説明

微粒子分離装置

【課題】フィルターの目詰まりを低減できる微粒子分離装置を提供すること。
【解決手段】入口12を有する流路10と、容室20と、流路10及び容室20と連通するフィルター30と、フィルター30を振動させる圧電素子40と、を含む。圧電素子40は、流路形成部材50に設けられ、流路形成部材50を介してフィルター30を振動させてもよい。流路10は、出口14を含んでいてもよい。圧電素子40がフィルター30を直接的又は間接的に振動させることにより、粒子又は固相がフィルター30に固着することを抑制するとともに、粒子又は固相がフィルター30の貫通孔に嵌ることを抑制することができる。したがって、目詰まりを低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粒子分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液相及び固相の混濁液あるいは液体中に固体粒子が分散した分散液から、所望の固相又は固体粒子を分離するためのフィルターを有する微粒子分離装置が知られている。フィルターを有する微粒子分離装置は、使用によりフィルターの目詰まりが生じるため、フィルターの目詰まりを低減できる微粒子分離装置が求められている。
【0003】
フィルターの目詰まりを低減するための技術として、特許文献1には、シャフトを介して多孔質スクリーン(フィルター)を振動させる機械式の加振機構を有する構成が記載されている。また、特許文献2には、超音波装置を用いて液体に超音波を照射することによりフィルターを振動させる超音波式の加振機構を有する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−269274号公報
【特許文献2】特開2001−15465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、機械式の加振機構や超音波式の加振機構は、小型化が難しい。また、超音波式の加振機構では、フィルターから遠い場所から間接的に加振することになるため、エネルギー効率が低い。さらに、超音波式の加振機構では、微粒子として細胞などのデリケートな粒子を扱う場合には、振動が細胞などのデリケートな粒子に与えるダメージが大きいという問題があった。
【0006】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、フィルターの目詰まりを低減できる微粒子分離装置を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本形態に係る微粒子分離装置は、
入口を有する流路と、容室と、前記流路及び前記容室と連通するフィルターと、前記フィルターを振動させる圧電素子と、を含む。
【0008】
本形態によれば、圧電素子を用いてフィルターを振動させるため、機械式の加振機構を用いる場合や超音波式の加振機構を用いる場合に比べて、微粒子分離装置を小型化できる。さらに、超音波式の加振機構を用いる場合に比べて、圧電素子を加振対象となるフィルターの近くに設けることができる。したがって、超音波式の加振機構を用いる場合に比べて小さなエネルギーの振動で目詰まりを低減できる。また、小さなエネルギーの振動で目詰まりを低減できるため、微粒子として細胞などのデリケートな粒子を扱う場合には、超音波式の加振機構に比べて、振動が細胞などのデリケートな粒子に与えるダメージを小さくすることができる。
【0009】
(2)この微粒子分離装置は、さらに、前記流路を形成する流路形成部材を含み、前記圧電素子は、前記流路形成部材に設けられ、前記流路形成部材を介して前記フィルターを振動させてもよい。
【0010】
これにより、流路形成部材に圧電素子を設けるという簡易な工程で、フィルターを振動させることが可能な微粒子分離装置を製造できる。
【0011】
(3)この微粒子分離装置は、さらに、前記圧電素子の一部と前記流路の内壁面とを接続することによって前記圧電素子を支持する支持部を含み、前記圧電素子は前記流路内に設けられていてもよい。
【0012】
これにより、圧電素子の一部が支持されているため、圧電素子の全面が支持されている場合に比べて、圧電素子が拘束される部分が小さくなり、振動効率が高まる。また、圧電素子は、支持部によって流路の内側に支持されるため、流路形成部材を介することなく、流路を流れる液体を介してフィルターを振動させる。したがって、より小さなエネルギーの振動でフィルターの目詰まりを低減できる。
