説明

情報処理装置、画像形成装置、情報処理プログラム、情報処理方法および封筒

【課題】封筒の本体部分以外の箇所に画像を形成する場合に、セキュリティを向上することを目的とする。
【解決手段】本発明にかかる情報処理装置は、封筒の一面および他面の少なくとも一方について画像を形成可能な画像形成可能領域を示す領域データと、当該封筒上に形成する画像の画像データと、を含む印刷データを受信する受信手段と、領域データに基づいて、封筒の一面の画像形成可能領域のうち、フラップ自体の領域と、当該フラップを折り返して閉じる時に当該フラップによって隠れる領域とを含む、折り返し領域を検出する検出手段と、検出手段によって検出された折り返し領域に画像を形成するように、画像の配置位置を決定する決定手段と、を備える

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、画像形成装置、情報処理プログラム、情報処理方法および封筒に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置によって、差出人および宛先人の住所や名前等を含む基本情報の他、配送管理情報や封筒に封入すべき内容物をリストアップしたチェックリスト等の付随的な情報を、封筒に印刷することがある。このような付随的な情報を、封筒の袋状に形成された本体部分だけではなく、封筒の折りたたんで閉じる部分であるフラップのうち、閉じた時に外側となる面に印刷することがある。
【0003】
封筒のフラップに印刷する技術として、フラップを閉じた時に外側となる面に、配送管理情報等を印刷する技術がある(たとえば、特許文献1)。この技術によれば、封筒の封を閉じた後でも、フラップに印刷された配送管理情報を参照することによって、封筒の配送状況の確認を容易にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−165739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の発明では、フラップを閉じて外側となる部分に配送管理情報を印刷するので、印刷された情報が第3者に読み取られてしまう場合があり、セキュリティ上好ましくない。また、内容物についてのリストが封筒の外側に印刷されていれば、悪意のある第3者の注意を喚起することになり、その結果、差出人に関する個人情報を含む内容物が悪用される場合がある。したがって、封筒の外側に印刷された情報が原因で、差出人に関する情報が第3者に知れ渡り、個人情報が漏洩してしまう可能性がある。
【0006】
本願発明は、上記課題に基づいてなされたものであり、封筒の本体部分以外の箇所に画像を形成する場合に、セキュリティを向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0008】
(1)封筒の一面および他面の少なくとも一方について画像を形成可能な画像形成可能領域を示す領域データと、当該封筒上に形成する画像の画像データと、を含む印刷データを受信する受信手段と、前記領域データに基づいて、前記封筒の一面の画像形成可能領域のうち、フラップ自体の領域と、当該フラップを折り返して閉じる時に当該フラップによって隠れる領域とを含む、折り返し領域を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された折り返し領域に前記画像を形成するように、前記画像の配置位置を決定する決定手段と、を備える情報処理装置。
【0009】
(2)前記折り返し領域に前記画像を配置する際、前記画像が当該折り返し領域より大きい場合、当該画像が当該折り返し領域に収まるように、当該画像を縮小または移動する画像調整手段をさらに有する上記(1)に記載の情報処理装置。
【0010】
(3)前記検出手段は、前記フラップを折り返して閉じた時に前記フラップによって隠れる領域のうち、当該フラップの上端から、当該封筒の袋状を形成する本体部分の上端までの領域をさらに検出し、前記画像調整手段は、前記フラップ下端の折り目と、前記封筒の本体部分の上端における段差とを避けるように、さらに前記画像の配置位置を調整する上記(2)に記載の情報処理装置。
【0011】
(4)前記領域データは、ユーザーによる前記折り返し領域の範囲の設定を受け付ける受け付け手段によって設定される上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【0012】
(5)上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の情報処理装置と、前記情報処理装置によって決定された配置位置に画像を形成する画像形成手段と、を含む画像形成装置。
【0013】
