平面型アンテナ
【課題】M型アンテナを基本構造とし、放射電極部22を接地板10から離す高さを大きくせずに、また平面形状を大きくせずに、共振周波数を低くすることができる平面型アンテナを提供する。
【解決手段】接地板10から離してしかも平行に平板状の放射電極部22を設け、放射電極部22の平面外形の中央部に給電ピン14を電気的接続し、給電ピン14の配設位置を中心として対称の位置で放射電極部22の平面外形の外縁部を接地板10に電気的に短絡するように一対のショートピン16を設け、給電ピン14の配設位置とショートピン16の配設位置の間を結ぶ直線を遮るように放射電極部22に切り欠き24を設ける。給電ピン14とショートピン16の間の電流経路が直線で結ぶ距離よりも長くなり、共振周波数を低くできる。もって、小型で低背なアンテナとして好適である。
【解決手段】接地板10から離してしかも平行に平板状の放射電極部22を設け、放射電極部22の平面外形の中央部に給電ピン14を電気的接続し、給電ピン14の配設位置を中心として対称の位置で放射電極部22の平面外形の外縁部を接地板10に電気的に短絡するように一対のショートピン16を設け、給電ピン14の配設位置とショートピン16の配設位置の間を結ぶ直線を遮るように放射電極部22に切り欠き24を設ける。給電ピン14とショートピン16の間の電流経路が直線で結ぶ距離よりも長くなり、共振周波数を低くできる。もって、小型で低背なアンテナとして好適である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型でしかも低背な平面型アンテナ、また設置スペースを大きくすることなしに別のアンテナを配設することのできる平面型アンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の低背の平面型アンテナとして、平板状の放射電極部を有するM型アンテナが知られている。このM型アンテナを応用した技術が特開平05−136625号公報に示されている。
【特許文献1】特開平05−136625号公報
【0003】
このM型アンテナの構造の一例を図35ないし図37を参照して簡単に説明する。図35は、従来のM型アンテナの一例の外観斜視図である。図36は、図35の構造のM型アンテナのVSWR特性図である。図37は、図35の構造で接地板から放射電極部までの高さ寸法を31mmとした場合のVSWR特性図である。図35に示す従来のM型アンテナの構造は、接地板10から離してしかも平行に平板状の導電板からなり平面外形が正方形の放射電極部12が配設され、その平面形状の略中央部に給電ピン14が接地板10側から立ち上げられて電気的接続される。そして、この給電ピン14が配設された位置を中心として略対称な位置で、放射電極部12の正方形の平面外形の対向する2辺の略外縁部の中央の位置を接地板10に電気的に短絡させるように一対のショートピン16、16が設けられる。なお、給電ピン14は、接地板10に電気的接続されないことは勿論である。放射電極部12の正方形の一辺の寸法を84mmとし、接地板10からの高さを25mmとすると、図36に示すごとく、その共振周波数として約900MHzが得られた。また、放射電極部12の一辺の寸法を同じ84mmのままとして、接地板10からの高さを31mmとより高くすると、図37に示すごとく、その共振周波数として885MHzが得られた。この885MHzは、携帯電話に用いられる周波数帯の1つであるPDC800MHz帯の中心周波数である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のごとき従来構造のM型アンテナにあっては、接地板10から放射電極部12を離す高さ寸法が大きいほど、共振周波数が低いものとなる。このM型アンテナの電流分布のシミュレーションにおいて、放射電極部12のショートピン16、16が設けられていない辺部にあってはほとんど電流が流れておらず、給電ピン14とショートピン16、16に強く電流が流れて同相モードで共振していることが明らかとなった。そこで、接地板10から放射電極部12を離す高さを大きくするほど、給電ピン14とショートピン16、16の寸法も長くなり、当然に電流経路が長くなって共振周波数が低いものとなることが理解し得る。
【0005】
しかるに、共振周波数を低くするためには、接地板10から放射電極部12を離す高さを大きくしなければならず、薄型、低背が求められる近年の電子機器筐体に、このようなアンテナを組み込むとそれだけ低背が損なわれる。そこで、接地板10から放射電極部12を離す高さを大きくすることなしに、しかも放射電極部12の平面形状を大きくすることなしに、共振周波数を低いものとできることが小型化および低背化に望ましい。
【0006】
また、最近の電子機器は様々なメディアやサービスに対応する機能を有しており、そのために複数のアンテナを必要とする場合があるが、一般的にアンテナの取付スペースは限られていることが多い。上記特許文献1記載のM型アンテナにさらに別のアンテナを追加搭載しようとした場合、追加する別のアンテナは放射電極部12の横または上に設けざるを得ず、その分だけ広い設置のスペースを必要とし、または背が高いものとなる。しかるに、複数のアンテナを必要とする場合でも、その設置スペースができる限り小さくまた背が低いことが望ましい。
【0007】
本発明は、上述したごとき従来のM型アンテナの事情に鑑みてなされたもので、M型アンテナを基本構造として用いて、接地板から放射電極部を離す高さを大きくすることなしに、しかも放射電極部の平面形状を大きくすることなしに、共振周波数を低くすることができる平面型アンテナを提供することを目的とする。また、放射電極部の切り欠き等の部分に別のアンテナを組み込むことで、設置スペースを大きくすることなしに別のアンテナを配設することのできる平面型アンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、本発明の平面型アンテナは、接地板から離してしかも平行に平板状の放射電極部を設け、前記放射電極部の平面外形の中央部に給電ピンを電気的接続し、前記給電ピンの配設位置を中心として対称の位置で前記放射電極部の平面外形の外縁部を前記接地板に電気的に短絡するように対のショートピンを設けた平面型アンテナであって、前記給電ピンの配設位置と前記ショートピンの配設位置の間を結ぶ直線を遮るように前記放射電極部に切り欠きを設けて構成されている。
【0009】
また、本発明の平面型アンテナは、接地板から離してしかも平行な平面内に導電線で放射電極部を設け、前記放射電極部の平面外形の中央部に給電ピンを電気的接続し、前記給電ピンの配設位置を中心として対称の位置で前記放射電極部の平面外形の外縁部を前記接地板に電気的に短絡するように対のショートピンを設けた平面型アンテナであって、前記給電ピンの配設位置と前記ショートピンの配設位置の間を直線的に結ぶ前記導電線を設けることなしに構成しても良い。
【0010】
そして、前記ショートピンを一対だけ設けて構成することもできる。
【0011】
さらに、前記放射電極部の平面形状を正方形とし、前記放射電極部に前記正方形の各辺に下辺を平行として頂点を前記平面形状の中央部に向けた三角形の切り欠きをそれぞれに設け、前記正方形の対向する2辺の中間位置に一対の前記ショートピンを設けて構成することも可能である。
【0012】
また、前記放射電極部の平面形状を円形とし、前記放射電極部に頂点を前記平面形状の中央部に向けた扇形の4つの切り欠きを均等分割位置に設け、対向する2つの前記扇形の切り欠きで形成される円弧状の縁部の中間位置に一対の前記ショートピンを設けて構成することも可能である。
【0013】
そしてさらに、前記放射電極部の前記切り欠きの部分に別のアンテナを配設して構成しても良い。
【0014】
そしてまた、前記放射電極部の前記導電線が設けられていない部分に別のアンテナを配設して構成しても良い。
【0015】
また、前記放射電極部を、絶縁樹脂板上に導電材により平面形状が正方形の外縁部分と前記正方形の対向する隅を結ぶ十文字状の部分とで形成し、しかも前記十文字状の部分を前記隅と前記十文字状の部分が交叉する中央部の間で切断して間隙を設けて構成しても良い。
【0016】
そしてまた、前記放射電極部の前記十文字状の部分の前記間隙に、チップコンデンサを介装して構成することも可能である。
【0017】
そしてさらに、前記放射電極部を、絶縁樹脂板上に導電材により平面形状が正方形の外縁部分と前記正方形の対向する隅を結ぶ十文字状の部分とで形成し、しかも前記十文字状の部分を前記隅に近い位置で切断して間隙を設け、この間隙にチップインダクタンスを介装して構成することもできる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の平面型アンテナにあっては、放射電極部に給電ピンの配設位置とショートピンの配設位置の間を結ぶ直線を遮るように切り欠きを設けたので、給電ピンとショートピンの間の電流経路が直線で結ぶ距離よりも長くなり、接地板から放射電極部を離す高さを大きくすることなしに、また放射電極部の平面形状を大きくすることなしに共振周波数を低くすることができる。もって、小型で低背なアンテナとして好適である。しかも、低い共振周波数と高い共振周波数が得られている。
【0019】
また、請求項2記載の平面型アンテナにあっては、給電ピンの配設位置とショートピンの配設位置の間を直線的に結ぶ導電線が設けられることなしに、導電線で放射電極部が設けられているので、請求項1と同様に、給電ピンとショートピンの間の電流経路が直線的に結ぶ距離よりも長くなり、接地板から放射電極部を離す高さを大きくすることなしに、また放射電極部の平面形状を大きくすることなしに共振周波数を低くすることができる。もって、小型で低背なアンテナとして好適である。
【0020】
そして、請求項3記載の平面型アンテナにあっては、ショートピンが一対だけ設けられており、ショートピンを2対設けたものよりも共振周波数が低いものとなる。
【0021】
さらに、請求項4および5記載の平面型アンテナのいずれにあっても、放射電極部に設けた切り欠きが、給電ピンを配設した中央部を中心としてほぼ点対称であり、ほぼ水平面無指向性が得られる。
【0022】
