説明

強階層送受信システム

【課題】強階層受信機のソフトウェア更新の知らせを受けた場合でも、更新方法が不明である。
【解決手段】強階層SDTTを受信し、メーカーID情報、モデルID情報を取得する。上記に基づいて、対象受信機であるか否かの判定を行う。対象受信機であればソフトウェアの更新サービスを提供するサービス拠点に関する位置情報を含むテキスト情報を取得し、テキスト情報をメモリへ格納し、表示画面に表示させる。ユーザが更新を望む操作を実行した場合、地図アプリケーションを起動させる。次いで、GPSを起動させ、強階層受信機1の現在位置情報を取得し、最寄りのサービスステーションを検索する。最寄のサービスステーション地図情報を強階層受信機1の表示画面に表示させる。或いは、GPSによる案内を開始するようにして、そのサービスステーションで更新を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強階層受信機、例えば、ディジタル放送波の強階層又は強階層と中階層を受
信するディジタル放送受信装置におけるソフトウェアの更新技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
放送波によるダウンロードに関連して、通信機能を用いて強階層受信機がソフトウェア更新を行う技術であって、販売店などに設置されたダウンロード装置によらずに更新ソフトウェアのダウンロードが行えるようにする技術がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−187178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術は、通信機能を用いて強階層受信機がソフトウェア更新を行う手段を提案するものであり、通信手段を必須要件とする点で汎用性に乏しく、利用範囲が限定されてしまうという問題がある。
【0005】
また、利用者がソフトウェア更新を行うには、販売店の場所情報を別途利用者自身が探す必要があり、利便性に欠けていた。
【0006】
本発明は、通信手段を必須要件としなくても良い強階層受信機における更新ソフトウェアのダウンロード方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
SDTT(Software Download Trigger Table)とは、ソフトウェアダウンロードの告知情報(スケジュール情報など)を送出するテーブルを指す。この強階層SDTT中のtext_charというエリアにテキスト情報が格納されている。このエリアは、受信機ユーザーに対するメーカーや放送事業者からのメッセージとして画面表示することにより文字情報として伝達を行うお知らせのために設けられている。
【0008】
本発明では、このお知らせの中に、ユーザーが読み、更に受信機にとってもサービスステーションの位置情報を得ることが出来る内容を記載しておくことを特徴とする。
【0009】
より具体的には、テキストエリアに一定のフォーマットを設け、例えば、以下のような記載をしておく。
【0010】
「この受信機はソフトウェアの更新が必要です。
更新を行うにはお手数ですが以下のサービスステーションへ受信機をお持ち下さい。
★東京都港区***1−9−2 03-0000-0000
★横浜市緑区***5−10 045-000-0000
★********
現在の場所から最寄のサービスステーションの場所を地図で表示しますか?」
【0011】
このように、行頭から全角1文字スペース+★マークに続く部分を、住所記載領域と定義し、ユーザーにとっても文章として読め、かつ、受信機側としても住所データとして認識できる仕組みとする。
【0012】
テキスト情報と並んで、受信機メーカーが自由に利用可能なprivate_data_byteという部分が存在する。このエリアには、テキストエリアのような利用目的が定まっていないため、全てをユーザーに読ませる必要もなく、サービスステーションの住所データのみ記載することも可能である。
【0013】
本発明の一観点によれば、強階層SDTT中に設けられ、受信機のメーカー又は放送事業者からのメッセージを、テキスト情報の形態で画面表示させるためのtext_charに、サービスステーションの位置情報を提示するための記載がなされていることを特徴とする強階層受信機が提供される。前記テキスト情報の記載エリアに、住所記載領域を定義して設けることが好ましい。これにより、ユーザーにとっても文章として読めて、かつ受信機側としても住所データとして認識できる仕組みを形成する。
【0014】
