説明

情報処理装置、補正方法、及び補正プログラム

【課題】より適切な測位を実現する補正情報を効率的に取得すること。
【解決手段】情報処理装置において、固定局から送信され該固定局を識別する識別情報を含む信号を受信し、前記受信した信号の受信強度を測定し、前記測定した位置を示す位置情報と前記受信強度と前記識別情報とを対応付けて取得する取得部と、前記測定した受信強度のうち、前記識別信号で識別される固定局の所定方向における第1の距離で測定した受信強度と、前記所定方向における前記第1の距離とは異なる第2の距離で測定した受信強度とから得られる前記識別信号で識別される固定局の前記所定方向の送信アンテナ利得及び伝搬路における減衰率を含む補正情報を演算する利得・減衰率演算部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、より適切な測位を実現する補正情報を効率的に取得するための情報処理装置、補正方法、及び補正プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、無線通信機能を搭載した端末装置(以下、「端末」という)等の位置を特定するために、RSSI(Receive Signal Strength Indication、受信強度)を用いた方法等が利用されている。例えば、従来では、まず端末の周囲に存在する複数(例えば、N点)の固定局からのRSSIを測定し、そのRSSIを距離に換算して、各固定局と端末との間の距離を取得する。その後、従来では、複数の固定局からの距離を組み合わせることで端末が存在する位置の判定が可能となる。
【0003】
また、従来では、例えば複数の基地局からのRSSIによる距離を用いた三角測量による移動局の位置推定において、2箇所以上の位置のRSSIにより位置を推定し、送信パワー、アンテナ利得を既知とし、未知数である距離対伝搬路減衰の傾斜(減衰率)をRSSI測定により求める技術がある。また、従来では、基地局を用いて少なくも1つ(複数)の受信点のRSSIの測定を行ってRSSIマップを作成し、伝搬路減衰モデルの環境影響因子(距離対減衰量を含む)を計算する技術がある。また、従来では、送信電力とアンテナ利得を含む基地局情報と、基地局から受信した無線端末のRSSIと、「奥村−秦の式」等の所定の伝搬損失の推定式により無線端末から基地局までの距離を求める技術がある。また、従来では、固定局からの距離を順次(5mづつ近づける等)変えて電界強度(RSSI)対距離の関係を求め、3つ以上の固定局からの電界強度を測定して距離を求めて移動局の位置を検出する技術がある(例えば、特許文献1〜4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−160158号公報
【特許文献2】特開2007−68163号公報
【特許文献3】特開2010−232920号公報
【特許文献4】特開平11−218571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したように、複数(例えば、N点)の固定局からの電波のRSSIを用い、端末等の測位対象物体を測位する場合、予め位置が登録されている固定局の送信電力が、環境等により変化する場合がある。そのため、従来では、端末等の正確な距離が計算できず、測位結果の誤差が生じるという問題があった。
【0006】
ここで、固定局側から通信距離dだけ離れた端末への受信強度(RSSI)は、以下に示す式(1)で求められる。
RSSI=Ptx+Gtx−Loss_d+Grx ・・・(1)
上述した式(1)において、Ptxは固定局(アクセスポイント)の送信電力を示し、Gtxは固定局の送信アンテナ利得を示し、Loss_dは通信距離dにおける空間ロスを示し、Grxは端末における受信アンテナ利得を示している。また、送信電力Ptx及び送信アンテナ利得Gtxは固定局固有のパラメータを示し、空間ロスLoss_dは距離で決まるパラメータを示し、受信アンテナ利得Grxは端末固有のパラメータを示している。
【0007】
端末は、RSSIを取得することで、上述した式(1)に、取得したRSSI、送信電力Ptx、送信アンテナ利得Gtx、受信アンテナ利得Grxを代入して空間ロスLoss_dを算出する。また、端末は、算出された空間ロスLoss_dの値によって、その固定局との距離を取得する。また、端末は、上述した距離の取得を3つの異なる固定局から行うことで、端末自体の測位を行う。
【0008】
ここで、上述した固定局固有のパラメータは、例えば固定局の向き(角度)、設置方法(例えば、壁との距離)等により変化する。同様に、上述した距離で決まるパラメータは、伝送空間の環境(例えば、雨天の場合や遮蔽物等の電波障害がある場合)により変化する。上述した式(1)において、距離で決まるパラメータである空間ロスLoss_dは、例えば以下に示す式(2)で求めることができる。
空間ロスLoss_d=10log(4πd/λ) ・・・(2)
上述した式(2)において、λは空間中における電波の波長を示し、nは伝搬路における減衰率を示している。なお、式(2)における減衰率nは、自由空間では、2乗(n=2)となるが、反射の影響が多い環境ほど、値が大きくなる(減衰率が上がる)。
【0009】
また、上述した端末固有のパラメータは、端末の向き(角度)、人体との密着度(持ち方)等により変化する。
【0010】
ここで、固定局固有のパラメータに含まれる送信電力Ptxは、通常無線規格により一律に決定される場合が多い。また、距離で決まるパラメータに含まれる波長λは、通常無線規格により一律に決定され、例えばチャンネル(ch)の違いにより多少異なるが無視できるレベルである。更に、端末固有のパラメータに含まれる受信アンテナ利得Grxは、例えば端末毎に予め設定される値等を用いることができる。
【0011】
したがって、式(1)において、固定局からの距離dが決定されれば、未知の変数は、送信アンテナ利得Gtxと、空間ロスの減衰率nの2つとなる。
【0012】
しかしながら、上述した特許文献1〜4では、何れも上記の2つに関して補正する処理等がなく、より適切な測位を実現する補正情報を効率的に取得することができない。
【0013】
開示の技術は、かかる問題を鑑み、より適切な測位を実現する補正情報を効率的に取得することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
開示の一態様における情報処理装置は、固定局から送信され該固定局を識別する識別情報を含む信号を受信し、前記受信した信号の受信強度を測定し、前記測定した位置を示す位置情報と前記受信強度と前記識別情報とを対応付けて取得する取得部と、前記測定した受信強度のうち、前記識別信号で識別される固定局の所定方向における第1の距離で測定した受信強度と、前記所定方向における前記第1の距離とは異なる第2の距離で測定した受信強度とから得られる前記識別信号で識別される固定局の前記所定方向の送信アンテナ利得及び伝搬路における減衰率を含む補正情報を演算する利得・減衰率演算部と、を有する。
【発明の効果】
【0015】
開示の技術によれば、より適切な測位を実現する補正情報を効率的に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1における送信アンテナ利得及び減衰率の補正方法の概要を説明するための図である。
【図2】実施例1における測位システムの概略構成例を示す図である。
【図3】固定局情報の一例を示す図である。
【図4】固定局補正情報に基づいて生成されるアンテナ利得の指向性パターンの一例を示す図である。
【図5】実施例1における端末の測位例を示す図である。
【図6】実施例1における固定局補正情報の生成例を示すシーケンス図である。
【図7】実施例1における補間情報生成例を示すフローチャートである。
【図8】実施例1における固定局情報の参照及び位置推定例を示すシーケンス図である。
【図9】実施例2における固定局補正情報の登録処理の概要例を示す図である。
【図10】実施例2における測位システムの概略構成例を示す図である。
【図11】実施例2における固定局補正情報の生成例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら実施例について詳細に説明する。
【0018】
<実施例1>
