説明

強化ガラススペーサ

本発明は対象物に関するものであり、対象物は、少なくとも1つのガラススペーサを、対象物の第1の要素と対象物の第2の要素との間に含み、スペーサは、その表面から表面に対して垂直な方向に、アルカリイオンの濃度勾配を有する。対象物は真空ソーラコレクタであってもよい。本発明はまたガラス球に関するものであり、ガラス球は、その表面から表面に垂直な方向に、アルカリイオンの濃度勾配を有し、また、本発明は、2つの要素の間において、これらの2つの要素を互いに押す圧力に耐えるスペーサとしての球の使用に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラススペーサの分野に関する。スペーサは、2つの中実要素、特に、二重窓ガラス、平坦ランプ、ソーラコレクタなどの対象物の2枚の略平行な壁同士の間の距離を維持するために使用される。
【背景技術】
【0002】
ガラススペーサが知られている。技術的現状の文献としては、特許文献1及び特許文献2が挙げられる。スペーサは金属から製造しても、また同時に、ジルコニアのようなセラミックから製造してもよい。化学的強化技術が知られており、ガラスに張力が加えられるまたは屈曲される用途において、ガラス対象物を補強するが、圧縮力に対しては補強しない。ガラススペーサは、ガラスの自然な透明性を考慮すると、ほとんど見えないという利点がある。更に、ガラススペーサは太陽放射を通過させるので、ソーラコレクタのエネルギー効率を高める。このように、ソーラコレクタにおける適用に対して、スペーサは、透明な構成要素であり、少なくとも、太陽放射からのエネルギーを吸収することにより熱エネルギーに変換するために使用される太陽放射の波長領域においては透明である。
【0003】
ここで、特に、2つの固体素子を分離しているスペーサが、大気圧以下の圧力に晒される場合のように、ガラススペーサに圧縮力が加えられる用途に対して、ガラススペーサを化学的に強化することにより対処するという思想が生まれた。ガラススペーサは比較的脆弱であり、生産工程におけるまたは作用における最終的な利用時にガラススペーサを採用すると破壊が発生する。更に、真空下での窓ガラスおよび真空下での平坦コレクタに対して、スペーサの存在の必要性は、伝導による熱性能の損失に関連している。従って、数を減少させるためにスペーサの機械的強度を増大させるという試みは利点がある。
【0004】
化学的強化により与えられるイオン交換が、スペーサの、特に球状のスペーサの圧縮強度を高めることを可能にしたかどうかは、基本原理(第1原理)からは明白ではなかった。当業者には、ガラスのTg以下の温度でのイオン交換は、処理済みガラスの表面層に圧縮をもたらすことができ、例えば、航空機のコックピットのガラスの場合のように、引っ張り応力または屈曲応力に晒される場合のガラスを強化するということが理解されるであろう。イオン交換によるこの表面圧縮は、張力または屈曲により加えられる外力の場合は張力である、表面に印加される応力を、部分的には補償することを可能にする。一方、外力が圧縮または圧壊による場合は、イオン交換が、強化を可能にするかどうかは基本原理(第1原理)からは明白でない。
【0005】
特許文献3は、引っ張り強さの増大を意図して、粒状物に対する化学的強化処理を教示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第96/12862号
【特許文献2】米国特許第4683154号明細書
【特許文献3】仏国特許第2103574号明細書
【発明の概要】
【0007】
スペーサは、2枚の壁のような、分離される2つの要素(第1および第2の要素と称され、これらは互いに接触する。)の間に置かれて両者間の距離を確保する。要素間の空間には、スペーサと、大気圧、減圧または真空である気体とが含まれる。要素間の自由空間(つまり、スペーサの直近の環境における自由空間)は、このように大気圧以下であってもよい。本発明に係るスペーサは、真空または低圧における窓ガラスを含むいかなる対象物、例えば、真空中の平坦ランプ、真空中のソーラコレクタ、真空中の絶縁体(冷蔵庫のドア、住居のドア、オーブンのドア)などに対して特に推薦できる。これらの対象物は、実際には、真空に起因する圧力(大気圧)がその主表面にかかり、直接または間接的にスペーサを圧縮する。真空が2枚の外部壁の間に生成されると、各壁に他方の壁に向かう方向にかかる圧力は大気圧であり、従って、1.2×10Pa(1.2bar)未満である。対象物における内部圧力は、典型的には1×10−3Pa(1×10−8bar)と1.2×10Pa(1.2bar)との間にある。この外部圧力は、壁が外部封体部(外壁部)に関与している対象物に対する内部要素を介して、本発明に係るスペーサに伝達される可能性がある。ソーラコレクタは一般的に、太陽光を受けるように構成されている第1外壁としてガラスと、(金属容器に組み込まれてもよい)第2外壁としての金属板またはガラス製の板を備えている。