイルが接触する部分が角張っていなければどのような形状であっても良く、例えば一例として、三角形、四角形等の多角形状;円、楕円形等の曲面形状;C型、L型、I型、T型等の形状であっても良い。これに用いられる材料としては、例えば一例として、熱可塑性又は熱硬化性等合成樹脂類;繊維補強合成樹脂類;金属類;木、竹等天然材類;鉄筋コンクリート等無機材等からなる棒体が挙げられる。なお、外側棒体は、細長い板形状であっても構わない。
【0021】
プロファイルを締め付ける棒体は、通常リング状結束具によって固定されている。従って、プロファイルの損傷を少なくするために、プロファイルに接触する面は、例えば滑らかな曲線等とされて、プロファイル表面に局部的に強く接触しないような形状とされていることが好ましい。例えば、巻かれたプロファイルの内周面又は外周面に沿った曲面等である。
【0022】
結束具は、上記一対の棒体の、プロファイルから両側に突出した両端部同士に巻き回されてこれらを結束する。本発明のプロファイルの結束体は作業現場に持ち込まれた後、使用前にとき解かれるので、結束具は脱着可能に棒体同士を結束する必要がある。即ち、結束具は、一対の棒体の対応する端部同士を、脱着可能に結束するので、強い引っ張り力が掛かっても切断しない高抗張力のものが必要である。また、好ましくは弾性材料であるが、かならずしも弾性材料である必要はない。
【0023】
結束具として用いられる材料としては、例えば一例として、金属類;延伸された合成繊維又は合成樹脂類;繊維補強合成樹脂類;綿等の天然繊維類;合成又は天然ゴム等の弾性材料類からなる、紐、綱、帯状体などが挙げられる。これらを輪状に一対の棒体の端部同士に巻き回し、結束具の端部を緩まないように固定し、一対の棒体を結束すればよい。
【0024】
結束後の結束具が緩まないようにする方法としては、一般的な締め付け具であれば良く、特に限定されない。例えば、梱包用PP(延伸ポリプロピレン)バンドの締め付け金具など一般的なもので良い。
【0025】
又、結束具は、長ボルトとそれに対応するナットの組み合わせでも構わない。この場合であれば、例えば一例として棒体端部に貫通孔を設けておき、これに長ボルトを挿通してナットで締めれば良く、結束具の取り外す時にゆっくりと緩めることで棒体が跳ねることが少なくなり、より安全に作業ができる。
【0026】
発明2は、螺旋状に巻回されて螺旋管とされる長尺の帯状板を中空円筒体形状に螺旋状に巻き重ねて結束体とする結束方法である。即ち、外周縁から中心に向かって少なくとも一以上のスリットが等間隔に設けられた一対の円形側板を、スリット同士が対面するように配置してある。スリットの底位置は、側板の中心から等距離となるようにされている。該一対の側板のそれぞれのスリットの底に棒体を挿入して、架け渡されて巻き軸とされている。
【0027】
発明2では、帯状板を巻き終わり後、中心側棒体及びそれと対になる外側棒体が、少なくとも最外面の巻き終わり部近傍にある一組以上を残して取り除かれている。即ち、プロファイルを上記巻き軸に螺旋状に巻き重ね、巻き終わった円筒体の外周面に、各棒体と対となる押さえ棒を巻き軸と平行に配置し、巻き軸を構成する棒体とそれと対となる押さえ棒とを結束具で脱着自在に結束する。その後両側板を取り外すことで、発明2の中空円筒体形状の帯状板結束体となる。
【0028】
帯状体の結束位置、即ちプロファイルを止めている対となっている棒体の位置は、少なくともプロファイルの巻き終わり近傍に取り付けられている。プロファイルは剛性を有する合成樹脂製の帯状板であるので、内側に巻かれたプロファイルはそれ自体の剛性によって外向きに解ける力が作用し、従って、外向きに締まっていく。巻き終わり部の最外面ではプロファイルの末端が跳ね上がる。それ故、少なくともプロファイルが跳ね上がる部分のみを止めれば、プロファイルは解けることがない。但し、それ以外の位置に設けられていても良いことはいうまでもない。
【0029】
発明3では、円周上に等間隔で並べられた中心側棒体とそれと対になる外側棒体とを、上記結束体の両端部近傍にてリング状結束具にて脱着可能に結束する。従って、各中心側棒体の位置が固定される。
【0030】
