説明

建築用中空部材の充填材注入方法及び建築用中空部材の充填材注入装置

【課題】建築用中空部材の端部を開放することなく建築用中空部材への充填材の注入をスムーズに行うことができる建築用中空部材の充填材注入方法を提供する。
【解決手段】建築用中空部材の充填材注入方法は、充填材注入口2aと空気排出口2bとを有した長手形状の建築用中空部材2の充填材注入口2aに充填材導入部材5を、空気排出口2bに空気排出部材6を、それぞれ接続して建築用中空部材2内を密閉状態とし、充填材注入口2aは、空気排出口2bより長手形状の建築用中空部材2の一方の端部2Aの側に近い位置にあり、空気排出口2bは、充填材注入口2aより長手形状の建築用中空部材2の他方の端部2Bの側に近い位置にあり、空気排出口2bを介して長手形状の建築用中空部材2内の空気を排気しながら充填材注入口2aを介して長手形状の建築用中空部材2内に充填材を注入して充填する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築用中空部材の充填材注入方法及び建築用中空部材の充填材注入装置に係り、特に、建築用中空部材の端部を開放することなく建築用中空部材への充填材の注入をスムーズに行うことができる建築用中空部材の充填材注入方法及び建築用中空部材の充填材注入装置に関する。
【0002】
従来、例えば、垂直に立てられた鋼管の下端側の側面部のコンクリート圧入孔にコンクリート圧送管を接続し、コンクリートを鋼管内の下から上へと圧入して充填していく圧入充填工法がある(例えば、特許文献1参照)。
この圧入充填工法にあっては、コンクリートを鋼管内の下から上へと充填していく際 、鋼管の上端部が開放されているため、鋼管内の空気は鋼管の上端部から排出され、支障を生じない。
【特許文献1】特開2006−16805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、鋼管内のコンクリートの充てん後、鋼管の上端部を閉じる作業が必要で、作業性が良好でないという問題点があった。
【0004】
本発明は、上記の問題点を除去するようにした建築用中空部材の充填材注入方法及び建築用中空部材の充填材注入装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の建築用中空部材の充填材注入方法は、充填材注入口と空気排出口とを有した長手形状の建築用中空部材の前記充填材注入口に充填材導入部材を、前記空気排出口に空気排出部材を、それぞれ接続して前記建築用中空部材内を密閉状態とし、前記充填材注入口は、前記空気排出口より前記長手形状の建築用中空部材の一方の端部の側に近い位置にあり、前記空気排出口は、前記充填材注入口より前記長手形状の建築用中空部材の他方の端部の側に近い位置にあり、前記空気排出口を介して前記長手形状の建築用中空部材内の空気を排気しながら前記充填材注入口を介して前記長手形状の建築用中空部材内に充填材を注入して充填するものである。
【0006】
また、請求項2記載の建築用中空部材の充填材注入方法は、請求項1記載の建築用中空部材の充填材注入方法において、長手形状の建築用中空部材には、前記長手形状の建築用中空部材の長手方向を横断すると共に、充填材が通過する穴を有する複数の補強部材が設けられ、前記複数の補強部材の内、前記長手形状の建築用中空部材の一方の端部に一番近い側は第1の補強部材であり、前記複数の補強部材の内、前記長手形状の建築用中空部材の他方の端部に一番近い側は第2の補強部材であり、前記第1の補強部材と前記長手形状の建築用中空部材の一方の端部とに臨む前記長手形状の建築用中空部材の室は入口側室であり、前記第2の補強部材と前記長手形状の建築用中空部材の他方の端部とに臨む前記長手形状の建築用中空部材の室は出口側室であり、この出口側室に前記空気排出口が、前記入口側室に前記充填材導入部材が、それぞれ連通しているものである。
【0007】
また、請求項3記載の建築用中空部材の充填材注入方法は、第1の充填材注入口と第2の充填材注入口と空気排出口とを有した長手形状の建築用中空部材の前記第1の充填材注入口に第1の充填材導入部材を、前記第2の充填材注入口に第2の充填材導入部材を、前記空気排出口に空気排出部材を、それぞれ接続して前記建築用中空部材内を密閉状態とし、前記第1の充填材注入口は、前記空気排出口および前記第2の充填材注入口より前記長手形状の建築用中空部材の一方の端部の側に近い位置にあり、前記第2の充填材注入口は、前記空気排出口および前記第1の充填材注入口より前記長手形状の建築用中空部材の他方の端部の側に近い位置にあり、前記建築用中空部材の前記空気排出口の部位は、前記建築用中空部材の前記第1の充填材注入口の部位と前記建築用中空部材の前記第2の充填材注入口の部位との略中央の位置にあり、前記空気排出口を介して前記長手形状の建築用中空部材内の空気を排気しながら前記第1の充填材注入口および前記第2の充填材注入口を介して前記長手形状の建築用中空部材内に充填材を注入するものである。
【0008】
また、請求項4記載の建築用中空部材の充填材注入方法は、請求項3記載の建築用中空部材の充填材注入方法において、長手形状の建築用中空部材には、前記長手形状の建築用中空部材の長手方向を横断すると共に、充填材が通過する穴を有する複数の補強部材が設けられ、前記複数の補強部材の内、前記長手形状の建築用中空部材の一方の端部に一番近い側は第1の補強部材であり、前記複数の補強部材の内、前記長手形状の建築用中空部材の他方の端部に一番近い側は第2の補強部材であり、前記第1の補強部材と前記長手形状の建築用中空部材の一方の端部とに臨む前記長手形状の建築用中空部材の室は第1の入口側室であり、前記第2の補強部材と前記長手形状の建築用中空部材の他方の端部とに臨む前記長手形状の建築用中空部材の室は第2の入口側室であり、前記長手形状の建築用中空部材の略中央に位置すると共に、前記複数の補強部材の内、前記長手形状の建築用中空部材の隣接する補強部材に臨む前記長手形状の建築用中空部材の室は出口側室であり、この出口側室に空気排出口が、前記第1の入口側室に第1の充填材注入口が、前記第2の入口側室に第2の充填材注入口が、それぞれ連通しているものである。
