説明

廃水処理方法及び廃水処理装置

【課題】大型の施設や特殊な設備を必要とせず、現行の活性汚泥処理施設を利用することができ、薬剤コストや運転コストが低く、且つ、効率的にPVAを微生物により分解してCOD負荷を低減することのできる廃水処理方法及び廃水処理装置を提供する。
【解決手段】
ポリビニルアルコールを含有する廃水にポリビニルアルコール分解能を有する微生物を加えて、当該廃水を好気性雰囲気下に維持することにより、前記微生物を好気的に増殖させ、且つ、当該廃水中のポリビニルアルコールを好気的に分解する。この微生物は、Pseudomonadaceae属に属するPseudomonas sp.W‐4(FERM P−21573)又は/及びChryseobacterium属に属するChryseobacterium sp.W‐6(FERM P−21572)である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物を利用して廃水中に含まれる化学物質を分解処理する廃水処理方法及び当該方法に使用する廃水処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生産工場の廃水には多くの化学物質が含まれており、例えば、繊維染色工場の廃水(以下、「染色廃水」という)は、精練工程、染色工程及び仕上げ工程から排出される廃水の混合物であり、染料などの着色物質だけでなく、多くの化学物質を含んでいる。このことから、染色廃水は、環境負荷を表す化学的酸素要求量(以下、「COD」という)や生物学的酸素要求量(以下、「BOD」という)の値が高い廃水である。従って、染色廃水は、従来から凝集沈殿処理、加圧浮上処理及び活性汚泥処理などを組み合わせた廃水処理工程によって処理された後、繊維染色工場から放流水として排出される。
【0003】
ここで、凝集沈殿処理や加圧浮上処理においては、鉄やアルミニウム化合物等の金属塩を主成分とする無機系凝集剤やポリアクリルアミド等の高分子凝集剤を多量に添加するため凝集剤コストが大きくなる。また、大量に発生する凝集汚泥やスラッジの処分は、その費用が高騰しているだけでなく、環境問題から、これまでのような埋め立て処分や焼却処分は難しくなっている。
【0004】
そこで、近年、自然環境保護の観点から、廃水処理の方法として、エネルギー損失が少なく、汚泥排出の少ない微生物処理方法が注目されている。しかしながら、廃水の中には、合成高分子をはじめ、一般に微生物による分解を受けにくいとされる物質が多く存在する。これらの物質は、COD負荷の高い物質といわれ、これらの物質を含有する廃水を微生物処理してもBODの値は下がるがCODの値が下がらないという問題がある。
【0005】
これらのCOD負荷の高い物質の一つとして、また、染色廃水の中に多く含まれている物質として、ポリビニルアルコール(以下、「PVA」という)がある。このPVAは、布帛を製織する際の縦糸に付与されており、染色前の精練工程で除去される。従って、この精練工程から排出され、最終的には繊維染色工場から排出される廃水の中に多く含まれている。このPVAは、通常の活性汚泥処理では分解が不十分であり、未分解物質として排出されているのが現状である。
【0006】
そこで、生物学的にPVAを分解する方法が提案されている。例えば、下記特許文献1には、PVA資化菌(受託番号:FERM P−14773或いは受託番号:FERM P−14857)の培養菌体成分を過酸化水素分解力を有する酵素の存在下にPVAに作用させる難分解性物質の分解方法が提案されている。また、下記特許文献2には、PVAを唯一の炭素源として生育し、窒素源の存在下にPVAを分解するシュードモナス属、又は、アシネトバクター属に属する細菌が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−275773号公報
【特許文献2】特開2006−180706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1においては、従来の方法では分離できなかったPVA分解能を有する微生物を自然界から得る方法を提案するものであって、具体的にPVAを含む廃水に処理してその効果を示すものではない。また、上記特許文献2においては、PVAを分解する特定の微生物が提案されているが、PVAの分解に要する時間が長く、一般的な活性汚泥処理の滞留時間で処理することが難しく、利用しようとすると滞留時間の長い大がかりな設備が必要となり、設備費用及び設置面積などの点で現実的ではない。
【0009】
そこで、本発明は、上記の諸問題に対処して、大型の施設や特殊な設備を必要とせず、現行の活性汚泥処理施設を利用することができ、薬剤コストや運転コストが低く、且つ、効率的にPVAを微生物により分解してCOD負荷を低減することのできる廃水処理方法及び当該方法に使用する廃水処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題の解決にあたり、本発明者らは、科学技術振興機構の独創的シーズ展開事業委託開発として平成17年10月から平成19年10月に行った「着色排水のバイオ脱色処理システム」の活性汚泥槽の中にPVAを主体とするCOD成分を分解するバクテリア(細菌、微生物)が存在することに着目した。そこで、本発明者らは、当該活性汚泥槽から検索して、COD成分を分解する能力を有する12種の微生物を分離し、これらの微生物の中からPVA分解能に優れた2種の微生物を特定した。
