説明

微細気泡発生装置

【課題】水中に微細な気泡を効率よく発生させることが可能な微細気泡発生装置を提供する。
【解決手段】軸管10と、前記軸管10の先端10aに取り付けられた胴体11aの外周に、当該軸管10の回転方向前面、又は径方向先端が円又は球の一部である翼体12を備えたインペラ11と、前記インペラ11の所定位置に設けられるとともに、前記胴体11aに設けられた空洞と軸管10を介して外気と連通する給気口14と、を備える微細気泡発生装置1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細気泡発生装置に関し、詳しくは、水中に微細な気泡を効率よく発生させることが可能な微細気泡発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
魚の飼育、例えば、グッピー等の観賞魚等の淡水魚、又は養殖用河豚等の海水魚の飼育においては、飼育用水槽内の水(飼育水)が、飼育魚に与えられた餌の残りや飼育魚の排泄物等の溶解により汚染され、汚濁物質、懸濁物質等を含まれることとなる。当該汚濁物質等は、水中に残存すると、飼育魚に悪影響を与える。例えば、当該汚濁物質等の腐敗により細菌、バクテリア等が発生し、飼育魚が病気になり、当該飼育魚の生命を脅かすことになる。従って、当該汚濁物質等は、汚濁物質等を含む水を新たな水に交換するか、汚濁物質自体を水から定期的に除去する必要がある。
【0003】
しかしながら、汚濁物質等を含む水を新たな水に交換する場合、3分の2又は全ての飼育用水槽内の水を新たな水に交換する必要があり、当該交換作業は、ユーザにとって非常に手間と時間とが掛かる作業となる。
【0004】
そこで、汚濁物質等を水から除去する方法として、汚濁物質が含まれる水中に気泡を発生させ、気泡に汚濁物質を付着させ、汚濁物質の付着した気泡を除去することで、効率よく汚濁物質を除去する泡沫浮遊分離法が採用されている。
【0005】
例えば、特開2002−273413号公報(特許文献1)には、回転筒と、排出筒とを備え、少なくとも攪拌フィンから排出手段迄が汚濁水内に位置され、排出路は排出筒内を汚濁水外部と連通させることを特徴とする汚濁物質除去装置が開示されている。当該回転筒は、筒状からなり、一端が駆動軸と連結されて回転され、駆動軸側筒側面には吸気口が穿設され、開口された他端が排気口を形成し、排気口側の端部には攪拌フィンが設けられ、自身の回転に伴い攪拌フィンが回転される。又、排出筒は、筒状からなり、筒軸が回転筒の筒軸と同方向、且つ、回転筒を内包するよう設けられ、回転筒に設ける攪拌フィン側端部は攪拌フィンより回転筒の吸気口側に位置され、筒中間部の筒周面には吸泡孔が穿設され、吸泡孔より駆動軸側には筒内を筒外部と連通させる排出路が設けられ、排出路内には吸泡孔側から吸泡して筒外部側へ排出させる排出手段が設けられる。
【0006】
当該構成により、水槽内に浮遊する汚濁物質が、発生した微細気泡に付着して、その微細気泡が水槽から排出されるので、水に含まれる汚濁物質を効率よく排出できるとしている。
【0007】
以下では、図9乃至図10を参照しながら、従来の汚濁物質除去装置、つまり、微細気泡発生装置について詳細に説明する。
【0008】
図9は、従来の微細気泡発生装置の気泡の発生状態を説明する説明図である。図10は、従来の微細気泡発生装置に取り付けられた回転筒と、攪拌フィンを説明する図である。尚、図9乃至図10の上下方向が本発明に係る微細気泡発生装置の上下方向に対応し、図9乃至図10の左右方向が本発明に係る微細気泡発生装置の左右方向に対応する。
【0009】
従来の微細気泡発生装置901では、図9に示すように、水槽902の底面近傍までが浸水するように、回転筒903が水槽902内に挿入されて固定される。当該回転筒903は、中空な円筒形状からなり、回転軸904に固定される端部側には吸気口905が穿設され、他端は下方に位置されて開口する排気口906を形成する。そのため、回転筒903の吸気口905と排気口906とは連通し、吸気口905から吸気される外気は排気口906から排気可能である。微細気泡発生装置901が水槽902に固定されると、前記吸気口905は水W外部に位置した状態となる。
【0010】
この状態で駆動部907を駆動させて回転筒903を回転させると、当該回転筒903の回転に伴い、当該回転筒903に取り付けられた攪拌フィン908も回転する。
【0011】
前記攪拌フィン908は、図10(A)に示すように、当該回転筒903の排気口906側端部に固定され、回転筒903の筒中心軸から放射状に複数設けられる羽根909を、円盤状からなる上下板910によって挟持した状態に形成される。当該攪拌フィン908は、回転筒903が回転することで回転される。攪拌フィン908には、羽根909が回転に伴い変形等することを防ぐために上下板910が設けられ、当該上板は、各羽根909の先端部分にのみ係止されるようなドーナツ状の円盤から構成される。
【0012】
前記攪拌フィン908が回転すると、図10(B)に示すように、攪拌フィン908付近の水Wが攪拌されて負圧が生じ、前記回転筒903の吸気口905から外気(空気)が回転筒903内に取入れられ、排気口906へ吸引され、液中に排気される。
【0013】
この液中に排気される空気は、攪拌フィン908によって攪拌されることとなり、細かい気泡(微細気泡B1)と、比較的大きな気泡B2とになり、水W内に供給されることとなる。この微細気泡B1は、水W中で汚濁物質を付着し、破裂されずに、攪拌フィン908の近傍を浮遊するが、所定時間経過すると、ゆっくり水Wの上面へ浮かびあがることになる。
【0014】
又、大きな気泡B2であれば、汚濁物質を付着して上昇するとともに、当該微細気泡B1を取り込んで、径を大きくしながら上昇することとなる。大きな気泡B2は上昇中であっても破裂することが無いから、微細気泡B1の上昇速度よりも速い上昇速度で水槽上面に集合することとなる。その結果、水槽902上面に、汚濁物質を付着した微細気泡B1又は大きな気泡B2を集合させることになり、集合した微細気泡B1又は大きな気泡B2を除去すれば、水Wを新たな水に交換することなく、水Wに含まれる汚濁物質を効率よく排出できることになる(図9、図10(B))。
【0015】
更に、特開2006−82072号公報(特許文献2)には、特許文献1に記載の微細気泡発生装置において、攪拌フィンの回転外方に設けられ、攪拌フィンの攪拌を邪魔する板状体からなる邪魔板を複数立設し、邪魔板相互の上下を固定板により連結固定することで攪拌フィンを内包し、内包する攪拌フィンの放射方向(径方向)外側には多数の孔が穿設された多孔板を設けるステータを備え、攪拌フィンによって吸引された気体が攪拌フィン、及び、ステータの多孔板並びに邪魔板によって微細に分割されて液中に供給されることを特徴とする微細気泡発生装置が開示されている。
【0016】
当該構成により、負圧によって吸引された気体は、特許文献1に記載の微細気泡発生装置に比べ、更に多量の微細気泡となると共に、ステータにより比較的大きな気泡が減少し、更に効率の良い微細気泡を発生させることが可能となるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2002−273413号公報
【特許文献2】特開2006−82072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、特許文献1乃至特許文献2に記載の技術では、回転体に備えられた攪拌フィンを所定の回転速度で、それも比較的高速で回転しなければ、当該攪拌フィンの周りに負圧を生じさせることができず、微細気泡を発生させることができないという問題がある。つまり、特許文献1乃至特許文献2に記載の技術における駆動部は、非常に大きな負荷を要し、微細気泡発生装置全体として消費電力が増大するという問題がある。
【0019】
更に、特許文献1乃至特許文献2に記載の技術では、水中の負圧を利用して排気口から空気を引き込むが、当該負圧は、回転筒の回転速度を一定としても攪拌フィンの周囲の環境に応じて変動し易い。そして、引き込まれた空気が攪拌フィンの羽根と衝突することにより、微細気泡B1と大きな気泡B2とが発生するため、負圧の変動に加えて、微細気泡B1と大きな気泡B2との発生量(空気の排気量)を調整し難く、発生する気泡の孔径を調整することが困難であるという問題がある。従って、特許文献1乃至特許文献2に記載の技術では、気泡の孔径を調整する場合、攪拌フィンの羽根の大きさ、形状、排気口の大きさ等を適宜変更したり、所定の孔径を有する多孔板を設置したりする必要があり、非常に手間とコストの掛かる方法を採用している。
【0020】
そこで、本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、本発明者が鋭意研究を行った結果、画期的なアイデアに基づき、水中に微細な気泡を効率よく発生させることが可能な微細気泡発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る微細気泡発生装置は、軸管と、前記軸管の先端に取り付けられた胴体の外周に、当該軸管の回転方向前面、又は径方向先端が円又は球の一部である翼体を備えたインペラと、前記インペラの所定位置に設けられるとともに、前記胴体に設けられた空洞と軸管を介して外気と連通する給気口とを備える。
【0022】
前記軸管は、三角筒状、四角筒状、多角筒状、円筒状に構成可能である。
