説明

建屋の局所送風装置と、その送風機

【課題】 従来は、高設栽培用ベンチの脚間に、通気ダクトを配設し、通気ダクトの開口部から、イチゴ等に直接吹き付ける構造であり、株間局所送風を意図する。培地冷却装置は、受皿と、受皿に設けた培地を包む不織布で構成し、送風と併せて、培地の冷却を図る構造である。設置の容易化と、低コスト化、並びに広範な設置等が図れる特徴がある。しかし、株間局所送風に関しては、一部は可能であるが、今だ、十分とは云えない。

【解決手段】 本発明は、トマト株等の植物棚、地面栽培用の建屋において、建屋の壁面に、吸込み用のファンを設置し、ファンに連設したダクトを、建屋の棟方向に延設し、ダクトに多数設けた分岐ダクトを、トマト株の成長に同期して移動する構造とし、この分岐ダクトの吹出孔からの送風を、この植物の花房(トマト)、又は葉の付け根に向って行なうことで、植物の葉面の空気の滞留を破壊するトマト株等の建屋の送風装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トマト、胡瓜に最適な建屋(植物工場、ハウス等)の局所送風装置と、その送風機に関する。
【背景技術】
【0002】
トマト、胡瓜等の植物に最適な、例えば、一般のハウス、その他の植物棚栽培用のハウス(建屋とする)の局所送風装置と、その送風機において、群落(密植)栽培のトマト株間局所送風(株間局所送風)で、トマト灰色かび病及び葉かび病の発病を抑制できることが知られている。例えば、「トマト株条間に配置したダクトチューブを使用し、株に局所的に送風することで、トマト灰色かび病や葉かび病の発病を効率的に抑制することができる。比較的小型の送風機での導入が可能なため、導入コストも低い。」と紹介されている。この株間局所送風は、従来の建屋全体の換気を図るシステム(従来換気システムとする)に対して、設備投資・ランニングコストの軽減化と、エコハウスとして有効であること、等の利点がある。
【0003】
しかし、この株間局所送風は、設置に手間取ること、成長(生育)する植物に有効に対処するには、植物の各葉面、及び/又は、各付け根に向って、適切な距離から、常時、送風する必要があること、等から、ダクト、及び/又は、分岐ダクトの吹出孔の方向性に、細心の注意と、これを維持する装置が要求される。しかし、現実には、この要件を充足していないのが、現況である。また、建屋へのダクトの設置において、このダクトを、建屋の妻面に設置するに際し、簡易で、適切な手段がないのが現況である。従って、効果と特徴を備えた反面、普及していないことから、この課題と問題を解決するために、従来技術を、参照して説明する。
【0004】
文献(1)としては、特開平5−308859の「農業用栽培ハウスの空調装置」であり、妻面に設置した空調ユニットであり、この空調ユニットは、仕切り板を設けてハウス内外に対応した部屋を区画し、このハウス外部屋に、凝縮器と圧縮機、並びにファンの空調機本体を設け、また、ハウス内部屋に、蒸発器とファンの空調機交換器を設け、このハウス内部屋に導入されるハウス内の空気を冷却し、ダクトを介して、ハウス内に冷気を供給する構造である。この発明は、ダクトを介して、冷気を、ハウス内に効率的に供給することを意図する。従って、ダクトを介して、冷気、即ち、送風できる。しかし、株間局所送風に関しては、十分とは云えない。換言すると、この発明は、従来換気システムと略同じ構造と効果の範疇と考えられる。また、この発明は、植物の成長に同期して、送風する構造でない。
【0005】
また、文献(2)としては、特開平8−280269の「施設栽培用空調ダクト」であり、ハウス内の架台(棚)下の空間に、ダクトを配設し、このダクトに温冷風を供給するとともに、フィンを付設し、熱交換の効率化を図る構造である。従って、ダクトを介して、温冷気により、イチゴの温調が図れる。しかし、株間局所送風に関しては、十分とは云えない。換言すると、この発明は、従来換気システムと略同じ構造と効果の範疇と考えられる。また、この発明は、植物の成長に同期して、送風する構造でない。
【0006】
さらに、文献(3)としては、特開2006−271314の「培地冷却装置」であり、高設栽培用ベンチの脚間に、通気ダクトを配設し、この通気ダクトの開口部から、イチゴに直接吹き付ける構造であり、株間局所送風を意図する。また、培地冷却装置は、受皿(容器)と、この受皿に設けた培地を包む不織布で構成し、前記送風と併せて、培地の冷却を図る構造である。従って、設置の容易化と、低コスト化、並びに広範な設置等が図れる特徴がある。しかし、株間局所送風に関しては、一部は可能であるが、今だ、十分とは云えない。また、この発明は、植物の成長に同期して、送風する構造でない。
【0007】
また、文献(4)としては、特開2007−185147の「作物栽培用空調装置」であり、ハウスに設けた巻取部材に、吊下げ部材を介してダクトを支持し、この巻取部材の回転で、吊下げ部材を巻取り、巻戻すことで、前記ダクトを昇降する。この昇降を利用し、ダクトを作物間の適当な位置にセットし、このダクトから吹出される暖冷風を介して、作物に最適な温湿度調整を図りつつ、日射量の確保と、作業空間の確保を図る。しかし、ダクトが大径であることから、日射量の確保に問題があることが考えられる。また、この発明は、植物の成長に同期して、ダクトを上下動、及び送風する構造でない。
【0008】
【特許文献1】特開平5−308859
【特許文献2】特開平8−280269
【特許文献3】特開2006−271314