【0011】
また、本研究者らは、鋭意検討の結果、これらの微生物が好気性雰囲気の廃水中で増殖し、当該廃水中に含まれるCOD成分、特にPVAを短時間に効率よく分解できることを見出し本発明の完成に至った。
【0012】
即ち、本発明に係る廃水処理方法は、請求項1の記載によると、ポリビニルアルコールを含有する廃水にポリビニルアルコール分解能を有する微生物を加えて、当該廃水を好気性雰囲気下に維持することにより、上記微生物を好気的に増殖させ、且つ、当該廃水中のポリビニルアルコールを好気的に分解する廃水処理方法であって、
上記微生物は、Pseudomonadaceae属に属するPseudomonas sp.W‐4(FERM P−21573)又は/及びChryseobacterium属に属するChryseobacterium sp.W‐6(FERM P−21572)であることを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、PVAを含有する廃水を処理してCODの値を低減するにあたり、当該廃水中にポリビニルアルコール分解能を有する微生物(以下、「PVA分解菌」という)を加えて、この廃水を好気性雰囲気下に維持するようにする。ここで、PVA分解菌とは、本発明者らが分離し、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(IPOD)に寄託した寄託番号:FERM P−21573及び寄託番号:FERM P−21572で示される2種の微生物をいう。これらのPVA分解菌は、好気性雰囲気下に増殖し、且つ、好気性雰囲気下にPVAを分解することが分かっている。
【0014】
従って、PVAを含有する廃水にこれらのPVA分解菌を加えて好気性雰囲気下に維持するだけで、これらのPVA分解菌が増殖しながらPVAを効率的に分解する。このとき、これらのPVA分解菌をそれぞれ単独で使用してもよく、或いは、これらのPVA分解菌を併用するようにしてもよい。これらのPVA分解菌を併用することにより、廃水中のPVAは、より効率的に分解される。
【0015】
このように、PVA分解菌の増殖とPVAの分解が好気性雰囲気下で行われるので、特殊な嫌気性雰囲気を維持する処理設備やその他特別の施設を必要とすることがない。更に、PVA分解菌の増殖とPVAの分解が同時に進行するので、滞留時間の長い大型の施設を必要としない。
【0016】
よって、請求項1に記載の発明においては、大型の施設や特殊な設備を必要とせず、現行の活性汚泥処理施設を利用することができ、薬剤コストや運転コストが低く、且つ、効率的にPVAを微生物により分解してCOD負荷を低減することのできる廃水処理方法を提供することができる。
【0017】
また、本発明は、請求項2の記載によると、請求項1に記載の廃水処理方法であって、上記廃水中の溶存酸素量を1.0(mg/L)以上にして好気性雰囲気を維持するために、当該廃水中に空気を供給する曝気処理を行うことを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、PVA分解菌の増殖とPVAの分解とが効率的に行われる好気性雰囲気を維持するために、廃水中の溶存酸素量(以下、「DO」ともいう)の値を1.0(mg/L)以上にすることが好ましい。そこで、上記構成のように廃水中に強制的に空気を供給する曝気処理を行うことが好ましい。このことにより、廃水中のDOの値が1.0(mg/L)以上を維持し、PVA分解菌の増殖とPVAの分解とが効率的に行われる。よって、請求項2に記載の発明においては、請求項1に記載の発明と同様の作用効果をより一層、具体的に達成することができる。
【0019】
また、本発明は、請求項3の記載によると、請求項1又は2に記載の廃水処理方法であって、上記廃水中の酸化還元電位を50(mV)以上に維持することを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、廃水中の酸化還元電位(以下、「ORP」ともいう)を50(mV)以上に維持することが好ましい。廃水中のORPの値が50(mV)以上に維持されることにより、PVAの分解が効率的に行われる。よって、請求項3に記載の発明においては、請求項1又は2に記載の発明と同様の作用効果をより一層、具体的に達成することができる。
【0021】
また、本発明は、請求項4の記載によると、請求項1〜3のいずれか1つに記載の廃水処理方法であって、上記廃水中に上記微生物を加える前に、当該廃水のpHを7.0〜9.0の範囲に調整することを特徴とする。
【0022】
上記構成によれば、廃水のpHを7.0〜9.0の範囲に調整するようにし、このpHの調整は、廃水中にPVA分解菌を加える前に行うことが好ましい。よって、請求項4に記載の発明においては、請求項1〜3のいずれか1つに記載の発明と同様の作用効果をより一層、具体的に達成することができる。
【0023】
