所定の厚さを有するセラミックのタイルまたは平板のパターンを形成する装置および方法
【課題】泥状物によってセラミックのタイルに所望のパターンを形成する装置及び方法を提供する。
【解決手段】泥状物を準備する手段と、少なくとも1つの種類の泥状物を保持する少なくとも1つの泥状物保持槽と、少なくとも1つのパターン形成トレイ300と、少なくとも1つの槽を、少なくとも1つのパターン形成トレイ300に接続する少なくとも1つの手段と、加圧脱水ユニット500と、を備えている。パターン形成ユニット200は、所望のパターンを形成するために、予め決められた種類、量、色の泥状物をパターン形成トレイ300に予め決められた順序で供給し、所望のパターンを有する泥状物は、セラミックのタイルまたは平板の厚さ全体にまで及ぶ所望のパターンを有する該セラミックのタイルまたは平板を形成するために、加圧脱水ユニット500で加圧される。
【解決手段】泥状物を準備する手段と、少なくとも1つの種類の泥状物を保持する少なくとも1つの泥状物保持槽と、少なくとも1つのパターン形成トレイ300と、少なくとも1つの槽を、少なくとも1つのパターン形成トレイ300に接続する少なくとも1つの手段と、加圧脱水ユニット500と、を備えている。パターン形成ユニット200は、所望のパターンを形成するために、予め決められた種類、量、色の泥状物をパターン形成トレイ300に予め決められた順序で供給し、所望のパターンを有する泥状物は、セラミックのタイルまたは平板の厚さ全体にまで及ぶ所望のパターンを有する該セラミックのタイルまたは平板を形成するために、加圧脱水ユニット500で加圧される。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔発明の背景〕
セラミックのタイル産業において、所望のパターンを有するセラミックのタイルを製造する技術および方法の発展に多くの労力が注がれている。セラミックのタイル産業は、最上層においてのみ、または表層においてのみ所望のパターンを有するタイルの製造から、タイルの厚さ全体にまで及ぶ所望のパターンを有するタイルの製造に移行している。
【0002】
これを行う周知の方法の1つは、乾燥した土の粉末を容器の中に入れた後、上記容器の排出管の開口部を介して、異なる種類および色の土の粉末の層を形成する垂直な区画に上述の内容物を排出することによる。その後、上記区画を90°回転させて、上記内容物を水平なモールドに移す。その後、上記内容物は、該内容物をセラミックのタイルにする高圧条件において、上記モールドと共に加圧される。異なる種類の土の粉末および色からなる、異なる層が、タイルのパターンに形を変える。しかしながら、この方法に関する問題は、上記区画に放出する土の粉末の量を制御することが困難であるため、色の帯の幅を調節および変えることができないことである。従って、得られるパターンが限定される。さらに、上記区画の回転によって、土の細粒が移動してしまうため、パターンを歪めてしまう。従って、得られたタイルは、上記パターンを露にするために焼成した後に、更なる表面処理を施す必要がある。
【0003】
欧州特許1273408号および国際公開2004/071733号は、タイルまたは平板の厚さ全体にまで及ぶパターンの連続的な縞を作製する技術を開示している。しかしながら、表層における材料が互いに混合して、所望のパターンを歪めてしまうという可能性が残っている。それゆえ、焼成後にセラミックのタイルの上層を研磨しなくても目に見えるパターンを得るためには、加圧する前に表層におけるそれらの混合した材料を吸引によって取り除く必要がある。
【0004】
欧州特許1334811号は、第1の低圧圧縮を含む2重加圧によって特徴付けられる、セラミックのタイルの塊にパターンを作製する技術を開示している。圧縮されたセラミックのタイルは、続いて、上記タイルの塊に浸入することができる特殊なセラミックの顔料を製図に従って塗布するインクジェットシステムによって装飾される。しかしながら、この技術によれば、上記タイルの塊におけるパターンの外観がややぼやける、または片寄る。また、この技術によれば、パターンが貫通する深さの程度は、上記タイルの塊の最下層にまでパターンを与えるほど十分には深くない。
【0005】
上述のような周知の方法および装置のすべては、粉末状の形態を有する材料の圧縮を包含している。
【0006】
〔発明の範囲〕
本発明の範囲は、所定の厚さを有するセラミックのタイルに、該セラミックのタイルの厚さ全体にまで及ぶパターンを形成する装置および方法を提供することにある。上記パターンを形成する方法は、得られたパターンが天然石のパターンと酷似しているため、天然石形成の方法を手本としている。上記装置は、泥状物の位置と、量と、異なる種類および異なる色の順序とを制御する手段を備えていることにより、予め決められたまたは所望のパターンを形成することができる。本発明の他の目的は、ここに記載した方式に係る装置を採用することにより、得られたタイルまたは平板が一定の厚さおよび大きさを有することにある。
【0007】
本発明の範囲は、独立請求項に記載された特徴を有する装置および方法によって達成される。本発明の好ましい実施の形態は、添付図面と共に開示されている。
【0008】
〔本発明の好ましい形態の詳細な開示〕
本発明の方法は、粉末状の形態を有する材料の代わりに泥状の材料の利用を提供する。
【0009】
本発明は、泥状の形態を有する材料から生じる、所定の厚さを有するセラミックのタイルに所望のパターンを形成する装置および方法に関する。
【0010】
本発明に係る装置および方法を採用することによって、所望のパターンが、泥状物(slurry)の位置、量、異なる種類および色の順序を制御することによって得られる。ここで、上記泥状物は、予め決められた量および順序で、パターン受取トレイの予め決められた位置に正確に堆積される。その後、上記泥状物は、加圧脱水ユニットで加圧されて、更なる装飾および焼成の準備ができているグリーンセラミックの平板を形成する。
【0011】
説明という目的のために、本発明に係る装置および方法の種々の実施形態は、限定されない例として与えられる。このため、上記装置および方法は、ここに説明されている特定の実施形態だけに限定されるものではない。
【0012】
まず、上記装置を説明した後、上記方法を説明する。
【0013】
所定の厚さを有するセラミックのタイルに所望のパターンを形成する上記装置(1)の好ましい実施形態は、図1に示すような流れに適合して動作する、泥状物保持槽(100)、配送管によって上記泥状物保持槽(100)と接続されているパターン形成ユニット(200)、パターン形成トレイ(300)、パターン装飾部(400)、および加圧脱水ユニット(500)を備えている。上記パターン形成ユニットは、所望のパターンを形成するために、予め決められた泥状物の種類、量、色を、予め決められた順序で供給し、所望のパターンを有する上記泥状物は、上記加圧脱水ユニットを用いて加圧されて、厚さ全体にまで及ぶ所望のパターンを有するセラミックのタイルまたは平板を形成する。上記装置の構成要素のそれぞれは、次に詳細に説明される。
【0014】
(泥状物保持槽(100))
上記泥状物保持槽(100)は、上記タイルを形成するために使用される土の泥状物を保持することができる。異なる種類および色の上記泥状物を収容する1以上の泥状物保持槽(100)がある。上記泥状物保持槽(100)は、上記パターン形成ユニットに対する上記泥状物の流動または可塑性を促すために、上記泥状物の沈殿を少なくする手段を有している。例えば、上記槽の内部に、上記泥状物の移動を促す少なくとも1つの攪拌器(110)が備えられてもよい。または、上記泥状物保持槽(100)が、上記泥状物保持槽(100)の動きによって内部の内容物が絶え間なく移動するように、可動する基部(図示せず)上に乗っていてもよい。さらに、上記泥状物の流動を促すために、上記泥状物保持槽(100)は、必要に応じて、上記泥状物の温度を所望の範囲に制御する手段を有する加熱ユニット(図示せず)を備えていてもよい。この構成により、上記泥状物の粘性を低下させることができる。上記泥状物保持槽(100)内部の圧力は、維持されている。上記泥状物保持槽(100)は、上記泥状物をパターン形成ユニット(200)に配送する配送管(105)に接続されている。
【0015】
(パターン形成ユニット(200))
図2に示すように、パターン形成ユニット(200)は、配送管(105)によって上記泥状物保持槽(100)に接続されている。パターン形成ユニット(200)は、制御された圧力条件(もしくは制御された圧力条件および/または温度条件)における上記泥状物が配送される、1以上の配送管(105)を収容することがきる。上記パターン形成ユニット(200)の上記配送管(105)には、上記パターン形成ユニット(200)内に供給される上記泥状物の量および色を調整するために、弁(205)が取り付けられている。上記パターン形成ユニット(200)内の配送管(105)の端部には、所望の構造および目的の構造を有する、取り外し可能な末端部(210)が取り付けられている。上記末端部(210)およびその端部の異なる構造は、形成されるパターンを変えること、または予め決められたパターンを生産することに寄与する。
【0016】
上記パターン形成ユニット(200)は、上記配送管(105)から供給される上記泥状物を保持することができる泥状物保持部(215)を有する。異なる種類および色の上記泥状物が、泥状物保持部(215)で混合されることにより、異なる線および縞を作ることができる。上記パターン形成ユニット(200)の端部には、取り外し可能な供給部材(220)が取り付けられている。上記供給部材(220)の開口端は、上記泥状物が上記パターン形成トレイ(300)に供給されるたびに、更なる種類の線および縞を形成する、あらゆる周知の構造であってもよい。他の実施形態において、上記供給部材(220)は、図2に示すように、上記泥状物が供給される量および速度を調節する弁(225)を備えていてもよい。更なる実施形態(ここでの記載はない)において、上記パターン形成ユニット(200)には、1以上の供給部材(220)が取り付けられている。上記供給部材(220)は、上記パターン形成トレイ(300)に堆積された上記泥状物の予め決められた位置および色に従って、円運動に行う(回転する)ことができる。さらに、パターン形成ユニット(200)全体は、上記パターン形成トレイ(300)の形状および大きさに対応して、前後左右または円運動のように、すべての方向に移動することができる。所望の位置に所望の種類および色の上記泥状物を堆積させて、予め決められたパターンまたは所望のパターンを作るように、同じパターン形成トレイ(300)に上記泥状物を供給する1以上のパターン形成ユニット(200)があってもよい。
【0017】
上記パターン形成ユニット(200)の動作、全体としての動作速度、上記供給部材(220)の動作、および、上記配送管に取り付けられた上記弁(205)および/または上記供給部材(220)の端部にある弁(225)の開口の度合いは、この目的にために開発され、所望のパターンが予め符号化されたソフトウェアアプリケーションによって調整される。
【0018】
図3に示すような上記パターン形成ユニット(220)の他の実施形態において、上記パターン形成ユニット(200)には、上記泥状物の流動を促進または維持する手段が取り付けられている。上記手段は、上記泥状物保持部(215)内に備えられた少なくとも1つの攪拌器(230)として特徴付けられる。上記攪拌器(230)は、上記泥状物の流動を促進および維持するだけでなく、上記泥状物の混合および混和を補助する。また、上記攪拌器(230)の大きさおよび速度が、該攪拌器(230)から供給される上記泥状物の線および縞の大きさに影響を与えるので、上記攪拌器(230)の構造および動作速度は、異なる特徴を有するパターンの作製を補助する。
【0019】
図4は、上記パターン形成ユニット(200)の更なる実施形態を示している。本実施形態において、上記パターン形成ユニット(200)は、パターン受取トレイ(235)をさらに備えている。この特定の実施形態は、調和した色またはパターンを有するセラミックのタイルまたは平板の生産、あるいは異なる色調を有するタイルまたは平板の生産に適している。
【0020】
本実施形態において、上記泥状物は、上記パターン形成トレイ(300)に直接供給されるのではなく、上記供給部材(220)からパターン受取トレイ(235)に供給された後、上記パターン形成トレイ(300)に供給される。上記泥状物が上記パターン形成トレイ(300)に供給されるとき、所望のパターンが形成される。
【0021】
上記パターン受取トレイ(235)は、上記パターン形成トレイ(300)を横断するように可動し、上記泥状物を収容する筐体(240)と、上記泥状物を混合すると共に、上記パターン受取トレイ(235)の底部領域に配置された開口部に向かって上記泥状物を押し流す手段とを備えている。上記手段は、上記底部領域における開口部を横断するように配置されている螺旋状スクリュー(245)として特徴付けられる。上記パターン受取トレイ(235)の底部には、上記泥状物が上記パターン形成トレイ(300)に供給されるときに通過する開閉部材(260)が取り付けられている。上記パターン受取トレイ(235)の大きさは、上記パターン形成トレイ(300)の大きさと一致していることが好ましい。さらに、上記泥状物が上記パターン形成トレイ(300)へ縦に供給されるのであれば、上記筐体(240)の長さは、上記パターン形成トレイ(300)の幅とほぼ同じ大きさであることがより好ましい。
【0022】
上記パターン受取トレイ(235)の筐体(240)は、区画板(255)を用いてより小さな区画(250)に分割されていてもよい。ここで、各区画(250)は、上記泥状物保持部(215)内に形成された、異なる色、異なる色の組み合わせ、または、様々な色調もしくは異なる基本パターンを有する色の組み合わせを有する上記泥状物を保持することができる。上記区画板(255)が、上記筐体(240)に取り外し可能に固定されているので、上記区画(250)の大きさは、上記区画板(255)の数を増やすまたは減らすことによって、または、上記筐体(240)に沿って上記区画板(255)を動かすことによって、調節されてもよい。上記パターン受取トレイ(235)の筐体(240)を区画することは、異なる色および/またはパターンを有する泥状物が他の泥状物と混合することを抑制するので、上記パターンの鮮明さを向上させる。
【0023】
上記パターン受取トレイ(235)の底部領域に配置されている上記螺旋状スクリュー(245)は、上記パターン受取トレイ(235)の筐体の長さにあわせて取り付けられている。上記螺旋状スクリュー(245)は、その軸の周りを回転することができる。上記螺旋の数、大きさおよび長さは、異なる大きさの色の帯、異なる大きさの色の縞、異なる大きさの色の線、または異なるパターンのバリエーションを有するパターンを作るために変更されてもよい。上記螺旋状スクリュー(245)の動作は、適切な電子機器によって制御されてもよく、また、上記ソフトウェアアプリケーションに予め符号化されていてもよい。上記螺旋状スクリュー(245)は、上記泥状物を上記パターン形成トレイ(300)の中に分布するために、上記パターン受取トレイ(235)の底部の開口部に向かって上記泥状物を押し流す。上記螺旋状スクリュー(245)の動作速度は、さらに形成される上記パターンのバリエーションに寄与する。
【0024】
上記パターン受取トレイ(235)を有するまたは有していない、上記パターン形成ユニット(200)は、上記パターン形成トレイ(300)に上記泥状物を供給する間、上記パターン形成ユニット(200)は、上記パターン形成トレイ(300)に沿って、および/または上記パターン形成トレイ(300)を横断するように移動して、上記泥状物を均等に分布する。上記パターン受取トレイ(235)を有する実施形態では、泥状物が上記パターン受取トレイ(235)に供給されている間、上記螺旋状スクリュー(245)は、絶え間なく回転し続けると共に、上記泥状物が供給されているとき、上記パターン受取トレイ(235)の底部に配置された、開口状態にある上記開閉部材(260)(図5参照)の開口部を介して、上記泥状物を押し流している。供給されている上記泥状物の総重量は、上記パターン形成トレイ(300)の下部にある、スケール(図示せず;scale)を有する重量センサによって制御されている。つまり、上記パターン形成トレイ(300)は、上記泥状物が供給されている間、計量装置上に位置している。上記計量装置は、上記ソフトウェアアプリケーションと接続されている。上記泥状物の量が予め決められた重量に達すると、上記計量装置が作動し、上記供給ユニット(200)が一時的に供給を抑制する。そして、上記開閉部材(260)が閉口状態に移行して、上記パターン形成ユニット(200)が開始位置に戻る。上記パターン形成ユニット(200)は、新たなパターン形成トレイ(300)が位置につくと、供給を再開する。さらに、上記泥状物のあふれまたは不足という問題を低減するために、上記供給部材(220)から上記パターン受取トレイ(235)に供給される上記泥状物の量は、上記パターン受取トレイ(235)から上記パターン形成トレイ(300)に供給される上記泥状物の量と一致している。
【0025】
図5は、上記パターン受取トレイ(235)の更なる実施形態を示している。本実施形態に係るパターン受取トレイ(235)は、より大きなセラミックのタイルまたは平板を生産するために、その大きさをより大きくすることができると共に、上記泥状物をより多量に保持することができる。本実施形態において、より多量の上記泥状物は、上記トレイに、上記泥状物の流れを制御することを困難にする高い内圧を生じさせる。このため、本実施形態において、上記パターン受取トレイ(235)は、開閉蓋(265)および高精度な空気圧システム(270)をさらに備えている。所望の量の上記泥状物が上記パターン受取トレイ(235)内に移された後、上記開閉蓋(265)が閉じられると、上記トレイ内部の空気が除去されて、真空環境が作り出される。その後、上記泥状物は、上記パターン受取トレイ(235)の底部の開閉部材(260)の開閉を必要に応じて制御することにあわせて、上記空気システムを制御することによって供給される。その後、上記開閉部材(260)の開口、上記螺旋状スクリュー(245)の速度および上記パターン受取トレイ(235)内の圧力が、上記ソフトウェアアプリケーションによって調節および維持されることにより、上記所望のパターンが実現される。
