説明

帯電部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置

【課題】電子写真感光体の削れに起因する縦スジ状画像、帯電部材の汚れに起因するポチ状画像及び横スジ状画像の発生を抑制した帯電部材を提供する。
【解決手段】導電性基体および表面層としての導電性樹脂層を有する帯電部材であって、該導電性樹脂層はバインダーと導電性微粒子とボウル形状の樹脂粒子とを含有しており、
一部の該ボウル形状の樹脂粒子は、該帯電部材の表面に露出しており、該帯電部材の表面は、該帯電部材の表面に露出している該ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部および該ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部とを有しており、かつ、該帯電部材の表面に露出している該ボウル形状の樹脂粒子は底部に亀裂を有しており、該亀裂において該導電性樹脂層が該帯電部材の表面に通じている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は帯電部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電子写真感光体に接触させて電子写真感光体を帯電させる帯電部材として、導電性の樹脂粒子に由来する凸部を表面に有している帯電部材が記載されている。かかる帯電部材によれば、帯電部材にトナーや外添剤等の汚れが堆積したことに起因する、ポチ状及び横スジ状の画像(以下、「ポチ状画像」、「横スジ状画像」と称す)の発生を抑制できることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−276026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、特許文献1に係る帯電部材についての検討を重ねたところ、当該帯電部材の表面の、樹脂粒子に由来する凸部に当接圧が集中し、電子写真感光体が不均一に削られることがあった。また、近年の電子写真プロセスの高速化に伴う帯電部材からの放電量の増加は、電子写真感光体の削れを促進する傾向にある。そして、電子写真感光体の表面の不均一な削れは、電子写真画像に縦スジ状のムラを生じさせる場合がある
そこで、本発明の目的は、表面に凸部を有することにより、表面に汚れが蓄積された場合にも安定した帯電性能を維持でき、かつ、電子写真感光体の表面の削れをも有効に抑制することのできる帯電部材の提供にある。また、本発明の他の目的は、高品位な電子写真画像の安定した形成に資するプロセスカートリッジ及び電子写真装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る帯電部材は、導電性基体および表面層としての導電性樹脂層を有する帯電部材であって、該導電性樹脂層はバインダーと導電性微粒子とボウル形状の樹脂粒子とを含有しており、一部の該ボウル形状の樹脂粒子は、該帯電部材の表面に露出しており、該帯電部材の表面は、該帯電部材の表面に露出している該ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部および該ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部とを有しており、かつ、該帯電部材の表面に露出している該ボウル形状の樹脂粒子は底部に亀裂を有しており、該亀裂において該導電性樹脂層が該帯電部材の表面に通じていることを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係るプロセスカートリッジは、上記の帯電部材と、該帯電部材と接触して配置されている電子写真感光体とが一体化され、電子写真装置の本体に着脱自在に構成されていることを特徴とする。さらに、本発明に係る電子写真装置は、上記の帯電部材と、該帯電部材と接触して配置されている電子写真感光体とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の帯電部材によれば、画像形成を行った場合に発生する電子写真感光体の削れを削減し、縦スジ状画像を長期にわたり抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の帯電部材(ローラ形状)の断面図である。
【図2】本発明の帯電部材表面の部分断面図である。
【図3】本発明の帯電部材表面の部分断面図である。
【図4】本発明のボウル形状の樹脂粒子の形状の説明図である。
【図5】本発明の帯電ローラの電気抵抗値の測定装置の図である。
【図6】本発明の帯電部材を用いた電子写真装置の一例を表す概略図である。
【図7】帯電ローラの製造に用いるクロスヘッド押出機の断面図である。
【図8】本発明に用いる電子線照射装置の一例を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図(1a)は本発明に係る帯電部材の断面を示しており、帯電部材は導電性基体1と、その周面を被覆している帯電部材の表面層としての導電性樹脂層3とを有する。そして、導電性樹脂層3は、バインダー、導電性微粒子及びボウル形状の樹脂粒子を含有している。また、図(1b)に示すように、導電性基体1と表面層としての導電性樹脂層3との間に導電性弾性層2を形成してもよい。
【0010】
〔導電性樹脂層〕
図(2a)及び(2b)は、帯電部材の表面層を構成する導電性樹脂層3の表面部分の部分断面図である。導電性樹脂層に含有されている一部のボウル形状の樹脂粒子61は、前記帯電部材の表面に露出している。そして、帯電部材の表面は、表面に露出しているボウル形状の樹脂粒子の開口51に由来する凹部52と、表面に露出しているボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジ53に由来する凸部54とを有している。また、表面に露出しているボウル形状の樹脂粒子は底部52に亀裂を有している。そして、該亀裂59において、導電性樹脂層3が帯電部材の表面に通じている。
【0011】
本発明者らは、帯電部材の表面と、電子写真感光体の削れとの関係について検討を行った。その過程で、帯電部材と電子写真感光体との接触及び回転状態を詳細に観察した。その結果、樹脂粒子由来の凸部を有する帯電部材は、樹脂粒子の凸部のみにおいて電子写真感光体と当接していたため、当該凸部に帯電部材の当接圧力が集中し、それにより電子写真感光体の削れが促進されていることが分かった。
【0012】
一方、帯電部材の表面にボウル形状の樹脂粒子を露出させることによって、当該ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹部とその開口のエッジによる凸部とを表面に有する帯電部材は、電子写真感光体の削れを抑制する効果があることが分かった。また、帯電均一性に関しては、樹脂粒子由来の凸部を有する帯電部材と同等レベルの帯電性能を得ることができるとの知見を得た。このような帯電部材と電子写真感光体との接触及び回転状態の観察の結果、当該開口のエッジに由来する凸部は電子写真感光体と接触しており、開口に由来する凹部は電子写真感光体と帯電部材とのニップ内に空隙を生じさせていた。さらに、該開口のエッジに由来する凸部は、従来の導電性樹脂粒子に由来する凸部と比較して電子写真感光体と当接した際に弾性変形することが確認された。本発明に係る帯電部材が電子写真感光体の表面の削れを抑制できる理由は、帯電部材の電子写真感光体への当接圧力が、凸部の弾性変形により緩和され、1点に集中しにくいためであると考えられる。
【0013】
また、本発明に係る帯電部材の放電状態を観察したところ、ボウル形状の樹脂粒子の底部の亀裂において帯電部材の表面に通じている導電性樹脂層から放電が生じ、ニップ内放電をしているとの知見も得た。すなわち、ボウル形状の樹脂粒子の底部の亀裂において、ボウル形状の樹脂粒子の下に位置している導電性樹脂層が帯電部材の表面に通じている(露出)していることにより、ニップ内放電を行わせることができる。これにより電子写真感光体の帯電性能のより一層の均一化が達成できているものと考えられる。
【0014】
図3に示す、前記ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部54の頂点55と、前記ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部52の底部56との高低差57は、5μm以上100μm以下、特には、8μm以上80μm以下とすることが好ましい。この範囲とすることにより、より確実に当接圧力を緩和させ、ニップ内の空隙を保持することができる。また、前記凸部の頂点55と前記凹部の底部56との高低差57と、前記ボウル形状の樹脂粒子の最大径58との比、すなわち、樹脂粒子の〔最大径〕/〔高低差〕は、0.8以上3.0以下であることが好ましい。本範囲とすることにより、より確実に上述した圧力を減少させ、ニップ内での空隙を保持することができる。
【0015】
前記凹凸形状の形成により、導電性樹脂層の表面状態は、下記のように制御されていることが好ましい。十点平均表面粗さ(Rzjis)は、5μm以上65μm以下、特には、10μm以上50μm以下が好ましい。表面の凹凸平均間隔(Sm)は、30μm以上200μm以下、特には40μm以上150μm以下が好ましい。上記の範囲とすることにより、より確実に当接圧力を減少させ、ニップ内での空隙を確保することができる。なお、表面の十点平均粗さ(Rzjis)及び表面の凹凸平均間隔(Sm)の測定法については、後に詳述する。
【0016】
本発明に係るボウル形状の樹脂粒子の一例を図4に示す。本発明において、ボウル形状とは、開口部71を有し、開口部に丸みのある凹部72を有する形状をいう。開口部は、図(4a)に示すように平坦であってもよいし、図(4c)に示すように、凹凸が形成されていても良い。
【0017】
ボウル形状の樹脂粒子の最大径58の目安は、5μm以上150μm以下、特には、8μm以上120μm以下である。また、ボウル形状の樹脂粒子の最大径58と、開口部の最小径74の比、即ち、ボウル形状の樹脂粒子の〔最大径〕/〔開口部の最小径〕が、1.1以上4.0以下であることがより好ましい。本範囲とすることにより、より確実に上述した圧力を減少させ、ニップ内での空隙を保持することができる。
【0018】
ボウル形状の樹脂粒子の開口部周囲の縁の外径と内径の差は0.1μm以上3μm以下、特には、0.2μm以上2μm以下であることが好ましい。本範囲とすることによって、より確実に当接圧力を緩和させられる。また、上記外径と内径の差が粒子全域にわたり略均一に形成されていることが更に好ましい。略均一とは、平均値の±50%以内の範囲内であることを意味する。
【0019】
〔バインダー〕
本発明の導電性樹脂層に含有されるバインダーとしては、公知のゴムまたは樹脂を使用することができる。ゴムとしては、例えば、天然ゴムやこれを加硫処理したもの、合成ゴムを挙げることができる。合成ゴムとしては以下のものが挙げられる。エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム及びフッ素ゴム等。樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂の如き樹脂が使用できる。中でも、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂がより好ましい。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらバインダーの原料である単量体を共重合させ、共重合体としてもよい。導電性樹脂層を、第1の導電性樹脂層と第2の導電性樹脂層で形成する場合、第1の導電性樹脂層に用いるバインダーは、ゴムを使用することが好ましい。これは、ボウル形状の樹脂粒子にかかる圧力が、より緩和されやすくなる傾向にあるためである。第1の導電性樹脂層に用いるバインダーとしてゴムを使用した場合、第2の導電性樹脂層に用いるバインダーは、樹脂を使用することが好ましい。これは、電子写真感光体との密着性及び摩擦性の制御を、より容易に行うことができるためである。導電性樹脂層は、プレポリマー化したバインダーの原料に架橋剤等を添加し、硬化または架橋することによって形成してもよい。本発明においては、上記混合物についても、以下、バインダーと称して説明する。
【0020】
〔導電性微粒子〕
導電性樹脂層は導電性を発現するために公知の導電性微粒子を含有する。導電性微粒子としては金属酸化物、金属微粒子、カーボンブラック等が挙げられる。また、これらの導電性微粒子を、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。導電性樹脂層中における導電性微粒子の含有量の目安としては、バインダー100質量部に対して2〜200質量部、特には5〜100質量部である。第1の導電性樹脂層と第2の導電性樹脂層に使用するバインダー及び導電性微粒子は、同じであっても、異なっていてもよい。
【0021】
〔導電性樹脂層の形成方法〕
導電性樹脂層を形成する方法を下記に例示する。まず、導電性基体上に、バインダーに導電性微粒子及び中空形状の樹脂粒子を分散させた被覆層(以下、「予備被覆層」と称す)を作成する。その後、表面を研磨することにより、中空形状の樹脂粒子の一部を削除してボウル形状とし、ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹部と、ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジによる凸部を形成する(以下、「ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状」と称す)。この様に導電性樹脂層を形成し、次にその表面に電子線照射を行い、樹脂粒子の底部に亀裂を生じさせる。