【0009】
また、請求項5記載の建築用中空部材の充填材注入方法は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の建築用中空部材の充填材注入方法において、空気排出部材は、空気排出口と減圧用排気ポンプとを接続するものであり、前記空気排出部材に前記空気排出口から溢出する充填材を貯留すると共に、外部から目視できる透明体の出口側予備室を設け、この出口側予備室を長手形状の建築用中空部材に着脱自在に取り付け、前記出口側予備室に前記充填材を導入するものである。
【0010】
また、請求項6記載の建築用中空部材の充填材注入方法は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の建築用中空部材の充填材注入方法において、長手形状の建築用中空部材は、梁、柱、上向きの弧状部材のいずれかである。
【0011】
また、請求項7記載の建築用中空部材の充填材注入方法は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の建築用中空部材の充填材注入方法法において、建築用中空部材の空気排出口に連通するように取り付けられた空気排出部材と、雄ネジを有した垂直部と、この垂直部より水平方向に設けられ、前記空気排出口の縁部に係止する下端部と、前記垂直部より水平方向に設けられ、前記建築用中空部材の外に位置する上端部とを有し、この上端部、前記垂直部及び前記下端部でなす断面形状が略コ字状である断面略コ字状部材と、前記空気排出部材の端部にあって、外方に張り出すと共に、張り出す中途に前記垂直部を通す穴を有した張出部と、この張出部の下面と前記建築用中空部材とにそれぞれ当接して、前記張出部の下面と前記建築用中空部材との間をシールするシール部材と、前記張出部の上方にあって、前記雄ネジに螺合するナットとを備え、少なくとも、前記断面略コ字状部材と前記ナットとをそれぞれ複数有して、前記シール部材を介して前記張出部と前記下端部で、前記空気排出口の縁部を挟持するものである。
【0012】
また、請求項8記載の建築用中空部材の充填材注入方法は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の建築用中空部材の充填材注入方法において、建築用中空部材の充填材注入口に連通するように取り付けられた充填材導入部材と、雄ネジを有した垂直部と、この垂直部より水平方向に設けられ、前記充填材注入口の縁部に係止する下端部と、前記垂直部より水平方向に設けられ、前記建築用中空部材の外に位置する上端部とを有し、この上端部、前記垂直部及び前記下端部でなす断面形状が略コ字状である断面略コ字状部材と、前記充填材導入部材の端部にあって、外方に張り出すと共に、張り出す中途に前記垂直部を通す穴を有した張出部と、この張出部の下面と前記建築用中空部材とにそれぞれ当接して、前記張出部の下面と前記建築用中空部材との間をシールするシール部材と、前記張出部の上方にあって、前記雄ネジに螺合するナットとを備え、少なくとも、前記断面略コ字状部材と前記ナットとをそれぞれ複数有して、前記シール部材を介して前記張出部と前記下端部で、前記充填材注入口の縁部を挟持するものである。
【0013】
また、請求項9記載の建築用中空部材の充填材注入装置は、充填材注入口と空気排出口とを有した長手形状の建築用中空部材の前記充填材注入口に接続し、前記長手形状の建築用中空部材内への充填材を充填する充填手段と、前記空気排出口に接続し、前記長手形状の建築用中空部材内を減圧する減圧手段と、前記長手形状の建築用中空部材は、前記充填材注入口に前記充填手段を、前記空気排出口に前記減圧手段を、それぞれ接続した状態は、密閉状態に接続されるものであり、前記空気排出口を介して前記長手形状の建築用中空部材内の空気を排気しながら前記充填材注入口を介して前記長手形状の建築用中空部材内に充填材を注入して充填するものである。
【0014】
また、請求項10記載の建築用中空部材の充填材注入装置は、第1の充填材注入口と第2の充填材注入口と空気排出口とを有した長手形状の建築用中空部材の前記第1の充填材注入口と前記第2の充填材注入口に接続し、前記長手形状の建築用中空部材内への充填材を充填する充填手段と、前記空気排出口に接続し、前記長手形状の建築用中空部材内を減圧する減圧手段と、前記長手形状の建築用中空部材は、前記第1の充填材注入口と前記第2の充填材注入口に前記充填手段を、前記空気排出口に前記減圧手段を、それぞれ接続した状態は、密閉状態に接続されているものであり、前記空気排出口を介して前記長手形状の建築用中空部材内の空気を排気しながら前記第1の充填材注入口と前記第2の充填材注入口を介して前記長手形状の建築用中空部材内に充填材を注入して充填するものである。
【0015】
また、請求項11記載の建築用中空部材の充填材注入装置は、請求項9又は10記載の建築用中空部材の充填材注入装置において、空気排出部材は、空気排出口と減圧用排気ポンプとを接続するものであり、前記空気排出部材に前記空気排出口から溢出する充填材を貯留すると共に、外部から目視できる透明体の出口側予備室を設け、この出口側予備室を長手形状の建築用中空部材に着脱自在に取り付け、前記出口側予備室に前記充填材を導入するものである。
【0016】
また、請求項12記載の建築用中空部材の充填材注入装置は、請求項9〜11のいずれか1項に記載の建築用中空部材の充填材注入装置において、長手形状の建築用中空部材は、梁、柱、上向きの弧状部材のいずれかである。
【0017】