そしてさらに、請求項6および7記載の平面型アンテナのいずれにあっても、放射電極部の切り欠きの部分、または導電線が設けられていない部分に別のアンテナを配設するので、スペースを有効に利用することができ、別のアンテナを組み込んでも設置スペースが大きくなるようなことがない。また、背も高くなることはない。
【0023】
また、請求項8記載の平面型アンテナにあっては、放射電極部の十文字状の部分を隅と十文字状の部分が交叉する中央部の間で切断して間隙を設けているので、この間隙による容量結合が形成され、低い共振周波数は短縮効果により高い共振周波数側に移行する。なお、高い共振周波数に対しては、間隙をほぼ電流ゼロの位置とすることで、影響を与えることがない。そこで、低い共振周波数が高い共振周波数に近づくことで、高い共振周波数の広帯域化および利得の改善がなされる。
【0024】
そしてまた、請求項9記載の平面型アンテナにあっては、放射電極部の十文字状の部分の間隙に、チップコンデンサを介装するので、結合容量の値を任意に設定でき、低い共振周波数を高い共振周波数側に任意に近づけることができる。
【0025】
そしてさらに、請求項10記載の平面型アンテナにあっては、放射電極部の十文字状の部分を隅に近い位置で切断して間隙を設け、この間隙にチップインダクタンスを介装するので、任意の値のインダクタンスを介装でき、その延長効果により十文字状の部分にミアンダ素子を介装したのと同様の作用が得られ、低い共振周波数および高い共振周波数をともにより低い周波数とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の第1実施例を図1ないし図3を参照して説明する。図1は、本発明の平面型アンテナの第1実施例の外観斜視図である。図2は、図1の第1実施例のVSWR特性図である。図3は、図1の第1実施例の水平指向特性図である。
【0027】
図1に示す本発明の平面型アンテナの第1実施例において、接地板10から離してしかも平行に平面外形が正方形の放射電極部22が配設される。この放射電極部22は、導電板等の平板状の部材で形成される。そして、この放射電極部22には、正方形の各辺に下辺を平行として頂点を正方形の平面形状の略中央部に向けた二等辺三角形の切り欠き24、24、24、24が穿設されて設けられる。したがって、正方形の辺となる外縁部分とこの正方形の4隅を結ぶ十文字状の部分とからなる。さらに、給電ピン14が正方形の平面外形の略中央部、すなわち十文字状の部分の交差部分に接地板10側から立ち上げられて電気的接続される。また、正方形の平面外形の対向する2辺の略中間位置に、放射電極部22と接地板10を電気的に短絡させる一対のショートピン16、16が配設される。なお、給電ピン14は、接地板10に電気的接続されないことは勿論である。
【0028】
この放射電極部22の正方形の一辺の寸法を84mmとし、接地板10から離れる高さを25mmとした本発明の平面型アンテナにあっては、図2に示すごとく、その共振周波数が885MHzであり、図35に示す従来のM型アンテナに比較して、切り欠き24、24、24、24を設けることにより、共振周波数が低いものとなっている。また、水平面指向特性は、図3に示すごとく、ほぼ無指向性が得られている。なお、天頂方向には、放射電界がゼロとなっている。さらに、図2に示されるごとく、885MHzの低い共振周波数の他に、2045MHzの高い共振周波数も得られている。
【0029】
第1実施例で、低い共振周波数885MHzの動作における電流分布のシミュレーションにおいて、ショートピン16、16が配設されていない正方形の平面外形の対向する2辺の中間位置にそれぞれ電流ゼロが生じている。そこで、885MHzの共振周波数にあっては、給電ピン14の長さaと給電ピン14が接続された中央部から正方形の隅に至る長さbとこの隅からショートピン16が接続されずに電流ゼロの辺の中間位置までの長さcの往復長さと隅からショートピン16が配設された辺の中間位置までの長さdおよびショートピン16の長さeの合計(a+b+2×c+d+e)の長さを全長とする電流経路でλ/2の同相モードで共振していることが明らかとなった。よって、放射電極部22に給電ピン14の配設位置とショートピン16、16の配設位置の間を結ぶ直線を遮るように切り欠き24、24、24、24を適宜に設けることで、従来のM型アンテナに比較して電流経路が長い分だけ、接地板10から放射電極部22を離す高さを大きくしなくても、また放射電極部22の平面形状を大きくしなくても、低い共振周波数が得られることが理解し得る。
【0030】
また、第1実施例の高い共振周波数2045MHzの動作における電流分布のシミュレーションにあっては、ショートピン16、16が接続された正方形の平面外形の対向する2辺には電流が流れず、ショートピン16、16が接続されない正方形の平面外形の対向する2辺の中間位置と、十文字状の部分の給電ピン14の接続位置に近い位置で電流ゼロがそれぞれに生じている。そこで、2045MHzの共振周波数にあっては、給電ピン14の長さaと給電ピン14が接続された中央部から正方形の隅に至る長さbおよびこの隅からショートピン16が接続されずに電流ゼロの辺の中間位置までの長さcの合計(a+b+c)の長さを全長とする電流経路でλ・3/4のトップロード型アンテナとして共振動作していることが明らかとなった。そして、水平面指向特性は、無指向性であり、また天頂方向に放射電界ゼロが生ずることは、885MHzの場合と同様である。
【0031】
ところで、発明者らは、本発明の平面型アンテナの動作を解明すべく、ショートピン16、16の位置をずらして配設したシミュレーションも行った。図4は、ショートピンの配設位置をずらした第1変形例の外観斜視図である。図5は、ショートピンの配設位置をさらにずらした第2変形例の外観斜視図である。図4と図5において、放射電極部22の平面外形の寸法および接地板10から離す高さは図1のものと同じであり、また図1に示すものと同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0032】
図4に示す第1変形例において、低い共振周波数が図1のものに比べて約10MHzほど高い方にずれる結果が得られた。また、図5に示す第2変形例において、低い共振周波数が図4の第1変形例に比べてさらに約10MHzほど高い方にずれる結果が得られた。よって、ショートピン16、16の配設位置は、正方形の辺の中間位置が最も低い共振周波数が得られることが判明した。
【0033】
さらに、発明者らは、本発明の平面型アンテナの動作をより解明すべく、2対のショートピン16、16、16、16を配設したシミュレーションも行った。図6は、2対のショートピンを配設した第3変形例の外観斜視図である。図6において、図1に示すものと同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0034】
図6に示す第3変形例において、ショートピン16、16、16、16が正方形の平面外形の4つのそれぞれの辺の中間位置にそれぞれ配設される。かかる構造の第3変形例にあっては、接地板10から放射電極部22が離される高さが25mmと図1のものと同じとした場合には、共振周波数885MHzを得るためには、平面外形の一辺の寸法を124mmと、図1のものよりもかなり大きくしなければならなかった。2対のショートピン16、16、16、16を設けることで、給電ピン14の長さaと給電ピン14が接続された中央部から正方形の隅に至る長さbとこの隅からショートピン16が配設された辺の中間位置までの長さdおよびショートピン16の長さeの合計(a+b+d+e)の長さを全長とする電流経路でλ/2の同相モードで共振するために、共振周波数885MHzを得るためには正方形の平面外形の寸法を必然的に大きくせざるを得ない。よって、ショートピン16、16は一対だけ設けることが、アンテナの小型化および低背化に好適であることが明らかとなった。なお、図6に示すショートピン16、16、16、16が4本の変形例にあっては、図1に示すショートピン16、16が2本の第1実施例のものと比較して、指向特性がより優れた無指向性が得られている。
【0035】
次に、本発明の第2実施例を図7ないし図9を参照して説明する。図7は、本発明の平面型アンテナの第2実施例の外観斜視図である。図8は、第2実施例のVSWR特性図である。図9は、第2実施例の水平面指向特性図である。図7において、図1に示すものと同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0036】
図7に示す第2実施例において、放射電極部32は絶縁樹脂板36上に、導電薄膜等にて、平面外形を円形として接地板10から離してしかも平行に設けられる。この放射電極部32には、頂点を平面外形の略中央部に向けた頂角が90°の扇形の4つの切り欠き34、34、34、34が均等分割位置に設けられる。したがって、第1実施例と同様に、円形の外形縁部と十文字状の部分とからなる。そして、給電ピン14が、平面外形の略中央部、すなわち十文字状の部分の交叉部に電気的接続される。また、対向する2つの扇形の切り欠き34、34により形成される円弧状の縁部の略中央位置に、放射電極部32と接地板10を短絡させる一対のショートピン16、16が配設される。この放射電極部32の外形の直径を85mmとし、接地板10からの高さを25mmとした構造にあっては、図8に示すごとく、868MHzの共振周波数が得られた。また、その水平面指向特性は、図9に示すごとく、無指向性であった。よって、放射電極部32の平面外形を円形とした本発明の第2実施例にあっても、放射電極部32に給電ピン14の配設位置とショートピン16、16の配設位置の間を結ぶ直線を遮るように切り欠き34、34、34、34を適宜に設けることで、従来のM型アンテナよりも小型化を図るのに好適である。
【0037】
さらに、本発明の第3実施例を図10ないし図12を参照して説明する。図10は、本発明の平面型アンテナの第3実施例の外観斜視図である。図11は、第3実施例のVSWR特性図である。図12は、第3実施例の水平面指向特性図である。図10において、図1に示すものと同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0038】
