説明

廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システム及び廃棄物処分場の盛替え施工方法

【課題】 施工が容易な雨水の貯留・排水システム及び盛替え施工方法を提供する。
【解決手段】 露天型廃棄物処分場の埋立区画12の周囲に埋立区画12を囲むように設置されるとともに、隣接するもの同士が互いに連通した状態で接続され、かつ一部が埋立区画12の外部に連通する複数の側溝ブロック14と、埋立区画12の表面の全体を覆うように敷設されるとともに、周縁部が立ち上げられた状態で側溝ブロック14に固定されて、側溝ブロック14の内側の部分に雨水を貯留させる貯留池18cを形成する遮水シート18と、遮水シート18を上昇させることにより、貯留池18c内に貯留された雨水を押し上げて側溝ブロック14側に排水させる排水手段17とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システム及び廃棄物処分場の盛替え施工方法に関し、特に、露天型処分場において、降雨により埋立地盤内部に雨水が浸透することを防止する方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
クローズ型廃棄物処分場では、処分場用地の上部を天蓋で覆う構造であり、降雨による雨水の用地内浸透がなく、浸出水処理設備の負担が小さい反面、建設費が高価であり、広大な処分場には適合しにくい。また、水分や空気を内部供給することによる生物学的な分解処理を人工的な設備を用いて行わなければならず、維持費も高い。
これに対し、露天型廃棄物処分場は、敷地面積が小さいものから広大なものまで各種対応でき、建設費が安価であり、露天であるため廃棄物の生物学的分解なども降雨などの自然現象をそのまま利用して行うことができる。
【0003】
ところで、降雨そのものは自然現象であり、集中豪雨など一時的に大雨が降った場合に十分管理できないばかりか、浸出水処理設備の負荷が一時的に大きなものとなる。
そこで、このような露天型廃棄物処分場においては、廃棄物内部に対する雨水の浸出を防止して、浸出水処理設備の負担を軽減する対策として、埋立区画の表面を遮水シートで覆うことが行われている。
【0004】
また、埋立区画の周縁部に排水用側溝を掘削し、埋立区画表面に降り注いだ雨水を排水用側溝を通じて外部に排水することが必要であることから、側溝掘削後に、埋立区画の表面及び排水用側溝の上部を遮水シートで覆い、風などにあおられないように土嚢等の重しで固定している。
【0005】
また、埋立区画が平坦地である場合には、水がシート上に溜まってしまうため、排水溝側に向けて人工的な勾配を付加するために、シートの下面に複数の空気袋を配置し、シート上に雨水が滞留したら空気袋を膨張させ、遮水シートを持ち上げることで、排水溝側に強制的に流入させる方法も開発されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
いずれの方法も安価に行うことができ、雨水の大部分は内部にしみ込むことなく表面を伝わって外部に流下するため、浸出水処理設備の負荷を軽減できる。
【特許文献1】特開平11−57644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、以上の方法では、埋立途中にある廃棄物処分場の表面を遮水シートで覆っている場合には、一旦該当する区画の遮水シートを剥がした後、埋立と覆土及び整地作業を行い、区画毎に排水用側溝を掘削した後、再度遮水シートで覆う作業を埋立完了まで繰り返す必要がある。
【0008】
すなわち、埋立作業毎に排水用側溝の盛替え作業が必要となり、施工が面倒であり、側溝の面積分埋立て面積が縮小されるものとなっていた。加えて、前述のごとく、降雨は自然現象であるため、一時的に多量の降雨だけでなく、干天が続く場合もあり、このような場合においても、自然現象を有効に利用できないことになる。
【0009】
本発明は、以上の課題を解決するものであり、側溝の掘削作業がなく、盛替え毎の施工を容易にし、また遮水シート上に雨水を貯留し、これを有効活用できるようにした廃棄物処分場における雨水の貯留・排出方法及び廃棄物処分場の盛替え施工方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記のような課題を解決するために、以下のような手段を採用している。
【0011】
請求項1に係る発明は、露天型廃棄物処分場の埋立区画の周囲に埋立区画を囲むように設置される側溝ブロック等の立ち上げ部材と、前記埋立区画の表面の全体を覆うように敷設されるとともに、周縁部が立ち上げられた状態で前記立ち上げ部材に固定されて、前記立ち上げ部材で囲まれる部分に雨水を貯留させる貯留池を形成する遮水シートと、前記遮水シートを上昇させることにより、前記貯留池内に貯留された雨水を押し上げて前記埋立区画外に排水させる排水手段とを備えてなることを特徴とする。
【0012】
請求項2に係る発明は、露天型廃棄物処分場の埋立区画の周囲に埋立区画を囲むように設置され、高さ調整が可能な排水手段と、前記埋立区画の表面の全体を覆うように敷設されるとともに、周縁部が前記排水手段に固定されて、前記排水手段で囲まれる部分に雨水を貯留させる貯留池を形成する遮水シートとを備え、前記立ち上げ部材の高さを低くすることにより、前記貯留池内に貯留された雨水を前記埋立区画外に排水させることを特徴とする。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の廃棄物処分場における雨等の水の貯留・排水システムにおいて、前記排水手段は、内部に密閉された空所が設けられる遮水シートと、該遮水シートの空所内に圧縮空気を供給し、又は空所内から圧縮空気を排気させる給排気源とからなり、前記給排気源の作動によって前記空所内に圧縮空気を供給して、前記遮水シートを膨張変形させることにより、前記貯留池内の雨水が押し上げられて前記埋立区画外に排水されることを特徴とする。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項1又は2に記載の廃棄物処分場における雨等の水の貯留・排水システムにおいて、前記排水手段は、露天型廃棄物処分場の法面に沿って敷設されるとともに、下端部が法尻に連続する埋立地盤上を沿わされ、この状態で端部が法尻から所定の距離隔てた位置に設置されている前記立ち上げ部材に固定される遮水シートの前記埋立地盤上に位置する部分に設けられる袋状部と、該袋状部の内部に形成される密閉された空所内に圧縮空気を供給し、又は空所内から圧縮空気を排気させる給排気源とからなることを特徴とする。
【0015】
請求項5に係る発明は、請求項1又は2に記載の廃棄物処分場における雨等の水の貯留・排水システムにおいて、前記排水手段は、前記遮水シートと前記埋立地盤との間に設けられる少なくとも1つの袋状物と、該袋状物の内部に設けられる密閉された空所内に圧縮空気を供給し、又は空所内から圧縮空気を排気させる給排気源とからなることを特徴とする。
【0016】
請求項6に係る発明は、請求項1又は2に記載の廃棄物処分場における雨等の水の貯留・排水システムにおいて、前記排水手段は、露天型廃棄物処分場の法面に沿って敷設されるとともに、下端部が法尻に連続する埋立地盤上を沿わされ、この状態で端部が法尻から所定の距離隔てた位置に設置されている前記立ち上げ部材に固定される遮水シートの前記埋立地盤上に位置する部分と前記埋立地盤との間に設置される少なくとも1つの袋状物と、該袋状物の内部に形成される密閉された空所内に圧縮空気を供給し、又は空所内から圧縮空気を排気させる給排気源とからなることを特徴とする。
【0017】
請求項7に係る発明は、請求項1から6の何れかに記載の廃棄物処分場における雨等の水の貯留・排水システムにおいて、前記遮水シート又は前記排水手段と前記埋設地盤との間に電気マット等の発熱体を備え、降雪を融雪することを特徴とする。
【0018】
請求項8に係る発明は、請求項1から7の何れかに記載の廃棄物処分場における雨等の水の貯留・排水システムを備えた廃棄物処分場の盛替え施工方法であって、前記排水手段を作動させることにより、前記遮水シートを介して貯留池内の雨水を押し上げて貯留池内から前記埋立区画外へ流出させ、この後に、遮水シート及び立ち上げ部材若しくは遮水シート、立ち上げ部材及び袋状物、又は遮水シート若しくは遮水シート及び袋状物を撤去し、覆土を取り除いて廃棄物層の表面を露出させ、この廃棄物層の上部に新たな廃棄物を搬入して堆積させ、この後に、取り除いた覆土を廃棄物層の上部に戻して整地して覆土層を形成し、この後に、埋立区画の周囲に埋立区画を囲むように立ち上げ部材又は排水手段を設置し、埋立区画の表面を覆うように遮水シート又は袋状物及び遮水シートを敷設し、遮水シートの周縁部を立ち上げ部材又は排水手段に固定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