【特許文献4】特開2007−185147
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上で説明した文献(1)〜(4)は、前述した如く、一長一短があり、改良の余地がある。殊に、株間局所送風に関しては、今だ、十分とは云えない。また、このダクトを、妻面に取付ける構造に関して、前記文献(1)が見当たるが、本発明が意図する送風機と、ダクトに関する文献は、調査の結果、好ましい文献は見当たらなかった。
【0010】
上記に鑑み、本発明は、建屋の株間局所送風装置において、分岐ダクトの吹出孔の位置を、植物の成長と同期して移動し、常時、この吹出孔より、成長する植物(トマト株等)の花房、花実か、花房、花実の付け根、又は葉裏か、葉の付け根(花房か、又は葉の付け根とする)に送風(噴出)することで、この株間局所送風を最適化し、例えば、この株間局所送風のスムーズな流れと、微風の流れを介して、栽培植物に、最適な送風環境を維持すること、葉面における空気の流れ(葉裏の空気の滞留をなくす)、又は栽培植物の健全な生育環境維持と、収穫量の拡充化を図ること、等を意図する。そして、この株間局所送風装置の好ましい一例は、妻面に設けた送風機にダクトを接続し、ダクトに設けた分岐ダクトを、植物の株間と同じ間隔に設け、かつ分岐ダクトは、植物条間の下位展開葉の位置(高さ約40cm)に設置し、花房か、又は葉の付け根の下側に向って送風する。例えば、その稼働時間は、24時間の連続で、毎秒1〜1.5m程度の送風を、花房か、又は葉の付け根にあてることで、少なくとも、湿度管理を図り、病害の発生抑制は植物体表面の環境条件改善ととともに、トマト灰色かび病、葉かび病、ベト病等の発病を抑制することを意図する。
【0011】
また、本発明は、建屋の株間局所送風装置において、この建屋の妻面にファンと、シャッタを備えた送風機を、所定の位置に取付けることで、外部からの風雨の侵入防止と、また、この送風機に内気吸込口を介して、混合室を設けることで、外気と内気のミキシング(混合)を図り、植物に適した空気の供給と、換気の効率化が図れる送風機の構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、建屋の株間局所送風装置において、植物の習性を利用し、分岐ダクトと、支柱、並びに茎幹に設けた、第一の誘引具〜第三の誘引具を、1単位として、個別に緩嵌、嵌着等により係止し、この1単位を繰返して、この分岐ダクトと、支柱、並びに茎幹に、順次、設けることで、分岐ダクトの吹出孔の位置を、植物の成長と同期して移動可能とすることで、常時、この吹出孔より、成長する植物の花房か、又は葉の付け根に送風することで、この株間局所送風を最適化し、例えば、この株間局所送風のスムーズな流れと、微風の流れを介して、栽培植物に、最適な送風環境を維持すること、葉面における空気の流れ(葉裏の空気の滞留をなくす)、又は栽培植物の健全な生育環境維持と、収穫量の拡充化を図ること、等を意図する。そして、この請求項1の発明の株間局所送風装置では、妻面に設けた送風機にダクトを接続し、ダクトに設けた分岐ダクトを、植物(トマト株等)の株間と同じ間隔に設け、かつ分岐ダクトは、植物条間の下位展開葉の位置(高さ約40cm)に設置し、花房か、又は葉の付け根の下側に向って送風し、この花房か、又は葉の付け根にあてることで、少なくとも、湿度管理を図り、病害の発生抑制は植物体表面の環境条件改善ととともに、トマト灰色かび病、葉かび病、ベト病等の発病を抑制することを意図する。
【0013】
請求項1は、植物栽培建屋で、各誘引具と支柱を利用し、かつこの建屋内で群生(群落栽培)栽培する植物の茎幹の下方近傍、又は茎幹の上方近傍に設けたダクトと、このダクトに多数本接続した、その膜面に複数の吹出孔を開設した分岐ダクトとを介して、前記建屋に群生する植物に、少なくとも空気を送風する建屋の局所送風装置において、
この植物の習性を基にし、第一の誘引具〜第三の誘引具を設置する構造であり、この第一の誘引具を、この植物の第一の葉の付け根の上と、前記支柱の間に設け、また、この第二の誘引具を、この植物の第二の葉の付け根の上と前記分岐ダクトの間に設け、さらに、この第三の誘引具を、前記支柱と前記分岐ダクトの間に設け、
この第一の誘引具〜第三の誘引具により、前記植物の成長と、前記ダクトの(上方向の)移動とを同期する構成とした建屋の局所送風装置である。
【0014】
請求項2の発明は、建屋の株間局所送風装置において、分岐ダクトの吹出孔の位置を、植物の成長と同期して移動し、常時、この吹出孔より、成長する植物の花房か、又は葉の付け根に送風することで、この株間局所送風を最適化し、例えば、この株間局所送風のスムーズな流れと、微風の流れを介して、栽培植物に、最適な送風環境を維持すること、葉面における空気の流れ(葉裏の空気の滞留をなくす)、又は栽培植物の健全な生育環境維持と、収穫量の拡充化を図ること、等を意図する。そして、この請求項2の発明の株間局所送風装置の好ましい一例は、妻面に設けた送風機にダクトを接続し、ダクトに設けた分岐ダクトを、植物の株間と同じ間隔に設け、かつ分岐ダクトは、植物条間の下位展開葉の位置に設置し、花房か、又は葉の付け根の下側に向って送風する。例えば、その稼働時間は、24時間の連続で、毎秒1〜1.5m程度の送風を、花房か、又は葉の付け根にあてることで、少なくとも、湿度管理を図り、病害の発生抑制は植物体表面の環境条件改善ととともに、トマト灰色かび病、葉かび病、ベト病等の発病を抑制することを意図する。さらに、この請求項2の発明は、分岐ダクトの昇降と、植物の成長とを同期することで、前記送風の他に、日射量の確保にも有効となり、品質(味と色、大きさ等)の向上と、収穫量の拡充と、病気の減少化等を図ること、等を意図する。