前記テキスト情報とは異なる領域であって、受信機メーカーが自由に利用可能なprivate_data_byteに、サービスステーションの住所データが記載されていても良い。これにより、テキストエリアのような利用目的が定まっていないため、全てをユーザーに読ませる必要もなく、サービスステーションの住所データのみ記載する事も可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、強階層受信機のソフトウェア更新の知らせを受けた場合に、更新可能なサービス拠点へのアクセス方法も提供されるため、ソフトウェアの更新が利用しやすいものとなるという利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の一実施の形態による強階層受信機のソフトウェアの更新技術について、図面を参照しながら説明を行なう。図1は、本実施の形態による強階層受信機のソフトウェアの更新システムの一構成例を示す図である。図1に示すように、本実施の形態によるシステムは、位置検出機能、例えばGPS機能(位置検出部)付きの強階層受信機1(強階層受信部とアンテナ3を備える)と、強階層SDTTを放送する放送局11と、GPS衛星15と、サービス拠点21と、を有している。強階層受信機1は、地図情報(GIS)も保持又は外部から取得可能に構成されている(地図情報取得部)。SDTTは、強階層受信機1のメーカーIDと、モデルIDと、受信機特定情報と、テキスト情報と、を含む。さらに、図示しないが、例えばCPUとROM内のプログラムとの協働により、強階層SDTTを受信した際に取得した、メーカーID情報、モデルID情報に基づいて、対象受信機であるか否かの判定を行う対象受信機判定部を有する。
【0017】
上記システムは、GPSによる現在位置情報と、ソフトウェア更新サービス拠点の位置情報とに基づいて、現在位置から最も近いソフトウェア更新設備のあるお店やサービス拠点を検索し、地図上で最も近いソフトウェア更新拠点をユーザに提示する(例えば表示部5への表示)。
【0018】
この地図表示7のナビゲーションにより、利用者はソフトウェア更新設備のあるお店やサービス拠点21へ移動するように案内されることができる。この際、強階層受信機1に対して電子メールが送信されることにより、ユーザに対してサービス拠点を提示することができ、すなわち、強階層SDTTの受信を共通トリガーとし、以下2通りの方法でサービス拠点を提示する。1)GPS機能で自己位置を確認し、近くの更新設備(サービス拠点・販売店など)を画面(地図上などに)表示する。2)通信親局との位置関係(3点測距等で求める)から自己位置を確認し、近くの更新設備(サービス拠点・販売店など)を画面(地図上などに)表示する。
【0019】
その際、ユーザは、電子メールの返信又は転送によって、サービス拠点に更新に関する予約を行なうことができる。
【0020】
図2から図5までは、上記1),2)を含む種々の処理の流れを示すフローチャート図である。図2に示すように、まず、ステップS1において強階層SDTTを受信し、ステップS2においてメーカーID情報、モデルID情報を取得する。
【0021】
ステップS3において、上記メーカーID情報、モデルID情報に基づいて、対象受信機であるか否かの判定を行い、対象受信機でない場合には(N)、本タスクを終了する(ステップS13)。対象受信機であれば(Y)、ステップS4において、ソフトウェアの更新サービスを提供するサービスステーションに関する位置情報を含むテキスト情報を取得し、不揮発性メモリ(Flash)などへテキスト情報を格納する。
【0022】
次いで、ステップS5において、テキスト情報を表示画面に表示させる。表示例としては、「ユーザへソフト更新が必要である旨表示するとともに、最寄りのサービスステーションを表示させるかどうかに関するユーザの操作を促す。具体的には、ユーザに対して、Yes又はNoを入力させる(ステップS6における、ユーザからの指示待ち)。ステップS7において、ユーザの指示が行なわれると、Noの場合には、処理を終了する(ステップS14)。Yesの場合には、ステップS9に進み、地図アプリケーションを起動させる。次いで、ステップS10においてGPSを起動させ、強階層受信機1の現在位置情報を取得する。ステップS11において、強階層受信機1の最寄りのサービスステーションを検索する。ステップS12において、最寄のサービスステーション地図情報を強階層受信機1の表示画面に表示させる。或いは、GPSによる案内を開始するようにしても良い。
【0023】