以上、説明したように、本発明による廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システム及び廃棄物処分場の盛替え方法によれば、廃棄物処分場の埋立区画に雨水の貯留・排水システムを構築する場合に、埋立区画の周囲に側溝を掘削する必要がなくなるので、施工が容易となるとともに、側溝が不要となるので、側溝の面積分、埋立区画を有効に利用することができる。
【0020】
さらに、システムの構築の後の降雨によって貯留池内に雨水が貯留されることにより、遮水シートを押える重石として機能させることができるので、埋立区画の地盤の圧密化を図ることができるとともに、風等によって遮水シートのバタつきを防止できる。さらに、後干天が続いた場合に、貯留池内に貯留されている雨水を他の埋立区画の灌水や散水等の用水として有効に利用することもできる。
【0021】
さらに、盛替えを行う場合に、排水手段の遮水シートの袋状部又は袋状物を膨張変形させるだけで、貯留池内に貯留されている雨水を容易に排水することができるので、遮水シート、袋状物、側溝ブロック等の撤去が容易となり、施工性を大幅に高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1〜図3には、本発明による廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システム及び廃棄物処分場の盛替え施工方法の第1の実施の形態が示されていて、図1は埋立区画の平面図、図2は図1のA−A線断面図であって、貯留・排水及び盛替え手順を示す説明図、図3は図1及び図2の側溝ブロックの斜視図である。
【0023】
すなわち、この実施の形態に示す廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システムは、露天型の廃棄物処分場に適用したものであって、図1に示すように、廃棄物処分場の埋立区画12を囲むように設置される複数の側溝ブロック14と、埋立区画12の表面を覆うように敷設されるとともに、周縁部が側溝ブロック14側に固定される遮水シート18と、遮水シート18の上部に貯留された雨水を押し上げて側溝ブロック14側に排水させる排水手段17とを備えている。
【0024】
廃棄物処分場内の地盤10は、表面が平坦に形成されるとともに、一端から他端にかけて所定の勾配の傾斜面に形成され、この地盤10上に略矩形状の複数の埋立区画12、12……が連続して設けられる。各埋立区画12の大きさは、特に制限されるものではなく、この実施の形態においては、一辺が7〜15m程度の矩形状としている。
【0025】
側溝ブロック14は、図1に示すように、各埋立区画12の周囲に各埋立区画12を囲むように複数設置されている。隣接する側溝ブロック14、14間は互いに接続され、これらの複数の側溝ブロック14、14……によって、各埋立区画12の周囲に一連の側溝15が形成されている。最下位に位置する側溝ブロック14には排水ピット16が接続され、側溝15内を流れる雨水等が排水ピット16を介して埋立区画12の外部に排水される。
【0026】
各側溝ブロック14は、図3に示すように、プレキャストコンクリート製品からなるフランジ付きのU字形の側溝ブロックであって、長手方向の両端部にそれぞれ凹凸からなる継手部14a、14bが設けられ、隣接する側溝ブロック14の継手部14a、14bの凹凸同士を互いに係合させることにより、隣接する側溝ブロック14、14間が軸線を一致させた状態で連結される。
【0027】
各側溝ブロック14の両フランジ14c、14cには、長手方向の両端部にそれぞれ連結用のボルト24が突設され、これらの連結用のボルト24を介して一方のフランジ14cに後述する遮水シート18の周縁部が固定され、他方のフランジ14cに後述する連結シート20の一端部が固定される。
【0028】
各埋立区画12の周囲に設置される複数の側溝ブロック14、14……には、埋立区画12の外形形状に応じた形状のものが使用される。この実施の形態においては、図1に示すように、埋立区画12の外形形状を矩形状としているので、埋立区画12の直線部に対応する部分に直線状の側溝ブロック14を使用し、角部に対応する部分にエルボ状(L形状)の側溝ブロック14を使用し、隣接する埋立区画12、12の隣接する角部に対応する部分にチーズ状(T形状)の側溝ブロック14を使用している。
【0029】
このように、埋立区画12の外形形状に応じた形状の側溝ブロック14を使用することにより、埋立区画12の周囲に複数の側溝ブロック14、14……によって一連の側溝15を形成することができ、この側溝15内に流入する雨水をほとんど漏洩することなく、排水ピット16を介して埋立区画12の外部に排水することができる。
【0030】
遮水シート18は、図2(a)〜(c)に示すように、シート状の下シート19bと、下シート19bの上部に重合されるとともに、周縁部が下シート19bの周縁部に熱融着、接着剤等の接合手段によって一体に接合される上シート19aとからなる袋状をなすものであって、両シート19b、19a間に密閉された空所19cが形成される。遮水シート18の下シート19b及び上シート19aは、各種のゴム、合成樹脂等から形成される。
【0031】
遮水シート18の上シート19aの一部には、図1に示すように、上シート19aを貫通して空所19c内に連通する給排気口18aが設けられている。給排気口18aには配管31を介してコンプレッサー等の給排気源30が接続され、この給排気源30の作動により空所19c内に圧縮空気が供給され、又は空所19c内から圧縮空気が排気される。
【0032】
袋状の遮水シート18と、遮水シート18の空所19c内に圧縮空気を供給・排気する給排気源30とによって排水手段17が構成され、この排水手段17の作動によって遮水シート18を膨張変形又は収縮変形させることにより、遮水シート18の上部に貯留された雨水を押し上げて側溝15内に排水させたり、遮水シート18を元のフラットな状態に復帰させたりすることができる。
【0033】
遮水シート18の周縁部の重合部には、図1に示すように、周方向に向かって所定の間隔ごとに環状の鳩目21(金具)が一体に取り付けられている。遮水シート18は、図2(a)に示すように、周縁部を立ち上げて重合部を各側溝ブロック14の内側のフランジ14cの上部に位置し、この状態で各鳩目21内にフランジ14c側の連結用ボルト24を挿通させ、各鳩目21から突出した連結用ボルト24の部分にナット26を螺合させて締め付けることにより、周縁部が各側溝ブロック14側に固定される。図2(a)(b)に示すように、遮水シート18の周縁部を立ち上げた状態で側溝ブロック14側に固定することにより、遮水シート18の上部に凹形状の貯留池18cが形成され、この貯留池18c内に降雨時に雨水が所定量貯留される。
【0034】
各側溝ブロック14(隣接する埋立区画12、12間の境界部に設置される側溝ブロック14は除く。)の外側のフランジ14cには、図1及び図2(a)〜(c)に示すように、連結シート20の一端部が連結されている。連結シート20は、各種のゴム、合成樹脂等から形成されるシート状をなすものであって、一端部に遮水シート18と同様の構成の鳩目21が所定の間隔ごとに一体に取り付けられている。
【0035】
連結シート20は、一端部を各側溝ブロック14の他方のフランジ14cの上部に位置し、この状態で各鳩目21内にフランジ14c側の連結用ボルト24を挿通させ、各鳩目21から突出した連結用ボルト24の部分にナット26を螺合させて締め付けることにより、各側溝ブロック14の外側のフランジ14cの上部に固定される。連結シート20の他端部は、その上部に固定ブロック22を載置させることにより、埋立区画12の周縁部に固定される。
【0036】
このような構成の連結シート20で各側溝ブロック14を固定することにより、各側溝ブロック14が浮き上がるのを防止することができ、各側溝ブロック14を各埋立区画12の周囲に安定した状態で保持することができる。
【0037】
次に、上記のように構成したこの実施の形態による廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システムの作用について説明する。
【0038】
まず、図2(a)に示すように、上記のような構成の遮水シート18を各埋立区画12の表面を覆うように敷設し、各埋立区画12の周囲に複数の側溝ブロック14、14……を設置して一連の側溝15を形成し、遮水シート18の周縁部を立ち上げて各側溝ブロック14の内側のフランジ14cに固定し、各側溝ブロック14の外側に連結シート20を敷設し、各連結シート20の一端部を各側溝ブロック14の外側のフランジ14cに固定し、他端部を側溝ブロック14の外側の埋立区画12の上部に固定し、遮水シート18の上部に凹形状の貯留池18cを形成する。
【0039】
そして、降雨時には、遮水シート18によって形成された貯留池18c内に雨水が貯留され、雨水が遮水シート18の下方の廃棄物に降り掛かるのが防止される。貯留池18cは、最大水深が側溝ブロック14の高さにほぼ一致し、貯留池18c内に最大水深を超える量の雨水が流入した場合には、貯留池18c内から雨水が溢れ出て側溝15内に流入し、側溝15内を勾配に沿って流れて排水ピット16内に流入し、排水ピット16から埋立区画12の外部に排水される。
【0040】