また、本発明は、請求項5の記載によると、請求項1〜4のいずれか1つに記載の廃水処理方法であって、上記微生物が分解したポリビニルアルコールの分解残渣を当該微生物或いは他の微生物により好気的に消化することを特徴とする。
【0024】
上記構成によれば、好気性雰囲気下で上記PVA分解菌によって分解されたPVAの分解残渣は、もはや生物学的難分解性物質ではなく、微生物により分解可能な有機物質に変換されているものと思われる。従って、これらの分解残渣は、PVA分解菌によっても消化されるが、一般有機物質の分解に使用される活性汚泥槽の微生物によっても消化することができる。よって、請求項5に記載の発明においては、請求項1〜4のいずれか1つに記載の発明と同様の作用効果をより一層達成することができる。
【0025】
また、本発明に係る廃水処理装置は、請求項6の記載によると、ポリビニルアルコールを含有する廃水を処理するための廃水処理装置(A1)であって、
上記廃水のpH及び温度を所定の範囲内に調整する廃水調整槽(B1)と、
ポリビニルアルコール分解能を有する微生物を培養する培養槽(C1)と、
上記廃水調整槽から流入する上記廃水中に上記培養槽からの上記微生物を加え、好気性雰囲気下でポリビニルアルコールを分解するバイオリアクター槽(D1)と、
上記バイオリアクター槽から流入する上記廃水中に含まれるポリビニルアルコールの分解残渣を好気性雰囲気下で消化する活性汚泥槽(E1)とを備えており、
上記バイオリアクター槽は、その槽内の溶存酸素量を1.0(mg/L)以上に維持するために空気を供給する曝気装置(F1)を具備し、
上記微生物は、Pseudomonadaceae属に属するPseudomonas sp.W‐4(FERM P−21573)又は/及びChryseobacterium属に属するChryseobacterium sp.W‐6(FERM P−21572)であることを特徴とする。
【0026】
上記構成によれば、バイオリアクター槽(D1)においてPVAを分解する微生物を増殖すると共にPVAを分解する。次に、活性汚泥槽(E1)においてPVAの分解残渣を消化する。この活性汚泥槽(E1)での分解残渣の消化には、通常の微生物を活用することができる。よって、請求項6に記載の発明においては、大型の施設や特殊な設備を必要とせず、現行の活性汚泥処理施設を利用することができ、薬剤コストや運転コストが低く、且つ、効率的にPVAを微生物により分解してCOD負荷を低減することのできる廃水処理装置を提供することができる。
【0027】
また、本発明に係る廃水処理装置は、請求項7の記載によると、ポリビニルアルコールを含有する廃水を処理するための廃水処理装置(A2)であって、
上記廃水のpH及び温度を所定の範囲内に調整する廃水調整槽(B2)と、
ポリビニルアルコール分解能を有する微生物を培養する培養槽(C2)と、
上記廃水調整槽から流入する上記廃水中に上記培養槽からの上記微生物を加え、好気性雰囲気下でポリビニルアルコールを分解すると共に、この分解残渣を好気性雰囲気下で消化する活性汚泥槽(E2)とを備えており、
前記活性汚泥槽は、その槽内の溶存酸素量を1.0(mg/L)以上に維持するために空気を供給する曝気装置(F2)を具備し、
上記微生物は、Pseudomonadaceae属に属するPseudomonas sp.W‐4(FERM P−21573)又は/及びChryseobacterium属に属するChryseobacterium sp.W‐6(FERM P−21572)であることを特徴とする。
【0028】
上記構成によれば、上記請求項6におけるバイオリアクター槽(D1)の機能と活性汚泥槽(E1)の機能を1つの活性汚泥槽(E2)が担うことができる。すなわち、活性汚泥槽(E2)は、PVAを分解する微生物を増殖し、PVAを分解すると共に、並行してPVAの分解残渣を同時に消費する。従って、上記構成によれば、通常使用されている活性汚泥槽を有効に活用することができる。よって、請求項7に記載の発明においては、請求項6に記載の発明と同様の作用効果をより一層達成することができる。
【0029】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】第1実施形態に係る廃水処理装置を示すフローシートである。
【図2】第2実施形態に係る廃水処理装置を示すフローシートである。
【図3】実施例1におけるCOD値を経時的に記録したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
一般に、繊維染色工場から排出される染色廃水は、上述のように、精練工程、染色工程及び仕上げ工程からの廃水の混合物であり、多くの化学物質を含んでいる。例えば、精練工程からは、PVA、ポリアクリル酸塩、澱粉などの糊剤や、苛性ソーダ、酸化剤、酵素、各種界面活性剤などの糊抜き剤或いは精練剤が排出される。染色工程からは、反応性染料、分散染料、酸性染料など繊維の染色に利用されなかった各種染料や、各種無機塩類、尿素などの窒素化合物、各種界面活性剤などの染色助剤或いは洗浄剤が排出される。また、仕上げ工程からは、各種油剤、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などの各種仕上げ剤が排出される。