図10に示す第3実施例において、放射電極部42は、平板状の導電部材により接地板10から離してしかも平行に設けられ、その平面外形は2つの同じ二等辺三角形が頂点を対向させて対称に配置されて2つの三角形の底辺が平行となる形状である。三角形の底辺の長さはそれぞれ84mmであり、2つの平行な底辺の間隔も84mmである。そして、三角形内には相似形の三角形の切り欠き44,44が設けられている。かかる平面形状は、第1実施例の放射電極部22のショートピン16、16が配設されない正方形の2辺が欠けたものである。なお、接地板10から放射電極部42が離される高さは、第1実施例と同様に25mmである。そして、2つの三角形の頂点が対向する略中央部の位置に、給電ピン14が接地板10側から立ち上げられて電気的接続され、2つの三角形の底辺の略中間位置に、接地板10と短絡させる一対のショートピン16、16が配設される。かかる構成の第3実施例にあっては、図11に示すごとく、976MHzの低い共振周波数と、2180MHzの高い共振周波数が得られた。しかも、976MHzの低い共振周波数の水平面指向特性は、図12に示すごとく、無指向性であった。
【0039】
第3実施例で、共振周波数976MHzの動作における電流分布のシュミレーションにおいて、給電ピン14の長さaと中央部から三角形の隅に至る長さbとこの隅からショートピン16が配設された底辺の中間位置までの長さdおよびショートピン16の長さeの合計(a+b+d+e)の長さを全長とする電流経路でλ/2の同相モードで共振していることが明らかとなった。
【0040】
なお、上記第1実施例と第3実施例では、放射電極部22、42が平板状の導電部材で構成され、第2実施例では放射電極部32が導電薄膜等で構成されているが、これらの構成に限られず、放射電極部を銅電線や銅棒などの導電線で構成しても良い。この導電線で放射電極部を構成するためには、第1ないし3実施例で切り欠き24、34、44を設けたのに代えて、給電ピン14の配設位置とショートピン16、16の配設位置の間を直線的に結ぶ導電線が設けられることなく、放射電極部が構成されれば良い。この導電線で放射電極部を構成した本発明の平面型アンテナの第4実施例を図13を参照して説明する。図13は、本発明の平面型アンテナの第4実施例の外観斜視図である。図13において、図1に示すものと同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0041】
図13に示す第4実施例において、放射電極部52は、導電線54で構成されている。放射電極部52の平面形状は、第1実施例のものと同じであるが、その幅が平板状の導電部材で構成されたものと比較して極めて狭いものとなる。そこで、電流経路が実質的に長いものとなり、平面の寸法が第1実施例と同じであっても、背の高さは16.5mmとより低いものが実現できる。なお、第4実施例にあっては、第1実施例に比較して狭帯域となる。
【0042】
そしてさらに、本発明の平面型アンテナに用い得る放射電極部の各種の平面形状を図14ないし図27に例示する。なお、図14ないし図27において、14は放射電極部に給電ピン14が接続される位置を示し、16は放射電極部にショートピン16が接続される位置を示し、62は例示におけるそれぞれの放射電極部を示す。まず、図14は、放射電極部62の平面形状の第1例示であり、平面形状を「田」の字状とし、中央部に給電ピン14を電気的接続し、「田」の字状の外縁の対向する2隅に一対のショートピン16、16が配設される。図15は、放射電極部62の平面形状の第2例示であり、図1の第1実施例の十文字状の部分を折り曲げてその長さを長くしたものである。図16は、放射電極部62の平面形状の第3例示であり、図15の放射電極部62と同じ形状でショートピン16、16の配設位置を、図15のものとは別な辺に配設したものである。図17は、放射電極部62の平面形状の第4例示であり、図1の第1実施例の十文字状の部分の一部分を折り曲げてその長さを長くし他の部分は折り曲げることなしに構成したものである。図18は、放射電極部62の平面形状の第5例示であり、図17の放射電極部62と同じ形状でショートピン16、16の配設位置を、図17のものとは別な辺に配設したものである。図19は、放射電極部62の平面形状の第6例示であり、図1の第1実施例の十文字状の部分を、4方向に放射状の中央部付近を1本の直線にまとめ、このまとめられた1本の直線の両端部がそれぞれ2つに分岐されて正方形の4隅にそれぞれに連結されたごとき形状に代えて構成したものである。図20は、放射電極部62の平面形状の第7例示であり、図19の放射電極部62と同じ形状でショートピン16、16の配設位置を、図19のものとは別な辺に配設したものである。図21は、放射電極部62の平面形状の第8例示であり、図1の第1実施例の十文字状の部分をH字状に代えて構成したものである。図22は、放射電極部62の平面形状の第9例示であり、図21の放射電極部62と同じ形状でショートピン16、16の配設位置を、図21のものとは別な辺に配設したものである。図23は、放射電極部62の平面形状の第10例示であり、図1の第1実施例の十文字状の部分をミアンダ状に折り曲げてその長さを長くしたものである。図24は、放射電極部62の平面形状の第11例示であり、図7の第2実施例でショートピン16、16が配設されていない円弧状の縁部を省いた構造であり、言い換えれば図10の第3実施例で三角形の底辺を外に凸なる円弧状としたものでもある。図25は、放射電極部62の平面形状の第12例示であり、2つの同形の円をその一部が接するようにまたは重なるように配置した形状に放射電極部62を構成し、2つの円が接する部分に給電ピン14を配設し、この給電ピン14の配設位置を通過する直径方向で円の他方の位置にショートピン16、16をそれぞれに配設して構成したものである。図26は、放射電極部62の平面形状の第13例示であり、全体の平面形状が「日」の字状に放射電極部62を形成し、中央辺の中間位置に給電ピン14を配設し、上下辺の中間位置にショートピン16、16をそれぞれに配設した構造である。図27は、放射電極部62の平面形状の第14例示であり、平面形状が菱形の外縁形状と対向する2隅を結ぶ中央辺とから放射電極部62が形成され、中央辺の中間位置に給電ピン14を配設し、菱形の中央辺が結ばれていない対向する2隅に一対のショートピン16、16が配設されて構成されている。
【0043】
ところで、上述の第1実施例とその変形例、第2ないし第4実施例および本発明の平面型アンテナに用い得る放射電極部の各種の平面形状において、単独の平面型アンテナとしては、従来のM型アンテナに対して、必ずしも小型でしかも低背なものばかりではない。しかしながら、別のアンテナを放射電極部の切り欠き部分または放射電極部の導電線が設けらていない部分に組み込むことで、複数のアンテナの全体として小型化および低背化を図ることが可能である。この別のアンテナを組み込んだ本発明の平面型アンテナの第5実施例を図28を参照して説明する。図28は、本発明の平面型アンテナに別のアンテナを組み込んだ第5実施例の外観斜視図である。図28において、図1に示すものと同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0044】
図28に示す第5実施例において、放射電極部22の形状は、第1実施例と同じである。そして、切り欠き24、24、24、24の1つの部分に、一例として、GPSパッチアンテナ56が適宜な台の上に配設されている。このGPSアンテナ56は適宜な高さに配設されることは勿論である。かかる構成にあっては、スペースを有効に利用することができ、別のアンテナとしてのGPSパッチアンテナ56を組み込んで、複数のアンテナを配設するにも係わらず、設置スペースが大きくなるようなことがなく、また背も高くなることはない。なお、第5実施例の放射電極部52の導電線54が設けられていない他の部分に、さらに別のアンテナを配設しても良いことは勿論である。また、切り欠き24、24、24、24および導電線54が設けられていないそれぞれの部分に、必要に応じて別のアンテナをそれぞれに組み込むことも可能である。
【0045】
ところで、図1に示す第1実施例において、低い共振周波数885MHzとともに高い共振周波数2045MHzが得られている。そして、高い共振周波数2045MHzの共振動作における電流分布のシュミレーションによれば、放射電極部22の十文字状の部分の隅と中央部の間の中央部に近い位置に、電流ゼロとなる位置が生じている。そこで、発明者らは、高い共振周波数の広帯域化および利得の改善を図るための一手段として、低い共振周波数を高い共振周波数側に移行させて近づけることを考えた。その手段として、発明者らは、放射電極部22の十文字状の部分で高い共振周波数の共振動作で電流ゼロの位置に間隙を設けて容量結合を形成させて、高い共振周波数に対してはさしたる影響はないが、低い共振周波数に対しては短縮コンデンサとしての効果が得られるようにすれば良い、と考えた。かかる技術を具体化した第6実施例を、図29ないし図31を参照して説明する。図29は、本発明の平面型アンテナの第6実施例の平面図である。図30は、図29に示す間隙を設けた第6実施例のVSWR特性図である。図31は、図29に示す平面型アンテナで間隙を設けていない例のVSWR特性図である。
【0046】
図29に示す第6実施例において、絶縁樹脂板64の上に導電薄膜等の導電材により、平面外形が正方形の外縁部分と正方形の対向する隅を結ぶ十文字状の部分とからなる放射電極部66が設けられる。そして、第1実施例と同様に、十文字状の部分が交叉する中央部に給電ピン14が電気的接続され、また対向する外縁部分の中間位置に一対のショートピン16、16が電気的接続される。なお、この絶縁樹脂板64は、接地板10に対して所定の高さだけ離して平行に配設される。また、絶縁樹脂板64に穿設した角孔68は、別のアンテナを配設するためのスペースとして設けたものである。そして、この第6実施例の特徴とするところは、放射電極部66の十文字状の部分を隅と中央部の間で、導電材が切断されて間隙70、70、70、70が設けられたことにある。この間隙70、70、70、70が設けられる位置は、高い共振周波数の共振動作において電流分布で電流ゼロの位置またはその近くであることが望ましい。
