説明

帽子

【課題】繰り返し水に濡らして使用しても、吸水性ポリマーシートがボロボロになったり片寄ったりせず、形状を確実に保持することができる帽子を提供する。
【解決手段】吸水性ポリマーシート1を不織布2にて包囲した帯状の吸水体Aを、ビン皮3の内部に収納し、吸水体Aとビン皮3とを位置ずれ防止縫製糸4にて縫製する。布片状の吸水体Aを、頂部域に配設する。首の後面を被覆する後方垂れ片部を備え、吸水体Aを、後方垂れ片部に配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帽子に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、以前、水を吸収して保持するための帯状の吸水性ポリマーシートをビン皮や垂れ布の内部に収納し、水で濡らして使用すると水が蒸発する際の気化熱により使用者の身体の吸水性ポリマー近傍を冷却する構成とした帽子を提案した(特許文献1参照)。
【0003】
しかし、特許文献1にて提案した帽子では、吸水性ポリマーシート21をそのままビン皮11等の内部に収納するのみだったので、繰り返し水で濡らし使用すると、図5に示すように、吸水性ポリマーシート21がビン皮11等の内部でボロボロになって片寄り、(帽子の内側からの)外観が悪くなるとともに、使用感も悪くなるという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3167051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする課題は、繰り返し水で濡らし使用すると、吸水性ポリマーシートがビン皮等の内部でボロボロになって片寄り、外観が悪くなるとともに、使用感も悪くなる点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明に係る帽子は、吸水性ポリマーシートを不織布にて包囲した帯状の吸水体を、ビン皮の内部に収納して、吸水体とビン皮とを位置ずれ防止縫製糸にて縫製したものである。
また、吸水性ポリマーシートを不織布にて包囲した布片状の吸水体を、頂部域に配設したものである。
また、首の後面を被覆する後方垂れ片部を備え、吸水性ポリマーシートを不織布にて包囲した吸水体を、後方垂れ片部に配設したものである。
【0007】
また、別体として作製した副クラウン体に吸水性ポリマーシートを不織布にて包囲した吸水体を、配設し、吸水体と副クラウン体とを位置ずれ防止縫製糸にて縫製するとともに、副クラウン体を帽子本体の内側に固着したものである。
また、吸水性ポリマーシートを不織布にて包囲した吸水体を、副クラウン体の前部域に配設したものである。
また、吸水性ポリマーシートを不織布にて包囲した吸水体を、副クラウン体の頂部域に配設したものである。
また、副クラウン体が後方垂れ片部を有し、吸水性ポリマーシートを不織布にて包囲した吸水体を、後方垂れ片部に配設したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の帽子によれば、繰り返し水に濡らして使用しても、形状を確実に保持することができる。すなわち、吸水性ポリマーシートがボロボロになったり片寄ったりしないので、長期にわたって美しい外観、心地良い使用感にて使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す底面図である。
【図2】要部拡大断面図である。
【図3】第2の実施の形態の副クラウン体を示す側面図である。
【図4】第2の実施の形態の組付状態を示した側面端面図である。
【図5】従来例を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1・図2は、本発明の第1の実施の形態を示し、この帽子は、水に濡らして水を吸水性ポリマーシート1に吸収させてからかぶると、水が蒸発する際、気化熱を奪い、身体(頭部)を冷却するものである。吸水性ポリマーシート1を不織布2にて包囲した帯状の吸水体Aが、ビン皮3の内部に収納される。「吸水性ポリマーシート」とは、複合繊維、天然繊維、合成パルプ等の不織布に、高吸水性ポリマー(SAP)を含有させたものである。
【0011】
吸水体Aとビン皮3とが位置ずれ防止縫製糸4にて縫製される。ビン皮3の上下方向中間位置にて縫製すると効率が良く好ましい。(なお、縫製糸4を2本以上としてビン皮3の長手方向に平行に設けても良い。)
【0012】
図3・図4は、第2の実施の形態を示す。帽子本体6とは別体として作製した副クラウン体5に吸水性ポリマーシート1を不織布2にて包囲した布片状(矩型等)の吸水体Aが、配設される。具体的には、副クラウン体5は首の後面を被覆する後方垂れ片部7を有し、吸水体Aが、副クラウン体5の前部域8、頂部域9、及び、後方垂れ片部7に配設される(図3では2点鎖線にて示すように配設される)。副クラウン体5には、通気性の良い素材を用いるのが好ましい。例えば、多数の通気小孔(図示省略)を有する通気性布体や、メッシュ素材等を用いる。副クラウン体5と帽子本体6とが2重になることによって使用時に頭がむれるのを防止することができる。
【0013】
吸水体Aと副クラウン体5とが位置ずれ防止縫製糸4にて縫製される。副クラウン体5が帽子本体6の内側に固着される。具体的には、例えば、副クラウン体5が帽子本体6の内側に、図4に示すように、縫製糸10にて縫着される。帽子本体6は、例えば、第1の実施の形態の帽子と同一の構成とする。
【0014】