【0023】
又、前記胴体は、三角筒状、四角筒状、多角筒状、円筒状に構成可能である。
【0024】
又、前記軸管の回転方向前面、又は径方向先端が円又は球の一部である翼体は、真円、略円、半円、楕円、円弧、曲線等の円に対応する形状で形成される。当該翼体自体が、球形状、又はそれに近い球形状であっても構わない。液中でインペラを回転させたときに、前記翼体の回転方向下流側に渦が発生するように、当該翼体が円に近い形状であればよい。又、当該翼体は液中に浸水させると、水との接触周面が円弧を有する面となる。
【0025】
又、前記翼体の先端が、前記軸管の回転方向前面、又は径方向先端が円又は球の一部であることは、前記翼体が前記胴体の回転軸から径方向に沿って円弧状に形成されること、前記翼体が前記胴体の回転方向の接線方向から見て円又は円の一部の形状を有すること、或いは、前記翼体が前記胴体の回転方向から見て円又は円の一部の形状を有することに対応する。
【0026】
又、当該微細気泡発生装置は、前記所定位置が、インペラが液中で回転したときに、前記翼体の回転方向下流側に発生する水圧変動を受ける位置であるよう構成することができる。
【0027】
又、当該微細気泡発生装置は、前記翼体が、前記軸管の回転軸から径方向の所定距離まで延出され、前記給気口が、前記所定距離に応じた孔径であるよう構成することができる。
【0028】
又、当該微細気泡発生装置は、前記翼体が、前記軸管の回転方向前面、又は径方向先端が半円形状に形成され、前記給気口が、前記翼体の回転方向下流側で、当該翼体の半円形状の中心近傍の位置に設けられるよう構成することができる。
【0029】
又、当該微細気泡発生装置は、前記翼体が、前記軸管の回転方向前面先端が半円形状に形成されるとともに、当該軸管の径方向先端が半円形状に形成され、前記給気口が、前記翼体の回転方向下流側で、当該翼体の、前記軸管の径方向先端の半円形状の中心近傍の位置に設けられるよう構成することができる。
【0030】
又、当該微細気泡発生装置は、前記翼体が、前記軸管の回転方向の上流側の面を、当該軸管の回転方向と直角方向に対して所定の角度で傾斜させた傾斜面とし、前記軸管の回転方向の下流側の面を、当該軸管の回転方向に対して略垂直面とする台形状に形成された構成を採用できる。又、当該翼体が、先端を、前記軸管の回転方向に沿った略平行な面とした形状に形成された構成を採用できる。更に、前記給気口が、前記翼体の回転方向下流側で、当該翼体の台形状の略垂直面と前記胴体の外周面との交点から所定の距離だけ前記軸管の回転方向下流側に沿って移動させた位置に設けられた構成を採用できる。
【0031】
又、当該微細気泡発生装置は、前記翼体が、前記胴体に連通した空洞を有するとともに、当該軸管の径方向先端が半円形状に形成され、前記給気口が、前記翼体の回転方向下流側で、当該翼体の半円形状の中心近傍の位置に設けられるとともに、前記軸管と前記胴体の空洞と前記翼体の空洞とを介して外気に連通するよう構成することができる。
【0032】
又、当該微細気泡発生装置は、前記翼体が、中空の屈曲配管と、円筒形の小型筒とからなるよう構成することができる。前記屈曲配管は、前記軸管の径方向に延出され、前記胴体の外周面から当該軸管の径方向の所定の位置で前記軸管の回転方向下流側へ向かってへの字状に屈曲された形状に構成できる。又、前記屈曲配管の先端部は、小型筒が嵌合されており、当該小型筒の先端部は、前記軸管の回転方向に対して略垂直面に切断される構成を採用できる。更に、小型筒の先端部の切断面には、楕円型の開口部が形成され、当該開口部は、前記胴体の空洞の空気を気泡として液中に給気する給気口に対応するよう構成することができる。
【0033】
又、当該微細気泡発生装置は、前記翼体が、前記胴体に連通した空洞を有し、前記軸管の回転方向前面先端が半円形状に形成されるとともに、当該軸管の径方向先端が半円形状に形成され、前記給気口が、前記翼体の回転方向下流側で、当該翼体の中央線上に一列に所定の感覚で複数設けられるとともに、前記軸管と前記胴体の空洞と前記翼体の空洞とを介して外気に連通するよう構成することができる。
【0034】
尚、インペラの回転は、インペラが単独で回転されても、当該胴体が接続された軸管の回転に伴ってインペラ全体が回転されても構わない。
【発明の効果】
【0035】
本発明の微細気泡発生装置によれば、軸管と、前記軸管の先端に取り付けられた胴体の外周に、当該軸管の回転方向前面、又は径方向先端が円又は球の一部である翼体を備えたインペラと、前記インペラの所定位置に設けられるとともに、前記胴体に設けられた空洞と軸管を介して外気と連通する給気口とを備えるよう構成している。
【0036】
これにより、翼体から渦(カルマン渦)を容易に発生させることが可能となるとともに、発生した渦の周期的な水圧変動により給気口から微細気泡を液中に供給させることが可能となる。渦の水圧変動の周期は、インペラの回転数を変更することにより容易に変更することが可能であるから、当該インペラの回転数を調整して、渦の水圧変動の周期を調整し、液中に供給される微細気泡の孔径の大きさを変更することが可能となる。
【0037】
又、微細気泡の孔径の大きさにより当該微細気泡の有する機能(例えば、汚濁物質除去機能、溶存酸素供給機能等)は異なるから、例えば、養殖水槽で海水魚を飼育する場合、微細気泡の孔径の大きさを変更することにより、水槽内で飼育される海水魚の発育状況に応じて、海水魚の飼育環境を適切に調整することが可能となる。
【0038】
更に、前記翼体を回転させるだけで、微細気泡を確実に発生させることが可能となるため、インペラの回転に要する駆動部の負荷を低減させることが可能となり、微細気泡発生装置全体の消費電力を抑えて、効率よく微細気泡を発生させることが可能となる。
【0039】
又、前記所定位置が、インペラが液中で回転したときに、前記翼体の回転方向下流側に発生する水圧変動を受ける位置であるよう構成すると更に好ましい。
【0040】
又、前記翼体が、前記軸管の回転軸から径方向の所定距離まで延出され、前記給気口が、前記所定距離に応じた孔径である構成を採用できる。
【0041】
これにより、翼体の所定距離によって当該翼体の回転トルクが決定され、当該回転トルクの大きさによって当該翼体から発生する渦の水圧変動が決定されるから、渦の水圧変動に対応する給気口の孔径を設定することにより、渦の水圧変動と給気口からの気泡の供給量とを適切に均衡させ、当該給気口から効率よく気泡を発生させることが可能となる。
【0042】
又、前記翼体が、前記軸管の回転方向前面、又は径方向先端が半円形状に形成され、前記給気口が、前記翼体の回転方向下流側で、当該翼体の半円形状の中心近傍の位置に設けられた構成を採用できる。
【0043】
これにより、水との接触周面である前記翼体から発生した渦を給気口に集中させることが可能となり、当該給気口から効率よく微細気泡を給気させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る微細気泡発生装置の概略図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係るインペラを示す概略構成図である。
【図3】本発明の第二の実施形態に係るインペラを示す概略構成図である。
【図4】本発明の第三の実施形態に係るインペラを示す概略構成図である。
【図5】本発明の第四の実施形態に係るインペラを示す概略構成図である。
【図6】本発明の第五の実施形態に係るインペラを示す概略構成図である。
【図7】本発明に係る微細気泡発生装置の概略模式図である。
【図8】本発明に係る微細気泡発生装置の下方構成の正面視断面図である。
【図9】従来の微細気泡発生装置の気泡の発生状態を説明する説明図である。
【図10】従来の微細気泡発生装置に取り付けられた回転筒と、攪拌フィンを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下に、添付図面を参照して、本発明の微細気泡発生装置の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0046】
<第一の実施形態>
図1は、本発明の第一の実施形態に係る微細気泡発生装置1の概略図である。但し、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。図1(A)は、第一の実施形態に係る微細気泡発生装置1の正面視断面図であり、図1(B)は、第一の実施形態に係る微細気泡発生装置1のインペラを水中に浸漬させて回転させた状態を示す正面視断面図である。尚、図1の上下方向が本発明に係る微細気泡発生装置1の上下方向に対応し、図1の左右方向が本発明に係る微細気泡発生装置1の左右方向に対応する。
【0047】
微細気泡発生装置1は、図1(A)に示すように、円筒形状の軸管10の下方側の先端10aに、当該軸管10に連通した空洞を備えるとともに、以下に説明する給気口14に空気を導入する胴体11a(回転体、回転筒)を備え、当該胴体11aの外周面に4つの翼体12が放射状に設けられ、インペラ11(羽根車)を構成する。
【0048】
前記軸管10は、前記インペラ11に回転力を伝達するとともに、当該軸管10の上方側の先端に設けられた吸気口13により前記胴体11aの空洞に空気を供給する。
【0049】
又、前記胴体11aは、軸管10の外径よりも大きい外径を有する円筒形状に形成され、当該軸管10(軸管の空洞)を介して外気と連通している。
