説明

引戸

【課題】 本発明は、一部を上下反転して付け替えるだけで簡単に、戸車用とスベリタイプの下枠レールの各々に対応して取り付けできる引戸を提供することにある。
【解決手段】
上下框1、2と左右框3、3とを備え、下框2は、下框本体2aと補助部材2bとを有し、下框本体2aは、補助部材2bを取付ける下方開口の凹溝部7を有し、補助部材2bは、上面及び下面のいずれか一方側面にレール9a、9b、9c上を摺動する摺動部5、11を有し、他方側面に戸車6の取付部10を有すると共に、上下反転することにより一方側面又は他方側面を下框本体2aの凹溝部7内に位置させて取り付けてあることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引戸に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に引戸は、上下框と左右框を四方に框組して各々をネジなどで固定するものであり、戸車が下枠レール上を走行するタイプや下枠の凹溝を摺動部が摺動するタイプなど、様々なタイプがある。また、従来、一部の部品を交換して様々な種類の建具に対応させるものがあり、特許文献1には、吊具又は戸車の付いた交換部品を引戸の上端部と下端部のいずれか一方側部に設けた取付部材に取り付けることで、一つの引戸を上吊式引戸と下荷重式引戸の両方に兼用できるものが開示されている。
【特許文献1】特開2007−56639
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のこの種の引戸は、下枠レールの種類が例えば、戸車に対応するもの、あるいは、スベリタイプに対応するものなど、種々異なるものであったため、下枠レールの種類に合わせて、上下左右框を分解した後に、下枠レールに対応する下框に交換する手間がかかる不都合や、あるいは、種類の異なる下枠レールに対応した複数の引戸を用意しなればならなかった。また、特許文献1の引戸のような、上下左右框を分解することなく、一部を交換して異なる建具に対応するものであっても、例えば、戸車用あるいはスベリタイプと、引戸を取り付ける下枠レールが異なれば、別途対応した戸車や摺動部材に交換しなければならず、このことから、交換する部品が単体では戸車用、スベリタイプの各々の下枠レールに対応できないため、製造者側では部品在庫を多く抱える問題点があった。
本発明は、一部を上下反転して付け替えるだけで簡単に、戸車用とスベリタイプの下枠レールの各々に対応して取り付けできる引戸を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の請求項1記載の発明は、上下框と左右框とを備え、下框は、下框本体と補助部材とを有し、下框本体は、補助部材を取付ける下方開口の凹溝部を有し、補助部材は、上面及び下面のいずれか一方側面にレール上を摺動する摺動部を有し、他方側面に戸車の取付部を有すると共に、上下反転することにより一方側面又は他方側面を下框本体の凹溝部内に位置させて取り付けてあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
請求項1記載の発明によれば、上下面のいずれか一方側面に摺動部、他方側面にある取付部に戸車を取付可能に形成する補助部材を下框本体の下方開口した凹溝部内に取り付け、及び取り外し自在に設けてあることにより、その補助部材を上下に反転して下框本体の凹溝部内で付け替えるだけで、戸車用又はスベリタイプの下枠レールの各々に対応して簡単に引戸を取り付けできる。これにより、下框交換のために引戸を分解する手間や、あるいは、引戸や交換部品を複数用意する必要のない引戸を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下に、本発明の引戸の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1(a)は、補助部材2bにおける摺動部5の設けてある側を下面に位置させた状態で、下框本体2aに取り付けたときの引戸の縦断面図を示すものであり、(b)は、戸車6を取り付けた側を下面に位置させた状態で補助部材2bを下框本体2aに取り付けたときの縦断面図を示すものであり、図2は、本引戸の正面図を示すものである。
【0007】
本引戸は、図1(a)(b)と図2のように、上下框1、2と左右框3、3とからなる框体のうち、下框2を下框本体2aと補助部材2bとから構成している。下框本体2aは、長手方向に下向きの凹溝部7を有している。補助部材2bは、上下面のいずれか一方側面に断面凸形状をなす摺動部5を設けてあり、他方側面には、内部に戸車6を脱着可能に取り付けできる取付部10が長手方向両端部に設けてある。その補助部材2bを下框本体2aの凹溝部7内に挿入し、且つ、垂直方向のネジ12aで下框本体2aにネジ止めすると共に、水平方向のネジ12bでエッジ材13とネジ止めして取り付けてある。また、下框本体2aの凹溝部7内には、補助部材2bを上下反転していずれか一方側面を上面にしても取り付けることが可能であるが、摺動部5を上面にして取り付けたときには、下框本体2aの凹溝部7内に、摺動部5を収納できる収納部8が設けてあると共に、収納部8を有することにより、補助部材2bは、戸車6を取り付けたままであっても、上下反転していずれか一方側面を上面にして、下框本体2aの凹溝部7内に取り付けることができるようになる。