【0015】
請求項2は、植物栽培建屋で、各誘引具と支柱を利用し、かつこの建屋内で群生栽培する植物の茎幹の下方近傍、又は茎幹の上方近傍に設けたダクトと、このダクトに多数本接続した、その膜面に複数の吹出孔を開設した分岐ダクトとを介して、前記建屋に群生する植物に、少なくとも空気を送風する建屋の局所送風装置において、
前記植物の第一の葉の付け根の上と支柱とに遊嵌する第一の誘引具、又は一方の係止部を茎幹に緩嵌し、また、他方の係止部を支柱に挿嵌する第一の誘引具と、
前記植物の第二の葉の付け根の上に緩嵌して設けた一方の係止部を備えた第二の誘引具を設け、この第二の誘引具の他方の係止部を、前記分岐ダクトに嵌着し、この分岐ダクトを、この植物の成長に添って同期(上昇)できる構造とし、
さらに、前記支柱に一方の係止部を遊嵌する第三の誘引具を設け、この第三の誘引具の他方の係止部を、前記分岐ダクトに嵌着し、この分岐ダクトの前記同期の際に、所定の位置で移動(上昇)できる構造とし、
この分岐ダクトの吹出孔を、前記植物の花房、花実、又は前記第一、第二の葉の略横設位置に開設し、かつこの分岐ダクトの全長を、前記茎幹の成長の限界長さとする構成とした建屋の局所送風装置である。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1、又は請求項2の目的を達成できること、そして、この目的を達成するに最適な、分岐ダクトから噴射する風速の選定を提供する。
【0017】
請求項3は、請求項1、又は請求項2に記載の建屋の局所送風装置において、
前記分岐ダクトの吹出孔より噴射される、少なくとも空気は、風速が、毎秒0.8mから1.8mである構成とした建屋の局所送風装置である。
【0018】
請求項4の発明は、請求項2の目的を達成すること、そして、この目的を達成するに最適な、第一の誘引具の係止構造を提供する。
【0019】
請求項4の発明は、請求項2に記載の建屋の局所送風装置において、
前記第一の誘引具を、地面に立設した支持杆に係止する構成とした建屋の局所送風装置である。
【0020】
請求項5の発明は、請求項1、又は請求項2の目的を達成すること、そして、この局所送風装置に採用できる最適な、混合空気が生成できる構造を提供する。
【0021】
請求項5は、請求項1、又は請求項2に記載の建屋の局所送風装置において、
前記外気に、建屋の内気を混合して混合空気を生成し、この混合空気を、前記ダクトと、分岐ダクトに供給する構成とした建屋の局所送風装置である。
【0022】
請求項6の発明は、建屋の株間局所送風装置用の送風機を、建屋の妻面に確実に取付け、この送風機に設けたダクトを、建屋の棚下、又は棚上に設置し、かつこのダクトに確実に空気導入が図れ、株間局所送風が図れる送風機を提供する。そして、この請求項6の発明は、妻面にファンと、シャッタを備えた送風機を、所定の位置に取付けることで、外部からの風雨の侵入防止と、また、この送風機に混合室を設けることで、外気と内気のミキシングを図り、植物に適した空気の供給と、換気の効率化を図る送風機の構造を提供する。
【0023】
請求項6は、トマト、胡瓜の植物棚栽培用の建屋の局所送風装置において、
この建屋の壁面に、送風機を設置し、この送風機のケーシングに設けたダクトを、前記建屋内の棚下、又は棚上に沿って延設し、このダクトを建屋の長手方向に設け、
このダクトからの分岐ダクトを、前記建屋で栽培する植物の外側か、又は内側に配備するとともに、この分岐ダクトの吹出孔を、この植物の花房、花実か、その付け根か、又は葉裏か、その付け根に向って開口し、
この吹出孔より、前記植物に送風し、この送風を介して、前記植物の葉面の空気の滞留を破壊することを特徴としたトマト、胡瓜の植物棚栽培用の建屋において、
前記ケーシングを、前記建屋の妻面の取付け口に取付け、このケーシングには、妻面側から、順次、シャッタと、ファン、並びに排気口を、それぞれ設ける構成とした建屋の局所送風装置の送風機である。
【0024】
請求項7の発明は、請求項6の目的を達成し、かつこの株間局所送風を行なうに際し、植物に適する温湿度の送風を行な得る送風機を提供する。
【0025】
請求項7は、請求項6に記載の建屋の局所送風装置の送風機において、
前記ケーシングには、その上面の一部に、建屋内に向かって開閉できる内気吸込口を設ける構成とした建屋の局所送風装置の送風機である。
【発明の効果】
【0026】
請求項1の発明は、植物栽培建屋で、各誘引具と支柱を利用し、かつ建屋内で群生栽培する植物の茎幹の下方近傍、又は茎幹の上方近傍に設けたダクトと、ダクトに多数本接続した、膜面に複数の吹出孔を開設した分岐ダクトとを介して、建屋に群生する植物に、少なくとも空気を送風する建屋の局所送風装置において、
植物の習性を基にし、第一の誘引具〜第三の誘引具を設置する構造であり、第一の誘引具を、植物の第一の葉の付け根の上と、支柱の間に設け、また、第二の誘引具を、植物の第二の葉の付け根の上と前記分岐ダクトの間に設け、さらに、第三の誘引具を、支柱と前記分岐ダクトの間に設け、
第一の誘引具〜第三の誘引具により、茎幹の成長と、ダクトの移動とを同期する構成とした建屋の局所送風装置である。
【0027】