(6)封筒の一面および他面の少なくとも一方について画像を形成可能な画像形成可能領域を示す領域データと、当該封筒上に形成する画像の画像データと、を含む印刷データを受信する手順(a)と、前記領域データに基づいて、前記封筒の一面の画像形成可能領域のうち、フラップ自体の領域と、当該フラップを折り返して閉じる時に当該フラップによって隠れる領域とを含む、折り返し領域を検出する手順(b)と、検出された前記折り返し領域に前記画像を形成するように、前記画像の配置位置を決定する手順(c)と、を備える情報処理プログラム。
【0014】
(7)前記手順(c)において、前記折り返し領域に前記画像を配置する際、前記画像が当該折り返し領域より大きい場合、当該画像が当該折り返し領域に収まるように、当該画像を縮小または移動する手順(d)をさらに有する上記(6)に記載の情報処理プログラム。
【0015】
(8)前記フラップを折り返して閉じた時に前記フラップによって隠れる領域のうち、当該フラップの上端から、当該封筒の袋状を形成する本体部分の上端までの領域を前記検出手段により検出する手順(e)をさらに有し、前記フラップ下端の折り目と、前記封筒の本体部分の上端における段差とを避けるように、前記画像の配置位置を調整する手順(f)をさらに有する上記(7)に記載の情報処理プログラム。
【0016】
(9)ユーザーによる前記折り返し領域の範囲の設定を受け付ける手順(g)をさらに有する上記(6)〜(8)のいずれか一つに記載の情報処理プログラム。
【0017】
(10)上記(6)〜(9)のいずれか一つに記載のプログラムを記録した記録媒体。
【0018】
(11)封筒の一面および他面の少なくとも一方について画像を形成可能な画像形成可能領域を示す領域データと、当該封筒上に形成する画像の画像データと、を含む印刷データを受信するステップ(a)と、前記領域データに基づいて、前記封筒の一面の画像形成可能領域のうち、フラップ自体の領域と、当該フラップを折り返して閉じる時に当該フラップによって隠れる領域とを含む、折り返し領域を検出するステップ(b)と、検出された前記折り返し領域に前記画像を形成するように、前記画像の配置位置を決定するステップ(c)と、を備える情報処理方法。
【0019】
(12)前記ステップ(c)において、前記折り返し領域に前記画像を配置する際、前記画像が当該折り返し領域より大きい場合、当該画像が当該折り返し領域に収まるように、当該画像を縮小または移動するステップ(d)をさらに有する上記(11)に記載の情報処理方法。
【0020】
(13)前記フラップを折り返して閉じた時に前記フラップによって隠れる領域のうち、当該フラップの上端から、当該封筒の袋状を形成する本体部分の上端までの領域を前記検出手段により検出するステップ(e)をさらに有し、前記フラップ下端の折り目と、前記封筒の本体部分の上端における段差とを避けるように、前記画像の配置位置を調整するステップ(f)をさらに有する上記(12)に記載の情報処理方法。
【0021】
(14)ユーザーによる前記折り返し領域の範囲の設定を受け付ける手順(g)をさらに有する上記(11)〜(13)のいずれか一つに記載の情報処理方法。
【0022】
(15)開口部を有する袋状の本体と、前記本体の開口部に設けられ、折り返されることで前記開口部を封止するフラップと、を有し、前記フラップを折り返す際に、折り返す側の前記フラップの一面と、前記フラップによって隠れる前記本体上の一部と、を含む折り返し領域に画像が印刷された封筒。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、形成された画像が露出しないように、封筒のフラップに画像形成でき、セキュリティを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態に係る画像形成システムの全体構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】図1に示すPCの構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】図1に示すMFPの構成を概略的に示すブロック図である。
【図4】図1に示すMFPのプリンターコントローラーの構成を概略的に示すブロック図である。
【図5】図1に示すMFPのプリンターエンジンの構成を概略的に示すブロック図である。
【図6】本実施形態に係る封筒の裏面の折り返し領域の範囲を規定するための座標系を示す図である。
【図7】本実施形態に係る、封筒の裏面の画像形成可能領域を数値指定するための印刷設定画面の例を示す図である。
【図8】本実施形態に係る、印刷設定および画像データに基づいて画像形成処理する手順を示すフローチャートである。
【図9】本実施形態に係る画像処理によって印刷された封筒の例を示す図である。
【図10】本実施形態に係る画像処理によって印刷された封筒の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
まず、図1〜図5を参照して、本発明の一実施形態に係る画像形成システム、並びに当該画像形成システムを構成するPC(Personal Computer)およびMFP(Multi−Functional Peripheral)の構成について説明する。