【0022】
〔予備被覆層中への樹脂粒子の分散〕
まず、予備被覆層に中空形状の樹脂粒子を分散させる方法について説明する。第1の方法としては、粒子の内部に気体を含有している、いわゆる中空形状の粒子を、バインダー及び導電性微粒子に分散させた導電性樹脂組成物を作製し、この組成物を、導電性基体上に被覆し、乾燥、硬化、または、架橋等を行う方法を例示することができる。中空形状の樹脂粒子に用いる材料としては、前述した公知の樹脂を挙げることができる。
【0023】
別の方法としては、粒子の内部に内包物質を含み、熱を加えることにより内包物質が膨張し、中空形状の樹脂粒子となる、いわゆる熱膨張性マイクロカプセル使用する方法を例示することができる。熱膨張マイクロカプセルを、バインダー及び導電性微粒子とともに分散させた導電性樹脂組成物を作成し、この組成物を、導電性基体上に被覆し、乾燥、硬化、または、架橋等を行う方法である。この方法の場合、予備被覆層に使用するバインダーの乾燥、硬化、または架橋時の熱で、内包物質を膨張させ、中空形状の樹脂粒子を形成することができる。この際、温度条件等を制御することにより、粒径等を制御することもできる。
【0024】
熱膨張マイクロカプセルを用いる場合、使用する樹脂は、熱可塑性樹脂を用いる必要がある。熱可塑性樹脂としては以下のものが挙げられる。アクリロニトリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メタクリル酸樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、アミド樹脂、メタクリロニトリル樹脂、アクリル酸樹脂、アクリル酸エステル樹脂類、メタクリル酸エステル樹脂類等。この中でも、ガス透過性が低く、高い反発弾性を示すアクリロニトリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メタクリロニトリル樹脂から選ばれる少なくとも1種からなる熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。これら熱可塑性樹脂は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。更に、これら熱可塑性樹脂の単量体を共重合させ、共重合体として用いても良い。
【0025】
熱膨張マイクロカプセルに内包させる物質としては、前記熱可塑性樹脂の軟化点以下の温度でガスになって膨張するものが好ましく、例えば以下のものが挙げられる。プロパン、プロピレン、ブテン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタンなどの低沸点液体、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン、イソオクタン、ノルマルデカン、イソデカンなどの高沸点液体等。
【0026】
上記の熱膨張性マイクロカプセルは、懸濁重合法、界面重合法、界面沈殿法、液中乾燥法といった公知の製法により製造することができる。例えば、懸濁重合法においては、重合性単量体、上記熱膨張マイクロカプセルに内包させる物質及び重合開始剤を混合し、この混合物を、界面活性剤や分散安定剤を含有する水性媒体中に分散させた後、懸濁重合させる方法を例示することができる。なお、重合性単量体の官能基と反応する反応性基を有する化合物、有機フィラー等を添加することもできる。
【0027】
重合性単量体としては、下記のものを例示することができる。アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、塩化ビニリデン、酢酸ビニル。アクリル酸エステル(メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート)。メタクリル酸エステル(メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート)。スチレン系モノマー、アクリルアミド、置換アクリルアミド、メタクリルアミド、置換メタクリルアミド、ブタジエン、εカプロラクタム、ポリエーテル、イソシアネート等。これらの重合性単量体は単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0028】
重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、重合性単量体に可溶の開始剤が好ましく、公知のパーオキサイド開始剤及びアゾ開始剤等を使用できる。これらのうち、アゾ開始剤が好ましい。アゾ開始剤の例を以下に挙げる。2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサン1−カーボニトリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル及び2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル。中でも、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルが好ましい。重合開始剤を用いる場合、重合性単量体100質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましい。
【0029】
界面活性剤としてはアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子型分散剤等を使用できる。界面活性剤を使用する場合、重合性単量体100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましい。
【0030】
分散安定剤としては以下のものが挙げられる。有機微粒子(ポリスチレン微粒子、ポリメタクリル酸メチル微粒子、ポリアクリル酸微粒子及びポリエポキシド微粒子等)、シリカ(コロイダルシリカ等)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸バリウム、及び、水酸化マグネシウム等。分散安定剤を使用する場合、重合性単量体100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましい。
【0031】
懸濁重合は、耐圧容器を用い、密閉下で行うことが好ましい。また、分散機等で懸濁してから、耐圧容器に移して懸濁重合してもよく、耐圧容器内で懸濁させてもよい。重合温度は、50℃〜120℃がより好ましい。重合は、大気圧下で行ってもよいが、上記熱膨張カプセルに内包させる物質を気体状にさせないようにするため加圧下(大気圧に0.1〜1MPaを加えた圧力下)で行うことが好ましい。重合終了後は、遠心分離や濾過等によって、固液分離及び洗浄等を行ってもよい。固液分離や洗浄する場合、この後、熱膨張マイクロカプセルを構成する樹脂の軟化温度以下にて乾燥や粉砕してもよい。乾燥及び粉砕は、既知の方法により行うことができ、気流乾燥機、順風乾燥機及びナウターミキサー等を使用できる。また、乾燥及び粉砕は粉砕乾燥機等によって同時に行うこともできる。界面活性剤及び分散安定剤は、製造後に洗浄濾過等を繰り返すことにより除去できる。
【0032】
〔予備被覆層の形成方法〕
続いて、予備被覆層の形成方法について説明する。予備被覆層の形成方法としては、静電スプレー塗布、ディッピング塗布、ロール塗布、所定の膜厚に成膜されたシート形状又はチューブ形状の層を接着又は被覆する方法、型内で所定の形状に材料を硬化、成形する方法等が挙げられる。また、特に、バインダーがゴムの場合には、クロスヘッドを備えた押出機を用いて、導電性基体と未加硫ゴム組成物を一体的に押出して作製することもできる。クロスヘッドとは、電線や針金の被覆層を構成するために用いられる、押出機のシリンダ先端に設置して使用する押出金型である。この後、乾燥、硬化または架橋等を経た後、予備被覆層の表面を研磨して、中空形状の樹脂粒子の一部を削除してボウル形状とする。研磨方法としては、円筒研磨方法やテープ研磨法を使用できる。円筒研磨機としては、トラバース方式のNC円筒研磨機、プランジカット方式のNC円筒研磨機等を例示できる。
【0033】
(a)予備被覆層の厚みが中空形状の樹脂粒子の平均粒径の5倍以下の場合
予備被覆層の厚みが中空粒子の平均粒径の5倍以下場合、予備被覆層表面には、中空形状の樹脂粒子由来の凸部が、形成されている場合が多い。この場合には、中空形状の樹脂粒子の凸部の一部を削除して、ボウル形状とし、ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状を形成することができる。この場合、研磨時に帯電部材にかかる圧力が比較的小さい、テープ研磨を使用することがより好ましい。一例として、テープ研磨方式を使用する際の、予備被覆層の研磨条件として好ましい範囲を下記に示す。研磨テープは、研磨砥粒を樹脂に分散させ、それを、シート状基材に塗布している。研磨砥粒としては、酸化アルミニウム、酸化クロム、炭化珪素、酸化鉄、ダイヤモンド、酸化セリウム、コランダム、窒化珪素、炭化珪素、炭化モリブデン、炭化タングステン、炭化チタン及び酸化珪素等が例示できる。研磨砥粒の平均粒径は、0.01μm以上、50μm以下が好ましく、よりこのましくは、1μm以上、30μm以下である。なお、上記、研磨砥粒の平均粒径は、遠心沈降法で測定されたメジアン径D50である。上記好ましい範囲の研磨砥粒を有する研磨テープの番手の好ましい範囲は、500以上、20000以下であり、より好ましくは、1000以上、10000以下である。研磨テープの具体例を以下に挙げる。MAXIMA LAP、MAXIMA Tタイプ(商品名、レフライト株式会社製)、ラピカ(商品名、KOVAX社製)、マイクロフィニッシングフィルム、ラッピングフィルム(商品名、住友3M株式会社製)、ミラーフィルム、ラッピングフィルム(商品名、三共理化学株式会社製)、ミポックス(商品名、日本ミクロコーティング株式会社製)等。
【0034】
研磨テープの送り速度は、10mm/min以上、500mm/min以下が好ましく、50mm/min以上、300mm/min以下がより好ましい。研磨テープの予備被覆層への押し当て圧は、0.01MPa以上、0.4MPa以下が好ましく、0.1MPa以上、0.3MPa以下がより好ましい。押し当て圧を制御するため、予備被覆層には、研磨テープを介してバックアップローラ等を当接させてもよい。また、所望の形状を得るために、複数回にわたり、研磨処理をおこなってもよい。予備被覆層を形成した部材が回転可能な形状である場合(例えば、ローラ形状の場合)、回転数を、10rpm以上、1000rpm以下に設定することが好ましく、50rpm以上、800rpm以下に設定することがより好ましい。上記の条件とすることで、導電性樹脂層表面に、ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状を、より容易に形成することができる。なお、予備被覆層の厚みが、上記範囲であっても、下記に記載する(b)の方法を使用して、ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状を形成することも可能である。
【0035】
(b)予備被覆層の厚みが中空形状の樹脂粒子の平均粒径の5倍超の場合
予備被覆層の厚みが中空形状の樹脂粒子の平均粒径の5倍を超える場合、予備被覆層の表面には、中空形状の樹脂粒子由来の凸部が、形成されていない場合が発生する。この様な場合は、中空形状の樹脂粒子と予備被覆層との研磨性の差を利用して、ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状を形成することができる。中空形状の樹脂粒子は、内部に気体を内包しているため、高反発弾性を有する。これに対し、予備被覆層のバインダーとしては、比較的低い反発弾性を有し、かつ、伸びの小さなゴムまたは樹脂を選択する。これにより、予備被覆層は研磨されやすく、中空形状の樹脂粒子は研磨されにくい状態を達成することができる。上記状態の予備被覆層を研磨すると、中空形状の樹脂粒子は、予備被覆層と同じ状態で研磨されることなく、中空形状の樹脂粒子の一部のみを削除したボウル形状とすることができる。これにより、予備被覆層の表面に、ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状を形成することができる。この方法は、中空形状の樹脂粒子と予備被覆層との研磨性の差を利用して、凹凸形状を形成する方法であるため、予備被覆層に使用するバインダーには、ゴムを使用することが好ましい。この中でも、低反発弾性、かつ、伸びが小さいという観点から、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴムを使用することが、特に好ましい。中空形状の樹脂粒子に使用する樹脂としては、気体透過性が低く、高反発弾性を有するという観点から、極性基を有する樹脂が好ましく、下記式(1)示すユニットを有する樹脂が、より好ましい。特に、研磨性を制御しやすいという観点から、式(1)に示すユニットと、式(5)に示すユニットの両方を有することが、更に好ましい。
【0036】
【化1】