【0047】
かかる構成からなる第6実施例にあっては、高い共振周波数に対しては間隙70、70、70、70の影響はない。しかし、低い共振周波数に対して、間隙70、70、70、70が設けられた位置がその共振動作において電流分布が電流ゼロの位置でなく、容量結合が形成されて、間隙70、70、70、70が短縮コンデンサとして作用し、低い共振周波数が高い共振周波数側に移行される。この結果、高い共振周波数の広帯域化と利得の改善が図られる。かかる効果は、間隙70、70、70、70を設けた場合の図30と、間隙70、70、70、70を設けていない場合の図31のVSWR特性図を比較すれば、明らかである。すなわち、図31に示すごとく、間隔70、70、70、70を設けていない場合の高い共振周波数帯の1940MHzと2150MHzのVSWR特性が、3.19と3.60であったものが、図30に示すごとく、間隔70、70、70、70を設けることにより高い共振周波数帯の1940MHzと2150MHzのVSWR特性が、2.11と2.46と改善されており、広帯域化が図られている。また、水平面利得においても、間隔70、70、70、70を設けていない場合の高い共振周波数帯の1940MHzと2150MHzで、−5.25dBiと−5.36dBiであったものが、間隔70、70、70、70を設けることにより高い共振周波数帯の1940MHzと2150MHzで、−2.01dBiと−2.22dBiと改善されている。ここで、間隙70、70、70、70の間隔が広いほど結合容量が小さくなって短縮効果が大きく作用することは勿論であり、間隙の広さを適宜に設定すれば良い。
【0048】
図32は、図29に示す第6実施例の変形例であって、絶縁樹脂板64の四隅に円弧状のネジ用の切り欠き72、72、72、72を設けたものである。本発明の平面型アンテナを覆うレドーム等を固定するためのネジ74、74、74、74を避けるための機構である。図29に示す第6実施例および図32に示すその変形例のごとく、放射電極部66は、その外縁部分が必ずしも正方形でなくても良く、略正方形であれば良く、十文字状の部分も正確に十文字状でなくても良く、その一部分が折れ曲がっている等の略十文字状であっても良い。
【0049】
さらに、本発明の第7実施例を図33を参照して説明する。図33は、本発明の平面型アンテナの第7実施例の平面図である。図33において、図29と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0050】
図33に示す第7実施例では、図29で放射電極部66の十文字状の部分に設けた間隙70、70、70、70の間にチップコンデンサ76、76、76、76をそれぞれに介装したものである。これらのチップコンデンサ76、76、76、76を介装することで、結合容量を任意に設定することができ、低い共振周波数を高い共振周波数側に任意に近づけて、高い共振周波数の特性を改善することができる。
【0051】
そしてさらに、本発明の第8実施例を図34を参照して説明する。図34は、本発明の平面型アンテナの第8実施例の平面図である。図34において、図29と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0052】
図34に示す第8実施例では、放射電極部66の十文字状の部分の隅に近い位置で導電材を切断して間隙を設け、その間隙にそれぞれチップインダクタンス78、78、78、78を介装したものである。これらのチップインダクタンス78、78、78、78を介装することで、延長コイルとして作用し、共振周波数をより低くする効果が得られる。よって、これらのチップインダクタンス78、78、78、78を介装した位置にミアンダ素子を介装したものと同様の効果が得られる。なお、チップインダクタンス78、78、78、78による延長コイルとしての作用を最も効果的に得るためには、共振動作における電流分布で電流が最大となる位置に設定することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の平面型アンテナの第1実施例の外観斜視図である。
【図2】図1の第1実施例のVSWR特性図である。
【図3】図1の第1実施例の水平指向特性図である。
【図4】ショートピンの配設位置をずらした第1変形例の外観斜視図である。
【図5】ショートピンの配設位置をさらにずらした第2変形例の外観斜視図である。
【図6】2対のショートピンを正方形の各辺の中間位置に配設した第3変形例の外観斜視図である。
【図7】本発明の平面型アンテナの第2実施例の外観斜視図である。
【図8】第2実施例のVSWR特性図である。
【図9】第2実施例の水平面指向特性図である。
【図10】本発明の平面型アンテナの第3実施例の外観斜視図である。
【図11】第3実施例のVSWR特性図である。
【図12】第3実施例の水平面指向特性図である。
【図13】本発明の平面型アンテナの第4実施例の外観斜視図である。
【図14】放射電極部の平面形状の第1例示である。
【図15】放射電極部の平面形状の第2例示である。
【図16】放射電極部の平面形状の第3例示である。
【図17】放射電極部の平面形状の第4例示である。
【図18】放射電極部の平面形状の第5例示である。
【図19】放射電極部の平面形状の第6例示である。
【図20】放射電極部の平面形状の第7例示である。
【図21】放射電極部の平面形状の第8例示である。
【図22】放射電極部の平面形状の第9例示である。
【図23】放射電極部の平面形状の第10例示である。
【図24】放射電極部の平面形状の第11例示である。
【図25】放射電極部の平面形状の第12例示である。
【図26】放射電極部の平面形状の第13例示である。
【図27】放射電極部の平面形状の第14例示である。
【図28】本発明の平面型アンテナに別のアンテナを組み込んだ第5実施例の外観斜視図である。
【図29】本発明の平面型アンテナの第6実施例の平面図である。
【図30】図29に示す間隙を設けた第6実施例のVSWR特性図である。
【図31】図29に示す平面型アンテナで間隙を設けていない例のVSWR特性図である。
【図32】図29に示す第6実施例の変形例である。
【図33】本発明の平面型アンテナの第7実施例の平面図である。
【図34】本発明の平面型アンテナの第8実施例の平面図である。
【図35】従来のM型アンテナの一例の外観斜視図である。
【図36】図35の構造のM型アンテナのVSWR特性図である。
【図37】図35の構造で接地板から放射電極部までの高さ寸法を31mmとした場合のVSWR特性図である。
【符号の説明】
【0054】
10 接地板
12、22、32、42、52、62、66 放射電極部
14 給電ピン
16 ショートピン
24、34、44 切り欠き
36、64 絶縁樹脂板
54 導電線
56 別のアンテナ
70 間隙
76 チップコンデンサ
78 チップインダクタンス
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型でしかも低背な平面型アンテナ、また設置スペースを大きくすることなしに別のアンテナを配設することのできる平面型アンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の低背の平面型アンテナとして、平板状の放射電極部を有するM型アンテナが知られている。このM型アンテナを応用した技術が特開平05−136625号公報に示されている。
【特許文献1】特開平05−136625号公報
【0003】
このM型アンテナの構造の一例を図35ないし図37を参照して簡単に説明する。図35は、従来のM型アンテナの一例の外観斜視図である。図36は、図35の構造のM型アンテナのVSWR特性図である。図37は、図35の構造で接地板から放射電極部までの高さ寸法を31mmとした場合のVSWR特性図である。図35に示す従来のM型アンテナの構造は、接地板10から離してしかも平行に平板状の導電板からなり平面外形が正方形の放射電極部12が配設され、その平面形状の略中央部に給電ピン14が接地板10側から立ち上げられて電気的接続される。そして、この給電ピン14が配設された位置を中心として略対称な位置で、放射電極部12の正方形の平面外形の対向する2辺の略外縁部の中央の位置を接地板10に電気的に短絡させるように一対のショートピン16、16が設けられる。なお、給電ピン14は、接地板10に電気的接続されないことは勿論である。放射電極部12の正方形の一辺の寸法を84mmとし、接地板10からの高さを25mmとすると、図36に示すごとく、その共振周波数として約900MHzが得られた。また、放射電極部12の一辺の寸法を同じ84mmのままとして、接地板10からの高さを31mmとより高くすると、図37に示すごとく、その共振周波数として885MHzが得られた。この885MHzは、携帯電話に用いられる周波数帯の1つであるPDC800MHz帯の中心周波数である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のごとき従来構造のM型アンテナにあっては、接地板10から放射電極部12を離す高さ寸法が大きいほど、共振周波数が低いものとなる。このM型アンテナの電流分布のシミュレーションにおいて、放射電極部12のショートピン16、16が設けられていない辺部にあってはほとんど電流が流れておらず、給電ピン14とショートピン16、16に強く電流が流れて同相モードで共振していることが明らかとなった。そこで、接地板10から放射電極部12を離す高さを大きくするほど、給電ピン14とショートピン16、16の寸法も長くなり、当然に電流経路が長くなって共振周波数が低いものとなることが理解し得る。
【0005】
しかるに、共振周波数を低くするためには、接地板10から放射電極部12を離す高さを大きくしなければならず、薄型、低背が求められる近年の電子機器筐体に、このようなアンテナを組み込むとそれだけ低背が損なわれる。そこで、接地板10から放射電極部12を離す高さを大きくすることなしに、しかも放射電極部12の平面形状を大きくすることなしに、共振周波数を低いものとできることが小型化および低背化に望ましい。