このコレクタは一般的に、吸収手段を含んでおり、この吸収手段を熱搬送流体が通過することにより、前記吸収手段は太陽エネルギーにより加熱される。真空は一般的には、これら2枚の外壁の間に生成される。この場合スペーサは、スペーサに直接に(スペーサが1枚の外壁と接触している場合)、または間接的(対象物内部の他の要素が圧力をスペーサに伝達する場合)に伝達される外圧による圧壊を防止するように働く。本発明に係るスペーサは、対象物の外部封体部(外壁部)に関与しない限りは、点状スペーサと考えてよい。更に、スペーサは追加的な力、特に対象物の屈曲変形による力、または熱源の応力による力、または生産工程(場合によっては、特に対象物をPVB(ポリビニルブチレン)により積層処理しなければならないときは、スペーサは、耐圧釜の圧力も追加的に支えなければならない)による力の影響により圧縮されることもある。
【0008】
このように、本発明は、少なくとも1つのガラススペーサを、前記対象物の第1の要素と、前記対象物の第2の要素との間に備える対象物に関し、前記スペーサは、その表面から表面に対して垂直な方向に、アルカリ金属イオンの濃度勾配を有している。特に、第1の要素は、ガラス壁であってもよい。特に、この壁のガラスは、200ppm未満の鉄を含んでよい。これは、ガラスが最大の太陽放射を通過させることを要求されるときに有益である。
【0009】
本発明に係るスペーサに対して使用される補強方法は、イオン交換(または、「化学的強化」とも称される)により、最初にガラスに存在していたイオンを、よりサイズの大きなイオンと交換して、表面に圧縮性応力を誘起することを目的としている。この技術はそれ自体、当業者に知られている。この化学的強化処理のために、ガラスは前記強化の前にアルカリ金属酸化物を含有している必要がある。この酸化物はNaOまたはLiOであってもよく、例えば、1〜20質量%の量でガラスに存在してよい。ガラスの化学的処理は、ガラスに最初に存在していたアルカリ金属イオンを、他のよりサイズの大きな金属イオンと交換することを含む。最初に存在する酸化物がNaOの場合は、化学的強化は、KNOによる処理で行われ、それにより、少なくとも部分的には、NaイオンをKイオンと置換する。最初に存在する酸化物がLiOの場合は、化学的処理はNaNOまたはKNOによる処理により行われ、それにより、少なくとも部分的には、Liイオンは、状況によりNaイオンまたはKイオンと置換される。化学的強化は、処理済み表面に垂直な、アルカリ金属イオン(特にKまたはNa)の濃度勾配を引き起こし、アルカリ金属イオンの濃度を処理済み表面から減少させ、ガラスの中心部から表面に向けて別のアルカリ金属イオンの濃度を増大させる。アルカリ金属イオンのこの交換は、スペーサの化学的に処理された表面の任意の箇所から存在している。このように、「アルカリ金属イオンの勾配」は、イオン(交換イオン)の濃度が、表面から中心部に向かう方向に進むときに減少し、一方、別のイオン(被交換イオン)の濃度は、表面から中心部の方向に増大することを意味していると理解できる。交換イオンと被交換イオンは対を形成する。ナトリウム/カリウムの交換の場合は、交換は、スペーサを、390〜500℃の温度に加熱されたカリウム塩の浴槽に浸すことにより行われる。本発明においては、交換パラメータ(温度と持続期間)は、高い表面応力および化学的強化に対して比較的低い交換深度(la profondeur echangee)を促進するように選択される。このように、表面応力の強度は交換深度の損失に対しては有利である。従来は、交換深度pは、化学的強化の後は、
を深度pにおける交換イオンの濃度、
をガラスの中心部における交換イオンの濃度(従って、化学的強化の前のガラスにおける交換イオンの濃度に対応し、この濃度はゼロであってもよい)、
をガラスの表面のおける交換イオンの濃度、
としたときに
(C−C)/(C−C)=0.05
である。
【0010】
言い換えれば、交換深度は、交換イオンの余剰濃度が、処理済み表面におけるその値の5%以下である深度である(余剰濃度:初期濃度と比較したときの追加の濃度)。
【0011】
この目的のため、化学的強化は、相対的に低い温度で行うことが好ましい。例えば、NaイオンをKイオンと交換する場合(硝酸カリウムの浴槽におけるガラスの強化)においては、化学的強化の温度は、350〜420℃間で選択できる。イオン交換は、電場による支援を受けても受けなくてもよい。電場の使用は、交換を促進し、それにより、より高い表面応力と交換深度、または短縮化された処理期間を得ることを可能にする。一方では、スペーサ処理において非対称性をもたらす。このようにして、いくつかの表面ゾーンは、他と比較してより化学的に強化され得る。しかし、電場の使用は排除することはないが、必要とは思われない。電場を使用しないことは、スペーサの表面すべてにおいて同一な処理を促進し、そのため、表面の任意の箇所から開始し、スペーサの中心部へ向かう方向の同一なアルカリ金属イオン勾配が達成される。