【0013】
(4)この微粒子分離装置は、前記圧電素子は、前記フィルターに接して前記流路内に設けられていてもよい。
【0014】
これにより、圧電素子によりフィルターを直接的に振動させることができる。したがって、小さなエネルギーの振動で目詰まりを低減できる。
【0015】
(5)本形態に係る微粒子分離装置は、入口を有する流路と、容室と、前記流路及び前記容室と連通し、圧電素子を含んで構成されたフィルターと、を含む。
【0016】
本形態によれば、フィルターが圧電素子を含んで構成されることにより、フィルター自身が振動することができる。したがって、小さなエネルギーの振動で目詰まりを低減できる。
【0017】
(6)この微粒子分離装置は、前記流路は、出口を有していてもよい。
【0018】
これにより、フィルターを通過しなかった粒子を出口から排出することができる。したがって、目詰まりを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1(A)は、第1実施形態に係る微粒子分離装置1を模式的に表す平面図、図1(B)は、図1(A)のA−A線における断面図。
【図2】図2(A)は、第2実施形態に係る微粒子分離装置2を模式的に表す平面図、図2(B)は、図2(A)のA−A線における断面図。
【図3】図3(A)は、第3実施形態に係る微粒子分離装置3を模式的に表す平面図、図3(B)は、図3(A)のA−A線における断面図。
【図4】図4(A)は、第4実施形態に係る微粒子分離装置4を模式的に表す平面図、図4(B)は、図4(A)のA−A線における断面図。
【図5】図5(A)は、第3実施形態の変形例に係る微粒子分離装置3aを模式的に表す平面図、図5(B)は、図5(A)のB−B線における断面図。
【図6】図6(A)は、第4実施形態の変形例に係る微粒子分離装置4aを模式的に表す平面図、図6(B)は、図6(A)のB−B線における断面図。
【図7】図7(A)は、第4実施形態の他の変形例に係る微粒子分離装置4bを模式的に表す平面図、図7(B)は、図7(A)のA−A線における断面図。
【図8】図8(A)は、第4実施形態の他の変形例に係る微粒子分離装置4cを模式的に表す平面図、図8(B)は、図8(A)のA−A線における断面図。
【図9】第1実施形態に係る微粒子分離装置1を応用した微粒子分離システム100を説明するためのブロック図。
【図10】第4実施形態の変形例に係る微粒子分離装置4bを応用した微粒子分離システム100aを説明するためのブロック図。
【図11】第4実施形態の変形例に係る微粒子分離装置4cを応用した微粒子分離システム100bを説明するためのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0021】
1.第1実施形態に係る微粒子分離装置
図1(A)は、第1実施形態に係る微粒子分離装置1を模式的に表す平面図、図1(B)は、図1(A)のA−A線における断面図である。
【0022】
本実施形態に係る微粒子分離装置1は、入口12を有する流路10と、容室20と、流路10及び容室20と連通するフィルター30と、フィルター30を振動させる圧電素子40と、を含む。
【0023】
流路10は、液相及び固相の混濁液あるいは液体中に固体粒子が分散した分散液が導入される入口12を含む。すなわち、流路10は、液体などが入口12からフィルター30まで流れるための流路として機能する。
【0024】
また、流路10は、液相及び固相の混濁液あるいは液体中に固体粒子が分散した分散液が排出される出口14を含んでいてもよい。すなわち、流路10は、液体などが入口12から出口14まで流れるための流路として機能できる。これにより、フィルター30を通過しなかった粒子及び固相を出口14から排出することができる。したがって、目詰まりを低減できる。また、フィルター30を通過しなかった粒子及び固相を排出できる。
【0025】
流路10における液体の流れる方向から見た流路10の断面の形状は特に限定されず、例えば、長方形とすることができる。また、流路10における液体の流れる方向から見た流路10の断面の形状は、入口12から出口14までの間において同一であってもよいし、異なる箇所があってもよい。
【0026】