【0026】
(パターン形成トレイ(300))
上記パターン形成トレイ(300)は、上記タイルまたは平板の形状および大きさが、所望のタイルまたは平板の形状および大きさと一致するように、上記タイルまたは平板用のモールドとして機能する。上記パターン形成トレイ(300)は、互い接するように取り付けられた、枠(305)および濾過シート(310)を備えている。上記枠(305)は、上記パターン形成トレイ(300)の境界を形成している。図6に示すように、外側の閉じた枠線(枠の境界)を有する長方形のパターン形成トレイ(300)は、長方形のタイルまたは平板を形成するために必要である。本実施形態において、上記パターン形成トレイ(300)は、外側の閉じた枠線のみを備えている。図7は、上記トレイの中央に空隙を有する上記パターン形成トレイ(300)の更なる実施形態を示している。本実施形態によれば、上記形成トレイは、指定された位置に、該トレイ内の空隙を決定する少なくとも1つの内側の閉じた枠線を備えている。本実施形態に係るパターン形成トレイ(300)は、必要にあわせて上記平板を変形することなく、例えば流し台または調理台の上面等、利用する準備が整った商品を生成することに適している。当然ながら、上記パターン形成トレイ(300)に特徴付けられる付加的な空隙は、特に限定されることなく、上記タイルまたは平板の利用に適する正方形、長方形、円、長円形および所望の自由な形状を含む。
【0027】
上述のように、上記パターン形成トレイ(300)は、互いに接するように取り付けられた、枠(305)および濾過シート(310)を備えている。
【0028】
上記枠(305)は、上記濾過シート(310)に接するように取り付けられるならば、どのような所望の形状であってもよい。上記枠(305)は、高圧に耐えることが可能であり、圧力が除去された後に元の形状に戻ることが可能な柔軟性を有する材料から形成される。上記枠(305)は、天然ゴム、天然高分子、合成ゴム、熱可塑性のエラストマー、シリコンゴム、ブタジエンゴム、エボナイトゴム、熱硬化性ゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ネオプレンゴム等、または、高圧条件下において曲がるように特別に設計された金属から選択された材料、ならびに選択された材料の組合せから作製されていてもよい。上記枠(305)の高さは、保持され得る上記泥状物の最大量を決定する。従って、上記枠(305)の高さは、少なくとも所望のタイルまたは平板の高さである必要がある。
【0029】
上記パターン形成トレイ(300)の底部を形成する上記濾過シート(310)は、通常の状態では上記泥状物を収納可能であるが、圧力または重量を加えると、水および上記濾過シート(310)の細径よりも小さい粒子を通過させる、多孔性のシートである。上記濾過シート(310)は、あまりに多くの粒子を通過させることにより、結果として上記泥状物を無駄にしてしまうことを防止するために、適切な大きさの細孔を有することが重要である。上記濾過シート(310)を作製する材料は、羊毛繊維、ナイロン、金網、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリブチレンおよびポリアミドから選択されてもよい。
【0030】
上記パターン形成トレイ(300)は、自動的または半自動的な生産をサポートするコンベヤーを形成するために、互いに接続されていることが好ましい。しかしながら、各パターン形成トレイ(300)は、交換または整備が必要なとき、着脱可能または交換可能であることを好ましい。
【0031】
(パターン修飾部(400))
予め決められた量の上記泥状物が上記パターン形成トレイ(300)に分布されると、上記泥状物の異なる種類、色、縞の統合または集合が、上記タイルまたは平板の上記パターンを形成する。しかしながら、所望のパターンを得るために、または、既に形成されたパターン上に更なるバリエーションを作り出すために、パターン修飾部(400)が、所望のパターンの結果を得るために用いられてもよい。上記パターン修飾部(400)は、上記パターン形成ユニット(200)と同期して動作してもよく、また、上記パターン形成ユニット(200)がパターン形成サイクルを完了した後に動作してもよい。上記パターン修飾部(400)は、形成されたパターンに沿ってもしくはパターン内で、ドラッグ、侵食、攪拌、混合または掃引することによって実行可能であれば、種々の形態、形状および構造であってもよい。図6は、パターン装飾部(400)の実施形態を示す一例である。本実施形態において、上記パターン修飾部(400)は、筐体から伸びる複数の歯状部を有している。上記筐体は、上記パターン修飾部(400)の動作を制御可能な電子機器(図示せず)に接続されている。上記歯状部は、必要に応じて異なる構造のものと取り替えられるように、単純な固定部材または単純な連結部材、すなわち接合部を簡単に留めるものによって上記筐体に接続されていてもよい。上記パターン修飾部(400)の動作は、予め決められたパターンを得るために、上記パターン形成ユニット(200)と同様、上記ソフトウェアアプリケーションに予め符号化されることによって制御されてもよい。
【0032】
(加圧脱水ユニット(500))
上記パターン形成ユニット(200)および/または上記パターン修飾部(400)によるパターン形成が完了した後、上記パターン形成トレイ(300)内に形成されたパターンは、加圧の準備が整う。このため、上記パターン形成トレイ(300)は、加圧脱水ユニット(500)に向かって移動する。
【0033】
図11に示す上記加圧脱水ユニット(500)は、通常の油圧式の加圧機と同様の原理で、対象物に圧力を印加することによって作動する。本発明に係る上記加圧脱水ユニット(500)は、湿式加圧ユニットである。その目的は、上記泥状物から多量の水を可能な限り除去して、適度に乾燥するように、セラミックのタイル産業において通常知られている含水量を有するグリーンセラミックのタイルを残すことにある。
【0034】
結果として、濾過を行うことは、上記加圧脱水ユニット(500)の不可欠な要素である。上記加圧脱水ユニット(500)は、上部押圧部(505)と、下部押圧部(510)と、形状維持枠(515)と、吸引ポンプ(図示せず)とを備えている。また、上記加圧脱水ユニット(500)には、加熱および温度制御ユニットと、風力発生器とをさらに取り付けられてもよい。
【0035】
上記上部押圧部(505)は、平らな面を有する金属、高い強度のセラミックまたは合成材料から作製されている。上記平らな面の表面は多孔性である。すなわち、上記平らな面の表面には、上記面の全体に均一に分布した小さな細孔が準備されている。上記面には、形状維持枠(515)に取り付けられている。上記形状維持枠(515)の形状は、上記パターン形成トレイ(300)の形状と一致している必要がある。例えば、図11に示すように、上記形状維持枠(515)は、長方形の上記パターン形成トレイ(300)に一致するように長方形となっている。上記上部押圧部(505)には、排液管(図示せず)が準備されている。上記上部押圧部(505)は、油圧に基づいて動作すると共に、上部押圧部(505)と下部押圧部(510)との間に位置している上記パターン形成トレイ(300)に収容された上記泥状物を加圧するために、固定された下部押圧部(510)に向かって移動することができる。上記泥状物が加圧されると、余分な水および上記濾過シート(310)の細径よりも小さい泥状物の粒子が、上記濾過シート(310)の細孔および上記上部押圧部(505)の表面に準備された孔部を介して漏れ出し、除去用の上記排液管に回収される。
【0036】
同様に、上記下部押圧部(510)は、平らな面を有する金属から作製されている。上記平らな面の表面は多孔性である。すなわち、上記平らな面の表面には、上記面の全体に均一に分布した小さな細孔が準備されている。上記面には、形状維持枠(515’)に取り付けられている。上記形状維持枠(515’)の形状は、上記パターン形成トレイ(300)の形状と一致している必要がある。上記下部押圧部(510)は、位置が固定されており、排液管が準備されている。
【0037】
最大圧力が上記パターン形成トレイ(300)を含むように印加されるとき、上記上部押圧部(505)の上記形状維持部(515)は、上記下部押圧部(510)の上記形状維持枠(515’)と同じ位置にある。すなわち、上記上部押圧部(505)の形状維持枠(515)は、上記下部押圧部(510)の形状維持枠(515’)と接触、またはほぼ接触するような位置にある。
【0038】
上述のように、上記形状維持枠(515および515’)の形状は、上記パターン形成トレイ(300)の形状と一致している必要がある。しかしながら、加圧している間、上記パターン形成トレイ(300)が上記形状維持枠(515および515’)の内側に配置されるので、上記形状維持枠(515および515’)の大きさは、上記パターン形成トレイ(300)よりも僅かに大きい必要がある。加圧している間、柔軟性を有する材料から作製された上記パターン形成トレイ(300)の枠は、上記タイルもしくは平板の形状またはパターンの変形を生じる加圧条件のもとで変形する。従って、上記形状維持枠(515および515’)はこの問題を低減する。
【0039】
さらに、上記パターン形成トレイ(300)が、加圧される位置および加圧される位置に向かって移動可能なように、並びに、加圧が完了した後に移動可能なように、入ってくる方向または出て行く方向(入出方向)に位置する上記形状維持枠(515および515’)は、上記下部押圧部(510)と同じ高さになるように、上下または前後に移動可能である。例えば、上記パターン形成トレイ(300)が上記加圧脱水ユニット(500)の方に移動するとき、入ってくる方向に位置する上記形状維持枠(515および515’)が引っ込むことにより、上記パターン形成トレイ(300)は、所定の位置に移動することができる。上記パターン形成トレイ(300)が、上記形状維持枠(515および515’)の出て行く側(入ってくる側の反対側)に接触すると、上記パターン形成トレイ(300)は、移動することを止める。そして、上記形状維持枠(515および515’)の入ってくる側は、内部の上記パターン形成トレイ部(300)をしっかりと締める位置に戻る。加圧が完了すると、上記形状維持枠(515および515’)の出て行く側が引っ込むことにより、上記パターン形成トレイ(300)は、上記加圧脱水ユニット(500)の外側に出て行くことができる。その後、上記形状維持枠(515および515’)の入ってくる側は、次の上記パターン形成トレイ(300)が入ってくることを見越して再び引っ込むと共に、出て行く側は、上記位置に戻る。
【0040】
さらに、上記タイルまたは平板の厚さを調節または調整するために、上記形状維持枠(515および515’)には、高さを調整する手段が準備されている。上記形状維持枠(515および515’)の高さ、上記パターン形成トレイ(300)の枠(305)の高さ、加圧されているときに収縮する性能、および上記パターン形成トレイ(300)内に収容されている上記泥状物の量は、すべて相互に依存している。
【0041】
通常、最大圧力が印加されているとき、上記枠(305)の高さが収縮または減少する性能は、周知の値である。上記形状維持枠(515および515’)の高さは、上記上部押圧部(505)の面が、上記形状形成トレイ(300)に収容されている上記泥状物に対して、および上記枠(305)に対して押し付けることができるように、加圧後の上記枠(305)の高さと等しいか、または上記枠(305)の高さよりも僅かに低く設定されている。圧力は、最大圧力へと徐々に大きくされる。最大圧力において、多くの余分な水が上記泥状物から可能な限り抽出されるように、上記枠(305)は、上記下部押圧部(510)の上記形状維持枠(515’)の高さと等しいか、または上記形状維持枠(515’)の高さより僅かに高くなるように、その高さを最大限に減少させる。すなわち、上記枠(305)は、上記上部押圧部(505)の上記形状維持部(515)の面が、上記下部押圧部(510)の上記形状維持枠(515’)の面と接触する、またはほぼ接触するように、その高さを最大限に減少させる。
【0042】
異なる厚さを有する新しいタイルまたは平板の一群を生産するとき、多量の余分な水が上記泥状物から可能な限り抽出されるように、上記形状維持枠(515および515’)の高さは、適宜調整されてもよい。また、上記枠(305)の高さは、異なる高さを有する枠(305)を用いることによって、または、異なる収縮値を有する、異なる材料から作製された枠に切替えることによって、調節されてもよい。
【0043】
さらに、上記泥状物から水を抽出する速度を増加させるために、上記枠(305)と同様に上記形状維持枠(515および515’)には、上記上部押圧部(505)および上記下部押圧部(510)と同様の孔部が準備されていてもよい。これにより、水をより速く通過させることができると共に、上記泥状物から水を抽出するために必要な時間を短縮することができる。上記形状維持枠(515)は、整備のために着脱可能であり、損耗したときには交換可能である。
【0044】
余分な水は、上記上部押圧部(505)および上記下部押圧部(510)の排液管に回収されている。その後、水は、加圧が完了した後に吸引ポンプによって除去される。風力発生器は、上記排液管に向かって余分な水を押し出すように補助する。
【0045】
加圧する間、必要に応じて、上記加圧脱水ユニット(500)は、温度制御装置を有する加熱ユニットを備えていてもよい。これにより、上記加圧脱水ユニット(500)は、上記泥状物の粘性を低減させて、上記泥状物から余剰の水を容易に抽出することができる。
【0046】
上記装置は、さらに洗浄部を備えていることが好ましい。ここで、加圧が完了し、グリーンタイルまたは平板が取り出された後に、上記濾過シートおよび上記パターン形成トレイが、生産工程に戻る前に洗浄される。
【0047】
上記装置の上述の実施形態を採用することによって、所定の厚さにまで及ぶパターンを有するセラミックのタイルまたは平板に所望のパターンを形成する方法は、以下に説明されている。以下に記載されている方法は、本発明の本質に係る上記装置の特定の実施形態を採用することに基づいている。しかしながら、われわれの目的は、以下に記載の方法に限定することではない。
【0048】
本発明に係るセラミックのタイルまたは平板に所望のパターンを形成する方法は、以下に記載の工程を包含している。
【0049】
・泥状物を準備する工程
泥状物を得るために、セラミックのタイルまたは平板を生産する原材料が、湿式ボールミルによって研磨される。セラミックの顔料または薄片が加えられることにより、所望の色が得られる。泥状物の粘性を低減させるため、または、上記タイルもしくは平板の強度を向上させるための添加剤または混合剤が、必要に応じて加えられる。得られた泥状物は、パターン形成ユニットに配送される準備が整った、異なる色を有する泥状物を分離する保持槽に保持される。必要に応じて、上記泥状物は、制御された温度のもとで維持されてもよい。
【0050】
・所望のパターンを形成する工程
制御圧力条件下における上記泥状物は、上記パターン形成ユニットに配送される。ここで、予め決められた種類、量、色、色の順序および位置を有する上記泥状物は、パターン形成トレイに供給されて、所望のパターンを形成する。供給される上記泥状物の予め決められた種類、量、色、色の順序および位置は、ソフトウェアアプリケーションに予め符号化されている。
【0051】
・加圧脱水する工程
所望のパターンが形成された上記泥状物は、加圧脱水ユニットによって加圧される。
【0052】
各工程の詳細について、以下に説明する。
【0053】
(泥状物を準備する工程)
泥状物を得るために、セラミックのタイルまたは平板を生産する原材料は、湿式ボールミルによって研磨される。適度な粘性を有する泥状物を得るために、上記泥状物には、30重量%から70重量%の乾燥剤が含まれていることが好ましい。例えば解膠剤、分散剤、凝集剤、消泡剤または界面活性剤等の添加剤または混合剤は、上記原材料の特徴および特性に依存して、上記泥状物に添加される。研磨した後の上記原材料の粒子の大きさ、および異なる種類の原材料の割合は、添加剤または混合剤が必要であるか否かを決定する要因の1つとなる。セラミックのタイルまたは平板の所望の特性は、時として、同様に添加剤が必要であるか否かを考慮するために、重要となる場合もある。例えば、特に強度の高いタイルまたは平板が好ましい場合には、例えばポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルアセテート(PVAc)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、エチレンビニルアセテート(EVA)、澱粉、加工澱粉、セルロース繊維、有機繊維、無機繊維等の強度を向上させる添加剤が、乾燥時の重量の5%まで上記泥状物に添加されてもよい。必要に応じて、上記泥状物は加熱されてもよい。これにより、熱によって粒子が互いに離れることが促進されるため、上記泥状物の粘性を低減させ、上記泥状物の流動を促進させることができる。
【0054】
セラミックの顔料または薄片は、所望の色を得るために、上記泥状物に加えられてもよい。上記顔料は、上記泥状物に、研磨中または研磨が完了した後に加えられてもよい。なお、得られた泥状物は、より高い品質の生成物を作り出すために調和した色を有しているので、後者の方が好ましい。
【0055】