また、請求項13記載の建築用中空部材の充填材注入装置は、請求項9〜11のいずれか1項に記載の建築用中空部材の充填材注入装置において、建築用中空部材の空気排出口に連通するように取り付けられた空気排出部材と、雄ネジを有した垂直部と、この垂直部より水平方向に設けられ、前記空気排出口の縁部に係止する下端部と、前記垂直部より水平方向に設けられ、前記建築用中空部材の外に位置する上端部とを有し、この上端部、前記垂直部及び前記下端部でなす断面形状が略コ字状である断面略コ字状部材と、前記空気排出部材の端部にあって、外方に張り出すと共に、張り出す中途に前記垂直部を通す穴を有した張出部と、この張出部の下面と前記建築用中空部材とにそれぞれ当接して、前記張出部の下面と前記建築用中空部材との間をシールするシール部材と、前記張出部の上方にあって、前記雄ネジに螺合するナットとを備え、少なくとも、前記断面略コ字状部材と前記ナットとをそれぞれ複数有して、前記シール部材を介して前記張出部と前記下端部で、前記空気排出口の縁部を挟持するものである。
【0018】
また、請求項14記載の建築用中空部材の充填材注入装置は、請求項9〜11のいずれか1項に記載の建築用中空部材の充填材注入装置において、建築用中空部材の充填材注入口に連通するように取り付けられた充填材導入部材と、雄ネジを有した垂直部と、この垂直部より水平方向に設けられ、前記充填材注入口の縁部に係止する下端部と、前記垂直部より水平方向に設けられ、前記建築用中空部材の外に位置する上端部とを有し、この上端部、前記垂直部及び前記下端部でなす断面形状が略コ字状である断面略コ字状部材と、前記充填材導入部材の端部にあって、外方に張り出すと共に、張り出す中途に前記垂直部を通す穴を有した張出部と、この張出部の下面と前記建築用中空部材とにそれぞれ当接して、前記張出部の下面と前記建築用中空部材との間をシールするシール部材と、前記張出部の上方にあって、前記雄ネジに螺合するナットとを備え、少なくとも、前記断面略コ字状部材と前記ナットとをそれぞれ複数有して、前記シール部材を介して前記張出部と前記下端部で、前記充填材注入口の縁部を挟持するものである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の建築用中空部材の充填材注入方法によれば、充填材注入口と空気排出口とを有した長手形状の建築用中空部材の前記充填材注入口に充填材導入部材を、前記空気排出口に空気排出部材を、それぞれ接続して前記建築用中空部材内を密閉状態とし、前記空気排出口を介して前記長手形状の建築用中空部材内の空気を排気しながら前記充填材注入口を介して前記長手形状の建築用中空部材内に充填材を注入して充填するため、建築用中空部材内の空気を強制的に建築用中空部材の外へと排出するため、建築用中空部材の端部を開放することなく、しかも、建築用中空部材内の空気が減圧されることによって建築用中空部材内をある一定の減圧状況をつくり、建築用中空部材内での充填材の流動性を高め、長手形状の建築用中空部材内に充填材が充填され易く作業性が改善されると共に、建築用中空部材内の空気の滞留をも防止することができる。
【0020】
また、請求項2記載の建築用中空部材の充填材注入方法によれば、建築用中空部材内をある一定の減圧状況をつくるため、「長手形状の建築用中空部材に、該長手形状の建築用中空部材の長手方向を横断すると共に、充填材が通過する穴を有する複数の補強部材が設けられたもの」にあっては、特に有効である。
【0021】
また、請求項3記載の建築用中空部材の充填材注入方法によれば、注入口が、第1の充填材注入口、第2の充填材注入口と二箇所、空気排出口が第1の充填材注入口と第2の充填材注入口との略中央に位置しているため、「長手形状の建築用中空部材が、平面視、長手方向に長い長手形状の建築用中空部材」にあっては、特に有効である。
【0022】
また、請求項4記載の建築用中空部材の充填材注入方法によれば、注入口が、第1の充填材注入口、第2の充填材注入口と二箇所、空気排出口が第1の充填材注入口と第2の充填材注入口との略中央に位置しているため、「長手形状の建築用中空部材が、平面視、長手方向に長い長手形状の建築用中空部材にあって、充填材が通過する穴を有する複数の補強部材を内在した建築用中空部材」には、特に有効である。
【0023】
また、請求項5記載の建築用中空部材の充填材注入方法によれば、前述した請求項1〜4記載の発明の効果に加え、外部から目視できる透明体の出口側予備室に充填材を導入することにより、建築用中空部材内に充填材が注入されていることを外部から確認することができ、確認後、出口側予備室を建築用中空部材から取り外すことができる。
【0024】
また、請求項7記載の建築用中空部材の充填材注入方法によれば、少なくとも、断面略コ字状部材とナットとをそれぞれ複数有して、シール部材を介して張出部と下端部で、空気排出口の縁部を挟持するため、建築用中空部材に付属物を付けなくても、また、建築用中空部材にネジ等を付けなくても、空気排出部材の取付、取り外しができ、しかも、シール部材によりシールをも確保することができる。
【0025】
また、請求項8記載の建築用中空部材の充填材注入方法によれば、少なくとも、断面略コ字状部材とナットとをそれぞれ複数有して、シール部材を介して張出部と下端部で、充填材注入口の縁部を挟持するため、建築用中空部材に付属物を付けなくても、また、建築用中空部材にネジ等を付けなくても、充填材導入部材の取付、取り外しができ、しかも、シール部材によりシールをも確保することができる。
【0026】