従って、請求項1は、建屋の株間局所送風装置において、植物の習性を利用し、分岐ダクトと、支柱、並びに茎幹に設けた、第一の誘引具〜第三の誘引具を、1単位として、個別に緩嵌、嵌着等により係止し、この1単位を繰返して、この分岐ダクトと、支柱、並びに茎幹に、順次、設けることで、分岐ダクトの吹出孔の位置を、植物の成長と同期して移動可能とすることで、常時、この吹出孔より、成長する植物の花房か、又は葉の付け根に送風することで、この株間局所送風を最適化し、例えば、この株間局所送風のスムーズな流れと、微風の流れを介して、栽培植物に、最適な送風環境が維持できること、葉面における空気の流れ、又は栽培植物の健全な生育環境維持と、収穫量の拡充化が図れること、等の特徴を有する。そして、この請求項1の株間局所送風装置では、妻面に設けた送風機にダクトを接続し、ダクトに設けた分岐ダクトを、植物の株間と同じ間隔に設け、かつ分岐ダクトは、植物条間の下位展開葉の位置に設置し、花房か、又は葉の付け根の下側に向って送風し、この花房か、又は葉の付け根にあてることで、少なくとも、湿度管理を図り、病害の発生抑制は植物体表面の環境条件改善が図れるとともに、トマト灰色かび病、葉かび病、ベト病等の発病を抑制できること、等の実益を有する。
【0028】
請求項2の発明は、植物栽培建屋で、各誘引具と支柱を利用し、かつ建屋内で群生栽培する植物の茎幹の下方近傍、又は茎幹の上方近傍に設けたダクトと、ダクトに多数本接続した、膜面に複数の吹出孔を開設した分岐ダクトとを介して、建屋に群生する植物に、少なくとも空気を送風する建屋の局所送風装置において、
植物の第一の葉の付け根の上と支柱とに遊嵌する第一の誘引具、又は一方の係止部を茎幹に緩嵌し、また、他方の係止部を支柱に挿嵌する第一の誘引具と、
植物の第二の葉の付け根の上に緩嵌して設けた一方の係止部を備えた第二の誘引具を設け、第二の誘引具の他方の係止部を、分岐ダクトに嵌着し、分岐ダクトを、植物の成長に添って同期できる構造とし、
さらに、支柱に一方の係止部を遊嵌する第三の誘引具を設け、第三の誘引具の他方の係止部を、分岐ダクトに嵌着し、分岐ダクトの前記同期の際に、所定の位置で移動できる構造とし、
分岐ダクトの吹出孔を、植物の花房、花実、又は前記第一、第二の葉の略横設位置に開設し、かつ分岐ダクトの全長を、茎幹の成長の限界長さとする構成とした建屋の局所送風装置である。
【0029】
従って、この請求項2は、建屋の株間局所送風装置において、分岐ダクトの吹出孔の位置を、植物の成長と同期して移動し、常時、この吹出孔より、成長する植物の花房に送風することで、この株間局所送風を最適化し、例えば、この株間局所送風のスムーズな流れと、微風の流れを介して、栽培植物に、最適な送風環境を維持できること、葉面における空気の流れ、又は栽培植物の健全な生育環境維持と、収穫量の拡充化が図れること、等の特徴を有する。そして、この請求項2の株間局所送風装置の好ましい一例は、妻面に設けた送風機にダクトを接続し、ダクトに設けた分岐ダクトを、植物の株間と同じ間隔に設け、かつ分岐ダクトは、植物条間の下位展開葉の位置に設置し、葉の付け根か、葉面、又は花房の下側に向って送風する。例えば、その稼働時間は、24時間の連続で、毎秒1〜1.5m程度の送風を、花房か、又は葉の付け根にあてることで、少なくとも、湿度管理を図り、病害の発生抑制は植物体表面の環境条件改善が図れるとともに、トマト灰色かび病、葉かび病、ベト病等の発病を抑制できる実益がある。さらに、この請求項2は、分岐ダクトの昇降と、植物の成長とを同期することで、前記送風の他に、日射量の確保にも有効となり、品質の向上と、収穫量の拡充と、病気の減少化等が図れる等の利点がある。
【0030】
請求項3の発明は、請求項1、又は請求項2に記載の建屋の局所送風装置において、
分岐ダクトの吹出孔より噴射される、少なくとも空気は、風速が、毎秒0.8mから1.8mである構成とした建屋の局所送風装置である。
【0031】
従って、この請求項3は、請求項1、又は請求項2の目的を達成できること、そして、この目的を達成するに最適な、分岐ダクトから噴射する風速を選定できる特徴がある。
【0032】
請求項4の発明は、請求項2に記載の建屋の局所送風装置において、
第一の誘引具を、地面に立設した支持杆に係止する構成とした建屋の局所送風装置である。
【0033】
従って、この請求項4は、請求項2の目的を達成できること、そして、この目的を達成するに最適な、第一の誘引具の係止構造を提供できること等の特徴を有する。
【0034】
請求項5の発明は、請求項1、又は請求項2に記載の建屋の局所送風装置において、
外気に、建屋の内気を混合して混合空気を生成し、混合空気を、ダクトと、分岐ダクトに供給する構成とした建屋の局所送風装置である。
【0035】
従って、この請求項5は、請求項1、又は請求項2の目的を達成できること、そして、この局所送風装置に採用できる最適な、混合空気が生成できる構造を提供できること等の特徴を有する。
【0036】
請求項6の発明は、トマト、胡瓜の植物棚栽培用の建屋の局所送風装置において、
建屋の壁面に、送風機を設置し、送風機のケーシングに設けたダクトを、建屋内の棚下、又は棚上に沿って延設し、ダクトを建屋の長手方向に設け、
ダクトからの分岐ダクトを、建屋で栽培する植物の外側か、又は内側に配備するとともに、分岐ダクトの吹出孔を、植物の花房、花実か、付け根か、又は葉裏か、付け根に向って開口し、
吹出孔より、植物に送風し、送風を介して、植物の葉面の空気の滞留を破壊することを特徴としたトマト、胡瓜の植物棚栽培用の建屋において、