【0012】
本発明においては、アルカリ金属イオン交換の深度は、1ミクロン〜20ミクロンであり、好ましくは、5〜17ミクロンである。
【0013】
ガラスの中に分散させたいイオンを含む液状または糊状の溶融した塩により、イオン交換を行うことができる。そのような塩は、例えば、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムまたはこれらの化合物の混合物である。
【0014】
一般的に、開始ガラスは
− 50〜80質量%のSiO
− 5〜25質量%のアルカリ金属酸化物、好ましくは、NaOとKOから選択され、好ましくは、NaOは、Na/K交換において量が多く(最大で25質量%まで拡張できる)、
− 1〜20、好ましくは、4〜10質量%のアルカリ土類酸化物、好ましくはCaO、
を含む。
【0015】
ガラスは、少なくとも1つの他の酸化物、特に、Alおよび/またはBを含むことができる。
【0016】
ソーラコレクタにおける適用に対しては、開始ガラス(ひいては、最終ガラスも)は、200質量ppm未満の鉄酸化物(鉄酸化物のすべての形状の合計)を含む。
【0017】
開始ガラスはCaOを含む一方で、通常は、化学的強化されることを意図されているガラスは、CaOをほとんど、またはまったく有しないということに留意されたい。
【0018】
例として、(化学的強化の前の)開始ガラスは、以下のものを含むことができる。
2mm ± 7μm ビーズ
SiO 67.5質量%
NaO 10.5質量%
O 5.5質量%
BaO 3.8質量%
CaO 5.8質量%
0.1質量%
Al 0.6質量%
Fe 0.02質量%
【0019】
アルカリ金属に関しては、化学的強化に対して、Na/Kの対で作業するほうが(ガラスにおける開始時のNaイオンの、化学的強化浴槽における開始時のKイオンとの交換)、Li/Naの対(ガラスにおける開始時のLiイオンの、化学的強化浴槽における開始時のNaイオンとの交換)よりも好ましく、その理由は、Li/Naの対は、スペーサが採用されたときに、ガラスを加熱しなければならない場合に、不安定性をもたらす危険性があるからである(例えば、ソーラコレクタの内部を真空状態にするための、最終熱シーリングの場合)。Na/Kの対を使用することにより、本発明に係るスペーサを、約400℃まで、特に100〜400℃で採用でき、化学的強化によりもたらされる強化の極端な損失もない。実際には、適用においては、(例えば)ソーラコレクタの2つの部分を密閉封止するために加熱して、その後に真空を形成することを可能にすることもあり得る。このことを念頭におくと、開始組成におけるCaOの存在は、この酸化物がイオン拡散を緩速化するので好適である。従って、その存在は、化学的強化を阻害すると見なされているので当業者には望まれていないという事実にも拘わらず、本発明においては、スペーサが採用されていて加熱しなければならない場合に、実際には表面においてイオン勾配を安定させるので望ましい。
【0020】
全体として、スペーサの組成は、化学的強化によっては実際には変化せず、その理由は、この処理が表面おいて、およびかなり妥当な深度において、アルカリ金属イオンの交換のみを行うからである。
【0021】
従って、本発明に係るスペーサは、
− 50〜80質量%のSiO
− 5〜25質量%のアルカリ金属酸化物、
− 1〜20質量%、好ましくは4〜10質量%のアルカリ土類酸化物、好ましくはCaO、を含む。
【0022】
スペーサは直方体、十字形、球状(ビーズの場合)等の任意の適切な形状を有することができる。球形状は
− 間隔を空けて配置されている壁に接触する領域を最小にまで減少させ、一方の壁から他方の壁への熱的または電気的伝導による熱的および電気的交換を制限し、
− スペーサの回転を可能にし、生産工程において搬送をかなり容易でき、
− 目にはより見えにくい、
といういくつかの理由により好適である。
【0023】
化学的強化の前に、スペーサは一般的に、最終の適用において所望される形状を有している。それというのも、切断することが必要となるようにならないことが実際には推奨されているからである。実際に、化学的に強化されたガラスは、従来の技術または切断ホイールでは、制御不能な破断の危険性なしには、通常は切断できない。
【0024】
スペーサは、これらが接触しなくてはならない要素の少なくとも1つに接着することができる。この接着は、封止および真空を適用すると同時に行うことができる。特に真空下にあるスペーサの場合、スペーサを真空下に置く前に、吸収手段に固定(接着)することができる。
【0025】
ビーズは一般的には、0.4mm〜15mmの直径を有する。1〜5mmの小さな直径は非常に適しており、本発明に係る対象物を薄く生産することを可能にする。これは、対象物が、ソーラコレクタの場合と同様に屋根に組み込まれる場合には、相当な利点である。
