説明

引戸装置用気密装置

【課題】 1対の引戸障子同士の突き合わせ部の下端部と下枠の上面との間部分のシールを有効に図れる構造を実現する。
【解決手段】 閉鎖時に互いに突き合わされる両竪框のうちの一方の竪框に支持された鉛直方向シール材67を、閉鎖時に他方の竪框に当接させる。下枠の一部に水平方向に支持された水平方向シール材を、上記両引戸障子を構成する両下框の下端部に設けられた垂下壁の側面に摺接させる。上記両竪框の下端部にそれぞれ固定した気密ブロック75a、75bの下面に形成された補助垂下壁50a、50bの基端部を、上記両下框の垂下壁の端部に連続させる。上記両引戸障子の閉鎖時にこれら両補助垂下壁50a、50bの先端同士を突き合わせると共に、それぞれの側面に上記水平方向シール材を摺接、又は、この水平方向シール材の不連続部に設けた、シール板部に貼着した弾性シール材を摺接若しくは近接対向させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、引戸装置に建て込まれた1対の引戸障子同士の突き合わせ部の下端部と下枠の上面との間部分をシールして、この間部分から屋内側に雨水や外気が吹き込むのを防止する引戸装置用気密装置の改良に関する。特に、本発明は、バリアフリーサッシと呼ばれる、下枠の上面を平坦にした窓枠に引戸障子を建て込んで成る引戸装置に適用して、上記間部分の気密保持を図る場合に有効である。
【背景技術】
【0002】
高齢者や身体障害者の移動の容易性を確保する為に、バリアフリーサッシと呼ばれる、下枠の上面を平坦にした窓枠の構造が、例えば特許文献1〜4に記載される等により、従来から各種知られている。これら各特許文献に記載された構造は、何れも、引戸障子の下框に設置した戸車の外周面が単なる円筒面で、上記下枠の上面でこの戸車の外周面が転がり接触する部分が平坦面となっている。
【0003】
この様な従来構造の場合、戸車として、従来一般的に使用されていたものとは異なる、特殊なものを使用する為、今後広く普及しない限り、コストが嵩む可能性がある。特に現状では、故障した戸車を修理・交換する際に、戸車の取り寄せに要する手間やコストが、一般的な、外周面に全周に亙って凹溝を形成したものに比べて嵩む可能性がある。又、戸車と下枠との係合部で、引戸障子の屋内外方向に関する位置決めを図れない為、別途この引戸障子の屋内外方向に関する位置決めを図る為の構造が必要になる。
【0004】
この様な事情を考慮した場合、下枠として上面に下部案内レールを備えたものを使用すると共に、この下部案内レールの上端縁を、この下枠の上面のうちで人や物が移動する部分よりも下方に位置させる構造を採用する事が有利である。この様な事情に鑑みて、特願2003−350593号、特願2003−376092号、特願2004−45192号等には、コストを抑えつつバリアフリー化を可能にできる引戸装置が記載されている。又、これら先発明の場合には、下枠上面のうちで下部案内レールを設置する為に設けた凹部形成部分の美観の向上と、この凹部内への異物の落下防止とを図れる様にしている。
【0005】
即ち、上記各先発明に係る構造の場合には、下枠として上面に下部案内レールを備えたものを使用する事により、戸車として、広く使用されている低価格品を使用可能にする。又、上記下部案内レールの上端縁を、上記下枠の上面のうちで人や物が移動する部分よりも下方に位置させる事で、バリアフリー化を可能にする。更に、上記各下部案内レールを設置した凹部の上端開口部で、ガラス障子により覆われない部分を、カバー帯により覆い、美観の向上と異物の落下防止とを図る。これら各カバー帯の中間部は上記下枠内に配設し、上記ガラス障子の移動に伴って上記上端開口部に引き出す。
【0006】
上述の様な先発明に記載された構造の場合には、各引戸障子の下端部に設けた戸車を案内する為の下部案内レールを下枠の上面よりも上方に突出しない状態で設ける為に、この下枠の長さ方向に亙って凹部を形成している。この為、従来の引戸装置用気密装置によっては、引戸装置に建て込まれた1対の引戸障子同士の突き合わせ部の下端部と下枠の上面との間部分をシールして、この間部分から屋内側に雨水や外気が吹き込むのを防止する事は難しい。即ち、従来から一般的な引戸装置に組み込まれていた気密装置では、上記間部分に存在する隙間を十分にシールする事はできない。
【0007】
【特許文献1】実公昭55−19814号公報
【特許文献2】特開2000−96934号公報
【特許文献3】特許第3233920号公報
【特許文献4】特許第3233921号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の様な事情に鑑みて発明したものである。具体的に本発明は、同一鉛直面上に配置された1対の引戸障子を窓枠内に、この窓枠の幅方向中間部を境とした引き分け式に建て込んだ構造を対象とする。そして、上記1対の引戸障子同士の突き合わせ部の下端部と下枠の上面との間部分をシールして、この間部分から屋内側に雨水や外気が吹き込むのを有効に防止する構造を実現するものである。
又、好ましくは、下枠として、上面に両引戸障子の移動方向に亙って形成された凹部の底面に下部案内レールを、この底面よりも上方に突出するがその上端縁が上記下枠の上面のうちでこの凹部の両側に存在する部分よりも上方には突出しない状態で設けたものを使用する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の引戸装置用気密装置は、それぞれ水平方向に設置された下枠と上枠との間の同一鉛直面内に1対の引戸障子を、閉鎖時に互いに対向する竪框同士が突き合わされる状態で建て込んで成る引戸装置に組み込み、これら両竪框の下端部同士と上記下枠の上面との間をシールする。
この様な本発明の引戸装置用気密装置は、鉛直方向シール材と、水平方向シール材と、1対の気密ブロックと、補助垂下壁とを備える。
このうちの鉛直方向シール材は、上記両竪框のうちの一方の竪框に支持されて、閉鎖時に他方の竪框に当接する。
又、上記水平方向シール材は、上記下枠の一部に水平方向に支持されて、上記両引戸障子を構成する両下框の下端部に設けられた垂下壁の側面に摺接する。
又、上記両気密ブロックは、上記両引戸障子の下端部で、且つ、互いに対向する側の端部に支持固定されている。
又、上記補助垂下壁は、上記両気密ブロックの下面に形成されて、それぞれの基端部を上記両下框の垂下壁の端部に連続させ、上記両引戸障子の閉鎖時に互いの先端同士を突き合わせると共に、それぞれの側面に上記水平方向シール材を摺接、又は、この水平方向シール材の不連続部に設けた弾性シール材を摺接若しくは近接対向させる。
【発明の効果】
【0010】
上述の様に構成する本発明の引戸装置用気密装置の場合、1対の引戸障子を閉鎖位置に移動させた状態では、これら両引戸障子の下端部に設けた垂下壁と、1対の気密ブロックの下面に設けた両補助垂下壁とが連続する。そして、これら両垂下壁及び両補助垂下壁の側面に、水平方向シール材が連続した状態で当接して、上記両引戸障子の下辺と下框との間のシールを図る。
一方、上記両引戸障子の竪框同士の間のシールは、鉛直方向シール材により図られる。この鉛直方向シール材の下端部は、直接又は補助鉛直方向シール材を介して、上記補助垂下壁に当接させられるので、結果として、上記両竪框の下端部同士と上記下枠の上面との間をシールできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した様に、鉛直方向シール材を、一方の竪框から他方の竪框に向け張り出す状態で形成された係止部に係止すると共に、この係止部の下端部に固定した補助鉛直方向シール材により下端面を抑えて、下方への脱落を防止する。又、1対の気密ブロックを、互いに対向する竪框の下端部に固定し、上記補助鉛直方向シール材の下部を、これら両気密ブロックの一部に当接若しくは近接対向させる。