なお、本発明は、設計変更可能であって、吸水体Aは帯状又は布片状が望ましいが、その形状は変更可能である。また、例えば、第1の実施の形態の帽子の頂部域にも吸水体Aを配設しても良い。あるいは、第1の実施の形態の帽子に後方垂れ片部7を設け、後方垂れ片部7に吸水体Aを配設しても良い。また、第2の実施の形態の副クラウン体5に吸水体Aを配設する位置を、前部域8、頂部域9、後方垂れ片部7のうち、1箇所又は2箇所とするも良い。また、第2の実施の形態の副クラウン体5を面状ファスナーにて帽子本体6に着脱自在に固着しても良い(図示省略)。また、第2の実施の形態の帽子本体6を第1の実施の形態の帽子以外の帽子とするも良い。例えば、帽子本体6を従来の帽子と同一のものとしても良い。また、第1の実施の形態では、クラウン部が頂部から放射状に縫製したキャップを図示したが、クラウン部の縫製方法が異なるものであっても良い。例えば、前後方向に縫製したキャップであっても良い。また、全体がキャップ以外の帽子であっても良い。例えば、ハット、バイザー等であっても良い。
【0015】
以上のように、本発明は、吸水性ポリマーシート1を不織布2にて包囲した帯状の吸水体Aを、ビン皮3の内部に収納して、吸水体Aとビン皮3とを位置ずれ防止縫製糸4にて縫製したので、繰り返し水に濡らして使用しても、形状を確実に保持することができる。すなわち、吸水性ポリマーシート1がボロボロになったり片寄ったりしないので、長期にわたって美しい外観、心地良い使用感にて使用することができる。特に、吸水性ポリマーシート1を不織布2にて包囲するのみでも保形性が良くなるところ、位置ずれ防止縫製糸4にて吸水体Aとビン皮3とを縫製したので、より一層確実に形状を保持することができる。
【0016】
また、吸水性ポリマーシート1を不織布2にて包囲した布片状の吸水体Aを、頂部域に配設したので、使用時に頭部の頂部域を冷却することができる。
また、首の後面を被覆する後方垂れ片部7を備え、吸水性ポリマーシート1を不織布2にて包囲した吸水体Aを、後方垂れ片部7に配設したので、使用時に首の後面を冷却することができる。
【0017】
また、別体として作製した副クラウン体5に吸水性ポリマーシート1を不織布2にて包囲した吸水体Aを、配設し、吸水体Aと副クラウン体5とを位置ずれ防止縫製糸4にて縫製するとともに、副クラウン体5を帽子本体6の内側に固着したので、繰り返し水に濡らして使用しても、形状を確実に保持することができる。すなわち、吸水性ポリマーシート1がボロボロになったり片寄ったりしないので、長期にわたって美しい外観、心地良い使用感にて使用することができる。特に、吸水性ポリマーシート1を不織布2にて包囲するのみでも保形性が良くなるところ、位置ずれ防止縫製糸4にて吸水体Aと副クラウン体5とを縫製したので、より一層確実に形状を保持することができる。また、帽子本体6の外側から見える縫製糸を少なくすることができ、外観が美しい。
【0018】
また、吸水性ポリマーシート1を不織布2にて包囲した吸水体Aを、副クラウン体5の前部域8に配設したので、使用時に頭部の前部域(額部分)を冷却することができる。
また、吸水性ポリマーシート1を不織布2にて包囲した吸水体Aを、副クラウン体5の頂部域9に配設したので、使用時に頭部の頂部域を冷却することができる。
また、副クラウン体5が後方垂れ片部7を有し、吸水性ポリマーシート1を不織布2にて包囲した吸水体Aを、後方垂れ片部7に配設したので、使用時に首の後面を冷却することができる。
【符号の説明】
【0019】
1 吸水性ポリマーシート
2 不織布
3 ビン皮
4 位置ずれ防止縫製糸
5 副クラウン体
6 帽子本体
7 後方垂れ片部
8 前部域
9 頂部域
A 吸水体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水性ポリマーシート(1)を不織布(2)にて包囲した帯状の吸水体(A)を、ビン皮(3)の内部に収納して、上記吸水体(A)と上記ビン皮(3)とを位置ずれ防止縫製糸(4)にて縫製したことを特徴とする帽子。
【請求項2】
吸水性ポリマーシート(1)を不織布(2)にて包囲した布片状の吸水体(A)を、頂部域(9)に配設した請求項1記載の帽子。
【請求項3】
首の後面を被覆する後方垂れ片部(7)を備え、吸水性ポリマーシート(1)を不織布(2)にて包囲した吸水体(A)を、上記後方垂れ片部(7)に配設した請求項1又は2記載の帽子。
【請求項4】
別体として作製した副クラウン体(5)に吸水性ポリマーシート(1)を不織布(2)にて包囲した吸水体(A)を、配設し、上記吸水体(A)と上記副クラウン体(5)とを位置ずれ防止縫製糸(4)にて縫製するとともに、上記副クラウン体(5)を帽子本体(6)の内側に固着したことを特徴とする帽子。
【請求項5】
吸水性ポリマーシート(1)を不織布(2)にて包囲した吸水体(A)を、上記副クラウン体(5)の前部域(8)に配設した請求項4記載の帽子。
【請求項6】
吸水性ポリマーシート(1)を不織布(2)にて包囲した吸水体(A)を、上記副クラウン体(5)の頂部域(9)に配設した請求項4又は5記載の帽子。
【請求項7】
上記副クラウン体(5)が後方垂れ片部(7)を有し、吸水性ポリマーシート(1)を不織布(2)にて包囲した吸水体(A)を、上記後方垂れ片部(7)に配設した請求項4,5又は6記載の帽子。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−28886(P2013−28886A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167259(P2011−167259)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(301015967)株式会社コカジ (4)