発明4は、上記帯状板結束体の解き出し方法である。即ち、上記中空円筒状に結束された帯状板結束体を収納する、少なくとも一端部が開口された中空円筒状容器を、円周方向に揺動又は回動自在として受け台の上に、円筒状容器の中心軸が略水平となるように載置する。載置された円筒状容器は、プロファイルの解き出し作業中に軸方向に移動しないように、受け台に邪魔板等の移動防止具設けてこれで移動防止をする。円筒状容器の中に上記帯状板結束体を、その軸方向が容器の軸方向と一致するように挿入する。
【0031】
続いて、結束具を外すと、プロファイルは拘束が解けて、中空円筒状容器の中で、その外周面が容器の内周面に接触するまで拡径する。その状態で、中心側棒体とそれと対になる外側棒体とを外し、円筒状容器の開口部を、中心部に貫通孔が設けられた蓋板で覆い、プロファイルの解き出し作業中に蓋板が外れないように仮止めする。
【0032】
蓋板は、その外周辺で円筒状容器の胴部に脱着可能に止める。止め方は特に限定されないが、例えば、容器の胴部の端部に外向きにフランジを設け、蓋板をフランジ外径と同じとして、そのフランジ部に貫通孔又は辺縁に繋がる切り欠きを設けボルトとナットで螺結する方法や、クランプ式締め具等を用いて締結する方法などが挙げられる。又、蓋板を円形とし円筒状容器の軸を中心に回転可能とされていても良い。
【0033】
円筒状容器蓋板の貫通孔から、帯状板結束体を、巻き重ねの中心部側からとき解きながら取り出す。円筒状容器は円周方向に揺動又は回動可能とされているので、解き出されたプロファイルは、余計な捻れが与えられることなく製管機に送られ、スムースに螺旋管に製管される。プロファイルを使い終われば、次のプロファイルを円筒状容器内に、同様に装着して使用する。
【0034】
発明5では、等間隔に並べられた外側棒体同士がリング状結束具にて結束されているので、該リング状結束具の外縁部で、帯状板結束体がローラー支承されることになる。従ってによって帯状板結束体は円周方向に回転自在となるので、例えば帯状板結束体をローラー着き台車に載置して円筒状容器に収納すれば、よりスムーズにプロファイルが解き出され捻れもなくなる。
【発明の効果】
【0035】
発明1においては、長尺のプロファイルを円筒形状に巻いて成形して結束し、この形状が崩れないように円筒の中心側と外側とに棒体を配置してこの棒体を結束するので、巻き取りドラムを要しない。
【0036】
発明2においては、上記棒体がプロファイルの巻き終わり近傍の少なくとも1対を除いて取り除かれているので、棒体の数が少なくて済む。
【0037】
発明3においては、外側棒体を中心側棒体近傍にてリング状結束具にて結束するので、各中心側棒体の位置が固定される。
【0038】
発明4においては、上記のプロファイル結束体が専用の円筒状容器に収納して使用し、そのプロファイルを使い終わると次のプロファイルを装着する。従って、円筒状容器は製管現場に1台準備すれば良く、プロファイルの結束材料が棒体と結束具のみであるので、大きな巻き取りドラムで作業現場付近の空間を占有することがなくなる。
【0039】
発明5では、外側棒体同士がリング状結束具にて結束されているので、該リング状結束具の外縁部で、帯状板結束体がローラー支承されることになり、帯状板結束体は円周方向に回転自在となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
次に本発明の帯状板結束体とその解き出し方法とを図面を参照して説明する。図1は帯状板結束体の形成方法の一例の手順を示す工程図であり、図2はプロファイル巻き取り時に用いられる側板の一例の平面図、図3は棒体の断面形状の一例を示す断面図、図4は棒体同士を結束する結束具の一例を示す断面図である。なお、帯状体(プロファイル)が巻き重ねられた結束体の円筒状の端面は、プロファイルが螺旋状に重なって見えるが、本図を含め以降の図においては、煩雑を避けるため同一円形状(図1)で表示又は表示していない(図5)場合もある。
【0041】
初めに、巻き取りドラムを組み立てる。即ち、図1に示されるように、帯状体(プロファイル)2を結束体に成形する時に、結束体巻き取りドラムの両側面となる2枚の側板3を準備する。2枚の側板は対面して配置され、それぞれの側板の中心部同士を、巻き取りドラムを回転させるために任意の回転軸が挿通される中空筒(コア)33で連結される。
【0042】
帯状板2(プロファイル2)結束後に中心側となる棒体4を、コア33表面に、棒体4の長さ方向がコア33の軸方向と平行となるように同間隔で並べる。巻き取りドラムの中空コア33の両端部にあてられた側板3で、巻き取りドラムが回転自在となるようにコアを3支える。コア3を回転自在に支える方法は特に限定されない。なお、側板3同士の間隔は棒体の長さより短くされている。