容室20は、フィルター30を介して流路10と連通する。容室20は、液体が排出される出口24を含んでいてもよい。容室20の形状は特に限定されず、目的に応じて任意の形状とすることができる。図1(A)及び図1(B)に示される例では、容室20は、出口24を含むことで、流路10からフィルター30を介して流れてきた液体が流れる流路として機能するように構成されている。
【0027】
フィルター30は、流路10及び容室20と連通する。すなわち、図1(A)及び図1(B)に示される例では、容室20は流路10の入口12よりも下流側に配置されている。つまり、容室20には、フィルター30を介して液体が流路10から流入する。フィルター30は、流路10及び容室20と連通するための貫通孔を有している。フィルター30が有している貫通孔の流路10側の開口及び容室20側の開口の形状は、任意の形状を取り得る。図1(A)に示される例では、フィルター30が有している貫通孔の流路10側の開口及び容室20側の開口の形状は円形である。フィルター30が有している貫通孔の流路10側の開口及び容室20側の開口の大きさは、微粒子分離装置1で分離したい粒子及び固相の大きさに合わせて適宜設定できる。例えば、ヒトの末梢血を成分採血し、血液成分から単球を取り出す場合、一般的な単球の直径は13〜20μm程度であるため、フィルター30が有している貫通孔の流路10側の開口及び容室20側の開口の直径は、一般的な単球の直径に対して50〜80%となる6.5μm以上16.8μm以下の範囲から選択されてもよい。開口の直径が上記範囲において小さい値から選択された場合には、単球を分離する精度を高めることができる。開口の直径が上記範囲において大きい値から選択された場合には、時間あたりに処理できる液体の量を確保するとともに、単球を流路10側に分離できる。
【0028】
微粒子分離装置1は、流路10を形成するための流路形成部材50を含んでいてもよい。流路10、容室20及びフィルター30が形成される部材の材料は、特に限定されない。例えば、樹脂を射出成形することや、半導体基板、ガラス基板、有機材料基板などにMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いることにより、第1実施形態に係る微粒子分離装置1を製造することができる。また、例えば、溝が形成された基板や穴が形成された基板を適宜組み合わせることにより、第1実施形態に係る微粒子分離装置1を製造することができる。
【0029】
圧電素子40は、フィルター30を振動させる。図1(A)及び図1(B)に示される例では、圧電素子40は、流路形成部材50及び流路10に流れる液体を介して間接的にフィルター30を振動させる。圧電素子40による振動動作は、常時であっても間欠的であってもよい。圧電素子40の振動波形は特に限定されず、例えば、所定の周波数の正弦波や矩形波などであってもよいし、周波数が時間的に変化する正弦波や矩形波などであってもよい。圧電素子40としては、公知の種々の構成が可能であり、例えば、圧電体を厚さ方向の上下から2の電極で挟んだキャパシター型の圧電素子を用いることができる。このような圧電素子40は、例えば、薄膜法により製造することができる。圧電素子40は、絶縁性の高い材料でコーティングされていてもよい。
【0030】
圧電素子40は、流路形成部材50に設けられ、流路形成部材50を介してフィルター30を振動させてもよい。例えば、圧電素子40は、流路形成部材50との界面に接着材などにより接着されて設けられていてもよい。
【0031】
図1(A)及び図1(B)に示される例では、圧電素子40は、流路形成部材50の流路10に面していない部分に設けられている。すなわち、圧電素子40は、流路形成部材50と、流路10を流れる液体とを介してフィルター30を振動させる。また、図1(A)及び図1(B)に示される例では、圧電素子40は、流路形成部材50の流路10に面していない部分であって、フィルター30が有している貫通孔を仮想的に延長した空間領域と重なる部分を含む領域に設けられている。これにより、圧電素子40の振動が、フィルター30が有している貫通孔に効率よく伝わるため、小さなエネルギーの振動でフィルター30の目詰まりを低減できる。
【0032】