ケーシングを、建屋の妻面の取付け口に取付け、ケーシングには、妻面側から、順次、シャッタと、ファン、並びに排気口を、それぞれ設ける構成とした建屋の局所送風装置の送風機である。
【0037】
従って、この請求項6は、建屋の株間局所送風装置用の送風機を、建屋の妻面に確実に取付け、この送風機に設けたダクトを、建屋の棚下、又は棚上に設置し、かつこのダクトに確実に空気導入が図れ、株間局所送風が図れる送風機を提供できる特徴がある。そして、この請求項6は、妻面にファンと、シャッタを備えた送風機を、所定の位置に取付けることで、外部からの風雨の侵入防止と、また、この送風機に混合室を設けることで、外気と内気のミキシングを図り、植物に適した空気の供給と、換気の効率化を図る送風機の構造を提供できる実益がある。
【0038】
請求項7の発明は、請求項6に記載の建屋の局所送風装置の送風機において、
ケーシングには、上面の一部に、建屋内に向かって開閉できる内気吸込口を設ける構成とした建屋の局所送風装置の送風機である。
【0039】
従って、この請求項7は、請求項6の目的を達成し、かつこの株間局所送風を行なうに際し、植物に適する温湿度の送風を行な得る送風機を提供できること等の特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1−1】建屋内の地面に群生(密植)したトマト株の一本の茎幹を示し、かつその成長初期であって、株間局所送風を図る一部省略の第一実施例の要部の模式図
【図1−2】図1−1の状態より、トマト株の一本の茎幹が成長した状態における、株間局所送風を図る第一実施例の要部の模式図
【図1−3】第一実施例において、第一の誘引具を地面に設けた支持杆に係止した要部の模式図
【図1−4】第一実施例において、第一の誘引具を茎幹にフレキシブルに係止する状態の要部の模式図
【図1−5】第一実施例において、第一の誘引具を支柱にフレキシブルに係止する状態の要部の模式図
【図1−6】図1−4と図1−5のフレキシブル構造の一例を示した拡大俯瞰図
【図2−1】建屋内の棚に群生(密植)したトマト株の二本の茎幹を示し、かつダクトを棚下に配備した状態であって、しかもこのトマト株が成長した状態における、株間局所送風を図る第二実施例の要部の模式図
【図2−2】第二実施例の別の一例を示した要部の模式図
【図3−1】建屋内の棚に群生(密植)したトマト株の二本の茎幹を示し、かつダクトを棚上に配備した状態であって、しかもこのトマト株が成長した状態における、株間局所送風を図る第三実施例の要部の模式図
【図3−2】第三実施例の別の一例を示した要部の模式図
【図4】建屋の株間局所送風装置の送風機の側面模式図
【図5】図4の正面模式図
【図6】建屋の株間局所送風装置であって、送風機と、連結ダクト及び地面設置か、又は棚下設置のダクトとの関係を示した要部の側面模式図
【図7】建屋の株間局所送風装置であって、送風機と、棚上設置のダクトとの関係を示した要部の側面模式図
【発明を実施するための形態】
【0041】
最初に、図1−1〜図1−6の建屋H内の地面栽培において、図中1は建屋Hの棟方向Xに向って延設したダクトで、このダクト1は、地面GLに設けた支持部材30(後述する)で、空間に支持されている。そして、このダクト1の一方の開口は、建屋Hの壁面に設ける。そして、このダクト1の建屋H内にある終端は閉塞されている。このダクト1の棟方向Xには、多数本の分岐ダクト2(フレキシブル、又は折畳み式の分岐ダクト2)を設ける。そして、この分岐ダクト2を設ける箇所は、建屋Hに群生される多数本のトマトV株の一本の茎幹V1に対応する位置で、その内側、外側等にそれぞれ設ける構造である。図中3は地面GLに立設した支柱で、この支柱3は、トマトV株の一本の茎幹V1に対応して、それぞれ設けられる構造である。
【0042】
そこで、このダクト1と、支柱3、並びに茎幹V1の連繋関係において、好ましい一例を、以下に説明する。
【0043】
先ず、茎幹V1の第一の葉V3の付け根V4と支柱3を、横設(この横説とは、GLと平行するように横方向に設けること)した第一の誘引具5で連繋する。この第一の誘引具5は、例えば、対の帯体50と、この帯体50を蝶着する蝶番部51とで環状に形成され、その中心に差込み空間52を有する構造である。この第一の誘引具5は、その空間52を介して、前記の如く、茎幹V1の第一の葉V3の上と、支柱3との間に横設して(以下同じ)遊嵌する例に最適な構造で、例えば、この第一の誘引具5を、地面GLに立設した伸縮する支持杆4に設ける例と(図1−3参照)、この第一の誘引具5を変更し、支柱3に挿嵌する挿嵌部53と、茎幹V1を緩嵌する緩嵌部54とでなる例と(図1−4参照)、或いは支柱3と、茎幹V1をともに緩嵌する緩嵌部54とでなる例と(図1−5参照)とかが考えられる。いずれにしても、支柱3と茎幹V1を連繋する構造の第一の誘引具5であれば、その構造を問わない。尚、この挿嵌部53は、支柱3に余裕をもって係止された状態で、この挿嵌部53が、支柱3をガイドとして移動できる構造であり、例えば、緩嵌部54が、茎幹V1とともに移動した場合に、当該挿嵌部53の移動を確保するためである。また、この緩嵌部54は、例えば、帯状の環部54aの自由端を重畳し、この自由端の重畳部に、ピン54bと長孔54cをそれぞれ設け、茎幹V1の成長で、太くなると、この環部54aを押圧(拡開)する。この押圧は、ピン54bが、長孔54cを移動することで、可能となる。また、環部54aに対する押圧がなくなると、環部54aは、最初の状態に戻る(縮径される)。また、緩嵌部54は、スプリング、ゴム等の可撓性構造も考えられる。前述した、横設して第一の誘引具5を設けることで、この第一の誘引具5を、移動し易くすること、また、茎幹V1の成長に有効であること、この茎幹V1の遊嵌、挿嵌、緩嵌、又は支柱3の遊嵌、挿嵌か、後述する分岐ダクト2の嵌着、挿嵌(図示しない)が確保できること、等の特徴がある(以下同じ)。