この様に構成すれば、上記鉛直方向シール材と上記水平方向シール材との不連続部のシール性を良好に保持できる。
【0012】
又、本発明を実施する場合に好ましくは、請求項3に記載した様に、下枠の上面に両引戸障子の移動方向に亙って形成された凹部の底面に下部案内レールを、この底面よりも上方に突出するがその上端縁が上記下枠の上面のうちでこの凹部の両側に存在する部分よりも上方には突出しない状態で設ける。そして、この様な下部案内レールに、横軸を中心とする回転自在として下框に設けた戸車の外周面に全周に亙って形成した凹溝を係合させる事により、1対の引戸障子を上記下枠に沿った移動を自在に建て込む。又、水平方向シール材は、上記凹部の内側面にその基部を係止し、両垂下壁及び両補助垂下壁は、この凹部の内側面と上記下部案内レールの側面との間に進入させる。
この様な構造を採用すれば、下枠として上面に下部案内レールを備えたものを使用する為、引戸障子の下框に設ける戸車として、外周面に全周に亙って凹溝を形成したものを使用できる。この為、戸車自体のコストを低く抑えられる他、戸車と下部案内レールとの係合部で、引戸障子の屋内外方向に関する位置決めを図れる。従って、別途この引戸障子の屋内外方向に関する位置決めを図る為の構造を設ける必要がなく、この面からもコスト低減を図れる。
又、上記下部案内レールの上端縁を、この下枠の上面のうちで人や物が移動する部分よりも下方に位置させているので、下枠の上面を実質的に平坦にして、この人や物の移動を容易に行なえる様にできる。
即ち、本発明は、上述の様な構成により、下枠の上面を実質的に平坦にする構造に限らずに実施できるが、引戸装置の構造が、下枠の上面に上記凹部を設けていないものであれば、本願発明以外の構造でもシールを図れる可能性がある。これに対して、上記凹部を設けた構造の場合には、従来構造による効果的なシールは難しいので、本発明を実施する事による効果は大きい。
【0013】
又、上述の様な請求項3に記載した発明を実施する場合に好ましくは、請求項4に記載した様に、それぞれが可撓性及び押し付け力により移動可能な程度の剛性を有する材料により造られた1対のカバー帯を、凹部の上端開口部を覆う状態で設ける。そして、これら両カバー帯の一端部を、両引戸障子の下端部のうちで、閉鎖時に互いに突き合わされる側の端部に結合する。又、下枠の中間部で閉鎖時に両竪框の突き合わせ部の下側に位置する部分に、上記両カバー帯の中間部をそれぞれ、これら両カバー帯同士の間で互いに反対方向に180度折り返して、これら両カバー帯の一部を、上記下枠のうちで上記凹部よりも下側に存在する下部空間内に導入するガイドブロックを設ける。このガイドブロックは、その下面を下枠の中間部上面の凹部内で下部案内レールを除去した部分の底面に当接させた状態で固定する。そして、上記両引戸障子の移動に伴って上記両カバー帯を、上記下部空間と上記凹部の上端開口部との間で移動させて、この上端開口部で上記両引戸障子により覆われていない部分を、上記両カバー帯により覆う。
この様に構成すれば、上記下枠上面の体裁を良好にし、且つ、上記凹部内への異物の落下を防止できる。
【0014】
又、上述の様な請求項4に記載した発明を実施する場合に好ましくは、請求項5に記載した様に、上記ガイドブロックの屋外側端部で両引戸障子を閉鎖位置に移動させた状態でこれら両引戸障子の竪框の屋外側面よりも屋外側に露出する部分に、複数の通水孔を設けた簀の子状部を設ける。この簀の子状部は、上記下枠の上面中央部に存在する雨水を、この下枠の上面から下方に排出する為のものである。
降雨時、下枠の上面中央部で上記両引戸障子の屋外側に露出した部分には雨水が溜り易く、溜った雨水をそのままにしておくと、この雨水が気密装置を通過して屋内側に入り込み易くなる。これに対して、上記簀の子状部を設ければ、上記雨水を下方に排出できて、この雨水が気密装置を通過して屋内側に入り込む事を防止できる。又、上記簀の子状部は、複数の通水孔を設けたもので、これら各通水孔の開口面積は小さくできるので、排出不能となる様な大きな異物が下枠内部に入り込む事を防止できる。
【0015】
又、上述の様な請求項5に記載した引戸装置用気密装置を実施する場合に好ましくは、請求項6に記載した様に、1対の気密ブロックの一部に庇状部を設ける。そして、両引戸障子を閉鎖位置に移動させた状態で、これら両気密ブロックの庇状部により簀の子状部の上方を覆う。
この様に構成すれば、強風時にも、上記下枠内部の気圧が上昇する事を防止して、この下枠内部に入り込んだ雨水が、気密装置を通過して屋内側に吹き出す事を防止できる。即ち、上記両引戸障子を閉鎖位置に移動させた状態で、上記簀の子状部が屋外側に露出した状態になると、屋外側から上記両引戸障子に沿って吹き降ろされた風の一部が、上記簀の子状部を通じて上記下枠の内部に入り込み、この下枠の内部の気圧を上昇させる。この結果、この下枠の内部の気圧が高くなると、この内部に存在する雨水が気密装置を通過して屋内側に入り込み易くなる。
これに対して、上記庇状部を設ければ、屋外側から上記両引戸障子に沿って吹き降ろされた風は、この庇状部に遮られて、上記下枠の内部に入り込む事はなく、この下枠の内部の気圧を上昇させる事もない。この結果、この内部に存在する雨水が気密装置を通過して屋内側に入り込む事を防止できる。
【0016】
更に、上述の様な請求項3〜6に記載した引戸装置用気密装置を実施する場合に好ましくは、請求項7に記載した様に、前記ガイドブロックの上部で、上記両引戸障子を閉鎖位置に移動させた状態で両補助垂下壁に対向する部分に、多数の繊維を配列して成るブラシ状体の基端部を支持する。そして、上記両引戸障子を解放位置に移動させた状態でこのブラシ状体の先端を、前記凹部の内側面に当接若しくは近接対向させる。
この様に構成すれば、上記両引戸障子を解放位置に移動させた状態で、上記ガイドブロックと上記凹部の内側面との間で、これら両引戸障子を閉鎖位置に移動させるのに伴って上記両補助垂下壁を進入させるべき部分の上端開口部を覆える。この為、上記両引戸障子を解放位置に移動させた状態で、この部分に異物が落下する事を防止できる。
【実施例】
【0017】
図1〜57は、本発明の実施例を示している。本実施例の窓装置は、図1に示す様に、窓枠1の左右両端部に1対の嵌め殺し窓2、2を設け、これら両嵌め殺し窓2、2同士の間の開口部を、それぞれが特許請求の範囲に記載した引戸障子である1対のガラス障子3、3により開閉する様に構成している。このうちの窓枠1は、上辺を構成する上枠4と、下辺を構成する下枠5と、左右の縦辺を構成する竪枠6、6とにより、矩形に構成している。これら各枠4〜6は、それぞれアルミニウム合金の一体押し出し成形材製である。
【0018】
又、上記両嵌め殺し窓2、2を構成する為に、上記窓枠1の中間部に(両端からこれら両枠4、5の1/4程度中央部に寄った部分に)召し合わせ方立7、7を、上記上枠4と上記下枠5との間に掛け渡す状態で、鉛直方向に設けている。上記両嵌め殺し窓2、2はそれぞれ、上記竪枠6と上記召し合わせ方立7との間部分にガラスパネル8、8を支持固定する事により構成している。尚、本実施例の場合、上記両嵌め殺し窓2、2は、上記窓枠1のうちの屋外寄り(図2の上寄り、図3の左寄り)部分に建て込んでいる。嵌め殺し窓の構造に就いては、従来から周知であり、本発明の要旨とも関係しないので、詳しい説明は省略する。