【0027】
(画像形成システム)
図1は本実施形態に係る画像形成システムの全体構成を概略的に示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る画像形成システムは、ネットワーク端末としてのPC10と、MFP20とを含み、これらはネットワーク30を介して相互に通信可能に接続されている。
【0028】
ネットワーク30は、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI等の規格によりコンピューターやネットワーク機器同士を接続したLANや、LAN同士を専用線で接続したWAN等からなる。なお、ネットワーク30に接続される機器の種類および台数は、図1に示す例に限定されない。
【0029】
(PC)
図2は、図1に示すPC10の構成を概略的に示すブロック図である。クライアントコンピューターとしてのPC10は、CPU(Central Processing Unit)11、メモリー12、HDD(Hard Disk Drive)13、ディスプレイ14、入力装置15および通信I/F部16を備えており、これらは信号をやり取りするためのPCI Express(登録商標)等の内部バス17を介して相互に接続されている。
【0030】
CPU11は、プログラムにしたがって、上記各部の制御や各種の演算処理(たとえば、画像データ作成、ページ記述言語に変換する処理、印刷データ生成、印刷データ送信等)を行う。PC10の各機能は、対応するプログラムをCPU11が実行することによって発揮される。
【0031】
メモリー12は、各種プログラムや各種データを格納するためのROM、ワークエリアとして一時的にプログラムやデータを記憶するためのRAM等から構成される。また、メモリー12は、たとえば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)により構成されうる。
【0032】
HDD13は、オペレーティングシステム(OS)を含む各種プログラムや各種データを格納する。HDD13には、テキストデータを含む画像データを作成、選択または再現したりするための各種アプリケーションが格納されている。また、HDD13は、画像データを格納でき、格納された画像データはCPU11によって必要に応じてメモリー12上に読み出され、メモリー12上で処理されうる。
【0033】
また、HDD13には、作成された画像データについて印刷設定等するためのプリンタードライバーがインストールされている。ユーザーは、プリンタードライバーを介して印刷処理するための画像データを選択したり、当該画像データについての印刷設定や、封筒に画像形成できる領域について印刷設定を実行したりできる。作成された画像データは、ユーザーにより設定された印刷設定と共に、MFP20が解釈可能なページ記述言語(PDL:Page Description Language)で記述されたPDLデータに変換される。当該印刷設定は、画像データに基づく画像を形成する条件として設定される。印刷指示毎に変換および生成されるPDLデータが、印刷ジョブとなる。なお、PDLの例としては、たとえば、PS(PostScript(登録商標))、XPS(XML Paper Specification)等がある。
【0034】
ディスプレイ14は、OLED(Organic Light‐Emitting Diode)、LCD(Liquid Crystal Display)等であり、各種の情報の表示に使用される。ディスプレイ14は、後述するプリンタードライバー画面等のGUI(Graphical User Interface)を表示する。
【0035】
入力装置15は、マウス等のポインティングデバイスやキーボード等を含み、各種情報の入力に使用される。
【0036】
通信I/F部16は、ネットワーク30上の外部機器と通信するためのインターフェースであり、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI(Fiber−Distributed Data Interface)等の規格によるネットワークインターフェース、USB、IEEE1394等のシリアルインターフェース、SCSI、IEEE1284等のパラレルインターフェース、BLUETOOTH(登録商標)、IEEE802.11、HomeRF、IrDA等の無線通信インターフェース等を利用することができる。
【0037】
(MFP)
図3は図1に示すMFPの構成を概略的に示すブロック図、図4は図1に示すMFPのプリンターコントローラーの構成を概略的に示すブロック図、図5は図1に示すMFPのプリンターエンジンの構成を概略的に示すブロック図である。なお、MFP20の各構成要素のうち、上記PC10と同様の構成については、重複を避けるため、その説明を省略する。
【0038】