圧電素子40は、流路形成部材50の流路10に面している部分であって、フィルター30が有している貫通孔を仮想的に延長した空間領域と重なる部分を含む領域に設けられていてもよい。この場合には、圧電素子40が流路10内に設けられることになるため、より小さなエネルギーの振動でフィルター30の目詰まりを低減できる。なお、圧電素子40が流路10内に設けられる場合には、適度な柔軟性と絶縁性をもち、流路10に導入される液体や粒子などに悪影響を与えない材料で圧電素子40がコーティングされていることが好ましい。例えば、流路10に導入される液体が血液成分を含む液体である場合には、圧電素子40のコーティングに用いられる材料としては、例えば、ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリル樹脂などが挙げられる。
【0033】
第1実施形態に係る微粒子分離装置1によれば、圧電素子40がフィルター30を直接的又は間接的に振動させることにより、粒子又は固相がフィルター30に固着することを抑制するとともに、粒子又は固相がフィルター30の貫通孔に嵌ることを抑制することができる。したがって、目詰まりを低減することができる。
【0034】
また、第1実施形態に係る微粒子分離装置1は、圧電素子40を用いてフィルター30を振動させるため、機械式の加振機構を用いる場合や超音波式の加振機構を用いる場合に比べて、加振機構を小型化できる。
【0035】
さらに、第1実施形態に係る微粒子分離装置1は、超音波式の加振機構を用いる場合に比べて、圧電素子40を加振対象となるフィルター30の近くに設けることができる。したがって、超音波式の加振機構を用いる場合に比べて小さなエネルギーの振動で目詰まりを低減できる。また、小さなエネルギーの振動で目詰まりを低減できるため、微粒子として細胞などのデリケートな粒子を扱う場合には、超音波式の加振機構に比べて、振動が細胞などのデリケートな粒子に与えるダメージを小さくすることができる。
【0036】
また、第1実施形態に係る微粒子分離装置1は、流路形成部材50に圧電素子40を設けているので、簡易な方法で製造できる。
【0037】
以降に記載する実施形態、変形例及び応用例の説明では、第1実施形態と同様の構成部分については、同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0038】
2.第2実施形態に係る微粒子分離装置
図2(A)は、第2実施形態に係る微粒子分離装置2を模式的に表す平面図、図2(B)は、図2(A)のA−A線における断面図である。
【0039】
第2実施形態に係る微粒子分離装置2は、圧電素子40の一部と流路10の内壁面とを接続することによって圧電素子を支持する支持部60を含み、圧電素子40は流路10内に設けられている。
【0040】
図2(A)及び図2(B)に示される例では、支持部60は、圧電素子40の長手方向の端部近傍と、流路10の内壁面となる流路形成部材50とを接続することによって圧電素子40を支持するように構成されている。支持部60は、振動吸収性の高い材質で構成されていることが好ましい。このような材料としては、例えば、ゴム系材料(エラストマー等)が挙げられる。
【0041】
図2(A)及び図2(B)に示される例では、圧電素子40は、長手方向の端部近傍を支持部60に支持されて流路10内に設けられている。これにより、圧電素子40の全面が流路形成部材50に接着されている場合に比べて、圧電素子40が拘束される部分が小さくなり、振動効率が高まる。また、圧電素子40は、流路形成部材50を介すことなく、流路10を流れる液体とを介してフィルター30を振動させる。したがって、より小さなエネルギーの振動でフィルター30の目詰まりを低減できる。
【0042】
3.第3実施形態に係る微粒子分離装置
図3(A)は、第3実施形態に係る微粒子分離装置3を模式的に表す平面図、図3(B)は、図3(A)のA−A線における断面図である。
【0043】
第3実施形態に係る微粒子分離装置3は、圧電素子40が、フィルター30に接して流路10内に設けられている。図3(A)及び図3(B)に示される例では、圧電素子40は、フィルター30の流路10側に積層し、接着されて設けられている。また、図3(A)及び図3(B)に示される例では、圧電素子40には、フィルター30が有する貫通孔と連通する貫通孔が設けられている。
【0044】
第3実施形態に係る微粒子分離装置3は、圧電素子40によりフィルター30を直接的に振動させることができる。したがって、より小さなエネルギーの振動で目詰まりを低減できる。
【0045】