【0019】
又、上記各ガラス障子3、3は、それぞれの上辺を構成する上框9、9と、同じく下辺を構成する下框10、10と、左右の縦辺を構成する竪框である、召し合わせ框11、11及び突き合わせ框12a、12bとにより、ガラスパネル13、13の四辺を囲んで成る。これら各框9〜12も、アルミニウム合金の一体押し出し成形材製である。このうちの召し合わせ框11、11は、上記窓装置の閉鎖時に上記両嵌め殺し窓2、2を構成する召し合わせ方立7、7の屋内側に位置して、これら両召し合わせ方立7、7と屋内外方向に亙り互いに対向する。これに対して上記各突き合わせ框12a、12bは、上記窓装置の閉鎖時に上記窓枠1の中央部に位置して、互いに突き合わされる。
【0020】
上記各ガラス障子3、3は上記窓枠1の内側に、一般的に知られている引戸式窓装置と同様の構造により、水平移動自在に建て込まれている。この為に、上記上枠4の下面の屋内寄り(図3の右寄り)部分に上部案内レール14を設けている。そして、上記各召し合わせ框11、11及び突き合わせ框12a、12bの上端部に支持したガイドブロック15に形成したガイド溝16に、上記各上部案内レール14を係合させている。この構成により、上記各ガラス障子3、3の上端部を上記上枠4に沿う水平移動自在に支持している。この様に、上記各ガラス障子3、3の上辺を上記上枠4に対し水平移動自在に係合させる部分の構造は、従来から広く知られている構造と同様であり、本発明の要点とも関係しない為、詳しい説明は省略する。
【0021】
これに対して、上記下枠5の屋内側部分には、図3に示す様に、1本の下部案内レール17を設けている。本実施例の場合、一般的な引戸装置を構成する下枠とは異なり、上記下部案内レール17を、上記下枠5の上面にこの下枠5の全長に亙って設けた凹部18の底面から、上方に突出した状態で設けている。又、上記下部案内レール17の高さ寸法は上記凹部18の深さ寸法よりも小さくして、これら下部案内レール17の上端縁が、上記下枠5の上面のうちで上記凹部18の両側に存在する平面部分よりも下方に位置する様にしている。この構成により、上記下部案内レール17の存在に拘らず、上記下枠5の上面を、幅の狭い上記凹部18の上端開口部を除き、実質的に平坦にして、高齢者や障害者、更には車椅子等の移動を容易に行なえる様にしている。
【0022】
この様な構成を有する上記下枠5に沿う移動を可能にする為に、上記各ガラス障子3、3の下辺を構成する前記下框10、10の両端部近傍部分に戸車19を、屋内外方向に設けられた横軸を中心とする回転自在に支持している。これら各戸車19は、従来から一般的な引戸に使用されていた戸車と同様のもので、外周面中央部に凹溝20を、全周に亙り形成している。この様な凹溝20を設けた上記各戸車19をそれぞれ1対ずつ支持した上記各下框10、10は、上記下部案内レール17と上記各凹溝20とを係合させる事で、上記下枠5の上方位置に、この下枠5に沿った水平移動を自在に支持している。
以上の構成により、上記各ガラス障子3、3を上記窓枠1の内側に、同一鉛直面内での水平移動自在に建て込んでいる。
【0023】
尚、図示の例では、上記下枠5として、1対の(或は2対の)引戸障子を引き違い式に建て込んだ窓装置に使用する下枠と共通のものを使用している。この為に、上記下枠5の上面屋外側部分にも下部案内レール17及び凹部18が設けられている。即ち、この下枠5の上面には、屋外側から順番に、屋外側突条21と、中央突条22と、屋内側突条23とを設け、隣り合う突条同士の間に存在する凹部18、18内に、これら両凹部18、18の底面から上方に突出する状態で、それぞれ下部案内レール17、17を設けている。但し、このうちの屋外側部分の下部案内レール17及び凹部18に関しては、前記嵌め殺し窓2、2を設置した部分に相当する部分に就いては、図3に示す様に、これら両嵌め殺し窓2、2の下框24により、これら両嵌め殺し窓2、2の間部分に就いては、図2及び後述する図21に示す様に塞ぎ板25により、それぞれ塞いでいる。
【0024】
これに対して、屋内側の下部案内レール17に関しては、上記各戸車19を案内する為に、上記下枠5の上面に露出させている。本実施例の場合には、上記中央突条22の屋内側面にブラケット26を係止し、上記屋内側の下部案内レール17の上半部を、このブラケット26と上記屋内側突条23との上半部同士の間の中間部に位置させている。そして、前記両ガラス障子3、3を前記窓枠1に建て込んだ状態で、上記各戸車19の一部は、上記ブラケット26と屋内側突条23との上半部同士の間に入り込む。
【0025】
又、上記両ガラス障子3、3の下框10の屋内側壁27の下端部を、上記下部案内レール17と上記屋内側突条23との間に進入させている。更に、この屋内側突条23の上端部屋外側面に係止した、水平方向シール部材28に設けたシールリップ29の先端縁を上記屋内側壁27の下端部屋内側面に摺接させて、上記下枠5と上記下框10との間をシールしている。本実施例の場合、上記屋内側壁27の下端部が、特許請求の範囲に記載した垂下壁に相当する。
【0026】
又、本実施例の場合、図1に略示する様に、可撓性及び押し付け力により移動可能な程度の剛性を有する材料製のカバー帯30、30の一端部を、前記両ガラス障子3、3の両縦辺のうちで、閉鎖時に互いに突き合わされる側の端部である、前記両突き合わせ框12a、12bの下端部に連結している。これと共に、上記両カバー帯30、30の一部を、上記下枠5のうちで前記凹部18よりも下側に存在する下部空間31(図3参照)内に配設している。そして、上記両ガラス障子3、3の移動に伴って上記両カバー帯30、30を、上記下部空間31部分と、上記凹部18の上端開口部との間で移動させる事により、この上端開口部で上記ガラス障子3、3により覆われていない部分を、上記両カバー帯30、30により覆う様に構成している。
【0027】
この様なカバー帯30、30は、それぞれ金属製の巻き尺を構成する金属板の如きステンレス鋼板、或は合成樹脂を一体押し出し成形する事により造られた長尺材等、可撓性及び押し付け力により移動可能な程度の剛性を有する弾性材製である。本実施例の場合には、上記カバー帯30、30として、自由状態での断面形状が円弧形となるものを使用して、このカバー帯30、30の肉厚を小さく抑えつつ、剛性の確保を図っている。尚、このカバー帯30、30の湾曲方向は、上記凹部18の上端開口を覆った状態で、その上面が凸曲面となる方向としている。この理由は、上記カバー帯30、30と前記下部案内レール17の上端縁との干渉を防止しつつ、この下部案内レール17の高さ寸法を確保する為である。
【0028】
この様なカバー帯30、30の幅方向両側縁は、上記凹部18の上端開口両側部分に設けられたガイド溝32、32に、長さ方向の摺動自在に係合している。この為に、前記ブラケット26と前記屋内側突条23との互いに対向する面の上端部に、上記各ガイド溝32、32を設けている。本実施例の場合、これら各ガイド溝32、32を、前記下枠5を構成するアルミニウム合金の押し出し型材製の部材に形成した係止溝に係止した、合成樹脂の押し出し型材製のライナ部材33、33aに形成している。尚、屋内側のライナ部材33aに就いては、前記水平方向シール部材28の上端部に、この水平方向シール部材28と一体に設けている。上記両カバー帯30、30が上記下枠5に沿って移動する際には、このカバー帯30、30の両側縁が上記各ガイド溝32、32に案内される。
