説明

扉一体型安全スイッチ装置

【課題】扉を開けると確実に回路を遮断することができるようにした扉一体型安全スイッチ装置を提供する。
【解決手段】扉4に取付けられるアクチュエータ11と、壁5に取り付けられアクチュエータ11の挿入・引き抜きに応じて接点の接続・遮断がなされる安全スイッチ本体部12と、本体部12に電気的に接続されると共に扉の開閉に応じて、本体部12から扉4を一旦経由する回路の接続・遮断を行う接続部13と、本体部12に電気的に接続される外部制御装置と、本体部12と接続部13と外部制御装置とをそれぞれ電気的に接続する接続線とを有し、扉4が閉じられると共にアクチュエータ11が挿入された状態では、接続部13の接続状態により外部制御装置と本体部12と接続部13とにより閉ループ回路が構成され、扉4が開かれた状態では本体部12と接続部13の遮断状態により閉ループ回路が開ループ状態となるように、接続線が配線されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業機械が設置される領域の出入口などの壁面及びその出入口の扉付近に装着され、扉が開かれたときには産業機械等への電源供給を停止する扉一体型安全スイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
産業機械が設置された領域では、作業者が機械に巻き込まれて負傷するといったトラブルの発生を防止することを目的として、当該危険領域の出入口の扉が完全に閉まっていないときには、機械の駆動をロックするシステムを設けることが要求されており、このような要求に応じるために安全スイッチ装置(特開平10−69831)が提案されている。この安全スイッチ装置は、安全スイッチ本体部が領域の出入口周辺の壁面に装着され、その出入口の扉を閉じたときに扉に固着された専用のアクチュエータが安全スイッチ本体部の挿入口から挿入されると、安全スイッチ本体部内の駆動カムが回転し、その駆動カムの回転に応じて操作ロッドが移動して接点の接続状態が切り替わる構造のスイッチであって、このような接点の切り替わり動作で回路接続が主回路(産業機械への電源供給回路)側へと切り替わって領域内の機械が運転可能な状態となる。
【0003】
ところで、このような安全スイッチ装置は、上記のように危険領域で使用されるものであるから、本来的にはその信頼性が高いものである。しかしながら、長期間の使用により、機械的構造に欠陥が生じ、これに起因して接点がON・OFFしない場合がある。また、接点部が溶着するような場合もある。このような事態が生じると、扉を開いた状態で、安全スイッチ本体部内の回路が遮断せず、そのため危険領域内の産業機械が停止せず、作動中のままととなり、極めて危険な状態となる。
そこで、かかる問題を解決するためには、例えば、安全スイッチ装置に加えてマイクロスイッチを設ける構成も考えられる。即ち、壁面にマイクロスイッチ本体を取付け、扉にマイクロスイッチ本体の接点部の接続を操作する操作突起を取付けようにして、安全スイッチとマイクロスイッチの両者がオンの時に扉が閉じられたとして産業機器に電源供給し、安全スイッチとマイクロスイッチの両者の何れかがオフの時に扉が開いたとして産業機器への電源供給を遮断するように構成する。これにより、安全スイッチ装置に欠陥が生じても、マイクロスイッチにより扉の開閉状態が検出できるので、安全性が担保されることになる。
【0004】
【特許文献1】特開平10−69831号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように安全スイッチ装置に加えてマイクロスイッチを設ける構成の場合、マイクロスイッチ自体はスイッチ回路を強制的に遮断するものでなく、やはり接点が溶着する場合が発生する。そうすると、安全スイッチ装置に欠陥が生じ、且つ、マイクロスイッチにも接点溶着が生じたような場合、機械を停止させることができない。
要約すると、従来例では扉を開けると確実に安全スイッチ装置内のスイッチ回路を遮断させることができず、作業者の安全確保の観点からは十分とはいえなかった。
【0006】