上記泥状物は、異なる色に分離して、保持槽(100)に保持される。上記槽の内圧は、維持されている。上記泥状物は、室温に維持される、および/または、必要に応じて摂氏70度まで加熱されてもよい。その後、上記泥状物は、上記圧力が維持された状態において、配送管によって上記パターン形成ユニット(200)へ継続的に配送される。上記保持槽(100)から上記パターン形成ユニット(200)に上記泥状物が流動する割合は、上記パターン形成ユニット(200)の上記配送管(105)の端部にある弁(205)を調節することにあわせて、上記保持槽(100)の内圧によって調節されている。その後、予め決められた値に従って、予め決められた量の上記泥状物が、上記パターン形成ユニット(200)に供給される。上記泥状物の余剰分については、上記泥状物の品質を維持し、上記泥状物の沈殿および上記配送管の目詰まりを少なくするために、上記保持槽に戻される。
【0056】
(所望のパターン形成工程)
この段階で、異なる種類および色の泥状物は、パターン形成ユニット(200)に配送される。1以上の種類または色の泥状物は、パターン形成ユニット(200)に常に配送される。異なる種類または色の泥状物は、パターン形成ユニット(200)内で混合される。異なる色、色の順序および分布される位置における泥状物の量は、パターンの結果に影響を及ぼす。従って、これらのパラメータの値は、配送管(105)内の圧力とパターン形成ユニット(200)の配送管(105)の端部に取り付けられた弁(205)とが制御されることにあわせて、ソフトウェアアプリケーションにおいて予め符号化されることによって制御される。そして、泥状物は、パターン形成ユニット(200)の底部に取り付けられた供給部材(220)を介して分布される。分布される泥状物の量は、供給部材(220)に取り付けられた弁を調節することによってさらに制御されてもよい。泥状物を供給する間、パターン形成ユニット(200)は、トレイの予め決められた位置に泥状物を堆積および分布させるために、該パターン形成ユニット(200)の移動を調節するための予め符号化された値に応じて移動する。これにより、所望のパターンを得ることができる。パターン形成ユニット(200)は、前後左右への移動および/または円運動(もしくはx、y、z軸内の移動)を行ってもよい。
【0057】
パターン形成ユニット(200)がパターン形成トレイ(300)に泥状物を供給している間、泥状物の量、種類、色、線および縞の差異は、所望のパターンを形成するために統合される。従って、パターンの更なる付加的なバリエーションは、パターン形成トレイ(300)に堆積される泥状物の量、種類、色、線および縞を変化させることによって得られる。図2、3および4は、異なるパターンを得るための、パターン形成ユニット(200)の異なる実施形態を示すものである。
【0058】
所望のパターンを形成する1つの方法は、図2に示す攪拌器を有しないパターン形成ユニット(200)を用いることによるものである。この方法では、異なる種類および色の泥状物がパターン形成ユニット(200)に配送される。予め符号化された値に応じた泥状物は、パターン形成ユニット(200)の泥状物保持部(215)内で自由に混合される。その後、混合された泥状物は、所望のパターンを形成するためにパターン形成トレイ(300)に供給される。この方法に従ったパターンの更なるバリエーションは、各配送管(105)の端部に取り付けられた末端部(210)の形状および構造を変更することによって、供給部材(220)の形状および構造を変更することによって、または、両部材の形状および構造を変更することによって得られる。
【0059】
ここに記載された方式に従って所望のパターンを形成する他の方法は、パターン形成ユニット(200)の泥状物保持部(215)内で泥状物をさらに混合する手段を有するパターン形成ユニット(200)、すなわち図3に示す攪拌器(230)を有するパターン形成ユニット(200)を用いることによるものである。この方法は、前述の方法と同じ方式および技術のもとで機能する。この方法では、予め符号化された値に応じた泥状物が泥状物保持部(215)内で自由に混合された後、この混合された泥状物が攪拌器(230)によってさらに意図的に混合される点で異なる。この技術によって、より品質のよい線および縞を有する混合された泥状物が得られ、結果として、より品質のよい、はっきりとしたパターンを得ることができる。この方法に従ったパターンの更なるバリエーションは、攪拌器(230)の速度を変更することによって得られる。すなわち、パターンの更なるバリエーションは、予め符号化された値を変更すること、末端部(210)および供給部材(220)の形状および構造を変更すること、または、その両方を変更することにあわせて、攪拌器(230)の速度を変更することによって得られる。
【0060】
ここに記載された方式に従って所望のパターンを形成する更なる方法は、図4に示すように、パターン受取トレイ(235)をさらに備えたパターン形成ユニット(200)を用いることによるものである。この方法では、泥状物がパターン形成トレイ(300)に直接供給される代わりに、泥状物は、パターン受取トレイ(235)に供給された後に、パターン形成トレイ(300)に供給される。この方法に関して、パターン形成ユニット(200)は、泥状物が攪拌器(230)を有しないパターン形成ユニット(200)によって供給される前述の方法と同じ方式および技術を用いている。この方法の明確な特徴は、パターン受取トレイ(235)において特徴付けられた構成要素にある。この方法では、泥状物は、まず泥状物保持部(215)で混合された後に、パターン受取トレイ(235)で混合される。これにより、更なるバリエーションおよびより多くの複雑化したパターンが作り出される。さらに、この方法は、様々な色が形成された所望のパターンを有する複数のパターン、1以上のパターンのサブセットを有する複数のパターン、または、幾つかの色調または色斑を有する複数のパターンを形成することに適している。この方法では、泥状物が、パターン受取トレイ(235)の区画に供給される。複数のパターン形成ユニット(200)が、パターン受取トレイ(235)に泥状物を常に供給してもよい。各区画(250)は、ただ1つの特定の色調もしくは色斑、色斑の組合せ、または、複数のパターンのサブセット(基部)の組合せ(すなわち、泥状物保持部(215)内の泥状物の混合による異なる線、縞の混合)で満たされている。パターン受取トレイ(235)をより小さい区画(250)に分割する区画板(255)は、泥状物の不必要な混合を少なくすることを補助する。これにより、(2つの色、色調または複数のパターンのサブセットを満足させる)より高精度のパターンを得ることができる。パターン受取トレイ(235)に供給される泥状物の位置、量、組合せおよび色/色斑は、ソフトウェアアプリケーションの予め符号化された値に応じる。そして、各区画の泥状物は、所望のパターンを形成するために、パターン受取トレイ(235)の底部の開口部に泥状物を供給する螺旋形スクリュー(245)を回転させることによって、パターン形成トレイ(300)に分布される。泥状物を分布している間、パターン形成ユニット(200)は、パターン形成トレイ(300)の幅および長さに対応するように、パターン受取トレイ(235)と同期して移動する。この方法に係るパターンの更なるバリエーションは、螺旋形スクリュー(245)の大きさ、区画の大きさ、螺旋形スクリュー(245)の速度、および、パターン形成ユニット(200)とパターン受取トレイ(235)との移動の速度が変化することに伴うものとなる。
【0061】
ここに記載された方式に従って所望のパターンを形成する更なる方法は、図5に示すように、パターン受取トレイ(235)の実施形態を用いることによるものである。この方法は、図4に示すパターン形成ユニット(200)の実施形態と同様の技術を用いている。しかしながら、この方法では、パターン受取トレイ(235)がより大きいため、多量の泥状物を保持することが可能である。この方法は、より大きなタイルまたは平板に生産するためのパターンを形成することに適している。この実施形態では、パターン受取トレイ(235)には、区画板(255)が取り付けられていてもいなくてもよい。多量の泥状物がパターン受取トレイ(235)に供給されることにより、より高い圧力がトレイ内にかかることになるため、泥状物の流れを制御することが難しくなる。従って、この方法では、開閉蓋(265)および高精度な空気圧システム(270)をさらに備えたパターン受取トレイ(235)を用いることによって、泥状物が分布されることとなる。所望の量の泥状物がパターン受取トレイ(235)に移された後に開閉蓋(265)が閉じられると、トレイ内の空気が除去されて真空環境が作り出される。その後、泥状物は、所望のパターンを形成するために開閉する、パターン受取トレイ(235)の底部の開閉部材(260)を必要に応じて制御することにあわせて、空気圧システム(270)を制御することによって供給される。
【0062】
本発明に係る所望のパターンを形成する方式によれば、種類、色および/または色の組合せ、または、パターンのサブセットに応じて、本発明に係る装置に用いている制御されたパラメータの予め符号化された値で、泥状物を混合することができる。パターン形成中のどの時点においても、1以上の種類、色または色の組合せを有する泥状物を混合することによって、混合された色および個々の色の線、縞を統合することから所望のパターンが形成される限りでは、個々の色、線または縞を依然として維持しているが、パターン形成トレイ(300)に供給する前に、混合した結果生じる泥状物を同質にしないことは、非常に重要なことである。これは、泥状物の圧力、粘性、パターン形成ユニット(200)の攪拌器(230)および/またはパターン受取トレイ(235)の螺旋形スクリュー(245)の速度、および、パターン受取トレイ(300)内で混合した結果生じる泥状物の混合物を移す時間を制御する、組合わされた手段によって達成される。さらに、泥状物は、攪拌器(230)および/または螺旋形スクリュー(245)の動作と同時にパターン形成トレイ(300)に供給されるため、同質になることはない。本発明に係る所望のパターンを形成する方法の1つでは、パターン形成ユニット(200)がパターン形成トレイ(300)に泥状物を継続的に供給している間、攪拌器は30−100rpmで作動する。従って、泥状物は、およそ5−10秒間パターン形成ユニット(200)に留まるだけであるため、同質になることがない。当然ながら、攪拌器の速度は、所望のパターンに応じて予め符号化された値に対応して調整および変更される。
【0063】
上述のように、泥状物は、所望のパターンを形成するために、パターン形成トレイ(300)に供給される。供給された泥状物は、パターン形成トレイの枠(305)内に収容される。従って、枠(305)の形状および大きさは、タイルまたは平板の形状および大きさを決定する。加えて、枠(305)の高さは、収容される泥状物の最大量を決定する。言い換えれば、枠(305)の高さは、タイルまたは平板の最大厚を決定する。
【0064】
動作中、パターン形成トレイ(300)は、泥状物が計量部またはスケールに供給される前に、製造システムに供給され、計量部またはスケールに位置合わせされる。その後、予め決められた量の泥状物がパターン形成トレイ(300)に供給される。泥状物が予め決められた重量を超えると、重量センサは、パターン形成ユニット(200)またはパターン受取トレイ(235)による泥状物の供給を一時的に抑制させるように動作する。このため、各タイルまたは平板は、一定の厚さおよび一定の品質を有することができる。
【0065】
形成されたパターンは、前述のパターン装飾部(400)を用いることによって、さらに装飾または変形されてもよい。パターン装飾部(400)は、形成されたパターンに沿ってもしくは該パターン内で、ドラッグ、侵食、攪拌、混合または掃引することによって実行される。パターン装飾部(400)の動作は、適切な電子機器で制御されても手動で制御されてもよい。加えて、パターン装飾部(400)は、所望のパターンを得るために、パターン形成ユニット(200)と同期して実行されてもよい。パターン形成が完了した後、パターン形成トレイ(300)は、加圧する次の生成工程に移行する。
【0066】
(加圧脱水工程)
異なる種類、線、縞、色調または色斑を含むパターン形成トレイ(300)に供給および分布された泥状物は、グリーンセラミックのタイルまたは平板を形成するために、泥状物から水を抽出および除去するために加圧される。異なる種類、線、縞、色調または色斑は、タイルまたは平板の厚さ全体にまで及ぶ所望のパターンに変形される。
【0067】
この工程では、パターン形成トレイ(300)は、加圧脱水ユニット(500)に位置しており、より具体的には、加圧脱水ユニット(500)の下部押圧部(510)上に位置している。その後、例えばコンベヤーに形成される濾過シート(600)は、加圧前および図1、7、8に示すように加圧が実行されている間、パターン形成トレイ(300)を覆うような位置に移動する。その後、パターン形成トレイ内に含まれる泥状物は、上部押圧部(505)によって加圧される。泥状物が加圧された時点で、濾過シート(310)の細径よりも小さい泥状物の粒子を含む余分な水は、濾過シート(310)の細孔を介して、および、上部押圧部(505)の表面に準備された孔部、さらに代わりの実施形態である形状維持枠(515)の孔部を介して漏れ出す。上部押圧部(505)は、予め決められた値(枠(305)の高さ、形状維持枠(515)の高さ、枠(305)を収縮する性能、または、平方インチあたりの圧力値)に達するまで、できるだけ多量の水を抽出するために加圧し続ける。この加圧は、最大圧力で加圧している間、上部押圧部(505)の形状維持枠(515)が、下部押圧部(510)の維持枠(515’)と同じ位置になるように行われる。また、この加圧は、上部押圧部(505)の形状維持枠(515)の表面が、パターン形成トレイ(300)を含む下部押圧部(510)の形状維持枠(515’)の表面と接触、または、ほぼ接触するように行われる。加圧されている間、形状維持枠(515および515’)は、タイルまたは平板の形状またはパターンを変形する圧力が印加されることで変形される状態になるような、柔軟性のある枠の形状を維持する。
【0068】
加圧時に、水または濾過シート(310)の細孔よりも小さい泥状物の粒子は、そのような細孔、および、上部押圧部(505)と下部押圧部(510)との表面に準備された孔部を介して漏れ出し、除去するための排液管に回収される。加圧されている間、パターンの変形を防ぎ、グリーンタイルまたは平板の厚さを一定に維持して均等に水が除去されるように圧力を均等に分散させるために、除々に圧力を大きくしていることに留意したい。さらに、排液管に回収された水は、加圧が完了した後、吸引ポンプによって処理される。これにより、泥状物から水をさらに抽出することを困難にする、濾過シート(310、600)での粒子の目詰まりを少なくすることができる。さらに、水が均等に除去されない場合には、泥状物の分離が生じ、結果としてタイルまたは平板の厚さが一定にならない。加圧されている間、泥状物は、必要に応じて適切な温度に加熱されて、その温度に維持されてもよい。これにより、水の除去を容易にし、加圧時間を短縮することができる。
【0069】
パターン形成トレイ(300)の形状および構造は、最終生成物の形状および構造も決定する。従って、パターン形成トレイ(300)は、最終生成物の所望の形状、構造および大きさを得るために、必要に応じて変形されてもよい。パターン形成トレイ(300)は、適切な利用のために、指定された位置に空隙を含むように変形されてもよい。例えば、空隙は、正方形、長方形、楕円形、円形および所望の自由な形式の形状から選択される。パターン形成トレイ(300)に泥状物を供給する前のパターン形成トレイ(300)内に、上記のような形状の軟質の柔軟性のあるモールド(枠(305)と同じ原料からなるか、または枠(305)と同じ特性を有しており、再利用可能なモールド)を配置することによって、同様の結果が得られる。軟質の柔軟性のあるモールドは、パターン形成トレイ(300)内に場所をとることにより、加圧後にモールドが除去されると、モールドに対応する形状の空間を残す。この技術に従って生成されるタイルおよび平板は、切断されることなく、すなわち従来のタイルまたは平板のように任意の位置をドリルで穴を開けられたり、のこぎりで切断されることなく、台所の流し台、調理台等として用いられる。
【0070】
加圧が完了した後、パターン形成トレイ(300)は、加圧脱水ユニット(500)から移動し、グリーンタイルまたは平板は、表面の装飾、型の切り取り、焼成および/または研磨等によって所望の結果を得るための更なる処理のために、必要に応じて除去される。
【0071】
グリーンタイルまたは平板が取り出された後、パターン形成トレイ(300)は、洗浄するための洗浄部に移動し続け、生成ラインへと戻る。濾過シート(600)も同様に洗浄部に移動する。
【0072】
(乾燥および焼成工程)
加圧が完了し、グリーンタイルまたは平板が得られた後、該グリーンタイルまたは平板は、所望の結果を得るための更なる処理へと入る。例えば、グリーンタイルまたは平板の表面は、ディメンション、印刷、噴霧、塗装を施すために装飾される。すなわち、該表面は、セラミックの顔料が塗布され、必要に応じて薄片が塗布される。グリーンタイルまたは平板が高い含水率を示している間にこの処理が行われることにより、この処理を容易に行うことができ、損傷を少なくすることができる。その後、生成物は、本発明に従って生成されたグリーンタイルまたは平板の特性に適するように、標準的な方法に従って乾燥および焼成される。
【0073】