また、請求項9記載の建築用中空部材の充填材注入装置によれば、充填材注入口と空気排出口とを有した長手形状の建築用中空部材の前記充填材注入口に充填手段を、前記空気排出口に減圧手段を、それぞれ接続して前記建築用中空部材内を密閉状態とし、前記空気排出口を介して前記長手形状の建築用中空部材内の空気を排気しながら前記充填材注入口を介して前記長手形状の建築用中空部材内に充填材を注入して充填するため、建築用中空部材内の空気を強制的に建築用中空部材の外へと排出するため、建築用中空部材の端部を開放することなく、しかも、建築用中空部材内の空気が減圧されることによって建築用中空部材内をある一定の減圧状況をつくり、建築用中空部材内での充填材の流動性を高め、長手形状の建築用中空部材内に充填材が充填され易く作業性が改善されると共に、建築用中空部材内の空気の滞留をも防止することができる。
【0027】
また、請求項10記載の建築用中空部材の充填材注入装置によれば、建築用中空部材内をある一定の減圧状況をつくるため、「長手形状の建築用中空部材に、該長手形状の建築用中空部材の長手方向を横断すると共に、充填材が通過する穴を有する複数の補強部材が設けられたもの」にあっては、特に有効である。
【0028】
また、請求項11記載の建築用中空部材の充填材注入装置によれば、前述した請求項9又は10記載の発明の効果に加え、外部から目視できる透明体の出口側予備室に充填材を導入することにより、建築用中空部材内に充填材が注入されていることを外部から確認することができ、確認後、出口側予備室を建築用中空部材から取り外すことができる。
【0029】
また、請求項13記載の建築用中空部材の充填材注入装置によれば、少なくとも、断面略コ字状部材とナットとをそれぞれ複数有して、シール部材を介して張出部と下端部で、空気排出口の縁部を挟持するため、建築用中空部材に付属物を付けなくても、また、建築用中空部材にネジ等を付けなくても、空気排出部材の取付、取り外しができ、しかも、シール部材によりシールをも確保することができる。
【0030】
また、請求項14記載の建築用中空部材の充填材注入装置によれば、少なくとも、断面略コ字状部材とナットとをそれぞれ複数有して、シール部材を介して張出部と下端部で、充填材注入口の縁部を挟持するため、建築用中空部材に付属物を付けなくても、また、建築用中空部材にネジ等を付けなくても、充填材導入部材の取付、取り外しができ、しかも、シール部材によりシールをも確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明の建築用中空部材の充填材注入方法及び建築用中空部材の充填材注入装置の一実施例について図面を参照して説明する。
[実施例1(図1乃至図9参照)]
図1は、本発明の一実施例の建築用中空部材の充填材注入方法の適用対象である建物構造物Cの概略的斜視図で、建物構造物Cは、垂直方向に延びる複数の柱1と、この柱1に対して、直角方向、つまり、水平方向に延びる複数の梁2とから概略的に構成されている(図1乃至図9参照)。
【0032】
梁2は、例えば、長手形状の建築用中空部材で、長手形状の建築用中空部材2には、長手形状の建築用中空部材2の長手方向を横断すると共に、充填材3(図8及び図9参照)が通過する穴4aを有する複数の補強部材4(有孔ダイヤフラム)が設けられている。なお、図2に示す4bは、梁2内部に配置される鉄筋(図示せず)を通す穴であり、また、図9に示すように、長手形状の建築用中空部材2に充填材3が充填されるのは、充填された充填材3により長手形状の建築用中空部材2の変形が規制され、揺れの少ない建物構造物C(図1参照)が得られるからである。
なお、上述した長手形状の建築用中空部材2は、例えば、断面が角である角形鋼管、断面が円である円形鋼管等であり、充填材3は、例えば、コンクリート、モルタル、樹脂等である。
【0033】
また、長手形状の建築用中空部材2には、長手形状の建築用中空部材2の上面に充填材注入口2a及び空気排出口2bが、長手形状の建築用中空部材2の上面及び底面を除く側面に補強部材挿入孔2c、長孔2dとが、それぞれ設けられている。充填材注入口2a及び空気排出口2bは、柱1に溶接されたU字状部材10と長手形状の建築用中空部材2とを接合するボルト10a’を手で挿入する穴を兼用するものであり、図2記載の2a’は、長手形状の建築用中空部材2に取り付けられるボルト10a’(図3)を通す穴であり、ボルト10a’により、長手形状の建築用中空部材2は、柱1に固定される。
また、上記の補強部材挿入孔2cを介して補強部材4が長手形状の建築用中空部材2内に挿入され(図2参照)、挿入後、補強部材挿入孔2c、長孔2dを介して溶接により補強部材4は長手形状の建築用中空部材2に固着される(図3参照)。
なお、本実施例の「建築用中空部材2(又は、後述する図11記載の上向きの弧(アーチ)状部材である「建築用中空部材2’」、図12記載の「柱1」にあっては、内部に補強部材4を設けたものについて説明しているが、
本願発明にあっては、これに限らず、例えば、建築用中空部材2(又は、「建築用中空部材2’」、又は、「図12記載の柱1」)の内部に補強部材4を設けないものにも、同様に適用できるものである。
【0034】
建築用中空部材2は、図4に示すように、一方の端部を部材2Aにより、他方の端部を部材2Bにより閉じられている。充填材注入口2aは、空気排出口2bより長手形状の建築用中空部材2の一方の端部(部材2A)の側に近い位置にあり、空気排出口2bは、充填材注入口2aより長手形状の建築用中空部材2の他方の端部(部材2B)の側に近い位置にある。
詳述すれば、図4に示すように、複数の補強部材4の内、長手形状の建築用中空部材2の一方の端部(部材2A)に一番近い側は第1の補強部材4Aであり、複数の補強部材4の内、長手形状の建築用中空部材2の他方の端部(部材2B)に一番近い側は第2の補強部材4Bであり、第1の補強部材4Aと長手形状の建築用中空部材2の一方の端部(部材2A)とに臨む長手形状の建築用中空部材2の室は入口側室Aであり、第2の補強部材4Bと長手形状の建築用中空部材2の他方の端部(部材2B)とに臨む長手形状の建築用中空部材の室は出口側室Bである。