本発明は、上記の実情を鑑みて考え出されたものであり、その目的は、扉を閉じると確実に回路を遮断することができるようにした扉一体型安全スイッチ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明のうち請求項1記載の発明は、扉又は壁のいずれかに取付けられ、外部からのアクチュエータの挿抜状態に応じて駆動機構を作動させることにより、接点の接続・遮断がなされる安全スイッチ本体部と、前記扉の開閉に応じて、前記壁から扉を経由する回路の接続・遮断を行う接続部と、前記回路及び安全スイッチ本体部に接続される外部制御装置と、を有し、前記外部制御装置は、前記接続部の前記回路が接続されていること及び前記安全スイッチ本体部の前記接点が接続されていることに基づいて機械の動作を許可することを特徴とする。
【0008】
上記の如く、回路及び安全スイッチ本体部に接続される外部制御装置は、接続部の回路が接続されていること及び安全スイッチ本体部の接点が接続されていることに基づいて機械の動作を許可するように構成されていることにより、扉を開くと必ず接続部により回路が遮断される。これにより、扉を開いたのにも拘らずアクチュエータが安全スイッチ本体部に挿入された状態のままの場合や、アクチュエータが引き抜かれたとしても安全スイッチ本体部内の接点が溶着しているような場合が生じても、機械の作動を確実に停止することが可能となる。この結果、作業者の安全確保の向上を図ることができる。
ここで、用語「アクチュエータの挿抜状態」とは、アクチュエータの挿入・引き抜きのみならず、アクチュエータのロック状態も含むことを意味する。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の扉一体型安全スイッチ装置であって、前記回路は、前記扉の前記壁側から導入され、前記扉の前記壁側とは反対側から導出される回路を含むことを特徴とする。
【0010】
上記構成によってもまた、請求項1と同様の効果を奏する。
【0011】
更に、本発明は、以下のような構成としてもよい。
即ち、アクチュエータが扉に取付けられ、安全スイッチ本体部が壁に取付けられ、前記接続部は、扉に取付けられる差込用又は受用のいずれか一方の第1コネクタと、壁に取付けられる差込用又は受用のいずれか他方の第2コネクタとを有し、前記第2コネクタは、安全スイッチ本体部の接点を経由して外部制御装置に接続される第1コネクタ端子と、安全スイッチ本体部内を接点を経由することなく引き出されて外部制御装置に接続される第2コネクタ端子とを有し、前記第1コネクタは、第2コネクタの第1コネクタ端子と接続可能な第1コネクタ端子と、第2コネクタの第2コネクタ端子と接続可能な第2コネクタ端子とを有し、前記扉を一旦経由する回路の一端は第1コネクタの第1コネクタ端子に接続され、その他端は扉を出ることなく第1コネクタの第2コネクタ端子に接続されている構成としてもよい。
【0012】
また、扉を一旦経由する回路は、安全スイッチ本体部側に戻らずに扉の安全スイッチ本体部側とは反対側に導出されて外部制御装置に接続されているか、又は、安全スイッチ本体部側に戻らずに扉の安全スイッチ本体部側とは反対側に導出されて少なくとも1以上の壁を経由して外部制御装置に接続される構成としてもよい。
【0013】
更に、アクチュエータがヒンジ式の扉に取付けられ、安全スイッチ本体部が壁に取付けられ、接続部は、扉と扉を回転可能に支持する他の壁間に装着される回転式の接点切替装置であり、安全スイッチ本体部は、接点切替装置を介して外部制御装置に接続されている構成としてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、回路及び安全スイッチ本体部に接続される外部制御装置は、接続部の回路が接続されていること及び安全スイッチ本体部の接点が接続されていることに基づいて機械の動作を許可するように構成されていることにより、扉を開くと必ず接続部により回路が遮断される。これにより、扉を開いたのにも拘らずアクチュエータが安全スイッチ本体部に挿入された状態のままの場合や、アクチュエータが引き抜かれたとしても安全スイッチ本体部内の接点が溶着しているような場合が生じても、機械の作動を確実に停止することが可能となる。この結果、作業者の安全確保の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る扉一体型安全スイッチ装置を、実施の形態に基づいて詳述する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0016】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態に係る扉一体型安全スイッチ装置は、例えば図1に示すようなシステムに適用される。産業用ロボットや工作機械等の機械1は、安全柵2で囲まれている。なお、安全柵2の内側領域を危険領域S1と称し、安全柵2の外側領域を安全領域S2と称する。