本発明の方式に係るセラミックのパターンは、所望のパターンを形成するために統合される泥状物の量、種類、色、線および縞における差異から形成される。装置の各構成要素が補助することにより、タイルもしくは平板が一定の品質を有する泥状物から形成されるとき、また、タイルもしくは平板を形成するパターンを形成するときには、必要な予防措置が講じられる。そのような措置は、例えば、上部押圧部(505)および下部押圧部(510)の平らな表面と同様に濾過シートの細径を均等にし、加圧脱水ユニット(500)によって印加される圧力を徐々に増加させる。この対策により、水および粒子が均等に漏れ出すため、均等な厚さおよび含有率を有するグリーンタイルを得ることができる。従って、厚さ全体にまで及ぶパターンを有するだけでなく、一定の厚さおよび長さをも有するグリーンタイルおよび平板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明に係る装置の一実施形態を示す側面図および上面図である。
【図2】泥状物をパターン形成トレイに分布する図1に示す装置のパターン形成セットの一実施形態を示す図である。
【図3】図2に示す装置のパターン形成セットの他の実施形態を示す図であり、パターン形成セットが攪拌手段を備えている場合を示すものである。
【図4】図2または図3に示す装置のパターン形成セットの他の実施形態を示す図であり、パターン形成セットがパターン受取トレイを備えている場合を示すものである。
【図5】パターン受取トレイの他の実施形態を示す図である。
【図6】パターン形成装飾部の一実施形態を示す図である。
【図7】パターン形成トレイの一実施形態を示す図である。
【図8】図3に示すパターン形成セットを用いた図1に示す装置の一実施形態を示す側面図および上面図である。
【図9】図5に示すパターン受取トレイの一実施形態を用いた図1に示す装置の一実施形態を示す側面図および上面図である。
【図10】加圧脱水ユニットへと移動するパターン形成セットを示す図である。
【図11】加圧脱水ユニットと、該加圧脱水ユニットの上部押圧部および下部押圧部とを示す図である。
【図12】異なる動作位置にある加圧脱水ユニットを示す図である。
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔発明の背景〕
セラミックのタイル産業において、所望のパターンを有するセラミックのタイルを製造する技術および方法の発展に多くの労力が注がれている。セラミックのタイル産業は、最上層においてのみ、または表層においてのみ所望のパターンを有するタイルの製造から、タイルの厚さ全体にまで及ぶ所望のパターンを有するタイルの製造に移行している。
【0002】
これを行う周知の方法の1つは、乾燥した土の粉末を容器の中に入れた後、上記容器の排出管の開口部を介して、異なる種類および色の土の粉末の層を形成する垂直な区画に上述の内容物を排出することによる。その後、上記区画を90°回転させて、上記内容物を水平なモールドに移す。その後、上記内容物は、該内容物をセラミックのタイルにする高圧条件において、上記モールドと共に加圧される。異なる種類の土の粉末および色からなる、異なる層が、タイルのパターンに形を変える。しかしながら、この方法に関する問題は、上記区画に放出する土の粉末の量を制御することが困難であるため、色の帯の幅を調節および変えることができないことである。従って、得られるパターンが限定される。さらに、上記区画の回転によって、土の細粒が移動してしまうため、パターンを歪めてしまう。従って、得られたタイルは、上記パターンを露にするために焼成した後に、更なる表面処理を施す必要がある。
【0003】
欧州特許1273408号および国際公開2004/071733号は、タイルまたは平板の厚さ全体にまで及ぶパターンの連続的な縞を作製する技術を開示している。しかしながら、表層における材料が互いに混合して、所望のパターンを歪めてしまうという可能性が残っている。それゆえ、焼成後にセラミックのタイルの上層を研磨しなくても目に見えるパターンを得るためには、加圧する前に表層におけるそれらの混合した材料を吸引によって取り除く必要がある。
【0004】
欧州特許1334811号は、第1の低圧圧縮を含む2重加圧によって特徴付けられる、セラミックのタイルの塊にパターンを作製する技術を開示している。圧縮されたセラミックのタイルは、続いて、上記タイルの塊に浸入することができる特殊なセラミックの顔料を製図に従って塗布するインクジェットシステムによって装飾される。しかしながら、この技術によれば、上記タイルの塊におけるパターンの外観がややぼやける、または片寄る。また、この技術によれば、パターンが貫通する深さの程度は、上記タイルの塊の最下層にまでパターンを与えるほど十分には深くない。
【0005】
上述のような周知の方法および装置のすべては、粉末状の形態を有する材料の圧縮を包含している。
【0006】
〔発明の範囲〕
本発明の範囲は、所定の厚さを有するセラミックのタイルに、該セラミックのタイルの厚さ全体にまで及ぶパターンを形成する装置および方法を提供することにある。上記パターンを形成する方法は、得られたパターンが天然石のパターンと酷似しているため、天然石形成の方法を手本としている。上記装置は、泥状物の位置と、量と、異なる種類および異なる色の順序とを制御する手段を備えていることにより、予め決められたまたは所望のパターンを形成することができる。本発明の他の目的は、ここに記載した方式に係る装置を採用することにより、得られたタイルまたは平板が一定の厚さおよび大きさを有することにある。
【0007】
本発明の範囲は、独立請求項に記載された特徴を有する装置および方法によって達成される。本発明の好ましい実施の形態は、添付図面と共に開示されている。
【0008】
〔本発明の好ましい形態の詳細な開示〕
本発明の方法は、粉末状の形態を有する材料の代わりに泥状の材料の利用を提供する。
【0009】
本発明は、泥状の形態を有する材料から生じる、所定の厚さを有するセラミックのタイルに所望のパターンを形成する装置および方法に関する。
【0010】
本発明に係る装置および方法を採用することによって、所望のパターンが、泥状物(slurry)の位置、量、異なる種類および色の順序を制御することによって得られる。ここで、上記泥状物は、予め決められた量および順序で、パターン受取トレイの予め決められた位置に正確に堆積される。その後、上記泥状物は、加圧脱水ユニットで加圧されて、更なる装飾および焼成の準備ができているグリーンセラミックの平板を形成する。
【0011】
説明という目的のために、本発明に係る装置および方法の種々の実施形態は、限定されない例として与えられる。このため、上記装置および方法は、ここに説明されている特定の実施形態だけに限定されるものではない。
【0012】
まず、上記装置を説明した後、上記方法を説明する。
【0013】
所定の厚さを有するセラミックのタイルに所望のパターンを形成する上記装置(1)の好ましい実施形態は、図1に示すような流れに適合して動作する、泥状物保持槽(100)、配送管によって上記泥状物保持槽(100)と接続されているパターン形成ユニット(200)、パターン形成トレイ(300)、パターン装飾部(400)、および加圧脱水ユニット(500)を備えている。上記パターン形成ユニットは、所望のパターンを形成するために、予め決められた泥状物の種類、量、色を、予め決められた順序で供給し、所望のパターンを有する上記泥状物は、上記加圧脱水ユニットを用いて加圧されて、厚さ全体にまで及ぶ所望のパターンを有するセラミックのタイルまたは平板を形成する。上記装置の構成要素のそれぞれは、次に詳細に説明される。
【0014】
(泥状物保持槽(100))
上記泥状物保持槽(100)は、上記タイルを形成するために使用される土の泥状物を保持することができる。異なる種類および色の上記泥状物を収容する1以上の泥状物保持槽(100)がある。上記泥状物保持槽(100)は、上記パターン形成ユニットに対する上記泥状物の流動または可塑性を促すために、上記泥状物の沈殿を少なくする手段を有している。例えば、上記槽の内部に、上記泥状物の移動を促す少なくとも1つの攪拌器(110)が備えられてもよい。または、上記泥状物保持槽(100)が、上記泥状物保持槽(100)の動きによって内部の内容物が絶え間なく移動するように、可動する基部(図示せず)上に乗っていてもよい。さらに、上記泥状物の流動を促すために、上記泥状物保持槽(100)は、必要に応じて、上記泥状物の温度を所望の範囲に制御する手段を有する加熱ユニット(図示せず)を備えていてもよい。この構成により、上記泥状物の粘性を低下させることができる。上記泥状物保持槽(100)内部の圧力は、維持されている。上記泥状物保持槽(100)は、上記泥状物をパターン形成ユニット(200)に配送する配送管(105)に接続されている。
【0015】
(パターン形成ユニット(200))
図2に示すように、パターン形成ユニット(200)は、配送管(105)によって上記泥状物保持槽(100)に接続されている。パターン形成ユニット(200)は、制御された圧力条件(もしくは制御された圧力条件および/または温度条件)における上記泥状物が配送される、1以上の配送管(105)を収容することがきる。上記パターン形成ユニット(200)の上記配送管(105)には、上記パターン形成ユニット(200)内に供給される上記泥状物の量および色を調整するために、弁(205)が取り付けられている。上記パターン形成ユニット(200)内の配送管(105)の端部には、所望の構造および目的の構造を有する、取り外し可能な末端部(210)が取り付けられている。上記末端部(210)およびその端部の異なる構造は、形成されるパターンを変えること、または予め決められたパターンを生産することに寄与する。
【0016】
上記パターン形成ユニット(200)は、上記配送管(105)から供給される上記泥状物を保持することができる泥状物保持部(215)を有する。異なる種類および色の上記泥状物が、泥状物保持部(215)で混合されることにより、異なる線および縞を作ることができる。上記パターン形成ユニット(200)の端部には、取り外し可能な供給部材(220)が取り付けられている。上記供給部材(220)の開口端は、上記泥状物が上記パターン形成トレイ(300)に供給されるたびに、更なる種類の線および縞を形成する、あらゆる周知の構造であってもよい。他の実施形態において、上記供給部材(220)は、図2に示すように、上記泥状物が供給される量および速度を調節する弁(225)を備えていてもよい。更なる実施形態(ここでの記載はない)において、上記パターン形成ユニット(200)には、1以上の供給部材(220)が取り付けられている。上記供給部材(220)は、上記パターン形成トレイ(300)に堆積された上記泥状物の予め決められた位置および色に従って、円運動に行う(回転する)ことができる。さらに、パターン形成ユニット(200)全体は、上記パターン形成トレイ(300)の形状および大きさに対応して、前後左右または円運動のように、すべての方向に移動することができる。所望の位置に所望の種類および色の上記泥状物を堆積させて、予め決められたパターンまたは所望のパターンを作るように、同じパターン形成トレイ(300)に上記泥状物を供給する1以上のパターン形成ユニット(200)があってもよい。
【0017】
上記パターン形成ユニット(200)の動作、全体としての動作速度、上記供給部材(220)の動作、および、上記配送管に取り付けられた上記弁(205)および/または上記供給部材(220)の端部にある弁(225)の開口の度合いは、この目的にために開発され、所望のパターンが予め符号化されたソフトウェアアプリケーションによって調整される。
【0018】
図3に示すような上記パターン形成ユニット(220)の他の実施形態において、上記パターン形成ユニット(200)には、上記泥状物の流動を促進または維持する手段が取り付けられている。上記手段は、上記泥状物保持部(215)内に備えられた少なくとも1つの攪拌器(230)として特徴付けられる。上記攪拌器(230)は、上記泥状物の流動を促進および維持するだけでなく、上記泥状物の混合および混和を補助する。また、上記攪拌器(230)の大きさおよび速度が、該攪拌器(230)から供給される上記泥状物の線および縞の大きさに影響を与えるので、上記攪拌器(230)の構造および動作速度は、異なる特徴を有するパターンの作製を補助する。
【0019】
図4は、上記パターン形成ユニット(200)の更なる実施形態を示している。本実施形態において、上記パターン形成ユニット(200)は、パターン受取トレイ(235)をさらに備えている。この特定の実施形態は、調和した色またはパターンを有するセラミックのタイルまたは平板の生産、あるいは異なる色調を有するタイルまたは平板の生産に適している。
【0020】
本実施形態において、上記泥状物は、上記パターン形成トレイ(300)に直接供給されるのではなく、上記供給部材(220)からパターン受取トレイ(235)に供給された後、上記パターン形成トレイ(300)に供給される。上記泥状物が上記パターン形成トレイ(300)に供給されるとき、所望のパターンが形成される。
【0021】
上記パターン受取トレイ(235)は、上記パターン形成トレイ(300)を横断するように可動し、上記泥状物を収容する筐体(240)と、上記泥状物を混合すると共に、上記パターン受取トレイ(235)の底部領域に配置された開口部に向かって上記泥状物を押し流す手段とを備えている。上記手段は、上記底部領域における開口部を横断するように配置されている螺旋状スクリュー(245)として特徴付けられる。上記パターン受取トレイ(235)の底部には、上記泥状物が上記パターン形成トレイ(300)に供給されるときに通過する開閉部材(260)が取り付けられている。上記パターン受取トレイ(235)の大きさは、上記パターン形成トレイ(300)の大きさと一致していることが好ましい。さらに、上記泥状物が上記パターン形成トレイ(300)へ縦に供給されるのであれば、上記筐体(240)の長さは、上記パターン形成トレイ(300)の幅とほぼ同じ大きさであることがより好ましい。
【0022】
上記パターン受取トレイ(235)の筐体(240)は、区画板(255)を用いてより小さな区画(250)に分割されていてもよい。ここで、各区画(250)は、上記泥状物保持部(215)内に形成された、異なる色、異なる色の組み合わせ、または、様々な色調もしくは異なる基本パターンを有する色の組み合わせを有する上記泥状物を保持することができる。上記区画板(255)が、上記筐体(240)に取り外し可能に固定されているので、上記区画(250)の大きさは、上記区画板(255)の数を増やすまたは減らすことによって、または、上記筐体(240)に沿って上記区画板(255)を動かすことによって、調節されてもよい。上記パターン受取トレイ(235)の筐体(240)を区画することは、異なる色および/またはパターンを有する泥状物が他の泥状物と混合することを抑制するので、上記パターンの鮮明さを向上させる。
【0023】
上記パターン受取トレイ(235)の底部領域に配置されている上記螺旋状スクリュー(245)は、上記パターン受取トレイ(235)の筐体の長さにあわせて取り付けられている。上記螺旋状スクリュー(245)は、その軸の周りを回転することができる。上記螺旋の数、大きさおよび長さは、異なる大きさの色の帯、異なる大きさの色の縞、異なる大きさの色の線、または異なるパターンのバリエーションを有するパターンを作るために変更されてもよい。上記螺旋状スクリュー(245)の動作は、適切な電子機器によって制御されてもよく、また、上記ソフトウェアアプリケーションに予め符号化されていてもよい。上記螺旋状スクリュー(245)は、上記泥状物を上記パターン形成トレイ(300)の中に分布するために、上記パターン受取トレイ(235)の底部の開口部に向かって上記泥状物を押し流す。上記螺旋状スクリュー(245)の動作速度は、さらに形成される上記パターンのバリエーションに寄与する。
【0024】
上記パターン受取トレイ(235)を有するまたは有していない、上記パターン形成ユニット(200)は、上記パターン形成トレイ(300)に上記泥状物を供給する間、上記パターン形成ユニット(200)は、上記パターン形成トレイ(300)に沿って、および/または上記パターン形成トレイ(300)を横断するように移動して、上記泥状物を均等に分布する。上記パターン受取トレイ(235)を有する実施形態では、泥状物が上記パターン受取トレイ(235)に供給されている間、上記螺旋状スクリュー(245)は、絶え間なく回転し続けると共に、上記泥状物が供給されているとき、上記パターン受取トレイ(235)の底部に配置された、開口状態にある上記開閉部材(260)(図5参照)の開口部を介して、上記泥状物を押し流している。供給されている上記泥状物の総重量は、上記パターン形成トレイ(300)の下部にある、スケール(図示せず;scale)を有する重量センサによって制御されている。つまり、上記パターン形成トレイ(300)は、上記泥状物が供給されている間、計量装置上に位置している。上記計量装置は、上記ソフトウェアアプリケーションと接続されている。上記泥状物の量が予め決められた重量に達すると、上記計量装置が作動し、上記供給ユニット(200)が一時的に供給を抑制する。そして、上記開閉部材(260)が閉口状態に移行して、上記パターン形成ユニット(200)が開始位置に戻る。上記パターン形成ユニット(200)は、新たなパターン形成トレイ(300)が位置につくと、供給を再開する。さらに、上記泥状物のあふれまたは不足という問題を低減するために、上記供給部材(220)から上記パターン受取トレイ(235)に供給される上記泥状物の量は、上記パターン受取トレイ(235)から上記パターン形成トレイ(300)に供給される上記泥状物の量と一致している。
【0025】