図1は、実施例1における送信アンテナ利得及び減衰率の補正方法の概要を説明するための図である。実施例1では、上述した式(1)において、固定局からの距離dが決定されると、未知の変数は、上述した送信アンテナ利得Gtx、及び端末から固定局までの伝搬路における減衰率nの2つとなる。そのため、実施例1では、ある固定局に対して複数の方向を予め設定し、更に設定された各方向に対して固定局からの距離が異なる複数の点(例えば、2点等)を設定し、設定した点でのRSSIを実測により測定する。また、実施例1では、測定したRSSIの値に基づいて、送信アンテナ利得Gtx及び端末から固定局までの伝搬路における減衰率nを含む補正情報を生成する。
【0019】
ここで、図1には、固定局(アクセスポイント)が壁に設置されている場合を想定した例を示している。実施例1では、図1に示すように、まず測定する各方向(例えば、ある方向(角度)を基準(0°)として、0°,45°,90°,135°,180°,225°,270°,315°)を設定する。次に、実施例1では、設定された各方向に対して固定局から所定の距離だけ離れた2点(例えば、d=3m、10m)にRSSIを測定する端末を位置付け、固定局からRSSIを測定する。なお、図1に示す黒丸が、端末を位置付ける地点を意味するが、各方向に対して同一距離の2点でなくてもよく、3点以上であってもよい。また、得られたRSSI等を上述した式(1)に代入して送信アンテナ利得Gtxと、減衰率nを算出し、算出した値に基づいて補正を行う。これにより、固定局に対する距離をより適切に取得することができる。
【0020】
なお、端末と固定局との距離や方向については、予め固定局の設置位置を基準とした地図データ等を用いて位置を特定してもよく、また端末と固定局とにGPS(Global Positioning System、全地球測位システム)機能を用いて、端末と固定局とのそれぞれの位置情報(緯度、経度等)から距離や方向を求めてもよい。更に、実施例1では、端末に測距センサ等を設けて固定局との距離を測定してもよい。
【0021】
なお、上述した各方向の例としては、例えば、図1に示すように例えば45°間隔に限定されるものではなく、例えば、5°、10°、15°、30°、60°、90°等、任意に設定することができる。また、上述した間隔は、より細かいほど精度がよくなる。
【0022】
また、実施例1では、RSSIが計測されていない角度について、近隣の角度からの情報を用いて補間することができる。例えば、実施例1では、固定局からの方向が45°及び90°のRSSIを測定した場合、それぞれから得られた測定値から例えば線形近似等を用いて中間角度である67.5°の補間データを作成することもできる。
【0023】
なお、上述した測定を実施する端末としては、例えば、携帯電話、Personal Digital Assistant(PDA、携帯情報端末)、ノート型パーソナルコンピュータ、電子書籍端末、音楽再生装置、ゲーム機器、Point Of Sale(POS)端末、無線機等があるが、これに限定されるものではない。また、上述した説明において固定局とは、例えば1又は複数の固定局を管理する管理サーバ等に位置情報が登録されているアクセスポイント等を示す。したがって、固定局に限定されず、移動することが可能な移動局においても適用することができる。
【0024】
<実施例1:システム構成例>
次に、上述した実施例1におけるシステム構成例について、図を用いて説明する。図2は、実施例1における測位システムの概略構成例を示す図である。なお、図2に示す例では、端末側で固定局補正情報を生成する例を示すが、これに限定されるものではなく、例えば固定局側や管理サーバ側等で作成してもよい。また、実施例1では、単一端末による固定局補正情報の生成例を示すは、複数の端末を用いてもよい。
【0025】
図2に示す測位システム10は、端末100と、1又は複数(図2の例では、3つ)の固定局200と、管理サーバ300とを有する。ここで、管理サーバ300と各固定局200−1〜200−3とは、例えばインターネット等に代表される通信ネットワーク400等により接続され、データ等の送受信が行われる。一方、各固定局200−1〜200−3と、端末100とは、例えばアンテナ201,111を介して電波によりデータ等の送受信が行われる。なお、上述した内容は、これに限定されるものではなく、他の通信形態を用いてもよい。
【0026】
<実施例1:端末100>
ここで、上述した端末100について、具体的に説明する。端末100は、無線通信部110と、固定局補正情報生成部120と、端末情報記憶部130と、距離情報入力部140と、固定局角度情報入力部150と、位置推定部160と、表示部170とを有する。
【0027】
無線通信部110は、アンテナ111を介して、各固定局200−1〜200−3にそれぞれ設けられたアンテナ201−1〜3との電波の送受信を行う。また、無線通信部110は、管理サーバ300から送られる端末測定情報要求を固定局補正情報生成部120に出力する。
【0028】
また、無線通信部110は、例えば各固定局200−1〜200−3からRSSIを取得する測定情報取得手段としての機能を有する。無線通信部110は、取得したRSSIを固定局補正情報生成部120及び位置推定部160に出力する。なお、具体的には、無線通信部110は、補正情報を生成するために取得した対象の固定局(特定固定局)に対するRSSIを固定局補正情報生成部120に出力する。また、無線通信部110は、端末100を測位するために取得した複数の固定局(例えば、固定局200−1〜200−3)に対するRSSIを位置推定部160に出力する。
【0029】
また、無線通信部110は、電波を受信した固定局に関する情報(固定局情報)を位置推定部160に出力する。この固定局情報は、例えば管理サーバ300から送られるものであり、RSSIを取得した固定局に対して、未だ補正情報が生成されていない場合には、固定局初期情報331が固定局情報となり、既に補正情報が生成されている場合には、固定局補正情報332が固定局情報となる。
【0030】
更に、無線通信部110は、管理サーバ300から取得した固定局初期情報331を固定局補正情報生成部120に出力し、固定局補正情報生成部120から得られる固定局補正情報332を管理サーバ300に出力する。
【0031】
つまり、実施例1では、固定局200−1〜200−3を識別する識別情報を含む信号を受信し、受信した信号の受信強度を測定し、測定した位置を示す位置情報と受信強度と識別情報とを対応付けて取得する取得部として、無線通信部110等を有する。
【0032】
固定局補正情報生成部120は、端末測定情報要求受信部121と、送信アンテナ利得・減衰率演算部122と、端末記憶部123とを有する。
【0033】
固定局補正情報生成部120は、無線通信部110から得られる管理サーバ300から送られた端末測定情報要求に基づいて固定局補正情報を生成し、生成した固定局補正情報を無線通信部110に出力する。
【0034】
具体的には、固定局補正情報生成部120において、端末測定情報要求受信部121は、無線通信部110から所定の固定局に対する補正情報を生成するための端末測定情報要求を受信する。なお、受信した要求情報には、例えば所定の固定局に対する所定の角度の補正情報の生成要求が含まれる。
【0035】
送信アンテナ利得・減衰率演算部122は、送信アンテナ利得又は減衰率を演算する補正情報生成手段である。このとき、送信アンテナ利得・減衰率演算部122は、上述した端末測定情報要求に基づいて、又は、端末測定情報要求の有無に関係なく、ユーザ等からの指示により、固定局初期情報331等を用いて演算処理を行う。
【0036】
つまり、送信アンテナ利得・減衰率演算部122は、図1に示すように所定の固定局に対する予め設定した距離及び角度情報に基づいて取得した複数(例えば、2つ)のRSSI値と、その固定局に対応する固定局初期情報331に含まれる送信電力等の値とを用いて、上述した式(1)にその値を代入し、所定方向(角度)における送信アンテナ利得と減衰率とを算出する。また、送信アンテナ利得・減衰率演算部122は、算出された結果を用いて固定局補正情報332を生成し、生成した固定局補正情報332を無線通信部110に出力する。
【0037】
端末記憶部123は、管理サーバ300から取得した固定局初期情報331、複数の測定地点毎のRSSI値(例えば、図2の例では、2つの測定地点(例えば、RSSI値1、RSSI値2))、角度情報、受信アンテナ利得情報、波長情報、RSSI値に対応する複数の測定距離情報(例えば、距離情報1、距離情報2)等が蓄積される。
【0038】