【0037】
(式中Aは、下記式(2)、(3)及び(4)から選択される少なくとも1種である。R1は、水素原子、もしくは、炭素数1から4のアルキル基である。)
【0038】
【化2】

【0039】
【化3】

【0040】
【化4】

【0041】
【化5】

【0042】
(式中R2は、水素原子、もしくは、炭素数1から4のアルキル基であり、R3は、水素原子、もしくは、炭素数1から10のアルキル基である。R2とR3は、同じ構造であっても、異なる構造であってもよい。)
〔研磨方法〕
研磨方法としては、円筒研磨方法やテープ研磨法を使用することができるが、材料の研磨性の差を顕著に引き出す必要があるため、より速く研磨する条件とすることが好ましい。この観点から、円筒研磨方法を使用することがより好ましい。円筒研磨法のなかでも、長手方向を同時に研磨でき、研磨時間が短縮できるという観点から、プランジカット方式を使用することが、更に好ましい。また、研磨面を均一にするという観点から従来行われていたスパークアウト工程(侵入速度0mm/minでの研磨工程)を、できるだけ短時間とする、もしくは行わないことが好ましい。一例として、プランジカット方式の円筒研磨機を使用する際の、予備被覆層の研磨条件として好ましい範囲を下記に示す。円筒研磨砥石の回転数は、1000〜4000rpm、特には、2000〜4000rpmが好ましい。予備被覆層への侵入速度は、5〜30mm/min、特には、10〜30mm/minがより好ましい。侵入工程の最後には、研磨表面に慣らし工程を有してもよく、0.1以上0.2mm/min以下の侵入速度で2秒以内とすることが好ましい。スパークアウト工程(侵入速度0mm/minでの研磨工程)は、3秒以下が好ましい。予備被覆層を形成した部材が回転可能な形状の場合(例えば、ローラ形状の場合)は、回転数を、50rpm以上、500rpm以下に設定することが好ましく、更には、200rpm以上に設定することがより好ましい。上記の条件とすることで、導電性樹脂層表面に、ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状を、より容易に形成することができる。
【0043】
〔電子線照射〕
次いで、作製した導電性樹脂層の表面に、更に電子線照射を行う。電子線照射を行うことにより、ボウル形状の樹脂粒子の底部に亀裂を生じさせ、帯電部材の表面に導電性樹脂層を露出させることができる。この際、導電性樹脂層は、前述したバインダーのうち電子線照射により架橋するゴムを使用することが好ましい。またボウル形状の樹脂粒子は、電子線照射により崩壊するユニットを有することが好ましい。電子線照射した際、以下のような挙動により、ボウル形状の樹脂粒子の底部に亀裂が生じ、導電性樹脂層が露出すると推測している。すなわち、電子線照射を行うと、導電性樹脂層は架橋により収縮する。ボウル形状の樹脂粒子は、電子線により崩壊するユニットの化学結合が切断され、ボウル形状の樹脂粒子の強度は低下する。このため、導電性樹脂層の収縮に伴う変形に、ボウル形状の樹脂粒子が追従できず、樹脂粒子に亀裂が生じ、導電性樹脂層が露出すると推測している。
【0044】
電子線照射により架橋するゴムとしては、前述したゴムのうち、ブタジエン結合を有するゴムを使用することができる。この中でも、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴムを使用することがより好ましい。前記架橋による収縮を、より容易に制御できるためである。電子線照射により崩壊するユニットとは、前記式(1)または式(5)に記載した化合物のうち、R1及びR2が、水素原子であるユニットである。また、中空形状の樹脂粒子に使用する樹脂は、上記電子線照射により崩壊するユニットと、電子線照射により架橋するユニットとを、両方有する共重合体を使用することが、更に好ましい。電子線照射により架橋するユニットとは、前記式(1)または式(5)に記載した化合物のうち、R1及びR2が、炭素数1から4のアルキル基であるユニットである。電子線照射により、架橋するユニットが存在すると、ボウル形状の樹脂粒子と導電性樹脂層との密着性が向上し、より確実に上述した圧力を減少させ、ニップ内での空隙を保持することができる。
【0045】
図8に、導電性樹脂層を形成したローラ形状の部材に、電子線を照射する方法の一例を説明する概略図を示す。まず、導電性樹脂層を形成した部材101を、回転冶具(図示していない)に設置し、シャッター備え付けの投入口102から電子線照射装置103の内部へと運搬する。この後、シャッターを閉じ、電子線照射装置の内部雰囲気を窒素置換して、酸素濃度が100ppm以下になったことを確認してから、電子線発生部104から電子線を照射する。電子線発生部104には、電子線加速用の真空チャンバーと、フィラメント状の陰極が存在する。そして、この陰極を加熱すると、その表面から熱電子が放出される。このように放出された熱電子は加速電圧によって加速された後、電子線として放出される。また、このフィラメントの形状やフィラメントの加熱温度を変えることによって、陰極から放出される電子線の数(照射線量)を調節することができる。
【0046】
電子線照射における電子線の線量は、下記の数式(1)で定義される。
D=(K・I)/V ・・・(1)
ここで、Dは線量(kGy)、Kは装置定数、Iは電子電流(mA)、Vは処理スピード(m/min)である。装置定数Kは装置個々の効率を表す定数であって、装置の性能の指標である。装置定数Kは一定の加速電圧の条件で、電子電流と処理スピードを変えて線量を測定することによって求めることができる。電子線の線量測定は、線量測定用フィルムをローラ表面に貼り付け、これを実際に電子線照射装置で処理し、この線量測定用フィルムの電子線の線量をフィルム線量計により測定する。線量測定用フィルムはFWT−60、フィルム線量計はFWT−92D型(いずれもFar West Technology社製)である。本発明における電子線の線量は30〜3000kGyの範囲が好ましい。30kGy以上で亀裂を発生させるのに十分な強度を得ることができる。また、3000kGy以下とすることで導電性樹脂層が高硬度化しすぎるのを抑制することができる。
【0047】
導電性樹脂層における、上記中空形状の樹脂粒子の含有量は、バインダー100質量部に対して、2質量部以上、100質量部以下が好ましい。本範囲とすることで、上記ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状を、より容易に形成することが可能になる。この量は5質量部以上、50質量部以下が更に好ましい。なお、各層の膜厚は、帯電部材の断面を鋭利な刃物で切り出して光学顕微鏡や電子顕微鏡で観察して測定することができる。
【0048】
〔導電性樹脂層中のその他の成分〕
本発明の導電樹脂層は、前記の導電性微粒子に加え、イオン導電剤や絶縁性粒子を含有してもよい。
【0049】
導電性樹脂層の体積抵抗率の目安としては、温度23℃/湿度50%RH環境において、1×102Ω・cm以上1×1016Ω・cm以下である。なお、導電性樹脂層の体積抵抗率は、以下のようにして求める。まず、帯電部材から、導電性樹脂層を、縦5mm、横5mm、厚さ1mm程度の短冊形に切り出す。両面に金属を蒸着して電極とガード電極とを作製し測定用サンプルを得る。導電性樹脂層が薄膜で切り出せない場合には、アルミシートの上に導電性樹脂層形成用の導電性樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、塗膜面に金属を蒸着して測定用サンプルを得る。得られた測定用サンプルについて微小電流計(商品名:ADVANTEST R8340A ULTRA HIGH RESISTANCE METER、(株)アドバンテスト製)を用いて200Vの電圧を印加する。そして、30秒後の電流を測定し、膜厚と電極面積とから計算して求める。導電性樹脂層の体積抵抗率は、前述した導電性微粒子及びイオン導電剤により調整することができる。
【0050】
また、導電性微粒子は、平均粒径が0.01μmから0.9μmが好ましい。この範囲であれば、導電性樹脂層の体積抵抗率の制御が容易になる。平均粒径は0.01μmから0.5μmであることが更に好ましい。
【0051】
導電性樹脂層に加えるこれらの導電剤の添加量は、バインダー100質量部に対して2質量部から80質量部、好ましくは20質量部から60質量部の範囲が適当である。
【0052】
導電性樹脂層には、更に、離型性を向上させるために、離型剤を含有させても良い。導電性樹脂層に離型剤を含有させることで、帯電部材の表面に汚れが付着することを防ぎ、帯電部材の耐久性を向上させることができる。離型剤が液体の場合は、導電性樹脂層を形成する際にレベリング剤としても作用する。導電性樹脂層は、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、UVや電子線を用いた表面加工処理や、化合物を表面に付着及び/又は含浸させる表面改質処理を挙げることができる。
【0053】
〔導電性基体〕
本発明の帯電部材に用いられる導電性基体は、導電性を有し、その上に設けられる導電性樹脂層等を支持する機能を有するものである。材質としては、例えば、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム、ニッケルの如き金属やその合金を挙げることができる。
【0054】
〔導電性弾性層〕
本発明の帯電部材には、導電性基体と導電性樹脂層との間に、導電性弾性層を形成してもよい。導電性弾性層に使用するバインダーとしては、公知のゴムまたは樹脂を使用することができる。帯電部材と感光体との間で十分なニップを確保するという観点から、比較的低い弾性を有することが好ましく、ゴムを使用することがより好ましい。ゴムとしては、前述したゴムを例示することができる。導電性弾性層は、その体積抵抗率が、温度23℃、湿度50%RHの環境下で、102Ω・cm以上、1010Ω・cm以下であることが好ましい。
【0055】