図5は、上記パターン受取トレイ(235)の更なる実施形態を示している。本実施形態に係るパターン受取トレイ(235)は、より大きなセラミックのタイルまたは平板を生産するために、その大きさをより大きくすることができると共に、上記泥状物をより多量に保持することができる。本実施形態において、より多量の上記泥状物は、上記トレイに、上記泥状物の流れを制御することを困難にする高い内圧を生じさせる。このため、本実施形態において、上記パターン受取トレイ(235)は、開閉蓋(265)および高精度な空気圧システム(270)をさらに備えている。所望の量の上記泥状物が上記パターン受取トレイ(235)内に移された後、上記開閉蓋(265)が閉じられると、上記トレイ内部の空気が除去されて、真空環境が作り出される。その後、上記泥状物は、上記パターン受取トレイ(235)の底部の開閉部材(260)の開閉を必要に応じて制御することにあわせて、上記空気システムを制御することによって供給される。その後、上記開閉部材(260)の開口、上記螺旋状スクリュー(245)の速度および上記パターン受取トレイ(235)内の圧力が、上記ソフトウェアアプリケーションによって調節および維持されることにより、上記所望のパターンが実現される。
【0026】
(パターン形成トレイ(300))
上記パターン形成トレイ(300)は、上記タイルまたは平板の形状および大きさが、所望のタイルまたは平板の形状および大きさと一致するように、上記タイルまたは平板用のモールドとして機能する。上記パターン形成トレイ(300)は、互い接するように取り付けられた、枠(305)および濾過シート(310)を備えている。上記枠(305)は、上記パターン形成トレイ(300)の境界を形成している。図6に示すように、外側の閉じた枠線(枠の境界)を有する長方形のパターン形成トレイ(300)は、長方形のタイルまたは平板を形成するために必要である。本実施形態において、上記パターン形成トレイ(300)は、外側の閉じた枠線のみを備えている。図7は、上記トレイの中央に空隙を有する上記パターン形成トレイ(300)の更なる実施形態を示している。本実施形態によれば、上記形成トレイは、指定された位置に、該トレイ内の空隙を決定する少なくとも1つの内側の閉じた枠線を備えている。本実施形態に係るパターン形成トレイ(300)は、必要にあわせて上記平板を変形することなく、例えば流し台または調理台の上面等、利用する準備が整った商品を生成することに適している。当然ながら、上記パターン形成トレイ(300)に特徴付けられる付加的な空隙は、特に限定されることなく、上記タイルまたは平板の利用に適する正方形、長方形、円、長円形および所望の自由な形状を含む。
【0027】
上述のように、上記パターン形成トレイ(300)は、互いに接するように取り付けられた、枠(305)および濾過シート(310)を備えている。
【0028】
上記枠(305)は、上記濾過シート(310)に接するように取り付けられるならば、どのような所望の形状であってもよい。上記枠(305)は、高圧に耐えることが可能であり、圧力が除去された後に元の形状に戻ることが可能な柔軟性を有する材料から形成される。上記枠(305)は、天然ゴム、天然高分子、合成ゴム、熱可塑性のエラストマー、シリコンゴム、ブタジエンゴム、エボナイトゴム、熱硬化性ゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ネオプレンゴム等、または、高圧条件下において曲がるように特別に設計された金属から選択された材料、ならびに選択された材料の組合せから作製されていてもよい。上記枠(305)の高さは、保持され得る上記泥状物の最大量を決定する。従って、上記枠(305)の高さは、少なくとも所望のタイルまたは平板の高さである必要がある。
【0029】
上記パターン形成トレイ(300)の底部を形成する上記濾過シート(310)は、通常の状態では上記泥状物を収納可能であるが、圧力または重量を加えると、水および上記濾過シート(310)の細径よりも小さい粒子を通過させる、多孔性のシートである。上記濾過シート(310)は、あまりに多くの粒子を通過させることにより、結果として上記泥状物を無駄にしてしまうことを防止するために、適切な大きさの細孔を有することが重要である。上記濾過シート(310)を作製する材料は、羊毛繊維、ナイロン、金網、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリブチレンおよびポリアミドから選択されてもよい。
【0030】
上記パターン形成トレイ(300)は、自動的または半自動的な生産をサポートするコンベヤーを形成するために、互いに接続されていることが好ましい。しかしながら、各パターン形成トレイ(300)は、交換または整備が必要なとき、着脱可能または交換可能であることを好ましい。
【0031】
(パターン修飾部(400))
予め決められた量の上記泥状物が上記パターン形成トレイ(300)に分布されると、上記泥状物の異なる種類、色、縞の統合または集合が、上記タイルまたは平板の上記パターンを形成する。しかしながら、所望のパターンを得るために、または、既に形成されたパターン上に更なるバリエーションを作り出すために、パターン修飾部(400)が、所望のパターンの結果を得るために用いられてもよい。上記パターン修飾部(400)は、上記パターン形成ユニット(200)と同期して動作してもよく、また、上記パターン形成ユニット(200)がパターン形成サイクルを完了した後に動作してもよい。上記パターン修飾部(400)は、形成されたパターンに沿ってもしくはパターン内で、ドラッグ、侵食、攪拌、混合または掃引することによって実行可能であれば、種々の形態、形状および構造であってもよい。図6は、パターン装飾部(400)の実施形態を示す一例である。本実施形態において、上記パターン修飾部(400)は、筐体から伸びる複数の歯状部を有している。上記筐体は、上記パターン修飾部(400)の動作を制御可能な電子機器(図示せず)に接続されている。上記歯状部は、必要に応じて異なる構造のものと取り替えられるように、単純な固定部材または単純な連結部材、すなわち接合部を簡単に留めるものによって上記筐体に接続されていてもよい。上記パターン修飾部(400)の動作は、予め決められたパターンを得るために、上記パターン形成ユニット(200)と同様、上記ソフトウェアアプリケーションに予め符号化されることによって制御されてもよい。
【0032】
(加圧脱水ユニット(500))
上記パターン形成ユニット(200)および/または上記パターン修飾部(400)によるパターン形成が完了した後、上記パターン形成トレイ(300)内に形成されたパターンは、加圧の準備が整う。このため、上記パターン形成トレイ(300)は、加圧脱水ユニット(500)に向かって移動する。
【0033】
図11に示す上記加圧脱水ユニット(500)は、通常の油圧式の加圧機と同様の原理で、対象物に圧力を印加することによって作動する。本発明に係る上記加圧脱水ユニット(500)は、湿式加圧ユニットである。その目的は、上記泥状物から多量の水を可能な限り除去して、適度に乾燥するように、セラミックのタイル産業において通常知られている含水量を有するグリーンセラミックのタイルを残すことにある。
【0034】
結果として、濾過を行うことは、上記加圧脱水ユニット(500)の不可欠な要素である。上記加圧脱水ユニット(500)は、上部押圧部(505)と、下部押圧部(510)と、形状維持枠(515)と、吸引ポンプ(図示せず)とを備えている。また、上記加圧脱水ユニット(500)には、加熱および温度制御ユニットと、風力発生器とをさらに取り付けられてもよい。
【0035】
上記上部押圧部(505)は、平らな面を有する金属、高い強度のセラミックまたは合成材料から作製されている。上記平らな面の表面は多孔性である。すなわち、上記平らな面の表面には、上記面の全体に均一に分布した小さな細孔が準備されている。上記面には、形状維持枠(515)に取り付けられている。上記形状維持枠(515)の形状は、上記パターン形成トレイ(300)の形状と一致している必要がある。例えば、図11に示すように、上記形状維持枠(515)は、長方形の上記パターン形成トレイ(300)に一致するように長方形となっている。上記上部押圧部(505)には、排液管(図示せず)が準備されている。上記上部押圧部(505)は、油圧に基づいて動作すると共に、上部押圧部(505)と下部押圧部(510)との間に位置している上記パターン形成トレイ(300)に収容された上記泥状物を加圧するために、固定された下部押圧部(510)に向かって移動することができる。上記泥状物が加圧されると、余分な水および上記濾過シート(310)の細径よりも小さい泥状物の粒子が、上記濾過シート(310)の細孔および上記上部押圧部(505)の表面に準備された孔部を介して漏れ出し、除去用の上記排液管に回収される。
【0036】
同様に、上記下部押圧部(510)は、平らな面を有する金属から作製されている。上記平らな面の表面は多孔性である。すなわち、上記平らな面の表面には、上記面の全体に均一に分布した小さな細孔が準備されている。上記面には、形状維持枠(515’)に取り付けられている。上記形状維持枠(515’)の形状は、上記パターン形成トレイ(300)の形状と一致している必要がある。上記下部押圧部(510)は、位置が固定されており、排液管が準備されている。
【0037】
最大圧力が上記パターン形成トレイ(300)を含むように印加されるとき、上記上部押圧部(505)の上記形状維持部(515)は、上記下部押圧部(510)の上記形状維持枠(515’)と同じ位置にある。すなわち、上記上部押圧部(505)の形状維持枠(515)は、上記下部押圧部(510)の形状維持枠(515’)と接触、またはほぼ接触するような位置にある。
【0038】
上述のように、上記形状維持枠(515および515’)の形状は、上記パターン形成トレイ(300)の形状と一致している必要がある。しかしながら、加圧している間、上記パターン形成トレイ(300)が上記形状維持枠(515および515’)の内側に配置されるので、上記形状維持枠(515および515’)の大きさは、上記パターン形成トレイ(300)よりも僅かに大きい必要がある。加圧している間、柔軟性を有する材料から作製された上記パターン形成トレイ(300)の枠は、上記タイルもしくは平板の形状またはパターンの変形を生じる加圧条件のもとで変形する。従って、上記形状維持枠(515および515’)はこの問題を低減する。
【0039】
さらに、上記パターン形成トレイ(300)が、加圧される位置および加圧される位置に向かって移動可能なように、並びに、加圧が完了した後に移動可能なように、入ってくる方向または出て行く方向(入出方向)に位置する上記形状維持枠(515および515’)は、上記下部押圧部(510)と同じ高さになるように、上下または前後に移動可能である。例えば、上記パターン形成トレイ(300)が上記加圧脱水ユニット(500)の方に移動するとき、入ってくる方向に位置する上記形状維持枠(515および515’)が引っ込むことにより、上記パターン形成トレイ(300)は、所定の位置に移動することができる。上記パターン形成トレイ(300)が、上記形状維持枠(515および515’)の出て行く側(入ってくる側の反対側)に接触すると、上記パターン形成トレイ(300)は、移動することを止める。そして、上記形状維持枠(515および515’)の入ってくる側は、内部の上記パターン形成トレイ部(300)をしっかりと締める位置に戻る。加圧が完了すると、上記形状維持枠(515および515’)の出て行く側が引っ込むことにより、上記パターン形成トレイ(300)は、上記加圧脱水ユニット(500)の外側に出て行くことができる。その後、上記形状維持枠(515および515’)の入ってくる側は、次の上記パターン形成トレイ(300)が入ってくることを見越して再び引っ込むと共に、出て行く側は、上記位置に戻る。
【0040】
さらに、上記タイルまたは平板の厚さを調節または調整するために、上記形状維持枠(515および515’)には、高さを調整する手段が準備されている。上記形状維持枠(515および515’)の高さ、上記パターン形成トレイ(300)の枠(305)の高さ、加圧されているときに収縮する性能、および上記パターン形成トレイ(300)内に収容されている上記泥状物の量は、すべて相互に依存している。
【0041】
通常、最大圧力が印加されているとき、上記枠(305)の高さが収縮または減少する性能は、周知の値である。上記形状維持枠(515および515’)の高さは、上記上部押圧部(505)の面が、上記形状形成トレイ(300)に収容されている上記泥状物に対して、および上記枠(305)に対して押し付けることができるように、加圧後の上記枠(305)の高さと等しいか、または上記枠(305)の高さよりも僅かに低く設定されている。圧力は、最大圧力へと徐々に大きくされる。最大圧力において、多くの余分な水が上記泥状物から可能な限り抽出されるように、上記枠(305)は、上記下部押圧部(510)の上記形状維持枠(515’)の高さと等しいか、または上記形状維持枠(515’)の高さより僅かに高くなるように、その高さを最大限に減少させる。すなわち、上記枠(305)は、上記上部押圧部(505)の上記形状維持部(515)の面が、上記下部押圧部(510)の上記形状維持枠(515’)の面と接触する、またはほぼ接触するように、その高さを最大限に減少させる。
【0042】
異なる厚さを有する新しいタイルまたは平板の一群を生産するとき、多量の余分な水が上記泥状物から可能な限り抽出されるように、上記形状維持枠(515および515’)の高さは、適宜調整されてもよい。また、上記枠(305)の高さは、異なる高さを有する枠(305)を用いることによって、または、異なる収縮値を有する、異なる材料から作製された枠に切替えることによって、調節されてもよい。
【0043】
さらに、上記泥状物から水を抽出する速度を増加させるために、上記枠(305)と同様に上記形状維持枠(515および515’)には、上記上部押圧部(505)および上記下部押圧部(510)と同様の孔部が準備されていてもよい。これにより、水をより速く通過させることができると共に、上記泥状物から水を抽出するために必要な時間を短縮することができる。上記形状維持枠(515)は、整備のために着脱可能であり、損耗したときには交換可能である。
【0044】
余分な水は、上記上部押圧部(505)および上記下部押圧部(510)の排液管に回収されている。その後、水は、加圧が完了した後に吸引ポンプによって除去される。風力発生器は、上記排液管に向かって余分な水を押し出すように補助する。
【0045】
加圧する間、必要に応じて、上記加圧脱水ユニット(500)は、温度制御装置を有する加熱ユニットを備えていてもよい。これにより、上記加圧脱水ユニット(500)は、上記泥状物の粘性を低減させて、上記泥状物から余剰の水を容易に抽出することができる。
【0046】
上記装置は、さらに洗浄部を備えていることが好ましい。ここで、加圧が完了し、グリーンタイルまたは平板が取り出された後に、上記濾過シートおよび上記パターン形成トレイが、生産工程に戻る前に洗浄される。
【0047】
上記装置の上述の実施形態を採用することによって、所定の厚さにまで及ぶパターンを有するセラミックのタイルまたは平板に所望のパターンを形成する方法は、以下に説明されている。以下に記載されている方法は、本発明の本質に係る上記装置の特定の実施形態を採用することに基づいている。しかしながら、われわれの目的は、以下に記載の方法に限定することではない。
【0048】
本発明に係るセラミックのタイルまたは平板に所望のパターンを形成する方法は、以下に記載の工程を包含している。
【0049】
・泥状物を準備する工程
泥状物を得るために、セラミックのタイルまたは平板を生産する原材料が、湿式ボールミルによって研磨される。セラミックの顔料または薄片が加えられることにより、所望の色が得られる。泥状物の粘性を低減させるため、または、上記タイルもしくは平板の強度を向上させるための添加剤または混合剤が、必要に応じて加えられる。得られた泥状物は、パターン形成ユニットに配送される準備が整った、異なる色を有する泥状物を分離する保持槽に保持される。必要に応じて、上記泥状物は、制御された温度のもとで維持されてもよい。
【0050】
・所望のパターンを形成する工程
制御圧力条件下における上記泥状物は、上記パターン形成ユニットに配送される。ここで、予め決められた種類、量、色、色の順序および位置を有する上記泥状物は、パターン形成トレイに供給されて、所望のパターンを形成する。供給される上記泥状物の予め決められた種類、量、色、色の順序および位置は、ソフトウェアアプリケーションに予め符号化されている。
【0051】
・加圧脱水する工程
所望のパターンが形成された上記泥状物は、加圧脱水ユニットによって加圧される。
【0052】
各工程の詳細について、以下に説明する。
【0053】
(泥状物を準備する工程)
泥状物を得るために、セラミックのタイルまたは平板を生産する原材料は、湿式ボールミルによって研磨される。適度な粘性を有する泥状物を得るために、上記泥状物には、30重量%から70重量%の乾燥剤が含まれていることが好ましい。例えば解膠剤、分散剤、凝集剤、消泡剤または界面活性剤等の添加剤または混合剤は、上記原材料の特徴および特性に依存して、上記泥状物に添加される。研磨した後の上記原材料の粒子の大きさ、および異なる種類の原材料の割合は、添加剤または混合剤が必要であるか否かを決定する要因の1つとなる。セラミックのタイルまたは平板の所望の特性は、時として、同様に添加剤が必要であるか否かを考慮するために、重要となる場合もある。例えば、特に強度の高いタイルまたは平板が好ましい場合には、例えばポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルアセテート(PVAc)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、エチレンビニルアセテート(EVA)、澱粉、加工澱粉、セルロース繊維、有機繊維、無機繊維等の強度を向上させる添加剤が、乾燥時の重量の5%まで上記泥状物に添加されてもよい。必要に応じて、上記泥状物は加熱されてもよい。これにより、熱によって粒子が互いに離れることが促進されるため、上記泥状物の粘性を低減させ、上記泥状物の流動を促進させることができる。
【0054】