【0029】
この様なカバー帯30、30は、その一端部を前記ガラス障子3、3の縦辺を構成する突き合わせ框12a、12bの下端部に連結している。この為に本実施例の場合には、上記両カバー帯30の一端部に図4に示す様な係止片34を固定し、上記両突き合わせ框12a、12bの下部に、図5〜8に示す様な受具35を設けている。このうちの係止片34は、例えば合成樹脂の射出成形により造られたもので、上記カバー帯30の一端部上面に、リベット及び連結金具36を介して連結固定されている。又、上記受具35は、例えば合成樹脂の射出成形により造られたもので、図7に示す様に、上記両突き合わせ框12a、12bの下部で互いに対向する面に設けられた凹部37内に、昇降のみ自在に装着されている。尚、上記両突き合わせ框12a、12bの形状は多少相違し、これに合わせてこれら両突き合わせ框12a、12bに装着する受具35の形状も多少相違する。但し、その相違は本質的なものではないので、以下、一方(図7の左方)の突き合わせ框12aに装着する受具35に就いて説明する。
【0030】
上記受具35の下端部には、下方に開口した受け溝部38を設けている。上記カバー帯30を上記突き合わせ框12aの下端部に結合する際には、上記受具35を下降させて、上記受け溝部38内に上記係止片34の係止突壁39を進入させる。この結果、上記突き合わせ框12aの水平移動に伴って、上記カバー帯30の一端部が押し引きされる様になる。又、上記受具35の中央部には弾性係止片40を形成し、この弾性係止片40を、上記突き合わせ框12aの仕切板部41の上下2個所位置に形成した係止孔若しくは係止凹部に係脱自在としている。これら両係止孔若しくは係止凹部の上下位置は、次の様に規制している。尚、上記仕切板部41の下端部は、上記受具35の必要とする昇降量を確保する為に、これら両係止孔若しくは係止凹部よりも下側位置で少し切り欠いている。
【0031】
上記カバー帯30の一端寄り部分を前記両ガイド溝32、32に係合させると共に、上側の係止孔若しくは係止凹部に上記弾性係止片40を係合させた状態で、上記受け溝部38の下方に上記係止突壁39を進退自在とする。即ち、この状態では、この受け溝部38を構成する為に上記受具35の先端部下面に設けた1対の係止壁部42a、42bのうちの先端寄り(図5の左寄り)の係止壁部42aの下端縁位置が上記係止突壁39の上端縁位置よりも下方に存在するが、基端寄り(図5の右寄り)の係止壁部42bの下端縁位置は上記係止突壁39の上端縁位置よりも上方に存在する。この状態で、前記下枠5に沿って上記カバー帯30と前記ガラス障子3とを相対変位させれば、上記受け溝部38の下方に上記係止突壁39を進退させられる。これに対して、下側の係止孔若しくは係止凹部に上記弾性係止片40を係合させた状態では、上記基端寄りの係止壁部42bの下端縁位置も、上記係止突壁39の上端縁位置よりも下方に存在する様になる。この状態では、上記受け溝部38と上記係止突壁39との係合が外れなくなって、上記突き合わせ框12aの水平移動に伴い、上記カバー帯30の一端部が押し引きされる様になる。尚、上記受具35の上下2個所位置に形成した円形の貫通孔は、上記突き合わせ框12aと下框10とを連結するタッピングねじを回転させたり、前記戸車19の高さ調節を行なう工具(ドライバ)を挿通する為のものである。
【0032】
上述の様にして、その一端部を前記1対のガラス障子3、3の互いに対向する縦辺を構成する突き合わせ框12a、12bの下端部に結合した上記カバー帯30は、図9〜21に示す様な構造により、その中間部を180度折り返している。要するに、上記両ガラス障子3、3の移動に伴って上記カバー帯30の一端部を押し引きし、このカバー帯30を、前記下部空間31部分と、前記凹部18の上端開口部に設けた前記両ガイド溝32、32との間で移動させて、この上端開口部のうちで上記ガラス障子3、3により覆われていない部分を、上記両カバー帯30、30により覆う様に構成している。
【0033】
本実施例の場合には、これら両カバー帯30、30の中間部を180度折り返す為に、図9〜18に示す様なガイドブロック43を、図19〜21に示す様に、前記下枠5の中央部に組み込んでいる。このガイドブロック43は、合成樹脂を射出成形して成るもので、それぞれが半円形である1対のガイド部44、44を有する。これら両ガイド部44、44はそれぞれ、上記両ガラス障子3、3の突き合わせ框12a、12bの下端部にそれぞれの一端を連結した、上記両カバー帯30、30の中間部を、それぞれ180度ずつ折り返す為のものである。この様な両ガイド部44、44は、上記ガイドブロック43を構成する取付基部45の屋内側面に、互いの突縁同士を互いに対向させた状態で、上記下枠5の長さ方向に少し間隔をあけて設けられている。
【0034】
又、上記取付基部45の上端部で上記両ガイド部44、44の上方位置に天板部46を、この天板部46の屋外側部分に簀の子状部47を、それぞれ設けている。このうちの天板部46は、上板部と下板部とを備えた上下二重構造で、これら両板部同士の間に、図17〜18に示す様に、多数の繊維を配列して成るブラシ状体48の基半部(図17の上半部、図18の右半部)を挟持した状態で接着固定している。又、上記簀の子状部47は、上記ガイドブロック43を設置した、上記下枠5の中央部上面に雨水が溜まるのを防止する為に設けている。
【0035】
即ち、上記簀の子状部47は、上記下枠5の上面中央部で上記ガラス障子3、3よりも屋外側に存在する雨水を、この下枠5の上面から下方に排出する為のものである。降雨時、この下枠5の上面中央部で上記両ガラス障子3、3の屋外側に露出した部分には雨水が溜り易く、溜った雨水をそのままにしておくと、この雨水が前記凹部18内に入り込み、前記水平方向シール部材28と、前記屋内側壁27の下端部屋内側面との当接部等を通過して屋内側に入り込み易くなる。
【0036】
これに対して本実施例の場合には、上記簀の子状部47を設ける事により、上記雨水を下方に排出する様にしている。この簀の子状部47を通過して上記下枠5の中央部上面からこの下枠5内に入り込んだ雨水は、この下枠5に設けられた排水孔を通じて屋外側に排出される。この様に、下枠5内に入り込んだ雨水を屋外側に排出する為の構造は、従来から広く知られているので、詳しい図示並びに説明は省略する。本実施例の場合には、上記簀の子状部47を設ける事により、上記下枠5の上面中央部で上記ガラス障子3、3よりも屋外側に雨水が溜る事を防止して、この雨水が、上記凹部18を通じて屋内側に入り込む事を防止できる。又、上記簀の子状部47は、複数の通水孔49、49を設けたもので、これら各通水孔49、49の開口面積は小さくできるので、排出不能となる様な大きな異物が上記下枠5の内部に入り込む事を防止できる。
【0037】
又、前記ブラシ状体48の先端部は、上記両ガラス障子3、3を閉鎖位置に移動させるのに伴って、後述する補助垂下壁50a、50bが上記下枠5の中央部で突き合わされる事を許容し、しかも、上記両ガラス障子3、3を解放位置に移動させた状態で、上記下枠5の中央部で前記凹部18の上端開口部に、異物が落下する様な隙間が生じない様にする役目を有する。この為に、上記両ガラス障子3、3を解放位置に移動させた状態で、上記ブラシ状体48の先端を、上記凹部18の内側面に当接若しくは近接対向させる様にしている。即ち、本実施例の場合には、この様に構成する事により、上記両ガラス障子3、3を解放位置に移動させた状態で、前記ガイドブロック43の取付基部45の屋内側面と上記凹部18の内側面との間で、上記両ガラス障子3、3を閉鎖位置に移動させるのに伴って上記両補助垂下壁50a、50bを進入させるべき部分の上端開口部を覆い、上記両ガラス障子3、3を解放位置に移動させた状態で、この部分に異物が落下する事を防止する様に構成している。