【0032】
なお、本実施形態は、染色廃水に含まれる多くの化学物質のうち、生物学的に難分解性の物質として染色廃水中の主物質であるPVAを特定のPVA分解菌によって分解して、染色廃水のCODの値を低減するものである。
【0033】
一方、本発明には、PVA分解菌として、2種類の微生物を使用する。1つの微生物は、Pseudomonadaceae属に属するPseudomonas sp.W‐4(FERM P−21573)であって、以下、「PVA分解菌W‐4」という。他の1つの微生物は、Chryseobacterium属に属するChryseobacterium sp.W‐6(FERM P−21572)であって、以下、「PVA分解菌W‐6」という。
【0034】
PVA分解菌W‐4及びPVA分解菌W‐6は、いずれも、上述のように、科学技術振興機構の独創的シーズ展開事業委託開発として平成17年10月から平成19年10月に行った「着色排水のバイオ脱色処理システム」の活性汚泥槽から分離した。具体的には、上記システムは、Bacillus属するBacillus OY1−2(受託番号:FERM BP−5261)を使用してアゾ系染料を分解するものであるが、このシステムの活性汚泥槽の中からPVA分解菌W‐4及びPVA分解菌W‐6を分離し、平成20年(2008年)5月2日に独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(IPOD)において日本国に寄託されている。
【0035】
これらの微生物、PVA分解菌W‐4及びPVA分解菌W‐6の生物的・生化学的性状を表1に示す。
【0036】
【表1】

これらの微生物、PVA分解菌W‐4及びPVA分解菌W‐6は、いずれも、好気的雰囲気下で増殖し、且つ、好気的雰囲気下でPVAを分解する。また、これらの微生物は、PVAに対して強い活性を示すが、Pseudomonadaceae属或いはChryseobacterium属に属する他の微生物と同様にPVA以外の他の有機物質に対しても通常の活性を有するものである。
【0037】
本発明においては、PVA分解菌W‐4或いはPVA分解菌W‐6を単独で、又は、PVA分解菌W‐4とPVA分解菌W‐6を併用して採用するが、このことにより、特にPVAのみを対象とするものではなく、PVA以外の有機物質或いは染料なども分解し、結果として、染色廃水中のCOD及びBODを低減することができることを確認した。
【0038】
ここで、PVA分解菌W‐4及びPVA分解菌W‐6の活性を維持するためには、好気的雰囲気を維持することが好ましい。ここで、廃水が好気的雰囲気に維持されているか否かは、廃水中のDOの値に着目する。本発明においては、廃水中のDOの値を1.0(mg/L)以上にすることが好ましい。
【0039】
PVA分解菌W‐4及びPVA分解菌W‐6は、好気的に増殖するため廃水中の酸素を消費する。従って、PVA分解菌の増殖が活発になると廃水中のDOの値が減少する。このように、廃水中のDOの値が減少すると、PVA分解菌の増殖が抑えられてしまう。
【0040】
また、廃水中でのPVA分解菌W‐4或いはPVA分解菌W‐6によるPVAの分解においても酸素が消費されるものと思われる。現在、推測されているPVAの分解機構によると、まず、PVAの2級アルコールが酸化されて、ポリビニルケトンになる。このポリビニルケトンが酸化されてポリ酢酸ビニルになり、順次分解されて酢酸にまで分解され、その後、一般の微生物により消化される。
【0041】
従って、廃水中で増殖したPVA分解菌の活動が活発になると、PVA分解のために酸素が多く消費される。従って、PVA分解菌によるPVAの分解が活発になると廃水中のDOの値が減少する。このように、廃水中のDOの値が減少すると、PVAの分解が妨げられる。
【0042】
そこで、本発明においては、廃水中のDOの値を常に確認し、その値が1.0(mg/L)以上を維持するように酸素を供給することが好ましい。その為に、廃水中に強制的に空気を供給する曝気処理を行うことがよい。このことにより、廃水中のDOの値が1.0(mg/L)以上を維持し、PVA分解菌の活動が活発になってPVA分解菌の増殖とPVAの分解とが効率的に行われることを確認した。
【0043】
また、本発明においては、廃水中のORPの値を50(mV)以上に維持することが好ましい。上述のように、PVAの分解においても酸素が消費され、PVAの分解は酸化によるものと思われる。従って、廃水中のORPの値が50(mV)以上に維持されることにより、PVA分解菌W‐4或いはPVA分解菌W‐6によるPVAの分解が効率的に行われる。
【0044】
更に、本発明においては、廃水のpHを7.0〜9.0の範囲に調整することが好ましい。また、このpHの調整は、廃水中にPVA分解菌を加える前に行うことが好ましく、PVA分解菌の活動中は常にこのpH値を維持することが好ましい。これは、廃水のpHが7.0〜9.0の範囲でPVA分解菌W‐4或いはPVA分解菌W‐6の活性が高まることによるものである。
【0045】