図3は、図2の変形例による処理の流れを示すフローチャート図である。ステップS21からS31までは、図2のステップS1からステップS11までと同様である。次いで、ステップS32において、最寄りのサービスステーションが現在位置から徒歩圏にあるかどうかを判定する。徒歩圏にある場合には(Y)、ステップS33に進み最寄のサービスステーション地図情報を携帯画面へ表示し、もしくは、GPSによる案内を開始する。徒歩圏にない場合には(N)、ステップS34に進み、近くにサービスステーションが無い旨を表示画面に表示させる。次いで、ステップS35において、ユーザ(受信機1)がサービスステーションに近づいたらお知らせするかどうかをユーザに尋ねる。具体的には、Y又はNの入力を促す表示を行なう。ステップS36において地図アプリケーションを終了し、ステップS37においてGPS測定を終了する。ステップS38において、ユーザからの指示を待ち、ステップS39においてユーザからの指示があった場合には、ステップS40において、ユーザ判断がサービスステーションへの案内を希望しない判断であった場合には(N)、ステップS46において処理を終了する。ステップS40において、ユーザ判断がサービスステーションへの案内を希望する判断であった場合には(Y)、ステップS43において、定期的に徒歩圏のサービスステーションを検索し、ステップS44において、現在位置から徒歩圏(例えば10分以内などが設定可能)にサービスステーションがあるか否かを判定し、ステップS44において、徒歩圏にある場合には(Y)、ステップS33に進み、最寄りのサービスステーション地図情報を携帯画面へ表示する。もしくは、GPSによる案内を開始する。尚、徒歩圏であるかどうかを判断するステップにおいて、徒歩での所要時間又は交通手段を利用した場合の所要時間とアクセス方法を表示画面に表示するようにしても良い。すなわち、サービスステーションまである程度近づいた場合に、その旨をユーザに報知する。この際、サービスステーションの検索は継続的に行うのが好ましい。
【0024】
上記の処理を利用すると、ダウンロードサービスを受ける際のサービスステーションへのアクセスに関する情報もユーザに提示されるので、ユーザにとっての利便性が向上するという利点がある。
【0025】
図4は、図2及び図3に示す処理の変形例を示すフローチャート図である。基本的には図3に示す処理と同様であるが、ステップS75において、サービスステーションが徒歩圏にあるか否かを判定し、徒歩圏にあると判定された場合に(Y)、ステップS76において、ブザー音などを鳴らして、実際に徒歩でサービスステーションに向けて歩いていった場合に、サービスステーションにある程度近づいたらその旨を知らせるための例えばブザー音を鳴らしてユーザに対して報知する。ユーザはブザー音を聞いたら例えばポケットに入れておいた受信機を取り出し、ステップS63において、最寄りのサービスステーション地図情報を携帯画面へ表示し、もしくは、GPSによる案内を開始する。
【0026】
上記の処理を利用すると、ユーザは、地図表示を常時見ながら歩かなくても、サービスステーションに到達することが容易になるという利点がある。
【0027】
図5は、図2から図4までに示す処理の変形例を示すフローチャート図である。ステップS81からステップS84までは、図2〜図4までの処理と同じである。但し、ステップS85においては、ユーザに対してソフトウェアの更新が必要である旨を表示するとともに、自宅近くのサービスステーションを表示させるか否かを尋ね、Yes又はNoで応答できるようなユーザインターフェイスを提供する。そして、ユーザから、自宅近くのサービスステーションを表示させる旨の応答があった場合には、ステップS90において、自宅の最寄りのサービスステーションを検索し、ステップS91において希望地域(自宅の近く)にサービスステーションがあるか否かを判定し、Yesの場合にはステップS92において、最寄りのサービスステーションの地図情報を画面表示させる。Noの場合には、ステップS93に進み、近くにサービスステーションが無い旨を画面表示し、GPSによる最寄り検索を希望するか否かを尋ね、Yes又はNoでユーザが応えることができるように、例えばユーザインターフェイスを提供する。ここで、地図のアプリケーションを終了し(ステップS95)、ステップS94に関するユーザからの指示を待つ(ステップS96)。
【0028】
ステップS97においてユーザが指示を行い、ステップS98においてユーザの判断が最寄り検索不要(N)であれば、処理を終了する(ステップS104)。最寄り検索が必要であれば(Y)、ステップS99において、再び地図アプリケーションを起動し、ステップS100において、GPSを起動させ、現在位置情報を取得する。次いで、ステップS101において、定期的に徒歩圏のサービスステーションを検索し、ステップS102において、徒歩圏にサービスステーションがあるか否かを判定し、Yesの場合には、ステップS92において、最寄りのサービスステーション地図情報を携帯画面へ表示させる。
【0029】
この処理の特徴は、自宅近くにサービスステーションがない場合であって、ユーザがGPSによる最寄り検索を希望する場合には、GPSを起動させて例えば徒歩圏のサービスステーションを定期的に検索し、徒歩圏にある場合には、そのサービスステーションへのアクセスに役立つ地図を画面表示させることである。これにより、ユーザは、自宅近く又は外出先のいずれかにおいてダウンロードサービスを受けることができる。