【0038】
前述の様なガイドブロック43を装着する為に、上記下枠5の中央部では、前記ブラケット26及び前記下部案内レール17(図3参照)を不連続とすると共に、前記中央突条22の屋内側面及び前記屋内側突条23の屋外側面に形成した突部を一部除去している。そして、上記取付基部45の下面を、上記下枠5の水平板部51の中央部で、上記中央突条22の屋内側面と上記屋内側突条23の屋外側面との間部分の屋外寄り部分の上面に当接させている。更に、上記取付基部45の中央部に上下方向に形成した取付孔を上方から挿通した取付ねじ52により、この取付基部45を上記下枠5の中央部に支持固定している。
【0039】
又、図示の例では、上記下枠5の中央部で上記ガイドブロック43の下方に、図22〜26に示す様な補助ガイドブロック53を、図27〜28に示す様な状態で支持固定している。この補助ガイドブロック53は、上記下枠5の中央部に上方から差し込まれた前記両カバー帯30、30の進行方向を上下方向から水平方向に変換して、上記下枠5の下部空間31に導く為のものである。この様な補助ガイドブロック53を支持固定する為に、上記下枠5の中央部では、図29に示す様に、前記下部案内レール17を切除して不連続部とすると共に、上記水平板部51の一部を切除して透孔54を形成している。又、水平方向シール部材28(図3参照)を係止する為に、前記屋内側突条23の上端部屋外側面に形成した係止突条の一部も、上記下枠5の中央部で切除している。これに伴って、上記水平方向シール部材28も、この下枠5の中央部で不連続になっている。
【0040】
上記補助ガイドブロック53は、合成樹脂を射出成形して成るもので、中央部下半に、ガイドブロック部55を有する。このガイドブロック部55は、富士山の頂部を上方に延ばした如き形状としたもので、上記下枠5に装着した状態でこの下枠5の長さ方向両側面に、それぞれ四分の一凹円弧形のガイド面56、56を有する。これら両ガイド面56、56の下端側である、上記ガイドブロック部55の両端縁は、それぞれ極薄の尖端縁となっている。又、上記ガイドブロック部55の屋内側には、鉛直壁部57を設け、この鉛直壁部57の両側上下方向中央部から屋外側に突出する状態で、1対の取付フランジ部58、58を形成している。又、上記鉛直壁部57の上端部に、上記下枠5の長さ方向に長いシール板部59を設けている。
【0041】
このシール板部59は、上記水平方向シール部材28の不連続部のシール性を確保する為のもので、周面(=長さ方向両端面及び内外両側面=図22〜26に梨子地で表した部分)に、ゴムの如きエラストマー等の弾性シール材60を貼付している。更に、上記シール板部59を含めて、上記鉛直壁部57の屋外側面には、前記両カバー帯30、30の端縁部との干渉を防止する為の円弧状の凹部61を形成している。尚、上記補助ガイドブロック53のシール板部59を省略する代わりに、上記水平方向シール部材28の基部を係止する為に上記屋内側突条23の上端部屋外側面に形成した係止突条を上記下枠5の中央部で切除せずに、上記水平方向シール部材28の不連続部をなくす事も可能である。但し、この場合には、上記係止突条を切除しなくても、上記補助ガイドブロック53を上記下枠5の所定位置に装着でき、且つ、上記両カバー帯30、30を配設できる事が条件となる。
【0042】
上述の様な構成を有する上記補助ガイドブロック53は、上記両取付フランジ部58、58の下面よりも下側に存在する下半部を、前記透孔54を通じて前記下部空間31内に挿入する。この状態で上記両取付フランジ部58、58を、前記水平板部51の上面にねじ止め固定する。又、この状態で上記シール板部59は上記水平方向シール部材28の不連続部に位置し、上記弾性シール材60とこの水平方向シール部材28の端面とが当接若しくは近接対向する。更に、上記両ガイド面56、56の下端側端部は、上記下部空間31内に配設した、次述するガイドチューブ62の開口部に整合させて、このガイドチューブ62との間で、前記両カバー帯30、30の受渡を円滑に行なわせる様にしている。
【0043】
上記ガイドチューブ62は、アルミニウム合金、合成樹脂等の一体押し出し成形材製で、図30〜31に示す様に、上記両カバー帯30、30を摺動自在に収納する為の、矩形チューブ状の収納部63と、この収納部63の上面から上方に突出した係止突条64とを有する。このうちの収納部63の中央部は、図30に示す様に、底板部を除く部分を切除して、切除した部分に、上記補助ガイドブロック53の下半部を挿入自在としている。又、上記係止突条64はその中央部を、上記収納部63よりも少し広い範囲で切除している。
【0044】
この様なガイドチューブ62は、図32に示す様に、上記係止突条64の上端部を、前記下枠5の一部に、この下枠5と前記突き合わせ框12a(12b)とを結合する為のタッピングねじを螺合する為に設けたタッピング溝65に係合させつつ、上記下枠5の下部空間31内に、この下枠5の端部開口から挿入する。そして、上記底板部を除いて切除した上記収納部63の中央部を、前記水平板部51の一部を切除して形成した透孔54(図29参照)の下側に位置させた状態で、前記補助ガイドブロック53の下半部をこの透孔54に、上記水平板部51の上方から挿入し、この補助ガイドブロック53の下面を、上記収納部63の底板部の中央部上面に当接させる。この結果、上記ガイドチューブ62が上記下部空間31内に、水平方向の移動を阻止された状態で、がたつきなく支持固定されると共に、上記底板部の上面と前記両ガイド面56、56とが滑らかに連続する。尚、これら両ガイド面56、56の下端部が上記底板部の上面よりも多少上側に位置する事は差し支えない(逆は不可である)。
【0045】
上述の様なガイドチューブ62の収納部63の左右両側部分には、それぞれの一端部を上記両突き合わせ框12a、12bの下端部に連結した前記両カバー帯30、30の中間部乃至他端部を挿入している。この挿入作業は、上記下枠5を構成する水平板部51の中央部に形成した上記透孔54を通じて上記両カバー帯30、30を、それぞれの他端部を下にし、この他端部を上記両ガイド面56、56に突き当てる様にして行なう。これら両ガイド面56、56に突き当てられた上記両カバー帯30、30の他端部は、これら両ガイド面56、56に案内されて湾曲しつつ上記ガイドチューブ62の収納部63の左右両側部分に入り込む。この際、上記両カバー帯30、30の他端部乃至中間部を上記両ガイド面56、56に手指により抑え付ける。又、挿入作業は、上記両カバー帯30、30毎に前後して行なう。
【0046】
