説明

情報処理装置

【課題】HDDを取り外す際に、バッテリーユニットを先に離脱しないとHDDを離脱できないため、HDDが損傷するのを防止することができる。
【解決手段】第1の筐体1に対して着脱可能であり、本装置に電力供給を行うことができるバッテリーユニット4と、第1の筐体1に対して着脱可能であり、情報媒体にデータを記録または再生可能なHDD8と、HDD8を閉塞可能なカバー5とを備えた情報処理装置であって、カバー5は、HDD8を閉塞する閉塞位置と、HDD8を開放可能な開放可能位置との間を移動可能であり、バッテリーユニット4は、第1の筐体1に装着されている時、カバー5が閉塞位置に位置するようカバー5を位置規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノート型パ−ソナルコンピュータ(以下、ノートパソコンと称する)などの情報処理装置に関する。特に、情報処理装置の筐体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノートパソコンの普及が進み、機能だけに限らず、様々な形式のものが市場で売られている。
【0003】
ノートパソコンは、一般的に充電式のバッテリーからの給電により駆動する。バッテリーは、ノートパソコンにおける所定の位置に着脱可能である。また、最近のノートパソコンは、例えばハードディスクドライブ(以下、HDDと称する)やシリコンディスクドライブなどの記憶媒体を着脱可能に搭載しているものがある。このようなノートパソコンに対して例えば着脱可能なHDDでは、劣化や故障による交換、記憶容量アップ、データ移動を主な用途とする。HDDをノートパソコンから取り外す場合は,まずHDDを覆うハードディスクカバー(HDDカバー)を取り外し、次にHDD接続コネクタを外し、さらにHDDをノートパソコンから取り出す順番が一般的である。
【0004】
特許文献1には、HDDを情報処理装置に対して着脱可能であり、情報処理装置を外部の固定場所に固定した時にHDDを着脱できない構成が開示されている。また、特許文献2には、バッテリーと着脱可能なHDDとを重ねて内蔵した構成が開示されている。また、特許文献3には、情報処理装置に対して着脱可能なHDDをロック可能なロック機構およびそのロック制御方法が開示されている。また、特許文献4には、電池パック内に着脱可能なHDDの構成が開示されている。また、特許文献5には、情報処理装置から電池が取り外される際に、HDDのヘッドを退避させディスクを保護する構成が開示されている。
【特許文献1】特開平6−119082号公報
【特許文献2】特開2002−182788号公報
【特許文献3】特開2006−259797号公報
【特許文献4】特開2007−134105号公報
【特許文献5】特開2007−150953号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の構成ではHDDカバーを取り外してHDDをノートパソコンから取り外す際、バッテリーからの給電によりノートパソコンの電源が入っている場合がある。HDDが通電及び動作状態であるにも関わらず、HDDがノートパソコンから取り外された場合、HDD内の磁気ヘッドがディスク面に損傷を与え、データの記録再生ができなくなる可能性がある。最悪の場合には、ディスクの全記録面が使用不可となる。
【0006】
本発明の目的は、HDDを取り外す際に、バッテリーユニットを先に離脱しないとHDDを離脱できないため、HDDが損傷するのを防止することができる情報処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の情報処理装置は、筐体と、前記筐体に対して着脱可能であり、本装置に電力供給を行うことができるバッテリーユニットと、前記筐体に対して着脱可能であり、情報媒体にデータを記録または再生可能なドライブユニットと、前記ドライブユニットを閉塞可能なカバーとを備えた情報処理装置であって、前記カバーは、前記ドライブユニットを閉塞する閉塞位置と、前記ドライブユニットを開放可能な開放可能位置との間を変位可能であり、前記バッテリーユニットが前記筐体に装着されている状態において、前記カバーは、前記バッテリーユニットにより前記閉塞位置に位置規制されているものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、ドライブユニットを覆っているカバーを取り外さないとバッテリーを取り外すことができない構成としたことにより、本装置にバッテリーから給電が行われている状態でドライブユニットが取り外されることを防止し、ドライブユニットが損傷することを防止することができる。
【0009】