【0030】
以上に説明したように、本実施の形態による強階層受信機のソフトウェアの更新技術によれば、ソフトウェア更新が伴わない強階層受信機のダウンロードにおいて、強階層SDTTを受信した際に、利用者に対し最も近くの更新設備(販売店など)がどこにあるかを示すことにより、現受信機の仕様変更なしに、簡単にソフトウェアの更新を行なう方法を受け取ることができる。すなわち、更新可能なサービス拠点へのアクセス方法も提供されるため、ソフトウェアの更新が利用しやすいものとなるという利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、強階層受信機のソフトウェア更新技術として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施の形態による強階層受信機のソフトウェアの更新システムの一構成例を示す図である。
【図2】図1に示すシステムにおけるソフトウェア更新のためのダウンロードを行なうサービス拠点へのアクセス方法を提示するための第1の処理の流れを示すフローチャート図である。
【図3】図1に示すシステムにおけるソフトウェア更新のためのダウンロードを行なうサービス拠点へのアクセス方法を提示するための第2の処理の流れを示すフローチャート図である。
【図4】図1に示すシステムにおけるソフトウェア更新のためのダウンロードを行なうサービス拠点へのアクセス方法を提示するための第3の処理の流れを示すフローチャート図である。
【図5】図1に示すシステムにおけるソフトウェア更新のためのダウンロードを行なうサービス拠点へのアクセス方法を提示するための第4の処理の流れを示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0033】
1…強階層受信機、3…アンテナ、11…強階層SDTTを放送する放送局、15…GPS衛星、21…サービス拠点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
強階層SDTTを放送する放送局と、
前記放送局から放送されるデジタル放送波の強階層を受信する受信部と、前記強階層SDTTを受信した際に取得可能な、受信機メーカーID情報と受信機モデルID情報とに基づいて、ソフトウェア更新対象受信機であるか否かの判定を行う対象受信機判定部と、を有し、前記強階層SDTT中に設けられ、受信機のメーカー又は放送事業者からのメッセージを、テキスト情報として画面表示させるためのtext_charに、少なくともソフトウェアの更新サービスを提供する店の情報を含み、前記店の情報に基づいて、前記ソフトウェアの更新サービスを提供する店の詳細情報を表示することを特徴とする強階層受信機と、を有する強階層送受信システム。
【請求項2】
前記ソフトウェアの更新サービスを提供する店の情報が、ソフトウェアの更新サービスを提供する店の電話番号であることを特徴とする請求項1に記載の強階層送受信システム。
【請求項3】
前記ソフトウェアの更新サービスを提供する店の情報が、ソフトウェアの更新サービスを提供する店の住所であることを特徴とする請求項1に記載の強階層送受信システム。
【請求項4】
前記詳細情報が、前記ソフトウェアの更新サービスを提供する店の場所を示す地図情報であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の強階層送受信システム。
【請求項5】
前記強階層受信機は、GPS機能を有し、
前記詳細情報が、前記GPS機能を用いた前記ソフトウェアの更新サービスを提供する店への誘導情報であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の強階層送受信システム。
【請求項6】
前記強階層受信機は、GPS機能を有し、
前記詳細情報が、前記GPS機能による前記ソフトウェア更新サービスを提供する店との接近を報知する報知情報であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の強階層送受信システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−138938(P2012−138938A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−36499(P2012−36499)
【出願日】平成24年2月22日(2012.2.22)
【分割の表示】特願2011−57395(P2011−57395)の分割
【原出願日】平成19年5月2日(2007.5.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】