セラミックの顔料または薄片は、所望の色を得るために、上記泥状物に加えられてもよい。上記顔料は、上記泥状物に、研磨中または研磨が完了した後に加えられてもよい。なお、得られた泥状物は、より高い品質の生成物を作り出すために調和した色を有しているので、後者の方が好ましい。
【0055】
上記泥状物は、異なる色に分離して、保持槽(100)に保持される。上記槽の内圧は、維持されている。上記泥状物は、室温に維持される、および/または、必要に応じて摂氏70度まで加熱されてもよい。その後、上記泥状物は、上記圧力が維持された状態において、配送管によって上記パターン形成ユニット(200)へ継続的に配送される。上記保持槽(100)から上記パターン形成ユニット(200)に上記泥状物が流動する割合は、上記パターン形成ユニット(200)の上記配送管(105)の端部にある弁(205)を調節することにあわせて、上記保持槽(100)の内圧によって調節されている。その後、予め決められた値に従って、予め決められた量の上記泥状物が、上記パターン形成ユニット(200)に供給される。上記泥状物の余剰分については、上記泥状物の品質を維持し、上記泥状物の沈殿および上記配送管の目詰まりを少なくするために、上記保持槽に戻される。
【0056】
(所望のパターン形成工程)
この段階で、異なる種類および色の泥状物は、パターン形成ユニット(200)に配送される。1以上の種類または色の泥状物は、パターン形成ユニット(200)に常に配送される。異なる種類または色の泥状物は、パターン形成ユニット(200)内で混合される。異なる色、色の順序および分布される位置における泥状物の量は、パターンの結果に影響を及ぼす。従って、これらのパラメータの値は、配送管(105)内の圧力とパターン形成ユニット(200)の配送管(105)の端部に取り付けられた弁(205)とが制御されることにあわせて、ソフトウェアアプリケーションにおいて予め符号化されることによって制御される。そして、泥状物は、パターン形成ユニット(200)の底部に取り付けられた供給部材(220)を介して分布される。分布される泥状物の量は、供給部材(220)に取り付けられた弁を調節することによってさらに制御されてもよい。泥状物を供給する間、パターン形成ユニット(200)は、トレイの予め決められた位置に泥状物を堆積および分布させるために、該パターン形成ユニット(200)の移動を調節するための予め符号化された値に応じて移動する。これにより、所望のパターンを得ることができる。パターン形成ユニット(200)は、前後左右への移動および/または円運動(もしくはx、y、z軸内の移動)を行ってもよい。
【0057】
パターン形成ユニット(200)がパターン形成トレイ(300)に泥状物を供給している間、泥状物の量、種類、色、線および縞の差異は、所望のパターンを形成するために統合される。従って、パターンの更なる付加的なバリエーションは、パターン形成トレイ(300)に堆積される泥状物の量、種類、色、線および縞を変化させることによって得られる。図2、3および4は、異なるパターンを得るための、パターン形成ユニット(200)の異なる実施形態を示すものである。
【0058】
所望のパターンを形成する1つの方法は、図2に示す攪拌器を有しないパターン形成ユニット(200)を用いることによるものである。この方法では、異なる種類および色の泥状物がパターン形成ユニット(200)に配送される。予め符号化された値に応じた泥状物は、パターン形成ユニット(200)の泥状物保持部(215)内で自由に混合される。その後、混合された泥状物は、所望のパターンを形成するためにパターン形成トレイ(300)に供給される。この方法に従ったパターンの更なるバリエーションは、各配送管(105)の端部に取り付けられた末端部(210)の形状および構造を変更することによって、供給部材(220)の形状および構造を変更することによって、または、両部材の形状および構造を変更することによって得られる。
【0059】
ここに記載された方式に従って所望のパターンを形成する他の方法は、パターン形成ユニット(200)の泥状物保持部(215)内で泥状物をさらに混合する手段を有するパターン形成ユニット(200)、すなわち図3に示す攪拌器(230)を有するパターン形成ユニット(200)を用いることによるものである。この方法は、前述の方法と同じ方式および技術のもとで機能する。この方法では、予め符号化された値に応じた泥状物が泥状物保持部(215)内で自由に混合された後、この混合された泥状物が攪拌器(230)によってさらに意図的に混合される点で異なる。この技術によって、より品質のよい線および縞を有する混合された泥状物が得られ、結果として、より品質のよい、はっきりとしたパターンを得ることができる。この方法に従ったパターンの更なるバリエーションは、攪拌器(230)の速度を変更することによって得られる。すなわち、パターンの更なるバリエーションは、予め符号化された値を変更すること、末端部(210)および供給部材(220)の形状および構造を変更すること、または、その両方を変更することにあわせて、攪拌器(230)の速度を変更することによって得られる。
【0060】
ここに記載された方式に従って所望のパターンを形成する更なる方法は、図4に示すように、パターン受取トレイ(235)をさらに備えたパターン形成ユニット(200)を用いることによるものである。この方法では、泥状物がパターン形成トレイ(300)に直接供給される代わりに、泥状物は、パターン受取トレイ(235)に供給された後に、パターン形成トレイ(300)に供給される。この方法に関して、パターン形成ユニット(200)は、泥状物が攪拌器(230)を有しないパターン形成ユニット(200)によって供給される前述の方法と同じ方式および技術を用いている。この方法の明確な特徴は、パターン受取トレイ(235)において特徴付けられた構成要素にある。この方法では、泥状物は、まず泥状物保持部(215)で混合された後に、パターン受取トレイ(235)で混合される。これにより、更なるバリエーションおよびより多くの複雑化したパターンが作り出される。さらに、この方法は、様々な色が形成された所望のパターンを有する複数のパターン、1以上のパターンのサブセットを有する複数のパターン、または、幾つかの色調または色斑を有する複数のパターンを形成することに適している。この方法では、泥状物が、パターン受取トレイ(235)の区画に供給される。複数のパターン形成ユニット(200)が、パターン受取トレイ(235)に泥状物を常に供給してもよい。各区画(250)は、ただ1つの特定の色調もしくは色斑、色斑の組合せ、または、複数のパターンのサブセット(基部)の組合せ(すなわち、泥状物保持部(215)内の泥状物の混合による異なる線、縞の混合)で満たされている。パターン受取トレイ(235)をより小さい区画(250)に分割する区画板(255)は、泥状物の不必要な混合を少なくすることを補助する。これにより、(2つの色、色調または複数のパターンのサブセットを満足させる)より高精度のパターンを得ることができる。パターン受取トレイ(235)に供給される泥状物の位置、量、組合せおよび色/色斑は、ソフトウェアアプリケーションの予め符号化された値に応じる。そして、各区画の泥状物は、所望のパターンを形成するために、パターン受取トレイ(235)の底部の開口部に泥状物を供給する螺旋形スクリュー(245)を回転させることによって、パターン形成トレイ(300)に分布される。泥状物を分布している間、パターン形成ユニット(200)は、パターン形成トレイ(300)の幅および長さに対応するように、パターン受取トレイ(235)と同期して移動する。この方法に係るパターンの更なるバリエーションは、螺旋形スクリュー(245)の大きさ、区画の大きさ、螺旋形スクリュー(245)の速度、および、パターン形成ユニット(200)とパターン受取トレイ(235)との移動の速度が変化することに伴うものとなる。
【0061】
ここに記載された方式に従って所望のパターンを形成する更なる方法は、図5に示すように、パターン受取トレイ(235)の実施形態を用いることによるものである。この方法は、図4に示すパターン形成ユニット(200)の実施形態と同様の技術を用いている。しかしながら、この方法では、パターン受取トレイ(235)がより大きいため、多量の泥状物を保持することが可能である。この方法は、より大きなタイルまたは平板に生産するためのパターンを形成することに適している。この実施形態では、パターン受取トレイ(235)には、区画板(255)が取り付けられていてもいなくてもよい。多量の泥状物がパターン受取トレイ(235)に供給されることにより、より高い圧力がトレイ内にかかることになるため、泥状物の流れを制御することが難しくなる。従って、この方法では、開閉蓋(265)および高精度な空気圧システム(270)をさらに備えたパターン受取トレイ(235)を用いることによって、泥状物が分布されることとなる。所望の量の泥状物がパターン受取トレイ(235)に移された後に開閉蓋(265)が閉じられると、トレイ内の空気が除去されて真空環境が作り出される。その後、泥状物は、所望のパターンを形成するために開閉する、パターン受取トレイ(235)の底部の開閉部材(260)を必要に応じて制御することにあわせて、空気圧システム(270)を制御することによって供給される。
【0062】
本発明に係る所望のパターンを形成する方式によれば、種類、色および/または色の組合せ、または、パターンのサブセットに応じて、本発明に係る装置に用いている制御されたパラメータの予め符号化された値で、泥状物を混合することができる。パターン形成中のどの時点においても、1以上の種類、色または色の組合せを有する泥状物を混合することによって、混合された色および個々の色の線、縞を統合することから所望のパターンが形成される限りでは、個々の色、線または縞を依然として維持しているが、パターン形成トレイ(300)に供給する前に、混合した結果生じる泥状物を同質にしないことは、非常に重要なことである。これは、泥状物の圧力、粘性、パターン形成ユニット(200)の攪拌器(230)および/またはパターン受取トレイ(235)の螺旋形スクリュー(245)の速度、および、パターン受取トレイ(300)内で混合した結果生じる泥状物の混合物を移す時間を制御する、組合わされた手段によって達成される。さらに、泥状物は、攪拌器(230)および/または螺旋形スクリュー(245)の動作と同時にパターン形成トレイ(300)に供給されるため、同質になることはない。本発明に係る所望のパターンを形成する方法の1つでは、パターン形成ユニット(200)がパターン形成トレイ(300)に泥状物を継続的に供給している間、攪拌器は30−100rpmで作動する。従って、泥状物は、およそ5−10秒間パターン形成ユニット(200)に留まるだけであるため、同質になることがない。当然ながら、攪拌器の速度は、所望のパターンに応じて予め符号化された値に対応して調整および変更される。
【0063】
上述のように、泥状物は、所望のパターンを形成するために、パターン形成トレイ(300)に供給される。供給された泥状物は、パターン形成トレイの枠(305)内に収容される。従って、枠(305)の形状および大きさは、タイルまたは平板の形状および大きさを決定する。加えて、枠(305)の高さは、収容される泥状物の最大量を決定する。言い換えれば、枠(305)の高さは、タイルまたは平板の最大厚を決定する。
【0064】
動作中、パターン形成トレイ(300)は、泥状物が計量部またはスケールに供給される前に、製造システムに供給され、計量部またはスケールに位置合わせされる。その後、予め決められた量の泥状物がパターン形成トレイ(300)に供給される。泥状物が予め決められた重量を超えると、重量センサは、パターン形成ユニット(200)またはパターン受取トレイ(235)による泥状物の供給を一時的に抑制させるように動作する。このため、各タイルまたは平板は、一定の厚さおよび一定の品質を有することができる。
【0065】
形成されたパターンは、前述のパターン装飾部(400)を用いることによって、さらに装飾または変形されてもよい。パターン装飾部(400)は、形成されたパターンに沿ってもしくは該パターン内で、ドラッグ、侵食、攪拌、混合または掃引することによって実行される。パターン装飾部(400)の動作は、適切な電子機器で制御されても手動で制御されてもよい。加えて、パターン装飾部(400)は、所望のパターンを得るために、パターン形成ユニット(200)と同期して実行されてもよい。パターン形成が完了した後、パターン形成トレイ(300)は、加圧する次の生成工程に移行する。
【0066】
(加圧脱水工程)
異なる種類、線、縞、色調または色斑を含むパターン形成トレイ(300)に供給および分布された泥状物は、グリーンセラミックのタイルまたは平板を形成するために、泥状物から水を抽出および除去するために加圧される。異なる種類、線、縞、色調または色斑は、タイルまたは平板の厚さ全体にまで及ぶ所望のパターンに変形される。
【0067】
この工程では、パターン形成トレイ(300)は、加圧脱水ユニット(500)に位置しており、より具体的には、加圧脱水ユニット(500)の下部押圧部(510)上に位置している。その後、例えばコンベヤーに形成される濾過シート(600)は、加圧前および図1、7、8に示すように加圧が実行されている間、パターン形成トレイ(300)を覆うような位置に移動する。その後、パターン形成トレイ内に含まれる泥状物は、上部押圧部(505)によって加圧される。泥状物が加圧された時点で、濾過シート(310)の細径よりも小さい泥状物の粒子を含む余分な水は、濾過シート(310)の細孔を介して、および、上部押圧部(505)の表面に準備された孔部、さらに代わりの実施形態である形状維持枠(515)の孔部を介して漏れ出す。上部押圧部(505)は、予め決められた値(枠(305)の高さ、形状維持枠(515)の高さ、枠(305)を収縮する性能、または、平方インチあたりの圧力値)に達するまで、できるだけ多量の水を抽出するために加圧し続ける。この加圧は、最大圧力で加圧している間、上部押圧部(505)の形状維持枠(515)が、下部押圧部(510)の維持枠(515’)と同じ位置になるように行われる。また、この加圧は、上部押圧部(505)の形状維持枠(515)の表面が、パターン形成トレイ(300)を含む下部押圧部(510)の形状維持枠(515’)の表面と接触、または、ほぼ接触するように行われる。加圧されている間、形状維持枠(515および515’)は、タイルまたは平板の形状またはパターンを変形する圧力が印加されることで変形される状態になるような、柔軟性のある枠の形状を維持する。
【0068】
加圧時に、水または濾過シート(310)の細孔よりも小さい泥状物の粒子は、そのような細孔、および、上部押圧部(505)と下部押圧部(510)との表面に準備された孔部を介して漏れ出し、除去するための排液管に回収される。加圧されている間、パターンの変形を防ぎ、グリーンタイルまたは平板の厚さを一定に維持して均等に水が除去されるように圧力を均等に分散させるために、除々に圧力を大きくしていることに留意したい。さらに、排液管に回収された水は、加圧が完了した後、吸引ポンプによって処理される。これにより、泥状物から水をさらに抽出することを困難にする、濾過シート(310、600)での粒子の目詰まりを少なくすることができる。さらに、水が均等に除去されない場合には、泥状物の分離が生じ、結果としてタイルまたは平板の厚さが一定にならない。加圧されている間、泥状物は、必要に応じて適切な温度に加熱されて、その温度に維持されてもよい。これにより、水の除去を容易にし、加圧時間を短縮することができる。
【0069】
パターン形成トレイ(300)の形状および構造は、最終生成物の形状および構造も決定する。従って、パターン形成トレイ(300)は、最終生成物の所望の形状、構造および大きさを得るために、必要に応じて変形されてもよい。パターン形成トレイ(300)は、適切な利用のために、指定された位置に空隙を含むように変形されてもよい。例えば、空隙は、正方形、長方形、楕円形、円形および所望の自由な形式の形状から選択される。パターン形成トレイ(300)に泥状物を供給する前のパターン形成トレイ(300)内に、上記のような形状の軟質の柔軟性のあるモールド(枠(305)と同じ原料からなるか、または枠(305)と同じ特性を有しており、再利用可能なモールド)を配置することによって、同様の結果が得られる。軟質の柔軟性のあるモールドは、パターン形成トレイ(300)内に場所をとることにより、加圧後にモールドが除去されると、モールドに対応する形状の空間を残す。この技術に従って生成されるタイルおよび平板は、切断されることなく、すなわち従来のタイルまたは平板のように任意の位置をドリルで穴を開けられたり、のこぎりで切断されることなく、台所の流し台、調理台等として用いられる。
【0070】
加圧が完了した後、パターン形成トレイ(300)は、加圧脱水ユニット(500)から移動し、グリーンタイルまたは平板は、表面の装飾、型の切り取り、焼成および/または研磨等によって所望の結果を得るための更なる処理のために、必要に応じて除去される。
【0071】
グリーンタイルまたは平板が取り出された後、パターン形成トレイ(300)は、洗浄するための洗浄部に移動し続け、生成ラインへと戻る。濾過シート(600)も同様に洗浄部に移動する。
【0072】
(乾燥および焼成工程)
加圧が完了し、グリーンタイルまたは平板が得られた後、該グリーンタイルまたは平板は、所望の結果を得るための更なる処理へと入る。例えば、グリーンタイルまたは平板の表面は、ディメンション、印刷、噴霧、塗装を施すために装飾される。すなわち、該表面は、セラミックの顔料が塗布され、必要に応じて薄片が塗布される。グリーンタイルまたは平板が高い含水率を示している間にこの処理が行われることにより、この処理を容易に行うことができ、損傷を少なくすることができる。その後、生成物は、本発明に従って生成されたグリーンタイルまたは平板の特性に適するように、標準的な方法に従って乾燥および焼成される。
【0073】