【0026】
先行技術(化学的強化なし)のガラスビーズで、真空中において2枚の壁の間に置かれなくてはならない場合、特に対象物を耐圧釜に入れなければならない場合は、一般的には、少なくとも1平方メートル当たり1,000個のビーズが2枚の壁の間に設置される。本発明に係る化学的強化は、この数を1/4にすることを可能にし、それにより、生産歩溜りが向上する。このように、特に、1平方メートル当たり200〜1,000個の本発明に係るビーズ(当然に、壁の一方のみの領域に対して)を、圧力をビーズに加える2つの要素の間に設置することができる。1平方メートル当たり250個を超えるビーズも設置可能である。1平方メートル当たり800個未満のビーズもまた設置可能である。このように、本発明によれば、要素の1つは平坦であってよく、対象物は、前記平坦要素において1平方メートル当たり200〜1,000のスペーサを含むことができる。更に、真空における絶縁ユニット、および真空における平坦なソーラコレクタの場合は、本発明に係る化学的強化スペーサの使用は、これらの数を減少できる可能性という事実により、スペーサの存在の必要性に起因する熱性能の損失を相当に減少させる(1/4に減少させる場合もある)。
【0027】
本発明はまた、2つの要素の間の、これら要素を互い押す圧力に耐えるスペーサとしての、本発明に係るビーズの使用にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
(原文記載なし)
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、外壁として働くガラスシートである2つの要素2と3の間のスペーサとして働く、本発明に係るガラスビーズ1を示しており、真空が、2枚のガラスシートの間4に適用されている。
【0030】
図2は、未処理のビーズ(基準)と比較して、2つの異なる方法で化学的強化された、2mmの直径を有するガラスビーズの場合の、破断力(圧縮力)の関数としての累積した破断の百分率を示している。
【0031】
図3は、本発明に係る対象物としてのソーラコレクタ101の断面図である。ソーラコレクタ101は、第一透明上部外壁102と、同様に透明な下部外壁104を備え、これらの壁は、熱的に強化されたガラスから製造された2つの同一のガラス板から形成されている。壁102と104は、漏洩防止封止接合材110により取り付けられている金属フレーム105と共に、コレクタの吸収手段106と107を格納するための漏洩防止ハウジング103を両者の壁の間に画定している。本発明に係る対象物の外部封体部は、このように壁102、104、および105から形成されている。吸収手段は、吸収パネル106と、熱搬送流体の循環のためのダクト107を備えている。通路107は、吸収パネル106の下部表面106Aの傍で、吸収パネル106と熱的接触している。コレクタ101は、本発明に係る複数の上部スペーサ108と、コレクタ101が真空に設置されたときに、上部壁102と下部壁104との間に一定の距離を維持するための、本発明に係る複数の下部スペーサ109とを備えている。これらのスペーサ108と109は、コレクタ101の厚さ方向Zにおいて対として整列されており、それにより、各上部スペーサ108は、上部壁102と、ダクト107と熱的接触している吸収パネル106の部分161との間に位置し、一方で、各下部スペーサ109は、下部壁104とダクト107との間に位置している。スペーサ108と109は、例えば、接着により壁102と104に接続されているガラスビーズの形である。ハウジング103に真空が加えられたときに壁102と104に加わる圧縮力に対抗するために、ガラスビーズは、本発明に係る化学的強化により強化される。外壁102と104に加わっている圧力は、実際は、ソーラコレクタの内部要素、つまり、吸収手段106と107を介してスペーサ108と109に伝達される。化学的強化は、スペーサとして働くビーズの圧縮強度を十分に増大することを可能にする。
【実施例】
【0032】
ガラスビーズは、表1の記載に対応して使用された。ナトリウム/カリウムのイオン交換が、405℃の溶融硝酸カリウムの浴槽における8時間の強化により、これらのビーズに対して行われた。
【0033】
直径2mmの100個のビーズを強化するための操作プロトコルは下記の通りである。
−100個のビーズの重量を測り、
−ビーズを、試料ホルダ上に運び、
−試料ホルダを、所望の温度(試験によれば405℃または435℃)のオーブンに設置された、溶融硝酸カリウムの浴槽内の定位置に置き、
−8時間の間、毎時に試料キャリアを攪拌し、
−試料ホルダから除去し、
−非物質化水で洗浄し、
−100個のビーズの重量を測り、重量の増加分を測定して、イオン交換を調べ、必要であれば、化学的強化を続行するために浴槽で再強化を行う。