安全柵2には出入口3が設けられ、出入口3を通ってオペレータや搬送物が外部と機械1との間を出入りできる。また、複数の壁5で構成される安全柵2には出入口3を閉じるための扉4が設けられている。扉4は本実施の形態ではスライド式の扉であり方向Zに移動可能である。なお、一端にヒンジを備えたヒンジ式の扉であってもよい。
このようなシステムにおいて、作業者の安全確保のために本発明に係る安全スイッチ装置10が設けられている。安全スイッチ装置10は、同装置10の外部からのアクチュエータ11の挿抜状態に応じて接点操作部を作動させて接点の接続を行う安全スイッチ本体12と、扉4の開閉に応じて回路の接続・遮断を行う接続部13とから構成されている。ここで、「アクチュエータ11の挿抜状態」とは、アクチュエータ11の挿入・引き抜きのみならず、アクチュエータ11のロック状態も含む。即ち、安全スイッチ本体12はアクチュエータ11の挿入状態をロックするロック機構を備えている場合と備えていない場合があり、安全スイッチ本体12がロック機構を備えていない場合には、「アクチュエータ11の挿抜状態」とは、アクチュエータ11の挿入・引き抜きを意味するが、安全スイッチ本体12がロック機構を備えている場合には、アクチュエータ11の挿入・引き抜きのみならず、アクチュエータ11のロック状態も含まれる。
【0017】
図2は扉が閉じられた状態を示す断面図、図3は扉が開かれた状態を示す断面図である。図2及び図3を参照して、安全スイッチ装置10の構成を具体的に説明する。安全スイッチ本体部12は、壁5の端部5a付近に設けられ、アクチュエータ11は扉4の端部4a付近に設けられている。スイッチ本体部12は、アクチュエータ11が差し込まれるアクチュエータ挿入口15を有する操作部16と、可動接点17a,17bと固定接点18をa,18bが内蔵された接点部20によって構成されている。操作部16内には、駆動カム21が設けられている。この駆動カム21は操作ロッド22に変位を与えるものである。この駆動カム21の外周面には、アクチュエータ挿入口15に対応して矩形状の凹部23,24が形成されている。また、操作ロッド22はバネ25によって上方に付勢されている。
【0018】
接続部13は、壁5側に取付けられる第1コネクタ30と、扉4側に取付けられる第2コネクタ31とから構成されている。第1コネクタ30は、図2の横方向に移動可能な押圧部材31aと、押圧部材31aを扉側に向けて付勢するバネ32と、上下一対の差込用コネクタ端子33a,33bと、差込用コネクタ端子33a,33bを保持する保持体34と、保持体34を奥行き方向(X1方向)に付勢するバネ35と、保持体34の奥行き方向(X1方向)の移動を規制する電気絶縁性の規制部材36と、規制部材36を上方に付勢するバネ37とを有する。押圧部材31a等を覆う樹脂ケース38の端面には、押圧部材36が挿通可能な挿入孔39と、コネクタ端子33a,33bが挿通可能な挿入孔40a,40bとが形成されている。
【0019】
一方、第2コネクタ31は、図2の横方向に移動可能であって前記押圧部材31aの先端面に当接可能な押圧部材41と、押圧部材41を壁側に向けて付勢するバネ42と、上下に延びる電気絶縁性の仕切板43と、仕切板43を上方側に付勢するバネ45と、差込用コネクタ端子33a,33bが差し込まれる上下一対の受用コネクタ端子46a,46bとを有する。押圧部材41等を覆う樹脂ケース47の端面には、扉が閉じられた時に、押圧部材41が挿通可能な挿入孔48と、受用コネクタ端子46a,46bが挿通可能な挿入孔49a,49bとが形成されている。また、仕切板43には、上下一対の挿入孔50a,50bが形成されている。
【0020】