本発明の方式に係るセラミックのパターンは、所望のパターンを形成するために統合される泥状物の量、種類、色、線および縞における差異から形成される。装置の各構成要素が補助することにより、タイルもしくは平板が一定の品質を有する泥状物から形成されるとき、また、タイルもしくは平板を形成するパターンを形成するときには、必要な予防措置が講じられる。そのような措置は、例えば、上部押圧部(505)および下部押圧部(510)の平らな表面と同様に濾過シートの細径を均等にし、加圧脱水ユニット(500)によって印加される圧力を徐々に増加させる。この対策により、水および粒子が均等に漏れ出すため、均等な厚さおよび含有率を有するグリーンタイルを得ることができる。従って、厚さ全体にまで及ぶパターンを有するだけでなく、一定の厚さおよび長さをも有するグリーンタイルおよび平板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明に係る装置の一実施形態を示す側面図および上面図である。
【図2】泥状物をパターン形成トレイに分布する図1に示す装置のパターン形成セットの一実施形態を示す図である。
【図3】図2に示す装置のパターン形成セットの他の実施形態を示す図であり、パターン形成セットが攪拌手段を備えている場合を示すものである。
【図4】図2または図3に示す装置のパターン形成セットの他の実施形態を示す図であり、パターン形成セットがパターン受取トレイを備えている場合を示すものである。
【図5】パターン受取トレイの他の実施形態を示す図である。
【図6】パターン形成装飾部の一実施形態を示す図である。
【図7】パターン形成トレイの一実施形態を示す図である。
【図8】図3に示すパターン形成セットを用いた図1に示す装置の一実施形態を示す側面図および上面図である。
【図9】図5に示すパターン受取トレイの一実施形態を用いた図1に示す装置の一実施形態を示す側面図および上面図である。
【図10】加圧脱水ユニットへと移動するパターン形成セットを示す図である。
【図11】加圧脱水ユニットと、該加圧脱水ユニットの上部押圧部および下部押圧部とを示す図である。
【図12】異なる動作位置にある加圧脱水ユニットを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
泥状物から生じる、セラミックのタイルに所望のパターンを形成する装置であって、
泥状物を準備する手段と、
少なくとも1つの種類の泥状物を保持する少なくとも1つの泥状物保持槽と、
少なくとも1つのパターン形成トレイと、
少なくとも1つの上記泥状物保持槽を、少なくとも1つのパターン形成トレイに接続する少なくとも1つの手段と、
加圧脱水ユニットと、を備え、
各泥状物保持槽は、少なくとも1つの配送管によって上記パターン形成ユニットに接続されており、該パターン形成ユニットにおける該配送管の端部には、該パターン形成ユニットへの上記泥状物の配送を制御する弁が取り付けられたことを特徴とする装置。
【請求項2】
上記各泥状物保持槽は、該泥状物保持槽への圧力を調節する手段を有していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
上記各泥状物保持槽は、上記泥状物の供給量を少なくして、上記泥状物の流動を促進する手段を有し、該手段が少なくとも1つの攪拌器であることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
上記泥状物の供給量を少なくして、上記泥状物の流動を促進する手段は、移動する基部上の上記泥状物保持槽に位置していることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
上記パターン形成ユニットにおける配送管の端部には、該パターン形成ユニットに上記泥状物を供給することを制御可能で、かつ、交換可能な末端部が取り付けられたことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
上記パターン形成ユニットは、複数の配送管に対応可能であり、
上記パターン形成ユニットにおける、上記配送管の各端部の交換可能な上記末端部は、異なる形状および構造を有していることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の装置。
【請求項7】
上記泥状物保持槽には、
加熱ユニットと、
上記泥状物保持槽内に含まれる上記泥状物の温度を調節する手段と、が取り付けられたことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
上記パターン形成ユニットは、3つの直交軸であるx軸、y軸およびz軸に沿って移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
上記パターン形成ユニットには、供給部材を介して供給される上記泥状物の量を制御する弁が取り付けられたことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
上記パターン形成ユニットは、該パターン形成ユニットに含まれる上記泥状物を混合する手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
上記パターン形成ユニットは、パターン受取トレイをさらに備えたことを特徴とする請求項1、6、8、9または10に記載の装置。
【請求項12】
上記パターン受取トレイは、
上記パターン形成ユニットの上記供給部材から供給される上記泥状物を保持する筐体と、
底部に開閉部材と、
上記パターン受取トレイの底部領域に螺旋形スクリューの列と、を備え、
上記螺旋形スクリューは、均等であってもなくてもよく、該螺旋形スクリューの軸に対して回転可能であることにより、上記開閉部材へ該泥状物を供給し、上記パターン形成トレイに該泥状物を分布可能であることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
上記パターン受取トレイの上記筐体は、区画板を用いて、異なる種類、色、色の組合せおよび/または基本パターンを含むための区画に分割されていることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
上記区画板は、上記パターン受取トレイの上記筐体と取り外し可能に結合しており、上記区画板を追加もしくは取り外すことによって、および/または、各区画板間の距離を増加させるによって、区画の数および/または大きさが増減することを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
上記パターン受取トレイは、
開閉蓋と、
上記パターン受取トレイ内に真空環境を作り出すと共に、上記パターン形成トレイへの上記泥状物の供給を制御する高精度な空気圧システムと、をさらに備えたことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項16】
上記パターン形成トレイは、濾過シートに取り付けられた枠を備え、
各パターン形成トレイは、所望のタイルまたは平板の形状に対応する形状を有しており、自動的または半自動的な生産環境をサポートするための環状のコンベヤーを形成するために接続されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項17】
上記環状における各パターン形成トレイは、上記パターン形成ユニットから供給される上記泥状物を保持可能であると共に、整備のために着脱可能であり、損耗したときには交換可能であることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
上記パターン形成トレイは、外側の閉じた枠線のみ備えたことを特徴とする請求項16または17に記載の装置。
【請求項19】
上記パターン形成トレイは、該パターン形成トレイの予め決められた位置における空隙を決定するために、上記外側の閉じた枠線の内部に、少なくとも1つの内側の閉じた第2の枠線を備え、
上記空隙の形状は、正方形、長方形、楕円形、円形および自由な形式の形状から選択されることを特徴とする請求項16または17に記載の装置。
【請求項20】
上記枠は、圧力が印加されるときに変形可能な、多孔性かつ柔軟性を有する材料から作製されており、圧力が除去された後には元の形状に戻ることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項21】
多孔性かつ柔軟性を有する上記枠は、天然ゴム、天然ポリマー、合成ゴム、熱可塑性のエラストマー、シリコンゴム、ブタジエンゴム、エボナイトゴム、熱硬化性ゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴムおよびネオプレンゴムから選択された材料から作製されることを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
上記濾過シートは、多孔性材料であること特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項23】
上記濾過シートは、羊毛繊維、ナイロン、金網、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリブチレンおよびポリアミドから選択された材料から作製されることを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項24】
上記加圧脱水ユニットは、上部押圧部および下部押圧部を備え、
上記上部押圧部および下部押圧部の平らな表面は多孔性であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項25】
上記上部押圧部および下部押圧部にはそれぞれ、余分な水と上記泥状物への加圧によって漏れ出す粒子とを回収するための排液管が準備されていることを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項26】
上記上部押圧部および下部押圧部の少なくとも何れかは、該上部押圧部または下部押圧部の縁部周囲に形状維持枠を備えたことを特徴とする請求項25に記載の装置。
【請求項27】
上記形状維持枠の高さを調整する手段を備えたことを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項28】
上記パターン形成トレイの入出方向に位置する上記下部押圧部の上記形状維持枠は、上記パターン形成トレイの入出を可能とするために上下に移動可能であることを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項29】
上記加圧脱水ユニットは、上記上部押圧部および下部押圧部の上記排液管に回収された余分な水および粒子を除去する吸引ポンプをさらに備えたことを特徴とする請求項25に記載の装置。
【請求項30】
上記加圧脱水ユニットは、上記排液管へ余分な水を飛散させる風力発生部をさらに備えたことを特徴とする請求項25に記載の装置。
【請求項31】
上記加圧脱水ユニットは、
加熱ユニットと、
余分な水の除去を容易にするために、加圧される上記泥状物の温度を制御する手段と、を備えたことを特徴とする請求項25に記載の装置。
【請求項32】
上記パターン形成トレイに供給される上記泥状物の量を制御する重量センサによって制御されるスケールをさらに備え、
上記センサの起動により、上記パターン形成ユニットは、上記パターン形成トレイへの供給を抑制することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項33】
洗浄部をさらに備え、
加圧が完了し、グリーンのタイルもしくは平板が取り出された後、上記濾過シートおよびパターン形成トレイは、上記洗浄部に進行して洗浄され、生成工程に戻ることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項34】
所定の厚さを有するセラミックのタイルまたは平板に、該セラミックのタイルまたは平板の厚さ全体にまで及ぶパターンを形成する方法であって、
上記泥状物を得るために、セラミックのタイルまたは平板を生成する原材料を湿式ボールミルで研磨し、少なくとも1つの泥状物を準備する工程と、
所望の色を得るために、セラミックの顔料または薄片を加える工程と、
上記泥状物の粘性を減少させるか、または、セラミックのタイルと平板の強度を向上させるために、必要に応じて添加剤を加える工程と、
得られた泥状物を分離した槽に保持する工程と、
パターン形成ユニットに少なくとも1つの泥状物を供給する工程と、
所望のパターンに従って上記パターン形成トレイに上記泥状物を供給するために、該パターン形成トレイ上の上記パターン形成ユニットを移動する工程と、
余分な水を除去し、厚さ全体にまで及ぶパターンを有するグリーンセラミックのタイルまたは平板を形成するために、上記パターン形成トレイを加圧脱水する工程と、を含むことを特徴とする方法。
【請求項35】
上記泥状物は、30重量%から70重量%の乾燥剤を含むことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
最終的な添加剤は、解膠剤、分散剤、凝集剤、消泡剤および界面活性剤から選択されることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項37】
最終的な添加剤は、タイルまたは平板に対して5%以下の含有量であり、
ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルアセテート(PVAc)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、エチレンビニルアセレート(EVA)、澱粉、加工澱粉、セルロース繊維、有機繊維および無機繊維から選択されており、
該タイルまたは平板の特性を向上および/または変更させるものであることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項38】
上記泥状物は、室温に維持される、および/または、摂氏70度まで加熱されることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項39】
所望のパターンを形成するために供給される上記泥状物は、上記供給部材の形状と構造とを変更すること、上記泥状物を保持する上記槽内の圧力を変更すること、上記パターン形成ユニットの移動速度を変更すること、および/または、これらの組合せて変更することにあわせて、ソフトウェアアプリケーションにおいて予め符号化された値に応じて供給されることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項40】
上記パターン形成ユニットは、上記所望のパターンを形成する間、ソフトウェアアプリケーションにおいて予め符号化された値に応じて予め決められた速度で上記泥状物を供給するために、前後左右への移動および円運動を行うことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項41】
上記泥状物は、所望のパターンを形成するために、上記パターン形成トレイに供給される前に上記パターン形成ユニット内で自由に混合されることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項42】
上記泥状物は、所望のパターンを形成するために、上記パターン形成トレイに供給される前に、予め決められた速度で動作する攪拌器を用いることによってさらに混合されることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項43】
上記泥状物は、パターン受取トレイに供給された後にパターン形成トレイに供給されることを特徴とする請求項34〜39の何れか1項に記載の方法。
【請求項44】
上記パターン受取トレイに供給された上記泥状物は、異なる種類、色、色の組合せおよび/または基本パターンに応じて、上記パターン受取トレイの区画に別々に供給され、
上記泥状物は、螺旋形スクリューの回転によって、上記パターン受取トレイの底部の開閉端を介して上記パターン形成トレイに供給されることを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項45】
上記泥状物は、上記パターン受取トレイの底部の上記開閉端を調節することにあわせて、高精度な空気圧システムによって制御される真空環境に供給されることを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項46】
加圧している間の上記泥状物の温度は、室温に維持される、および/または、摂氏70度まで加熱されることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項47】
加圧脱水される間の上記タイルもしくは平板の形状を維持する手段は、該形状と、上記泥状物から生成されるグリーンセラミックのタイルおよび/または平板のパターンとを維持するために用いられることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項48】
所望の形状を有する軟質のモールドは、上記泥状物を上記パターン形成トレイに供給する前に、該パターン形成トレイの指定された位置に合わせられることにより、指定された位置に該軟質のモールドの形状に対応した空隙を有するグリーンセラミックのタイルまたは平板を生産可能にすることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項49】
上記軟質のモールドは、正方形、長方形、楕円形、円形および自由な形式の形状から選択された形状を有することを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項50】