【0006】
また、最近の電子機器は様々なメディアやサービスに対応する機能を有しており、そのために複数のアンテナを必要とする場合があるが、一般的にアンテナの取付スペースは限られていることが多い。上記特許文献1記載のM型アンテナにさらに別のアンテナを追加搭載しようとした場合、追加する別のアンテナは放射電極部12の横または上に設けざるを得ず、その分だけ広い設置のスペースを必要とし、または背が高いものとなる。しかるに、複数のアンテナを必要とする場合でも、その設置スペースができる限り小さくまた背が低いことが望ましい。
【0007】
本発明は、上述したごとき従来のM型アンテナの事情に鑑みてなされたもので、M型アンテナを基本構造として用いて、接地板から放射電極部を離す高さを大きくすることなしに、しかも放射電極部の平面形状を大きくすることなしに、共振周波数を低くすることができる平面型アンテナを提供することを目的とする。また、放射電極部の切り欠き等の部分に別のアンテナを組み込むことで、設置スペースを大きくすることなしに別のアンテナを配設することのできる平面型アンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、本発明の平面型アンテナは、接地板から離してしかも平行に平板状の放射電極部を設け、前記放射電極部の平面外形の中央部に給電ピンを電気的接続し、前記給電ピンの配設位置を中心として対称の位置で前記放射電極部の平面外形の外縁部を前記接地板に電気的に短絡するように対のショートピンを設けた平面型アンテナであって、前記給電ピンの配設位置と前記ショートピンの配設位置の間を結ぶ直線を遮るように前記放射電極部に切り欠きを設けて構成されている。
【0009】
また、本発明の平面型アンテナは、接地板から離してしかも平行な平面内に導電線で放射電極部を設け、前記放射電極部の平面外形の中央部に給電ピンを電気的接続し、前記給電ピンの配設位置を中心として対称の位置で前記放射電極部の平面外形の外縁部を前記接地板に電気的に短絡するように対のショートピンを設けた平面型アンテナであって、前記給電ピンの配設位置と前記ショートピンの配設位置の間を直線的に結ぶ前記導電線を設けることなしに構成しても良い。
【0010】
そして、前記ショートピンを一対だけ設けて構成することもできる。
【0011】
さらに、前記放射電極部の平面形状を正方形とし、前記放射電極部に前記正方形の各辺に下辺を平行として頂点を前記平面形状の中央部に向けた三角形の切り欠きをそれぞれに設け、前記正方形の対向する2辺の中間位置に一対の前記ショートピンを設けて構成することも可能である。
【0012】
また、前記放射電極部の平面形状を円形とし、前記放射電極部に頂点を前記平面形状の中央部に向けた扇形の4つの切り欠きを均等分割位置に設け、対向する2つの前記扇形の切り欠きで形成される円弧状の縁部の中間位置に一対の前記ショートピンを設けて構成することも可能である。
【0013】
そしてさらに、前記放射電極部の前記切り欠きの部分に別のアンテナを配設して構成しても良い。
【0014】
そしてまた、前記放射電極部の前記導電線が設けられていない部分に別のアンテナを配設して構成しても良い。
【0015】
また、前記放射電極部を、絶縁樹脂板上に導電材により平面形状が正方形の外縁部分と前記正方形の対向する隅を結ぶ十文字状の部分とで形成し、しかも前記十文字状の部分を前記隅と前記十文字状の部分が交叉する中央部の間で切断して間隙を設けて構成しても良い。
【0016】
そしてまた、前記放射電極部の前記十文字状の部分の前記間隙に、チップコンデンサを介装して構成することも可能である。
【0017】
そしてさらに、前記放射電極部を、絶縁樹脂板上に導電材により平面形状が正方形の外縁部分と前記正方形の対向する隅を結ぶ十文字状の部分とで形成し、しかも前記十文字状の部分を前記隅に近い位置で切断して間隙を設け、この間隙にチップインダクタンスを介装して構成することもできる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の平面型アンテナにあっては、放射電極部に給電ピンの配設位置とショートピンの配設位置の間を結ぶ直線を遮るように切り欠きを設けたので、給電ピンとショートピンの間の電流経路が直線で結ぶ距離よりも長くなり、接地板から放射電極部を離す高さを大きくすることなしに、また放射電極部の平面形状を大きくすることなしに共振周波数を低くすることができる。もって、小型で低背なアンテナとして好適である。しかも、低い共振周波数と高い共振周波数が得られている。
【0019】
また、請求項2記載の平面型アンテナにあっては、給電ピンの配設位置とショートピンの配設位置の間を直線的に結ぶ導電線が設けられることなしに、導電線で放射電極部が設けられているので、請求項1と同様に、給電ピンとショートピンの間の電流経路が直線的に結ぶ距離よりも長くなり、接地板から放射電極部を離す高さを大きくすることなしに、また放射電極部の平面形状を大きくすることなしに共振周波数を低くすることができる。もって、小型で低背なアンテナとして好適である。
【0020】
そして、請求項3記載の平面型アンテナにあっては、ショートピンが一対だけ設けられており、ショートピンを2対設けたものよりも共振周波数が低いものとなる。
【0021】
さらに、請求項4および5記載の平面型アンテナのいずれにあっても、放射電極部に設けた切り欠きが、給電ピンを配設した中央部を中心としてほぼ点対称であり、ほぼ水平面無指向性が得られる。
【0022】
そしてさらに、請求項6および7記載の平面型アンテナのいずれにあっても、放射電極部の切り欠きの部分、または導電線が設けられていない部分に別のアンテナを配設するので、スペースを有効に利用することができ、別のアンテナを組み込んでも設置スペースが大きくなるようなことがない。また、背も高くなることはない。
【0023】
また、請求項8記載の平面型アンテナにあっては、放射電極部の十文字状の部分を隅と十文字状の部分が交叉する中央部の間で切断して間隙を設けているので、この間隙による容量結合が形成され、低い共振周波数は短縮効果により高い共振周波数側に移行する。なお、高い共振周波数に対しては、間隙をほぼ電流ゼロの位置とすることで、影響を与えることがない。そこで、低い共振周波数が高い共振周波数に近づくことで、高い共振周波数の広帯域化および利得の改善がなされる。
【0024】
そしてまた、請求項9記載の平面型アンテナにあっては、放射電極部の十文字状の部分の間隙に、チップコンデンサを介装するので、結合容量の値を任意に設定でき、低い共振周波数を高い共振周波数側に任意に近づけることができる。
【0025】
そしてさらに、請求項10記載の平面型アンテナにあっては、放射電極部の十文字状の部分を隅に近い位置で切断して間隙を設け、この間隙にチップインダクタンスを介装するので、任意の値のインダクタンスを介装でき、その延長効果により十文字状の部分にミアンダ素子を介装したのと同様の作用が得られ、低い共振周波数および高い共振周波数をともにより低い周波数とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の第1実施例を図1ないし図3を参照して説明する。図1は、本発明の平面型アンテナの第1実施例の外観斜視図である。図2は、図1の第1実施例のVSWR特性図である。図3は、図1の第1実施例の水平指向特性図である。
【0027】
図1に示す本発明の平面型アンテナの第1実施例において、接地板10から離してしかも平行に平面外形が正方形の放射電極部22が配設される。この放射電極部22は、導電板等の平板状の部材で形成される。そして、この放射電極部22には、正方形の各辺に下辺を平行として頂点を正方形の平面形状の略中央部に向けた二等辺三角形の切り欠き24、24、24、24が穿設されて設けられる。したがって、正方形の辺となる外縁部分とこの正方形の4隅を結ぶ十文字状の部分とからなる。さらに、給電ピン14が正方形の平面外形の略中央部、すなわち十文字状の部分の交差部分に接地板10側から立ち上げられて電気的接続される。また、正方形の平面外形の対向する2辺の略中間位置に、放射電極部22と接地板10を電気的に短絡させる一対のショートピン16、16が配設される。なお、給電ピン14は、接地板10に電気的接続されないことは勿論である。
【0028】
この放射電極部22の正方形の一辺の寸法を84mmとし、接地板10から離れる高さを25mmとした本発明の平面型アンテナにあっては、図2に示すごとく、その共振周波数が885MHzであり、図35に示す従来のM型アンテナに比較して、切り欠き24、24、24、24を設けることにより、共振周波数が低いものとなっている。また、水平面指向特性は、図3に示すごとく、ほぼ無指向性が得られている。なお、天頂方向には、放射電界がゼロとなっている。さらに、図2に示されるごとく、885MHzの低い共振周波数の他に、2045MHzの高い共振周波数も得られている。
【0029】
第1実施例で、低い共振周波数885MHzの動作における電流分布のシミュレーションにおいて、ショートピン16、16が配設されていない正方形の平面外形の対向する2辺の中間位置にそれぞれ電流ゼロが生じている。そこで、885MHzの共振周波数にあっては、給電ピン14の長さaと給電ピン14が接続された中央部から正方形の隅に至る長さbとこの隅からショートピン16が接続されずに電流ゼロの辺の中間位置までの長さcの往復長さと隅からショートピン16が配設された辺の中間位置までの長さdおよびショートピン16の長さeの合計(a+b+2×c+d+e)の長さを全長とする電流経路でλ/2の同相モードで共振していることが明らかとなった。よって、放射電極部22に給電ピン14の配設位置とショートピン16、16の配設位置の間を結ぶ直線を遮るように切り欠き24、24、24、24を適宜に設けることで、従来のM型アンテナに比較して電流経路が長い分だけ、接地板10から放射電極部22を離す高さを大きくしなくても、また放射電極部22の平面形状を大きくしなくても、低い共振周波数が得られることが理解し得る。
【0030】