【0050】
更に、前記翼体12は、前記軸管10の回転方向前面先端12aが半円形状に形成されるとともに、図示しない当該軸管10の回転方向前面先端が半円形状に形成されている。又、当該翼体12は、当該軸管10の回転軸11bから径方向の所定距離tまで延出されて形成されている。所定距離tは、胴体11aの外周面11cに対する翼体12の高さhと、胴体11aの外径Rとを加算した値に対応する。
【0051】
このように構成されたインペラ11を、図1(B)に示すように、水槽の水中に浸漬させ回転させると、以下のようにして微細気泡を発生することになる。
【0052】
まず、インペラ11を水中に浸漬させると、当該インペラ11に延出された翼体12の回転方向前面先端12aは、水との接触周面が半円形をなすことになる。この状態で、図示しない駆動部により軸管10を回転させると、当該軸管10の回転軸11bに沿ってインペラ11全体が回転し、前記翼体12の最先端に印加される当該インペラ11の回転トルクが最大となる。そして、図1(B)に示すように、前記インペラ11の回転に伴い、前記翼体12の後方に渦(カルマン渦)が発生する。発生した渦の水圧変動を受ける胴体11aの外周面11cの位置に給気口14が開口され、軸管10の吸気口13、前記軸管10の空洞、胴体11aの空洞を介して外気に連通して、液中に微細気泡B1を供給する。
【0053】
微細気泡B1は、水槽内の水中を浮遊する汚濁物質を付着しながら、上昇するとともに、他の微細気泡B1を取り込み・結合しながら、径を大きくして大きな気泡B2となって上昇することとなる。
【0054】
尚、上記では、軸管10と胴体11aとの回転軸11bを一致させて、当該軸管10の回転によりインペラ11(胴体11a)が回転するよう構成しているが、他の構成でもよい。例えば、前記インペラ11に駆動部を設けて、当該インペラ11が単独で回転されるよう構成しても構わない。その場合は、上述した軸管10の回転軸11bは胴体11aの回転軸と異なる。
【0055】
次に、第一の実施形態に係るインペラ11の構造について、詳細に説明する。
【0056】
図2は、本発明の第一の実施形態に係るインペラ11を示す概略構成図である。図2(A)は、第一の実施形態に係るインペラ11の正面図である。図2(B)は、第一の実施形態に係るインペラ11の平面図である。図2(C)は、図2(A)に示したA−A線に沿った平面視端面図である。図2(D)は、図2(B)に示したB−B線に沿った正面視端面図である。
【0057】
第一の実施形態に係るインペラ11では、図2(A)乃至図2(B)に示すように、円筒形状を有する胴体11aの側面に、翼体12が、所定の高さhで、当該胴体11aの外周面11cから放射状に4つ延出されている。又、4つの翼体12は、胴体11aの周方向に等間隔で配置される。
【0058】
前記翼体12の正面視先端12aは、正面視で前記胴体11aの回転軸11bから径方向(左右方向)に沿って半円弧状に形成され、全体として、半円形状を有する。更に、当該翼体12の平面視外縁12bは、平面視で胴体11aの回転方向に沿って円弧状に形成されており、全体として翼形状を構成する。又、前記翼体12の正面視先端12aは、前記胴体11aの回転方向と逆方向に沿って尖らせた形状に形成されている。尚、第一の実施形態では、翼体12の平面視外縁12bは、当該翼体12の平面視先端に対応する。
【0059】
更に、胴体11a内部(円筒形状の空洞)の空気を気泡として液中に給気する給気口14は、翼体12の回転方向下流側(後方側)の位置に、4つの翼体12それぞれに対して開口されている。
【0060】
次に、平面視における一の翼体12の形状と、給気口14が開口される位置について説明する。
【0061】
図2(C)に示すように、一の翼体12の平面視断面形状は、胴体11aの回転方向下流側に湾曲させた翼形状であり、上述したように、当該翼体12の正面視先端12aは、平面視で胴体11aの回転方向と逆方向に沿って尖って形成される。
【0062】
前記翼体12の平面視外縁12bは、胴体11aの回転方向に沿って滑らかな曲線を描く円弧に形成される。具体的には、図2(C)に示すように、翼体12の平面視外縁12bは、当該翼体12の正面視先端12aから、図示しない胴体11aの回転軸11b(胴体11aの中心)に向かって下ろされた直線1221と胴体11aの外周面11cとの交点1222を中心として、当該翼体12の正面視先端12aから当該交点1222までの間の距離を半径r1とする円弧を描いた形状に形成される。当該半径r1は、胴体11aの外周面11cに対する翼体12の高さhに対応する。平面視における翼体12を上述した形状とすると、胴体11aを回転させた場合、翼体12の正面視先端12aに印加されるインペラ11の回転トルクが最大となる。
【0063】
前記翼体12の平面視外縁12bの円弧形状の半径r1、言い換えると、翼体12の高さhは、胴体11aの外径Rの3分の2から5分の1までの範囲内で設定されると好ましく、更に、3分の1から4分の1までの範囲内であると好ましい。翼体12の高さhが所定の範囲内であると、回転された翼体12の正面視先端12aから容易に渦(カルマン渦)を発生させることが可能となるとともに、当該翼体12の水Wから受ける水圧を低減させることが可能となる。
【0064】
図2(C)に示された翼体12の高さhは15mmであり、胴体11aの外径Rは30mmであり、内径は25mmである。
【0065】
又、胴体11aに設けられる給気口14は、上述した直線1221と胴体11aの外周面11cとの交点1222の位置に開口される。当該位置に給気口14が開口されると、回転された翼体12の正面視先端12aから発生した渦1223が旋回しながら、当該給気口14の上面と接触する。すると、当該給気口14は渦1223の水圧変動を受けることとなる。
【0066】
尚、渦1223の水圧変動を受ける位置であれば、給気口14が開口される位置はどのような位置でも構わない。例えば、翼体12の形状が上述した翼形状であれば、給気口14を、翼体12の回転方向下流側で、当該交点1222から所定の開口距離d1だけ当該翼体12に向かって移動させた位置に開口させることができる。所定の開口距離d1は、インペラ11の回転数、胴体11aの外径R、翼体12の高さh、翼体12の形状等に応じて適宜設計変更される。
【0067】
又、給気口14の孔径は、翼体12の高さhの3分の1から50分の1までの範囲内で設定されると好ましく、5分の1から25分の1までの範囲内であると更に好ましく、10分の1から18分の1までの範囲内であると一層と好ましい。給気口14の孔径が所定の範囲内であると、翼体12から発生された渦1223の水圧変動と、当該水圧変動により給気口14から給気される空気の量とが適切に均衡し、当該給気口14から効率よく空気を気泡として液中に給気させることが可能となる。図2(C)に示された給気口14の孔径は1mmであり、翼体12の高さhは15mmである。
【0068】
次に、正面視における一の翼体12の形状と、給気口14が開口される位置について説明する。
【0069】
図2(D)に示すように、一の翼体12の正面視先端12aは、図示しない胴体11aの回転軸11bから径方向に沿って半円形状に形成される。翼体12の正面視先端12aの半円形状の半径は、当該翼体12の平面視外縁12bの円弧形状の半径r1、つまり、翼体12の高さhと一致する。つまり、翼体12の形状は、全体として球の4分の1の形状に対応する。更に、翼体12の正面視先端12aは、当該翼体12の回転方向と逆方向に尖った形状に形成されている。
【0070】
又、給気口14は、前記翼体12の回転方向の下流側で、前記翼体12の正面視先端12aの半円形状の中心1224の位置に開口される。当該位置に給気口14が開口されると、翼体12の正面視先端12aから発生した渦1223が当該半円形状の中心1224の位置に集中するため、当該給気口14は渦1223の周期的な水圧変動を確実に受けることとなる。
【0071】
次に、本発明の第一の実施形態の作用を説明する。
【0072】
微細気泡発生装置1は、図1乃至図2に表すように、翼体12が浸水された状態で、駆動部を駆動させてインペラ11を回転させると、インペラ11の回転に伴って4つの翼体12も回転する。翼体12が回転すると、当該翼体12の正面視先端12aから翼体12の回転方向下流側に渦1223が発生する。発生した渦1223は旋回して、給気口14の上面を接触し、当該渦1223の接触により、給気口14の上面近傍では、絶えず渦1223の水圧変動を受けることになる。
【0073】
一の渦1223が給気口14の上面を通過する際、当該給気口14の上面近傍の水圧は上昇するものの、当該渦1223が給気口14の上面を通過し終えると、給気口14の上面近傍の水圧は著しく下降する。この水圧の下降により、給気口14の上面近傍に負圧が生じ、当該給気口14内の空気を液中に引き込むように作用する。これにより、給気口14は、インペラ11内の空気を気泡として液中に給気(供給)する。液中に引き込まれる空気は、渦1223の水圧変動や翼体12への衝突により、破砕され、微細気泡B1としてインペラ11の周辺に拡散され、浮遊することになる。
【0074】