導電性弾性層の体積抵抗率は、バインダー中に、カーボンブラック、導電性金属酸化物、アルカリ金属塩、アンモニウム塩等の導電剤を適宜添加して、調整することができる。バインダーが極性ゴムである場合は、特に、アンモニウム塩を用いることが好ましい。また、導電性弾性層には、導電性微粒子の他に硬度等を調整するために、軟化油、可塑剤等の添加剤や、上述の絶縁性粒子を含有させてもよい。導電性弾性層は、導電性基体、導電性樹脂層間等に接着剤により接着して設けることもできる。接着剤としては導電性のものを用いることが好ましい。
【0056】
<帯電部材>
本発明に係る帯電部材は、上記導電性基体と導電性樹脂層を有するものであればよく、その形状も、ローラ状、平板状等いずれであってもよい。以下において、帯電部材の一例としての、帯電ローラを使用して詳細に説明する。導電性基体上には、その直上の層と、接着剤を介して接着してもよい。この場合、接着剤は導電性であることが好ましい。導電性とするため、接着剤には公知の導電剤を有することができる。
【0057】
本発明に係る帯電ローラは、電子写真感光体に対して、長手のニップ幅を均一にするという観点から、長手方向中央部が一番太く、長手方向両端部にいくほど細くなるクラウン形状が好ましい。クラウン量(中央部の外径と中央部から90mm離れた位置の外径との差)の目安は、30〜200μmである。
【0058】
<電子写真装置>
本発明に係る帯電部材は、電子写真装置の構成部品として使用することができる。この電子写真装置は、該帯電部材、露光装置及び現像装置を少なくとも有する。本発明の帯電部材を備える電子写真装置の一例の概略構成を図6に示す。電子写真装置は、電子写真感光体、電子写真感光体の帯電装置、潜像形成装置、現像装置、転写装置、電子写真感光体上の転写残トナーを回収するクリーニング装置および定着装置等を有する。
【0059】
電子写真感光体4は、導電性基体上に感光層を有する回転ドラム型であり、矢示の方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。帯電装置は、電子写真感光体4に所定の押圧力で当接されることにより接触配置される接触式の帯電ローラ5を有する。帯電ローラ5は、電子写真感光体の回転に従い回転する従動回転であり、帯電用電源19から所定の直流電圧を印加することにより、電子写真感光体を所定の電位に帯電する。電子写真感光体4に静電潜像を形成する潜像形成装置11としては、例えばレーザービームスキャナーの如き露光装置が用いられる。一様に帯電された電子写真感光体に画像情報に対応した露光を行うことにより、静電潜像が形成される。現像装置は、電子写真感光体4に近接又は接触して配設される現像スリーブ又は現像ローラ6を有する。電子写真感光体の帯電極性と同極性に静電的処理されたトナーを反転現像により、静電潜像を現像してトナー像を形成する。転写装置は、接触式の転写ローラ8を有する。電子写真感光体からトナー像を普通紙の如き転写材7(転写材は、搬送部材を有する給紙システムにより搬送される。)に転写する。クリーニング装置は、ブレード型のクリーニング部材10、回収容器14を有し、転写した後、電子写真感光体上に残留する転写残トナーを機械的に掻き落とし回収する。ここで、現像装置にて転写残トナーを回収する現像同時クリーニング方式を採用することにより、クリーニング装置を省くことも可能である。定着装置9は、加熱されたロール等で構成され、転写されたトナー像を転写材7に定着し、機外に排出する。
【0060】
<プロセスカートリッジ>
本発明に係るプロセスカートリッジは、上記した本発明にかかる帯電部材と、該帯電部材に接触して配置された被帯電体(電子写真感光体等)とが一体化され、電子写真装置の本体に着脱自在に構成されている。
【実施例】
【0061】
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明における評価方法の一部を下記に記載する。
【0062】
〔1.帯電部材の電気抵抗値〕
図5は、帯電ローラの電気抵抗値の測定装置である。導電性基体1の両端を、荷重のかかった軸受け33、33により電子写真感光体と同じ曲率の円柱形金属32に、平行になるように当接させる。この状態で、モータ(不図示)により円柱形金属32を回転させ、当接した帯電ローラ5を従動回転させながら安定化電源34から直流電圧−200Vを印加する。この時に流れる電流を電流計35で測定し、帯電ローラの抵抗値を計算する。本発明において、荷重は各4.9Nとし、金属製円柱は直径φ30mm、金属製円柱の回転は周速45mm/secとする。
【0063】
〔2.帯電部材の表面粗さRzjis及び平均凹凸間隔Smの測定〕
日本工業規格(JIS)B 0601−1994に基づき、表面粗さ測定器(商品名:SE−3500、株式会社小坂研究所製)を用いて測定する。Rzは帯電部材表面の無作為に選択した6箇所における測定値の平均値とする。Smは、帯電部材表面の無作為に選択した6箇所における10点測定値の平均値を求め、次いで当該6箇所の平均値として求められる値とする。測定にあたり、カットオフ値は0.8mm、評価長さは8mmとする。
【0064】
〔3.ボウル形状の樹脂粒子の形状測定〕
導電性樹脂層の任意の点を500μmに亘って、20nmずつ集束イオンビーム(商品名:FB−2000C、日立製作所社製)にて切り出し、その断面画像を撮影する。そして同じボウル形状の樹脂粒子を撮影した画像を組み合わせ、ボウル形状の樹脂粒子の立体像を算出する。立体像から、図3で示すように最大径58と、図4で示す開口径の最小径74を算出する。また、上記立体像から、ボウル形状の樹脂粒子の任意の5点において、外径と内径の差を算出する。このような作業を視野内の樹脂粒子10個について行う。そして、同様の測定を帯電部材の長手方向10箇所について行い、得られた計100個の樹脂粒子の平均値を算出する。
【0065】
〔4.帯電部材の表面形状の測定〕
帯電部材表面をレーザ顕微鏡(商品名:LXM5 PASCAL;カール・ツアイス(Carl Zeiss)社製)を用いて、縦0.5mm、横0.5mmの視野で観察する。レーザを視野内のX−Y平面でスキャンさせることにより2次元の画像データを得、更に焦点をZ方向に移動させ、上記のスキャンを繰り返すことにより3次元の画像データを得る。その結果、まず、ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部と、ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部を有していることを確認できる。更に、前記凸部54の頂点55と、前記凹部の底部56との高低差57を算出する。更にボウル形状の樹脂粒子は底部において亀裂を有しており、そこから導電性樹脂層が露出していることを確認できる。このような作業を視野内のボウル形状の樹脂粒子2個について行う。そして、同様の測定を帯電部材の長手方向50箇所について行い、得られた計100個の樹脂粒子の平均値を算出する。
【0066】
<製造例>
以下製造例1〜37について説明するが、製造例の内訳は次の通りである。製造例1〜29は樹脂粒子の製造例である。製造例30〜33は樹脂粒子を含む導電性ゴム組成物1〜4の製造例である。製造例34は複合導電性微粒子の製造例である。製造例35は表面処理酸化チタン粒子の製造例である。製造例36及び37は、樹脂粒子を含む導電性樹脂塗布液1及び2の製造例である。樹脂粒子の平均粒径は体積平均粒径を意味する。
【0067】
<製造例1>〔樹脂粒子1の作製〕
イオン交換水4000質量部と、分散安定剤としてコロイダルシリカ9質量部及びポリビニルピロリドン0.15質量部を添加し、水性混合液を調製した。次いで、重合性単量体としてアクリロニトリル50質量部、メタクリロニトリル45質量部及び、メチルメタクリレート5質量部と、内包物質としてノルマルヘキサン12.5質量部と、重合開始剤としてジクミルパーオキシド0.75質量部からなる油性混合液を調製した。この油性混合液を、前記水性混合液に添加し、更に水酸化ナトリウム0.4質量部を添加することにより、分散液を調製した。
【0068】
得られた分散液をホモジナイザーを用いて3分間攪拌混合し、窒素置換した重合反応容器内へ仕込み、200rpmの撹拌下、60℃で20時間反応させることにより、反応生成物を調製した。得られた反応生成物について、ろ過と水洗を繰り返した後、80℃で5時間乾燥して樹脂粒子を作製した。得られた樹脂粒子を音波式分級機により解砕して分級することによって、平均粒径12μmの樹脂粒子1を得た。
【0069】
<製造例2>〔樹脂粒子2の作製〕
コロイダルシリカの添加部数を4.5質量部に変更した以外は製造例1と同様の方法で樹脂粒子を作製した。また同様に分級して平均粒径50μmの樹脂粒子2を得た。
<製造例3>〔樹脂粒子3の作製〕
製造例2で分級した粒経違いの平均粒径60μmの粒子を樹脂粒子3とした。
<製造例4>〔樹脂粒子4の作製〕
製造例1で分級した粒経違いの平均粒径18μmの粒子を樹脂粒子4とした。
<製造例5>〔樹脂粒子5の作製〕
製造例1で分級した粒経違いの平均粒径10μmの粒子を樹脂粒子5とした。
【0070】
<製造例6>〔樹脂粒子6の作製〕
製造例2で分級した粒経違いの平均粒径40μmの粒子を樹脂粒子6とした。
<製造例7>〔樹脂粒子7の作製〕
製造例1で分級した粒経違いの平均粒径15μmの粒子を樹脂粒子7とした。
<製造例8>〔樹脂粒子8の作製〕
重合性単量体をアクリロニトリル80質量部及びメチルメタクリレート20質量部に変更した以外は、製造例2と同様の方法で樹脂粒子を作製し、分級して、平均粒径30μmの樹脂粒子8を得た。
<製造例9>〔樹脂粒子9の作製〕
コロイダルシリカの添加部数を9質量部に変更した以外は製造例8と同様にして、樹脂粒子を作製し、分級して、平均粒径10μmの樹脂粒子9を得た。
【0071】
<製造例10>〔樹脂粒子10の作製〕
製造例9で分級した粒経違いの平均粒径15μmの粒子を樹脂粒子10とした。
<製造例11>〔樹脂粒子11の作製〕
製造例8で分級した粒経違いの平均粒径50μmの粒子を樹脂粒子11とした。
<製造例12>〔樹脂粒子12の作製〕