端末情報記憶部130には、端末100に関する各種情報(例えば、受信アンテナ利得、無線規格(波長)情報)、識別情報や機種情報、性能、ユーザ情報、ユーザからの設定情報等の各種情報が記憶される。
【0039】
距離情報入力部140は、各固定局200−1〜200−3のそれぞれのRSSIを測定する際、その測定時の距離情報等の入力を行う。なお、距離情報は、予め設定されていてもよく、例えばRSSIの測定の度に任意に設定してもよい。
【0040】
固定局角度情報入力部150は、各固定局200−1〜200−3のRSSIを測定する際、測定時の固定局の角度情報を入力する。なお、角度情報は、予め設定されていてもよく、例えばRSSIの測定の度に任意に設定してもよい。
【0041】
位置推定部160は、距離推定部161と、測位結果判定部162とを有する。距離推定部161は、無線通信部110から得られる固定局情報及びRSSIから、各固定局200−1〜200−3からの距離を推定する。つまり、距離推定部161は、各固定局から取得したRSSI値から各固定局200−1〜200−3と端末100との間の距離を推定する。
【0042】
また、測位結果判定部162は、距離推定部161により得られる各固定局200−1〜200−3からの距離に基づいて、各固定局200−1〜200−3からの距離の交点から測位を行い、その測位結果の判定を行う。
【0043】
表示部170は、例えばディスプレイ等である。表示部170は、位置推定部160における位置推定結果を表示する。なお、表示部170は、音声出力機能を有していてもよく、音声等により位置推定結果等を出力することもできる。また、表示部170は、位置推定結果の出力以外にも、実施例1を実行する上での設定情報を表示したり、実行結果や実行経過を表示することもできる。
【0044】
なお、上述した端末100は、補正情報を生成するための計測を行う機能と、補正情報を用いて測位を行う機能とを有する。しかしながら、実施例1では、これに限定されるものではなく、例えば上述した補正情報を生成するための計測を行う機能と、補正情報を用いて測位を行う機能とをそれぞれ別の端末が有していてもよい。
【0045】
<実施例1:管理サーバ300>
次に、上述した管理サーバ300について、具体的に説明する。管理サーバ300は、通信部310と、固定局情報管理部320と、固定局情報記憶部330とを有する。
【0046】
通信部310は、通信ネットワーク400を介して各固定局200−1〜200−3に対してデータの送受信を行う。具体的には、通信部310は、固定局情報管理部320からの各種制御信号や、端末100おける測位等に必要となる固定情報記憶部330に記憶された各種情報等の送信を行う。また、通信部310は、端末100や各固定局200−1〜200−3から得られる情報を受信し、固定局情報管理部320に出力する。
【0047】
固定局情報管理部320は、固定局情報送受信部321と、固定局補正情報登録部322と、端末測定情報要求部323と、補間情報生成部324とを有する。
【0048】
固定局情報管理部320は、通信ネットワーク400等に接続されている管理対象の固定局200−1〜200−3に対する固定局情報(例えば、固定局初期情報や固定局補正情報等)の管理を行う。
【0049】
具体的には、固定局情報管理部320において、固定局情報送受信部321は、例えば、端末100からの固定局情報取得要求を受信して固定局情報記憶部330により記憶された固定局初期情報331や固定局補正情報332等を端末100に送信する。また、固定局情報送受信部321は、固定局200−1〜200−3から得られる固定局初期情報331や端末100から得られる固定局補正情報を受信し、受信した情報を固定局情報記憶部330等に記憶させる。
【0050】
固定局補正情報登録部322は、端末100により生成された各固定局200−1〜200−3における固定局補正情報332を固定局情報記憶部330に登録する。
【0051】
端末測定情報要求部323は、端末100から固定局補正情報332を取得する場合に、その対象の端末100に対して端末測定情報の要求情報を生成し、生成した要求情報を、通信部310を介して端末100に送信する。なお、要求情報としては、例えば、所定の固定局における補正情報の生成要求であってもよく、所定の固定局の所定の角度(方向)における補正情報の生成要求であってもよい。これにより、例えば、補間情報生成部324において、補間情報が生成できないと判断された角度が存在する場合には、その角度に対する補正情報を端末100で生成するように要求することができる。
【0052】
補間情報生成部324は、端末100の実測により得られた方向(角度)の情報を用いて、実測していない方向(角度)における送信アンテナ利得Gtx、減衰率n等を補間する補間情報を生成する。なお、補間情報生成部324は、例えば所定方向(角度)の測定がない角度に対して、その近隣の角度での情報を用いて補間情報を生成する。なお、補間情報生成部324における具体的な処理内容については、後述する。
【0053】
固定局情報記憶部330は、通信ネットワーク400を介して接続された各固定局200−1〜200−3を管理するための各種情報を記憶する。つまり、固定局情報記憶部330は、固定局毎に、設置時の初期情報を保持し、更に端末100から得られる固定局補正情報の収集時に固定局補正情報の追加や更新等がなされる。
【0054】
例えば、固定局情報記憶部330は、固定局初期情報331と、固定局補正情報332とを有する。固定局初期情報331には、例えば固定局名、位置座標、送信電力等を有する。また、固定局補正情報332には、例えば角度情報、送信アンテナ利得、減衰率等を有する。なお、固定局初期情報331と、固定局補正情報332とにおける情報の内容については、これに限定されるものではない。また、固定局情報記憶部330に記憶される内容についてもこれに限定されるものではない。
【0055】
上述した実施例1の構成により、固定局の送信アンテナ利得と伝送路である空間の減衰率を実環境で測定(実測)することで、より正確な測位が可能となる。また、実施例1では、数点の測定で精度を上げることが可能なため、事前学習にあまり時間を要しない利点がある。
【0056】
また、実施例1では、無線通信機能を搭載した端末において、固定局の周辺のある角度に対して、距離の異なる複数の点(例えば、2点)でのRSSIを測定し、固定局の送信アンテナ利得と、伝搬路における減衰率を算出する固定局補正情報生成部を備える。また、実施例1では、例えば管理サーバ300の固定局情報記憶部330に固定局補正情報を蓄積する。また、実施例1では、端末100の無線通信部110が、各固定局200−1〜200−3から受信したRSSIと固定局補正情報が加わった固定局情報とから、端末100と各固定局200−1〜200−3との距離を計算する。これにより、実施例1では、より適切に測位を行うことができる。
【0057】
なお、上述した測位システム10では、例えば上述した管理サーバ300における機能の一部又は全部を固定局200に設けてもよく、また固定局200における機能の一部又は全部を管理サーバ300に設けてもよい。つまり、管理サーバ300及び固定局200は、例えば情報処理装置として機能する。また、情報処理装置は、管理サーバ300又は固定局200の何れかであってもよい。
【0058】
<固定局情報について>
次に、実施例1における上述した固定局情報について説明する。図3は、固定局情報の一例を示す図である。
【0059】
図3における固定局情報は、固定局初期情報331と、固定局補正情報332とが対応付けて蓄積されている例を示している。つまり、実施例1では、各固定局の登録情報として、位置情報(例えば、座標)以外にも、位置情報に対応する予め設定された各方位毎のアンテナ利得、減衰特性を定義する。
【0060】
図3に示す固定局初期情報331は、例えば、固定局名(例えば、AP1)、位置座標(例えば、(X,Y,Z)=(xxx1,yyy1,zzz1))、送信電力Ptx(例えば、+10dBm)等であるが、これに限定されるものではない。
【0061】
また、図3に示す固定局補正情報332は、例えば、角度情報、送信アンテナ利得Gtx、減衰率、事前測定の有無(例えば、有/無)等であるが、これに限定されるものではない。
【0062】