インペラ11を定常的に回転させると、給気口14の上面近傍は、翼体12から発生する渦1223により周期的な水圧変動を受ける。そのため、当該給気口14は、周期的に所定の空気量を液中に給気する。給気される空気は微細気泡B1としてインペラ11の周辺を一端、拡散するものの、上述した破砕の程度により、破砕時の微細気泡B1の孔径が決定され、当該微細気泡B1の孔径に応じて、微細気泡B1が単独で存在したり、微細気泡B1同士が結合して大きな気泡B2となったりする。
【0075】
前記空気の破砕の程度は、渦1223の水圧変動の周期を変更することにより調整可能である。渦1223の水圧変動の周期は、インペラ11の回転数、胴体11aの外径R、翼体12の高さh、翼体12の形状等に応じて容易に変更され得る。
【0076】
例えば、翼体12の形状を上述した形状とし、胴体11aの外径Rと、翼体12の高さhとを一定にして、インペラ11の回転数を増加させると、渦1223の水圧変動の周期は短くなるため、周期の短い渦1223の水圧変動により空気の破砕の程度が著しくなり、当然、孔径の小さい微細気泡B1が多量に発生する。
【0077】
一方、翼体12の形状を上述した形状とし、胴体11aの外径Rと、翼体12の高さhとを一定にして、インペラ11の回転数を減少させると、渦1223の水圧変動の周期は長くなるため、周期の長い渦1223の水圧変動により空気の破砕の程度は緩和され、孔径の大きい微細気泡B1が発生する。
【0078】
従って、インペラ11の回転数を適宜変更することにより、渦1223の水圧変動の周期を変更し、液中に給気される微細気泡B1の孔径を容易に変更することが可能となる。
【0079】
上述した微細気泡B1の孔径の範囲は、空気の給気量を規定する給気口14の孔径、インペラ11の回転数、胴体11aの外径R、翼体12の高さh、翼体12の形状等に応じて変動する。
【0080】
例えば、給気口14の孔径を1mm、胴体11aの外径Rを30mm、翼体12の高さhを15mmとして、インペラ11の回転数を500rpmに設定すると、インペラ11の周辺に発生する微細気泡B1の平均孔径は、1cm〜1μmの範囲となる。又、インペラ11の回転数を1000rpmに設定すると、インペラ11の周辺に発生する微細気泡B1の平均孔径は、50mm〜1nmの範囲となる。更に、インペラ11の回転数を2500rpmに設定すると、インペラ11の周辺に発生する微細気泡B1の平均孔径は、20mm〜1nmの範囲となる。
【0081】
本発明に係る微細気泡発生装置を飼育槽に採用する場合、インペラ11の回転数は、1500〜2000rpmの範囲であると好ましい。
【0082】
発生した微細気泡B1は、孔径の大きさにより、水に対する機能(作用)が異なる。例えば、平均孔径が1cm〜1mmであれば、微細気泡B1同士が容易に結合し、大きな気泡B2となって、水槽上面に浮かび上がる。このような気泡は、水内の汚濁物質を付着させながら浮かび上がるため、水槽内の水に含まれる汚濁物質を除去するように機能する。
【0083】
更に、平均孔径が1cm〜1mmであれば、当該微細気泡B1が水中に含まれるアンモニア分(アンモニア、窒素化合物等)を吸収(吸着)しながら水面上へ浮かび上がるため、飼育魚の表層から放出されて当該飼育魚の生命を脅かす可能性のあるアンモニア分を除去するようにも機能する。
【0084】
例えば、平均孔径が1mm〜1μmであれば、微細気泡B1は即時には水槽上面に浮かび上がらず、暫くの間、インペラ11の周辺を浮遊することとなる。発生した微細気泡B1には当然酸素が含まれているから、水W内の溶存酸素を上昇させるように機能する。しかし、平均孔径が1mm〜1μmである微細気泡B1では、他の微細気泡B1と衝突すると大きな気泡B2となる。そのため、所定の時間経過後、微細気泡B1同士が結合して、孔径を大きくしながら水槽上面に浮かび上がり、上述した汚濁物質を除去するように機能することになる。
【0085】
一方、例えば、平均孔径が1μm〜1nmであれば、水内の微小なイオン(ナトリウムイオン、カリウムイオン等)が微細気泡B1を取り囲み、微細気泡B1を安定化する場合がある。安定化された微細気泡B1内には当然酸素が含まれているから、水内の溶存酸素を長期間上昇させた状態とする。更に、安定化された微細気泡B1は、水内に生存する細菌、バクテリア等に接触すると崩壊することになるが、その崩壊された衝撃により当該細菌等を死滅させる。即ち、平均孔径が1μm〜1nmである、安定化された微細気泡B1は、水を殺菌するよう機能する。
【0086】
上述した微細気泡B1の有する複数の機能は、当該微細気泡B1の平均孔径の大きさを変更することによって容易に使い分けることが可能である。
【0087】
例えば、養殖用の河豚等の海水魚を飼育している水槽では、稚魚から成魚となるまでの間に、当該海水魚が排出する糞等の汚染物の大きさ、海水魚が必要とする溶存酸素の量、水槽内に繁殖する細菌の量等が大きく変動する。
【0088】
当該水槽に、本発明の第一の実施形態に係る微細気泡発生装置を採用すると、インペラ11の回転数を変更するだけで、発生する微細気泡B1の平均孔径を容易に変更することが出来るから、水槽内の海水魚の発育状況に応じて、微細気泡の有する複数の機能を使い分けることが可能となる。そのため、海水魚が稚魚から成魚となるまでの間、その発育段階に対応するように、海水魚の環境を変更し、当該海水魚に対して最適な環境を容易に提供することが可能となる。
【0089】
他の用途として、例えば、窒素含有排水の処理槽に、本発明の第一の実施形態に係る微細気泡発生装置を採用することが可能である。当該処理槽には、窒素分を捕捉する微生物が所定の担持体(培養材等)に固定化されているが、微生物は、所定の溶存酸素の下で大きく活性化する。微細気泡発生装置により微細気泡を処理槽内の排水に発生させてやれば、微生物の活性化により、捕捉される窒素分の量が多くなり、結果として、効率の良い窒素含有排水の処理を実現することが可能となる。
【0090】
又、本発明の第一の実施形態に係る微細気泡発生装置1は、インペラの回転方向前面(回転方向と直角方向の面、回転方向の垂直面)に対して非常に面積の狭い翼体を回転させるだけで微細気泡B1を発生させることが可能である。
【0091】
従来では、攪拌フィンの羽根を高速回転することにより、負圧を発生させていたものの、当該羽根は回転方向前面に対して非常に面積が広い。そのため、当該羽根が受ける水圧は著しく大きいものとなる。すると、攪拌フィン(羽根)の高速回転に要する駆動部の消費電力は非常に大きいものとなる。
【0092】
一方、本発明の第一の実施形態に係る微細気泡発生装置1では、従来の羽根と比較して、回転方向前面に対する翼体の面積が狭いため、当該翼体の受ける水圧は著しく小さいものとなる。そのため、第一の実施形態に係る微細気泡発生装置1の消費電力は、従来の攪拌フィンを用いた微細気泡発生装置の消費電力の10分の1以下で足りる。
【0093】
このように、本発明の微細気泡発生装置1によれば、軸管10と、前記軸管10の先端10aに取り付けられた胴体11aの外周11cに、当該軸管10の回転方向前面、又は径方向先端が円又は球の一部である翼体12を備えたインペラ11と、前記インペラ11の所定位置に設けられるとともに、前記胴体11aに設けられた空洞と軸管10を介して外気と連通する給気口14とを備えるよう構成している。
【0094】
これにより、翼体12から渦1223を容易に発生させることが可能となるとともに、発生した渦1223の周期的な水圧変動により給気口14から微細気泡を液中に供給させることが可能となる。渦1223の水圧変動の周期は、インペラ11の回転数を変更することにより容易に変更することが可能であるから、当該インペラ11の回転数を調整して、渦1223の水圧変動の周期を調整し、液中に供給される微細気泡の孔径の大きさを変更することが可能となる。
【0095】
又、微細気泡の孔径の大きさにより当該微細気泡の有する機能(例えば、汚濁物質除去機能、溶存酸素供給機能等)は異なるから、例えば、養殖水槽で海水魚を飼育する場合、微細気泡の孔径の大きさを変更することにより、水槽内で飼育される海水魚の発育状況に応じて、海水魚の飼育環境を適切に調整することが可能となる。
【0096】
更に、前記翼体12を回転させるだけで、微細気泡を確実に発生させることが可能となるため、インペラ12の回転に要する駆動部の負荷を低減させることが可能となり、微細気泡発生装置1全体の消費電力を抑えて、効率よく微細気泡を発生させることが可能となる。
【0097】
前記給気口14が開口される所定位置が、インペラ11が液中で回転したときに、前記翼体12の回転方向下流側に発生する水圧変動を受ける位置であるよう構成すると更に好ましい。
【0098】
又、前記給気口14が、前記所定距離tに応じた孔径であるよう構成することができる。
【0099】
これにより、翼体12の所定距離tによって当該翼体12の回転トルクが決定され、当該回転トルクの大きさによって当該翼体12から発生する渦1223の水圧変動が決定されるから、渦1223の水圧変動に対応する給気口14の孔径を設定することにより、渦1223の水圧変動と給気口14からの気泡の供給量とを適切に均衡させ、当該給気口14から効率よく気泡を発生させることが可能となる。
【0100】
又、前記翼体12が、前記軸管10の回転方向前面、又は径方向先端が半円形状に形成され、前記給気口14が、前記翼体12の回転方向下流側で、当該翼体12の半円形状の中心近傍の位置に設けられるよう構成することができる。
【0101】
これにより、水との接触周面である前記翼体12の正面視先端12aから発生した渦を給気口14に集中させることが可能となり、当該給気口14から効率よく微細気泡を給気させることが可能となる。
