説明

強制書込み可能なICタグ群

【課題】ICタグにデータを書き込むことが容易な強制書込み可能なICタグ群を提供する。
【解決手段】 信号ケーブル14と、この信号ケーブルに、所定間隔を置いて配列されてそれぞれデータ書き換え用端子を介して並列接続された複数のICタグ12とを備えている。信号ケーブル14として、少なくとも2本の芯線を有するフラットケーブルが使用される。信号ケーブル14に沿って複数のICタグを、それぞれ所定の間隔で電気接続している。信号ケーブル14は、ICタグ12のデータ書き換え専用線である。このようにされた強制書込み可能なICタグ群は、ケーブル等に縦添えされたり巻き付けられて使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICタグのデータ書き換えを容易にする強制書込み可能なICタグ群に関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブル絶縁体表面あるいは絶縁体中に、識別情報を記録できるICタグを配設した識別情報付きケーブルは公知である。ICタグにはケーブル製造者、製造年月日、規格等の情報が記録され、ケーブルの保守管理に利用している(特許文献1参照)。
【0003】
ICタグは、メモリに記録したデータを無線で読み取ることができるから、例えば、布設したケーブルにICタグを取り付けておくと、その構造やその他の情報をいつでも無線で読み取れる。
【0004】
一方、例えば、そのICタグからケーブル布設ルートや布設工事に関する情報を読み取りたいというような場合、ケーブル製造時ではなく、ケーブル布設工事時に工事情報を記録したICタグをケーブルに取り付けなければならない。また、ケーブルに取り付けたICタグにデータを書き込まなければならない。
【特許文献1】特開2003−203527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ケーブル布設工事時に、工事情報が記録されたICタグをケーブルに取り付けようとすると、そのための作業が増えて、工事が煩雑になる。
また、ケーブルに取り付けたICタグにデータを書き込むには特殊な装置が必要になり、また、ケーブルに複数のタグを取り付けたときは、データ書き込み作業も煩雑になる。
【0006】
本発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、ICタグにデータを書き込むことが容易な強制書込み可能なICタグ群を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の各実施例においては、それぞれ次のような構成により上記の課題を解決する。
〈構成1〉
少なくとも2本の芯線を有する信号ケーブルと、上記信号ケーブルに、所定間隔を置いて配列されてそれぞれデータ書き換え用端子を介して並列接続された複数のICタグとを備えたことを特徴とする強制書込み可能なICタグ群。
【0008】
構成1の発明は、例えば、電力ケーブル、通信ケーブル等のケーブルの外側に、縦添えされたり巻き付けられて使用される。信号ケーブルは、ICタグのデータ書き換え専用線であり、ケーブルに縦添えされて布設された後に、ICタグに必要な情報を入力するために使われる。書き換えられるICタグのデータとしては、例えば、ケーブル番号、布設日、布設ルート、工事記録等の工事情報がある。
各ICタグのメモリに記録された情報の読み出しには、通常どおり、電波を使用する情報読取り装置を使って任意の場所でケーブルに関する情報を取得できる。
また、データ書き換え用の専用線が接続されているので、いつでもICタグのデータを、ケーブルの端末等がある場所で簡単に書き換えできる。構成1のICタグ群は、ケーブル以外の長尺物に添えられて使用されてもよい。
【0009】
〈構成2〉
構成1記載の強制書込み可能なICタグ群において、上記信号ケーブルとして、複数の芯線を平型に配列してなるフラットケーブルが使用され、上記複数のICタグを、それぞれ所定の間隔で上記芯線に電気接続したものであることを特徴とする強制書込み可能なICタグ群。
【0010】
常用されているフラットケーブルを信号ケーブルとして用いることにより、安価に構成することができ、しかも安定した取付けができる。
【0011】
〈構成3〉
構成2記載の強制書込み可能なICタグ群において、上記ICタグに接続され、かつフラットケーブルに縦添えされたアンテナを備えたことを特徴とする強制書込み可能なICタグ群。
【0012】
ICタグに接続されたアンテナにより、ICタグに記録された情報の読み出しが容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を実施例により説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、実施例1の強制書込み可能なICタグ群の説明図、図2はそのICタグ群の一部を示したブロック図である。
実施例1の強制書込み可能なICタグ群は、図1に示すように、複数のICタグ12と、これらのICタグ12を、それぞれデータ書き換え用端子を介して並列接続した信号ケーブル14とを備えたものである。信号ケーブル14は、少なくとも2本の芯線を有するケーブルである。
【0015】
ICタグ12は、図2に示すように、受信機16、送信機18及びそれらのアンテナ20を含む、周知のものである。ICタグ12には送信機18に接続されたメモリ22とインタフェース24が設けられている。受信機16は、アンテナ20を通じて受信した問い合わせ信号により送信機18を起動する機能を持つ。送信機18は、メモリ22に記録した情報をアンテナ20を通じて送信する機能を持つ。この送信された信号が応答信号である。
【0016】