上記構成により、扉を閉じると、図2に示すように、押圧部材31aと押圧部材41とが当接する。これにより、押圧部材31aがX1方向に移動するので、規制部材36が下方に移動し、保持体34がX2方向に移動する。これにより、差込用コネクタ端子33a,33bが扉側に向けて突出する。一方、押圧部材41がX2方向に移動するので、仕切板43が下方に移動し、挿入孔50a,50bと挿入孔49a,49bとが連通した状態となる。これにより、差込用コネクタ端子33a,33bが受用コネクタ端子46a,46bに差し込まれた状態となる。これと共に、アクチュエータ11がアクチュエータ挿入口15に差し込まれることにより、可動接点17a,17bと固定接点18a,18bとが接触する。これにより、外部制御装置(図示せず)→接続線L1→固定接点18b→可動接点17b→可動接点17a→固定接点18a→接続線L2→差込用コネクタ端子33a→受用コネクタ端子46a→接続線L3→受用コネクタ端子46b→差込用コネクタ端子33b→接続線L4→外部制御装置(図示せず)を経由する閉ループ回路が構成される。これにより、外部制御装置(図示せず)は、機械1の動作を許可する。ここで、「機械1の動作を許可する」とは、具体的には機械1への電源を入れる場合や、機械1への電源は入っている状態で機械1を停止させる制御信号を解除する場合が含まれる。
【0021】
扉を開くと、図3に示すように、押圧部材31aと押圧部材41とが突出する。これにより、差込用コネクタ端子33a,33bは引き戻され、差込用コネクタ端子33a,33bと受用コネクタ端子46a,46bとが分離する。これにより、上記閉ループ回路が開ループ状態となる。このように、扉を開くと必ず回路遮断状態が発生するので、扉を開いたのにも拘らずアクチュエータ11が安全スイッチ本体部12に挿入状態のままであったり、アクチュエータ11が引き抜かれた場合であっても接点が溶着しているような場合があっても、確実に回路が遮断され、機械の作動を確実に停止することが可能となる。
なお、扉を開くと、仕切板43は上方に移動して挿入孔49a,49bを閉塞する。即ち、上記構成の接続部13は、扉が開かれたとき、差込用コネクタ端子33a,33bの挿入口となる挿入孔49a,49bを閉じるようになっている。この結果、塵等によるトラッキング火災の発生を防止できる。
【0022】
尚、接続部13は、上記の例に限らず、図4に示すように、扉側は受用コネクタ端子46a,46bのみを有する簡素化された構造であってもよい。また、図5に示すように、壁5側は差込用コネクタ端子33a,33bのみを有する簡素化された構造とし、且つ、扉4側も、図4に示すのと同様な、受用コネクタ端子46a,46bのみを有する簡素化された構造とするようにしてもよい。
【0023】
(実施の形態2)
図6は実施の形態2に係る安全スイッチ装置を示す斜視図であり、そのうち図6(a)は扉を閉じた状態を示し、図6(b)は扉を開いた状態を示す図である。本実施の形態は、ヒンジ49a,49bを備えたヒンジ式の扉4を使用すると共に、扉4にアクチュエータ11が設けられ、壁5に安全スイッチ本体部12が設けられている。アクチュエータ11は移動自在に扉4に装着されたスライド式の構成となっている。また、扉4及び壁5に関連して接続部13が設けられ、扉4と壁5Aに関連して接続部13と同様な構成の接続部13Aが設けられている。接続部13,13Aは、共に差込用コネクタ端子33a(33b)及び受用コネクタ端子46a(46b)を有している。この接続部13と接続部13Aとは、接続線L10を介して接続されている。また、接続部13Aから壁5A側に引き出された接続線L11は、他の1以上の壁を経由して外部制御装置(図示せず)に接続されているか、若しくは他の1以上の壁に加えて他の1以上の扉を有している場合は当該他の1以上の壁及び当該他の1以上の扉を経由して外部制御装置(図示せず)に接続されている。尚、他の1以上の壁及び他の1以上の扉には接続部13Aがそれぞれ設けられており、他の壁同士の回路接続、他の扉と他の壁同士の回路接続が可能なようになっている。これにより、扉4を経由する回路は、安全スイッチ本体部12側に戻らずに扉4の安全スイッチ本体部12側とは反対側に導出されて少なくとも1以上の壁(1以上の壁に加えて1以上の扉を有する場合は、1以上の壁及び1以上の扉壁)を経由して外部制御装置(図示せず)に戻る接続構成となる。換言すれば、安全柵2を1周して外部制御装置(図示せず)に接続される閉ループ回路が構成される。
【0024】
上記構成において、扉を閉めた状態では、接続部13Aにおいて、図7(a)に示すように差込用コネクタ端子33a(33b)が受用コネクタ端子46a(46b)に差し込まれた状態となる。また、接続部13においても、同様に差込用コネクタ端子46a(46b)が受用コネクタ端子46a(46b)に差し込まれた状態となる(図示せず)。これにより、閉ループ回路が構成される。