ここで、PVA分解菌W‐4或いはPVA分解菌W‐6によって分解されたPVAの分解残渣は、上述のように、もはや生物学的難分解性物質ではなく、微生物により分解可能な有機物質に変換されているものと思われる。従って、これらの分解残渣は、PVA分解菌W‐4或いはPVA分解菌W‐6によっても消化されるが、一般有機物質の分解に使用される活性汚泥槽の微生物によっても消化することができる。このことにより、COD負荷の高いPVAが効率よく分解、消化され、廃水のCOD及びBODの値を低減することができる。
(第1実施形態)
ここで、本発明に係る廃水処理装置の第1実施形態をフローシートにより説明する。図1において、染色廃水処理装置A1は、pH調整槽B1、培養槽C1、好気処理槽D1、及び、活性汚泥槽E1とを備えている。
【0046】
pH調整槽B1は、廃水供給配管1を介して供給される染色廃水を内部に滞留し、この染色廃水のpH値を7.0〜9.0に調整する。この染色廃水には、精練工程で排出したPVAが多く含まれている。また、このpH調整槽B1において、染色廃水の温度をPVA分解菌W‐4或いはPVA分解菌W‐6の増殖に適した温度、好ましくは、30〜40(℃)に調整する。このことにより、続く好気処理槽C1におけるPVA分解菌W‐4或いはPVA分解菌W‐6の増殖及びPVAの分解を効率よく行うことができる。
【0047】
培養槽C1は、その内部でPVA分解菌W‐4或いはPVA分解菌W‐6を単独で、又は、PVA分解菌W‐4及びPVA分解菌W‐6を併用して培養する。この培養槽C1で培養されたPVA分解菌の種菌は、続く好気処理槽D1において増殖し、染色廃水中のPVAを分解する。
【0048】
好気処理槽D1は、廃水供給配管2を介してpH調整槽からPVAを含有する染色廃水の供給を受ける。また、好気処理槽D1は、培養液供給配管3を介して培養槽CからPVA分解菌の種菌の供給を受ける。また、好気処理槽D1は、pH調整槽から供給されたPVAを含有する染色廃水を内部に滞留し、培養槽C1から供給されたPVA分解菌の増殖と染色廃水中のPVAの分解を行う。
【0049】
この好気処理槽D1に滞留する染色廃水は、PVA以外にも多くの有機物質を含有するのでそのCODやBODが高く、酸素を多く消費するので、そのままではPVA分解菌を良好に増殖することができない。そこで、好気処理槽D1は、曝気装置F1を備えている。この曝気装置F1は、好気処理槽D1に滞留する染色廃水に適切な量の空気を供給し、当該染色廃水を好気性雰囲気に維持する。本実施形態において採用される曝気装置F1は、通常の廃水処理装置で使用されるものでよい。
【0050】
このように、曝気装置F1は、好気処理槽D1に滞留する染色廃水に強制的に空気を供給しPVA分解菌W‐4及びPVA分解菌W‐6の増殖を図る。この曝気装置F1から好気処理槽C1に供給する空気の吐出量は、好気処理槽D1に滞留する染色廃水中のDOの値を1(mg/L)以上に調整することが好ましい。このように、染色廃水中のDOの値が1(mg/L)以上を維持することにより、PVA分解菌W‐4及びPVA分解菌W‐6は、適正な好気性雰囲気で良好に増殖し、同時に、染色廃水中のPVAを効率的に分解する。
【0051】
また、好気処理槽D1においてPVA分解菌の増殖を行い、且つ、PVAの分解を効率よく行うためには、好気処理槽D1に滞留する染色廃水中のDOの値を維持するだけでなく、ORPの値を50(mV)以上に維持することが好ましい。このことにより、染色廃水中のPVAを効率的に分解することができる。
【0052】
更に、染色廃水中のPVAを好気処理槽D1で効率よく分解するには、好気処理槽D1における染色廃水の滞留時間を確保することが重要である。本発明に係るPVA分解菌W‐4及びPVA分解菌W‐6は、PVA分解能に優れ比較的短時間でPVAを一般の微生物が生物学的に消化可能な分解残渣にまで分解することができるが、通常、好気処理槽D1における染色廃水の滞留時間は、12時間〜24時間程度を確保することが好ましい。
【0053】
次に、活性汚泥槽E1は、染色廃水処理施設で通常使用される活性汚泥槽であって、染色廃水中の染料その他の有機物質を生物学的に分解する微生物を含有している。また、この活性汚泥槽E1には、被処理水供給配管4を介して染色廃水が供給され、この染色廃水の中には先の好気処理槽D1で増殖したPVA分解菌と分解されたPVAの分解残渣とが含まれている。従って、活性汚泥槽E1は、その内部に染色廃水を滞留する間に通常の活性汚泥処理を行うと共に、PVAの分解残渣を生物学的に消化する。ここで、活性汚泥槽E1の滞留時間は、一般に12時間〜24時間程度を確保する。
【0054】
このようにして、活性汚泥槽E1で処理された染色廃水は、放流水として放流水排出配管5を介して染色廃水処理装置A1の外部に排出される。この放流水のCOD及びBODの値は、好気処理槽D1及び活性汚泥槽E2の両槽によって大きく低減されている。
【0055】
本実施形態1においては、染色廃水中のPVAは、好気処理槽D1と活性汚泥槽E1との両槽で処理されることとなり、より長時間の滞留時間を確保することができる。よって、PVAの分解と消化がより完全なものとなる。
(第2実施形態)
次に、本発明に係る廃水処理装置の第2実施形態をフローシートにより説明する。図2において、染色廃水処理装置A2は、pH調整槽B2、培養槽C2、及び、活性汚泥槽E2とを備えている。上記第1実施形態に比べ、好気処理槽D1が含まれず、この好気処理槽D1の機能は活性汚泥槽E2が担うこととなる。