【0008】
本引戸を戸車用の下枠レール9aとスベリタイプの下枠レール9bのいずれかに取り付けるとき、下枠レール9a、9bに対応して下框本体2aに補助部材2bを取り付ける手順について説明する。
まず、戸車用の下枠レール9aに引戸を取り付けるときには、図1(a)のように、補助部材2bの取付部10に戸車6を取り付けると共に、戸車6を取り付けた側を下面にして、補助部材2bを下框本体2aの凹溝部7内に挿入すると共に、下框本体2aと補助部材2bとを垂直方向のネジ12aでネジ止めすると共に、補助部材2bとエッジ材13とを水平方向のネジ12bでネジ止めする。一方、スベリタイプに変更するときには、図1(b)のように、垂直方向のネジ12a及び水平方向のネジ12bを外した後に補助部材2bを下框本体2aの凹溝部7内から取り外し、次いで、補助部材2bを上下に反転して摺動部5を下面にし、再び下框本体2aの凹溝部7内に補助部材2bを挿入して、凹溝部7内に位置させた補助部材2bと下框本体2aとを垂直方向のネジ12aでネジ止めすると共に、エッジ材12の外周側から補助部材2bを水平方向のネジ12bでネジ止めする。これにより、補助部材2bを上下反転していずれかの一方側面を下面とし、その補助部材2bを凹溝部7内で付け替えることで、単体の補助部材2bにより、戸車用の下枠レール9a又はスベリタイプの下枠レール9bの両方に対応して引戸を取り付けできる。尚、図1(b)のように、補助部材2bに戸車6を取付けたままで反転して下框本体2aに取付けても良いが、戸車6を取り外した状態のものを反転して下框本体2aに取付けるものであっても良い。また、前述のものでは、戸車6を取り付ける取付部10をあらかじめ設けてあるものについて示したが、戸車6を取り付ける段階で補助部材2bに取付部10を設けるものであっても良い。取付部10は、補助部材2bの一部を切欠いたものや、孔状のものなど、戸車6を補助部材2bに取り付けできるものであればよい。
【0009】
図3(a)(b)は、本実施による引戸の他の実施形態を示すものであり、補助部材2bの上下面のいずれか一方側面に、比較的幅広なスベリタイプの下枠レール9cに対応した幅広の摺動部11を設けてある。また、戸車6の補助部材2bへの取付手順、及び補助部材2bの下框本体2aの取付手順については、前述のように、戸車6を補助部材2bの取付部10に取り付けた後に、下框本体2aに取り付けてもよいし、あるいは、下框本体2aに補助部材2bを取り付けた後に、戸車6を補助部材2bの取付部10に取り付けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1(a)(b)】(a)は、本引戸において、戸車を取り付けた側を下向きにして補助部材を下框本体に取り付けた状態を示す縦断面図であり、(b)は、摺動部の設けてある側を下向きにして補助部材を下框本体に取り付けた状態を示す縦断面図である。
【図2】本引戸の正面図である。
【図3(a)(b)】(a)(b)は、本引戸の他の実施形態を示すものであり、(a)は、戸車を取り付けた側を下面にして補助部材を下框本体に取り付けた状態を示す縦断面図であり、(b)は、摺動部を下面にして補助部材を下框本体に取り付けた状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0011】
1 上框(上下框)
2 下框(上下框)
2a 下框本体
2b 補助部材
3 左右框
5、11 摺動部
6 戸車
7 凹溝部
9a 戸車用(下枠レール)
9b、9c スベリタイプ(下枠レール)
10 取付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下框と左右框とを備え、下框は、下框本体と補助部材とを有し、下框本体は、補助部材を取付ける下方開口の凹溝部を有し、補助部材は、上面及び下面のいずれか一方側面にレール上を摺動する摺動部を有し、他方側面に戸車の取付部を有すると共に、上下反転することにより一方側面又は他方側面を下框本体の凹溝部内に位置させて取り付けてあることを特徴とする引戸。

【図1(a)(b)】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3(a)(b)】
image rotate


【公開番号】特開2009−84827(P2009−84827A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−253740(P2007−253740)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000175560)三協立山アルミ株式会社 (529)
【Fターム(参考)】