そして、充填材注入口2aに充填材導入部材5を、空気排出口2bに空気排出部材6を、それぞれ接続して建築用中空部材2内を密閉状態とし、ミキサー車8及び減圧用排気ポンプ9を作動させることにより、空気排出口2bを介して長手形状の建築用中空部材2内の空気を排気しながら建築用中空部材2内を減圧して、充填材注入口2aを介して長手形状の建築用中空部材2内に充填材3を注入して充填することができる(図4乃至図9参照)。
従って、上記の建築用中空部材の充填材注入方法によれば、建築用中空部材2の内部は、減圧室2X(図4及び図8)が形成され、建築用中空部材2内の空気が減圧される分、長手形状の建築用中空部材2内の充填材3の流動性が高まり、充填材3が充填され易く、作業性が改善されると共に、残留エアーの強制除去により建築用中空部材2内の空気の滞留をも防止することができる。
なお、本実施例の「建築用中空部材の充填材注入方法」は、本実施例のような「内部に複数の補強部材4を有すると共に、水平方向に設置される梁2」には、特に、有効である。
【0035】
上記の空気排出部材6は、図4に示すように、長手形状の建築用中空部材2の空気排出口2bと減圧用排気ポンプ9とを接続するものであり、また、図6に示す6Aは、空気排出部材6に設けられ、空気排出口2bから溢出する充填材3を貯留すると共に、外部から目視できる透明体の出口側予備室である。透明体の出口側予備室6Aは、例えば、透明なアクリル板で形成することができる。
従って、出口側予備室6A内に充填材3が注入されていることを外部から確認することができ、確認後、出口側予備室6Aを建築用中空部材2から取り外すことができる。
【0036】
出口側予備室6Aの長手形状の建築用中空部材2への脱着は、例えば、図6及び図7に示す一対の断面略コ字状部材(取り付け金具)20、20を用いて行うことができると共に、出口側予備室6Aの長手形状の建築用中空部材2への取り付け、取り外しに伴う建築用中空部材2へ傷が付くのを防止することができる(なお、後述する図10乃至図12記載の出口側予備室6Aも、一対の断面略コ字状部材20、20を用いて建築用中空部材2に着脱自在に取り付けられている。)。
即ち、一対の断面略コ字状部材(取り付け金具)20、20は、図6に示すように、雄ネジを有した垂直部20a、20aと、この垂直部20a、20aより水平方向に設けられ、空気排出口2bの縁部に係止する下端部20b、20bと、垂直部20a、20aより水平方向に設けられ、建築用中空部材2の外に位置する上端部20d、20dとを有し、この上端部20d、20d、垂直部20a、20a及び下端部20b、20bでなす断面形状が略コ字状となっている。
また、図6に示す6A1は、空気排出部材6の端部、つまり、出口側予備室6Aにあって、外方に張り出すと共に、張り出す中途に垂直部20a、20aを通す穴6A2、6A2を有した張出部である。
また、図6に示す21は、張出部6A1の下面と建築用中空部材2とにそれぞれ当接して、張出部6A1の下面と建築用中空部材2との間をシールするシール部材(例えば、ゴム等の弾性部材)である。
また、図6に示す20cは、張出部6A1の上方にあって、垂直部20a、20aに形成された雄ネジに螺合するナットであり、少なくとも、断面略コ字状部材20、20とナット20c、20cとをそれぞれ複数(本実施例では、断面略コ字状部材20は、図6及び図7記載のように、例えば、2個)有して、シール部材21を介して張出部6A1と下端部20b、20bで、空気排出口2bの縁部を挟持して、空気排出部材6を長手形状の建築用中空部材2に取り付けることができる。
取り外しは、ナット20c、20cを緩め、断面略コ字状部材20を図7に示す矢印に回動させて、下端部20b、20bと長手形状の建築用中空部材2の空気排出口2bの縁部との係止状態を解除して行うことができる。
なお、ナット20c、20cと張出部6A1との間に、図示しないシール部材(例えば、ゴム等の弾性部材又はグリース等)を介在させることが望ましい。
【0037】
また、図5に示す5Aは、充填材導入部材5に設けられ、充填材3を長手形状の建築用中空部材2内に導入する入口側予備室である。この入口側予備室5Aは、上記と同様の一対の断面略コ字状部材(取り付け金具)20、20を用いて建築用中空部材2に着脱自在に取り付けることができる(なお、後述する図10乃至図12記載の入口側予備室5Aも、一対の断面略コ字状部材20、20を用いて建築用中空部材2に着脱自在に取り付けられている。)。
即ち、一対の断面略コ字状部材(取り付け金具)20、20は、図5に示すように、雄ネジを有した垂直部20a、20aと、この垂直部20a、20aより水平方向に設けられ、充填材注入口2aの縁部に係止する下端部20b、20bと、垂直部20a、20aより水平方向に設けられ、建築用中空部材2の外に位置する上端部20d、20dとを有し、この上端部20d、20d、垂直部20a、20a及び下端部20b、20bでなす断面形状が略コ字状となっている。
また、図5に示す5A1は、充填材導入部材5の端部、つまり、入口側予備室5Aにあって、外方に張り出すと共に、張り出す中途に垂直部20a、20aを通す穴5A2、5A2を有した張出部である。
また、図5に示す21は、張出部6A1の下面と建築用中空部材2とにそれぞれ当接して、張出部5A1の下面と建築用中空部材2との間をシールするシール部材(例えば、ゴム等の弾性部材)である。
また、図5に示す20cは、張出部5A1の上方にあって、垂直部20a、20aに形成された雄ネジに螺合するナットであり、少なくとも、断面略コ字状部材20、20とナット20c、20cとをそれぞれ複数(本実施例では、断面略コ字状部材20は、例えば、図5記載のように、2個)有して、シール部材21を介して張出部5A1と下端部20b、20bで、充填材注入口2aの縁部を挟持して、充填材導入部材5を長手形状の建築用中空部材2に取り付けることができる。
取り外しは、ナット20c、20cを緩め、断面略コ字状部材20を回動させて、下端部20b、20bと長手形状の建築用中空部材2の充填材注入口2aの縁部との係止状態を解除して行うことができる。