図3に示すように、本実施形態に係るMFP20は、画像形成装置21を備え、画像形成装置21はプリンターコントローラー22およびプリンターエンジン23を備える。MFP20は、画像形成装置21の他、後処理装置(不図示)等を備えてもよい。
【0039】
図4に示すように、プリンターコントローラー22は、CPU221、メモリー222、HDD223、通信I/F部224およびビデオI/F部225を備え、これらの構成要素によりプリンターエンジン23を制御する。これらの構成要素はPCI Express(登録商標)等の内部バス226により、相互に通信可能に接続されている。本実施形態では、プリンターコントローラー22は、情報処理装置として機能する。
【0040】
CPU221は、プログラムに従って上記各部およびプリンターエンジン22の各部の制御や、各種演算処理(たとえば、ラスタライズ(Raster Image Processing:RIP)処理、印刷データ受信処理等)を実行する。プリンターコントローラー22の各機能は、CPU221が対応するプログラムを実行することにより発揮される。本実施形態では、CPU221は、受信手段、検出手段、決定手段、画像調整手段として機能する。
【0041】
HDD223は、OSを含む各種プログラムや各種データを格納する。たとえば、HDD223には、印刷データに含まれる封筒の画像形成可能領域を検出するためのプログラム等が格納されている。
【0042】
ビデオI/F部225は、プリンターエンジン23と通信するためのインターフェースである。
【0043】
図5に示すように、プリンターエンジン23は、画像形成部231、操作部232、給紙部233、排紙部234および通信I/F部235を備える。これらは内部バス236により相互に通信可能に接続されている。
【0044】
画像形成部231は、帯電、露光、現像、転写および定着の各工程を含む電子写真式プロセス等の周知の作像プロセスを用いて、ビデオI/F部225から受信された画像データに基づく画像を印刷媒体に印刷する。画像形成部231は、画像形成手段として機能する。なお、画像形成部231は、プリンターコントローラー22とは別に、画像データについてRIP処理を実行したり、RIP処理された画像データであるラスタデータを印刷したりするために、その制御を行う専用のMPU(Micro−Processing Unit)(不図示)を備えてもよい。この場合、画像形成部231は、印刷のための画像を展開する記憶装置(たとえばRAMまたはHDD等)を備えうる。
【0045】
操作部232は、タッチパネル、テンキー、スタートボタン、ストップボタン等を備えており、ユーザーによる各種設定の入力および各種情報の表示に使用される。
【0046】
給紙部233は、画像が転写される印刷媒体としての用紙を収容し、収容された用紙を1枚ずつ画像形成部231に送り出す。給紙部233は複数のトレイを含み、印刷用途別に用紙サイズ、色、紙質を選択できるように構成されうる。
【0047】
排紙部234は、画像形成部231から搬送される用紙を、プリンターコントローラー22からの指示により排出する。
【0048】
なお、PC10およびMFP20は、それぞれ上述した構成要素以外の構成要素を含んでいてもよく、あるいは、上述した構成要素のうちの一部が含まれていなくてもよい。
【0049】
(封筒裏面の画像形成可能領域)
次に、図6を参照して、本実施形態に係る封筒の裏面において、画像が形成されうる領域(画像形成可能領域)について説明する。特に、本実施形態では、画像形成可能領域のうち、フラップとフラップを折り返して隠れる部分とを含む領域を折り返し領域とし、この折り返し領域に画像を形成する。
【0050】
図6は、本実施形態に係る封筒の裏面の折り返し領域の範囲を規定するための座標系を示す図である。
【0051】
折り返し領域は、図6において斜線で示される領域である。折り返し領域は、その領域範囲を画定するパラメーター(領域データ)によって複数の領域に細分化され、当該領域を数値指定できる。たとえば、封筒Fを裏面から見た時のフラップの左上の角部を原点として、横軸をx軸、縦軸をy軸とする。この時、x軸方向のフラップ上辺の長さをH_Widthと定義し、y軸方向のフラップの高さをV_Heightと定義する。このy=V_Heightとなる位置が、封筒Fのフラップを折り返して閉じる時のフラップの折り目に相当する。また、フラップを折り返して封筒Fを閉じた時に隠れる部分のy軸方向の上限値は、フラップ高さV_Heightの2倍であり、2*V_Heightと定義する。本実施形態では、フラップの折り目位置に相当するV_Heightや、折り返し領域の端に相当する2*V_Heightを定義することによって、折り目を避けて画像を形成したり、フラップを折り返した後に画像が折り返し領域からはみ出て形成されてしまうことを防止できる。
【0052】