【0043】
両側の側板3には、上記巻き取りドラムのコア3が挿入される貫通孔32と、側板3円周端部まで連通され、中心側棒体4が収納されるスリット31が設けられている。収納される棒体は、両側の側板3同士から外側に突出するように収納される。設けられるスリットの数は必要な棒体の数と同じであり、スリット31間隔は円周に沿って同間隔となるようにされている。
【0044】
スリット31の幅は、中心側及び外側の棒体4、5同士を結束する結束具6が棒体に取り付けられたときに、結束具6が通過できるだけの幅とされる。
【0045】
スリット31の中心側端部位置は、巻き取りドラムのコア33外周面位置から棒体の厚さだけ中心側に入った位置より外側の位置となるようにされている。従って、スリット31の中心側に収納される中心側棒体4の外側位置は、コア表面より外側位置となり、中心側棒体4の外に巻き付けられるプロファイル2は、部分的にコア33に接触することはあっても、全面が接触しない。従って、円筒形状に成形されたプロファイル2を結束後、コア33を抜き取る際、スムースに抜き取ることが出来る。
【0046】
棒体の断面形状は、曲がり難い形状であれば特に限定されない。即ち、前述の通り、中実、中空のいずれであっても良く、多角形、曲面形、又は、C型、H型、I型、L型等であっても良い。しかしながら、プロファイル2に接触する面は、プロファイル2に局所的な応力が掛からないように、滑らかな曲面とされていることが好ましい。例えば一例として、図3(a)は、中心側棒体4のプロファイル接触面の断面形状の一例、図3(b)は外側棒体5のプロファイル接触面の断面形状の一例であるが、この例に限ったものではない。プロファイル2に接触しない面は、結束具6がスムースに結束されかつ緩まず、結束時に結束具6を傷つけなければ特に限定されない。
【0047】
必要な本数の中心側棒体4が所定のスリット31に収納されたら、その上に、常法に従って、帯板状プロファイル2の所定長さを、コア両側の側板3同士の間で巻き重ね、円筒形状に成形する。巻き終わったら、その上から、外側棒体5をスリット31に収納する。
【0048】
同じスリット31に収納されている中心側棒体4と外側棒体5とを、結束具6で結束する。結束方法は、用いる結束具6の種類により適宜選択されればよく、図4(a)の場合は結束具6が両端部に係止用フック611を設けた帯状ゴム板61である場合、図4(b)は棒体を巻き回して隣接した先端同士を止め金具で止めたPPバンド62である場合、図4(c)は長ボルトとナット63である場合を示している。いずれも、一対の棒体が結束具6で結束され、かつ結束具6がプロファイル2の円筒状の端面を支持して、その形状が崩れることを防止している。
【0049】
全ての対応する棒体同士が結束され、プロファイル2の結束が完了したら、両側の側板3を外す。この時、溝幅は、結束具6が通過できるだけの幅とされてはいるが、隣り合うスリット31に収納された棒体の位置によっては結束具6が邪魔をして外せなくなる場合がある。その時は、側板3を一体とせず、スリット31単位で分割型の側板3とすれば良い。取り外しは、分割単位で、一つ一つ外していけば良い。
【0050】
側板3を外したプロファイル2の結束体1は、巻き取りドラムのコアから抜き取られる。この時、中心側棒体4はプロファイル2の巻き締めにより、強くコアに押しつけられている。従って、コア自体を分割コアとし、抜き取り時に分割してコアの外径を小さくするか又はコアを小片に分割できれば、抜き取りが容易となるので、そのようにされていることが好ましい。
【0051】
プロファイル2の結束体1は、複数対の棒体が用いられて結束されている。この棒体は、プロファイル2の巻き終わり部に近い箇所のスリット31に設けられる棒体の少なくとも一対を除いて取りはずされても良い。取り外されても、プロファイル2自体が剛性を有するので、プロファイル2の巻き重ねに弛みがなくかつ結束具6の結束が十分であれば、円筒形状が崩れることはない。
【0052】
このようにして円筒形状に成形されたプロファイル2の結束体1は、そのままで輸送されるが、遠距離輸送等で必要があれば、プロファイル2表面の汚れ防止や傷付き防止のための包装がされても良い。
【0053】