なお、ナット20c、20cと張出部5A1との間に、図示しないシール部材(例えば、ゴム等の弾性部材又はグリース等)を介在させることが望ましい。
【0038】
なお、図4に示すFは、建築用中空部材の充填材注入装置で、建築用中空部材の充填材注入装置Fは、充填材注入口2aと空気排出口2bとを有した長手形状の建築用中空部材2の充填材注入口2aに接続し、長手形状の建築用中空部材2内への充填材3を充填する充填手段と、空気排出口2bに接続し、長手形状の建築用中空部材2内を減圧する減圧手段と、を有している。
上記の充填手段は、例えば、ミキサー車8からの充填材3を充填材注入口2aに案内する充填材導入部材(又は充填材案内部材)5であり、減圧手段は、例えば、空気排出口2bからの空気を減圧用排気ポンプ9に案内する空気排出部材(又は空気案内部材)6である。
【0039】
[実施例2(図10参照)]
なお、本願発明の「建築用中空部材の充填材注入方法及び建築用中空部材の充填材注入装置F」の「建築用中空部材2」は、充填材注入口2a、空気排出口2bと、それぞれ、1箇所であったが、本願発明にあっては、これに限らず、例えば、図10記載のように、充填材注入口を充填材注入口2a”と充填材注入口2a’”との2箇所、空気排出口2bを1箇所としても良い。
即ち、第1の充填材注入口2a”と第2の充填材注入口2a’”と空気排出口2bとを有した長手形状の建築用中空部材2の第1の充填材注入口2a”に第1の充填材導入部材5’を、第2の充填材注入口2a’”に第2の充填材導入部材5”を、空気排出口2bに空気排出部材6を、それぞれ接続して建築用中空部材2内を密閉状態とする。
第1の充填材注入口2a”は、空気排出口2bおよび第2の充填材注入口2a’”より長手形状の建築用中空部材2の一方の端部(部材2A)の側に近い位置にあり、第2の充填材注入口2a’”は、空気排出口2bおよび第1の充填材注入口2a”より長手形状の建築用中空部材2の他方の端部(部材2B)の側に近い位置にある。
好ましくは、空気排出口2bを長手形状の建築用中空部材2の略中央に位置する出口側室Dに臨むように設け(出口側室Dは、長手形状の建築用中空部材2の略中央に位置すると共に、複数の補強部材4の内、長手形状の建築用中空部材2の隣接する補強部材4に臨む長手形状の建築用中空部材2の室である。)、第1の補強部材4Aと長手形状の建築用中空部材2の一方の端部(部材2A)とに臨む長手形状の建築用中空部材2の室を第1の入口側室A、第2の補強部材4Bと長手形状の建築用中空部材2の他方の端部(部材2B)とに臨む長手形状の建築用中空部材2の室を第2の入口側室B’とし、第1の入口側室Aに第1の充填材注入口2a”が、第2の入口側室B’に第2の充填材注入口2a’”が、それぞれ連通するようにする。
なお、複数の補強部材4の内、長手形状の建築用中空部材2の一方の端部(部材2A)に一番近い側は第1の補強部材4Aであり、複数の補強部材4の内、長手形状の建築用中空部材2の他方の端部(部材2B)に一番近い側は第2の補強部材4Bである。
この実施例においても、上述の実施例と同様に、空気排出口2bを介して長手形状の建築用中空部材2内の空気を排気しながら、つまり、建築用中空部材2内の空気が減圧されることによって建築用中空部材2内をある一定の減圧状況をつくり、第1の充填材注入口2a”および第2の充填材注入口2a’”を介して長手形状の建築用中空部材2内に上述の実施例と同様の充填材3を注入することができる。
【0040】
[実施例3(図11参照)]
なお、本願発明の「建築用中空部材の充填材注入方法及び建築用中空部材の充填材注入装置F」の対象である「建築用中空部材2」は、上述記載の梁2に限らず、例えば、図示しない橋等に使われる上向きの弧(アーチ)状部材(図11参照)である「建築用中空部材2’」にも同様に適用でき、図10記載の梁2が直線状であり、図11記載のものが上向きの弧(アーチ)状部材である点を除けば、同じであるため、図11に図10記載と同一部分に同一符号を付して、その説明を省略する。
【0041】
[実施例4(図12参照)]
また、本願発明の「建築用中空部材の充填材注入方法及び建築用中空部材の充填材注入装置F」の対象である「建築用中空部材」は、上述の図1乃至図9記載の梁2に限らず、例えば、図12記載の柱1である「建築用中空部材1」にも同様に適用でき、図1乃至図9記載の梁2が水平方向に直線状である点を除けば、同じであるため、図12に、図1乃至図9記載と同一部分に同一符号を付して、その説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、本発明の一実施例の建築用中空部材の充填材注入方法の適用対象である建物構造の概略的斜視図である。
【図2】図2は、図1の一部の梁に補強部材が挿入される状態の概略的斜視図である。
【図3】図3は、図2の梁に補強部材が固着され、該梁に充填部材が充填される前の状態の概略的斜視図である。
【図4】図4は、図3の状態の概略的断面図である。
【図5】図5は、図4の一部を拡大した概略的一部拡大断面図である。
【図6】図6は、図4の一部を拡大した概略的一部拡大断面図である。
【図7】図7は、図6のZ方向から見た概略図である。
【図8】図8は、図4の建築用中空部材に充填部材が充填される状態の概略的断面図である。
【図9】図9は、図4の建築用中空部材に充填部材が充填された状態の概略的断面図である。
【図10】図10は、図4記載の充填方法と異なる他の充填方法を示す概略的断面図である。
【図11】図11は、図10記載の充填方法と異なる他の充填方法を示す概略的断面図である。
【図12】図12は、図11記載の充填方法と異なる他の充填方法を示す概略的断面図である。
【符号の説明】
【0043】
2 長手形状の建築用中空部材
2A 一方の端部
2B 他方の端部