【0102】
又、前記翼体12が、前記軸管10の回転方向前面先端12aが半円形状に形成されるとともに、当該軸管10の径方向先端12cが半円形状に形成され、前記給気口14が、前記翼体12の回転方向下流側で、当該翼体12の、前記軸管10の径方向先端の半円形状の中心近傍の位置に設けられるよう構成することができる。
【0103】
これにより、より効率よく渦1223を発生させることが出来るとともに、翼体12の受ける水圧を小さくなるから微細気泡発生装置1の消費電力を小さくすることが可能となる。
【0104】
<第二の実施形態>
次に図3を参照しながら、第二の実施形態の微細気泡発生装置について説明する。図3は、第二の実施形態に係るインペラ11を示す概略構成図である。尚、本発明の第二の実施形態に直接関係しない各部の詳細は省略している。
【0105】
第一の実施形態と比較して、第二の実施形態の異なる点は、翼体12の形状を変更するとともに、給気口14の位置を変更した点である。その他の点については、第一の実施形態と同様であるため、第二の実施形態に直接には関係しない各部の詳細は省略する。また、第一の実施形態と同一符号であるものについても説明は省略する。
【0106】
図3(A)は、第二の実施形態に係るインペラ11の正面図である。図3(B)は、第二の実施形態に係るインペラ11の平面図である。図3(C)は、図3(A)に示したA−A線に沿った平面視断面図である。図3(D)は、図3(B)に示したB−B線に沿った正面視断面図である。
【0107】
第二の実施形態に係るインペラ11では、図3(A)乃至図3(B)に示すように、円筒形状を有する胴体11aの側面に、翼体12が、所定の高さhで、インペラ11の外周面11cから放射状に4つ延出されている。又、4つの翼体12は、インペラ11の周方向に等間隔で配置される。
【0108】
前記翼体12の正面視先端12aは、正面視で前記胴体11aの回転軸11bから径方向(左右方向)に沿って半円弧状に形成される。更に、当該翼体12は、平面視で胴体11aの回転方向上流側(前方側)の外面を、当該回転方向前面(回転方向と直角方向、当該回転方向の垂直線)に対して所定の角度で傾斜させた傾斜面とし、胴体11aの回転方向の下流側(後方側)の外面を、当該回転方向に対して略垂直面とする台形状に形成されている。又、前記翼体12の平面視先端12bは、平面視で胴体11aの回転方向に沿った略平行な面に形成される。
【0109】
又、胴体11a内部の空気を気泡として液中に給気する給気口14は、翼体12の回転方向の下流側の位置に、4つの翼体それぞれに対して開口されている。
【0110】
次に、平面視における一の翼体12の形状と、給気口14が開口される位置について説明する。
【0111】
図3(C)に示すように、一の翼体12の平面視断面形状は、台形状に形成され、上述したように、前記翼体12の、胴体11aの回転方向の上流側の外面1231は、胴体11aの外周面11cの法線1232に対して所定の角度α(鋭角)で傾斜された面である。更に、前記翼体12の、胴体11aの回転方向の下流側の外面1233は、胴体11aの外周面11cの法線方向に略平行な面である。
【0112】
又、前記翼体12の平面視先端12cに対応する台形状の上辺は、胴体11aの外周面11cに対して略平行となる。この台形状の上辺の回転方向の長さは、台形状の底辺12lの回転方向の長さに対して2分の1から5分の1までの範囲であると好ましい。図3(C)に示された台形状の上辺(翼体12の平面視先端12c)の回転方向の長さは、台形状の底辺1234の回転方向の長さの3分の1である。
【0113】
又、台形状の上辺12kと底辺1234との間の上下方向の距離が、胴体11aの外周面11cからの所定の高さh、つまり、翼体12の高さhに対応する。平面視における翼体12を上述した形状とすると、胴体11aを回転させた場合、翼体12の平面視先端12c及びその下流側の正面視先端12aに印加されるインペラ11の回転トルクが最大となる。
【0114】
翼体12の高さhは、胴体11aの外径Rの3分の2から5分の1までの範囲内で設定されると好ましく、更に、3分の1から4分の1までの範囲内であると好ましい。図3(C)に示された翼体12の高さhは15mmであり、胴体11aの外径Rは30mmであり、内径は25mmである。
【0115】
又、胴体11aに設けられる給気口14は、翼体12の回転方向の下流側で、台形状の略垂直面1233と胴体11aの外周面11cとの交点1235から所定の開口距離d2だけ回転方向に沿って移動させた位置に開口される。当該交点1235からの所定の開口距離d2は、翼体12の高さh以内であれば、どのような距離でも構わないが、図3(C)に示された所定の開口距離d2は、翼体12の高さhの3分の1の長さに対応している。当該位置に給気口14を開口すると、翼体12の正面視先端12aから発生した渦1223が旋回しながら当該給気口14の上面と接触し、当該給気口14は渦1223の周期的な水圧変動を受けることとなる。
【0116】
又、給気口14の孔径は、翼体12の高さhの3分の1から50分の1までの範囲内で設定されると好ましく、5分の1から25分の1までの範囲内であると更に好ましく、10分の1から18分の1までの範囲内であると一層と好ましい。図3(C)に示された給気口14の孔径は1mmであり、翼体12の高さhは15mmである。
【0117】
次に、正面視における一の翼体12の形状と、給気口14が開口される位置について説明する。
【0118】
図3(D)に示すように、一の翼体12の正面視先端12aは、図示しない胴体11aの回転軸11bから径方向に沿って半円形状に形成される。正面視先端12aの半円形状の半径は、翼体12の高さhと一致する。又、翼体12の正面視先端12aは、当該翼体12の平面視先端12cの回転方向後端に対応し、当該正面視先端12aから渦1223が発生する。
【0119】
又、給気口14は、前記翼体12の回転方向の下流側で、前記翼体12の正面視先端12aの半円形状の中心1224の位置に開口される。当該位置に給気口14が開口されると、翼体12の正面視先端12aから発生した渦1223が当該半円形状の中心1224の位置に集中するため、当該給気口14は渦1223の周期的な水圧変動を確実に受けることとなる。
【0120】
このように、上述した翼体12の形状と、給気口14の位置とを採用しても、渦1223を容易に発生させることが可能となる。又、インペラ11の回転数を変更するだけで、渦1223の水圧変動の周期を容易に変更することが可能となるから、上述した本発明の作用効果を得ることが可能となる。
【0121】
<第三の実施形態>
次に図4を参照しながら、第三の実施形態の微細気泡発生装置について説明する。図4は、第三の実施形態に係るインペラ11を示す概略構成図である。尚、本発明の第三の実施形態に直接関係しない各部の詳細は省略している。
【0122】
第一の実施形態と比較して、第三の実施形態の異なる点は、翼体12の形状を変更するとともに、給気口14の位置を変更した点である。その他の点については、第一の実施形態と同様であるため、第三の実施形態に直接には関係しない各部の詳細は省略する。また、第一の実施形態と同一符号であるものについても説明は省略する。
【0123】
図4(A)は、第三の実施形態に係るインペラ11の正面図である。図4(B)は、第三の実施形態に係るインペラ11の平面図である。図4(C)は、図4(A)に示したA−A線に沿った平面視断面図である。図4(D)は、図4(B)に示したB−B線に沿った正面視断面図である。
【0124】
第三の実施形態に係るインペラ11では、図4(A)乃至図5(B)に示すように、円筒形状を有する胴体11aの側面11cに、翼体12が、所定の高さhで、胴体11aの外周面から放射状に4つ延出されている。又、4つの翼体12は、インペラ11の周方向に等間隔で配置される。
【0125】
前記翼体12は、中空となっており、翼体12の正面視先端12aは、正面視で前記胴体11aの回転軸11bから径方向(左右方向)に沿って半円弧状に形成されている。又、当該翼体12は、正面視で胴長に延伸された形状に形成されている。更に、前記翼体12の径方向の先端12dは、平面視で前記胴体11aの回転軸から径方向(翼体12の延出方向、胴体11aの径方向)に沿って尖らせた形状に形成される。そして、前記翼体12は、本体の先端近傍12eを、正面視で前記胴体11aの回転方向に聊か潰して平坦な面とした形状に形成される。
【0126】
又、胴体11a内部の空気を気泡として液中に給気する給気口14は、翼体12の回転方向の下流側の位置に4つの翼体それぞれに対して開口されている。
【0127】
次に、平面視における一の翼体12の形状と、給気口14が開口される位置について説明する。
【0128】
図4(C)に示すように、一の翼体12の平面視断面形状は、先端近傍12eを翼体12内部に聊か潰され平坦化された形状である。前記翼体12の径方向の先端12dは、翼体12の延出方向に沿って尖っており、当該翼体12の正面視先端12aの一部に対応する。翼体12が回転すると、当該翼体12の正面視先端12aから渦1223が発生するが、正面視先端12aの一部である翼体12の径方向の先端12dに印加されるインペラ11の回転トルクが最大となるため、この先端12dから渦1223が大きく発生する。ここで、翼体12の径方向の先端12dから胴体11aの外周面11cまでの所定の距離が、翼体の高さhに対応する。