この場合、隣接する側溝ブロック14、14間は、両継手14a、14bの凹凸同士を相互に係合させることによって接続されているので、両者間を完全にシールすることはできず、接続部から雨水が埋立区画12の廃棄物側に漏洩することになるが、その漏洩量は過小であるので廃棄物の分解に影響を与えたり、周辺の環境に影響を与えたりするようなことはない。
【0041】
遮水シート18は、貯留池18c内に貯留された雨水の水圧により、埋立区画12の表面を覆った状態に強固に固定されるので、風等によるバタツキが防止される。また、遮水シート18は、この水圧によって埋立区画12内の廃棄物の圧密化も行う。さらに、貯留池18c内に貯留された雨水は、地盤10が露出した他の埋立区画12に対する灌水、粉塵防止用の散水等の用水として使用することもできる。
【0042】
次に、この実施の形態による廃棄物処分場の盛替え施工方法について説明する。
図2(b)の状態から、埋立区画12の廃棄物の上部に更に廃棄物を埋め立てるには、まず、図2(c)に示すように、排水手段17を作動させて貯留池18c内の雨水を押し上げ、貯留池18c内から側溝15内に流入させる。
【0043】
すなわち、排水手段17の遮水シート18の給排気口18aに配管31を介して給排気源30を接続し、給排気源30を作動させることにより配管31及び給排気口18aを介して遮水シート18の空所19c内に圧縮空気を供給し、遮水シート18を膨張変形させる。遮水シート18を膨張変形させることにより、貯留池18c内に貯留されていた雨水が貯留池18c内から流出して遮水シート18の表面を伝わって側溝15内に流入し、側溝15内を流れて排水ピット16内に流入し、排水ピット16から埋立区画12の外部に排水される。
【0044】
また、降雪により貯水池18c内が積雪している場合においては、遮水シート18の空所19c内に温かい圧縮空気を供給し、遮水シート18を膨張変形させる。すると、温かい圧縮空気の温度が遮水シート18を介して貯水池18c内の積雪に伝わり、積雪が融雪して水となって貯留池18c内から雨水と同様に流出させることが可能である。
【0045】
そして、貯留池18c内から雨水を排水した後に、遮水シート18の周縁部及び連結シート20の一端部を側溝ブロック14から取り外し、遮水シート18、連結シート20、側溝ブロック14、及び固定ブロック22を撤去し、埋立区画12の表面を露出させる。
【0046】
ここで、埋立区画12は、廃棄物層の上部に約30〜50cmの覆土層が積層されているので、図2(d)に示すように、覆土層の覆土を掻き出して廃棄物の表面を露出させ、この状態で廃棄物の上部に外部から新たな廃棄物を搬入して堆積させる。そして、廃棄物の搬入が完了した後に、新たな廃棄物の上部に掻き出した覆土を戻して整地して覆土層を形成し、このようにして、埋立区画12の盛替え作業が完了する。
【0047】
この後、埋立区画12の周囲に側溝ブロック14を設置し、埋立区画12の表面を覆うように遮水シート18を敷設し、遮水シート18の周縁部を側溝ブロック14側に固定し、連結シート20を側溝ブロック14側に固定することにより、再び廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システムを構成することができる。
【0048】
図4には、本発明による廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システム及び廃棄物処分場の盛替え施工方法の第2の実施の形態が示されていて、図4(a)は貯留池内に雨水が貯留された状態を示す説明図、図4(b)は貯留液内から雨水を排水させた状態を示す説明図である。
【0049】
すなわち、この実施の形態においては、法面32及び法面32に連続する埋立地盤10の端部に本発明による廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システム及び廃棄物処分場の盛替え施工方法を適用したものであって、その他の構成は前記第1の実施の形態に示すものと同様であるので、第1の実施の形態と同一の部分には同一の番号を付してその詳細な説明は省略するものとする。
【0050】
露天型廃棄物処分場は、周知のように、自然地形を利用したり、地盤の掘削や盛り土を行って造成した凹形状の処分場内に廃棄物を埋め立てるものであるので、法面を伝わって流下する雨水が埋め立てた廃棄物の内部に浸入するのを防止する必要がある。
【0051】
この実施の形態においては、法面32に沿って遮水シート18を敷設し、遮水シート18の上端部を法面32の頂部に固定ブロック22によって固定し、遮水シート18の下端部を法尻からやや離れた位置の埋立地盤10上に設置した側溝ブロック14の内側のフランジ14cに固定している。
【0052】
この場合、遮水シート18は、法尻と側溝ブロック14との間に位置する部分が上シート19aと下シート19bとからなる二重構造の袋状部18bに形成され、この袋状部18bの上部に凹形状の貯留池18cが形成される。
【0053】
遮水シート18の袋状部18bの内部には密閉された空所19cが設けられ、この空所19c内外を連通する給排気口(図示せず)が上シート19aの一部に設けられ、この給排気口に配管(図示せず)を介して給排気源(図示せず)が接続されている。給排気源と遮水シート18の袋状部18bとによって貯留池18c内に貯留された雨水を押し上げて排水させる排水手段17が構成される。
【0054】
この実施の形態においては、降雨時に法面32の遮水シート18を伝わって流下する雨水は、遮水シート18の袋状部18bの上部に形成された貯留池18c内に貯留されるとともに、貯留池18cから溢れ出た雨水は側溝15内に流入し、側溝15内を流れて側溝15に連通する排水ピット(図示せず)内に流入し、排水ピットから埋立区画12の外部に排水される。
【0055】
従って、遮水シート18は、貯留池18c内に貯留された雨水の水圧によって埋立区画12の表面を覆った状態に強固に固定されるので、風によるバタツキが防止される。また、遮水シート18は、この水圧によって埋立区画12の廃棄物の圧密化も行う。さらに、貯留池18c内に貯留された雨水は、地盤が露出した他の埋立区画12に対する灌水、防塵防止用の散水等の用水として利用することもできる。
【0056】
次に、この実施の形態による廃棄物処分場の盛替え施工方法について説明する。
図4(a)の状態から、埋立区画12の廃棄物の上部に更に廃棄物を埋め立てるには、図4(b)に示すように、排水手段17の給排気源(図示せず)を作動させて、遮水シート18の袋状部18bの空所19c内に圧縮空気を供給し、袋状部18bを膨張変形させる。
【0057】
すなわち、遮水シート18の給排気口(図示せず)に配管を(図示せず)介して給排気源(図示せず)を接続し、給排気源を作動させることにより配管及び給排気口を介して遮水シート18の袋状部18bの空所19c内に圧縮空気を供給し、遮水シート18の袋状部18bを膨張変形させる。遮水シート18の袋状部18bを膨張変形させることにより、貯留池18c内に貯留されていた雨水が押し上げられて貯留池18c内から流出して側溝15内に流入し、側溝15内を流れて排水ピット(図示せず)内に流入し、排水ピットから埋立区画12の外部に排水される。
【0058】
そして、貯留池18c内から雨水を排水させた後に、遮水シート18の周縁部を側溝ブロック14から取り外し、側溝ブロック14、固定ブロック22、及び遮水シート18を撤去し、埋立区画12の表面を露出させる。
【0059】
ここで、埋立区画12は、第1の実施の形態と同様に、廃棄物層の上部に約30〜50cmの覆土層が積層されているので、覆土層の覆土を掻き出して廃棄物の表面を露出させる。そして、この状態で廃棄物の上部に新たな廃棄物を外部から搬入して堆積させる。そして、廃棄物の搬入が完了した後に、新たな廃棄物層の上部に掻き出した覆土を戻して整地して覆土層を形成し、このようにして埋立区画12の盛替え作業が完了する。
【0060】
この後、法面32から所定の距離をおいた埋立地盤10上に側溝ブロック14を設置し、法面32の表面を覆うように遮水シート18を敷設し、遮水シート18の上端部を法面32の頂部に固定ブロック22により固定し、遮水シート18の下端部を側溝ブロック14の内側のフランジ14cに固定することにより、再び廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システムを構成することができる。
【0061】
図5には、本発明による廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システム及び廃棄物処分場の盛替え施工方法の第3の実施の形態が示されていて、図5(a)は平面図、図5(b)は図5(a)のB−B線断面図であって、貯留池内に雨水が貯留された状態を示す説明図、図5(c)は図5(a)のB−B線断面図であって、貯留池内から雨水を排水させた状態を示す説明図である。
【0062】