また、第1実施例の高い共振周波数2045MHzの動作における電流分布のシミュレーションにあっては、ショートピン16、16が接続された正方形の平面外形の対向する2辺には電流が流れず、ショートピン16、16が接続されない正方形の平面外形の対向する2辺の中間位置と、十文字状の部分の給電ピン14の接続位置に近い位置で電流ゼロがそれぞれに生じている。そこで、2045MHzの共振周波数にあっては、給電ピン14の長さaと給電ピン14が接続された中央部から正方形の隅に至る長さbおよびこの隅からショートピン16が接続されずに電流ゼロの辺の中間位置までの長さcの合計(a+b+c)の長さを全長とする電流経路でλ・3/4のトップロード型アンテナとして共振動作していることが明らかとなった。そして、水平面指向特性は、無指向性であり、また天頂方向に放射電界ゼロが生ずることは、885MHzの場合と同様である。
【0031】
ところで、発明者らは、本発明の平面型アンテナの動作を解明すべく、ショートピン16、16の位置をずらして配設したシミュレーションも行った。図4は、ショートピンの配設位置をずらした第1変形例の外観斜視図である。図5は、ショートピンの配設位置をさらにずらした第2変形例の外観斜視図である。図4と図5において、放射電極部22の平面外形の寸法および接地板10から離す高さは図1のものと同じであり、また図1に示すものと同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0032】
図4に示す第1変形例において、低い共振周波数が図1のものに比べて約10MHzほど高い方にずれる結果が得られた。また、図5に示す第2変形例において、低い共振周波数が図4の第1変形例に比べてさらに約10MHzほど高い方にずれる結果が得られた。よって、ショートピン16、16の配設位置は、正方形の辺の中間位置が最も低い共振周波数が得られることが判明した。
【0033】
さらに、発明者らは、本発明の平面型アンテナの動作をより解明すべく、2対のショートピン16、16、16、16を配設したシミュレーションも行った。図6は、2対のショートピンを配設した第3変形例の外観斜視図である。図6において、図1に示すものと同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0034】
図6に示す第3変形例において、ショートピン16、16、16、16が正方形の平面外形の4つのそれぞれの辺の中間位置にそれぞれ配設される。かかる構造の第3変形例にあっては、接地板10から放射電極部22が離される高さが25mmと図1のものと同じとした場合には、共振周波数885MHzを得るためには、平面外形の一辺の寸法を124mmと、図1のものよりもかなり大きくしなければならなかった。2対のショートピン16、16、16、16を設けることで、給電ピン14の長さaと給電ピン14が接続された中央部から正方形の隅に至る長さbとこの隅からショートピン16が配設された辺の中間位置までの長さdおよびショートピン16の長さeの合計(a+b+d+e)の長さを全長とする電流経路でλ/2の同相モードで共振するために、共振周波数885MHzを得るためには正方形の平面外形の寸法を必然的に大きくせざるを得ない。よって、ショートピン16、16は一対だけ設けることが、アンテナの小型化および低背化に好適であることが明らかとなった。なお、図6に示すショートピン16、16、16、16が4本の変形例にあっては、図1に示すショートピン16、16が2本の第1実施例のものと比較して、指向特性がより優れた無指向性が得られている。
【0035】
次に、本発明の第2実施例を図7ないし図9を参照して説明する。図7は、本発明の平面型アンテナの第2実施例の外観斜視図である。図8は、第2実施例のVSWR特性図である。図9は、第2実施例の水平面指向特性図である。図7において、図1に示すものと同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0036】
図7に示す第2実施例において、放射電極部32は絶縁樹脂板36上に、導電薄膜等にて、平面外形を円形として接地板10から離してしかも平行に設けられる。この放射電極部32には、頂点を平面外形の略中央部に向けた頂角が90°の扇形の4つの切り欠き34、34、34、34が均等分割位置に設けられる。したがって、第1実施例と同様に、円形の外形縁部と十文字状の部分とからなる。そして、給電ピン14が、平面外形の略中央部、すなわち十文字状の部分の交叉部に電気的接続される。また、対向する2つの扇形の切り欠き34、34により形成される円弧状の縁部の略中央位置に、放射電極部32と接地板10を短絡させる一対のショートピン16、16が配設される。この放射電極部32の外形の直径を85mmとし、接地板10からの高さを25mmとした構造にあっては、図8に示すごとく、868MHzの共振周波数が得られた。また、その水平面指向特性は、図9に示すごとく、無指向性であった。よって、放射電極部32の平面外形を円形とした本発明の第2実施例にあっても、放射電極部32に給電ピン14の配設位置とショートピン16、16の配設位置の間を結ぶ直線を遮るように切り欠き34、34、34、34を適宜に設けることで、従来のM型アンテナよりも小型化を図るのに好適である。
【0037】
さらに、本発明の第3実施例を図10ないし図12を参照して説明する。図10は、本発明の平面型アンテナの第3実施例の外観斜視図である。図11は、第3実施例のVSWR特性図である。図12は、第3実施例の水平面指向特性図である。図10において、図1に示すものと同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0038】
図10に示す第3実施例において、放射電極部42は、平板状の導電部材により接地板10から離してしかも平行に設けられ、その平面外形は2つの同じ二等辺三角形が頂点を対向させて対称に配置されて2つの三角形の底辺が平行となる形状である。三角形の底辺の長さはそれぞれ84mmであり、2つの平行な底辺の間隔も84mmである。そして、三角形内には相似形の三角形の切り欠き44,44が設けられている。かかる平面形状は、第1実施例の放射電極部22のショートピン16、16が配設されない正方形の2辺が欠けたものである。なお、接地板10から放射電極部42が離される高さは、第1実施例と同様に25mmである。そして、2つの三角形の頂点が対向する略中央部の位置に、給電ピン14が接地板10側から立ち上げられて電気的接続され、2つの三角形の底辺の略中間位置に、接地板10と短絡させる一対のショートピン16、16が配設される。かかる構成の第3実施例にあっては、図11に示すごとく、976MHzの低い共振周波数と、2180MHzの高い共振周波数が得られた。しかも、976MHzの低い共振周波数の水平面指向特性は、図12に示すごとく、無指向性であった。
【0039】
第3実施例で、共振周波数976MHzの動作における電流分布のシュミレーションにおいて、給電ピン14の長さaと中央部から三角形の隅に至る長さbとこの隅からショートピン16が配設された底辺の中間位置までの長さdおよびショートピン16の長さeの合計(a+b+d+e)の長さを全長とする電流経路でλ/2の同相モードで共振していることが明らかとなった。
【0040】
なお、上記第1実施例と第3実施例では、放射電極部22、42が平板状の導電部材で構成され、第2実施例では放射電極部32が導電薄膜等で構成されているが、これらの構成に限られず、放射電極部を銅電線や銅棒などの導電線で構成しても良い。この導電線で放射電極部を構成するためには、第1ないし3実施例で切り欠き24、34、44を設けたのに代えて、給電ピン14の配設位置とショートピン16、16の配設位置の間を直線的に結ぶ導電線が設けられることなく、放射電極部が構成されれば良い。この導電線で放射電極部を構成した本発明の平面型アンテナの第4実施例を図13を参照して説明する。図13は、本発明の平面型アンテナの第4実施例の外観斜視図である。図13において、図1に示すものと同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0041】
図13に示す第4実施例において、放射電極部52は、導電線54で構成されている。放射電極部52の平面形状は、第1実施例のものと同じであるが、その幅が平板状の導電部材で構成されたものと比較して極めて狭いものとなる。そこで、電流経路が実質的に長いものとなり、平面の寸法が第1実施例と同じであっても、背の高さは16.5mmとより低いものが実現できる。なお、第4実施例にあっては、第1実施例に比較して狭帯域となる。
【0042】
そしてさらに、本発明の平面型アンテナに用い得る放射電極部の各種の平面形状を図14ないし図27に例示する。なお、図14ないし図27において、14は放射電極部に給電ピン14が接続される位置を示し、16は放射電極部にショートピン16が接続される位置を示し、62は例示におけるそれぞれの放射電極部を示す。まず、図14は、放射電極部62の平面形状の第1例示であり、平面形状を「田」の字状とし、中央部に給電ピン14を電気的接続し、「田」の字状の外縁の対向する2隅に一対のショートピン16、16が配設される。図15は、放射電極部62の平面形状の第2例示であり、図1の第1実施例の十文字状の部分を折り曲げてその長さを長くしたものである。図16は、放射電極部62の平面形状の第3例示であり、図15の放射電極部62と同じ形状でショートピン16、16の配設位置を、図15のものとは別な辺に配設したものである。図17は、放射電極部62の平面形状の第4例示であり、図1の第1実施例の十文字状の部分の一部分を折り曲げてその長さを長くし他の部分は折り曲げることなしに構成したものである。図18は、放射電極部62の平面形状の第5例示であり、図17の放射電極部62と同じ形状でショートピン16、16の配設位置を、図17のものとは別な辺に配設したものである。図19は、放射電極部62の平面形状の第6例示であり、図1の第1実施例の十文字状の部分を、4方向に放射状の中央部付近を1本の直線にまとめ、このまとめられた1本の直線の両端部がそれぞれ2つに分岐されて正方形の4隅にそれぞれに連結されたごとき形状に代えて構成したものである。図20は、放射電極部62の平面形状の第7例示であり、図19の放射電極部62と同じ形状でショートピン16、16の配設位置を、図19のものとは別な辺に配設したものである。