製造例1において、重合性単量体をメタクリロニトリル45質量部及びメチルアクリレート55質量部に変更した以外は、製造例1と同様の方法で樹脂粒子を作製し、分級して、平均粒径25μmの樹脂粒子12を得た。
<製造例13>〔樹脂粒子13の作製〕
製造例12で分級した粒経違いの平均粒径15μmの粒子を樹脂粒子13とした。
【0072】
<製造例14>〔樹脂粒子14の作製〕
コロイダルシリカの添加部数を4.5質量部に変更した以外は製造例12と同様にして、樹脂粒子を作製し、分級して、平均粒径30μmの樹脂粒子14を得た。
<製造例15>〔樹脂粒子15の作製〕
製造例14で分級した粒経違いの平均粒径40μmの粒子を樹脂粒子15とした。
<製造例16>〔樹脂粒子16の作製〕
重合性単量体をアクリルアミド45質量部及び、メタクリルアミド55質量部に変更した以外は、製造例2と同様の方法で樹脂粒子を作製し、分級して、平均粒径40μmの樹脂粒子16を得た。
【0073】
<製造例17>〔樹脂粒子17の作製〕
製造例16で分級した粒経違いの平均粒径45μmの粒子を樹脂粒子17とした。
<製造例18>〔樹脂粒子18の作製〕
製造例16で分級した粒経違いの平均粒径30μmの粒子を樹脂粒子18とした。
<製造例19>〔樹脂粒子19の作製〕
重合性単量体をアクリロニトリル37.5質量部及び、メタクリルアミド62.5質量部に変更した以外は、製造例1と同様の方法で樹脂粒子を作製し、分級して、平均粒径8μmの樹脂粒子19を得た。
<製造例20>〔樹脂粒子20の作製〕
製造例19で分級した粒経違いの平均粒径20μmの粒子を樹脂粒子20とした。
【0074】
<製造例21>〔樹脂粒子21の作製〕
製造例19で分級した粒経違いの平均粒径25μmの粒子を樹脂粒子21とした。
<製造例22>〔樹脂粒子22の作製〕
製造例1において、重合性単量体をメタクリロニトリル50質量部及び、アクリルアミド50質量部に変更した以外は、製造例1と同様の方法で樹脂粒子を作製し、分級して、平均粒径20μmの樹脂粒子22を得た。
<製造例23>〔樹脂粒子23の作製〕
コロイダルシリカの添加部数を4.5質量部に変更した以外は製造例22と同様にして、樹脂粒子を作製し、分級して、平均粒径30μmの樹脂粒子23を得た。
【0075】
<製造例24>〔樹脂粒子24の作製〕
重合性単量体をメチルメタクリレート60質量部及び、アクリルアミド40質量部に変更した以外は、製造例2と同様の方法で樹脂粒子を作製し、分級して、平均粒径40μmの樹脂粒子24を得た。
<製造例25>〔樹脂粒子25の作製〕
製造例24で分級した粒経違いの平均粒径50μmの粒子を樹脂粒子25とした。
<製造例26>〔樹脂粒子26の作製〕
コロイダルシリカの添加部数を18質量部に変更した以外は製造例24と同様にして、樹脂粒子を作製し、分級して、平均粒径10μmの樹脂粒子26を得た。
【0076】
<製造例27>〔樹脂粒子27の作製〕
重合性単量体をアクリルアミド100質量部に変更した以外は、製造例1と同様の方法で樹脂粒子を作製し、分級して、平均粒径8μmの樹脂粒子27を得た。
<製造例28>〔樹脂粒子28の作製〕
重合性単量体をアクリロニトリル100質量部に変更した以外は、製造例2と同様の方法で樹脂粒子を作製し、分級して、平均粒径50μmの樹脂粒子28を得た。
<製造例29>〔樹脂粒子29の作製〕
重合性単量体を塩化ビニリデン100質量部に変更した以外は、製造例2と同様の方法で樹脂粒子を作製し、分級して、平均粒径50μmの樹脂粒子29を得た。
【0077】
<製造例30>〔アクリロニトリルブタジエンゴムを用いた導電性ゴム組成物1の作製〕
アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)(商品名:N230SV、JSR社製)100質量部に対し下記4成分を加えて、50℃に調節した密閉型ミキサーにて15分間混練した。
・カーボンブラック(商品名:トーカブラック#7360SB、東海カーボン社製):48質量部、
・ステアリン酸亜鉛(商品名:SZ−2000、堺化学工業社製):1質量部、
・酸化亜鉛(商品名:亜鉛華2種、堺化学工業社製):5質量部、
・炭酸カルシウム(商品名:シルバーW、白石工業社製):20質量部。
【0078】
これに、樹脂粒子1を12質量部、加硫剤として硫黄1.2質量部、加硫促進剤としてテトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)(商品名:パーカシットTBzTD、フレキシス社製)4.5質量部を添加した。次いで、温度25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練し、導電性ゴム組成物1を作製した。
【0079】
<製造例31>〔スチレンブタジエンゴムを用いた導電性ゴム組成物2の作製〕
スチレンブタジエンゴム(SBR)(商品名:SBR1500、JSR社製)100質量部に対し下記6成分を加えて、80℃に調節した密閉型ミキサーにて15分間混練した。
・酸化亜鉛(製造例30と同様のもの):5質量部、
・ステアリン酸亜鉛(製造例30と同様のもの):2質量部、
・カーボンブラック(商品名:ケッチェンブラックEC600JD、ライオン社製):8質量部、
・カーボンブラック(商品名:シーストS、東海カーボン社製):40質量部、
・炭酸カルシウム(製造例30と同様のもの):15質量部、
・パラフィンオイル(商品名:PW380、出光興産社製):20質量部。
【0080】
これに、樹脂粒子6を20質量部、加硫剤として硫黄1質量部、加硫促進剤としてジベンゾチアジルスルフィド(DM)(商品名:ノクセラーDM、大内新興化学工業社製)1質量部、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TS)商品名:ノクセラーTS、大内新興化学工業社製)1質量部を添加した。次いで、温度25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練し、導電性ゴム組成物2を作製した。
【0081】
<製造例32>〔ブタジエンゴムを用いた導電性ゴム組成物3の作製〕
アクリロニトリルブタジエンゴムをブタジエンゴム(BR)「JSR BR01」(商品名、JSR社製)に変更し、カーボンブラックを30質量部に変更した。上記以外は、製造例30と同様にして、導電性ゴム組成物3を作製した。
【0082】
<製造例33>〔クロロプレンゴムを用いた導電性ゴム組成物4の作製〕
クロロプレンゴム(商品名:ショープレンWRT、昭和電工(株)製)75質量部に対し下記3成分を加えて、50℃に調節した密閉型ミキサーにて15分間混練した。
・NBR(商品名:ニッポール401LL、日本ゼオン(株)製):25質量部、
・ハイドロタルサイト(商品名:DHT−4A−2、協和化学工業(株)製):3質量部、
・第4級アンモニウム塩(商品名:KS−555、花王(株)製):5質量部。
【0083】
これに、樹脂粒子27を3部、加硫剤として硫黄0.5部、加硫促進剤としてエチレンチオウレア(商品名:アクセル22−S、川口化学工業(株)製)1.4質量部を添加し、温度20℃に冷却した二本ロール機で15分間混練し、導電性ゴム組成物4を作製した。
【0084】
<製造例34>〔複合導電性微粒子の作製〕
シリカ粒子(平均粒子径15nm、体積抵抗率1.8×1012Ω・cm)7000質量部に、メチルハイドロジェンポリシロキサン140質量部を、エッジランナーを稼動させながら添加し、588N/cm(60kg/cm)の線荷重で30分間混合攪拌した。この時の攪拌速度は22rpmであった。その中に、カーボンブラック「#52」(商品名、三菱化学社製)7000質量部を、エッジランナーを稼動させながら10分間かけて添加し、更に588N/cm(60kg/cm)の線荷重で60分間混合攪拌を行った。このようにしてメチルハイドロジェンポリシロキサンで被覆したシリカ粒子の表面にカーボンブラックを付着させた後、乾燥機を用いて80℃で60分間乾燥を行い、複合導電性微粒子1を作製した。この時の攪拌速度は22rpmであった。なお、得られた複合導電性微粒子は、平均粒径が15nmであり、体積抵抗率は1.1×102Ω・cmであった。
【0085】
<製造例35>〔表面処理酸化チタン粒子の作製〕
針状ルチル型酸化チタン粒子(平均粒径15nm、縦:横=3:1、体積抵抗率2.3×1010Ω・cm)1000質量部に、表面処理剤としてイソブチルトリメトキシシラン110質量部及び溶媒としてトルエン3000質量部を配合してスラリーを調製した。このスラリーを、攪拌機で30分間混合した後、有効内容積の80%が平均粒子径0.8mmのガラスビーズで充填されたビスコミルに供給し、温度35±5℃で湿式解砕処理を行った。湿式解砕処理して得たスラリーを、ニーダーを用いて減圧蒸留(バス温度:110℃、製品温度:30〜60℃、減圧度:約100Torr)によりトルエンを除去し、120℃で2時間表面処理剤の焼付け処理を行った。焼付け処理した粒子を室温まで冷却した後、ピンミルを用いて粉砕して、表面処理酸化チタン粒子1を作製した。
【0086】
<製造例36>〔導電性樹脂塗布液1の作製〕
カプロラクトン変性アクリルポリオール溶液「プラクセルDC2016」(商品名、ダイセル化学工業株式会社製)にメチルイソブチルケトンを加え、固形分が17質量%となるように調整した。この溶液1000質量部(アクリルポリオール固形分100質量部)に対して、下記成分を加え、混合溶液を調整した。
・複合導電性微粒子(製造例34で作製):45質量部、
・表面処理酸化チタン粒子(製造例35で作製):20質量部、
・変性ジメチルシリコーンオイル(*1):0.08質量部、
・ブロックイソシアネート混合物(*2):80.14質量部、
このとき、ブロックイソシアネート混合物は、イソシアネート量としては「NCO/OH=1.0」となる量であった。
(*1)変性ジメチルシリコーンオイル「SH28PA」(商品名、東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社製)
(*2)ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)とイソホロンジイソシアネート(IPDI)の各ブタノンオキシムブロック体の7:3混合物。