【0044】
次に、トマトV(花房)下方の茎幹V1と、分岐ダクト2を、横設した第二の誘引具6で連繋する。この第二の誘引具6は、例えば、茎幹V1の第二の葉V3の付け根V4の上と分岐ダクト2との間に設け、かつこの茎幹V1を緩嵌する一方の係止部60と、分岐ダクト2に嵌着する他方の係止部61で構成し、かつこの一方の係止部60と他方の係止部61を、紐62(連繋具の一例である。紐は、以下、同じ)で連繋する構造である。そして、この一方の係止部60が、トマトV株の成長と同期して、上方に移動可能とするとともに、この紐62と、他方の係止部61も同期する。即ち、トマトV株の成長に同期して、分岐ダクト2が引上げられる構造である。これにより、トマトV株が成長するとともに、分岐ダクト2に設けられた吹出孔200と、茎幹V1のトマトVと、葉V3の付け根V4とが同期する(同じ位置にある)。従って、常時、この茎幹V1のトマトVと、葉V3の付け根V4に送風することが可能となる。尚、この緩嵌とは、茎幹V1の成長に同期した、自然と大きくなる構造であり、例えば、緩嵌部54と同様の構造が考えられるが、スプリング、ゴム等の可撓性構造も可能である。
【0045】
そして、支柱3と分岐ダクト2を、横設した第三の誘引具8で連繋する。この第三の誘引具8は、例えば、第一のトマトV株の近傍に設けられた支柱3に緩嵌する一方の係止部80と、第一のトマトV株の近傍に設けられた分岐ダクト2に嵌着される他方の係止部81で構成し、かつこの一方の係止部80と他方の係止部81を、紐82で連繋する構造である。この分岐ダクト2が昇降するに際し、支柱3をガイドにして、分岐ダクト2がスムーズに移行できる構造とする。また、紐82と、この一方の係止部80と他方の係止部81は、前記第二の誘引具6の紐62、並びに一方の係止部60と他方の係止部61と同じ構造とする。また、図示しないが、支柱3に一方の係止部80を嵌着し、分岐ダクト2に他方の係止部81を緩嵌する形態も可能である。いずれにしても、分岐ダクト2が、支柱3をガイドにして、スムーズに移行できる構造であれば、別の構造も採用できる。尚、第二の誘引具6は、分岐ダクト2の上部先端と、茎幹V1の上部先端に設け、この茎幹V1の成長で、分岐ダクト2を同期して引上げる構造とする。
【0046】
前記分岐ダクト2の吹出孔200を設ける間隔は、トマトVと、トマトVの下で茎幹V1から生える葉V3との間隔Rと、略同じ長さ200aを持って開設し、かつ分岐ダクト2の全長2aを、茎幹V1の成長の限界の長さV1aとする構成である。これにより、必要とする、トマトVと葉V3に対して、確実に送風し、その成長と、成長に最適な生育環境が確保できること、等の効果がある。また、第一の誘引具5〜第三の誘引具8の確実な役割と、第二の誘引具6の構造の簡易化と、茎幹V1の成長障害回避を図ること、分岐ダクト2に発生する荷重に対応すること、また、作業空間の確保を図ること、等がある。そして、本発明では、前述した第一の誘引具〜第三の誘引具5、6、8を、1単位として、トマトV株と、支柱3、並びに分岐ダクト2の所定の箇所に、順次、設けられる。従って、このトマトV株の例では、現場では、葉V3が二枚と、トマトVが1個を単位として生育する(慣習化「習性」している)。この習性を基に、成長限において、前記第一の誘引具〜第三の誘引具5、6、8を、通常は、三段設ける構造である。
【0047】
そして、この第一実施例においては、図1−1の如く、成長初期では、建屋H内の地面GLに群生したトマトV株の一本の茎幹V1の葉V3か、又はその付け根V4に向かって、吹出孔200より空気を噴射(噴出)する。この栽培後に、トマトV株が成長し、茎幹V1が伸びれば、これに同期し、第一の葉V3の付け根V4、及び第二の葉V3の付け根V4が上昇する。この各付け根V4の上昇で、第一の誘導具5か、その緩嵌部54、及び第二の誘導具6の一方の係止部60が引上げられるとともに、この第一の誘導具5、又はその挿嵌部53、及び第二の誘導具6の他方の係止部61も、紐62により引上げられる。この第二の誘導具6の他方の係止部61の引上げで、この他方の係止部61に嵌着している分岐ダクト2を引上げる。尚、第一の誘引具5の図示しない支持部を、分岐ダクト2に、挿嵌か、嵌着し(図示せず)、かつ図1−4と、図1−5の構造とを採用することで、前記第一の誘引具5の上昇で、分岐ダクト2を引上げることも可能である。そして、この第一、第二の誘引具5、6による引上げは、分岐ダクト2の引上げ(同期)に有効である。
【0048】
この分岐ダクト2の引上げにより、トマトVと、葉V3か、又はその付け根V4に向かって、吹出孔200より空気を噴射できる。そして、この引上げと、トマトV株の成長は、第一の誘引具5と、第三の誘引具8が障害とならない。即ち、第一の誘引具5は、遊嵌等であり、また、第三の誘引具8の一方の係止部80は、支柱3に緩嵌され、また、他方の係止部81は、分岐ダクト2に嵌着された構造である。尚、その後は、図1−2の如く、トマトV株が成長した段階においても、分岐ダクト2の吹出孔200より空気は、茎幹V1のトマトVか、又はその付け根と、葉V3か、又はその付け根V4に向かって噴射される構造を必要とする、このトマトVと、葉V3か、又はその付け根V4に向かって、常時、送風されることが特徴であり、かつ本発明のポイントである。以上のようにして、トマトVの収穫が終了した際には、第一の誘引具5〜第三の誘引具8の取外しと、分岐ダクト2の折畳み等の収縮と、支柱3の取外し等の収容、次の準備作業で終了する。尚、分岐ダクト2の吹出孔200より空気及び/又はエチレンガス、CO2等のガス、或いは後述する混合空気を噴射することもあり得る。