【0056】
pH調整槽B2は、廃水供給配管1を介して供給される染色廃水を内部に滞留し、この染色廃水のpH値を7.0〜9.0に調整する。この染色廃水には、精練工程で排出したPVAが含まれている。また、このpH調整槽B2において、染色廃水の温度をPVA分解菌W‐4或いはPVA分解菌W‐6の増殖に適した温度、好ましくは、30〜40(℃)に調整する。このことにより、続く好気処理槽CにおけるPVA分解菌W‐4或いはPVA分解菌W‐6の増殖及びPVAの分解を効率よく行うことができる。
【0057】
培養槽C2は、その内部でPVA分解菌W‐4或いはPVA分解菌W‐6を単独で、又は、PVA分解菌W‐4及びPVA分解菌W‐6を併用して培養する。この培養槽C2で培養されたPVA分解菌の種菌は、続く活性汚泥槽E2において増殖し、染色廃水中のPVAを分解する。
【0058】
活性汚泥槽E2は、廃水供給配管2を介してpH調整槽からPVAを含有する染色廃水の供給を受ける。また、活性汚泥槽E2は、培養液供給配管3を介して培養槽C2からPVA分解菌の種菌の供給を受ける。また、活性汚泥槽E2は、pH調整槽から供給されたPVAを含有する染色廃水を内部に滞留し、培養槽C2から供給されたPVA分解菌の増殖と染色廃水中のPVAの分解を行う。
【0059】
この活性汚泥槽E2に滞留する染色廃水は、PVA以外にも多くの有機物質を含有するのでそのCODやBODが高く、酸素を多く消費するので、そのままではPVA分解菌を良好に増殖することができない。そこで、活性汚泥槽E2は、曝気装置F2を備えている。この曝気装置F2は、活性汚泥槽E2に滞留する染色廃水に適切な量の空気を供給し、当該染色廃水を好気性雰囲気に維持する。本実施形態において採用される曝気装置F2は、通常の廃水処理装置で使用されるものでよい。
【0060】
このように、曝気装置F2は、活性汚泥槽E2に滞留する染色廃水に強制的に空気を供給しPVA分解菌W‐4及びPVA分解菌W‐6の増殖を図ると共に、通常の微生物の活性を向上させる。この曝気装置F2から活性汚泥槽E2に供給する空気の吐出量は、活性汚泥槽E2に滞留する染色廃水中のDOの値を1(mg/L)以上に調整することが好ましい。このように、染色廃水中のDOの値が1(mg/L)以上を維持することにより、PVA分解菌W‐4及びPVA分解菌W‐6は、適正な好気性雰囲気で良好に増殖し、同時に、染色廃水中のPVAを効率的に分解する。
【0061】
また、活性汚泥槽E2においてPVA分解菌の増殖を行い、且つ、PVAの分解を効率よく行うためには、活性汚泥槽E2に滞留する染色廃水中のDOの値を維持するだけでなく、ORPの値を50(mV)以上に維持することが好ましい。このことにより、染色廃水中のPVAを効率的に分解することができる。
【0062】
更に、染色廃水中のPVAを活性汚泥槽E2で効率よく分解するには、活性汚泥槽E2における染色廃水の滞留時間を確保することが重要である。本発明に係るPVA分解菌W‐4及びPVA分解菌W‐6は、PVA分解能に優れ比較的短時間でPVAを一般の微生物が生物学的に消化可能な分解残渣にまで分解することができるが、通常、活性汚泥槽E2における染色廃水の滞留時間は、24時間〜48時間程度を確保することが好ましい。
【0063】
また、活性汚泥槽E2は、染色廃水処理施設で通常使用される活性汚泥槽であって、染色廃水中の染料その他の有機物質を生物学的に分解する微生物を含有している。この活性汚泥槽E2は、廃水供給配管2を介して供給される染色廃水を内部に滞留し、通常の活性汚泥処理を行うと共に、上述のPVA分解菌の増殖と共にPVAの分解及びPVAの分解残渣を生物学的に消化する。
【0064】
このようにして、活性汚泥槽E2で処理された染色廃水は、放流水として放流水排出配管5を介して染色廃水処理装置A2の外部に排出される。この放流水のCOD及びBODの値は、活性汚泥槽E2によって低減されている。
【0065】
本実施形態2においては、染色廃水中のPVAは、活性汚泥槽E2のみで処理されることとなり、その処理時間は活性汚泥槽E2の滞留時間となるが、上記実施形態1と異なり、好気処理槽D1という付帯設備を必要とせず、現行の活性汚泥処理施設をより有効に活用することができる。よって、PVAの分解と消化がより完全なものとなり、放流水のCOD及びBODの値は大きく低減される。
【0066】
このようにして、活性汚泥槽E1で処理された染色廃水は、放流水として放流水排出配管5を介して染色廃水処理装置A1の外部に排出される。本実施形態1においては、染色廃水中のPVAは、好気処理槽D1と活性汚泥槽E1との両槽で処理されることとなり、より長時間の滞留時間を確保することができる。よって、PVAの分解と消化がより完全なものとなり、放流水のCOD及びBODの値は大きく低減される。
【実施例】
【0067】
ここで、本発明を各実施例により説明する。
【0068】
実施例1:
本実施例1においては、上記第2実施形態において構成された染色廃水処理装置A2の構成により、繊維染色工場の実際の染色廃水(以下、「原水1」という)を用いて、CODの低減効果を確認した。具体的には、当該繊維染色工場の実際の廃水処理設備の活性汚泥槽に導入される廃水配管から分岐して、以下に説明するパイロット設備として染色廃水処理装置A2を設置した。