すなわち、この実施の形態に示す廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システムは、廃棄物処分場の埋立区画12を囲むように設置される複数の側溝ブロック14と、埋立区画12の表面を覆うように敷設されるとともに、周縁部が側溝ブロック14側に固定される遮水シート18と、遮水シート18の上部に貯留された雨水を押し上げて側溝ブロック14側に排水させる排水手段17とを備えている。
【0063】
遮水シート18は、各種のゴム、合成樹脂等から形成されるシート状をなすものであって、周縁部には周方向に向かって所定の間隔ごとに環状の鳩目21(金具)が一体に取り付けられている。
【0064】
側溝ブロック14の内側の埋立区画12の部分には、側溝ブロック14に沿って所定の間隔ごとに、かつ上端部が各側溝ブロック14の上端よりも上方に突出するように、複数の杭23が打設されている。各杭23の上端部にはフック23aが一体に設けられ、各フック23aに遮水シート18の周縁部の各鳩目21を掛着させることにより、遮水シート18が埋立区画12の表面を覆い、かつ周縁部を立ち上げた状態に固定される。遮水シート18の周縁部を側溝ブロック14側に固定することにより、遮水シート18の上部に凹形状の貯留池18cが形成され、この貯留池18c内に降雨時に雨水が貯留される。
【0065】
なお、側溝ブロック14の基本的な構成は前記第1の実施の形態に示すものと同様であるので、その詳細な説明は省略するものとする。また、この実施の形態においても、前記第1、第2の実施の形態に示すものと同様に、図示はしないが、各側溝ブロック14のフランジに連結用ボルトを突設し、この連結用ボルトを遮水シート18の鳩目21内を挿通させ、鳩目21から突出させた連結用ボルトの部分にナットを螺合させて締め付けることにより、遮水シート18の周縁部を側溝ブロック14側に固定しても良い。
【0066】
排水手段17は、遮水シート18と埋立区画12との間に設けられる袋状物35、36と、袋状物35、36内に圧縮空気を供給し、又は袋状物35、36内から圧縮空気を排気させるコンプレッサー等の給排気源(図示せず)とから構成されている。
【0067】
袋状物35、36は、埋立区画12の右半部に設置される第1袋状物35と、埋立区画12の左半部に設置される第2袋状物36とを備えている。第1袋状物35及び第2袋状物36は、各種のゴム、合成樹脂等からなる袋状をなすものであって、内部に密閉された空所35a、36aが形成されている。第1袋状物35及び第2袋状物36の一部には、空所35a、36a内外を貫通する給排気口(図示せず)が設けられ、この給排気口に配管(図示せず)を介して給排気源(図示せず)が接続される。
【0068】
第1袋状物35及び第2袋状物36の形状は、特に制限されるものではなく、この実施の形態においては、収縮時に長方形状をなし、膨張時に円柱状をなすような形状に形成されている。第1袋状物35及び第2袋状物36の製造方法は、特に制限されるものではなく、例えば、2枚の長方形状のシート状物を重合させ、周縁部を熱融着、接着剤等の接合手段によって一体に接合することにより袋状に形成する等の方法が挙げられる。
【0069】
次に、上記のように構成したこの実施の形態による廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システムの作用について説明する。
図5(b)に示すように、降雨時には、遮水シート18によって形成された貯留池18c内に雨水が貯留され、雨水が遮水シート18の下方の廃棄物に降り掛かるのが防止される。貯留池18cは、最大水深が側溝ブロック14の高さにほぼ一致しているので、貯留池18c内に最大水深を超える量の雨水が流入した場合には、貯留池18c内から雨水が溢れ出て側溝15内に流入する。側溝15内に流入した雨水は、側溝15内を勾配に沿って流れて排水ピット(図示せず)内に流入し、排水ピットから埋立区画12の外部に排水される。
【0070】
遮水シート18は、貯留池18c内に貯留された雨水の水圧により、埋立区画12の表面を覆った状態に強固に固定されるので、風等によるバタツキが防止される。また、遮水シート18は、この水圧によって埋立区画12内の廃棄物の圧密化も行う。さらに、貯留池18c内に貯留された雨水は、地盤が露出した他の埋立区画12に対する灌水、粉塵防止用の散水等の用水として使用することもできる。
【0071】
次に、この実施の形態による廃棄物処分場の盛替え施工方法について説明する。
図5(b)の状態から、埋立区画12の廃棄物の上部に更に廃棄物を埋め立てるには、まず、図5(c)に示すように、給排気源(図示せず)を作動させることにより、配管及び給排気口を介して第1袋状物35の空所35a内に圧縮空気を供給し、第1袋状物35を膨張変形させる。第1袋状物35を膨張変形させることにより、その上部に位置している遮水シート18の部分が押し上げられ、その部分に対応する貯留池18c内に貯留されていた雨水が一体に押し上げられて貯留池18cから流出して側溝15内に流入し、側溝15内を流れて排水ピット(図示せず)内に流入し、排水ピットから埋立区画12の外部に排水される。この場合、第2袋状物36の上部に位置している貯留池18cの部分には雨水が貯留されたままの状態となる。
【0072】
次に、図示はしないが、第1袋状物35を膨張させたままの状態で、給排気源を作動させることにより配管及び給排気口を介して第2袋状物36の空所36a内に圧縮空気を供給し、第2袋状物36を膨張変形させる。第2袋状物36を膨張変形させることにより、その上部に位置している遮水シート18の部分が押し上げられ、その部分に対応する貯留池18c内に貯留されていた雨水が一体に押し上げられて貯留池18cから流出して側溝15内に流入し、側溝15内を流れて排水ピット内に流入し、排水ピットから埋立区画12の外部に排水される。
【0073】
そして、貯留池18c内から雨水を完全に排水した後に、遮水シート18の周縁部を側溝ブロック14から取り外し、遮水シート18、第1袋状物35、第2袋状物36、側溝ブロック14、及び杭23を撤去し、埋立区画12の表面を露出させる。
【0074】
そして、埋立区画12の廃棄物層の上部に積層されている覆土層の覆土を掻き出して廃棄物層の表面を露出させ、この状態で廃棄物層の上部に新たな廃棄物を外部から搬入して堆積させ、廃棄物の搬入が完了した後に、新たな廃棄物層の上部に掻き出した覆土を戻して整地して覆土層を形成し、このようにして埋立区画12の盛替え作業が完了する。
【0075】
この後、埋立区画12の周囲に側溝ブロック14を設置し、側溝ブロック14の内側に杭23を打設し、埋立区画12の上部に袋状物35、36を設置し、その上部に埋立区画12の表面を覆うように遮水シート18を敷設し、遮水シート18の周縁部を側溝ブロック14の内側の杭23に固定することにより、再び廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システムを構成することができる。
【0076】
なお、上記の場合、第2袋状物36を先に膨張変形させ、その後に第1袋状物35を膨張変形させて、貯留池18c内の雨水を排水しても良いし、第1袋状物35と第2袋状物36の両方を同時に膨張変形させて、貯留池18c内の雨水を排水させても良い。
【0077】
また、上記以外の使用方法の一例として、図5(c)に示すように、第1袋状物35又は第2袋状物36を膨張変形させた状態に保持し、遮水シート18の上部の左半部と右端部に貯留池18c、18cを形成し、この貯留池18c、18c内に雨水を貯留させたままの状態とすることにより、風対策として機能させることもできる。
【0078】
図6には、本発明による廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システム及び廃棄物処分場の盛替え施工方法の第4の実施の形態が示されていて、図6(a)は平面図、図6(b)は図6(a)のC−C線断面図である。
【0079】
すなわち、この実施の形態に示す廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システムは、遮水シート18と埋立区画12との間に第1袋状物35、第2袋状物36及び第3袋状物37の3つの袋状物を設置したものであって、その他の構成は前記第3の実施の形態に示すものと同様であるので、第3の実施の形態に示すものと同一の部分には同一の番号を付してその詳細な説明は省略する。
【0080】
第1袋状物35、第2袋状物36及び第3袋状物37は、コ形状をなすように埋立区画12の上部に設置される。すなわち、第1袋状物35と第3袋状物37とが所定の間隔をおいて対向し、かつ、第1袋状物35と第3袋状物37の一端部間に第2袋状物36が位置するように設置されている。
【0081】
そして、この実施の形態による廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システムにあっても、前記第3の実施の形態に示すものと同様に、降雨時には、遮水シート18によって形成された貯留池18c内に雨水が貯留され、雨水が遮水シート18の下方の廃棄物に降り掛かるのが防止される。貯留池18cは、最大水深が側溝ブロック14の高さにほぼ一致しているので、貯留池18cに最大水深を超える量の雨水が流入した場合には、貯留池18cから雨水が溢れ出て側溝15内に流入する。側溝15内に流入した雨水は、側溝15内を勾配に沿って流れて排水ピット(図示せず)内に流入し、排水ピットから埋立区画12の外部に排水される。なお、側溝15内に流入した雨水を排水ポンプ(図示せず)により埋立区画12の外部に排水しても良い。