つまり、固定局初期情報331として蓄積された固定局AP1の位置座標(X,Y,Z)に対して、予め指定された角度を基準(0°)とし、固定局AP1の周囲を所定の角度(例えば、図3の例では、45°毎)に測定した送信アンテナ利得(Gtx)及び減衰率(n)の値を記憶する。なお、これらの補正情報は、計測用の端末100によって算出され、管理サーバ300の固定局情報記憶部330に蓄積してもよい。また、他の例では、管理サーバ300側で補正情報を算出して固定局情報記憶部330に蓄積してもよい。
【0063】
なお、実測値から送信アンテナ利得及び減衰率を求めた場合、固定局補正情報の「事前測定の有無」には、その角度で測定されたことを示す識別情報(例えば、「有」等)が蓄積される。また、図3の例では、角度情報が、22.5°、67.5°、112.5°、157.5°、202.5°、247.5°、247.5°、292.5°、337.5°の地点での測定を行っていない。このような場合、固定局補正情報の「事前測定の有無」には、その角度で測定されていないことを示す識別情報(例えば、「無」等)が蓄積される。
【0064】
また、実施例1では、測定をしていない角度については、例えば、その角度に近隣する複数の角度情報における送信アンテナ利得及び減衰率を用いて、未測定の角度情報に対応する送信アンテナ利得及び減衰率の補間を行う。例えば、角度情報が22.5°の場合、送信アンテナ利得及び減衰率は、実測された角度情報0°及び45°の送信アンテナ利得及び減衰率から算出する。具体的な算出方法としては、例えば、2つの送信アンテナ利得又は減衰率の平均を取ったり、予め設定された関数に2つの数値を代入してその所定角度における送信アンテナ利得及び減衰率を取得し、データを補間することができる。
【0065】
<補間内容について>
ここで、上述した補間内容について具体的に説明する。上述したように実施例1では、事前測定が行われていない角度に対して、近隣の実測した角度の情報を用いて補間情報を作成し登録する。なお、実施例1では、上述した手法により補間情報を生成するか否かについて、所定の条件等を用いて判定を行ってもよい。
【0066】
例えば、実施例1では、補間情報生成部324において、角度aと角度bとの中間の角度((a+b)/2)について補間情報を生成するか否かを判定する場合を考える。この場合、補間情報生成部324は、角度a及び角度bに対する補正情報(例えば、送信アンテナ利得、減衰率等)の差分の絶対値と、予め設定された閾値とを比較し、その比較結果から補間情報を生成するか否かを判定する。
【0067】
つまり、補間情報生成部324は、上述した絶対値が閾値よりも大きい場合(|補正情報(角度a)−補正情報(角度b)|>閾値)には、測定ポイント間に壁等の遮蔽物がある可能性があるため、上述した補間情報の生成を行わない。なお、その角度については、例えば実測による測定を行う旨の情報を生成して出力する。また、補間情報生成部324は、上述した絶対値が閾値以内の場合には、角度aと角度bの補正情報の平均値((補正情報(角度a)+補正情報(角度b))/2)を算出し、算出した結果から角度aと角度bの中間角度における補間情報を生成する。
【0068】
なお、上述した閾値については、予め設定された閾値を、例えば管理サーバ300の補間情報生成部324等に保持する。このとき、実施例1では、例えば送信アンテナ利得の導出において、閾値を10dBとし、角度0°と45°との送信アンテナ利得の値を比較し、その差が10dB以上あれば、角度0°及び45°を設定したそれぞれの方向の間に、障害物等が存在するため、値が大きく変わっている可能性もあると判断する。この場合、角度0°と45°との間である22.5°の送信アンテナ利得の値は、例えば実測による測定を行う旨の情報を生成して出力する。また、上述した絶対値の差が閾値未満であれば22.5°の角度における送信アンテナ利得、減衰率については、上述したように補間情報を生成し、生成した補間情報により値を設定する。これにより、実測する手間を省いてより的確な補正データを取得することができる。
【0069】
<固定局補正情報に基づいて生成されるアンテナ利得の指向性パターンの一例>
図4は、固定局補正情報に基づいて生成されるアンテナ利得の指向性パターンの一例を示す図である。なお、図4(A),(B)の例では、図1と同様に、ある固定局(例えば、AP1)が、壁に設置されている例を示している。更に、図4の例では、上述した本実施形態における固定局補正情報332に基づいて、補正されたアンテナ利得の指向性パターンが設定されている。なお、実施例1において測定する角度(方向)の数や角度範囲は、任意であり、図4(A),(B)に示す例では8方向で全周囲(360°)の場合を示しているが、これに限定されるものではなく、例えば4方向で0°〜180°の範囲等であってもよい。
【0070】
図4(A)の例では、補間情報を線形補間により補間したアンテナ利得パターンを示し、図4(B)の例では、補間情報をスプライン補間により補間したアンテナ利得パターンを示している。また、図4(A)、(B)は、何れも上述した図3に示した固定局補間情報332におけるデータに基づいて生成されている。
【0071】
図4(A)に示す例においては、0°,45°,90°,135°,180°,225°,270°,315°,360°において、実測で設定した情報を出力する。また、その間の角度については、線形補間により直線で結ぶことで、全周囲のアンテナ利得パターンを生成する。
【0072】
また、図4(B)に示す例においては、0°,45°,90°,135°,180°,225°,270°,315°,360°に対して実測値で算出されたアンテナ利得パターンに基づいて、その間の角度におけるアンテナ利得パターンを、例えばスプライン補間等を用いて補間する。なお、スプライン補間とは、隣り合う点に挟まれた各区間に対し、個別の数式(関数、多項式)等を用いて値を補間するものである。したがって、予め設定される数式を用いて実測から求めた値の間が連続となるように補間していくことで、より適切なアンテナ利得パターンを取得することができる。なお、上述したスプライン補間の数式は、例えば今まで実測値により得られたアンテナ種別毎のアンテナ利得パターン等から設定することができるが、これに限定されるものではない。
【0073】
図4に示すように、実施例1では、これらの指向性パターンに基づいて端末の測位における補正を行うことで、より的確な位置を推定することができる。
【0074】
<実施例1における端末の測位例>
ここで、図5は、実施例1における端末の測位例を示す図である。なお、図5の例では、3つの固定局200−1〜200−3を用いて3点測位による端末100の位置推定を行う。この場合、実施例1では、図5に示すように各固定局200−1〜200−3のそれぞれに対する補正された指向性パターン500−1〜500−3が取得できる。なお、これらの補正情報は、例えば管理サーバ300から取得することができ、また固定局200−1〜200−3がそれぞれ保持していてもよい。したがって、端末100は、これらの補正された指向パターンに対応する送信アンテナ利得と減衰率を用いて上述した式(1)に代入してRSSIを求めて、そのRSSIの位置からより的確な位置を推定することができる。
【0075】
具体的には、端末100は、上述した位置推定部160の距離推定部161により、RSSIの測定値と、RSSIに対応する固定局情報等を用いて、各固定局200−1〜200−3からの距離を計算する。また、端末100は、上述した位置推定部160の測位結果判定部162により各固定局からの距離パターンの交点から端末100の位置を取得する。
【0076】
<実施例1における固定局補正情報の生成例>
次に、上述した固定局補正情報の生成例について、シーケンス図を用いて具体的に説明する。図6は、実施例1における固定局補正情報の生成例を示すシーケンス図である。なお、図6では、固定局補正情報の測定を行う端末100と、管理サーバ300とにおけるシーケンス図を示しているが、端末100と管理サーバ300とは、上述した固定局200及び通信ネットワーク400を介してデータの送受信が行われている。また、実施例1における固定局補正情報の生成処理は、例えば、管理サーバ300における端末測定情報要求部323からの要求を端末100が受信した後に行ってもよく、また端末100が要求の有無に関係なく行ってもよい。
【0077】
図6の例では、まず、端末100は、端末情報記憶部130から受信アンテナ利得情報、波長情報を取得し固定局補正情報生成部120へ通知する(S01)。次に、端末100は、固定局初期情報331を管理サーバ300に要求する(S02)。
【0078】