図21は、放射電極部62の平面形状の第8例示であり、図1の第1実施例の十文字状の部分をH字状に代えて構成したものである。図22は、放射電極部62の平面形状の第9例示であり、図21の放射電極部62と同じ形状でショートピン16、16の配設位置を、図21のものとは別な辺に配設したものである。図23は、放射電極部62の平面形状の第10例示であり、図1の第1実施例の十文字状の部分をミアンダ状に折り曲げてその長さを長くしたものである。図24は、放射電極部62の平面形状の第11例示であり、図7の第2実施例でショートピン16、16が配設されていない円弧状の縁部を省いた構造であり、言い換えれば図10の第3実施例で三角形の底辺を外に凸なる円弧状としたものでもある。図25は、放射電極部62の平面形状の第12例示であり、2つの同形の円をその一部が接するようにまたは重なるように配置した形状に放射電極部62を構成し、2つの円が接する部分に給電ピン14を配設し、この給電ピン14の配設位置を通過する直径方向で円の他方の位置にショートピン16、16をそれぞれに配設して構成したものである。図26は、放射電極部62の平面形状の第13例示であり、全体の平面形状が「日」の字状に放射電極部62を形成し、中央辺の中間位置に給電ピン14を配設し、上下辺の中間位置にショートピン16、16をそれぞれに配設した構造である。図27は、放射電極部62の平面形状の第14例示であり、平面形状が菱形の外縁形状と対向する2隅を結ぶ中央辺とから放射電極部62が形成され、中央辺の中間位置に給電ピン14を配設し、菱形の中央辺が結ばれていない対向する2隅に一対のショートピン16、16が配設されて構成されている。
【0043】
ところで、上述の第1実施例とその変形例、第2ないし第4実施例および本発明の平面型アンテナに用い得る放射電極部の各種の平面形状において、単独の平面型アンテナとしては、従来のM型アンテナに対して、必ずしも小型でしかも低背なものばかりではない。しかしながら、別のアンテナを放射電極部の切り欠き部分または放射電極部の導電線が設けらていない部分に組み込むことで、複数のアンテナの全体として小型化および低背化を図ることが可能である。この別のアンテナを組み込んだ本発明の平面型アンテナの第5実施例を図28を参照して説明する。図28は、本発明の平面型アンテナに別のアンテナを組み込んだ第5実施例の外観斜視図である。図28において、図1に示すものと同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0044】
図28に示す第5実施例において、放射電極部22の形状は、第1実施例と同じである。そして、切り欠き24、24、24、24の1つの部分に、一例として、GPSパッチアンテナ56が適宜な台の上に配設されている。このGPSアンテナ56は適宜な高さに配設されることは勿論である。かかる構成にあっては、スペースを有効に利用することができ、別のアンテナとしてのGPSパッチアンテナ56を組み込んで、複数のアンテナを配設するにも係わらず、設置スペースが大きくなるようなことがなく、また背も高くなることはない。なお、第5実施例の放射電極部52の導電線54が設けられていない他の部分に、さらに別のアンテナを配設しても良いことは勿論である。また、切り欠き24、24、24、24および導電線54が設けられていないそれぞれの部分に、必要に応じて別のアンテナをそれぞれに組み込むことも可能である。
【0045】
ところで、図1に示す第1実施例において、低い共振周波数885MHzとともに高い共振周波数2045MHzが得られている。そして、高い共振周波数2045MHzの共振動作における電流分布のシュミレーションによれば、放射電極部22の十文字状の部分の隅と中央部の間の中央部に近い位置に、電流ゼロとなる位置が生じている。そこで、発明者らは、高い共振周波数の広帯域化および利得の改善を図るための一手段として、低い共振周波数を高い共振周波数側に移行させて近づけることを考えた。その手段として、発明者らは、放射電極部22の十文字状の部分で高い共振周波数の共振動作で電流ゼロの位置に間隙を設けて容量結合を形成させて、高い共振周波数に対してはさしたる影響はないが、低い共振周波数に対しては短縮コンデンサとしての効果が得られるようにすれば良い、と考えた。かかる技術を具体化した第6実施例を、図29ないし図31を参照して説明する。図29は、本発明の平面型アンテナの第6実施例の平面図である。図30は、図29に示す間隙を設けた第6実施例のVSWR特性図である。図31は、図29に示す平面型アンテナで間隙を設けていない例のVSWR特性図である。
【0046】
図29に示す第6実施例において、絶縁樹脂板64の上に導電薄膜等の導電材により、平面外形が正方形の外縁部分と正方形の対向する隅を結ぶ十文字状の部分とからなる放射電極部66が設けられる。そして、第1実施例と同様に、十文字状の部分が交叉する中央部に給電ピン14が電気的接続され、また対向する外縁部分の中間位置に一対のショートピン16、16が電気的接続される。なお、この絶縁樹脂板64は、接地板10に対して所定の高さだけ離して平行に配設される。また、絶縁樹脂板64に穿設した角孔68は、別のアンテナを配設するためのスペースとして設けたものである。そして、この第6実施例の特徴とするところは、放射電極部66の十文字状の部分を隅と中央部の間で、導電材が切断されて間隙70、70、70、70が設けられたことにある。この間隙70、70、70、70が設けられる位置は、高い共振周波数の共振動作において電流分布で電流ゼロの位置またはその近くであることが望ましい。
【0047】
かかる構成からなる第6実施例にあっては、高い共振周波数に対しては間隙70、70、70、70の影響はない。しかし、低い共振周波数に対して、間隙70、70、70、70が設けられた位置がその共振動作において電流分布が電流ゼロの位置でなく、容量結合が形成されて、間隙70、70、70、70が短縮コンデンサとして作用し、低い共振周波数が高い共振周波数側に移行される。この結果、高い共振周波数の広帯域化と利得の改善が図られる。かかる効果は、間隙70、70、70、70を設けた場合の図30と、間隙70、70、70、70を設けていない場合の図31のVSWR特性図を比較すれば、明らかである。すなわち、図31に示すごとく、間隔70、70、70、70を設けていない場合の高い共振周波数帯の1940MHzと2150MHzのVSWR特性が、3.19と3.60であったものが、図30に示すごとく、間隔70、70、70、70を設けることにより高い共振周波数帯の1940MHzと2150MHzのVSWR特性が、2.11と2.46と改善されており、広帯域化が図られている。また、水平面利得においても、間隔70、70、70、70を設けていない場合の高い共振周波数帯の1940MHzと2150MHzで、−5.25dBiと−5.36dBiであったものが、間隔70、70、70、70を設けることにより高い共振周波数帯の1940MHzと2150MHzで、−2.01dBiと−2.22dBiと改善されている。ここで、間隙70、70、70、70の間隔が広いほど結合容量が小さくなって短縮効果が大きく作用することは勿論であり、間隙の広さを適宜に設定すれば良い。
【0048】
図32は、図29に示す第6実施例の変形例であって、絶縁樹脂板64の四隅に円弧状のネジ用の切り欠き72、72、72、72を設けたものである。本発明の平面型アンテナを覆うレドーム等を固定するためのネジ74、74、74、74を避けるための機構である。図29に示す第6実施例および図32に示すその変形例のごとく、放射電極部66は、その外縁部分が必ずしも正方形でなくても良く、略正方形であれば良く、十文字状の部分も正確に十文字状でなくても良く、その一部分が折れ曲がっている等の略十文字状であっても良い。
【0049】
さらに、本発明の第7実施例を図33を参照して説明する。図33は、本発明の平面型アンテナの第7実施例の平面図である。図33において、図29と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0050】
図33に示す第7実施例では、図29で放射電極部66の十文字状の部分に設けた間隙70、70、70、70の間にチップコンデンサ76、76、76、76をそれぞれに介装したものである。これらのチップコンデンサ76、76、76、76を介装することで、結合容量を任意に設定することができ、低い共振周波数を高い共振周波数側に任意に近づけて、高い共振周波数の特性を改善することができる。
【0051】
そしてさらに、本発明の第8実施例を図34を参照して説明する。図34は、本発明の平面型アンテナの第8実施例の平面図である。図34において、図29と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0052】
図34に示す第8実施例では、放射電極部66の十文字状の部分の隅に近い位置で導電材を切断して間隙を設け、その間隙にそれぞれチップインダクタンス78、78、78、78を介装したものである。これらのチップインダクタンス78、78、78、78を介装することで、延長コイルとして作用し、共振周波数をより低くする効果が得られる。よって、これらのチップインダクタンス78、78、78、78を介装した位置にミアンダ素子を介装したものと同様の効果が得られる。なお、チップインダクタンス78、78、78、78による延長コイルとしての作用を最も効果的に得るためには、共振動作における電流分布で電流が最大となる位置に設定することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の平面型アンテナの第1実施例の外観斜視図である。
【図2】図1の第1実施例のVSWR特性図である。
【図3】図1の第1実施例の水平指向特性図である。
【図4】ショートピンの配設位置をずらした第1変形例の外観斜視図である。
【図5】ショートピンの配設位置をさらにずらした第2変形例の外観斜視図である。
【図6】2対のショートピンを正方形の各辺の中間位置に配設した第3変形例の外観斜視図である。
【図7】本発明の平面型アンテナの第2実施例の外観斜視図である。