【0082】
遮水シート18は、貯留池18c内に貯留された雨水の水圧により、埋立区画12の表面を覆った状態に強固に固定されるので、風等によるバタツキが防止される。また、遮水シート18は、この水圧によって埋立区画12内の廃棄物の圧密化も行う。さらに、貯留池18c内に貯留された雨水は、地盤が露出した他の埋立区画12に対する灌水、粉塵防止用の散水等の用水として使用することもできる。
【0083】
さらに、この実施の形態による廃棄物処分場の盛替え施工方法を実施し、埋立区画12の廃棄物の上部に更に廃棄物を埋め立てるには、まず、図6(b)に示すように、第1袋状物35、第2袋状物36、第3袋状物37の順番に圧縮空気を供給して膨張変形させ、それらの袋状物35、36、37の上部に位置している遮水シート18を上昇させることにより、貯留池18cの周縁部をコ形状に上昇させてその内側の部分に雨水を貯留させ、図中矢印で示すように、雨水をコ形状の開口部から側溝15内に流入させ、側溝15を介して排水ピット(図示せず)内に流入させ、排水ピットから埋立区画12の外部に排水させる。
【0084】
貯留池18c内から雨水を排水した後に、遮水シート18の周縁部を側溝ブロック14から取り外し、遮水シート18、第1袋状物35、第2袋状物36、第3袋状物37、側溝ブロック14、及び杭23を撤去し、埋立区画12の表面を露出させる。
【0085】
そして、埋立区画12の廃棄物層の上部に積層されている覆土層の覆土を掻き出して廃棄物層の表面を露出させ、この状態で廃棄物層の上部に新たな廃棄物を外部から搬入して堆積させ、廃棄物の搬入が完了した後に、新たな廃棄物層の上部に掻き出した覆土を戻して整地して覆土層を形成し、このようにして埋立区画12の盛替え作業が完了する。
【0086】
この後、埋立区画12の周囲に側溝ブロック14を設置し、側溝ブロック14の内側に杭23を打設し、埋立区画12の上部に第1袋状物35、第2袋状物36及び第3袋状物37を設置し、その上部に埋立区画12の表面を覆うように遮水シート18を敷設し、遮水シート18の周縁部を立ち上げて側溝ブロック14の内側の杭23に固定することにより、再び廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システムを構成することができる。
【0087】
図7には、本発明による廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システム及び廃棄物処分場の盛替え施工方法の第5の実施の形態が示されていて、図7(a)は概略平面図、図7(b)は図7(a)のD−D線断面図である。
【0088】
すなわち、この実施の形態に示す廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システムは、遮水シート18と埋立区画12との間に第4袋状物38、第5袋状物39及び第6袋状物40の3つの袋状物を設置したものであって、その他の構成は前記第4の実施の形態に示すものと同様であるので、第4の実施の形態に示すものと同一の部分には同一の番号を付してその詳細な説明は省略する。
【0089】
第4袋状物38、第5袋状物39及び第6袋状物40は、等間隔に埋立区画12の上部に設置される。本実施例においては、例えば、3個の袋状物を用いたが埋設区画の広さ、排水量等の関係を考慮して適宜変更可能である。
【0090】
そして、この実施の形態による廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システムにあっても、前記第4の実施の形態に示すものと同様に、降雨時には、遮水シート18によって形成された貯留池18c内に雨水が貯留され、雨水が遮水シート18の下方の廃棄物に降り掛かるのが防止される。貯留池18cは、最大水深が側溝ブロック14の高さにほぼ一致しているので、貯留池18cに最大水深を超える量の雨水が流入した場合には、貯留池18cから雨水が溢れ出て側溝15内に流入する。側溝15内に流入した雨水は、側溝15内を勾配に沿って流れて排水ピット(図示せず)内に流入し、排水ピットから埋立区画12の外部に排水される。なお、側溝15内に流入した雨水を排水ポンプ(図示せず)により埋立区画12の外部に排水しても良い。
【0091】
この実施の形態による廃棄物処分場の盛替え施工方法を実施し、埋立区画12の廃棄物の上部に更に廃棄物を埋め立てるには、まず、図7(b)に示すように、第4袋状物38、第6袋状物40、第5袋状物39の順番に圧縮空気を供給して膨張変形させ、それらの袋状物38、39、40の上部に位置している遮水シート18を上昇させることにより、袋状物と袋状物との間に雨水を貯留させ、図中矢印で示すように、雨水を袋状物の長手方向(図7(a)の左右方向)の開口部のみから側溝15内に流入させ、袋状物の外周方向(図7(a)の上下方向)への雨水の移動を阻止し、側溝15を介して排水ピット(図示せず)内に流入させ、排水ピットから埋立区画12の外部に排水させる。
【0092】
貯留池18c内から雨水を排水した後に、遮水シート18の周縁部を側溝ブロック14から取り外し、遮水シート18、第4袋状物38、第5袋状物39、第6袋状物40、側溝ブロック14及び杭23を撤去し、埋立区画12の表面を露出させる。
【0093】
そして、埋立区画12の廃棄物層の上部に積層されている覆土層の覆土を掻き出して廃棄物層の表面を露出させ、この状態で廃棄物層の上部に新たな廃棄物を外部から搬入して堆積させ、廃棄物の搬入が完了した後に、新たな廃棄物層の上部に掻き出した覆土を戻して整地して覆土層を形成し、このようにして埋立区画12の盛替え作業が完了する。
【0094】
この後、埋立区画12の周囲に側溝ブロック14を設置し、側溝ブロック14の内側に杭23を打設し、埋立区画12の上部に第4袋状物38、第5袋状物39及び第6袋状物40を設置し、その上部に埋立区画12の表面を覆うように遮水シート18を敷設し、遮水シート18の周縁部を立ち上げて側溝ブロック14の内側の杭23に固定することにより、再び廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システムを構成することができる。
【0095】
図8には、本発明による廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システム及び廃棄物処分場の盛替え施工方法の第6の実施の形態が示されていて、図8(a)は貯留池内に雨水が貯留された状態を示す説明図、図8(b)は貯留液内から雨水を排水させた状態を示す説明図である。
【0096】
すなわち、この実施の形態に示す廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システムは、法面32に沿って複数枚の遮水シート18、18、18を敷設し、上下方向に隣接する遮水シート18、18の端部間を上位に位置するものが上側に位置するように重合させて、重合部に位置する両遮水シート18、18の鳩面(図示せず)間を紐(図示せず)によって連結し、最下位に位置する遮水シート18の下端部を法尻に連続する埋立地盤10上を沿わせ、その端部を法尻から所定の距離隔てた埋立地盤10上に設置されている側溝ブロック14の内側の杭23に固定し、側溝ブロック14と法尻との間に位置している遮水シート18と埋立地盤10との間に袋状物41を設置したものであって、その他の構成は前記第2の実施の形態に示すものと同様の構成を有している。なお、図示はしないが、隣接する遮水シート18、18の重合部に袋状物を設置し、袋状物を膨張変形させることにより、隣接する遮水シート18、18間をシールするようにしても良い。
【0097】
袋状物41は、内部に密閉された空所41aを有し、この空所41a内外を連通する給排気口(図示せず)が一部に設けられ、この給排気口に配管(図示せず)を介してコンプレッサー等の給排気源(図示せず)が接続され、この給排気源と袋状物41とによって貯留池18c内に貯留された雨水を上昇させて排水させる排水手段17が構成されている。
【0098】
そして、この実施の形態においても、前記第2の実施の形態に示すものと同様に、降雨時に法面32の遮水シート18を伝わって流下する雨水は、遮水シート18の下端部に形成された貯留池18c内に貯留されるとともに、貯留池18cから溢れ出た雨水は側溝15内に流入し、側溝15内を流れて側溝15に連通する排水ピット(図示せず)内に流入し、排水ピットから埋立区画12の外部に排水される。
【0099】
従って、遮水シート18は、貯留池18c内に貯留された雨水の水圧によって埋立区画12の表面を覆った状態に強固に固定されることになるので、風によるバタツキが防止される。また、遮水シート18は、この水圧によって埋立区画12の廃棄物の圧密化も行う。さらに、貯留池18c内に貯留された雨水は、地盤が露出した他の埋立区画12に対する灌水、防塵防止用の散水等の用水として利用することもできる。