また、第3実施形態に係る微粒子分離装置3は、圧電素子40をフィルター30に積層し、接着するなどの簡易な方法で製造できる。なお、第3実施形態においては、圧電素子30を、フィルター30の流路10側に積層し、接着した例を示したが、圧電素子30を、フィルター30の容室20側に積層し、接着してもよい。
【0046】
4.第4実施形態に係る微粒子分離装置
図4(A)は、第4実施形態に係る微粒子分離装置4を模式的に表す平面図、図4(B)は、図4(A)のA−A線における断面図である。
【0047】
第4実施形態に係る微粒子分離装置4は、入口12を有する流路10と、容室20と、流路10及び容室20と連通し、圧電素子を含んで構成されたフィルター32と、を含む。
【0048】
図4(A)及び図4(B)に示される例では、フィルター32は、圧電素子で構成されている。すなわち、フィルター32は、流路10と容室20とを連通する貫通孔を有する圧電素子で構成されている。
【0049】
第4実施形態に係る微粒子分離装置4によれば、フィルター32が圧電素子を含んで構成されることにより、フィルター32自身が振動することができる。したがって、より小さなエネルギーの振動で目詰まりを低減できる。
【0050】
5.変形例
図5(A)は、第3実施形態の変形例に係る微粒子分離装置3aを模式的に表す平面図、図5(B)は、図5(A)のB−B線における断面図である。
【0051】
図5(A)及び図5(B)に示される例では、フィルター30が有している貫通孔の流路10側の開口及び容室20側の開口の形状は、入口12から液体が導入された場合における入口12から出口14への液体の流れる方向を長手方向とするスリット状である。フィルター30が有している貫通孔の流路10側の開口及び容室20側の開口のスリット幅は、微粒子分離装置3aで分離したい粒子の大きさに合わせて適宜設定できる。例えば、ヒトの末梢血を成分採血し、血液成分から単球を取り出す場合、一般的な単球の直径は13〜20μm程度であるため、フィルター30が有している貫通孔の流路10側の開口及び容室20側の開口のスリット幅は、一般的な単球の直径に対して50〜80%となる6.5μm以上16.8μm以下の範囲から選択されてもよい。スリット幅が上記範囲において小さい値から選択された場合には、単球を分離する精度を高めることができる。スリット幅が上記範囲において大きい値から選択された場合には、時間あたりに処理できる液体の量を確保するとともに、単球を流路10側に分離できる。
【0052】
なお、図5(A)及び図5(B)に示されるスリット状の開口を有するフィルター30は、第1実施形態に係る微粒子分離装置1及び第2実施形態に係る微粒子分離装置2においても同様に適用できる。
【0053】
図6(A)は、第4実施形態の変形例に係る微粒子分離装置4aを模式的に表す平面図、図6(B)は、図6(A)のB−B線における断面図である。
【0054】
図6(A)及び図6(B)に示される例では、フィルター32が有している貫通孔の流路10側の開口及び容室20側の開口の形状は、入口12から液体が導入された場合における入口12から出口14への液体の流れる方向を長手方向とするスリット状である。フィルター32が有している貫通孔の流路10側の開口及び容室20側の開口のスリット幅は、上述した第3実施形態の変形例に係る微粒子分離装置3aと同様に、微粒子分離装置4aで分離したい粒子の大きさに合わせて適宜設定できる。
【0055】
図7(A)は、第4実施形態の他の変形例に係る微粒子分離装置4bを模式的に表す平面図、図7(B)は、図7(A)のA−A線における断面図である。
【0056】
第4実施形態の他の変形例に係る微粒子分離装置4bは、流路10が出口14を有していない点で、第4実施形態に係る微粒子分離装置4と相違する。すなわち、入口12から導入される液体などは、フィルター32を通過しなかった粒子及び固相を除き、フィルター32を介して容室20に流れる構成となっている。このように、流路10が出口14を有していない場合においても、「4.第4実施形態に係る微粒子分離装置」の項で説明した内容と同様の原理により同様の効果を奏する。
【0057】
なお、流路10が出口14を有していない構成は、第1実施形態に係る微粒子分離装置1、第2実施形態に係る微粒子分離装置2、第3実施形態に係る微粒子分離装置3、第3実施形態の変形例に係る微粒子分離装置3a及び第4実施形態の変形例に係る微粒子分離装置4aについても同様に適用でき、同様の効果を奏する。
【0058】