2a 充填材注入口
2b 空気排出口
3 充填材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填材注入口と空気排出口とを有した長手形状の建築用中空部材の前記充填材注入口に充填材導入部材を、前記空気排出口に空気排出部材を、それぞれ接続して前記建築用中空部材内を密閉状態とし、
前記充填材注入口は、前記空気排出口より前記長手形状の建築用中空部材の一方の端部の側に近い位置にあり、前記空気排出口は、前記充填材注入口より前記長手形状の建築用中空部材の他方の端部の側に近い位置にあり、
前記空気排出口を介して前記長手形状の建築用中空部材内の空気を排気しながら前記充填材注入口を介して前記長手形状の建築用中空部材内に充填材を注入して充填する
ことを特徴とする建築用中空部材の充填材注入方法。
【請求項2】
長手形状の建築用中空部材には、前記長手形状の建築用中空部材の長手方向を横断すると共に、充填材が通過する穴を有する複数の補強部材が設けられ、
前記複数の補強部材の内、前記長手形状の建築用中空部材の一方の端部に一番近い側は第1の補強部材であり、前記複数の補強部材の内、前記長手形状の建築用中空部材の他方の端部に一番近い側は第2の補強部材であり、
前記第1の補強部材と前記長手形状の建築用中空部材の一方の端部とに臨む前記長手形状の建築用中空部材の室は入口側室であり、
前記第2の補強部材と前記長手形状の建築用中空部材の他方の端部とに臨む前記長手形状の建築用中空部材の室は出口側室であり、
この出口側室に前記空気排出口が、前記入口側室に前記充填材導入部材が、それぞれ連通している
ことを特徴とする請求項1記載の建築用中空部材の充填材注入方法。
【請求項3】
第1の充填材注入口と第2の充填材注入口と空気排出口とを有した長手形状の建築用中空部材の前記第1の充填材注入口に第1の充填材導入部材を、前記第2の充填材注入口に第2の充填材導入部材を、前記空気排出口に空気排出部材を、それぞれ接続して前記建築用中空部材内を密閉状態とし、
前記第1の充填材注入口は、前記空気排出口および前記第2の充填材注入口より前記長手形状の建築用中空部材の一方の端部の側に近い位置にあり、
前記第2の充填材注入口は、前記空気排出口および前記第1の充填材注入口より前記長手形状の建築用中空部材の他方の端部の側に近い位置にあり、
前記建築用中空部材の前記空気排出口の部位は、前記建築用中空部材の前記第1の充填材注入口の部位と前記建築用中空部材の前記第2の充填材注入口の部位との略中央の位置にあり、
前記空気排出口を介して前記長手形状の建築用中空部材内の空気を排気しながら前記第1の充填材注入口および前記第2の充填材注入口を介して前記長手形状の建築用中空部材内に充填材を注入する
ことを特徴とする建築用中空部材の充填材注入方法。
【請求項4】
長手形状の建築用中空部材には、前記長手形状の建築用中空部材の長手方向を横断すると共に、充填材が通過する穴を有する複数の補強部材が設けられ、
前記複数の補強部材の内、前記長手形状の建築用中空部材の一方の端部に一番近い側は第1の補強部材であり、
前記複数の補強部材の内、前記長手形状の建築用中空部材の他方の端部に一番近い側は第2の補強部材であり、
前記第1の補強部材と前記長手形状の建築用中空部材の一方の端部とに臨む前記長手形状の建築用中空部材の室は第1の入口側室であり、
前記第2の補強部材と前記長手形状の建築用中空部材の他方の端部とに臨む前記長手形状の建築用中空部材の室は第2の入口側室であり、
前記長手形状の建築用中空部材の略中央に位置すると共に、前記複数の補強部材の内、前記長手形状の建築用中空部材の隣接する補強部材に臨む前記長手形状の建築用中空部材の室は出口側室であり、
この出口側室に空気排出口が、前記第1の入口側室に第1の充填材注入口が、前記第2の入口側室に第2の充填材注入口が、それぞれ連通している
ことを特徴とする請求項3記載の建築用中空部材の充填材注入方法。
【請求項5】
空気排出部材は、空気排出口と減圧用排気ポンプとを接続するものであり、
前記空気排出部材に前記空気排出口から溢出する充填材を貯留すると共に、外部から目視できる透明体の出口側予備室を設け、
この出口側予備室を長手形状の建築用中空部材に着脱自在に取り付け、
前記出口側予備室に前記充填材を導入する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の建築用中空部材の充填材注入方法。
【請求項6】
長手形状の建築用中空部材は、梁、柱、上向きの弧状部材のいずれかである
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の建築用中空部材の充填材注入方法。
【請求項7】
建築用中空部材の空気排出口に連通するように取り付けられた空気排出部材と、
雄ネジを有した垂直部と、この垂直部より水平方向に設けられ、前記空気排出口の縁部に係止する下端部と、前記垂直部より水平方向に設けられ、前記建築用中空部材の外に位置する上端部とを有し、この上端部、前記垂直部及び前記下端部でなす断面形状が略コ字状である断面略コ字状部材と、
前記空気排出部材の端部にあって、外方に張り出すと共に、張り出す中途に前記垂直部を通す穴を有した張出部と、
この張出部の下面と前記建築用中空部材とにそれぞれ当接して、前記張出部の下面と前記建築用中空部材との間をシールするシール部材と、
前記張出部の上方にあって、前記雄ネジに螺合するナットとを備え、
少なくとも、前記断面略コ字状部材と前記ナットとをそれぞれ複数有して、
前記シール部材を介して前記張出部と前記下端部で、前記空気排出口の縁部を挟持する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の建築用中空部材の充填材注入方法。
【請求項8】
建築用中空部材の充填材注入口に連通するように取り付けられた充填材導入部材と、