尚、上記補助ガイドブロック53の上方に前記ガイドブロック43をねじ止め固定する作業並びに上記両カバー帯30、30の一端部を上記両突き合わせ框12a、12bの下端部に連結する作業は、上記両カバー帯30、30の中間部乃至他端を上記ガイドチューブ62の収納部63の左右両側部分に挿入した後に行なう。具体的には、この挿入作業の後に、先ず、上記両カバー帯30、30の一端寄り部分を上記下枠5の上方に引き出した状態で、これら両カバー帯30、30の中間部一端寄り部分を上記ガイドブロック43に設けた前記両ガイド部44、44に巻き掛ける。次いで、このガイドブロック43を上記下枠5の中央部にねじ止め固定してから、前記図4に示した様な係止片34と、前記図5〜8に示す様な受具35とを係合させて、上記両カバー帯30、30の一端部を上記両突き合わせ框12a、12bの下端部に連結する。これら一連の作業を完了した状態では、前述の図19に示す様に、上記両カバー帯30、30の中間部が、上記ガイドブロック43のガイド部44、44により180度折り返された状態となる。
【0047】
上述の様にして、それぞれの一端部を上記両突き合わせ框12a、12bの下端部に連結されると共に、それぞれの中間部を180度折り返された上記両カバー帯30、30は、前記両ガラス障子3、3を開放方向に移動させる事に伴い、上記下枠5の上面に形成された凹部18の上端開口を覆う。即ち、上記両ガラス障子3、3を開放方向に移動させると、それまでこれらガラス障子3、3により上方を覆われていた、上記下枠5の中央部が露出する。同時に、上記収納部63から上記カバー帯30、30が、これら両ガラス障子3、3の移動方向後方に位置する上記ガイドブロック43部分から引き出される。そして上記両カバー帯30、30が、それぞれの両側縁を前記各ガイド溝32、32に係合させつつ上記凹部18の上端開口部に引き出されて、この凹部18の上端開口部を覆う。この状態では、上記下枠5の上面の体裁を良好にし、且つ、この凹部18内に異物が落下する事を防止できる。
【0048】
上述の様な引戸装置に関して実施する、本発明の引戸装置用気密装置では、上記両ガラス障子3、3の突き合わせ框12a、12b同士の間のシールを、図2、7に示す様にして図っている。即ち、一方の突き合わせ框12aに向け張り出す状態で他方(図2、7の右方)の突き合わせ框12bに形成した係止部66、66に係止した1対の鉛直方向シール材67、67を構成するシールリップを、上記一方の突き合わせ框12aの先端部両側面に弾接させている。要するに、上記両ガラス障子3、3を閉鎖位置に移動させた状態で、上記両係止部66、66に形成した上記両鉛直方向シール材67、67により上記一方の突き合わせ框12aの戸先側端部を屋内外両側から挟持し、上記両突き合わせ框12a、12b同士の間のシールを図っている。
【0049】
又、上記両鉛直方向シール材67、67が下方に落下しない様にすべく、上記両係止部66、66の下端部に、図33〜34に示す様に、止めブラケット68を嵌合固定している。この止めブラケット68は、図35〜38に示す様に、合成樹脂製で上記係止部66の下端部に嵌合固定自在な固定片69と、ゴムの如きエラストマー等の弾性材製で、この固定片69にその基部を結合固定されたシール片70とから成る。このうちの固定片69は、上記係止部66の下端部に内嵌される、略T字形の内側嵌合部71と、同じく下端部に外嵌される外側嵌合部72とを備える。これら両嵌合部71、72同士は、下端の底板部73で連結されている他、この底板部73の上面から上方に突出した嵌合突部74によっても連結されている。一方、上記両係止部66、66の下端縁には、この嵌合突部74を圧入できるだけの大きさを有する、倒立U字形の切り欠きを形成している。
【0050】
上述の様な止めブラケット68は、上記嵌合突部74を上記切り欠きに圧入しつつ、上記内側嵌合部71を上記係止部66の下端部に内嵌し、上記外側嵌合部72をこの係止部66の下端部に外嵌する事で、この係止部66の下端部に固定する。そして、この状態で、上記シール片70の上端面に上記鉛直方向シール材67の下端面を突き当てて、この鉛直方向シール材67の落下を防止すると共に、上記両突き合わせ框12a、12b同士の間のシールを、これら両突き合わせ框12a、12bの下端部に至る迄図れる様にしている。
【0051】
更に、本実施例の場合には、図39〜42に示した構造により、前記下枠5の中央部及び上記両ガラス障子3、3の突き合わせ部の周辺部のシール性の確保を図っている。この部分のシール性の確保を図る為に、上記両突き合わせ框12a、12bの下端部に、それぞれ気密ブロック75a、75bを固定している。これら両気密ブロック75a、75bのうち、上記一方の突き合わせ框12aの下端部に固定する、図39〜42の左側の気密ブロック75aは図43〜48に示す様に、同じく右側の気密ブロック75bは図49〜54に示す様に、それぞれ形成されている。これら図39〜54中、梨子地で表した部分は、ゴムの如きエラストマー等の弾性材製のシートを貼着した部分、それ以外の部分は合成樹脂を射出成形する事により造られた部分である。
【0052】
上記両気密ブロック75a、75bはそれぞれ、上記両突き合わせ框12a、12bの下端部にがたつきなく内嵌される嵌合部76a、76bと、この嵌合部76a、76bの下端部に形成した外向フランジ状の鍔部77a、77bと、この鍔部77a、77bよりも下方に垂れ下がった補助垂下壁50a、50bとから成る。この様な上記両気密ブロック75a、75bはそれぞれ、図55〜57に示す様に、金属製の補強板78で抑え付ける状態で、上記両突き合わせ框12a、12bの下端部にねじ止め固定している。又、次述する庇部79a、79bの屋内側壁部に形成した係止部82a、82bを、上記両突き合わせ框12a、12bの屋外側壁の下端縁に形成した切り欠きに係合させる事で、上記庇部79a、79bがこの屋外側壁の屋外側面から浮き上がらない様にしている。尚、上記両気密ブロック75a、75bを上記両突き合わせ框12a、12bの下端部に固定する際に、図40に示す様に、上記鍔部77a、77bの上面にコーキング剤等のシール剤83を塗布して、この鍔部77a、77bの上面と上記両突き合わせ框12a、12bの下端縁との間をシールしている。
【0053】
又、上記両気密ブロック75a、75bを上記両突き合わせ框12a、12bの下端部に固定した状態で、上記両補助垂下壁50a、50bの水平方向に関して基端部(互いに反対側の端部)は、特許請求の範囲に記載した垂下壁に相当する、前記両ガラス障子3、3の下辺を構成する下框10の屋内側壁27(図3参照)の下端部で前記下枠5の上面よりも下方に存在する部分と連続している。又、上記両ガラス障子3、3を閉鎖位置に移動させた状態で、上記両補助垂下壁50a、50bの水平方向に関して先端縁同士は互いに突き合わされる。この突き合わせ部分では、他方の突き合わせ框12bの下端部に固定した気密ブロック75bの補助垂下壁50bの先端縁に貼着した弾性材製のシートを挟持して、この突き合わせ部をシールする。
【0054】
又、上記両補助垂下壁50a、50bの屋内側面と上記屋内側壁27の下端部の屋内側面とは同一鉛直面内に存在する。又、上記両ガラス障子3、3を閉鎖位置に移動させた状態で、上記両補助垂下壁50a、50bの屋内側面は、前記補助ガイドブロック53の上端部に設けたシール板部59の屋外側面に当接若しくは近接対向する。この為、上記両ガラス障子3、3を閉鎖位置に移動させた状態では、これら両ガイド障子3、3の下辺と上記下枠5との間のシール線が、上記両突き合わせ框12a、12bの下方位置に於いて不連続になる事はない。尚、上記両ガラス障子3、3を閉鎖位置に移動させる際には、上記両補助垂下壁50a、50bが、前記ブラシ状体48を構成する多数の繊維を押し退け(弾性変形させ)つつ、前記下部案内レール17と前記屋内側突条23との間部分に進入する。
【0055】