【0129】
翼体12の高さhは、胴体11aの外径Rの3分の2から5分の1までの範囲内で設定されると好ましく、更に、3分の1から4分の1までの範囲内であると好ましい。図4(C)に示された翼体12の高さhは15mmであり、胴体11aの外径Rは30mmであり、内径は25mmである。
【0130】
翼体12の内部と胴体11aの内部とは、小型配管15により連通するよう構成されている。前記小型配管15は、円筒形状を形成し、胴体11aの外周面11cから胴体11aの回転軸11b(胴体11aの中心)に向かって挿入される。胴体11aの外周面11c側における小型配管15の上端15aは、前記翼体12の下端15bが嵌め合わされ、当該翼体12と胴体11aとを固定する。前記小型配管15により、翼体12の給気口14から空気が給気されても、当該小型配管15を介して翼体12内部に胴体11a内部の空気が供給される。
【0131】
又、翼体12に設けられる給気口14は、翼体12の回転方向の下流側で、翼体12の最先端から所定の開口距離d3だけ前記胴体11aの回転軸11b側に移動した当該翼体12の平坦面1251の位置に開口される。当該先端部12dからの所定の開口距離d3は、翼体12の回転方向の下流側の平坦面1251上であれば、どのような距離でも構わないが、図5(C)に示された所定の開口距離d3は、翼体12の高さhの5分の1の長さに対応している。当該位置に給気口14を開口すると、翼体12の先端部12dから発生した渦1223が旋回しながら当該給気口14の上面と接触し、当該給気口14は渦1223の周期的な水圧変動を受けることとなる。
【0132】
又、給気口14の孔径は、翼体12の高さhの3分の1から50分の1までの範囲内で設定されると好ましく、5分の1から25分の1までの範囲内であると更に好ましく、10分の1から18分の1までの範囲内であると一層と好ましい。図4(C)に示された給気口14の孔径は1mmであり、翼体12の高さhは15mmである。
【0133】
次に、正面視における一の翼体12の形状と、給気口14が開口される位置について説明する。
【0134】
図4(D)に示すように、一の翼体12の正面視先端12aは、図示しない胴体11aの回転軸11bから径方向に沿って半円形状に形成され、本体を胴長形状に形成されている。当該正面視先端12aの半円形状の半径は、上述した給気口14の開口位置に関する所定の距離d3と一致する。
【0135】
又、給気口14は、前記翼体12の回転方向の下流側で、前記翼体12の正面視先端12aの半円形状の中心1224の位置に開口される。当該位置に給気口14が開口されると、翼体12の正面視先端12aから発生した渦1223が当該半円形状の中心1224の位置に集中するため、当該給気口14は渦1223の周期的な水圧変動を確実に受けることとなる。尚、前記給気口14は、前記翼体12と前記胴体11aと前記軸管10を介して外気と連通し液中に気泡を供給することになる。
【0136】
このように、上述した翼体12の形状と、給気口14の位置とを採用しても、渦1223を容易に発生させることが可能となる。又、インペラ11の回転数を変更するだけで、渦1223の水圧変動の周期を容易に変更することが可能となるから、上述した本発明の作用効果を得ることが可能となる。
【0137】
又、第三の実施形態に係る翼体12は、第一の実施形態に係る翼体12と比較すると、回転方向前面に対する面積が小さいため、当該翼体12の受ける水圧をより低減させることが可能となる。その結果、第三の実施形態に係る微細気泡発生装置1の消費電力は、一層低減されるものとなる。
【0138】
<第四の実施形態>
次に図5を参照しながら、第四の実施形態の微細気泡発生装置について説明する。図5は、第四の実施形態に係るインペラ11を示す概略構成図である。尚、本発明の第四の実施形態に直接関係しない各部の詳細は省略している。
【0139】
第一の実施形態と比較して、第四の実施形態の異なる点は、翼体12の形状を変更するとともに、給気口14の位置を変更した点である。その他の点については、第一の実施形態と同様であるため、第四の実施形態に直接には関係しない各部の詳細は省略する。また、第一の実施形態と同一符号であるものについても説明は省略する。
【0140】
図5(A)は、第四の実施形態に係るインペラ11の正面図である。図5(B)は、第四の実施形態に係るインペラ11の平面図である。図5(C)は、図5(A)に示したA−A線に沿った平面視断面図である。図5(D)は、図5(B)に示したB−B線に沿った正面視断面図である。
【0141】
第四の実施形態に係るインペラ11では、図5(A)乃至図5(B)に示すように、円筒形状を有する胴体11aの側面に、翼体12が、所定の高さhで、胴体11aの外周面11cから放射状に4つ延出されている。又、4つの翼体12は、胴体11aの周方向に等間隔で配置される。
【0142】
前記翼体12は、中空の屈曲配管16と、円筒形の小型筒17とから構成される。屈曲配管16は、胴体11aの径方向に延出され、平面視で、胴体11aの外周面11cから所定の位置で当該胴体11aの回転方向と逆方向に向かってへの字状に屈曲された形状である。又、屈曲配管16の先端には、小型筒17が嵌合されており、該小型筒17の先端は、胴体11aの回転方向に対して略垂直面(回転方向と直角方向の面)に切断されている。小型筒17の先端の切断面には、楕円型の開口部が形成されるが、この開口部が、胴体11a内部の空気を気泡として液中に給気する給気口14となる。第四の実施形態では、小型筒17の先端の切断面の外縁が、翼体12の正面視外縁12a(正面視先端12a)となる。
【0143】
次に、平面視における一の翼体12の形状と、給気口14が開口される位置について説明する。
【0144】
図5(C)に示すように、一の翼体12の平面視断面形状は、胴体11aの径方向へ延出され、所定の高さhで胴体11aの回転方向と逆方向に向かって屈曲された形状である。当該翼体12を構成する屈曲配管16の一端は、胴体11aの径方向(胴体11aの外周面11cの法線方向)に沿って胴体11aの外周面11cに挿入され、他端は、所定の屈曲角度で、胴体11aの回転方向と逆方向を向いている。
【0145】
前記屈曲配管16の屈曲部16aの位置は、胴体11aの外周面11cから所定の屈曲距離d4だけ離れた位置である。当該外周面11cから所定の屈曲距離d4は、胴体11aの外周面11cから翼体12の径方向の先端12d(小型筒17の径方向の先端)までの距離h(翼体12の高さh)以内であれば、どのような距離でも構わないが、図5(C)に示された所定の屈曲距離d4は、翼体12の高さhの3分の1の長さに対応している。
【0146】
屈曲部16aの屈曲角度は、胴体11aへの屈曲配管16の挿入部の法線1251に対して所定の角度β(鋭角)をなしている。所定の角度βは鋭角であればどのような角度でも構わないが、図5(C)に示された所定の角度βは、上記法線1251に対して45度をなしている。
【0147】
屈曲配管16の先端に嵌合された小型筒17は、その先端が胴体11aの回転方向に対して略垂直面1252に切断されている。そのため、翼体12の径方向の先端12dは、小型筒17の切断面の上方先端に対応し、当該上方先端は胴体11aの径方向に向かって尖っている。一方、小型筒17の切断面の正面視外縁12aは、長径が胴体11aの径方向に延びる楕円形状である。
【0148】
又、小型筒17の切断面の上方先端12dから胴体11aの外周面11cまでの所定の距離が、翼体12の高さhに対応する。翼体12の高さhは、胴体11aの外径Rの3分の2から5分の1までの範囲内で設定されると好ましく、更に、3分の1から4分の1までの範囲内であると好ましい。図5(C)に示された翼体12の高さhは15mmであり、胴体11aの外径Rは30mmであり、内径は25mmである。インペラ11を回転させた場合、小型筒17の切断面の上方先端12dに印加されるインペラ11の回転トルクが最大となり、この先端及び切断面の外縁から渦が発生する。
【0149】
屈曲配管16の内部と小型筒17の内部と胴体11aの内部とは連通しているため、小型筒17の切断面の給気口14から気泡が給気されると、当該屈曲配管16と小型筒17とを介して胴体11a内部の空気が当該給気口14へ供給される。
【0150】
又、小型筒17に設けられる給気口14は、小型筒17の回転方向の下流側で、小型筒17の切断面の外縁(翼体12の正面視外縁12a)の中心17aの位置に開口される。当該位置に給気口14を開口すると、楕円形の切断面の上方先端12d及び正面視外縁12aから発生した渦1223が小さく旋回しながら当該給気口14の上面と接触し、当該給気口14は渦1223の周期的な水圧変動を受けることとなる。
【0151】
又、給気口14の孔径は、インペラ11の外径Rの3分の2から6分の1までの範囲内で設定されると好ましく、更に、3分の1から5分の1までの範囲内であると好ましい。図5(C)に示された給気口14の長径は3mmであり、翼体12の高さhは15mmである。
【0152】
次に、正面視における一の翼体12の形状と、給気口14が開口される位置について説明する。
【0153】