管理サーバ300は、固定局情報管理部321が固定局情報記憶部330から固定局初期情報331を取得し(S03)、取得した固定局初期情報331を要求のあった端末100に送信する(S04)。
【0079】
ここで、端末100は、ある測定対象の固定局(特定固定局)に対する角度情報を入力し固定局補正情報生成部120へ通知し(S05)、更に距離情報入力部140から特定固定局に対する距離(距離情報1)を入力し、固定局補正情報生成部120へ通知する(S06)。また、端末100は、距離情報1における特定固定局のRSSI値(RSSI値1)を取得する(S07)。
【0080】
次に、端末100は、距離情報入力部140から特定固定局に対する距離情報1と異なる距離(距離情報2)を入力し、固定局補正情報生成部120へ通知する(S08)。また、端末100は、距離情報2における特定固定局のRSSI値2を取得する(S09)。
【0081】
次に、端末100は、固定局補正情報生成部120で特定固定局の送信アンテナ利得及び減衰率を算出し(S10)、算出された固定局補正情報332を管理サーバ300に送信する(S11)。なお、S10の処理における算出は、例えば上述した式(1)に対して、上述した2つの距離(距離情報1,距離情報2)及びRSSI値(RSSI値1,RSSI値2)を代入し、その他のパラメータ(送信電力、受信アンテナ利得)にも予め設定された値を代入して、送信アンテナ利得及び減衰率を算出する。
【0082】
管理サーバ300は、固定局情報管理部320で端末300からの固定局補正情報332を収集し(S12)、収集した固定局補正情報332を固定局情報記憶部330へ登録する(S13)。
【0083】
なお、上述の例では、同一方向における2点の距離に対するRSSIを求めたが本発明においてはこれに限定されるものではなく、例えば3点以上であってもよい。
【0084】
つまり、実施例1では、事前測定を少なくすることで効率よく、より的確な測位を実現するための補正を行うが、3点以上で測定してもよい。その場合には、例えば送信アンテナ利得・減衰率演算部にて最初の2点での結果を保持しておき、新たな地点での測定値を用いた計算結果との平均値を算出することで固定局補正情報とすることができる。
【0085】
実施例1では、上述した固定局補正情報の生成及び登録を各固定局毎に行うことで、固定局毎のアンテナ利得パターンや減衰率を補正することができる。
【0086】
<実施例1における補間情報生成例>
次に、実施例1における補間情報生成例について、フローチャートを用いて具体的に説明する。図7は、実施例1における補間情報生成例を示すフローチャートである。図7の例において、管理サーバ300は、まず固定局情報管理部320が固定局情報記憶部330の事前測定有無から事前測定有りの固定局補正情報を抽出し(S21)、補間情報生成部324で固定局補正情報を比較する(S22)。ここで、補間情報生成部324は、上述したように比較結果が予め設定された閾値を超えているか否かを判断し(S23)、閾値を超えている場合(S23において、YES)、端末測定情報要求部323が固定局補正情報332の再測定が必要な角度情報を端末100へ送信する(S24)。これにより、実施例1では、端末100を用いて当該角度における実測による補正情報の生成が行われる。
【0087】
また、補間情報生成部324は、S23の処理において、閾値を超えていない場合(S23において、NO)、実測で求めた2つの角度に対する補正情報を用いて、上述したようにその中間角度における補間情報を生成する(S25)。
【0088】
また、管理サーバ300は、固定局補正情報登録部322がS25の処理により得られた補間情報を固定局情報記憶部330へ登録する(S26)。ここで、管理サーバ300は、S24又はS26の処理が終了後、未登録の角度が存在するか否かを判断する(S27)。なお、未登録であるか否かの判断は、例えば固定局補正情報の角度情報にアンテナ利得情報及び減衰率の何れか又は両方のデータが蓄積されていなかった場合等により判断することができるが、これに限定されるものではない。例えば、実施例1の変形例では、登録/未登録のフラグを固定局補正情報の角度毎に設けておき、それを参照して未登録であるか否かを判断してもよい。
【0089】
ここで、S27の処理において、未登録の角度が存在する場合(S27において、YES)、S22に戻り他の角度に対して後続の処理を行う。また、未登録の角度が存在しない場合(S27において、NO)、処理を終了する。
【0090】
実施例1では、上述した固定局補正情報の生成及び登録を固定局毎に行うことで、固定局毎のアンテナ利得パターンや減衰率を補正することができる。
【0091】
<実施例1における固定局情報の参照及び位置推定処理例>
次に、実施例1における固定局情報の参照及び推定処理例について、シーケンス図を用いて具体的に説明する。図8は、実施例1における固定局情報の参照及び位置推定例を示すシーケンス図である。なお、この処理は、既に上述した固定局補正情報の生成が終了している場合の処理である。
【0092】
図8において、端末100は、まず各固定局(例えば、固定局200−1〜200−3)からRSSI値を取得する(S31)。次に、端末100は、RSSI値を取得した固定局に対する固定局情報を管理サーバ300に要求する(S32)。
【0093】
管理サーバ300は、固定局情報管理部320が固定局情報記憶部330から固定局情報を取得する(S33)。なお、S33の処理では、固定局補正情報332が取得済みの固定局に対しては、固定局補正情報332を固定局情報として使用し、固定局補正情報332が未取得の固定局に対しては、固定局初期情報331を固定局情報として使用する。管理サーバ300は、S33の処理において取得した固定局情報を、要求のあった端末100に送信する(S34)。
【0094】
端末100は、管理サーバ300から得られた固定局情報を用いて、距離推定部161で固定局情報とRSSI値から固定局と端末間の距離を推定し(S35)、各固定局からの距離情報を測位結果判定部162へ通知する(S36)。
【0095】
また、端末100は、測位結果判定部162で各固定局からの距離情報を用いて端末の位置を推定し表示部170へ通知する(S37)。また、端末100は、表示部170に端末の位置推定結果を表示させる(S38)。
【0096】
上述したように、実施例1によれば、固定局の送信アンテナ利得と伝送路である空間の減衰率を実環境で測定することで、より的確な測位が可能となる。また、数点の測定で精度を上げることが可能なため、事前学習にあまり時間を要しないため、効率的で的確な測位を実現することができる。
【0097】
<実施例2>
次に、実施例2について説明する。上述した実施例1では、固定局補正情報332を生成する際、ユーザが端末100を持って固定局毎にその周囲の点におけるRSSIの実測値等を受信する必要があった。しかしながら、例えば、ある特定の位置に既に端末があることがわかっている場合には、その端末を用いて固定局登録の自動化を行うことが好ましい。したがって、実施例2では、固定局の周囲にある複数の端末を用いて固定局補正情報の登録を行う。
【0098】
<実施例2における固定局補正情報の登録処理の概要例>
ここで、実施例2における固定局補正情報の登録処理の概要例について、図を用いて具体的に説明する。図9は、実施例2における固定局補正情報の登録処理の概要例を示す図である。
【0099】
図9では、一例として、あるフロアの壁に設置された固定局の屋内側の周囲に複数の席(席A〜Z、席a〜f)が、予め設定された地点に設置されており、その設置された席には、予め設定された人物が着席するものとする。更に、その人物は、例えばその会社等から貸与された端末を所持しているものとする。
【0100】
このような場合、実施例2では、固定局から座席までの距離や角度(方向)は予め登録されている。したがって、実施例2では、各端末を持った各ユーザが席に座っている間に、その各方向に対して存在する複数の異なる地点(距離)の端末において、固定局からのRSSIを測定し、測定された情報を用いて管理サーバ側で固定局補正情報の生成及び登録を行う。
【0101】
例えば、図9の例では、例えば固定局からの角度45°の方向に対して、席O及びXに着席している人物が所持するそれぞれの端末を用いて、固定局からのRSSIを取得する。また、図9の例では、例えば固定局からの角度90°の方向に対して、席D,L,T,bに着席している人物が所持する端末のうち、少なくとも2つの端末により固定局からのRSSIを取得する。また、図9の例では、例えば、固定局からの角度135°の方向に対して、席C、Qに着席している人物が所持する端末からRSSIを取得する。