特に、HDDを交換する際に、HDDカバーを取り外す前にバッテリーパックを取り外すことが必須となるので、HDDに通電を行ったままHDDの着脱作業が行われることがなく、HDDの損傷を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の情報処理装置は、上記構成を基本として以下の態様をとることができる。すなわち、本発明の情報処理装置において、前記カバーは、前記閉塞位置で、前記筐体の一部に係合し、前記開放可能位置で、前記筐体の一部との係合が外れる構成とすることができる。
【0011】
(実施の形態)
図1は、実施の形態における情報処理装置の一例であるノートパソコンの外観を示す斜視図である。
【0012】
図1に示すように、ノートパソコンは、第1の筐体1と第2の筐体2とから構成されている。第1の筐体1は、その上面1aにキーボード3を備え、中央演算処理装置(CPU)や電気回路基板などを内蔵している。第2の筐体2は、液晶モニタ7を備えている。第1の筐体1及び第2の筐体2は、樹脂または軽金属(例えばアルミニウム、マグネシウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金のいずれか)により形成されている。第1の筐体1と第2の筐体2とは、ヒンジ機構6によって矢印A及びその逆方向に回動自在に結合している。なお、図1に示す状態を第1の状態と定義し、図1に示す第1の状態から第2の筐体2を矢印Aに示す方向へ回動させ、液晶モニタ7とキーボード3とが微小隙間を挟んで対向させた状態を第2の状態と定義する。
【0013】
図2は、第1の筐体1の下面1bの構成を示す平面図である。図3は、第1の筐体1の背面1dの構成を示す背面図である。図4は、ノートパソコンを第2の状態にしたときの下面1b側の斜視図である。図2〜図4に示すように、第1の筐体1の下面1b及び背面1dの一部を形成するようにバッテリーユニット4及びハードディスクドライブカバー5(以下、カバー5と称する)を備えている。バッテリーユニット4及びカバー5は、第1の筐体1に対して着脱可能である。
【0014】
バッテリーユニット4は、充電式の電池を内蔵し、ノートパソコンに電力を供給することができる。また、バッテリーユニット4は、前面46にスライドツマミ41及び42を備えている。スライドツマミ41は、バネなどの付勢手段により図3及び図4に示す位置に常に付勢され、図3及び図4に示す位置から矢印Bに示す方向へスライド可能に配されている。スライドツマミ42は、バネなどの付勢手段により図3及び図4に示す位置に常に付勢され、図3及び図4に示す位置から矢印Cに示す方向へスライド可能に配されている。また、スライドツマミ41及び42は、ロック爪43(図5を参照して後述)が一体的に設けられている。これにより、スライドツマミ41及び42が図3及び図4に示す位置にある時は、ロック爪43が第1の筐体1のバッテリー装着部11(図5を参照して後述)に配された凹部11bに嵌合し、バッテリーユニット4が第1の筐体1に保持されている。なお、ロック爪43は、バッテリーユニット4における側面44とその反対面にも配されている(図示省略)。よって、ロック爪43を嵌合可能な凹部11bは、凹部11bが配された内面に対向する内面にも形成されている(図示省略)。また、バッテリーユニット4は、背面45に、ノートパソコンに配された電極11a(図5を参照して後述)に電気的に接続可能な電極(不図示)を備えている。また、バッテリーユニット4は、背面45から突出するように突起部(不図示)を備えている。
【0015】
カバー5は、バッテリーユニット4に隣接する位置に配されている。カバー5は、第1の筐体1におけるHDD装着部14(図7を参照して後述)を覆うように配されている。詳しい構成については後述するが、カバー5は、バッテリーユニット4を第1の筐体1から取り外さないと、第1の筐体1から取り外すことができないように構成されている。
【0016】
以下、バッテリーユニット4及びカバー5の第1の筐体1に対する着脱方法について説明する。
【0017】
図2〜図4は、バッテリーユニット4及びカバー5が第1の筐体1に装着されている状態を示す。図5は、バッテリーユニット4を第1の筐体1から離脱させた状態を示す。図6は、カバー5をスライドさせた状態を示す。図7は、カバー5、HDD8を第1の筐体1から離脱させた状態を示す。
【0018】
まず、図2〜図4に示す状態では、バッテリーユニット4は、ロック爪43(図5参照)が第1の筐体1に配された凹部11b(図5参照)に嵌合していることで、Z軸方向の位置が規制されている。また、バッテリーユニット4は、背面45に配された2カ所の突起部(不図示)が第1の筐体1に配された凹部11c及び11dに嵌合していることで、X軸方向の位置が規制されている。これにより、バッテリーユニット4は、第1の筐体1におけるバッテリー装着部11(図5参照)に保持されている。この時、バッテリーユニット4の背面45に配された電極(不図示)が、第1の筐体1に配された電極11aに電気的に接触していることにより、バッテリーユニット4内の充電池からノートパソコンへ電力を供給することができる。