図5(D)に示すように、一の翼体12の正面視形状は、屈曲配管16が胴体11aの径方向に延出した形状であり、当該屈曲配管16に固定された小型筒17の上方先端の外縁12aの形状が、図示しない胴体11aの回転軸11bから径方向に沿って楕円形状に形成される。前記外縁部12aの楕円形状の上下方向の半径は、小型筒17の切断面の楕円の長径に対応し、当該外縁部12aの楕円形状の左右方向の半径は、小型筒17の切断面の楕円の短径に対応する。
【0154】
又、給気口14は、小型筒17の切断面の正面視外縁12aの中心17a(楕円形状の中心)の位置に開口される。当該位置に給気口14を開口すると、切断面の正面視外縁12a(翼体12の先端近傍の外縁)から発生した渦1223が当該正面視外縁12aの中心17aの位置に集中するため、当該給気口14は渦1223の周期的な水圧変動を確実に受けることとなる。
【0155】
このように、上述した翼体12の形状と、給気口14の位置とを採用しても、渦1223を容易に発生させることが可能となる。又、インペラ11の回転数を変更するだけで、渦1223の水圧変動の周期を容易に変更することが可能となるから、上述した本発明の作用効果を得ることが可能となる。
【0156】
又、第四の実施形態に係る翼体12は、第一の実施形態に係る翼体12と比較すると、回転方向前面に対する面積が小さいため、当該翼体12の受ける水圧をより低減させることが可能となる。その結果、第四の実施形態に係る微細気泡発生装置1の消費電力は、一層低減されるものとなる。
【0157】
<第五の実施形態>
次に図6を参照しながら、第五の実施形態の微細気泡発生装置について説明する。図6は、第五の実施形態に係るインペラ11を示す概略構成図である。尚、本発明の第五の実施形態に直接関係しない各部の詳細は省略している。
【0158】
第一の実施形態と比較して、第五の実施形態の異なる点は、翼体12の形状を変更し、給気口14の数を増加し、給気口14の位置を変更した点である。その他の点については、第一の実施形態と同様であるため、第五の実施形態に直接には関係しない各部の詳細は省略する。また、第一の実施形態と同一符号であるものについても説明は省略する。
【0159】
図6(A)は、第五の実施形態に係るインペラ11の正面図である。図6(B)は、第五の実施形態に係るインペラ11の平面図である。図6(C)は、図6(A)に示したA−A線に沿った断面図である。図6(D)は、図6(B)に示したB−B線に沿った断面図である。
【0160】
第五の実施形態に係るインペラ11では、図6(A)乃至図6(B)に示すように、略直方体である胴体11aの側面は、直方体の小型台18が設けられ、当該小型台18の上面に、水との接触周面が半円形状をなす翼体12が、所定の高さで前記胴体11aの外周面11cから放射状に4つ延出されている。4つの翼体12は、胴体11aの略正方形の各辺に備えられた長方形の小型台18の上面18a(胴体11aの外周面に対応する)の中央にそれぞれ設置される。
【0161】
前記翼体12は、中空となっており、当該翼体12の正面視先端12aは、前記胴体11aの回転方向に沿って半円状に形成されている。又、当該翼体12は、正面視で胴長に延伸された形状に形成される。更に、当該翼体12は、前記胴体11aの回転方向上流側(回転方向前面)の先端近傍12b(翼体の先端近傍の正面視外縁)を半円形状に形成され、当該胴体11aの回転方向下流側の外面を当該胴体11aの外周面18aに対して垂直面とした形状に形成されている。
【0162】
又、胴体11a内部の空気を気泡として液中に給気する給気口14は、翼体12の回転方向の下流側の位置で、所定の間隔で翼体12の中央線12fに対して一列上に、一翼体12当たり4つ開口されている。
【0163】
そして、小型台18の内部は、翼体12の内部と胴体11aの内部とを連通するための空洞を有している。
【0164】
次に、平面視における一の翼体12の形状と、給気口14が開口される位置について説明する。
【0165】
図6(C)に示すように、一の翼体12は、平面視で半円柱状の形状をなし、翼体12の先端近傍の正面視外縁12bは、翼体12の回転方向の上流側の上端で半円状に形成されている。更に、翼体12は、回転方向下流側の面(回転方向後面)を当該翼体12が固定されている小型台28の上面18aに対して略垂直な面とした形状に形成されている。
【0166】
又、前記翼体12の径方向の先端12dは、回転方向の下流側に尖った形状となる。翼体12が回転すると、翼体12の径方向の先端12d及び正面視先端12aに印加されるインペラ11の回転トルクが最大となり、当該先端12d及び正面視先端12aから渦1223が発生する。ここで、翼体12の径方向の先端12dから小型台28の上面28aまでの所定の距離が、翼体12の高さhに対応する。
【0167】
翼体12の高さhは、小型台18の幅を含めた略正方形のインペラ11の一辺の半分の長さの5分の4から5分の1までの範囲内で設定されると好ましく、更に、3分の2から3分の1までの範囲内であると好ましい。図6(C)に示された翼体12の高さhは35mmであり、インペラ11の一辺の半分の長さは38mmである。
【0168】
翼体12の内部と胴体11aの内部とは、小型台18を貫通した小型配管15により連通するよう構成されている。前記小型配管15は、円筒形状をなし、小型台18の上面18aから胴体11aの回転軸に向かって挿入される。小型配管15の小型台18の上面18a側の端部15aは、前記翼体12の下端部が嵌め合わされ、当該翼体12と小型台18とを固定する。前記小型配管15により、翼体12の給気口14から空気が給気されても、当該小型配管15を介して翼体12内部に胴体11a内部の空気が供給される。
【0169】
又、翼体12に設けられる4つの給気口14のうち、第一の給気口14aは、翼体12の回転方向の下流側で、翼体12の径方向の先端12dから、上端の平面視外縁12bの半円形状の半径d5までの位置に開口される。当該位置に第一の給気口14aを開口すると、翼体12の径方向の先端12dから発生した渦1223が小さく旋回しながら第一の給気口14aの上面と接触し、第一の給気口14aは渦1223の周期的な水圧変動を受けることとなる。
【0170】
更に、第二の給気口14bから第四の給気口14dまでは、上端の平面視外縁12bの半円形状の半径d5に対応する所定の間隔で、それぞれの給気口14が上方から下方に向かって一列に配列するように開口される。複数の給気口14を所定の間隔で一列に開口すると、翼体12の径方向の先端12dから発生した渦1223が下方へ発達した場合、発達した渦1223の水圧変動を第二の給気口14bが受けることになる。又、第二の給気口14bの上面を通過して、渦1223が更に翼体12の下方に発達した場合、その水圧変動を第三の給気口14cが受けることとなる。
【0171】
このように、翼体12の径方向の先端12dから発生した渦1223が発達すると、発達した渦12bの水圧変動を連鎖的に複数の給気口14が受けることになり、当該給気口14から効率よく利用して空気を液中に供給することが可能となる。
【0172】
尚、上述した給気口が配列される所定の間隔は、発生する渦1223の発達に応じて適宜設計変更される。
【0173】
又、給気口14の孔径は、胴体11aの一辺の半分の長さと、翼体12の高さhと、インペラ11の回転数とに応じて適宜設計変更されるものの、当該翼体12の高さhの3分の1から50分の1までの範囲内で設定されると好ましく、5分の1から25分の1までの範囲内であると更に好ましく、10分の1から18分の1までの範囲内であると一層と好ましい。例えば、図6(C)に示す翼体12の高さhは35mmであり、給気口14の孔径は1.5mmである。
【0174】
次に、正面視における一の翼体12の形状と、給気口14が開口される位置について説明する。
【0175】
図6(D)に示すように、一の翼体12の正面視形状は、本体を胴長に形成し、先端近傍の正面視外縁12aが当該翼体12の回転方向前面に対して半円形状に形成されている。正面視外縁12aの半円形状の半径は、上述した翼体12の上端の平面視外縁12bの半円形状の半径d5と一致する。
【0176】
又、第一の給気口14aは、前記翼体12の回転方向の下流側で、翼体12の正面視外縁部12aの半円の中心の位置に開口される。当該位置に第一の給気口14aが開口されると、翼体の正面視外縁12aから発生した渦1223が当該半円形状の中心の位置に集中するため、第一の給気口14aは渦1223の周期的な水圧変動を確実に受けることとなる。
【0177】
更に、第二の給気口14bから第四の給気口14dまでは、翼体12の上下の中央線12fに沿って所定の間隔で一列に整列して開口される。第二の給気口14bから第四の給気口14dまでが当該位置に開口されると、それぞれの給気口の左右方向から発生した渦1223が当該給気口に集中させることが出来る。
【0178】
このように、上述した翼体12の形状と、給気口14の位置とを採用しても、渦1223を容易に発生させることが可能となる。又、インペラ11の回転数を変更するだけで、渦1223の水圧変動の周期を容易に変更することが可能となるから、上述した本発明の作用効果を得ることが可能となる。
【0179】
又、第五の実施形態に係る翼体12は、第一の実施形態に係る翼体12と比較すると、回転方向の垂直面に対する面積が小さいため、当該翼体12の受ける水圧をより低減させることが可能となる。その結果、第五の実施形態に係る微細気泡発生装置1の消費電力は、一層低減されるものとなる。
【0180】