【0087】
内容積450mLのガラス瓶に上記混合溶液200gを、メディアとしての平均粒径0.8mmのガラスビーズ200gと共に入れ、ペイントシェーカー分散機を用いて24時間分散した。次に、樹脂粒子1をアクリルポリオール固形分100質量部に対して、5質量部添加した。その後5分間分散しガラスビーズを除去して導電性樹脂塗布液1を作製した。
【0088】
<製造例37>〔導電性樹脂塗布液2の作製〕
樹脂粒子1を樹脂粒子18に変更した以外は、製造例36と同様にして、導電性樹脂塗布液2を作製した。
【0089】
<実施例1>
実施例1は、図(1a)に示したように、導電性基体上に導電性樹脂層を有している帯電ローラにかかるものである。
【0090】
〔導電性基体〕
直径6mm、長さ252.5mmのステンレス製基体に、カーボンブラックを10質量%含有させた熱硬化性接着剤を塗布し、乾燥したものを導電性基体として使用した。
【0091】
〔導電性樹脂層の形成〕
図7に示すクロスヘッドを具備する押出成形装置を用いて、導電性基体を中心軸として、同軸上に円筒状に製造例30で作製した導電性ゴム組成物1を被覆した。被覆したゴム組成物の厚みは、1.75mmに調整した。なお、図7において、36は導電性気体、37は送りローラ、38は押出機、40はクロスヘッド、41は押出後のローラを示している。
【0092】
押出後のローラを、熱風炉にて160℃で1時間加熱したのち、ゴム組成物の層の両端部を除去して、長さを224.2mmとし、更に、160℃で1時間2次加熱を行い、厚さが3.5mmのゴム組成物からなる予備被覆層を有するローラを作成した。
【0093】
得られたローラの外周面を、プランジカット式の円筒研磨機を用いて研磨した。研磨砥石としてビトリファイド砥石を用い、砥粒は緑色炭化珪素(GC)で粒度は100メッシュとした。ローラの回転数を350rpmとし、研磨砥石の回転数を2050rpmとした。ローラの回転方向と研磨砥石の回転方向は、同方向(従動方向)とした。切込み速度を20mm/minとし、スパークアウト時間(切込み0mmでの時間)を0秒と設定して研磨を行い、導電性樹脂層を有するローラ1を作製した。樹脂層の厚みは、3mmに調整した。なお、このローラのクラウン量(中央部と中央部から90mm離れた位置の外径の差)は120μmであった。
【0094】
〔ボウル形状の樹脂粒子への亀裂の形成〕
ローラ1に対して、以下の条件で表面を電子線照射により処理を行い、帯電ローラ1を得た。電子線の照射には、最大加速電圧150kV、最大電子電流40mAの電子線照射装置(岩崎電気株式会社製)を用い、照射時には窒素ガスパージを行った。処理条件は加速電圧:125kV、電子電流:35mA、処理速度:1.27m/min、酸素濃度:100ppmであった。本電子線照射装置の加速電圧125kVにおける装置定数は36.2であり、前記式(1)より算出される線量は1000kGyである。
【0095】
〔評価結果〕
帯電ローラ1の電気抵抗値は1.2×105Ωであった。また帯電ローラ1の表面粗さRzjisは35μmであり、平均凹凸間隔Smは80μmであった。結果を表1に示す。
【0096】
帯電ローラ1の表面のボウル形状の樹脂粒子の形状を測定した。最大径は50μm、開口部の最小径は32μm、外径と内径の差は0.5μmであった。結果を表3に示す。帯電ローラ1の表面には、ボウル形状の樹脂粒子由来の凸部及び凹部が形成されていた。凸部の頂点と凹部の底部との高低差は、38μmであった。また、ボウル形状の樹脂粒子は底部において亀裂を有しており、そこから導電性樹脂層が露出していることを確認できた。結果を表3に示す。また以下の方法による耐久評価1及び耐久評価2の結果は共に良好であった。結果を表5及び6に示す。尚、表1〜表8には、後述の実施例2〜57及び比較例1〜7の測定結果、評価結果を示す。
【0097】
〔耐久評価1〕
図6に示す構成を有する電子写真装置である日本ヒューレットパッカート社製モノクロレーザープリンタ(「LaserJet P4515n」(商品名))を使用し、外部より、帯電部材に電圧を印加した。印加する電圧は、交流電圧として、ピークピーク電圧(Vpp)を1800V、周波数(f)を2930Hz、直流電圧(Vdc)を−600Vとした。画像の解像度は、600dpiで出力した。なお、プロセスカートリッジとして、上記プリンタ用のプロセスカートリッジを用いた。上記プロセスカートリッジから付属の帯電ローラを取り外し、作製した帯電ローラ1をセットした。また、帯電ローラ1は、電子写真感光体に対し、一端で4.9N、両端で合計9.8Nのバネによる押し圧力で当接させた。帯電ローラ1を、上記プロセスカートリッジにセットしこのプロセスカートリッジを15℃/10%RH環境(環境1)、温度23℃/湿度50%RH環境(環境2)及び温度32.5℃/湿度80%RH環境(環境3)の3つの環境に24時間馴染ませた。その後、各々の環境にて耐久評価を行った。具体的には、電子写真感光体の回転方向と垂直方向に幅2ドット、間隔176ドットの横線画像を2枚間欠耐久試験(2枚ごとにプリンタの回転を3秒停止して耐久)を行った。その途中(18千枚終了時、24千枚終了時、30千枚終了時、36千枚終了時)で、ハーフトーン画像(電子写真感光体の回転方向と垂直方向に幅1ドット、間隔2ドットの横線を描く画像)を、出力し、評価した。なお、評価は、ハーフトーン画像を目視にて観察し、前述した、ポチ状画像、横スジ状画像、及び縦スジ状画像を、下記基準で判定した。
ランク1;ポチ状画像、横スジ状画像、縦スジ状画像は発生しない。
ランク2;軽微なポチ状画像、横スジ状画像、縦スジ画像が認められるのみである。
ランク3;ポチ状画像、横スジ状画像が帯電ローラのピッチで確認でき、一部に縦スジ画像が確認できる。
ランク4;ポチ状画像、横スジ状画、縦スジ状画像が目立つ。
【0098】
〔耐久評価2〕
図6に示す構成を有する電子写真装置であるヒューレットパッカート社製モノクロレーザープリンタ(「LaserJet P4014n」(商品名))を使用し、外部より、帯電部材に電圧を印加した。1次帯電の出力は直流電圧−1100V、画像の解像度は、600dpiとした。プロセスカートリッジとして、上記プリンタ用のプロセスカートリッジを用いた。その途中(6千枚終了時、9千枚終了時、12千枚終了時、15千枚終了時)での画像を出力とした以外は、耐久評価1と同様にして、評価を行った。本実施例の帯電部材においては、ポチ状画像、横スジ状画像、縦スジ状画像が発生せず、好な画像が得られた。
【0099】
<実施例2〜9>
樹脂粒子の種類と添加部数を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、帯電ローラ2〜9を作製した。
【0100】
<実施例10>
導電性ゴム組成物1を、製造例31において作成した導電性ゴム組成物2に変更し、実施例1と同様にして弾性ローラ10を作製した。この際、切込み速度を30mm/minに変更した。弾性ローラ10に対し、表面を電子線照射により処理を行い、帯電ローラ10を作製した。電子線照射条件は実施例1と同条件とした。
【0101】
<実施例11>
導電性ゴム組成物1を、製造例32において作成した導電性ゴム組成物3に変更し、実施例1と同様にして、弾性ローラ11を作製した。弾性ローラ11に対し、表面を電子線照射により処理を行い、帯電ローラ11を作製した。電子線照射条件は実施例1と同条件とした。
【0102】
<実施例12>
ボウル形状の樹脂粒子への亀裂の形成時に、加速電圧を80kV、電子電流を20mA、処理速度を1.36m/minに変更した以外は実施例1と同様にして、帯電ローラ12を作製した。本電子線照射装置の加速電圧80kVにおける装置定数は20.4であり、前記数式(1)より算出される線量は300kGyであった。
【0103】
<実施例13>
ボウル形状の樹脂粒子への亀裂の形成時に、処理速度を0.41m/minに変更した以外は実施例12と同様にして、帯電ローラ13を作製した。前記数式(1)より算出される線量は1000kGyであった。
【0104】
<実施例14>
ボウル形状の樹脂粒子への亀裂の形成時に、電子電流を20mA、処理速度を1.45m/minに変更した以外は実施例1と同様にして、帯電ローラ14を作製した。前記数式(1)より算出される線量は500kGyであった。
【0105】
<実施例15>
ボウル形状の樹脂粒子への亀裂の形成時に、加速電圧を150kV、電子電流を20mA、処理速度を1.51m/minに変更した以外は実施例1と同様にして、帯電ローラ15を作製した。本電子線照射装置の加速電圧150kVにおける装置定数は37.8であり、前記数式(1)より算出される線量は1000kGyであった。
【0106】
<実施例16>
ボウル形状の樹脂粒子への亀裂の形成時に、処理速度を0.76m/minに変更した以外は実施例15と同様にして、帯電ローラ16を作製した。前記数式(1)より算出される線量は1000kGyであった。
【0107】
<実施例17>
ボウル形状の樹脂粒子への亀裂の形成時に、電子電流を35mA、処理速度を0.66m/minに変更した以外は実施例15と同様にして、帯電ローラ17を作製した。前記数式(1)より算出される線量は2000kGyであった。
【0108】
<実施例18>
樹脂粒子1を樹脂粒子8に変更し、スパークアウト時間を1秒に変更した以外は実施例1と同様にして、帯電ローラ18を作製した。
【0109】
<実施例19>
樹脂粒子6を樹脂粒子8に変更し、添加部数を12質量部に変更し、スパークアウト時間を1秒に変更した以外は、実施例10と同様にして、帯電ローラ19を作製した。
【0110】
<実施例20>
樹脂粒子6を樹脂粒子9に変更し、切込み速度を10mm/min、スパークアウト時間を1秒に変更した以外は、実施例10と同様にして、帯電ローラ19を作製した。
【0111】
<実施例21及び22>
樹脂粒子の種類と添加部数を表1に示すように変更した以外は、実施例20と同様にして、帯電ローラ21及び22を作製した。
【0112】
<実施例23>