【0069】
この染色廃水処理装置A2においては、pH調整槽B2の容量を40(L)、活性汚泥槽E2の容量を160(L)とし、pH調整槽B2において、原水のpHを7.0〜9.0、水温を30(℃)に調整した。また、活性汚泥槽の付帯設備として培養槽C2を設置し、当該培養槽C2においてPVA分解菌W‐4及びPVA分解菌W‐6を培養した。このように、本実施例1においては、2種類のPVA分解菌を併用して培養し、活性汚泥槽E2に経時的に1×107(cfu/L)投入し60日間の連続運転を行った。なお、この活性汚泥槽E2の滞留時間は、24時間であった。
【0070】
また、活性汚泥槽E2には、曝気装置F2を設置し、この曝気装置F2から活性汚泥槽E2への空気吐出量を活性汚泥槽E2の容量の1(m3)当りに対して、0.1(m3/分)として活性汚泥槽E2の染色廃水中のDOの値を1(mg/L)以上に維持するようにした。
【0071】
このようにして、本実施例1においては、60日間の連続運転を行い、活性汚泥槽E2に導入される前の原水のCOD値と活性汚泥槽E2から排出される被処理水のCOD値の経時変化を測定した。測定した各COD値を図3に示す。図3から計算することにより本実施例1におけるCODの低減効果は85%であった。なお、本実施例1においては、PVAの分解残渣も活性汚泥槽E2に存在する各種微生物によって分解、消化されている。
【0072】
実施例2:
本実施例2においては、上記繊維染色工場の原水1をオートクレーブにて121℃で15分間滅菌したものを原水2として準備した。この原水2に対して、PVA分解菌W‐4、PVA分解菌W‐6、或いは、PVA分解菌W‐4とPVA分解菌W‐6とを併用して、それぞれ、106(cfu/ml)接種した。接種後の原水2は、攪拌速度100(rpm)で攪拌しながら36℃で2日間培養した。なお、本実施例2においては、接種後の原水2に強制的に酸素を供給して好気性雰囲気下で培養した。これらの原水2の24時間後及び48時間後のCOD、DO及びORPの各値を測定し表2に示した。
【0073】
比較例1:
本比較例1においては、上記実施例2と同様の原水2を使用し、空気から遮断して嫌気性雰囲気下で培養した。これらの培養液の24時間後及び48時間後のCOD、DO及びORPの各値を測定し表2に示した。
【0074】
【表2】

表2から分かるように、好気性雰囲気下で培養した実施例2のCOD値は、いずれも良好に低減され良好な状態となっている。このとき、DO及びORPの各値もPVA分解菌の増殖及びPVAの分解に適する値となっている。また、PVA分解菌W‐4或いはPVA分解菌W‐6を単独で接種した培養液に比べ、PVA分解菌W‐4とPVA分解菌W‐6とを併用した培養液においては、COD値が大きく減少して、更に良好な状態となっている。
【0075】
これに対して、比較例1においては、いずれもCOD値の低減効果が表れていない。このとき、DO及びORPの各値がPVA分解菌の増殖及びPVAの分解に適する値となっておらず、PVA分解菌が良好に増殖できないことによるものと考えられる。
【0076】
実施例3:
本実施例3においては、上記繊維染色工場の原水1にPVA(和光純薬製)100mg/Lを添加して、オートクレーブにて121℃で15分間滅菌したものを原水3として準備した。この原水3に対して、PVA分解菌W‐4、PVA分解菌W‐6、或いは、PVA分解菌W‐4とPVA分解菌W‐6とを併用して、それぞれ、106(cfu/ml)接種した。接種後の原水3は、攪拌速度100(rpm)で攪拌しながら36℃で2日間培養した。なお、本実施例3においては、接種後の培養液に強制的に酸素を供給して好気性雰囲気下で培養した。これらの培養液の24時間後及び48時間後のCOD、DO及びORPの各値を測定し表3に示した。
【0077】
比較例2:
本比較例2においては、上記実施例3と同様の各培養液を空気から遮断して嫌気性雰囲気下で培養した。これらの培養液の24時間後及び48時間後のCOD、DO及びORPの各値を測定し表3に示した。
【0078】
【表3】

表3から分かるように、好気性雰囲気下で培養した実施例3のCOD値は、いずれも良好に低減され良好な状態となっている。このとき、DO及びORPの各値もPVA分解菌の増殖及びPVAの分解に適する値となっている。また、PVA分解菌W‐4或いはPVA分解菌W‐6を単独で接種した培養液に比べ、PVA分解菌W‐4とPVA分解菌W‐6とを併用した培養液においては、COD値が大きく減少して、更に良好な状態となっている。
【0079】
これに対して、比較例2においては、いずれもCOD値の低減効果が表れていない。このとき、DO及びORPの各値がPVA分解菌の増殖及びPVAの分解に適する値となっておらず、PVA分解菌が良好に増殖できないことによるものと考えられる。
【0080】