【0100】
この実施の形態による廃棄物処分場の盛替え施工方法にあっても、埋立区画12の廃棄物の上部に更に廃棄物を埋め立てるには、図8(b)に示すように、排水手段17の給排気源(図示せず)を作動させて、袋状物41の空所41a内に圧縮空気を供給し、袋状物41を膨張変形させる。
【0101】
袋状物41aを膨張変形させると、その上部に位置している遮水シート18が押し上げられて、その部分に形成されていた貯留池18c内の雨水が貯留池18c内から流出して側溝15内に流入し、側溝15内を流れて排水ピット(図示せず)内に流入し、排水ピットから埋立区画12の外部に排水される。
【0102】
貯留池18c内から雨水を排水させた後に、遮水シート18の周縁部を杭23から取り外し、側溝ブロック14、杭23、遮水シート18、袋状物41を撤去し、埋立区画12の表面を露出させる。
【0103】
そして、廃棄物層の上部の覆土層の覆土を掻き出して廃棄物の表面を露出させ、廃棄物の上部に新たな廃棄物を外部から搬入して堆積させ、廃棄物の搬入が完了した後に、新たな廃棄物の上部に掻き出した覆土を戻して整地して覆土層を形成し、このようにして、埋立区画12の盛替え作業が完了する。
【0104】
この後、法面32から所定の距離をおいた埋立地盤10上に側溝ブロック14を設置し、その内側に杭23を打設し、側溝ブロック14と法尻との間の埋立地盤10上に袋状物41を設置し、法面32の表面を覆うように遮水シート18を敷設し、遮水シート18の上端部を法面32の頂部に杭23により固定し、遮水シート18の下端部を側溝ブロック14の内側の杭23に固定することにより、再び廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システムを構成することができる。
【0105】
図9には、本発明による廃棄物処分場における融雪水の貯留・排水システム及び廃棄物処分場の盛替え施工方法の第7の実施の形態が示されていて、図9(a)は概略平面図、図9(b)は図9(a)のE−E線断面図である。
【0106】
すなわち、この実施の形態に示す廃棄物処分場における融雪水の貯留・排水システムは、遮水シート18と埋立区画12との間に通電により熱を発生する電気マット50を設置し、遮水シート18上の降雪を電気マット50が発する熱により融雪させるものであって、その他の構成は前記第1の実施の形態に示すものと同様であるので、第1の実施の形態に示すものと同一の部分には同一の番号を付してその詳細な説明は省略する。
【0107】
電気マット50の表面には電熱線51が等間隔に配設され、防水処理されている。
そして、この実施の形態による廃棄物処分場における融雪水の貯留・排水システムにあっては、降雪は、遮水シート18によって形成された貯留池18c内で電気マット50の熱により融雪し、貯留される。貯留池18cは、最大水深が側溝ブロック14の高さにほぼ一致しているので、貯留池18cに最大水深を超える量の降雪があった場合には、貯留池18cから融雪水が溢れ出て側溝15内に流入する。
【0108】
また、貯留池18c内の貯留水の表面が凍らないように水深、外気温等の影響を考慮して電気マット50の設定温度は適宜変更可能である。
【0109】
この実施の形態による廃棄物処分場の盛替え施工方法を実施し、埋立区画12の廃棄物の上部に更に廃棄物を埋め立てるには、まず、図9(b)に示すように、排水手段17を作動させて貯留池18c内の融雪水を押し上げ、貯留池18c内から側溝15内に流入させる。
【0110】
そして、貯留池18c内から融雪水を排水した後に、遮水シート18及び電気マット50の周縁部及び連結シート20の一端部を側溝ブロック14から取り外し、遮水シート18、電気マット50、連結シート20、側溝ブロック14及び固定ブロック22を撤去し、埋立区画12の表面を露出させる。
【0111】
ここで、埋立区画12は、廃棄物層の上部に約30〜50cmの覆土層が積層されているので、覆土層の覆土を掻き出して廃棄物の表面を露出させ、この状態で廃棄物の上部に外部から新たな廃棄物を搬入して堆積させる。そして、廃棄物の搬入が完了した後に、新たな廃棄物の上部に掻き出した覆土を戻して整地して覆土層を形成し、埋立区画12の盛替え作業が完了する。
【0112】
この後、埋立区画12の周囲に側溝ブロック14を設置し、埋立区画12の表面を覆うように電気マット50、遮水シート18を敷設し、電気マット50及び遮水シート18の周縁部を側溝ブロック14側に固定し、連結シート20を側溝ブロック14側に固定することにより、再び廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システムを構成することができる。
【0113】
また、本実施例においては電気マットを用いたが埋設区画の広さ、発熱体の発熱量等を考慮して適宜、他の発熱体、例えば、リボン状のヒーター等を使用することが可能である。 そして、電気マット50は上述したすべての実施例及び下述するすべての実施例において適用することが可能である。
【0114】
なお、上述したすべての実施例において側溝ブロック14を使用しているが、本発明においては、側溝ブロック14は必須ではない。例えば、埋設区画12の外部に直接、雨水等を流すことが可能な場合においては、側溝ブロック14を設置せず杭23のみを既定の高さになるように配設し、遮水シート18の空所19c内に圧縮空気を供給し、遮水シート18を膨張変形させ埋設区画12の外部に雨水等を放出することも可能である。
そこで、以下に、側溝ブロック14の代わりに袋状物を立ち上げ部材とする実施例を示す。
【0115】
図10には、本発明による廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システム及び廃棄物処分場の盛替え施工方法の第8の実施の形態が示されていて、図10(a)は概略平面図、図10(b)は図10(a)のF−F線断面図である。
【0116】
すなわち、この実施の形態に示す廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システムは、埋立区画12の表面を覆うように敷設されるとともに、周縁部が埋立区画12を囲むように設置される杭23にて固定される遮水シート61と、排水手段17とを備えたものであって、その他の構成は前記第1の実施の形態に示すものと同様であるので、第1の実施の形態に示すものと同一の部分には同一の番号を付してその詳細な説明は省略する。
【0117】
遮水シート61は、図10(b)に示すように、シート状の下シート61bと、下シート61bの上部に重合されるとともに、周縁部が下シート61bの周縁部に熱融着、接着剤等の接合手段によって一体に接合される上シート61aとからなる袋状が遮水シート61の周端部に形成されており、下シート61bと上シート61aと間に密閉された空所61cが形成される。
【0118】
この遮水シート61の上シート61aの一部には、給排気口18aが設けられている(図示しない)。排水手段17は、遮水シート61と空所61c内に圧縮空気を供給・排気する給排気源30とによって構成されており、給排気源30の作動により空所61c内に圧縮空気が供給され、又は空所61c内から圧縮空気が排気される。
【0119】
この排水手段17の作動によって空所61cを膨張変形させて空所61cに囲まれた貯留池18cに雨等の水を貯留することができる。降雨時には、貯留池18c内に雨水が貯留され、雨水が遮水シート61の下方の廃棄物に降り掛かるのが防止される。貯留池18cは、最大水深が空所61cの高さに一致しているので、貯留池18cに最大水深を超える量の雨水が流入した場合には、貯留池18cから雨水を溢れさせ、埋立区画12の外部に放出する。
【0120】
さらに、この実施の形態による廃棄物処分場の盛替え施工方法を実施し、埋立区画12の廃棄物の上部に更に廃棄物を埋め立てるには、まず、空所61c内の圧縮空気を排気して収縮変形させて貯留池18cの周縁部の高さを低くすることにより、貯留池18c内の雨水を埋立区画12の外部に流出させる。貯留池18c内から雨水を流出させた後に、遮水シート61を撤去し、埋立区画12の表面を露出させる。
【0121】
そして、埋立区画12の廃棄物層の上部に積層されている覆土層の覆土を掻き出して廃棄物層の表面を露出させ、この状態で廃棄物層の上部に新たな廃棄物を外部から搬入して堆積させ、廃棄物の搬入が完了した後に、新たな廃棄物層の上部に掻き出した覆土を戻して整地して覆土層を形成し、このようにして埋立区画12の盛替え作業が完了する。
【0122】
この後、埋立区画12の表面を覆うように遮水シート61を敷設し、空所61cに圧縮空気を供給することにより、再び廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システムを構成することができる。
【0123】
図11には、本発明による廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システム及び廃棄物処分場の盛替え施工方法の第9の実施の形態が示されていて、図11(a)は貯留池内に雨水が貯留された状態を示す説明図、図11(b)は貯留液内から雨水を排水させた状態を示す説明図である。