【0034】
405℃での8時間の処理の場合は、重量の増加は0.06%であり、走査電子顕微鏡により測定した交換深度は、約5μmであった。
【0035】
このように処理されたビーズに対して、圧縮テストを行い、その結果を図2に示す。累積した破断の百分率は、破断時の力(圧縮力)の関数としてトレースした。
【0036】
化学的強化処理により、ビーズの破断に対する平均値を相当に(500N超まで)増大させることが可能になったことが理解されるであろう。(真空により分離されている2枚のガラスシートの間の)平坦ランプにおけるスペーサとしての、これらの化学的に強化されたビーズの使用は、生産工程の間のこれらのビーズの破断の数を相当に減少し、特に、生産歩留まりを増大させることを示した。更に、平坦ランプの場合、必要なスペーサの数を1/4に削減できた。化学的処理をしていないビーズの場合は、生産歩留まりは85%であり、本発明に係る、化学的処理された同様なビーズの場合は95%であった。
【図1】

【図2】

【図3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物であって、
少なくとも1つのガラススペーサを、前記対象物の第1の要素と、前記対象物の第2の要素の間に含み、
前記スペーサは、前記スペーサの表面から前記スペーサの表面に対して垂直な方向に、アルカリ金属イオンの濃度勾配を有していることを特徴とする、
対象物。
【請求項2】
前記スペーサは、球形状であることを特徴とする、
請求項1に記載の対象物。
【請求項3】
前記要素のうちの1つは平坦であり、
前記平坦要素の1平方当たり200〜1,000個のビーズを含むことを特徴とする、 請求項2に記載の対象物。
【請求項4】
アルカリ金属イオンにおける前記交換深度は、1ミクロン〜20ミクロンであることを特徴とする、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の対象物。
【請求項5】
前記第1の要素はガラス製の壁であること特徴とする、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の対象物。
【請求項6】
前記壁のガラスは、200質量ppm未満の鉄酸化物を含むことを特徴とする、
請求項5に記載の対象物。
【請求項7】
前記ガラス壁は、前記対象物の外部封体部の壁であること特徴とする、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の対象物。
【請求項8】
前記濃度勾配は、前記表面の任意の箇所から、前記スペーサのガラスの中心部の方向に存在することを特徴とする、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の対象物。
【請求項9】
前記スペーサの周囲の自由空間は、大気圧よりも低い圧力であり、
前記対象物に加えられる大気圧は、前記スペーサに伝達されることを特徴とする、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の対象物。
【請求項10】
前記対象物はソーラコレクタであることを特徴とする、
請求項1〜9のいずれか1項に記載の対象物。
【請求項11】
前記スペーサのガラスは、200ppm未満の鉄酸化物を含むことを特徴とする、
請求項1〜10のいずれか1項に記載の対象物。
【請求項12】
ガラスビーズであって、
前記ガラスビーズの表面から、前記前記ガラスビーズの表面に対して垂直な方向に、アルカリ金属イオンの濃度勾配を有することを特徴とする、
ガラスビーズ。
【請求項13】
前記ガラスは、200ppm未満の鉄酸化物を含むことを特徴とする、
請求項12に記載のガラスビーズ。
【請求項14】
前記ガラスは、
50〜80質量%のSiOと、
5〜25質量%のアルカリ金属酸化物と、
好ましくは1〜20質量%のアルカリ土類酸化物と、
を含むことを特徴とする、
請求項12または13に記載のガラスビーズ。
【請求項15】
2つの要素の間における、前記2つの要素を互いに押す圧力に耐えるスペーサとしての、請求項12〜14のいずれか1項に記載のビーズの使用。

【公表番号】特表2013−508250(P2013−508250A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534741(P2012−534741)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【国際出願番号】PCT/FR2010/052209
【国際公開番号】WO2011/048313
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(500374146)サン−ゴバン グラス フランス (388)
【Fターム(参考)】