図5は上記結束されたプロファイル2の解き出し方法の一例を示す一部切り欠き斜視図である。プロファイル2を解き出す現場に、少なくとも一端部が開口された中空円筒状容器7が、円周方向に揺動又は回動自在として、円筒状容器7の中心軸が略水平となるように受け台8の上に載置される。この円筒状中空容器には、本発明の中空円筒状の帯状板結束体1が、その軸方向が容器の軸方向と一致するように収納される。
【0054】
円筒状容器7の受け台8は、台8の上にローラー9が設けられ、ローラー9の上に円筒状容器7の胴部が載置されるようになっている。円筒状容器7は、ローラー9の上で揺動又は回転可能とされている。なお受け台8自体は、車輪等の移動手段が設けられていて、その都度現場に持ち込み車輪止め等で受け台8自体が移動しないように仮止めするようにされていても良い。
【0055】
ローラー9は、その上に載せた円筒状容器7を円周方向に揺動又は回転可能に支持する機能を有する。従って、その形状は上記機能を発揮できれば特に限定されず、例えば一例として車輪形状(図6(a)参照)や回転ロール形状(図6(b)参照)等が挙げられる。
【0056】
台8には、ローラー9上に載置された円筒状容器7がプロファイル2の解き出し時に軸方向に移動しないように、容器移動防止用ストッパー(図示せず)が設けられても良い。このストッパーは、単純な突起でもよいが、ストッパーに円筒状容器7の端面部側辺が接触するので、円筒状容器7の回転を阻害しないように、接触箇所に円筒形状の回転方向に沿ったベアリング等が設けられていても良い。
【0057】
円筒状容器7の内径は、上記帯状板結束体1の外側棒体5の外側の見かけの外径より大きくされる。また、その長さは中心側又は外側棒体5の長さより長くされる。従って、帯状板結束体1は、上記の棒体と結束具6とで結束された状態のまま、円筒状容器7の中に収納することができる。
【0058】
受け台8上に載置された円筒状容器7内に、上記中空円筒状の帯状板結束体1が、その軸方向が容器の軸方向と一致するように収納される。収納方法は、フォークリフトやその他の搬送手段で移動して収納されれば良く特に限定されない。結束体が収納されたら、結束具6を外し、中心側棒体4とそれと対になる外側棒体5とを外す。
【0059】
結束具6を外すと、プロファイル2はそれ自体の剛性のために外径が大きくなるように解けて緩み、外側棒体5を容器の内周面に押しつけるように密着させる。従って、棒体が抜けにくくなり、無理に抜こうとするとプロファイル2を傷つける場合がある。従って、円筒状容器7に、外側棒体5を格納可能な溝等を少なくとも1本設けておき、その中に外側棒体5を格納して結束具6を緩めると、最後に棒体を抜き取りやすくなるので、そのようにされても良い。溝は、最後に抜き取る棒体のみ格納できれば良いので1本分だけあれば良いが、多くても構わない。なお、溝が1本だけの時は、プロファイル2の巻き終わり近傍の棒体をこの溝に格納するようにすれば良い。
【0060】
中心側棒体4及び外側棒体5を抜き取ったら、円筒状に巻かれて成形されたプロファイル2は、円筒状容器7の胴部でのみ拘束された状態となる。この状態で、円筒状容器7の開口部を、中心部に貫通孔11が設けられた蓋板10で覆い、脱着可能に蓋をする。蓋板10は、例えば円筒状容器7の端部に鍔部を設けその鍔部と同型の蓋板10としてそれぞれにボルト孔を設け、そのボルト孔にボルトを挿通してナットで止める等の方法等で脱着自在に止められれば良い。
【0061】
その貫通孔11から、帯状板結束体1を、巻き重ねの中心部側からとき解きながら取り出し、製管機に供給し、螺旋管を構成する。円筒状病気は、プロファイル2の解き出しに連れて、ローラー9上を揺動又は回転するので、解き出したプロファイル2が更に余計に捩れたり、又は撚りが戻ったりすることなく、製管機に供給できる。又、ストッパー11があるので、プロファイル2解き出し中に円筒状容器7が移動することはない。
【0062】
容器内のプロファイル2を全て解き出し終わったら蓋板10を外し、次の帯状板結束体1を円筒状容器7内に収納して、同様に棒体を外し、蓋をしてプロファイル2を解き出す。従って、円筒状容器7の設置場所には、プロファイル2を結束していた棒体と結束具6とのみであり、巻き取りドラムがないので、かさばらずかつ容易に移動できるので簡単に現場が片づき、巻き取りドラムを置くための広大な空間を必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】帯状板結束体の形成方法の一例の手順を示す工程図である。 (a) 帯状板の巻き取りドラムを組み立てた一例の斜視図である (b) 巻き取りドラムにプロファイルを巻き付けた状態の一例の側面図である。 (c) 側板をはっ図下状態の一例の斜視図である。 (d) 結束具で中心側棒体と外側棒体とを結束した状態の一例の正面図である。 (e) 結束体の結束が一個所だけである一例の一部斜視図である。