【0025】
扉を開いた状態では、接続部13Aにおいて、図7(b)に示すように差込用コネクタ端子33a(33b)と受用コネクタ端子46a(46b)とは分離した状態となる。また、また、接続部13においても、同様に差込用コネクタ端子33a(33b)と受用コネクタ端子46a(46b)とは分離した状態となる(図示せず)。これにより、上記閉ループ回路が開ループ状態となる。
【0026】
このような構成により、安全柵2を1周して外部制御装置(図示せず)に接続される閉ループ回路において、扉4を開くと必ず回路遮断状態を発生させることが可能となる。従って、扉4以外に1以上の他の扉を備えている安全柵2において、全ての扉が閉じられている場合にのみ機械1が作動し、少なくとも1つの扉が開かれると、機械1が停止するように構成された安全スイッチ装置を構成することが可能となり、作業者の安全確保をさらに向上することできる。
なお、接続部13Aは可撓性のある信号線に置き換えてもよい。
【0027】
また、接続部13Aを、図8〜図10に示すような回転式接点切替装置を有する構造としてもよい。即ち、ヒンジ49a,49bは、図9に示すように、上下に分離した上円筒体50aと下円筒体50bを有する第1ヒンジ部51aと、上円筒体50aと下円筒体50bとの間に配置される中間円筒体50cを有する第2ヒンジ部51bとからなる。そして、上円筒体50aの下面に金属接触部52aを設け(図9(a)参照)、中間円筒体50cの上面及び下面に金属接触部52c1,52c2を設け(図9(a)、図9(b)参照)、下円筒体50bの上面に金属接触部52bを設ける。このような構造により、扉が閉じられると、金属接触部52c1,52c2が金属接触部52a,52bと接触して(図10(a)参照)、回路が接続状態となる。一方、扉が開かれると、金属接触部52c1,52c2と金属接触部52a,52bとが非接触状態となり(図10(b)参照)、回路が遮断状態となる。従って、このような構成によってもまた、扉を開くと必ず回路遮断状態を発生することが可能となる。
【0028】
(実施の形態3)
本実施の形態3は、扉4の開閉に応じて差込用コネクタ端子33a,33bとアクチュエータ11との挿抜順序が決められた構造となっていることを特徴とする。具体的には、扉4が閉じられる時は、差込用コネクタ端子33a,33bが先に挿入され、その後にアクチュエータ11が挿入される構造であり、扉4が開かれる時は、アクチュエータ11が先に引き抜かれ、その後に差込用コネクタ端子33a,33bが引き抜かれる構造である。このような構造により、接続部13にて電気が流れている回路を入れたり切ったりすることがなくなる。もし、扉4の開閉時に差込用コネクタ端子33a,33bとアクチュエータ11の挿抜順序が上記と逆の順序の場合、接続部13にて電気が流れている回路を入れたり切ったりすることになり、過電流の発生により差込用コネクタ端子33a,33bに火花が発生したりして故障の原因となるからである。
【0029】
具体的な構造としては、図2に示す構成のうちアクチュエータ11をスライド移動自在の閂構造のアクチュエータ11(図11参照)に置き換える。このような構造により、扉を閉めて差込用コネクタ端子33a,33bが先に挿入され後アクチュエータ11を挿入し(図11(b)参照)、扉を開けるときは、アクチュエータ11を抜いた後に、扉を開け差込用コネクタ端子33a,33bが抜けるようにする(図11(a)参照)ことができる。
また、図12に示すように、プラグ形アクチュエータ11を使用することによっても実現できる。尚、図11及び図12においては、接続部13は省略して描いている。
また、図13に示すように、扉4を閉めていく時に、安全スイッチ本体部12と接続部13の取付位置を調整して、扉が開状態から閉状態になった時には、必ず、差込用コネクタ端子33a,33bが先に挿入接続され、その後にアクチュエータ11が挿入されると順序となり、扉4が閉状態から開状態になった時には、必ず、アクチュエータ11が先に引き抜かれ、その後に差込用コネクタ端子33a,33bが引き抜かれるようにする。
【0030】
(その他の事項)
(1)本発明は、安全スイッチ本体部がアクチュエータ挿入状態をロックするロック機能付のものにも適用できる。ロック機能としては、動力源を用いてロックするロック部を有する構成、又はキーにてロックする構成のいずれであってもよい。なお、動力源としては、ソレノイド、空気圧、油圧等を用いることができる。