【図8】第2実施例のVSWR特性図である。
【図9】第2実施例の水平面指向特性図である。
【図10】本発明の平面型アンテナの第3実施例の外観斜視図である。
【図11】第3実施例のVSWR特性図である。
【図12】第3実施例の水平面指向特性図である。
【図13】本発明の平面型アンテナの第4実施例の外観斜視図である。
【図14】放射電極部の平面形状の第1例示である。
【図15】放射電極部の平面形状の第2例示である。
【図16】放射電極部の平面形状の第3例示である。
【図17】放射電極部の平面形状の第4例示である。
【図18】放射電極部の平面形状の第5例示である。
【図19】放射電極部の平面形状の第6例示である。
【図20】放射電極部の平面形状の第7例示である。
【図21】放射電極部の平面形状の第8例示である。
【図22】放射電極部の平面形状の第9例示である。
【図23】放射電極部の平面形状の第10例示である。
【図24】放射電極部の平面形状の第11例示である。
【図25】放射電極部の平面形状の第12例示である。
【図26】放射電極部の平面形状の第13例示である。
【図27】放射電極部の平面形状の第14例示である。
【図28】本発明の平面型アンテナに別のアンテナを組み込んだ第5実施例の外観斜視図である。
【図29】本発明の平面型アンテナの第6実施例の平面図である。
【図30】図29に示す間隙を設けた第6実施例のVSWR特性図である。
【図31】図29に示す平面型アンテナで間隙を設けていない例のVSWR特性図である。
【図32】図29に示す第6実施例の変形例である。
【図33】本発明の平面型アンテナの第7実施例の平面図である。
【図34】本発明の平面型アンテナの第8実施例の平面図である。
【図35】従来のM型アンテナの一例の外観斜視図である。
【図36】図35の構造のM型アンテナのVSWR特性図である。
【図37】図35の構造で接地板から放射電極部までの高さ寸法を31mmとした場合のVSWR特性図である。
【符号の説明】
【0054】
10 接地板
12、22、32、42、52、62、66 放射電極部
14 給電ピン
16 ショートピン
24、34、44 切り欠き
36、64 絶縁樹脂板
54 導電線
56 別のアンテナ
70 間隙
76 チップコンデンサ
78 チップインダクタンス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地板から離してしかも平行に平板状の放射電極部を設け、前記放射電極部の平面外形の中央部に給電ピンを電気的接続し、前記給電ピンの配設位置を中心として対称の位置で前記放射電極部の平面外形の外縁部を前記接地板に電気的に短絡するように対のショートピンを設けた平面型アンテナであって、前記給電ピンの配設位置と前記ショートピンの配設位置の間を結ぶ直線を遮るように前記放射電極部に切り欠きを設けて構成したことを特徴とする平面型アンテナ。
【請求項2】
接地板から離してしかも平行な平面内に導電線で放射電極部を設け、前記放射電極部の平面外形の中央部に給電ピンを電気的接続し、前記給電ピンの配設位置を中心として対称の位置で前記放射電極部の平面外形の外縁部を前記接地板に電気的に短絡するように対のショートピンを設けた平面型アンテナであって、前記給電ピンの配設位置と前記ショートピンの配設位置の間を直線的に結ぶ前記導電線を設けることなしに構成したことを特徴とする平面型アンテナ。
【請求項3】
請求項1または2記載の平面型アンテナにおいて、前記ショートピンを一対だけ設けて構成したことを特徴とする平面型アンテナ。
【請求項4】
請求項1記載の平面型アンテナにおいて、前記放射電極部の平面形状を正方形とし、前記放射電極部に前記正方形の各辺に下辺を平行として頂点を前記平面形状の中央部に向けた三角形の切り欠きをそれぞれに設け、前記正方形の対向する2辺の中間位置に一対の前記ショートピンを設けて構成したことを特徴とする平面型アンテナ。
【請求項5】
請求項1記載の平面型アンテナにおいて、前記放射電極部の平面形状を円形とし、前記放射電極部に頂点を前記平面形状の中央部に向けた扇形の4つの切り欠きを均等分割位置に設け、対向する2つの前記扇形の切り欠きで形成される円弧状の縁部の中間位置に一対の前記ショートピンを設けて構成したことを特徴とする平面型アンテナ。
【請求項6】
請求項1記載の平面型アンテナにおいて、前記放射電極部の前記切り欠きの部分に別のアンテナを配設して構成したことを特徴とする平面型アンテナ。
【請求項7】
請求項2記載の平面型アンテナにおいて、前記放射電極部の前記導電線が設けられていない部分に別のアンテナを配設して構成したことを特徴とする平面型アンテナ。
【請求項8】
請求項1記載の平面型アンテナにおいて、前記放射電極部を、絶縁樹脂板上に導電材により平面形状が正方形の外縁部分と前記正方形の対向する隅を結ぶ十文字状の部分とで形成し、しかも前記十文字状の部分を前記隅と前記十文字状の部分が交叉する中央部の間で切断して間隙を設けて構成したことを特徴とする平面型アンテナ。
【請求項9】
請求項8記載の平面型アンテナにおいて、前記放射電極部の前記十文字状の部分の前記間隙に、チップコンデンサを介装して構成したことを特徴とする平面型アンテナ。
【請求項10】
請求項1記載の平面型アンテナにおいて、前記放射電極部を、絶縁樹脂板上に導電材により平面形状が正方形の外縁部分と前記正方形の対向する隅を結ぶ十文字状の部分とで形成し、しかも前記十文字状の部分を前記隅に近い位置で切断して間隙を設け、この間隙にチップインダクタンスを介装して構成したことを特徴とする平面型アンテナ。
【請求項1】
接地板から離してしかも平行に平板状の放射電極部を設け、前記放射電極部の平面外形の中央部に給電ピンを電気的接続し、前記給電ピンの配設位置を中心として対称の位置で前記放射電極部の平面外形の外縁部を前記接地板に電気的に短絡するように対のショートピンを設けた平面型アンテナであって、前記給電ピンの配設位置と前記ショートピンの配設位置の間を結ぶ直線を遮るように前記放射電極部に切り欠きを設けて構成したことを特徴とする平面型アンテナ。
【請求項2】
接地板から離してしかも平行な平面内に導電線で放射電極部を設け、前記放射電極部の平面外形の中央部に給電ピンを電気的接続し、前記給電ピンの配設位置を中心として対称の位置で前記放射電極部の平面外形の外縁部を前記接地板に電気的に短絡するように対のショートピンを設けた平面型アンテナであって、前記給電ピンの配設位置と前記ショートピンの配設位置の間を直線的に結ぶ前記導電線を設けることなしに構成したことを特徴とする平面型アンテナ。
【請求項3】
請求項1または2記載の平面型アンテナにおいて、前記ショートピンを一対だけ設けて構成したことを特徴とする平面型アンテナ。
【請求項4】
請求項1記載の平面型アンテナにおいて、前記放射電極部の平面形状を正方形とし、前記放射電極部に前記正方形の各辺に下辺を平行として頂点を前記平面形状の中央部に向けた三角形の切り欠きをそれぞれに設け、前記正方形の対向する2辺の中間位置に一対の前記ショートピンを設けて構成したことを特徴とする平面型アンテナ。
【請求項5】
請求項1記載の平面型アンテナにおいて、前記放射電極部の平面形状を円形とし、前記放射電極部に頂点を前記平面形状の中央部に向けた扇形の4つの切り欠きを均等分割位置に設け、対向する2つの前記扇形の切り欠きで形成される円弧状の縁部の中間位置に一対の前記ショートピンを設けて構成したことを特徴とする平面型アンテナ。
【請求項6】
請求項1記載の平面型アンテナにおいて、前記放射電極部の前記切り欠きの部分に別のアンテナを配設して構成したことを特徴とする平面型アンテナ。
【請求項7】
請求項2記載の平面型アンテナにおいて、前記放射電極部の前記導電線が設けられていない部分に別のアンテナを配設して構成したことを特徴とする平面型アンテナ。
【請求項8】
請求項1記載の平面型アンテナにおいて、前記放射電極部を、絶縁樹脂板上に導電材により平面形状が正方形の外縁部分と前記正方形の対向する隅を結ぶ十文字状の部分とで形成し、しかも前記十文字状の部分を前記隅と前記十文字状の部分が交叉する中央部の間で切断して間隙を設けて構成したことを特徴とする平面型アンテナ。
【請求項9】
請求項8記載の平面型アンテナにおいて、前記放射電極部の前記十文字状の部分の前記間隙に、チップコンデンサを介装して構成したことを特徴とする平面型アンテナ。
【請求項10】
請求項1記載の平面型アンテナにおいて、前記放射電極部を、絶縁樹脂板上に導電材により平面形状が正方形の外縁部分と前記正方形の対向する隅を結ぶ十文字状の部分とで形成し、しかも前記十文字状の部分を前記隅に近い位置で切断して間隙を設け、この間隙にチップインダクタンスを介装して構成したことを特徴とする平面型アンテナ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
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【図11】
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【図14】
【図15】
【図16】
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【図18】
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【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【公開番号】特開2007−221774(P2007−221774A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−10047(P2007−10047)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(000006758)株式会社ヨコオ (158)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(000006758)株式会社ヨコオ (158)
【Fターム(参考)】
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