樹脂粒子1を樹脂粒子8に変更し、スパークアウト時間を1秒に変更した以外は、実施例11と同様にして、帯電ローラ23を作製した。
【0113】
<実施例24〜28>
樹脂粒子の種類と添加部数を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、帯電ローラ24〜28を作製した。
【0114】
<実施例29>
樹脂粒子1を樹脂粒子13に変更し、添加部数を10質量部に変更し、切込み速度を10mm/min、スパークアウト時間を2秒に変更した以外は、実施例1と同様にして、帯電ローラ29を作製した。
【0115】
<実施例30>
樹脂粒子6を樹脂粒子14に変更し、添加部数を15質量部に変更し、スパークアウト時間を2秒に変更した以外は実施例10と同様にして、帯電ローラ30を作製した。
【0116】
<実施例31>
樹脂粒子6を樹脂粒子13に変更し、添加部数を10質量部に変更し、切込み速度を10mm/min、スパークアウト時間を2秒に変更した以外は実施例10と同様にして、帯電ローラ31を作製した。
【0117】
<実施例32>
樹脂粒子6を樹脂粒子15に変更し、添加部数を10質量部に変更し、切込み速度を10mm/min、スパークアウト時間を2秒に変更した以外は実施例10と同様にして、帯電ローラ32を作製した。
【0118】
<実施例33>
樹脂粒子1を樹脂粒子6に変更し、添加部数を5質量部に変更し、切込み速度を10mm/min、スパークアウト時間を3秒に変更した以外は、実施例1と同様にして、帯電ローラ33を作製した。
【0119】
<実施例34>
樹脂粒子6の添加部数を10質量部に変更し、切込み速度を20mm/minに変更した以外は、実施例10と同様にして、帯電ローラ34を作製した。
【0120】
<実施例35>
樹脂粒子6を樹脂粒子1に変更し、添加部数を8質量部に変更し、切込み速度を10mm/min、スパークアウト時間を1秒に変更した以外は実施例10と同様にして、帯電ローラ35を作製した。
【0121】
<実施例36>
樹脂粒子6を樹脂粒子16に変更し、添加部数を12質量部に変更し、切込み速度を20mm/minに変更した以外は実施例10と同様にして、帯電ローラ36を作製した。
【0122】
<実施例37>
樹脂粒子1を樹脂粒子16に変更し、添加部数を9質量部に変更し、切込み速度を10mm/min、スパークアウト時間を1秒に変更した以外は実施例1と同様にして、帯電ローラ37を作製した。
【0123】
<実施例38>
樹脂粒子の種類と添加部数を表1に示すように変更した以外は、実施例37と同様にして、帯電ローラ38を作製した。
【0124】
<実施例39>
樹脂粒子6を樹脂粒子18に変更し、添加部数を9質量部に変更し、切込み速度を10mm/min、スパークアウト時間を2秒に変更した以外は実施例10と同様にして、帯電ローラ39を作製した。
【0125】
<実施例40>
樹脂粒子の種類と添加部数を表1に示すように変更した以外は、実施例39と同様にして、帯電ローラ40を作製した。
【0126】
<実施例41>
樹脂粒子1を樹脂粒子20に変更し、添加部数を9質量部に変更し、切込み速度を5mm/min、スパークアウト時間を2秒に変更した以外は、実施例1と同様にして、帯電ローラ41を作製した。
【0127】
<実施例42>
樹脂粒子の種類と添加部数を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、帯電ローラ42を作製した。
【0128】
<実施例43>
ボウル形状の樹脂粒子への亀裂の形成時に、加速電圧を80kV、電子電流を20mA、処理速度を1.36m/minに変更した以外は実施例1と同様にして帯電ローラ43を作製した。本電子線照射装置の加速電圧80kVにおける装置定数は20.4であり、前記数式(1)より算出される線量は300kGyであった。
【0129】
<実施例44>
ボウル形状の樹脂粒子への亀裂の形成時に、処理速度を0.41m/minに変更した以外は実施例43と同様にして、帯電ローラ44を作製した。前記数式(1)より算出される線量は1000kGyであった。
【0130】
<実施例45>
ボウル形状の樹脂粒子への亀裂の形成時に、電子電流を20mA、処理速度を1.45m/minに変更した以外は実施例42と同様にして、帯電ローラ45を作製した。前記数式(1)より算出される線量は500kGyであった。
【0131】
<実施例46>
ボウル形状の樹脂粒子への亀裂の形成時に、加速電圧を150kV、電子電流を20mA、処理速度を1.51m/minに変更した以外は実施例42と同様にして、帯電ローラ46を作製した。本電子線照射装置の加速電圧150kVにおける装置定数は37.8であり、前記数式(1)より算出される線量は1000kGyであった。
【0132】
<実施例47>
ボウル形状の樹脂粒子への亀裂の形成時に、処理速度を0.76m/minに変更した以外は実施例46と同様にして、帯電ローラ47を作製した。前記数式(1)より算出される線量は1000kGyであった。
【0133】
<実施例48>
ボウル形状の樹脂粒子への亀裂の形成時に、電子電流を35mA、処理速度を0.66m/minに変更した以外は実施例46と同様にして、帯電ローラ48を作製した。前記数式(1)より算出される線量は2000kGyであった。
【0134】
<実施例49>
樹脂粒子6を樹脂粒子22に変更し、添加部数を7質量部に変更し、切込み速度を5mm/min、スパークアウト時間を3秒に変更した以外は、実施例10と同様にして、帯電ローラ49を作製した。
【0135】
<実施例50>
樹脂粒子1を樹脂粒子23に変更し、添加部数を8質量部に変更し、切込み速度を10mm/min、スパークアウト時間を2秒に変更した以外は、実施例11と同様にして、帯電ローラ50を作製した。
【0136】
<実施例51>
樹脂粒子1を樹脂粒子23に変更し、添加部数を20質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、帯電ローラ51を作製した。
【0137】
<実施例52>
樹脂粒子1を樹脂粒子24に変更し、添加部数を15質量部に変更し、スパークアウト時間を2秒に変更した以外は、実施例1と同様にして、帯電ローラ52を作製した。
【0138】
<実施例53〜55>
樹脂粒子の種類と添加部数を表1に示すように変更した以外は、実施例11と同様にして、帯電ローラ53〜55を作製した。
【0139】
<実施例56>
実施例56は、導電性基体上に導電性弾性層および導電性樹脂層をこの順に有する帯電ローラにかかるものである。
【0140】
〔導電性弾性層及び導電性樹脂層の形成〕
導電性ゴム組成物1から樹脂粒子1を除いた導電性ゴム組成物を用いた以外は、実施例1の導電性樹脂層の製法と同様にして導電性弾性層を有するローラ56を作製した。上記の導電性ゴム組成物を導電性基体に被覆する際、導電性ゴム組成物の厚みは、3.25mmになるよう調整した。次いで、導電性樹脂塗布液1をローラ56の周面に1回ディッピング塗布した。常温で30分間風乾した後、熱風循環乾燥機にて温度80℃で1時間、更に温度160℃で1時間乾燥した。ここで、ディッピング塗布は以下の通りである。浸漬時間9秒、ディッピング塗布引き上げ速度は、初期速度20mm/s、最終速度2mm/s、その間は時間に対して直線的に速度を変化させて行った。なお、導電性樹脂塗布液1により形成した、導電性樹脂層の膜厚は、10μmであった。続いて、得られたローラをテープ研磨法により研磨した。研磨装置は、フィルム方式超仕上げ装置スーパーフィニッシャーSP100型(松田精機株式会社製)を使用した。研磨テープとしては、ラッピングフィルム(住友スリーエム社株式会社製、研磨砥粒:酸化アルミニウム、平均粒径:12μm(#1200))を使用した。研磨テープのローラ長手方向の移動速度を、200mm/min、ローラの回転数を500rpm、研磨テープの押し当て圧を0.2MPa、研磨テープの送り速度を、40mm/min、揺動速度(オシレーション)を500サイクル/minとした。研磨テープとローラの回転方向は反対方向(カウンターの方向)とし、導電性樹脂層を有する弾性ローラ56を作製した。
〔ボウル形状の樹脂粒子への亀裂の形成〕
実施例1と同様の条件で表面を電子線照射処理し、帯電ローラ56を作製した。
【0141】
<実施例57>
導電性樹脂塗布液1を導電性樹脂塗布液2に変更した以外は、実施例56と同様にして、帯電ローラ57を作製した。
【0142】
<比較例1>
導電性ゴム組成物を、製造例33において作製した導電性ゴム組成物4に変更し、実施例1と同様にして、弾性ゴムローラ58を作製した。この際、切込み速度は砥石が未研磨ローラに接してからφ12に成形されるまでに10mm/minから0.1mm/minまで段階的に変化する条件に変更し、スパークアウト時間は10秒に変更した。弾性ローラ58に対し、電子線照射により表面処理を行い、帯電ローラ58を作製した。電子線照射条件は実施例1と同条件とした。帯電ローラ58は、ローラ表面に凸部を有していなかった。
【0143】
<比較例2>
樹脂粒子27を樹脂粒子44に変更し、添加部数を5質量部に変更した以外は、比較例1と同様にして、帯電ローラ59を作製した。帯電ローラ59はローラ表面に凸部を有していなかった。
【0144】
<比較例3>
樹脂粒子1を樹脂粒子45に変更し、添加部数を3質量部に変更し、研磨条件を比較例1と同条件に変更した以外は、実施例1と同様にして、帯電ローラ60を作製した。帯電ローラ60は、ローラ表面に凸部を有していなかった。
【0145】
<比較例4>
電子線照射を行わなかった以外は実施例1と同様にして、帯電ローラ61を作製した。
【0146】
<比較例5>
樹脂粒子1を添加せず、発泡剤としてADCA(アゾジカルボンアミド)15質量部を添加した以外は実施例1と同様にして、帯電ローラ61を作製した。
【0147】
<比較例6>
樹脂粒子1を添加しない以外は実施例1と同様にして、帯電ローラ63を作製した。
【0148】
<比較例7>
樹脂粒子1を添加しない以外は実施例11と同様にして、帯電ローラ64を作製した。
【0149】
【表1】