【図2】プロファイル巻き取り時に用いられる側板の一例の平面図である。
【図3】棒体の断面形状の一例を示す断面図である。 (a) 中心側棒体のプロファイル接触面の断面形状の一例である。 (b) 外側棒体のプロファイル接触面の断面形状の一例である。
【図4】棒体同士を結束する結束具6の一例を示す断面図である。 (a) 結束具が両端部に係止用フックを設けた帯状ゴム板である一例である。 (b) 結束具が棒体を巻き回して隣接する先端同士を止め金具で止めたPPバンドである一例である。 (c) 結束具が長ボルトとナットである一例である。
【図5】上記結束されたプロファイルの解き出し方法の一例を部材に分解した斜視図である。
【図6】ローラー形状の一例である。 (a) ローラーが車輪である一例の斜視図である。 (b) ローラーが回転ロールである一例の斜視図である。
【符号の説明】
【0064】
1 帯状板結束体
2 プロファイル(帯状板)
3 側板
31 スリット
32 コアが通る貫通孔
33 中空筒(コア)
4 中心側棒体
5 外側棒体
6 結束具
61 ゴム板
611 係止用フック
62 PPバンド
621 止め金具
631 ボルト
632 ナット
7 円筒状容器
8 受け台
9 ローラー
10 蓋板
11 プロファイルを取り出す貫通孔


【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺旋状に巻回されることにより螺旋管とされる長尺の帯状板を中空円筒状に巻き重ねた帯状板結束体であって、複数の剛直な中心側棒体をその軸が円周上に等間隔となるように並べて組み合わせた巻き軸に、上記帯状板を上記中心側棒体の長さより狭い巻き幅で中空円筒状に巻き重ね、巻き終わりの帯状板最外面部の上記巻き軸の中心と上記中心側棒体とを結ぶ線の延長線が交差する位置に、上記巻き重ねられた帯状板の巻き幅より長い剛直な外側棒体を中心側棒体と平行となるように配置して対とし、中心側棒体とそれと対になる外側棒体との夫々の両端部同士が結束具で脱着可能に結束されていることを特徴とする帯状板結束体。
【請求項2】
帯状板を巻き終わり後、中心側棒体及びそれと対になる外側棒体が、少なくとも最外面の巻き終わり部近傍にある一組以上を残して取り除かれていることを特徴とする請求項1記載の帯状板結束体。
【請求項3】
円周上に等間隔で並べられた中心側棒体とそれと対になる外側棒体とを、上記結束体の両端部近傍にてリング状結束具にて脱着可能に結束することにより、各中心側棒体の位置を固定することを特徴とする請求項1もしくは請求項2記載の帯状板結束体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか記載の中空円筒状の帯状板結束体を収納する、少なくとも一端部が開口された中空円筒状容器を、円周方向に揺動又は回動自在として円筒状容器の中心軸が略水平となるように受け台の上に載置し、上記中空円筒状の帯状板結束体をその軸方向が容器の軸方向と一致するように挿入し、結束具を外し、中心側棒体とそれと対になる外側棒体とを外し、円筒状容器の開口部を、中心部に貫通孔が設けられた蓋板で覆い、その貫通孔から帯状板結束体を巻き重ねの中心部側からとき解きながら取り出すことを特徴とする帯状板結束体の解き出し方法。
【請求項5】
等間隔に並べられた外側棒体同士をリング状結束具にて結束することにより、該リング状結束具の外縁部を利用して、帯状板結束体をローラー支承によって円周方向に回転自在とすることを特徴とする請求項4記載の帯状板結束体の解き出し方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−89242(P2006−89242A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−278482(P2004−278482)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】