さらに、本実施形態では、フラップを折り返して封筒Fを閉じた時に隠れる部分の画像形成可能領域(フラップを除く折り返し領域)をさらに細分化する。フラップを除く折り返し領域とは、図6において、点A(x,y)=(0,V_Height)と、点B(x,y)=(H_Width,2*V_Height)とを対角線上に有する矩形によって囲まれる領域である。具体的には、フラップの上端から封筒Fの袋状に形成された本体部分の上端(開口部)の高さに相当するy軸上の値D_Heightを定義する。本実施形態では、封筒Fの開口部に相当する位置D_Heightをさらに定義することにより、封筒Fの開口部における本体部分の紙厚による段差を回避して、画像を形成することができる。
【0053】
(プリンタードライバー設定画面)
次に、上述のように定義された折り返し領域の範囲を示すパラメーターを数値指定するための、プリンタードライバー設定画面(受付手段)について詳細に説明する。
【0054】
図7は、本実施形態に係る、封筒の裏面の画像形成可能領域を指定するための印刷設定画面の例を示す図である。図7に示すように、封筒印刷設定画面40は、原稿サイズを指定するための原稿サイズ設定項目41と、用紙サイズを指定するための用紙サイズ設定項目42とを含む。原稿サイズ設定項目41および用紙サイズ設定項目42では、“Custom”を指定することにより、所望の原稿サイズおよび用紙サイズを指定することができる。たとえば、原稿サイズ設定項目41および用紙サイズ設定項目42の右側の不定形サイズ登録ボタンを押下(クリック)することによって、所望の原稿サイズや用紙サイズを詳細に指定できる画面(不図示)が表示され、ユーザーは当該画面上で用紙サイズを詳細設定できる。
【0055】
ユーザーは、封筒Fの裏側のフラップに印刷するために、封筒フラップ印刷設定項目43にチェックを入れる。この設定により、封筒Fのフラップと、フラップを折りたたんで隠れる部分とを含む折り返し領域について領域指定することができる。具体的には、封筒フラップ印刷設定項目43の詳細項目は、フラップの高さ(V_Height)を指定するためのフラップ高さ指定項目44、およびフラップの上辺長さ(H_Width)を指定するための上辺長さ指定項目45を含む。また、封筒フラップ印刷設定項目43は、フラップ上辺から封筒Fの本体部分の上端までの距離(D_Height)を指定するための段差距離指定項目46を含む。これらの項目44〜46によって指定された値は、封筒フラップ印刷設定項目43の右側に表示されるプレビュー画面に反映される。このプレビュー画面によって、ユーザーは、視覚的に現在の折り返し領域に関する設定を確認できる。
【0056】
さらに、本実施形態では、フラップの折り目や、封筒Fの本体部分上端の段差に画像を形成することを回避するために、ユーザーは、印字回避設定項目47にチェックを入れる。この設定によって、ユーザーは、折り目や段差上に画像形成することを回避できる。したがって、折り目や段差上に画像を形成する際に、折り目や段差によって画像が乱れることを防止できる。
【0057】
なお、上述のように封筒印刷設定画面40を介して、ユーザーが折り返し領域を指定する代わりに、規定の封筒サイズに基づいて折り返し領域を特定してもよい。たとえば、洋形4号等の規定サイズの封筒について、上記設定項目に関する数値をメモリー12等に予め記憶させておいてもよい。こうすることで、折り返し領域を指定する手間を省くことができる。
【0058】
また、封筒印刷設定画面40には、さらに、「OK」ボタン、「キャンセル」ボタン、「ヘルプ」ボタン等が適宜構成される。「OK」ボタンがクリックされると、プリンタードライバーは、印刷設定に基づいてPDLで記述された印刷データ(印刷ジョブ)を生成し、ネットワーク30を介してMFP20に印刷データを送信する。印刷データには、上述した折り返し領域の範囲を規定するパラメーターについてのデータである領域データが含まれうる。
【0059】
(折り返し領域に画像形成する処理)
次に、上述のようにユーザーによって指定された折り返し領域に画像形成するプリンターコントローラー22による処理の手順について詳細に説明する。
【0060】
図8は本実施形態に係るプリンターコントローラー(以下、単にコントローラーと称する)22が、印刷設定および画像データに基づいて画像形成処理する手順を示すフローチャート、図9および図10は本実施形態に係る画像処理によって印刷された封筒の例を示す図である。なお、図8に示す手順はメモリー222等に記憶され、CPU221によって実行される。
【0061】
図8に示すように、まず、印刷データが受信される(ステップS101)。このステップでは、ユーザーが封筒印刷設定画面40を介して設定した指定値や、その他の印刷設定およびPC10上で準備された画像データが、上述したようにPDLに変換され、印刷データとしてネットワーク30を介してコントローラー22によって受信される。
【0062】
続いて、フラップに印刷する設定があるか否かが判断される(ステップS102)。このステップでは、コントローラー22は、ステップS101で受信した印刷データを解析し、封筒の裏面の折り返し領域に印刷するための設定があるか否かを判断する。具体的には、コントローラー22は、図7に示した印刷設定画面40の封筒フラップ印刷設定項目43にチェックが入っているか否かを判断する。