図8(A)は、第4実施形態の他の変形例に係る微粒子分離装置4cを模式的に表す平面図、図8(B)は、図8(A)のA−A線における断面図である。
【0059】
第4実施形態の他の変形例に係る微粒子分離装置4cは、容室20が入口22を有している点で、第4実施形態に係る微粒子分離装置4と相違する。すなわち、容室20は、液体などが入口22から出口24まで流れるための流路としても機能できる。容室20内での流れを促進するための補助液が入口22から導入されることにより、容室20にフィルター32を通過した粒子及び固相が溜まることを抑制できる。
【0060】
第4実施形態の他の変形例に係る微粒子分離装置4cにおいても、「4.第4実施形態に係る微粒子分離装置」の項で説明した内容と同様の原理により同様の効果を奏する。
【0061】
なお、容室20が入口22を有する構成は、第1実施形態に係る微粒子分離装置1、第2実施形態に係る微粒子分離装置2、第3実施形態に係る微粒子分離装置3、第3実施形態の変形例に係る微粒子分離装置3a及び第4実施形態の変形例に係る微粒子分離装置4aについても同様に適用でき、同様の効果を奏する。
【0062】
6.微粒子分離装置の応用例
図9は、第1実施形態に係る微粒子分離装置1を応用した微粒子分離システム100を説明するためのブロック図である。図9において、白矢印は液体の流れ及び配管を、黒矢印は信号の流れを示している。
【0063】
図9に示される微粒子分離システム100は、微粒子分散液用容器110、ポンプ112、微粒子分離装置1、回収容器114、回収容器116及び制御部150を含んでいる。
【0064】
微粒子分散液用容器110は、ポンプ112を介して微粒子分離装置1の入口12と連通している。微粒子分散液用容器110には、液体中に固体粒子が分散した分散液が収容される。ポンプ112は、微粒子分散液用容器110に収容される液体中に固体粒子が分散した分散液を微粒子分離装置1へ送出する。回収容器116は、微粒子分離装置1の出口24と連通している。回収容器116は、微粒子分離装置1の出口24から排出される液体などを収容する。
【0065】
回収容器114は、微粒子分離装置1の出口14から排出されるフィルター30を通過しなかった粒子や液体などを収容する。例えば、微粒子分離装置1で単球を分離する場合には、回収容器114には、単球を樹状細胞に誘導するための試薬を添加したり、培地交換したりするためのバルブが設けられていてもよい。さらに、回収容器114内で単球を樹状細胞に誘導する場合には、回収容器114の内壁面は、樹状細胞が剥離しやすい構造や材質で構成されていることが好ましい。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))などの撥水性材料、親水コート表面を持つ高分子有機化合物又は無機化合物などで構成されていたり、微小凹凸やマイクロポスト状の構造を有していたりしてもよい。
【0066】
制御部150は、圧電素子40に駆動信号を供給することによって、圧電素子40の振動を制御する。制御部150は、CPU(Central Processing Unit)とメモリーとを有するコンピューターを利用して構成されることができる。
【0067】
微粒子分離システム100によれば、閉鎖系ラインで構成できる微粒子分離システムを実現できる。また、フィルターを通過しなかった微粒子を回収するための特別な操作の必要のない微粒子分離システムを実現できる。
【0068】
第1実施形態に係る微粒子分離装置1を応用した例について説明したが、第2実施形態に係る微粒子分離装置2、第3実施形態に係る微粒子分離装置3、第3実施形態の変形例に係る微粒子分離装置3a、第4実施形態に係る微粒子分離装置4及び第4実施形態の変形例に係る微粒子分離装置4aを応用することも同様にでき、同様の効果を奏する。なお、第4実施形態に係る微粒子分離装置4及び第4実施形態の変形例に係る微粒子分離装置4aを応用する場合には、制御部150は、フィルター32を構成する圧電素子を制御する。
【0069】
図10は、第4実施形態の変形例に係る微粒子分離装置4bを応用した微粒子分離システム100aを説明するためのブロック図である。図10において、白矢印は液体の流れ及び配管を、黒矢印は信号の流れを示している。第1実施形態に係る微粒子分離装置1を応用した微粒子分離システム100と同様の構成には同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0070】