雄ネジを有した垂直部と、この垂直部より水平方向に設けられ、前記充填材注入口の縁部に係止する下端部と、前記垂直部より水平方向に設けられ、前記建築用中空部材の外に位置する上端部とを有し、この上端部、前記垂直部及び前記下端部でなす断面形状が略コ字状である断面略コ字状部材と、
前記充填材導入部材の端部にあって、外方に張り出すと共に、張り出す中途に前記垂直部を通す穴を有した張出部と、
この張出部の下面と前記建築用中空部材とにそれぞれ当接して、前記張出部の下面と前記建築用中空部材との間をシールするシール部材と、
前記張出部の上方にあって、前記雄ネジに螺合するナットとを備え、
少なくとも、前記断面略コ字状部材と前記ナットとをそれぞれ複数有して、
前記シール部材を介して前記張出部と前記下端部で、前記充填材注入口の縁部を挟持する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の建築用中空部材の充填材注入方法。
【請求項9】
充填材注入口と空気排出口とを有した長手形状の建築用中空部材の前記充填材注入口に接続し、前記長手形状の建築用中空部材内への充填材を充填する充填手段と、
前記空気排出口に接続し、前記長手形状の建築用中空部材内を減圧する減圧手段と、
前記長手形状の建築用中空部材は、前記充填材注入口に前記充填手段を、前記空気排出口に前記減圧手段を、それぞれ接続した状態は、密閉状態に接続されるものであり、
前記空気排出口を介して前記長手形状の建築用中空部材内の空気を排気しながら前記充填材注入口を介して前記長手形状の建築用中空部材内に充填材を注入して充填する
ことを特徴とする建築用中空部材の充填材注入装置。
【請求項10】
第1の充填材注入口と第2の充填材注入口と空気排出口とを有した長手形状の建築用中空部材の前記第1の充填材注入口と前記第2の充填材注入口に接続し、前記長手形状の建築用中空部材内への充填材を充填する充填手段と、
前記空気排出口に接続し、前記長手形状の建築用中空部材内を減圧する減圧手段と、
前記長手形状の建築用中空部材は、前記第1の充填材注入口と前記第2の充填材注入口に前記充填手段を、前記空気排出口に前記減圧手段を、それぞれ接続した状態は、密閉状態に接続されているものであり、
前記空気排出口を介して前記長手形状の建築用中空部材内の空気を排気しながら前記第1の充填材注入口と前記第2の充填材注入口を介して前記長手形状の建築用中空部材内に充填材を注入して充填する
ことを特徴とする建築用中空部材の充填材注入装置。
【請求項11】
空気排出部材は、空気排出口と減圧用排気ポンプとを接続するものであり、
前記空気排出部材に前記空気排出口から溢出する充填材を貯留すると共に、外部から目視できる透明体の出口側予備室を設け、
この出口側予備室を長手形状の建築用中空部材に着脱自在に取り付け、
前記出口側予備室に前記充填材を導入する
ことを特徴とする9又は10記載の建築用中空部材の充填材注入装置。
【請求項12】
長手形状の建築用中空部材は、梁、柱、上向きの弧状部材のいずれかである
ことを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の建築用中空部材の充填材注入装置。
【請求項13】
建築用中空部材の空気排出口に連通するように取り付けられた空気排出部材と、
雄ネジを有した垂直部と、この垂直部より水平方向に設けられ、前記空気排出口の縁部に係止する下端部と、前記垂直部より水平方向に設けられ、前記建築用中空部材の外に位置する上端部とを有し、この上端部、前記垂直部及び前記下端部でなす断面形状が略コ字状である断面略コ字状部材と、
前記空気排出部材の端部にあって、外方に張り出すと共に、張り出す中途に前記垂直部を通す穴を有した張出部と、
この張出部の下面と前記建築用中空部材とにそれぞれ当接して、前記張出部の下面と前記建築用中空部材との間をシールするシール部材と、
前記張出部の上方にあって、前記雄ネジに螺合するナットとを備え、
少なくとも、前記断面略コ字状部材と前記ナットとをそれぞれ複数有して、
前記シール部材を介して前記張出部と前記下端部で、前記空気排出口の縁部を挟持する
ことを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の建築用中空部材の充填材注入装置。
【請求項14】
建築用中空部材の充填材注入口に連通するように取り付けられた充填材導入部材と、
雄ネジを有した垂直部と、この垂直部より水平方向に設けられ、前記充填材注入口の縁部に係止する下端部と、前記垂直部より水平方向に設けられ、前記建築用中空部材の外に位置する上端部とを有し、この上端部、前記垂直部及び前記下端部でなす断面形状が略コ字状である断面略コ字状部材と、
前記充填材導入部材の端部にあって、外方に張り出すと共に、張り出す中途に前記垂直部を通す穴を有した張出部と、
この張出部の下面と前記建築用中空部材とにそれぞれ当接して、前記張出部の下面と前記建築用中空部材との間をシールするシール部材と、
前記張出部の上方にあって、前記雄ネジに螺合するナットとを備え、
少なくとも、前記断面略コ字状部材と前記ナットとをそれぞれ複数有して、
前記シール部材を介して前記張出部と前記下端部で、前記充填材注入口の縁部を挟持する
ことを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の建築用中空部材の充填材注入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−221787(P2009−221787A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−69549(P2008−69549)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(592136200)
【Fターム(参考)】