ICタグ12は、インタフェース24のデータ書き換え用端子を介して信号ケーブル14に接続されている。複数の各ICタグ12は、1本の信号ケーブル14に所定間隔を置いて並列接続されている。
【0017】
図3は、実施例1の強制書込み可能なICタグ群の具体例を示した説明図である。
図3に示したものは、信号ケーブル14として、複数本の芯線26を平型に配列してなるフラットケーブルを使用したものである。複数のICタグ12は、フラットケーブル14の一面に、長さ方向に沿って所定間隔を置いて配列され、それぞれデータ書き換え用端子を介して芯線26に並列接続されている。必要に応じて、これらのICタグ12のアンテナ28をフラットケーブル14に縦添えしてもよい。アンテナ28は、ICタグ12に接続されている。このアンテナ28により、ICタグ12に記録された情報の読み出しが容易になる。
【0018】
図4は実施例1の強制書込み可能なICタグ群の使用説明図、図5は同ICタグ群の他の使用説明図である。
この強制書込み可能なICタグ群は、図4に示すように、例えば、電力ケーブル、通信ケーブル等のケーブル30の外側に縦添えされて使用される。あるいは、図5に示すように、ケーブル30の外側に巻き付けられて使用される。また、ケーブル30の芯線26に混じって撚り合わされる。あるいは、遮蔽層の外側に縦添えされて、シースを被覆される。
【0019】
信号ケーブル14は、ICタグ12のデータ書き換え専用線であり、ケーブル30に縦添えされて布設された後に、ICタグ12に必要な情報を入力するために使われる。書き換えられるICタグ12のデータとしては、例えば、ケーブル番号、布設日、布設ルート、工事記録等の工事情報がある。
【0020】
布設されたケーブル30の端末に、信号ケーブル14の端が出ていれば、ケーブル布設後にICタグ12に工事情報を書き込むことができる。例えば、この信号ケーブル14に一斉に一定のデータを供給して、すべてのICタグ12中のメモリのデータを一括して書き換えることができる。あるいは、信号ケーブル14を通じてICタグ12のアドレスを供給して、各ICタグ12のデータを個別に順次書き換えることができる。
【0021】
各ICタグ12のメモリに記録された情報の読み出しには、通常どおり、電波を使用する。しかし、信号ケーブル14を、ICタグ12のデータ書き換えだけでなく、データ読み出しに使用しても構わない。また、データ書き換え用の専用線が接続されているので、いつでもICタグ12のデータを、ケーブルの端末等がある場所で簡単に書き換えできる。
【0022】
図6は、信号ケーブル14に装着されたICタグ12と情報読取り装置32の説明図である。
図6において、情報読取り装置32は、信号ケーブル14に装着されたICタグ12に対し、問い合わせ信号36を送信する機能を持つ。送信機40は、この問い合わせ信号36を送信する。ICタグ12の受信機16で問い合わせ信号36を受信すると、送信機18が動作し、工事情報を含む応答信号34を送信する。
【0023】
情報読取り装置32の受信機38は、信号ケーブル14のICタグ12から送信された応答信号34を受信し、これを制御装置46に送り込む。制御装置46は、メモリ44に入力された工事情報等の内容をディスプレイ50に表示する。ディスプレイ50は、情報読取り装置32に取り付けられた液晶表示装置などからなる。
【0024】
また、読取りの結果は、様々な付属情報と共に、記憶装置48に記憶される。すなわち、記憶装置48には、すべてのICタグ12から受信した応答信号34やメモリ44に入力された工事情報等の内容が記憶される。この情報は、後で様々な解析に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例1の強制書込み可能なICタグ群の説明図である。
【図2】ICタグ群の一部を示したブロック図である。
【図3】実施例1の強制書込み可能なICタグ群の具体例を示した説明図である。
【図4】実施例1の強制書込み可能なICタグ群の使用説明図である。
【図5】実施例1の強制書込み可能なICタグ群の他の使用説明図である。
【図6】信号ケーブルに装着されたICタグと情報読取り装置の説明図である。
【符号の説明】
【0026】
12 ICタグ
14 信号ケーブル
16 受信機
18 送信機
20 アンテナ
22 メモリ
24 インタフェース
26 芯線
28 アンテナ
30 ケーブル
32 情報読取り装置
34 応答信号
36 問い合わせ信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2本の芯線を有する信号ケーブルと、
前記信号ケーブルに、所定間隔を置いて配列されてそれぞれデータ書き換え用端子を介して並列接続された複数のICタグとを備えたことを特徴とする強制書込み可能なICタグ群。
【請求項2】
請求項1記載の強制書込み可能なICタグ群において、
前記信号ケーブルとして、複数の芯線を平型に配列してなるフラットケーブルが使用され、前記複数のICタグを、それぞれ所定の間隔で前記芯線に電気接続したものであることを特徴とする強制書込み可能なICタグ群。
【請求項3】
請求項2記載の強制書込み可能なICタグ群において、
前記ICタグに接続され、かつフラットケーブルに縦添えされたアンテナを備えたことを特徴とする強制書込み可能なICタグ群。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−48255(P2006−48255A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−226220(P2004−226220)
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【出願人】(000002255)昭和電線電纜株式会社 (71)
【Fターム(参考)】