【0150】
【表2】

【0151】
【表3】

【0152】
【表4】

【0153】
【表5】

【0154】
【表6】

【0155】
【表7】

【0156】
【表8】

【符号の説明】
【0157】
1 導電性基体
2 導電性弾性層
3 導電性樹脂層
5 帯電部材(帯電ローラ)
31 導電性樹脂層
61 ボウル形状の樹脂粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性基体および表面層としての導電性樹脂層を有する帯電部材であって、
該導電性樹脂層はバインダーと導電性微粒子とボウル形状の樹脂粒子とを含有しており、
一部の該ボウル形状の樹脂粒子は、該帯電部材の表面に露出しており、
該帯電部材の表面は、該帯電部材の表面に露出している該ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部および該ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部とを有しており、かつ、該帯電部材の表面に露出している該ボウル形状の樹脂粒子は底部に亀裂を有しており、該亀裂において該導電性樹脂層が該帯電部材の表面に通じていることを特徴とする帯電部材。
【請求項2】
請求項1に記載の帯電部材と、該帯電部材と接触して配置されている電子写真感光体とが一体化され、電子写真装置の本体に着脱自在に構成されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項3】
請求項1に記載の帯電部材と、該帯電部材と接触して配置されている電子写真感光体とを有することを特徴とする電子写真装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−237470(P2011−237470A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105965(P2010−105965)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】