【0049】
次に、図2−1は、トマトV株の棚下栽培方式において、分岐ダクト2は、建屋Hに群生される多数本のトマトV株の一本の茎幹V1に対応する位置で、その外側にそれぞれ設ける。この第二実施例においても、基本的な構造は、前述した第一実施例に準ずる。そして、この例では、分岐ダクト2は、入れ子方式で伸縮する構造を提示しているが、一例である。また、養液栽培の配管10と供給管11を示している。図中12は培地を示す。尚、図2−2は、分岐ダクト2に枝ダクト2−1を設け、この枝ダクト2−1に吹出孔200を設けた構造であり、茎幹V1のトマトVと、葉V3か、又はその付け根V4等に向かって、近距離から噴射される実益と、効率化がある。
【0050】
また、図3−1は、トマトV株の棚上栽培方式において、分岐ダクト2は、建屋Hに群生される多数本のトマトV株の一本の茎幹V1に対応する位置で、その内側にそれぞれ設ける。この第三実施例においても、基本的な構造は、前述した第一・第二実施例に準ずる。そして、この例では、分岐ダクト2は、トマトV株の成長限度の長さを確保しており、このトマトV株の成長に同期して、分岐ダクト2を引上げる。この引上げは、第二の誘引具6を利用する。尚、図3−2は、前記図2−1に準ずる。
【0051】
図4〜図6において、15は送風機であり、この送風機15の一例を説明すると、この送風機15は、建屋Hの妻面H1(壁面)の躯体HHで、かつその地面GL近傍か、図示の如く、地面GLより距離B(虫、又は害獣の侵入防止用の距離B)を持って形成されている取付け口H2に設けたケーシング16と、このケーシング16の吸込口1600から、排気口1601に向って、順次、設けたシャッタ17と、ファン18用のモータ20、及びファン18とで構成されている。そして、この排気口1601の外径1601aには、この外径1601aに整合する内径を備え、かつ先下がり傾斜する(人と物の往来のため)連結ダクト100を連繋し、この連結ダクト100の先下がり部位に、この建屋H内地面GLに近接して設けたダクト1を連繋する。そして、この排気口1601の外径1601aは、ケーシング16の外径16aより小径に形成する。この排気口1601の外形1601aを小径とすることで、遠方までの送風を図り、送風の整流にも役立つこと(内外の空気の混合時に有効である)、又は設置の簡便化と、コストの低廉化等に役立つこと、等の実益がある。そして、このケーシング16の吸込口1600の一面(上面が建屋の導入が図れて、望ましい)に内気吸込口1600aと、この内気吸込口1600aに蓋22を設ける。そして、この内気吸込口1600aを設けることで、例えば、このケーシング16の吸込口1600側を混合室1602として活用する。即ち、この混合室1602に、建屋内暖気を、内気吸込口1600aの開放時(蓋22の開放時)に導入し、かつ外気を、吸込口1600の開放時(シャッタ17の開放時)に導入し、この内外気を混合し(混合空気の生成)、建屋H内に調合した暖気、又は冷気(温度)、或いは湿度を、トマトV株に供給できる実益がある。また、この内気吸込口1600aを、ケーシング16の上面に設けることで、例えば、建屋H内の暖気の導入が容易となり、かつ建屋H内の平均の暖気を利用できること、等の利点があること、又は前記の調温湿の生成に役立つこと、等が考えられる。図中23は、送風機15の吸込側に設けた防虫ネットを示す。尚、ダクト1は、支持部材30を適宜間隔に設け、建屋H内地面GLより浮かせた状態で設置し、湿気の付着を少なくすること、又は結露防止等を図り、また、汚染、冷気、劣化防止等に役立てる。
【0052】
この実施例では、送風機15のシャッタ17の開放と、ファン18の駆動を介して、取付け口H2からケーシング16に設けた混合室1602(必要時「建屋内暖気吸込み時」に作用する)を通過し、その後、吸込口1600に到る。この虫等の含まれない外気、又は混合空気を、ケーシング16の排気口1601より傾斜した連結ダクト100を介して、建屋H内のダクト1に送風する。そして、このダクト1に、その敷設後に差込み連結した多数本の分岐ダクト2に送り、この分岐ダクト2のそれぞれの吹出孔200より、茎幹V1のトマトVと、葉V3の付け根V4に向って噴射する構造である。これにより、前述の特徴を発揮できる。尚、ダクト1か、分岐ダクト2の何れかに、逆止弁等を設け、送風のコントロールと、送風箇所の限定と切替等の制御をすることも可能である。例えば、疫病の発生が多い箇所、虫の溜り場等への送風を繰りこと、また栽培状況に適合させること、等が考えられる。
【0053】
また、図7に示した送風機15は、原則として、前述の図4、図5の送風機15と同じであるが、この実施例では、建屋Hの妻面H1の躯体HHの略真中に設けた取付け口H2に設けられる構造であるが、その他は前述の例に準ずる。
【0054】
尚、各実施例において、トマトV株の棚栽培、又は路地栽培を示したが、本発明の建屋H内の地面、又は棚栽培方法における建屋Hの株間局所送風方法は、誘引線9を用いて栽培するその他の植物、例えば、胡瓜、ピーマン、ナス等の農作物、花栽培においても有効である。