【0063】
フラップ印刷設定がないと判断される場合(ステップS102:NO)、差出人情報のみをRIP処理する(ステップS103)。このステップでは、コントローラー22は、ステップS102でフラップに印刷する設定がないと判断したので、封筒Fの裏面の画像形成可能領域のうち、図6においてyの値が2*V_Heightより大きい領域に印刷される、差出人氏名や住所等を含む基本情報の画像についてのみRIP処理する。その後、処理は後述のステップS109に進む。
【0064】
一方、フラップ印刷設定があると判断される場合(ステップS102:YES)、段差に印刷することを回避する設定があるか否かが判断される(ステップS104)。このステップでは、コントローラー22は、ステップS102でフラップに印刷する設定があると判断し、折り返し領域のうち、封筒F本体の上端における段差やフラップの折り目上に印刷する設定があるか否かを判断する。具体的には、コントローラー22は、図7に示した封筒印刷設定画面40の印字回避設定項目47にチェックがある設定となっているか否かを判断する。
【0065】
段差に印刷することを回避する設定があると判断される場合(ステップS104:YES)、段差および折り目を避けるように画像形成可能領域を算出する(ステップS105)。このステップでは、コントローラー22は、ステップS104で印字回避設定項目47にチェックが入っていると判断したので、封筒印刷設定画面40で指定された折り返し領域に画像を配置する時に、段差および折り目を避けるように画像形成可能領域を算出する。本実施形態では、図6で示したフラップの折り目に相当するV_Heightや、封筒Fの本体部分の上端に相当するD_Heightを避けるように画像形成可能領域を算出する。具体的には、図7に示した封筒印刷設定画面40で指定された、フラップ高さ44(V_Height)、段差までの距離46(D_Height)および折り返し領域の下端(2*V_Height)を考慮して、画像形成可能領域が算出される。
【0066】
たとえば、図7では、上辺長さ45(H_Width)は100mm、高さ44(V_Height)は20mmと指定されているので、折り目を避けるために、図6の座標系における原点と、点C(x,y)=(H_Width,V_Height)=(100mm,20mm)とを対角線上に有する矩形によって囲まれる領域内に画像が形成されるように面付けする。また、段差までの距離46(D_Height)は25mmと指定されているので、段差および折り目を避けるために、y軸上の値がV_Height〜D_Height(20mm〜25mm)である領域を避けて画像が配置されるようにする。
【0067】
一方、段差に印刷することを回避する設定がないと判断される場合(ステップS104:NO)、段差または折り目を考慮せずに画像形成可能領域を算出する(ステップS106)。このステップでは、コントローラー22は、ステップS104で印字回避設定項目47にチェックがない設定となっていると判断したので、封筒印刷設定画面40で指定された折り返し領域に画像を配置する時に、段差および折り目の位置を考慮することなく画像形成可能領域を算出する。すなわち、段差の位置を指定するD_Heightや、折り目の位置を指定するV_Heightの値は考慮されない。折り返し領域の下端の位置を指定する2*V_Heightおよびフラップ上辺長さH_Widthのみが、画像配置のために考慮される。
【0068】
続いて、挿入画像サイズを画像形成可能領域のサイズに合わせるように調整する(ステップS107)。このステップでは、コントローラー22は、折り返し領域内の段差および折り目に重ならないように画像のサイズを調整したり、画像を移動したりする。具体的には、上述のステップS105で段差および折り目を避けるように画像形成可能領域を算出した場合には、折り目(V_Height)から段差(D_Height)までの領域を除く領域に挿入画像が収まるようにそのサイズを縮小したり、配置を決定したりする。このように、折り目や段差を避けて画像を配置して印刷した封筒Fの例は、図9に示す通りである。図9(A)に示すように、封筒印刷設定画面40のフラップ高さ44の指定値(V_Height)に基づいて、挿入画像がフラップの裏側の面内に収まるように画像サイズが調整される。また、図9(B)に示すように、挿入画像を2列となるように挿入画像を調整してもよい。また、図9(C)に示すように、フラップの上端から折り返し領域(点線で囲まれる領域)の下端(2*V_Height)までの、折り返し領域の縦幅全域に挿入画像を形成してもよい。この場合、折り目(V_Height)から封筒Fの本体部分上端(D_Height)までの領域を避けるように、画像を形成する。こうすることで、折り目や境目によって画像が乱れることを防止できる。
【0069】