又、上記両ガラス障子3、3を閉鎖位置に移動させた状態で、前記シール片70の下端部は、図33、39に示す様に、前記両鍔部77a、77bの先端部上面を含む前記両気密ブロック75a、75bの先端部の表面に、当接若しくは近接対向する。この結果、前記下枠5の中央部及び上記両ガラス障子3、3の突き合わせ部の周辺部のシール性を、実用上十分なレベルで図れる。
【0056】
又、上記両ガラス障子3、3を閉鎖位置に移動させた状態では、前記両気密ブロック75a、75bの屋外側に突出する状態で設けた庇部79a、79bが、前記ガイドブロック43の上端部屋外側に設けた簀の子状部47の上方に位置する。この簀の子状部47は、前述した様に、上記下枠5の中央部上面に多量の雨水が溜まる事を防止する為に設けている。但し、上記両ガラス障子3、3を閉鎖位置に移動させた状態で上記簀の子状部47が屋外側に露出していると、これら両ガラス障子3、3に吹き付けた風がこの簀の子状部47を通じて上記下枠5内に入り込み、この下枠5内の圧力を上昇させる可能性がある。そして、この下枠5内の圧力が上昇すると、この下枠5内に雨水が存在した場合に、この雨水が前記水平方向シール部材28等によるシール部を通過して、屋内側に吹き出す可能性がある。これに対して図示の例では、上記両庇部79a、79bが上記簀の子状部47の上方を覆う為、前述した様に、上述の様な原因で、室内に雨水が吹き出す事を防止できる。尚、上記両ガラス障子3、3を閉鎖位置に移動させた状態では、上記両気密ブロック75a、75bの屋外側に突出する状態で設けた庇部79a、79bの先端面同士の間でも、弾性材製のシートを挟持して、この突き合わせ部をシールする。
【0057】
更に、図示の例では、上記両ガラス障子3、3を閉鎖位置に移動させた状態で露出する上記下枠5の両端部に関して、前記凹部18の上端開口部を第二カバー帯により覆う構造を設けている。この様な構造に就いては、基本的には前述の特願2003−350593号に係る先発明の構想をそのまま利用できる。又、この特願2003−350593号には、竪枠と竪框との間で下枠上面の凹部の上端開口をカバー帯で覆う構造に関して、次の(イ)(ロ)に示す2通りの構造が記載されている。
(イ) カバー帯の一端部を下枠の端部に結合支持すると共に、このカバー帯の中間部乃至他端部を竪框の内部に収納する。
(ロ) カバー帯の一端部を竪框の下端部に結合支持すると共に、このカバー帯の中間部乃至他端部を竪枠の内部に収納する。
【0058】
これら(イ)(ロ)に示す2通りの構造のうちの(イ) に示した構造の場合には、カバー帯の両端縁部を凹部の開口部に載せるだけで、このカバー帯の両端縁部をこの開口部に沿って設けたガイド溝32、32(図3参照)に係合させる事はできない。これに対して上記(ロ) に記載した構造は、カバー帯の両端縁部をこの開口部に沿って設けたガイド溝32、32に係合させて、このカバー帯の浮き上りを防止する事ができる。この為、図示の実施例では、上記(ロ) に記載した構造を採用している。
【0059】
この(ロ) に記載した構造を構成する為に図示の例では、1対の第二カバー帯80(図2参照)の一端部を、前記両ガラス障子3、3の召し合わせ框11の下端部に連結すると共に、この第二カバー帯80の中間部乃至他端寄り部分の両側縁を、上記両ガイド溝32、32に係合させている。この第二カバー帯80の一端と上記召し合わせ框11の下端部との連結部、並びに、この第二カバー帯80の両側縁と上記両ガイド溝32、32との係合部の構造は、前記両カバー帯30、30の場合と同様である。上記(ロ) に記載した構造を構成する為に、前記窓枠1の竪辺を構成する竪枠6内に、図2に示す様に、竪方向収納部81を設けている。そして、この竪方向収納部81の下端開口と上記両ガイド溝32、32の水平方向端部との間に、上記第二カバー帯80の進行方向を90度変更する為のガイドブロック(図示省略)を設けている。このガイドブロックは、ナイロンの如き滑り易い合成樹脂により造り、その内部に上記第二カバー帯80の進行方向を、水平方向と鉛直方向とで90度変更する為のガイド通路を設けている。このガイド通路は、上記竪方向収納部81の下端開口に整合する鉛直部と、上記両ガイド溝32、32の水平方向端部に整合する水平部とを、四分の一円弧状に湾曲した連結部により滑らかに連続させたものである。
【0060】
上述の様に構成するので、上記両ガラス障子3、3を閉鎖方向に向け前記下枠5の中央部に移動させると、上記第二カバー帯80が上記竪方向収納部81から上記両ガイド溝32、32の間部分に引き出され、上記下枠5の両端部に関して、前記凹部18の上端開口部を覆う。これに対して、上記両ガラス障子3、3を開放方向に向け上記下枠5の端部に移動させると、上記第二カバー帯80が、上記両ガイド溝32、32の間部分から上記竪方向収納部81に押し込まれる。この為、上記両ガラス障子3、3の移動を可能にし、且つ、これら両ガラス障子3、3を閉鎖方向に移動させた状態で露出する、上記下枠5の両端寄り部分で、上記凹部18の上端開口を覆える。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施例を示す、窓装置を屋内側から見た状態で示す正面図。
【図2】図1の拡大A−A断面図。
【図3】同拡大B−B断面図。
【図4】係止片を固定したカバー帯の一端部の部分正面図。
【図5】突き合わせ框の下端部に装着する受具の正面図。
【図6】図5の右方から見た図。
【図7】突き合わせ框への組み付け状態を示す平面図。
【図8】同側面図。
【図9】ガイドブロックを屋内側上方から見た状態で示す斜視図。
【図10】同じく屋外側上方から見た状態で示す斜視図。
【図11】同じく屋内側下方から見た状態で示す斜視図。
【図12】同じく屋外側下方から見た状態で示す斜視図。
【図13】同じく屋内側から見た状態で示す正面図。
【図14】同じく屋外側から見た状態で示す背面図。
【図15】同じく平面図。
【図16】同じく図13の右方から見た図。
【図17】ガイドブロックにブラシ状体を装着した状態で示す平面図。
【図18】図17の右方から見た図。
【図19】ガイドブロック及び補助ブロックとカバー帯との組み付け状態を示す、図1のC部に相当する部分正面図。
【図20】図19の上方から見た平面図。
【図21】図19の右方から見た部分側面図。
【図22】補助ガイドブロックを屋外側上方から見た状態で示す斜視図。
【図23】同じく屋内側上方から見た状態で示す斜視図。
【図24】同じく屋外側下方から見た状態で示す斜視図。
【図25】同じく屋内側下方から見た状態で示す斜視図。
【図26】同じく屋外側から見た状態で示す正面図。
【図27】下枠へのガイドブロック及び補助ガイドブロックの組み付け状態を示す平面図。
【図28】同じく図27の右方から見た側面図。
【図29】ガイドブロック及び補助ガイドブロックを組み付ける為に加工した、下枠中央部の形状を示す平面図。
【図30】ガイドチューブの正面図。
【図31】図30のD−D断面図。
【図32】下枠への組み付け状態を示す断面図。
【図33】突き合わせ框の下端部に装着する止めブラケットの側面図。
【図34】同じく平面図。
【図35】止めブラケットを取り出して図33と同方向から見た図。
【図36】図35の上方から見た平面図。
【図37】同じく下方から見た底面図。
【図38】図35の右方から見た図。
【図39】下枠の中央部及び両ガラス障子の突き合わせ部の周辺部のシール性を確保する為の構造を取り出して屋内側斜め上方から見た状態で示す斜視図。
【図40】図39と反対側の屋内側斜め上方から見た状態で示す斜視図。