【0124】
すなわち、この実施の形態においては、法面32及び法面32に連続する埋立地盤10の端部に本発明による廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システム及び廃棄物処分場の盛替え施工方法を適用したものであって、その他の構成は前記第2又は6の実施の形態に示すものと同様であるので、第2又は6の実施の形態と同一の部分には同一の番号を付してその詳細な説明は省略するものとする。
【0125】
この実施の形態においては、法面32に沿って複数枚の遮水シート18、18、18を敷設し、最下位に位置する遮水シート18の下端部を法尻に連続する埋立地盤10上を沿わせ、その端部を法尻から所定の距離隔てた埋立地盤10上に設置されている遮水シート61に接続し、遮水シート61の空所61c内に圧縮空気を供給し膨張させ、空所61cと法尻との間に位置している遮水シート18上に貯留池18cが形成される。
【0126】
そして、降雨時に法面32の遮水シート18を伝わって流下する雨水は、遮水シート18の下端部に形成された貯留池18c内に貯留されるとともに、貯留池18cから溢れ出た雨水は埋立区画12の外部に排水される。
【0127】
この実施の形態による廃棄物処分場の盛替え施工方法にあっても、埋立区画12の廃棄物の上部に更に廃棄物を埋め立てるには、排水手段17の給排気源(図示せず)を作動させて、空所61c内の圧縮空気を排気して収縮変形させて貯留池18cの端部の高さを低くすることにより、貯留池18c内の雨水を埋立区画12の外部に流出させる。
【0128】
そして、遮水シート61及び遮水シート18を撤去し、埋立区画12の表面を露出させる。廃棄物層の上部の覆土層の覆土を掻き出して廃棄物の表面を露出させ、廃棄物の上部に新たな廃棄物を外部から搬入して堆積させ、廃棄物の搬入が完了した後に、新たな廃棄物の上部に掻き出した覆土を戻して整地して覆土層を形成し、このようにして、埋立区画12の盛替え作業が完了する。
【0129】
この後、法面32の最下位に位置する遮水シート18の下端部を法尻に連続する埋立地盤10上を沿わせ、その端部を法尻から所定の距離隔てた埋立地盤10上に設置されている遮水シート61に接続し、空所61c内に圧縮空気を供給し膨張させ、空所61cと法尻との間に貯留池18cを形成することにより、再び廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システムを構成することができる。
【0130】
図12には、本発明による廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システム及び廃棄物処分場の盛替え施工方法の第10の実施の形態が示されていて、図12(a)は概略平面図、図12(b)は図12(a)のG−G線断面図である。
【0131】
すなわち、この実施の形態に示す廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システムは、遮水シート18と埋立区画12との間に中空の口字形の第7袋状物71を設置したものであって、その他の構成は前記第2〜5の実施の形態に示すものと同様であるので、第2〜5の実施の形態に示すものと同一の部分には同一の番号を付してその詳細な説明は省略する。
【0132】
遮水シート18の端部に第7袋状物71を設け、第7袋状物71を膨張変形させることにより、膨張変形した第7袋状物71によって遮水シート18の中央部に貯留池18cを形成することができる。
そして、降雨時には貯留池18c内に雨水が貯留され、雨水が遮水シート18の下方の廃棄物に降り掛かるのが防止される。貯留池18cは、最大水深が第7袋状物71の高さに一致しているので、貯留池18cに最大水深を超える量の雨水が流入した場合には、貯留池18cから雨水が溢れ出て、埋立区画12の外部に放出される。
【0133】
さらに、この実施の形態による廃棄物処分場の盛替え施工方法を実施し、埋立区画12の廃棄物の上部に更に廃棄物を埋め立てるには、まず、第7袋状物71の圧縮空気を排気して収縮変形させて貯留池18cの周縁部の高さを低くすることにより、貯留池18c内の雨水を埋立区画12の外部に流出させる。
この貯留池18c内から雨水を流出させた後に、遮水シート18、第7袋状物71を撤去し、埋立区画12の表面を露出させる。
【0134】
そして、埋立区画12の廃棄物層の上部に積層されている覆土層の覆土を掻き出して廃棄物層の表面を露出させ、この状態で廃棄物層の上部に新たな廃棄物を外部から搬入して堆積させ、廃棄物の搬入が完了した後に、新たな廃棄物層の上部に掻き出した覆土を戻して整地して覆土層を形成し、このようにして埋立区画12の盛替え作業が完了する。
この後、埋立区画12の周囲に第7袋状物71を設置し、その上部に埋立区画12の表面を覆うように遮水シート18を敷設することにより、再び廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システムを構成することができる。
【0135】
図13には、本発明による廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システム及び廃棄物処分場の盛替え施工方法の第11の実施の形態が示されていて、図13(a)は貯留池内に雨水が貯留された状態を示す説明図、図13(b)は貯留液内から雨水を排水させた状態を示す説明図である。本実施形態において、第6、8の実施の形態と同一の部分には同一の番号を付してその詳細な説明は省略するものとする。
【0136】
すなわち、この実施の形態に示す廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システムは、法面32に沿って複数枚の遮水シート18を敷設し、最下位に位置する遮水シート18の下端部を法尻に連続する埋立地盤10上を沿わせ、その端部を法尻から所定の距離隔てた埋立地盤10上に設置されている杭23に固定し、杭23と法尻との間に位置している遮水シート18と埋立地盤10との間に第8袋状物72を設置したものである。
【0137】
第8袋状物72は、内部に密閉された空所72aを有し、この空所72a内外を連通する給排気口(図示せず)が一部に設けられ、この給排気口に配管(図示せず)を介してコンプレッサー等の給排気源(図示せず)が接続される。そして、第8袋状物72を膨張変形させることにより、膨張変形した第8袋状物72によって杭23と法尻との間に貯留池18cが形成される。
【0138】
この実施の形態においても、降雨時に法面32の遮水シート18を伝わって流下する雨水は、遮水シート18の下端部に形成された貯留池18c内に貯留される。
さらに、この実施の形態による廃棄物処分場の盛替え施工方法を実施し、埋立区画12の廃棄物の上部に更に廃棄物を埋め立てるには、まず、図13(b)に示すとおり、第8袋状物72の圧縮空気を排気して収縮変形させ、第8袋状物72の高さを低くすることにより、貯留池18c内の雨水を埋立区画12の外部に流出させる。
この貯留池18c内から雨水を流出させた後に、遮水シート18、第8袋状物72を撤去し、埋立区画12の表面を露出させる。
そして、埋立区画12の廃棄物層の上部に積層されている覆土層の覆土を掻き出して廃棄物層の表面を露出させ、この状態で廃棄物層の上部に新たな廃棄物を外部から搬入して堆積させ、廃棄物の搬入が完了した後に、新たな廃棄物層の上部に掻き出した覆土を戻して整地して覆土層を形成し、このようにして埋立区画12の盛替え作業が完了する。
この後、法面32から所定の距離をおいた埋立地盤10上に第8袋状物72を設置し、法面32から第8袋状物72までの表面を覆うように遮水シート18を敷設することにより、再び廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システムを構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】本発明による廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システム及び廃棄物処分場の盛替え施工方法の第1の実施の形態を示した平面図であって、埋立区画の示した平面図である。
【図2】(a)から(d)は図1のA−A線断面図であって、(a)は貯留池内に雨水が貯留されていない状態を示した説明図であり、(b)は貯留池内に雨水が貯留された状態を示した説明図であり、(c)は貯留池内から雨水を排水させた状態を示した説明図であり、(d)は新たな廃棄物を搬入した状態を示した説明図である。
【図3】図1の側溝ブロックの斜視図である。
【図4】本発明による廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システム及び廃棄物処分場の盛替え施工方法の第2の実施の形態を示した概略図であって、(a)は貯留池内に雨水が貯留された状態を示した説明図であり、(b)は貯留池内から雨水を排水させた状態を示した説明図である。