【0019】
また、カバー5は、HDD8(図7参照)を閉塞する位置にある。また、図2に示すように、カバー5は、その側面58がバッテリーユニット4の側面44に当接していることにより、Y軸方向の位置が規制されている。また、カバー5は、突起部52がバッテリーユニット4の背面45に当接し、前面55の下端に形成された爪部56及び57(図7参照)が第1の筐体1に係合していることにより、Z軸方向の位置が規制されている。また、図3に示すように、カバー5は、突起部51が第1の筐体1の突起部12に係合し、爪部53が孔部15に嵌合し、爪部54が孔部16に嵌合していることにより、X軸方向の位置が規制されている。以上のように、カバー5は、X軸、Y軸、およびZ軸の全ての方向に対して位置が規制されて、第1の筐体1に保持されている。なお、本実施の形態では、カバー5は、図2〜図4に示す状態においてネジによって第1の筐体1に固定されていることにより、さらに第1の筐体1から容易に離脱できない構成になっている。
【0020】
次に、バッテリーユニット4を第1の筐体1から取り外す。具体的には、図4に示す状態において、スライドツマミ41を矢印Bに示す方向へスライドさせ、スライドツマミ42を矢印Cに示す方向へスライドさせる。これにより、スライドツマミ41に一体的に設けられたロック爪43(図5参照)とスライドツマミ42に一体的に設けられたロック爪(不図示)が第1の筐体1の凹部11b(図5参照)から離脱し、バッテリーユニット4を矢印Dに示す方向へスライド可能な状態になる。次に、バッテリーユニット4を矢印Dに示す方向へスライドさせて、図5に示すようにバッテリーユニット4を第1の筐体1から離脱させる。これにより、バッテリーユニット4における電極と第1の筐体1に配された電極11a(図5参照)とを分離させることができ、バッテリーユニット4とノートパソコンとを電気的に導通していない状態にすることができる。なお、図5に示す状態では、カバー5は、X軸方向とZ軸方向の位置が規制されている。
【0021】
次に、カバー5を第1の筐体1から取り外す。具体的には、図5に示す状態において、カバー5は、バッテリーユニット4が第1の筐体1から離脱したことにより、Y軸方向へ移動が可能な状態になる。さらに、カバー5は、突起部52と第1の筐体1の当接面13と間には隙間W(図2参照)があるため、矢印Eに示す方向へ移動させることができる。
【0022】
図6は、カバー5を矢印Eに示す方向へ移動させ、開放可能位置まで移動させた状態を示す。図6に示す状態では、突起部52と当接面13とが当接している。また、図6に示す状態では、第1の筐体1の突起部12とカバー5の突起部51の係合状態が解除されているため、カバー5を矢印Fに示す方向へ移動させることができる。この状態から、カバー5の前面55側を矢印Fに示す方向へ移動させることで、カバー5は爪部53及び54を軸に回動し、爪部56及び57をリブ17から離脱させることができる。爪部56及び57をリブ17から離脱させた後、カバー5を矢印Gに示す方向へ移動させることで、爪部53を孔部15から離脱させ、爪部54を孔部16から離脱させることができる。これにより、図7に示すようにカバー5を第1の筐体1から離脱させることができる。
【0023】
図7に示すように、カバー5を第1の筐体1から離脱させることにより、HDD装着部14に装着されたHDD8を露出させることができる。HDD8は、ネジなどの固定手段によりHDD装着部14に固定されている。また、HDD8は、入出力端子を備え、その入出力端子とノートパソコン側に配された入出力端子とがケーブル(不図示)を介して接続されている。HDD8を第1の筐体1から離脱させる際は、ケーブルとHDD8に配された入出力端子とを分離させ、HDD8を固定しているネジを取り外す。これにより、図7における矢印Lに示すように、HDD8を第1の筐体1から離脱させることができる。
【0024】
また、図7に示す状態から、HDD8をノートパソコンに装着する際は、前述の離脱方法の逆手順にて行う。すなわち、まず、図7に示すように、第1の筐体1のHDD装着部14にHDD8を装着する。次に、図6に示すように、カバー5をHDD装着部14に装着し、カバー5を矢印Kに示す方向へスライドさせ、図5に示す状態にする。次に、図4に示すように、バッテリーユニット装着部11にバッテリーユニット4を装着する。
【0025】