【図41】突き合わせない状態で見た平面図。
【図42】閉鎖状態に対応する、突き合わせた状態で見た平面図。
【図43】一方の気密ブロックを屋外側上方戸先側から見た状態で示す斜視図。
【図44】同じく屋内側上方で逆側から見た状態で示す斜視図。
【図45】同じく屋外側下方で逆側から見た状態で示す斜視図。
【図46】同じく屋内側から見た正面図。
【図47】同じく図46の上方から見た平面図。
【図48】同じく図46の左方から見た側面図。
【図49】他方の気密ブロックを屋外側上方戸先側から見た状態で示す斜視図。
【図50】同じく屋内側上方で逆側から見た状態で示す斜視図。
【図51】同じく屋外側下方で逆側から見た状態で示す斜視図。
【図52】同じく屋内側から見た正面図。
【図53】同じく図52の上方から見た平面図。
【図54】同じく図52の左方から見た側面図。
【図55】突き合わせ框下端部への気密ブロックの組み付け状態を示す正面図。
【図56】同じく平面図。
【図57】同じく側面図。
【符号の説明】
【0062】
1 窓枠
2 嵌め殺し窓
3 ガラス障子
4 上枠
5 下枠
6 竪枠
7 召し合わせ方立
8 ガラスパネル
9 上框
10 下框
11 召し合わせ框
12a、12b 突き合わせ框
13 ガラスパネル
14 上部案内レール
15 ガイドブロック
16 ガイド溝
17 下部案内レール
18 凹部
19 戸車
20 凹溝
21 屋外側突条
22 中央突条
23 屋内側突条
24 下框
25 塞ぎ板
26 ブラケット
27 屋内側壁
28 水平方向シール部材
29 シールリップ
30 カバー帯
31 下部空間
32 ガイド溝
33、33a ライナ部材
34 係止片
35 受具
36 連結金具
37 凹部
38 受け溝部
39 係止突壁
40 弾性係止片
41 仕切板部
42a、42b 係止壁部
43 ガイドブロック
44 ガイド部
45 取付基部
46 天板部
47 簀の子状部
48 ブラシ状体
49 通水孔
50a、50b 補助垂下壁
51 水平板部
52 取付ねじ
53 補助ガイドブロック
54 透孔
55 ガイドブロック部
56 ガイド面
57 鉛直壁部
58 取付フランジ部
59 シール板部
60 弾性シール材
61 凹部
62 ガイドチューブ
63 収納部
64 係止突条
65 タッピング溝
66 係止部
67 鉛直方向シール材
68 止めブラケット
69 固定片
70 シール片
71 内側嵌合部
72 外側嵌合部
73 底板部
74 嵌合突部
75a、75b 気密ブロック
76a、76b 嵌合部
77a、77b 鍔部
78 補強板
79a、79b 庇部
80 第二カバー帯
81 竪方向収納部
82a、82b 係止部
83 シール剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ水平方向に設置された下枠と上枠との間の同一鉛直面内に1対の引戸障子を、閉鎖時に互いに対向する竪框同士が突き合わされる状態で建て込んで成る引戸装置に組み込み、これら両竪框の下端部同士と上記下枠の上面との間をシールする、引戸装置用気密装置であって、これら両竪框のうちの一方の竪框に支持されて閉鎖時に他方の竪框に当接する鉛直方向シール材と、上記下枠の一部に水平方向に支持されて、上記両引戸障子を構成する両下框の下端部に設けられた垂下壁の側面に摺接する水平方向シール材と、これら両引戸障子の下端部で且つ互いに対向する側の端部に支持固定された1対の気密ブロックと、これら両気密ブロックの下面に形成されて、それぞれの基端部を上記両下框の垂下壁の端部に連続させ、上記両引戸障子の閉鎖時に互いの先端同士を突き合わせると共に、それぞれの側面に上記水平方向シール材を摺接、又は、この水平方向シール材の不連続部に設けた弾性シール材を摺接若しくは近接対向させる補助垂下壁とを備える引戸装置用気密装置。
【請求項2】
鉛直方向シール材は、一方の竪框から他方の竪框に向け張り出す状態で形成された係止部に係止されると共に、この係止部の下端部に固定した補助鉛直方向シール材により下端面を抑えられて、下方への脱落を防止されており、1対の気密ブロックは、互いに対向する竪框の下端部に固定されており、上記補助鉛直方向シール材の下部が、これら両気密ブロックの一部に当接若しくは近接対向している、請求項1に記載した引戸装置用気密装置。
【請求項3】
1対の引戸障子は、下枠の上面に両引戸障子の移動方向に亙って形成された凹部の底面に、この底面よりも上方に突出するがその上端縁が上記下枠の上面のうちでこの凹部の両側に存在する部分よりも上方には突出しない状態で設けられた下部案内レールに、横軸を中心とする回転自在として下框に設けた戸車の外周面に全周に亙って形成した凹溝を係合させる事により、上記下枠に沿った移動を自在とされており、水平方向シール材は上記凹部の内側面にその基部を係止されており、両垂下壁及び両補助垂下壁は、この凹部の内側面と上記下部案内レールの側面との間に進入している、請求項1〜2の何れか1項に記載した引戸装置用気密装置。
【請求項4】
それぞれが可撓性及び押し付け力により移動可能な程度の剛性を有する材料により造られた1対のカバー帯が、凹部の上端開口部を覆う状態で設けられており、これら両カバー帯の一端部が、両引戸障子の下端部のうちで、閉鎖時に互いに突き合わされる側の端部に結合されており、下枠の中間部で閉鎖時に両竪框の突き合わせ部の下側に位置する部分に、上記両カバー帯の中間部をそれぞれ、これら両カバー帯同士の間で互いに反対方向に180度折り返して、これら両カバー帯の一部を、上記下枠のうちで上記凹部よりも下側に存在する下部空間内に導入するガイドブロックが設けられており、このガイドブロックは、その下面を下枠の中間部上面の凹部内で下部案内レールを除去した部分の底面に当接させた状態で固定されており、上記引戸障子の移動に伴って上記カバー帯が、上記下部空間と上記凹部の上端開口部との間で移動して、この上端開口部で上記両引戸障子により覆われていない部分を覆う、請求項3に記載した引戸装置用気密装置。
【請求項5】
ガイドブロックの屋外側端部で両引戸障子を閉鎖位置に移動させた状態でこれら両引戸障子の竪框の屋外側面よりも屋外側に露出する部分に、下枠の上面中央部に存在する雨水を、この下枠の上面から下方に排出する為の、複数の通水孔を設けた簀の子状部を設けている、請求項4に記載した引戸装置用気密装置。
【請求項6】
1対の気密ブロックの一部に庇状部を設け、両引戸障子を閉鎖位置に移動させた状態で、これら両気密ブロックの庇状部により簀の子状部の上方を覆う、請求項5に記載した引戸装置用気密装置。
【請求項7】
ガイドブロックの上部で、両引戸障子を閉鎖位置に移動させた状態で両補助垂下壁に対向する部分に、多数の繊維を配列して成るブラシ状体の基端部を支持し、上記両引戸障子を解放位置に移動させた状態でこのブラシ状体の先端を、凹部の内側面に当接若しくは近接対向させる、請求項3〜6の何れか1項に記載した引戸装置用気密装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【公開番号】特開2006−144336(P2006−144336A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−333952(P2004−333952)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(000005005)不二サッシ株式会社 (118)
【Fターム(参考)】