または、上述のステップS106で段差や境目を考慮せずに画像形成可能領域を算出した場合には、画像が折り返し領域に収まるようにのみ、挿入画像のサイズを縮小したり、挿入画像を移動して配置を決定したりする。このように段差や折り目を考慮することなく挿入画像が折り返し領域に印刷された封筒Fの例は、図10に示す通りである。図10(A)に示すように、画像は、折り返し領域内の段差や折り目上に重ねて形成される。また、図10(B)に示すように、本実施形態では、封筒Fのフラップを折り返して開口部を封止した後は、差出人に関する基本情報以外の付随的な情報は、封筒Fの外側からは見えなくなる。
【0070】
続いて、差出人情報および挿入画像を面付けしてRIP処理する(ステップS108)。このステップでは、コントローラー22は、ステップS107でサイズや配置位置が調整された挿入画像と共に、差出人についての情報を含む基本情報に関する画像をRIP処理する。
【0071】
続いて、プリンターエンジンにRIP処理された画像を送信する(ステップS109)。このステップでは、コントローラー22は、ステップS108でRIP処理された挿入画像に関するデータ(ラスタデータ)をプリンターエンジン23に送信する。プリンターエンジン23は、受信したラスタデータに基づいて印刷する。その後、折り返し領域についての指定値に基づいて挿入画像の配置位置を決定したりサイズ調整したりする処理は終了する。
【0072】
以上のように、本実施形態では、ユーザーは、封筒Fの裏面の折り返し領域を画定するパラメーターを指定することによって、封筒Fのフラップ裏面を含む折り返し領域から画像をはみ出すことなく画像形成できる。したがって、封筒Fの封を閉じた時に、挿入画像として印刷される内容を露出することがなく、セキュリティ上安全である。また、本実施形態では、折り返し領域内の段差や折り目を避けて画像形成できるので、見栄え良く印刷できる。
【0073】
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0074】
上記実施形態では、挿入画像の全てが折り返し領域に収まるように挿入画像が調整された。しかし、これに限定されない。セキュリティ上特に重要な画像の一部のみを折り返し領域に画像形成できるように、画像形成される情報を取捨選択できるようにしてもよい。たとえば、住民票、履歴書または印鑑証明等の差出人に関する重要な情報を含む内容物についてのリストは、折り返し領域内に印刷し、その他のリストについては折り返し領域外に印刷するようにしてもよい。この場合、重要であるか否かを指定するする項目を、封筒印刷設定画面40にさらに構成できる。
【0075】
また、折り返し領域に封を閉じるための糊付けをする場合、糊付けするための領域をさらに指定して、糊付けする領域を避けて画像形成できるようにしてもよい。
【0076】
上記実施形態では、印刷設定についての処理がプリンタードライバーによって行われる場合について説明したが、プリンタードライバーではなくアプリケーションによって行うこともできる。
【0077】
本実施形態にかかる印刷システムにおける各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウエア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、たとえば、メモリスティックおよびCD−ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、画像形成システムの一機能としてその装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0078】
10 PC、
11 CPU、
12 メモリー、
13 HDD、
14 ディスプレイ、
15 入力装置、
16 通信I/F部、
17 ネットワーク、
20 MFP、
21 画像形成装置、
22 プリンターコントローラー、
23 プリンターエンジン、
40 封筒印刷設定画面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
封筒の一面および他面の少なくとも一方について画像を形成可能な画像形成可能領域を示す領域データと、当該封筒上に形成する画像の画像データと、を含む印刷データを受信する受信手段と、
前記領域データに基づいて、前記封筒の一面の画像形成可能領域のうち、フラップ自体の領域と、当該フラップを折り返して閉じる時に当該フラップによって隠れる領域とを含む、折り返し領域を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された折り返し領域に前記画像を形成するように、前記画像の配置位置を決定する決定手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記折り返し領域に前記画像を配置する際、前記画像が当該折り返し領域より大きい場合、当該画像が当該折り返し領域に収まるように、当該画像を縮小または移動する画像調整手段をさらに有する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記フラップを折り返して閉じた時に前記フラップによって隠れる領域のうち、当該フラップの上端から、当該封筒の袋状を形成する本体部分の上端までの領域をさらに検出し、