パターンが形成されているとき、および/または、パターンの形成が完了した後、パターン装飾部を用いることによって該パターンを装飾および/または変化させる工程を含み、
上記パターン装飾部は、所望の結果を有する上記所望のパターンを提供するために、ドラッグ、侵食、攪拌、混合および/または掃引可能であることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項51】
所望のパターンを有するグリーンタイルおよび/または平板は、標準的な工程に従って乾燥および焼成されることを特徴とする請求項35〜50の何れか1項に記載の方法。
【請求項1】
泥状物から生じる、セラミックのタイルに所望のパターンを形成する装置であって、
泥状物を準備する手段と、
少なくとも1つの種類の泥状物を保持する少なくとも1つの泥状物保持槽と、
少なくとも1つのパターン形成トレイと、
少なくとも1つの上記泥状物保持槽を、少なくとも1つのパターン形成トレイに接続する少なくとも1つの手段と、
加圧脱水ユニットと、を備え、
各泥状物保持槽は、少なくとも1つの配送管によって上記パターン形成ユニットに接続されており、該パターン形成ユニットにおける該配送管の端部には、該パターン形成ユニットへの上記泥状物の配送を制御する弁が取り付けられたことを特徴とする装置。
【請求項2】
上記各泥状物保持槽は、該泥状物保持槽への圧力を調節する手段を有していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
上記各泥状物保持槽は、上記泥状物の供給量を少なくして、上記泥状物の流動を促進する手段を有し、該手段が少なくとも1つの攪拌器であることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
上記泥状物の供給量を少なくして、上記泥状物の流動を促進する手段は、移動する基部上の上記泥状物保持槽に位置していることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
上記パターン形成ユニットにおける配送管の端部には、該パターン形成ユニットに上記泥状物を供給することを制御可能で、かつ、交換可能な末端部が取り付けられたことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
上記パターン形成ユニットは、複数の配送管に対応可能であり、
上記パターン形成ユニットにおける、上記配送管の各端部の交換可能な上記末端部は、異なる形状および構造を有していることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の装置。
【請求項7】
上記泥状物保持槽には、
加熱ユニットと、
上記泥状物保持槽内に含まれる上記泥状物の温度を調節する手段と、が取り付けられたことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
上記パターン形成ユニットは、3つの直交軸であるx軸、y軸およびz軸に沿って移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
上記パターン形成ユニットには、供給部材を介して供給される上記泥状物の量を制御する弁が取り付けられたことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
上記パターン形成ユニットは、該パターン形成ユニットに含まれる上記泥状物を混合する手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
上記パターン形成ユニットは、パターン受取トレイをさらに備えたことを特徴とする請求項1、6、8、9または10に記載の装置。
【請求項12】
上記パターン受取トレイは、
上記パターン形成ユニットの上記供給部材から供給される上記泥状物を保持する筐体と、
底部に開閉部材と、
上記パターン受取トレイの底部領域に螺旋形スクリューの列と、を備え、
上記螺旋形スクリューは、均等であってもなくてもよく、該螺旋形スクリューの軸に対して回転可能であることにより、上記開閉部材へ該泥状物を供給し、上記パターン形成トレイに該泥状物を分布可能であることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
上記パターン受取トレイの上記筐体は、区画板を用いて、異なる種類、色、色の組合せおよび/または基本パターンを含むための区画に分割されていることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
上記区画板は、上記パターン受取トレイの上記筐体と取り外し可能に結合しており、上記区画板を追加もしくは取り外すことによって、および/または、各区画板間の距離を増加させるによって、区画の数および/または大きさが増減することを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
上記パターン受取トレイは、
開閉蓋と、
上記パターン受取トレイ内に真空環境を作り出すと共に、上記パターン形成トレイへの上記泥状物の供給を制御する高精度な空気圧システムと、をさらに備えたことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項16】
上記パターン形成トレイは、濾過シートに取り付けられた枠を備え、
各パターン形成トレイは、所望のタイルまたは平板の形状に対応する形状を有しており、自動的または半自動的な生産環境をサポートするための環状のコンベヤーを形成するために接続されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項17】
上記環状における各パターン形成トレイは、上記パターン形成ユニットから供給される上記泥状物を保持可能であると共に、整備のために着脱可能であり、損耗したときには交換可能であることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
上記パターン形成トレイは、外側の閉じた枠線のみ備えたことを特徴とする請求項16または17に記載の装置。
【請求項19】
上記パターン形成トレイは、該パターン形成トレイの予め決められた位置における空隙を決定するために、上記外側の閉じた枠線の内部に、少なくとも1つの内側の閉じた第2の枠線を備え、
上記空隙の形状は、正方形、長方形、楕円形、円形および自由な形式の形状から選択されることを特徴とする請求項16または17に記載の装置。
【請求項20】
上記枠は、圧力が印加されるときに変形可能な、多孔性かつ柔軟性を有する材料から作製されており、圧力が除去された後には元の形状に戻ることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項21】
多孔性かつ柔軟性を有する上記枠は、天然ゴム、天然ポリマー、合成ゴム、熱可塑性のエラストマー、シリコンゴム、ブタジエンゴム、エボナイトゴム、熱硬化性ゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴムおよびネオプレンゴムから選択された材料から作製されることを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
上記濾過シートは、多孔性材料であること特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項23】
上記濾過シートは、羊毛繊維、ナイロン、金網、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリブチレンおよびポリアミドから選択された材料から作製されることを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項24】
上記加圧脱水ユニットは、上部押圧部および下部押圧部を備え、
上記上部押圧部および下部押圧部の平らな表面は多孔性であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項25】
上記上部押圧部および下部押圧部にはそれぞれ、余分な水と上記泥状物への加圧によって漏れ出す粒子とを回収するための排液管が準備されていることを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項26】
上記上部押圧部および下部押圧部の少なくとも何れかは、該上部押圧部または下部押圧部の縁部周囲に形状維持枠を備えたことを特徴とする請求項25に記載の装置。
【請求項27】
上記形状維持枠の高さを調整する手段を備えたことを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項28】
上記パターン形成トレイの入出方向に位置する上記下部押圧部の上記形状維持枠は、上記パターン形成トレイの入出を可能とするために上下に移動可能であることを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項29】
上記加圧脱水ユニットは、上記上部押圧部および下部押圧部の上記排液管に回収された余分な水および粒子を除去する吸引ポンプをさらに備えたことを特徴とする請求項25に記載の装置。
【請求項30】
上記加圧脱水ユニットは、上記排液管へ余分な水を飛散させる風力発生部をさらに備えたことを特徴とする請求項25に記載の装置。
【請求項31】
上記加圧脱水ユニットは、
加熱ユニットと、
余分な水の除去を容易にするために、加圧される上記泥状物の温度を制御する手段と、を備えたことを特徴とする請求項25に記載の装置。
【請求項32】
上記パターン形成トレイに供給される上記泥状物の量を制御する重量センサによって制御されるスケールをさらに備え、
上記センサの起動により、上記パターン形成ユニットは、上記パターン形成トレイへの供給を抑制することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項33】
洗浄部をさらに備え、
加圧が完了し、グリーンのタイルもしくは平板が取り出された後、上記濾過シートおよびパターン形成トレイは、上記洗浄部に進行して洗浄され、生成工程に戻ることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項34】
所定の厚さを有するセラミックのタイルまたは平板に、該セラミックのタイルまたは平板の厚さ全体にまで及ぶパターンを形成する方法であって、
上記泥状物を得るために、セラミックのタイルまたは平板を生成する原材料を湿式ボールミルで研磨し、少なくとも1つの泥状物を準備する工程と、
所望の色を得るために、セラミックの顔料または薄片を加える工程と、
上記泥状物の粘性を減少させるか、または、セラミックのタイルと平板の強度を向上させるために、必要に応じて添加剤を加える工程と、
得られた泥状物を分離した槽に保持する工程と、
パターン形成ユニットに少なくとも1つの泥状物を供給する工程と、
所望のパターンに従って上記パターン形成トレイに上記泥状物を供給するために、該パターン形成トレイ上の上記パターン形成ユニットを移動する工程と、
余分な水を除去し、厚さ全体にまで及ぶパターンを有するグリーンセラミックのタイルまたは平板を形成するために、上記パターン形成トレイを加圧脱水する工程と、を含むことを特徴とする方法。
【請求項35】
上記泥状物は、30重量%から70重量%の乾燥剤を含むことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
最終的な添加剤は、解膠剤、分散剤、凝集剤、消泡剤および界面活性剤から選択されることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項37】
最終的な添加剤は、タイルまたは平板に対して5%以下の含有量であり、
ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルアセテート(PVAc)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、エチレンビニルアセレート(EVA)、澱粉、加工澱粉、セルロース繊維、有機繊維および無機繊維から選択されており、
該タイルまたは平板の特性を向上および/または変更させるものであることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項38】
上記泥状物は、室温に維持される、および/または、摂氏70度まで加熱されることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項39】
所望のパターンを形成するために供給される上記泥状物は、上記供給部材の形状と構造とを変更すること、上記泥状物を保持する上記槽内の圧力を変更すること、上記パターン形成ユニットの移動速度を変更すること、および/または、これらの組合せて変更することにあわせて、ソフトウェアアプリケーションにおいて予め符号化された値に応じて供給されることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項40】
上記パターン形成ユニットは、上記所望のパターンを形成する間、ソフトウェアアプリケーションにおいて予め符号化された値に応じて予め決められた速度で上記泥状物を供給するために、前後左右への移動および円運動を行うことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項41】
上記泥状物は、所望のパターンを形成するために、上記パターン形成トレイに供給される前に上記パターン形成ユニット内で自由に混合されることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項42】
上記泥状物は、所望のパターンを形成するために、上記パターン形成トレイに供給される前に、予め決められた速度で動作する攪拌器を用いることによってさらに混合されることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項43】
上記泥状物は、パターン受取トレイに供給された後にパターン形成トレイに供給されることを特徴とする請求項34〜39の何れか1項に記載の方法。
【請求項44】
上記パターン受取トレイに供給された上記泥状物は、異なる種類、色、色の組合せおよび/または基本パターンに応じて、上記パターン受取トレイの区画に別々に供給され、
上記泥状物は、螺旋形スクリューの回転によって、上記パターン受取トレイの底部の開閉端を介して上記パターン形成トレイに供給されることを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項45】
上記泥状物は、上記パターン受取トレイの底部の上記開閉端を調節することにあわせて、高精度な空気圧システムによって制御される真空環境に供給されることを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項46】
加圧している間の上記泥状物の温度は、室温に維持される、および/または、摂氏70度まで加熱されることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項47】
加圧脱水される間の上記タイルもしくは平板の形状を維持する手段は、該形状と、上記泥状物から生成されるグリーンセラミックのタイルおよび/または平板のパターンとを維持するために用いられることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項48】
所望の形状を有する軟質のモールドは、上記泥状物を上記パターン形成トレイに供給する前に、該パターン形成トレイの指定された位置に合わせられることにより、指定された位置に該軟質のモールドの形状に対応した空隙を有するグリーンセラミックのタイルまたは平板を生産可能にすることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項49】
上記軟質のモールドは、正方形、長方形、楕円形、円形および自由な形式の形状から選択された形状を有することを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項50】
パターンが形成されているとき、および/または、パターンの形成が完了した後、パターン装飾部を用いることによって該パターンを装飾および/または変化させる工程を含み、
上記パターン装飾部は、所望の結果を有する上記所望のパターンを提供するために、ドラッグ、侵食、攪拌、混合および/または掃引可能であることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項51】
所望のパターンを有するグリーンタイルおよび/または平板は、標準的な工程に従って乾燥および焼成されることを特徴とする請求項35〜50の何れか1項に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−114585(P2008−114585A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−243497(P2007−243497)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(507314545)エスシージー ビルディング マテリアルズ カンパニー,リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−243497(P2007−243497)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(507314545)エスシージー ビルディング マテリアルズ カンパニー,リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]