【図5】本発明による廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システム及び廃棄物処分場の盛替え施工方法の第3の実施の形態を示し、(a)は概略平面図であり、(b)は(a)のB−B線断面図であって、貯留池内に雨水が貯留された状態を示した説明図であり、(c)は(a)のB−B線断面図であって、貯留池内から雨水を排水させた状態を示した説明図である。
【図6】本発明による廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システム及び廃棄物処分場の盛替え施工方法の第4の実施の形態を示し、(a)は概略平面図であり、(b)は(a)のC−C線断面図であって、貯留池内から雨水を排水させた状態を示した説明図である。
【図7】本発明による廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システム及び廃棄物処分場の盛替え施工方法の第5の実施の形態を示し、(a)は概略平面図であり、(b)は(a)のD−D線断面図であって、貯留池内から雨水を排水させた状態を示した説明図である。
【図8】本発明による廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システム及び廃棄物処分場の盛替え施工方法の第6の実施の形態を示し、(a)は貯留池内に雨水が貯留された状態を示した説明図であり、(b)は貯留池内の雨水を排出する方法を示した説明図である。
【図9】本発明による廃棄物処分場における融雪水の貯留・排水システム及び廃棄物処分場の盛替え施工方法の第7の実施の形態を示し、(a)は概略平面図であり、(b)は(a)のE−E線断面図である。
【図10】本発明による廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システム及び廃棄物処分場の盛替え施工方法の第8の実施の形態を示し、(a)は概略平面図であり、(b)は(a)のF−F線断面図である。
【図11】本発明による廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システム及び廃棄物処分場の盛替え施工方法の第9の実施の形態を示し、(a)は貯留池内に雨水が貯留された状態を示す説明図であり、(b)は貯留液内から雨水を排水させた状態を示す説明図である。
【図12】本発明による廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システム及び廃棄物処分場の盛替え施工方法の第10の実施の形態を示し、(a)は概略平面図であり、(b)は(a)のG−G線断面図である。
【図13】本発明による廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システム及び廃棄物処分場の盛替え施工方法の第11の実施の形態を示し、(a)は貯留池内に雨水が貯留された状態を示す説明図であり、(b)は貯留池内の雨水を排出する方法を示した説明図である。
【符号の説明】
【0140】
10 埋立地盤 12 埋立区画
14 側溝ブロック(=立ち上げ部材)
14a、14b 継手部 14c フランジ
15 側溝 16 排水ピット
17 排水手段 18 遮水シート
18a 給排気口 18b 袋状部
18c 貯留池 19a 上シート
19b 下シート 19c 空所
20 連結シート 21 鳩目
22 固定ブロック
23 杭(=立ち上げ部材) 23a フック
24 連結用ボルト 26 ナット
30 給排気源
31 配管 32 法面
35 第1袋状物 35a 空所
36 第2袋状物 36a 空所
37 第3袋状物 37a 空所
38 第4袋状物 38a 空所
39 第5袋状物 39a 空所
40 第6袋状物 40a 空所
41 袋状物 41a 空所
50 電気マット 51 電熱線
61 遮水シート 61a 上シート
61b 下シート 61c 空所
71 第7袋状物
72 第8袋状物 72a 空所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
露天型廃棄物処分場の埋立区画の周囲に埋立区画を囲むように設置される側溝ブロック等の立ち上げ部材と、前記埋立区画の表面の全体を覆うように敷設されるとともに、周縁部が立ち上げられた状態で前記立ち上げ部材に固定されて、前記立ち上げ部材で囲まれる部分に雨水を貯留させる貯留池を形成する遮水シートと、前記遮水シートを上昇させることにより、前記貯留池内に貯留された雨水を押し上げて前記埋立区画外に排水させる排水手段とを備えてなることを特徴とする廃棄物処分場における雨等の水の貯留・排水システム。
【請求項2】
露天型廃棄物処分場の埋立区画の周囲に埋立区画を囲むように設置され、高さ調整が可能な排水手段と、前記埋立区画の表面の全体を覆うように敷設されるとともに、周縁部が前記排水手段に固定されて、前記排水手段で囲まれる部分に雨水を貯留させる貯留池を形成する遮水シートとを備え、前記立ち上げ部材の高さを低くすることにより、前記貯留池内に貯留された雨水を前記埋立区画外に排水させることを特徴とする廃棄物処分場における雨等の水の貯留・排水システム。
【請求項3】
前記排水手段は、内部に密閉された空所が設けられる遮水シートと、該遮水シートの空所内に圧縮空気を供給し、又は空所内から圧縮空気を排気させる給排気源とからなり、前記給排気源の作動によって前記空所内に圧縮空気を供給して、前記遮水シートを膨張変形させることにより、前記貯留池内の雨水が押し上げられて前記埋立区画外に排水されることを特徴とする請求項1又は2に記載の廃棄物処分場における雨等の水の貯留・排水システム。
【請求項4】
前記排水手段は、露天型廃棄物処分場の法面に沿って敷設されるとともに、下端部が法尻に連続する埋立地盤上を沿わされ、この状態で端部が法尻から所定の距離隔てた位置に設置されている前記立ち上げ部材に固定される遮水シートの前記埋立地盤上に位置する部分に設けられる袋状部と、該袋状部の内部に形成される密閉された空所内に圧縮空気を供給し、又は空所内から圧縮空気を排気させる給排気源とからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の廃棄物処分場における雨等の水の貯留・排水システム。
【請求項5】
前記排水手段は、前記遮水シートと前記埋立地盤との間に設けられる少なくとも1つの袋状物と、該袋状物の内部に設けられる密閉された空所内に圧縮空気を供給し、又は空所内から圧縮空気を排気させる給排気源とからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の廃棄物処分場における雨等の水の貯留・排水システム。
【請求項6】
前記排水手段は、露天型廃棄物処分場の法面に沿って敷設されるとともに、下端部が法尻に連続する埋立地盤上を沿わされ、この状態で端部が法尻から所定の距離隔てた位置に設置されている前記立ち上げ部材に固定される遮水シートの前記埋立地盤上に位置する部分と前記埋立地盤との間に設置される少なくとも1つの袋状物と、該袋状物の内部に形成される密閉された空所内に圧縮空気を供給し、又は空所内から圧縮空気を排気させる給排気源とからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の廃棄物処分場における雨等の水の貯留・排水システム。
【請求項7】
前記遮水シート又は前記排水手段と前記埋設地盤との間に電気マット等の発熱体を備え、降雪を融雪することを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の廃棄物処分場における雨等の水の貯留・排水システム。
【請求項8】
請求項1から7の何れかに記載の廃棄物処分場における雨水の貯留・排水システムを備えた廃棄物処分場の盛替え施工方法であって、
前記排水手段を作動させることにより、前記遮水シートを介して貯留池内の雨水を押し上げて貯留池内から前記埋立区画外へ流出させ、この後に、遮水シート及び立ち上げ部材若しくは遮水シート、立ち上げ部材及び袋状物、又は遮水シート若しくは遮水シート及び袋状物を撤去し、覆土を取り除いて廃棄物層の表面を露出させ、この廃棄物層の上部に新たな廃棄物を搬入して堆積させ、この後に、取り除いた覆土を廃棄物層の上部に戻して整地して覆土層を形成し、この後に、
埋立区画の周囲に埋立区画を囲むように立ち上げ部材又は排水手段を設置し、埋立区画の表面を覆うように遮水シート又は袋状物及び遮水シートを敷設し、遮水シートの周縁部を立ち上げ部材又は排水手段に固定することを特徴とする廃棄物処分場の盛替え施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−55702(P2006−55702A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−237718(P2004−237718)
【出願日】平成16年8月17日(2004.8.17)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【出願人】(000204099)太洋興業株式会社 (30)
【Fターム(参考)】