【0102】
ここで、実施例2では、各人物の端末を識別するための端末情報(端末ID)と座席(座標)情報とを対応付けておくことで、固定局と座席間の距離パラメータ(d)を把握することができる。したがって、その距離パラメータを用いて、送信アンテナ利得と減衰率のパラメータが推定可能となる。
【0103】
なお、実施例2において、例えば管理サーバには、固定局補正情報の作成に利用可能な端末を使用する人物の座席の情報を、固定局の位置と同様に絶対座標で保持しておいてもよい。また、管理サーバ側では、固定局と座席の位置関係を、固定局からの角度と距離で表した情報へ変換しておいてもよい。更に、上述した端末は、上述した実施例1と同様な装置を用いることができるが、例えば所有者と共に移動可能な携帯端末等に限定されるものではなく、例えば各席上に設置されるノート型パーソナルコンピュータ等を用いることもできる。
【0104】
なお、実施例2では、同一方向に対して3点以上の異なる地点(端末)からRSSI値を取得した場合に、その中から2点の選択する方法として、例えば固定局からの距離が近い2点を選択してもよい。固定局からの距離が近い方が、通信が安定しているため、RSSIを的確かつ迅速に取得できるからである。また、他の例としては、例えば、複数地点から2点の全ての組み合わせ()に対して計算を行い、得られた値の平均値を使用してもよく、これに限定されるものではない。
【0105】
更に、実施例2では、例えば管理サーバから端末に対してRSSI値の測定要求があった場合に、その要求に応じるか否かの情報を端末に予め設定しておき、要求があった場合に、上述した情報に基づいて、RSSI値の測定を行うか否かを判断することができる。
【0106】
<実施例2:システム構成例>
次に、実施例2における測位システムの構成例について、図を用いて説明する。図10は、実施例2における測位システムの概略構成例を示す図である。なお、以下の説明において、上述した実施例1と同様の機能を有する構成については、同一の符号を付するものとし、ここでの具体的な説明は省略する。また、図10では、固定局補正情報を管理サーバで生成する例を示すが、これに限定されるものではなく、固定局側や端末で作成してもよい。
【0107】
図10に示す測位システム20は、端末600と、1又は複数(図2の例では、3つ)の固定局200と、管理サーバ700とを有する。ここで、管理サーバ700と各固定局200−1〜200−3は、上述した通信ネットワーク400等により接続され、データ等の送受信が行われる。一方、各固定局200−1〜200−3と、端末600とは、アンテナを介して電波によりデータ等の送受信が行われる。なお、上述した内容は、これに限定されるものではなく、他の通信形態を用いてもよい。
【0108】
図10に示す測位システム20では、固定局からの所定の方向(図10の例では、固定局200−1のアンテナ201−1から所定の方向)にある複数の端末(図10の例では、端末600−1,600−2)を用いてその方向におけるアンテナ利得パターンを補正する補正情報を取得する例を示す。
【0109】
<実施例2:端末600>
ここで、上述した端末600について、具体的に説明する。なお、端末600−1,600−2は、それぞれ同様の構成を有するため、まとめて説明することとする。端末600は、無線通信部110と、測定情報生成部620と、端末情報記憶部130と、位置推定部160と、表示部170とを有する。
【0110】
ここで、測定情報生成部620は、端末測定情報要求受信部121と、記憶部623を有する。記憶部623は、端末ID、RSSI値、受信アンテナ利得情報、波長情報を有する。つまり、実施例1と比較すると、実施例2では、各端末のそれぞれの位置において所定の固定局(特定固定局)からのRSSIを一度取得するだけである。
【0111】
また、実施例2では、図10に示すように複数の端末600−1,600−2で得られた測定情報を管理サーバ300が取得して固定局毎の補正情報を生成して蓄積する。したがって、端末600−1,600−2の記憶部623には、実施例1の端末100のように距離情報や角度情報等を入力する機能を設けたり、入力された距離情報や角度情報等を蓄積しておく必要はない。
【0112】
端末600は、無線通信部110から得られる端末測定情報要求に対して、所定の固定局からのRSSIを取得し、取得したRSSIの値と、端末を識別するための端末ID、波長情報、受信アンテナ利得情報とを含む端末測定情報を無線通信部110に出力する。なお、端末情報記憶部130には、端末600に関する各種情報(例えば、受信アンテナ利得情報、無線規格(波長)情報)、識別情報や機種情報、性能、ユーザ情報、ユーザからの設定情報等の各種情報が記憶されている。そのため、端末600は、例えばこれらのうちの少なくとも1つの情報を端末測定情報に含めて出力してもよい。
【0113】
無線通信部110は、測定情報生成部620により得られる端末測定情報を、固定局200を介して管理サーバ700に出力する。
【0114】
また、端末600において、位置推定部160は、距離推定部161と、測位結果判定部162とを有する。距離推定部161は、無線通信部110から得られる固定局情報及びRSSIから、各固定局200−1〜200−3からの距離を推定する。つまり、距離推定部161は、各固定局から取得したRSSI値から各固定局200−1〜200−3と端末600との間の距離を推定する。このとき、実施例2では、実施例1と同様に、管理サーバ700から固定局補正情報を取得し、取得した補正情報を用いて距離を推定することができる。また、測位結果判定部162は、距離推定部161により得られる各固定局200−1〜200−3からの距離に基づいて、各固定局200−1〜200−3からの距離の交点から測位を行い、その測位結果の判定を行う。
【0115】
表示部170は、位置推定部160における位置推定結果を表示する。なお、表示部170は、音声出力機能を有していてもよく、音声等により位置推定結果等を出力することもできる。また、表示部170は、位置推定結果の出力以外にも、実施例2を実行する上での設定情報を表示したり、実行結果や実行経過を表示することもできる。
【0116】
<実施例2:管理サーバ700>
次に、実施例2における管理サーバ700について、具体的に説明する。管理サーバ700は、通信部310と、固定局情報管理部720と、固定局情報記憶部730と、端末位置情報管理部740とを有する。
【0117】
通信部310は、通信ネットワーク400を介して各固定局200−1〜200−3に対してデータの送受信を行う。固定局情報管理部720は、固定局情報送信部721と、端末測定情報要求部323と、端末測定情報受信部722と、固定局補正情報生成部723と、固定局補正情報登録部322と、補間情報生成部324と、固定局情報記憶部730と、端末位置情報管理部740とを有する。
【0118】
固定局情報管理部720は、固定局補正情報の生成や登録を行う。また、固定局情報管理部720は、端末600からの参照要求に対し、対応する固定局情報を固定局情報記憶部730から抽出し、抽出した固定局情報を要求のあった端末600に返信する。
【0119】
具体的には、固定局情報送信部721は、例えば端末600において測位を行う場合に、対応する固定局の固定局情報を固定局情報記憶部730から取得し、取得した固定局情報を端末600に送信するため固定局情報通信部310に出力する。
【0120】
端末測定情報受信部722は、各端末600−1,600−2が測定した固定局毎の測定情報を受信する。なお、測定情報は、例えば上述したRSSI値、端末ID、波長情報、受信アンテナ利得情報とを含む端末測定情報等である。
【0121】
固定局補正情報生成部723は、送信アンテナ利得・減衰率演算部723−1と、測定情報記憶部723−2を有する。なお、測定情報記憶部723−2は、例えば固定局情報管理部720ではなく、固定局情報記憶部730に記憶してもよい。
【0122】
送信アンテナ利得・減衰率演算部723−1は、各端末に対する既知の距離、及び、角度情報を用いて、各端末600により測定されたRSSIから、上述した式(1)を用いて、測定対象固定局の送信アンテナ利得と減衰率を算出する。また、送信アンテナ利得・減衰率演算部723−1は、算出した送信アンテナ利得及び減衰率等を固定局補正情報332として固定局情報記憶部730に記憶する。このとき、実施例2では、各端末600が、固定局200に対してどの方向にある端末であるかを把握しているため、固定局補正情報332を登録する際、その角度情報に対応させて補正情報を記憶させることができる。