本実施の形態によれば、HDD8をノートパソコンから離脱する際、HDD8を閉塞しているカバー5を取り外す前にバッテリーユニット4を取り外すことが必須となるので、バッテリーユニット4からノートパソコンへの電力供給を停止してから、HDD8を離脱することになる。したがって、HDD8をノートパソコンに対して離脱する際に、バッテリーユニット4からノートパソコンに電力が供給されていることはなく、HDD8に通電が行われていることはない。よって、HDD8の破損を防止することができる。
【0026】
なお、本実施の形態では、バッテリーユニット4を第1の筐体1に装着していることでカバー5の位置を規制する構成としたが、カバー5と同等の構成を持つHDDであっても、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0027】
また、本実施の形態では、カバー5は、HDD装着部14の上方に離脱する構成としたが、バッテリーユニット装着部11にスライド可能に支持された構成としてもよい。このような構成において、ノートパソコンからHDDを離脱する際は、まずバッテリーユニット4を第1の筐体から離脱(本実施の形態と同様の手順)させ、次にカバー5をHDD装着部14からバッテリーユニット装着部11側へスライドさせる。カバー5がバッテリーユニット装着部11上まで移動すると、HDDが露出する。次に、本実施の形態と同様の手順でHDDを第1の筐体1から離脱させる。なお、カバー5は、HDD装着部14に位置している時は、バッテリーユニット5によってスライドしないように位置規制されている。
【0028】
また、本実施の形態では、HDD8をノートパソコンに対して着脱可能な構成としたが、シリコンディスクドライブ(SDD)や光ディスクドライブ等のノートパソコンに対して着脱可能な記録再生装置であっても同様の効果が得られる。
【0029】
また、本実施の形態におけるHDD8は、本発明のドライブユニットの一例である。本実施の形態ではドライブユニットの一例としてHDDを挙げたが、光学ディスクにデータを記録または再生可能なドライブや、メモリーカードなどのように半導体メモリーを内蔵した情報媒体にデータを記録または再生可能なドライブであってもよい。
【0030】
また、本実施の形態では、情報処理装置の一例としてノートパソコンを挙げて説明したが、少なくとも装置本体に対して着脱可能なバッテリー及びディスクドライブを備えた構成であれば、本実施の形態と同様の効果が得られる。情報処理装置の例としては、例えば、PDA(personal digital assistance)、携帯型ゲーム機、携帯型医療機器などがある。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の情報処理装置は、ノートパソコンなどのようにバッテリー駆動する機器に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施の形態における情報処理装置の外観を示す斜視図
【図2】バッテリーユニット及びカバーが第1の筐体に装着されている状態を示す平面図
【図3】バッテリーユニット及びカバーが第1の筐体に装着されている状態を示す背面図
【図4】バッテリーユニット及びカバーが第1の筐体に装着されている状態を示す斜視図
【図5】バッテリーユニットを第1の筐体から離脱させた状態を示す斜視図
【図6】カバーをスライドさせた状態を示す斜視図
【図7】カバー、HDDを第1の筐体から離脱させた状態を示す斜視図
【符号の説明】
【0033】
4 バッテリーユニット
5 カバー
8 HDD

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に対して着脱可能であり、本装置に電力供給を行うことができるバッテリーユニットと、
前記筐体に対して着脱可能であり、情報媒体にデータを記録または再生可能なドライブユニットと、
前記ドライブユニットを閉塞可能なカバーとを備えた情報処理装置であって、
前記カバーは、前記ドライブユニットを閉塞する閉塞位置と、前記ドライブユニットを開放可能な開放可能位置との間を変位可能であり、
前記バッテリーユニットが前記筐体に装着されている状態において、前記カバーは、前記バッテリーユニットにより前記閉塞位置に位置規制されている、情報処理装置。
【請求項2】
前記カバーは、
前記閉塞位置で、前記筐体の一部に係合し、
前記開放可能位置で、前記筐体の一部との係合が外れる、請求項1記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−80801(P2009−80801A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214396(P2008−214396)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】