このように、上記各実施例においては、大型の施設や特殊な設備を必要とせず、現行の活性汚泥処理施設を利用することができ、薬剤コストや運転コストが低く、且つ、効率的にPVAを微生物により分解してCOD負荷を低減することのできる廃水処理方法及び当該方法に使用する廃水処理装置を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、生物学的に難分解性物質とされるPVAを効率的に分解するものであり、上記各実施形態における繊維染色加工工場から排出される染色廃液を処理するものに限ることはなく、広く、PVAを含有する他の工業の廃水、例えば、紙・パルプ工業その他の工業廃水にも利用することができる。
【符号の説明】
【0082】
A1、A2…染色廃水処理装置、B1、B2…pH調整槽、C1、C2…培養槽、
D1…好気処理槽、E1、E2…活性汚泥槽、F1、F2…曝気装置、
1、2…廃水供給配管、3…培養液供給配管、4…被処理水供給配管、
5…放流水排出配管。
【受託番号】
【0083】
FERM P−21572
FERM P−21573

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリビニルアルコールを含有する廃水にポリビニルアルコール分解能を有する微生物を加えて、当該廃水を好気性雰囲気下に維持することにより、前記微生物を好気的に増殖させ、且つ、当該廃水中のポリビニルアルコールを好気的に分解する廃水処理方法であって、
前記微生物は、Pseudomonadaceae属に属するPseudomonas sp.W‐4(FERM P−21573)又は/及びChryseobacterium属に属するChryseobacterium sp.W‐6(FERM P−21572)であることを特徴とする廃水処理方法。
【請求項2】
前記廃水中の溶存酸素量を1.0(mg/L)以上にして好気性雰囲気を維持するために、当該廃水中に空気を供給する曝気処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の廃水処理方法。
【請求項3】
前記廃水中の酸化還元電位を50(mV)以上に維持することを特徴とする請求項1又は2に記載の廃水処理方法。
【請求項4】
前記廃水中に前記微生物を加える前に、当該廃水のpHを7.0〜9.0の範囲に調整することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の廃水処理方法。
【請求項5】
前記微生物が分解したポリビニルアルコールの分解残渣を当該微生物或いは他の微生物により好気的に消化することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の廃水処理方法。
【請求項6】
ポリビニルアルコールを含有する廃水を処理するための廃水処理装置であって、
前記廃水のpH及び温度を所定の範囲内に調整する廃水調整槽と、
ポリビニルアルコール分解能を有する微生物を培養する培養槽と、
前記廃水調整槽から流入する前記廃水中に前記培養槽からの前記微生物を加え、好気性雰囲気下でポリビニルアルコールを分解するバイオリアクター槽と、
前記バイオリアクター槽から流入する前記廃水中に含まれるポリビニルアルコールの分解残渣を好気性雰囲気下で消化する活性汚泥槽とを備えており、
前記バイオリアクター槽は、その槽内の溶存酸素量を1.0(mg/L)以上に維持するために空気を供給する曝気装置を具備し、
前記微生物は、Pseudomonadaceae属に属するPseudomonas sp.W‐4(FERM P−21573)又は/及びChryseobacterium属に属するChryseobacterium sp.W‐6(FERM P−21572)であることを特徴とする廃水処理装置。
【請求項7】
ポリビニルアルコールを含有する廃水を処理するための廃水処理装置であって、
前記廃水のpH及び温度を所定の範囲内に調整する廃水調整槽と、
ポリビニルアルコール分解能を有する微生物を培養する培養槽と、
前記廃水調整槽から流入する前記廃水中に前記培養槽からの前記微生物を加え、好気性雰囲気下でポリビニルアルコールを分解すると共に、この分解残渣を好気性雰囲気下で消化する活性汚泥槽とを備えており、
前記活性汚泥槽は、その槽内の溶存酸素量を1.0(mg/L)以上に維持するために空気を供給する曝気装置を具備し、
前記微生物は、Pseudomonadaceae属に属するPseudomonas sp.W‐4(FERM P−21573)又は/及びChryseobacterium属に属するChryseobacterium sp.W‐6(FERM P−21572)であることを特徴とする廃水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−245497(P2012−245497A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121329(P2011−121329)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度 独立行政法人科学技術振興機構の独創的シーズ展開事業 委託開発 「着色排水のバイオ脱色処理システム」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000177014)三木理研工業株式会社 (20)
【出願人】(508185627)
【Fターム(参考)】