更に、第五の実施形態では、複数の給気口14を所定の位置に4つ開口するよう構成しているため、発達した渦を効率よく利用して、それぞれの給気口14から気泡を液中に供給することが可能となる。
【0181】
尚、第五の実施形態では、給気口14を4つ開口するよう構成したが、上述した所定の位置に開口するのであれば、給気口14の個数を適宜増減しても構わない。
【0182】
又、第一の実施形態乃至第五の実施形態に係る微細気泡発生装置は、食用の魚類、海水魚や淡水魚を飼育するための水槽に採用しているが、他の用途、例えば、食品加工工場の廃水処理槽、廃水処理用の水槽、海に設ける生簀、海から岸に運ぶ運搬船の水槽、鮮魚運搬車の水槽、処理水中の懸濁物質除去や曝気を目的とした懸濁物質除去水槽等に採用しても構わない。
【0183】
<微細気泡発生装置>(構成上の補足)
以下に、本発明に係る微細気泡発生装置1について説明する。
【0184】
図7は、本発明に係る微細気泡発生装置1の概略模式図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。尚、図1の上下方向が本発明に係る微細気泡発生装置1の上下方向に対応し、図1の左右方向が本発明に係る微細気泡発生装置1の左右方向に対応する。
【0185】
微細気泡発生装置1は、養殖用の河豚等の海水魚が泳いでいる水槽101内の水Wに設置され、水W中に微細気泡B1を発生させて、水W中を浮遊する汚濁物質を当該微細気泡B1に付着させながら上昇させる。微細気泡B1は、他の微細気泡B1を取り込み・結合しながら、径を大きくしつつ上昇することとなる。大きな気泡B2は上昇中であっても破裂することが無い。
【0186】
上昇した微細気泡B1、大きな気泡B2、それらに付着された汚濁物質は、水槽101の上部近傍に設けられた排水管102から上面近傍の水Wとともに、別途設置する濾過装置(図示せず)に排水され、当該濾過装置によって汚濁物質が除去される。そして、濾過装置により濾過された水Wは、排水口102とは別の箇所に備えられた水供給管103から、再度、水槽101内へ戻される。
【0187】
前記微細気泡発生装置1は、駆動モータ104が内部に搭載された駆動部105と、駆動モータ104の駆動軸である回転軸106と、後述する筒体107と、インペラ11とから構成される。前記駆動部105は、水槽101上方を覆う蓋材108の上に固定される。当該蓋材108には、所定の大きさの開口部109が設けられており、当該開口部109を介して、駆動モータ104の回転軸106と、前記筒体107と、インペラ11とが水槽101内部へ挿入される。前記蓋材108により、外気からの塵や埃が水槽108内へ混入することを防止している。
【0188】
前記回転軸106は、駆動部105の下部から水槽101内の下方近傍の所定の水位まで延出される。当該回転軸106の周囲を取り囲むように、回転軸106の上下方向の全長と同程度の長さを有する、中空な円筒形状からなる筒体107が設けられる。当該筒体107により、回転軸106が水槽101内の水Wに浸されないように構成される。
【0189】
又、筒体107の上端近傍の側面には、吸気口110が穿設されている。当該吸気口110により、外気と筒体107の内部とが連通し、外気の空気を筒体107の内部へ吸引することが可能となる。これにより、当該筒体107は、外部の空気を気泡として液中に供給する気体供給管として機能する。
【0190】
筒体107の内部については、回転軸106が筒体107の内部に挿入された状態で、回転軸106と筒体107との間に、回転軸106の上下方向の所定の間隔で、所定数、軸受111が設けられている。当該軸受111により、回転軸106が筒体107内部で、円滑に回転することになる。
【0191】
更に、回転軸106の下端部には、中空な円筒形状からなる本発明に係るインペラ11が固定される。
【0192】
図8は、本発明に係る微細気泡発生装置1のインペラ11の正面視断面図である。尚、図8の上下方向が本発明に係るインペラ11の上下方向に対応し、図2の左右方向が本発明に係るインペラ11の左右方向に対応する。
【0193】
図8に示すように、回転軸106が挿入された筒体107の内部と、インペラ11の胴体11aの内部とが連通するように、上述した軸管10に対応する接続パルプ112を介して回転軸106と胴体11aとが固定される。つまり、接続パルプ112は中空の円筒形状からなり、当該接続パルプ112の上端部は回転軸106の下端部と嵌め合わされて接続され、当該接続パルプ112の下端部は後述するドーナツ状の蓋材113を介して胴体11aの上端部と接続される。
【0194】
前記ドーナツ状の蓋材113は、接続パルプ112と胴体11aとを密接に接合するように、胴体11aの内周面と嵌合されるとともに、接続パルプ112の外周面と嵌合される。当該ドーナツ状の蓋材113により、胴体11a内部の空気が水槽101内の水Wへ漏れないようにしている。
【0195】
又、接続パルプ112と回転軸106とが嵌合された位置の上方近傍には、所定数の吸気口13が開口されており、筒体107の内部と接続パルプ112の内部とを連通している。
【0196】
更に、接続パルプ112に設けられた吸気口13の位置よりも下方で、筒体107の下端部に、当該接続パルプ112の外径とほぼ同一の開口部を有するキャップ114が取り付けられる。当該キャップ114により、開口部から接続パルプ112が挿入され、回転軸106の回転を胴体11aに伝達するとともに、筒体107内部に水Wが浸入することを防止する。
【0197】
又、胴体11aの下端部は、胴体11aの内部を密封するメクラキャップ115により閉塞されており、胴体11a内部の空気は、当該胴体11aの側面に開口された給気口14から液中に給気されることになる。胴体11a内部は、前記筒体107の吸気口110と、接続パルプ112の吸気口13とを介して、外部と連通しているため、筒体107の吸気口110から空気が気泡として液中に供給されると、胴体11aの内部の気圧が減少し、接続パルプ112の吸気口13を介して外気の空気が当該胴体11aの内部に供給されることになる。
【0198】
図1に示すように、長尺の軸管10を用意して、本発明に係る微細気泡発生装置1を構成しても構わないし、図7乃至図8に示すように、当該軸管10を接続パイプ112のように構成しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0199】
以上のように、本発明にかかる微細気泡発生装置は、海水魚を飼育するよう養殖用水槽はもちろん、食品加工工場の廃水処理槽、廃水処理用の水槽等に有用であり、水中に微細な気泡を効率よく発生させることが可能な微細気泡発生装置として有効である。
【符号の説明】
【0200】
10 軸管
11 インペラ
11a 胴体
12 翼体
13 吸気口
14 給気口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸管と、
前記軸管の先端に取り付けられた胴体の外周に、当該軸管の回転方向前面、又は径方向先端が円又は球の一部である翼体を備えたインペラと、
前記インペラの所定位置に設けられるとともに、前記胴体に設けられた空洞と軸管を介して外気と連通する給気口と、
を備える微細気泡発生装置。
【請求項2】
前記所定位置が、インペラが液中で回転したときに、前記翼体の回転方向下流側に発生する水圧変動を受ける位置である請求項1に記載の微細気泡発生装置。
【請求項3】
前記翼体が、前記軸管の回転軸から径方向の所定距離まで延出され、
前記給気口が、前記所定距離に応じた孔径である請求項1又は2に記載の微細気泡発生装置。
【請求項4】
前記翼体が、前記軸管の回転方向前面、又は径方向先端が半円形状に形成され、
前記給気口が、前記翼体の回転方向下流側で、当該翼体の半円形状の中心近傍の位置に設けられた請求項1乃至3のいずれかに記載の微細気泡発生装置。
【請求項5】
前記翼体が、前記軸管の回転方向前面先端が半円形状に形成されるとともに、当該軸管の径方向先端が半円形状に形成され、
前記給気口が、前記翼体の回転方向下流側で、当該翼体の、前記軸管の径方向先端の半円形状の中心近傍の位置に設けられた請求項4に記載の微細気泡発生装置。
【請求項6】
前記翼体が、前記胴体に連通した空洞を有するとともに、当該軸管の径方向先端が半円形状に形成され、
前記給気口が、前記翼体の回転方向下流側で、当該翼体の半円形状の中心近傍の位置に設けられるとともに、前記軸管と前記胴体の空洞と前記翼体の空洞とを介して外気に連通する請求項4に記載の微細気泡発生装置。
【請求項7】
前記翼体が、前記胴体に連通した空洞を有し、前記軸管の回転方向前面先端が半円形状に形成されるとともに、当該軸管の径方向先端が半円形状に形成され、
前記給気口が、前記翼体の回転方向下流側で、当該翼体の中央線上に一列に所定の感覚で複数設けられるとともに、前記軸管と前記胴体の空洞と前記翼体の空洞とを介して外気に連通する請求項4に記載の微細気泡発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−5393(P2011−5393A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−149707(P2009−149707)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(597083172)有限会社こうすい (9)
【Fターム(参考)】