【符号の説明】
【0055】
1 ダクト
100 連結ダクト
2 分岐ダクト
2−1 枝ダクト
2a 全長
200 吹出孔
200a 長さ
3 支柱
4 支持杆
5 第一の誘引具
50 帯体
51 蝶番部
52 空間
53 挿嵌部
54 緩嵌部
54a 環部
54b ピン
54c 長孔
6 第二の誘引具
60 一方の係止部
61 他方の係止部
62 紐
8 第三の誘引具
80 一方の係止部
81 他方の係止部
82 紐
9 誘引線
10 配管
11 供給管
12 培地
15 送風機
16 ケーシング
16a 外径
1600 吸込口
1600a 内気吸込口
1601 排気口
1601a 外径
1602 混合室
17 シャッタ
18 ファン
20 モータ
22 蓋
23 防虫ネット
30 支持部材
B 距離
H 建屋
HH 躯体
HHH ビニールフィルム
H1 妻面
H2 取付け口
R 間隔
V トマト
V1 茎幹
V1a 長さ
V3 葉
V4 付け根
GL 地面
X 棟方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物栽培建屋で、各誘引具と支柱を利用し、かつこの建屋内で群生栽培する植物の茎幹の下方近傍、又は茎幹の上方近傍に設けたダクトと、このダクトに多数本接続した、その膜面に複数の吹出孔を開設した分岐ダクトとを介して、前記建屋に群生する植物に、少なくとも空気を送風する建屋の局所送風装置において、
この植物の習性を基にし、第一の誘引具〜第三の誘引具を設置する構造であり、この第一の誘引具を、この植物の第一の葉の付け根の上と、前記支柱の間に設け、また、この第二の誘引具を、この植物の第二の葉の付け根の上と前記分岐ダクトの間に設け、さらに、この第三の誘引具を、前記支柱と前記分岐ダクトの間に設け、
この第一の誘引具〜第三の誘引具により、前記植物の成長と、前記ダクトの移動とを同期する構成とした建屋の局所送風装置。
【請求項2】
植物栽培建屋で、各誘引具と支柱を利用し、かつこの建屋内で群生栽培する植物の茎幹の下方近傍、又は茎幹の上方近傍に設けたダクトと、このダクトに多数本接続した、その膜面に複数の吹出孔を開設した分岐ダクトとを介して、前記建屋に群生する植物に、少なくとも空気を送風する建屋の局所送風装置において、
前記植物の第一の葉の付け根の上と支柱とに遊嵌する第一の誘引具、又は一方の係止部を茎幹に緩嵌し、また、他方の係止部を支柱に挿嵌する第一の誘引具と、
前記植物の第二の葉の付け根の上に緩嵌して設けた一方の係止部を備えた第二の誘引具を設け、この第二の誘引具の他方の係止部を、前記分岐ダクトに嵌着し、この分岐ダクトを、この植物の成長に添って同期できる構造とし、
さらに、前記支柱に一方の係止部を遊嵌する第三の誘引具を設け、この第三の誘引具の他方の係止部を、前記分岐ダクトに嵌着し、この分岐ダクトの前記同期の際に、所定の位置で移動できる構造とし、
この分岐ダクトの吹出孔を、前記植物の花房、花実、又は前記第一、第二の葉の略横設位置に開設し、かつこの分岐ダクトの全長を、前記茎幹の成長の限界長さとする構成とした建屋の局所送風装置。
【請求項3】
請求項1、又は請求項2に記載の建屋の局所送風装置において、
前記分岐ダクトの吹出孔より噴射される、少なくとも空気は、風速が、毎秒0.8mから1.8mである構成とした建屋の局所送風装置。
【請求項4】
請求項2に記載の建屋の局所送風装置において、
前記第一の誘引具を、地面に立設した支持杆に係止する構成とした建屋の局所送風装置。
【請求項5】
請求項1、又は請求項2に記載の建屋の局所送風装置において、
前記外気に、建屋の内気を混合して混合空気を生成し、この混合空気を、前記ダクトと、分岐ダクトに供給する構成とした建屋の局所送風装置。
【請求項6】
トマト、胡瓜の植物棚栽培用の建屋の局所送風装置において、
この建屋の壁面に、送風機を設置し、この送風機のケーシングに設けたダクトを、前記建屋内の棚下、又は棚上に沿って延設し、このダクトを建屋の長手方向に設け、
このダクトからの分岐ダクトを、前記建屋で栽培する植物の外側か、又は内側に配備するとともに、この分岐ダクトの吹出孔を、この植物の花房、花実か、その付け根か、又は葉裏か、その付け根に向って開口し、
この吹出孔より、前記植物に送風し、この送風を介して、前記植物の葉面の空気の滞留を破壊することを特徴としたトマト、胡瓜の植物棚栽培用の建屋において、
前記ケーシングを、前記建屋の妻面の取付け口に取付け、このケーシングには、妻面側から、順次、シャッタと、ファン、並びに排気口を、それぞれ設ける構成とした建屋の局所送風装置の送風機。
【請求項7】
請求項6に記載の建屋の局所送風装置の送風機において、
前記ケーシングには、その上面の一部に、建屋内に向かって開閉できる内気吸込口を設ける構成とした建屋の局所送風装置の送風機。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図1−4】
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【図1−5】
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【図1−6】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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