前記画像調整手段は、前記フラップ下端の折り目と、前記封筒の本体部分の上端における段差とを避けるように、さらに前記画像の配置位置を調整する請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記領域データは、ユーザーによる前記折り返し領域の範囲の設定を受け付ける受け付け手段によって設定される請求項1〜3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の情報処理装置と、
前記情報処理装置によって決定された配置位置に画像を形成する画像形成手段と、
を含む画像形成装置。
【請求項6】
封筒の一面および他面の少なくとも一方について画像を形成可能な画像形成可能領域を示す領域データと、当該封筒上に形成する画像の画像データと、を含む印刷データを受信する手順(a)と、
前記領域データに基づいて、前記封筒の一面の画像形成可能領域のうち、フラップ自体の領域と、当該フラップを折り返して閉じる時に当該フラップによって隠れる領域とを含む、折り返し領域を検出する手順(b)と、
検出された前記折り返し領域に前記画像を形成するように、前記画像の配置位置を決定する手順(c)と、
を備える情報処理プログラム。
【請求項7】
前記手順(c)において、前記折り返し領域に前記画像を配置する際、前記画像が当該折り返し領域より大きい場合、当該画像が当該折り返し領域に収まるように、当該画像を縮小または移動する手順(d)をさらに有する請求項6に記載の情報処理プログラム。
【請求項8】
前記フラップを折り返して閉じた時に前記フラップによって隠れる領域のうち、当該フラップの上端から、当該封筒の袋状を形成する本体部分の上端までの領域を前記検出手段により検出する手順(e)をさらに有し、
前記フラップ下端の折り目と、前記封筒の本体部分の上端における段差とを避けるように、前記画像の配置位置を調整する手順(f)をさらに有する請求項7に記載の情報処理プログラム。
【請求項9】
ユーザーによる前記折り返し領域の範囲の設定を受け付ける手順(g)をさらに有する請求項6〜8のいずれか一項に記載の情報処理プログラム。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれか一項に記載のプログラムを記録した記録媒体。
【請求項11】
封筒の一面および他面の少なくとも一方について画像を形成可能な画像形成可能領域を示す領域データと、当該封筒上に形成する画像の画像データと、を含む印刷データを受信するステップ(a)と、
前記領域データに基づいて、前記封筒の一面の画像形成可能領域のうち、フラップ自体の領域と、当該フラップを折り返して閉じる時に当該フラップによって隠れる領域とを含む、折り返し領域を検出するステップ(b)と、
検出された前記折り返し領域に前記画像を形成するように、前記画像の配置位置を決定するステップ(c)と、
を備える情報処理方法。
【請求項12】
前記ステップ(c)において、前記折り返し領域に前記画像を配置する際、前記画像が当該折り返し領域より大きい場合、当該画像が当該折り返し領域に収まるように、当該画像を縮小または移動するステップ(d)をさらに有する請求項11に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記フラップを折り返して閉じた時に前記フラップによって隠れる領域のうち、当該フラップの上端から、当該封筒の袋状を形成する本体部分の上端までの領域を前記検出手段により検出するステップ(e)をさらに有し、
前記フラップ下端の折り目と、前記封筒の本体部分の上端における段差とを避けるように、前記画像の配置位置を調整するステップ(f)をさらに有する請求項12に記載の情報処理方法。
【請求項14】
ユーザーによる前記折り返し領域の範囲の設定を受け付ける手順(g)をさらに有する請求項11〜13のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項15】
開口部を有する袋状の本体と、
前記本体の開口部に設けられ、折り返されることで前記開口部を封止するフラップと、
を有し、
前記フラップを折り返す際に、折り返す側の前記フラップの一面と、前記フラップによって隠れる前記本体上の一部と、を含む折り返し領域に画像が印刷された封筒。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−98629(P2013−98629A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237365(P2011−237365)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】