尚、ロック状態を解除する解除手段としては、手動ロック解除機構を有している場合、アクチュエータのロック(ロック解除)を2個以上の動力源にて行い、ロック(ロック解除)の保持を1個の動力源にて行う場合、アクチュエータ解除許可のみロック機構の動力源で行いアクチュエータのロック解除及び接点操作は作業者により行う場合、ホステッジコントロール機能がついている場合、動力源の動作検出部や扉の開閉検出部をユニット化し必要な数の出力を自由に撰べるように構成した場合等のいずれを用いてよい。
また、動力源(ソレノイド)への電力供給ラインを扉の回路遮断部を経由させるように構成してもよい。具体的には、動力源(ソレノイド)に通電してロック解除して扉を開くように構成する。これにより、従来では、扉を開けて作業中は、一般的には動力源(ソレノイド)には通電し続けるように構成していたものが、扉を開けると電力供給ラインが遮断されるので、省エネ効果が得られる。
また、他の具体例としては、動力源(ソレノイド)に通電してロックし、ロック解除して扉を開くように構成する。これにより、従来は、扉を開いている際でも通電できるが、動力源(ソレノイド)は製品内の部品によって機械的に動けないようにされているため、動力源(ソレノイド)にとってもよくない。これに対して、上記構成により、扉を開いている時は、通電できないため、動力源(ソレノイド)や人力的に動きを止めている部品への影響(寿命が短くなる、破損し易い等)がなくなる。
【0031】
(2)上記実施の形態における接続部は、図14〜図20の構成のものを使用してもよい。図14及び図15は嵌め込みタイプの接続部80Aであり、図16及び図17は締め付けタイプの接続部80Bであり、図18及び図19はねじ止めタイプの接続部80Cであり、図20はプラグ式タイプ接続部80Dである。また、接続部の接続・分離としては、スライド式扉の場合は、扉が開く時は図21(a)のように分離状態となり、扉が閉じる時は図21(b)のように接続状態となる。一方、ヒンジ扉の場合は、扉が開く時は図22(a)のように分離状態となり、扉が閉じる時は図22(b)のように接続状態となる。
また、ヒンジ扉の場合における接続部にあっては、図23に示すようにコネクタ端子を取付金具60によって扉4及び壁5に取付けるようにしてもよい。また、図24に示すように軸61周りに回動する保持板62上にコネクタ端子を取り付け、保持板62をバネ63を介して壁4又は扉5に取り付ける。これにより、扉4を開状態から閉状態とする時、図24(a)の状態から、図24(b)に示すようにコネクタ端子が先ず接続された状態を経由して、扉が閉状態となった時に図24(a)に示すようにコネクタ端子が接続状態となる。
【0032】
接続部は以上のように、電気的な回路で構成されている場合の他、投光素子、受光素子及び光ファイバなどを用いた光回路、あるいはコイルなどを用いた磁気回路で構成してもよい。また、アクチュエータは以上のように、扉や壁に取り付けられて安全スイッチ本体部12に抜き差しされる場合でもよいし、扉や壁に取り付けられているものではなく作業者が手にもって安全スイッチ本体部12に抜き差しされる場合でもよい。
【0033】
(3)また、本発明は、上記実施の形態に限定されず、以下の特徴1〜10を適宜選択して組み合わせてもよい。
(特徴1):安全スイッチ本体部12と接続部13が直列に接続されていること(図2参照)。
(特徴2):安全スイッチ本体部12と接続部13が並列に接続されていること(図25参照)。
(特徴3):安全スイッチ本体部12は扉の開閉検知の接点を有すること。
(特徴4):安全スイッチ本体部12は扉のロック検知の接点を有すること。
(特徴5):回路は、扉の壁側から導入され、扉の前記壁側とは反対側から導出される回路を含んでおり、外部制御装置の左から出た接続線は壁5を一周して外部制御装置の右に戻ってくること(図6参照)。
(特徴6):回路は、扉の壁側から導入され、扉の前記壁側とは反対側から導出される回路を含んでおり、外部制御装置の左から出た接続線は壁5を折り返し外部制御装置の左に戻ってくること(図26参照)。
(特徴7):接点が2重化されていること(図27参照)。