【0123】
固定局情報記憶部730は、固定局初期情報331と、固定局補正情報332と、端末位置情報731とを有する。端末位置情報731は、例えば端末の位置座標、角度・距離情報等である。
【0124】
端末位置情報管理部740は、端末測定情報を取得する対象の端末の位置情報等を管理する。具体的には、端末位置情報管理部740は、例えば座席情報の絶対座標を、各固定局からの角度と距離との情報に変換し、変換した情報を端末位置情報731として固定局情報記憶部730に記憶させる。なお、端末位置情報は、例えば、図9に示す座席情報(座標)であってもよい。また、実施例2では、固定局設置時の初期値を保持し、端末600からの固定局補正情報収集時に更新を行う。
【0125】
なお、実施例2の補間情報生成については、上述した実施例1と同様に補間情報生成部324において処理が行われる。
【0126】
また、実施例2では、固定局200−1〜200−3を識別する識別情報を含む信号を受信し、受信した信号の受信強度を測定し、測定した位置を示す位置情報と受信強度と識別情報とを対応付けて取得する取得部として、端末測定情報要求部323等を有する。
【0127】
<実施例2における固定局補正情報の生成例>
次に、実施例2における固定局補正情報の生成例について、シーケンス図を用いて説明する。図11は、実施例2における固定局補正情報の生成例を示すシーケンス図である。なお、図11については、固定局から所定方向にある複数地点の端末(例えば、端末600−1,600−2)と管理サーバ700とを設けているが、端末の数等については、これに限定されるものではない。また、図11の例において、複数地点の端末は、上述した図9に示す座席により位置が特定されているものとする。
【0128】
図11の例において、まず管理サーバ700は、端末測定情報要求部323において、固定局補正情報が必要な角度情報を抽出し、該当する角度にある座席で使用されている端末に対し、端末測定情報要求信号を生成する(S41)。次に、管理サーバ700は、S41の処理により抽出した特定角度に対する測定情報の取得要求を端末600−1(端末1)及び端末600−2(端末2)に対して送信する(S42、S43)。
【0129】
端末600−1は、S42の処理により管理サーバ700から得られる特定角度に対する測定情報の要求を受信し、端末情報記憶部130から端末ID(端末識別情報)、受信アンテナ利得情報、波長情報等を取得し測定情報生成部620へ通知する(S44)。また、端末600−1は、無線通信部110により測定対象となる固定局(特定固定局)のRSSI値を取得し、測定情報生成部620へ通知する(S45)。
【0130】
また、端末600−2は、S43の処理により管理サーバ700から得られる特定角度に対する測定情報の要求を受信し、端末600−1と同様に、端末情報記憶部130から端末ID、受信アンテナ利得情報、波長情報を取得し測定情報生成部620へ通知する(S46)。また、端末600−2は、特定固定局のRSSI値を取得し、測定情報生成部620へ通知する(S47)。
【0131】
また、端末600−1は、S44及びS45の処理に得られた情報を含む端末測定情報を管理サーバ700に送信する(S48)。また、同様に、端末600−2は、S46及びS47の処理に得られた情報を含む端末測定情報を管理サーバ700に送信する(SS49)。
【0132】
管理サーバ700は、端末600−1及び端末600−2から得られる端末測定情報に基づいて、例えば実施例1と同様に上述した式(1)に値を代入し、固定局補正情報生成部723で測定角度に対する送信アンテナ利得及び減衰率を算出する(S50)。また、管理サーバ700は、算出結果として得られた送信アンテナ利得及び減衰率を含む固定局補正情報332を固定局情報記憶部730へ登録する(S51)。
【0133】
なお、上述したS50及びS51の処理において、管理サーバ700は、端末600−1及び端末600−2から得られる端末測定情報の端末IDに基づいて、固定局情報記憶部730から端末位置情報(例えば、位置座標、特定固定局からの距離、角度(方向))731等を取得する。次に、管理サーバ700は、固定局補正情報生成部723において、端末位置情報に含まれる距離情報と、端末測定情報とを用いて、上述した式(1)により当該角度に対する送信アンテナ利得と減衰率とを算出する。更に、管理サーバ700は、上述した情報に基づいて固定局補正情報332を固定局情報記憶部730へ登録する。
【0134】
なお、実施例2では、上述した処理を、特定固定局に対して予め選択される他の複数の方向に対しても同様の処理を行い、特定固定局の周囲のアンテナ利得の指向性パターンを補正する。
【0135】
なお、実施例2の例では、RSSIを測定する端末は異なることとなる。そのため、端末毎の受信アンテナ利得等も異なる。しかしながら、実施例2では、端末毎に予め設定された受信アンテナ利得情報を端末測定情報として管理サーバ700に送信しているため、上述した式(1)の受信アンテナ利得に個々の端末に対する値を代入することができる。これにより、適切に補正情報を生成することができる。
【0136】
なお、上述した各実施例における受信アンテナ利得については、予め設定された値を用いてもよいが、例えば端末の向きや人体(誘電体)との接触度等に応じて受信アンテナ利得が変動することもある。そのため、上述した各実施例では、接触度等に応じて受信アンテナ利得を調整して使用することもできる。その場合、例えば、本出願人により出願された特願2011−76195号に示す手法を適用することができる。
【0137】
具体的には、例えば端末は、その端末を使用する人体等の誘電体との接触情報等を検出する機能を有し、検出された接触情報等から、記録部等に予め記録された利得テーブルを参照して、補正用の受信アンテナ利得を抽出する。上述した各実施例では、このようにして抽出された受信アンテナ利得を用いて上述した送信アンテナ利得と減衰率とを算出することもできる。
【0138】
なお、上述した実施例で説明した補正処理(例えば、補正情報生成処理)等は、コンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。つまり、上述した補正処理等を行うプログラムは、を記録媒体に記録し、このプログラムが記録された記録媒体をコンピュータや端末に読み取らせて、上述した測位補正処理を実現させることも可能である。なお、記録媒体は、CD−ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的或いは磁気的に記録する記録媒体、ROM、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記録媒体を用いることができる。また、上述した各実施例で説明した補正処理は、1つ又は複数の集積回路に実装してもよい。
【0139】
上述した各実施例は、適宜組み合わせて使用することもできる。また、上述した実施例では、送信アンテナ利得及び減衰率の両方の値を算出したが、これに限定されるものではなく、何れか一方を算出して補正してもよい。その場合、他方には、予め設定された値が用いられる。
【0140】
上述した各実施例によれば、より適切な測位を実現する補正情報を効率的に取得することができる。具体的には、例えば無線通信機能を搭載した端末と、固定局の情報を管理している管理サーバとの測位システムにおいて、固定局の周辺のある角度に対して、距離の異なる複数点でのRSSIを測定し、固定局の送信アンテナ利得と、伝搬路における区間の減衰率を算出し、固定局補正情報としてサーバへ蓄積する。また、各実施例では、端末の測位を行う際は、端末が各固定局から受信したRSSIと固定局補正情報が付加された固定局情報から、端末と固定局の距離を計算して測位を行う。これにより、各実施例では、固定局の送信アンテナ利得と伝送路である空間の減衰率を実環境で測定することで、より正確な測位が可能となる。また各実施例では、数点の測定で精度を上げることが可能なため、事前学習にあまり時間を要しない利点がある。
【0141】
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、上記変形例以外にも種々の変形及び変更が可能である。