第4実施形態の変形例に係る微粒子分離装置4bを応用した微粒子分離システム100aは、微粒子分離装置4bが出口14を有していないため、出口14と連通する回収容器114を有していない点で微粒子分離システム100と相違する。また、微粒子分離システム100aの制御部150は、フィルター32を構成する圧電素子を制御する点で微粒子分離システム100と相違する。
【0071】
微粒子分離システム100aによれば、閉鎖系ラインで構成できる微粒子分離システムを実現できる。
【0072】
図11は、第4実施形態の変形例に係る微粒子分離装置4cを応用した微粒子分離システム100bを説明するためのブロック図である。図11において、白矢印は液体の流れ及び配管を、黒矢印は信号の流れを示している。第1実施形態に係る微粒子分離装置1を応用した微粒子分離システム100と同様の構成には同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0073】
第4実施形態の変形例に係る微粒子分離装置4cを応用した微粒子分離システム100bは、微粒子分離装置4cが入口22を有しているため、ポンプ120と、ポンプ120を介して入口22と連通する補助液用容器118を有している点で微粒子分離システム100と相違する。補助液用容器118には、微粒子分離装置4cの容室20内での流れを促進するための補助液(例えば、リン酸緩衝液等)が収容される。また、微粒子分離システム100bの制御部150は、フィルター32を構成する圧電素子を制御する点で微粒子分離システム100と相違する。
【0074】
微粒子分離システム100bによれば、閉鎖系ラインで構成できる微粒子分離システムを実現できる。また、フィルターを通過しなかった微粒子を回収するための特別な操作の必要のない微粒子分離システムを実現できる。さらに、微粒子分離装置4cの容室20内での流れを促進するための補助液が入口22から導入されることにより、容室20にフィルター32を通過した粒子が溜まることを抑制できる。
【0075】
なお、上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば各実施形態及び各変形例は、複数を適宜組み合わせることが可能である。
【0076】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0077】
1,2,3,3a,4,4a,4b,4c 微粒子分離装置、10 流路、12 入口、14 出口、20 容室、22 入口、24 出口、30,32 フィルター、40 圧電素子、50 流路形成部材、60 支持部、100,100a,100b 微粒子分離システム、110 微粒子分散液用容器、112 ポンプ、114,116 回収容器、118 補助液用容器、120 ポンプ、150 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口を有する流路と、
容室と、
前記流路及び前記容室と連通するフィルターと、
前記フィルターを振動させる圧電素子と、
を含む、微粒子分離装置。
【請求項2】
請求項1に記載の微粒子分離装置において、さらに、
前記流路を形成する流路形成部材を含み、
前記圧電素子は、前記流路形成部材に設けられ、前記流路形成部材を介して前記フィルターを振動させる、微粒子分離装置。
【請求項3】
請求項1に記載の微粒子分離装置において、さらに、
前記圧電素子の一部と前記流路の内壁面とを接続することによって前記圧電素子を支持する支持部を含み、
前記圧電素子は前記流路内に設けられている、微粒子分離装置。
【請求項4】
請求項1に記載の微粒子分離装置において、
前記圧電素子は、前記フィルターに接して前記流路内に設けられている、微粒子分離装置。
【請求項5】
入口を有する流路と、
容室と、
前記流路及び前記容室と連通し、圧電素子を含んで構成されたフィルターと、
を含む、微粒子分離装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の微粒子分離装置において、
前記流路は、出口を有する、微粒子分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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