(特徴8):安全スイッチ本体部12内の接点を2重化したり、扉の開閉検知用及び扉のロック検知用の接点を設けたりして複数の接点が設けられている場合は、接続部も対応して複数設けて、複数の接点をそれぞれ接続部に接続すること。
(特徴9):複数の接続部が設けられている場合は、接続部は互いに別体として設けてもよいし、一体として設けてもよいこと。
(特徴10):安全スイッチ本体部12と接続部とは互いに別体として設けてもよいし、一体として設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、産業機械が設置される領域の出入口などの壁面及びその出入口の扉付近に装着され、扉が開かれたときには産業機械等への電源供給を停止する扉一体型安全スイッチ装置に好適に実施される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態に係る扉一体型安全スイッチ装置が適用されるシステムの全体図。
【図2】実施の形態1に係る扉一体型安全スイッチ装置において扉が閉じられた状態を示す断面図。
【図3】実施の形態1に係る扉一体型安全スイッチ装置において扉が開かれた状態を示す断面図。
【図4】実施の形態1の接続部の変形例を示す断面図。
【図5】実施の形態1の接続部の他の変形例を示す断面図。
【図6】実施の形態2に係る扉一体型安全スイッチ装置を示す斜視図であり、そのうち図6(a)は扉を開いた状態を示し、図6(b)は扉を閉じた状態を示す図。
【図7】差込用コネクタ端子と受用コネクタ端子との接続・分離状態を示す図。
【図8】実施の形態2の接続部の変形例を示す斜視図。
【図9】図8の分解斜視図。
【図10】図8の接続部の開閉時における接続・分離状態を示す図。
【図11】実施の形態3の第1の具体的な構造を説明するための図。
【図12】実施の形態3の第2の具体的な構造を説明するための図。
【図13】実施の形態3の第2の具体的な構造を説明するための図。
【図14】接続部の変形例を示す図。
【図15】接続部の変形例を示す図。
【図16】接続部の変形例を示す図。
【図17】接続部の変形例を示す図。
【図18】接続部の変形例を示す図。
【図19】接続部の変形例を示す図。
【図20】接続部の変形例を示す図。
【図21】スラスド式扉の場合におけるコネクタ端子の接続・分離を示す図。
【図22】ヒンジ扉の場合におけるコネクタ端子の接続・分離を示す図。
【図23】ヒンジ扉の場合における接続部の構造を示す図。
【図24】ヒンジ扉の場合における接続部の他の構造を示す図。
【図25】本発明に係る扉一体型安全スイッチ装置の他の変形例を示す図。
【図26】本発明に係る扉一体型安全スイッチ装置の他の変形例を示す図。
【図27】本発明に係る扉一体型安全スイッチ装置の他の変形例を示す図。
【符号の説明】
【0036】
10:安全スイッチ装置
11:アクチュエータ
12:安全スイッチ本体部
13,13A:接続部
15:アクチュエータ挿入口
30:第1コネクタ
31:第2コネクタ
33a,33b:差込用コネクタ端子
46a,46b:受用コネクタ端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉又は壁のいずれかに取付けられ、外部からのアクチュエータの挿抜状態に応じて駆動機構を作動させることにより、接点の接続・遮断がなされる安全スイッチ本体部と、
前記扉の開閉に応じて、前記壁から扉を経由する回路の接続・遮断を行う接続部と、
前記回路及び安全スイッチ本体部に接続される外部制御装置と、
を有し、
前記外部制御装置は、前記接続部の前記回路が接続されていること及び前記安全スイッチ本体部の前記接点が接続されていることに基づいて機械の動作を許可することを特徴とする扉一体型安全スイッチ装置。
【請求項2】
前記回路は、前記扉の前記壁側から導入され、前記扉の前記壁側とは反対側から導出される回路を含む請求項1に記載の扉一体型安全スイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2008−38936(P2008−38936A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−210405(P2006−210405)
【出願日】平成18年8月1日(2006.8.1)
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)
【Fターム(参考)】