【0142】
なお、以上の実施例に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
固定局から送信され該固定局を識別する識別情報を含む信号を受信し、前記受信した信号の受信強度を測定し、前記測定した位置を示す位置情報と前記受信強度と前記識別情報とを対応付けて取得する取得部と、
前記測定した受信強度のうち、前記識別信号で識別される固定局の所定方向における第1の距離で測定した受信強度と、前記所定方向における前記第1の距離とは異なる第2の距離で測定した受信強度とから得られる前記識別信号で識別される固定局の前記所定方向の送信アンテナ利得及び伝搬路における減衰率を含む補正情報を演算する利得・減衰率演算部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
(付記2)
前記取得部は、固定局に対する所定距離及び所定角度における受信強度を、端末装置に測定させる端末測定情報要求部を有し、
前記端末測定情報要求部による要求に対応する前記受信強度と、前記端末装置の前記固定局に対する距離情報及び角度情報とに基づいて、前記固定局の所定方向における送信アンテナ利得又は伝搬路における減衰率を含む補正情報を生成する補正情報生成部と、
前記補正情報生成部により得られる補正情報を記憶する固定局情報記憶部と、
前記端末装置における測位の際に、受信強度を取得する固定局に対応する前記補正情報を前記記憶部から抽出し、抽出した補正情報を、前記端末装置に出力する固定局情報管理部とを有することを特徴とする付記1に記載の情報処理装置。
(付記3)
前記補正情報が生成されていない角度に対し、既に生成されている補正情報を用いて、前記角度に対する補正情報を補間する補間情報生成部を有することを特徴とする付記1又は2に記載の情報処理装置。
(付記4)
前記補間情報生成部は、
既に取得した2つの角度に対する補正情報を用いて補間する際、前記2つの角度に対する補正情報の差分と、予め設定された閾値とを比較し、比較した結果に基づいて、前記補正情報が生成されていない角度を補間するか否かを判断することを特徴とする付記3に記載の情報処理装置。
(付記5)
前記取得部は、前記固定局から送信される信号を受信する無線通信部を有し、
前記無線通信部で受信した信号から端末測定情報要求を識別する端末測定情報要求受信部を有し、
前記無線通信部は、前記端末測定情報要求に応じて、前記演算された補正情報を要求元へ送信することを特徴とする付記1に記載の情報処理装置。
(付記6)
固定局から送信され該固定局を識別する識別情報を含む信号を受信し、前記受信した信号の受信強度を測定し、前記測定した位置を示す位置情報と前記受信強度と前記識別情報とを対応付けて取得し、前記測定した受信強度のうち、前記識別信号で識別される固定局の所定方向における第1の距離で測定した受信強度と、前記所定方向における前記第1の距離とは異なる第2の距離で測定した受信強度とから得られる前記識別信号で識別される固定局の前記所定方向の送信アンテナ利得及び伝搬路における減衰率を含む補正情報を演算する、処理を有することを特徴とする補正方法。
(付記7)
固定局から送信され該固定局を識別する識別情報を含む信号を受信し、前記受信した信号の受信強度を測定し、前記測定した位置を示す位置情報と前記受信強度と前記識別情報とを対応付けて取得し、前記測定した受信強度のうち、前記識別信号で識別される固定局の所定方向における第1の距離で測定した受信強度と、前記所定方向における前記第1の距離とは異なる第2の距離で測定した受信強度とから得られる前記識別信号で識別される固定局の前記所定方向の送信アンテナ利得及び伝搬路における減衰率を含む補正情報を演算する、処理をコンピュータに実行させるための補正プログラム。
【符号の説明】
【0143】
10,20 測位システム
100,600 端末
110 無線通信部
111,201 アンテナ
120 固定局補正情報生成部
121 端末測定情報要求受信部
122 送信アンテナ利得・減衰率演算部
123 端末記憶部
130 端末情報記憶部
140 距離情報入力部
150 固定局角度情報入力部
160 位置推定部
161 距離推定部
162 測位結果判定部
170 表示部
200 固定局
310 通信部
320,720 固定局情報管理部
321 固定局情報送受信部
322 固定局補正情報登録部
323 端末測定情報要求部
324 補間情報生成部
330,730 固定局情報記憶部
331 固定局初期情報
332 固定局補正情報
300,700 管理サーバ
400 通信ネットワーク
500 指向性パターン
620 測定情報生成部
623 記憶部
740 端末位置情報管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定局から送信され該固定局を識別する識別情報を含む信号を受信し、前記受信した信号の受信強度を測定し、前記測定した位置を示す位置情報と前記受信強度と前記識別情報とを対応付けて取得する取得部と、
前記測定した受信強度のうち、前記識別信号で識別される固定局の所定方向における第1の距離で測定した受信強度と、前記所定方向における前記第1の距離とは異なる第2の距離で測定した受信強度とから得られる前記識別信号で識別される固定局の前記所定方向の送信アンテナ利得及び伝搬路における減衰率を含む補正情報を演算する利得・減衰率演算部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記取得部は、固定局に対する所定距離及び所定角度における受信強度を、端末装置に測定させる端末測定情報要求部を有し、
前記端末測定情報要求部による要求に対応する前記受信強度と、前記端末装置の前記固定局に対する距離情報及び角度情報とに基づいて、前記固定局の所定方向における送信アンテナ利得又は伝搬路における減衰率を含む補正情報を生成する補正情報生成部と、
前記補正情報生成部により得られる補正情報を記憶する固定局情報記憶部と、
前記端末装置における測位の際に、受信強度を取得する固定局に対応する前記補正情報を前記記憶部から抽出し、抽出した補正情報を、前記端末装置に出力する固定局情報管理部とを有することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記補正情報が生成されていない角度に対し、既に生成されている補正情報を用いて、前記角度に対する補正情報を補間する補間情報生成部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記固定局から送信される信号を受信する無線通信部を有し、
前記無線通信部で受信した信号から端末測定情報要求を識別する端末測定情報要求受信部を有し、
前記無線通信部は、前記端末測定情報要求に応じて、前記演算された補正情報を要求元へ送信することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
固定局から送信され該固定局を識別する識別情報を含む信号を受信し、前記受信した信号の受信強度を測定し、前記測定した位置を示す位置情報と前記受信強度と前記識別情報とを対応付けて取得し、前記測定した受信強度のうち、前記識別信号で識別される固定局の所定方向における第1の距離で測定した受信強度と、前記所定方向における前記第1の距離とは異なる第2の距離で測定した受信強度とから得られる前記識別信号で識別される固定局の前記所定方向の送信アンテナ利得及び伝搬路における減衰率を含む補正情報を演算する、処理を有することを特徴とする補正方法。
【請求項6】
固定局から送信され該固定局を識別する識別情報を含む信号を受信し、前記受信した信号の受信強度を測定し、前記測定した位置を示す位置情報と前記受信強度と前記識別情報とを対応付けて取得し、前記測定した受信強度のうち、前記識別信号で識別される固定局の所定方向における第1の距離で測定した受信強度と、前記所定方向における前記第1の距離とは異なる第2の距離で測定した受信強度とから得られる前記識別信号で識別される固定局の前記所定方向の送信アンテナ利得及び伝搬路における減衰率を含む補正情報を演算する、処理をコンピュータに実行させるための補正プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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