説明

把持部位置決め装置および方法

【課題】ロボットアームに装着されたワーク把持装置に備えられた把持部を、ロボットやワーク把持装置に把持部を移動させるための駆動装置を設けることなく、ワークの種類の変更に応じて、移動させて位置決めすることにより、ワーク把持装置における把持部の位置を自動的に変更する。
【解決手段】把持部位置決め装置500は、ベースユニット510を有しており、ベースユニット510には、移動が許容された状態と規制された状態とに切り替えられ得る把持機構を備えたワーク把持装置を位置決めするワーク把持装置位置決め部520と、把持機構と係合可能な係合凹部531を備えワーク把持装置1における移動が許容された状態にある把持機構と係合した係合凹部531を3次元移動させることにより把持機構をワークの種類に応じて当該ワークの被把持部に対応した位置に移動させて位置決めする把持部位置決め機構530と、が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把持部位置決め装置および方法に関し、特に、ロボットアームに装着されて種々のワークを把持部で把持するワーク把持装置における前記把持部をワークの種類に応じて移動させて位置決めするための把持部位置決め装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の部品を加工し組み付けて、多様なバリエーションを有する製品を完成させる生産ラインでは、多種類のワークに柔軟に対応して効率よく確実に搬送するための技術が採用されている(例えば、特許文献1,2)。
特許文献1では、ワークを把持するハンド部を交換するハンド部交換機構54により多種多様なワークに対応することができる。
特許文献2では、タレット式のロボットハンドにより複数のハンドを回転し切り換えて選択することで交換時間を短縮している。
【0003】
しかし、特許文献1のハンド部交換機構54では、ワークの種類に応じて別個のハンドを用意しなければならないので、ハンドの製作コストや置き場の確保が問題となる。また、特許文献2のタレット式のロボットハンドでは構造が複雑になるため、ロボットの先端部が重くなり動作が制約され、切り換える種類にも限界があるという問題があった。
【0004】
かかる問題を解決するために、ワークの種類が変更されたときにワークを把持するワーク把持装置における把持部の位置を変更可能にすると共に、ロボットアームの先端側を軽量化するために前記把持部を移動させるための駆動装置をロボットやワーク把持装置に持たせない構成を採用することが考えられる。
【0005】
しかしながら、このような構成を採用した場合、ワークの種類が変更される度に、作業者がワーク把持装置における把持部の位置を変更することは可能ではあるが、作業が煩雑で時間を要したり誤差が生じたりする虞がある。一方、一連の作業を自動化して生産性を向上させるためには相応の工夫が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−262281号公報
【特許文献2】特開平5−301189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ロボットアームに装着されたワーク把持装置に備えられた把持部を、ロボットやワーク把持装置に把持部を移動させるための駆動装置を設けることなく、ワークの種類の変更に応じて、移動させて位置決めすることにより、ワーク把持装置における把持部の位置を自動的に変更することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ロボットアームに装着されて種々のワークを把持部で把持するワーク把持装置における前記把持部をワークの種類に応じて移動させて位置決めするための把持部位置決め装置であって、床に設置される基台と、前記基台に設けられ、前記ワーク把持装置における移動が許容された状態と規制された状態とに切り替えられ得る前記把持部を備えた前記ワーク把持装置を前記基台に位置決めするワーク把持装置位置決め部と、前記基台に設けられ、前記把持部と係合可能な係合部を備え前記ワーク把持装置における移動が許容された状態にある前記把持部と係合した前記係合部を3次元移動させることにより前記把持部をワークの種類に応じて当該ワークの被把持部に対応した位置に移動させて位置決めする把持部位置決め機構と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、ロボットアームに装着されたワーク把持装置に備えられた把持部を、ロボットやワーク把持装置に把持部を移動させるための駆動装置を設けることなく、ワークの種類の変更に応じて、移動させて位置決めすることにより、ワーク把持装置における把持部の位置を自動的に変更することが可能となる。
したがって、ロボットアームの先端側を軽量化しながらバリエーションを有する種々のワークに対応することが可能となる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の把持部位置決め装置であって、前記把持部位置決め機構は、互いに直交する3軸の方向に前記係合部を移動自在に支持する支持機構と、前記3軸の方向に前記係合部を移動させるための駆動装置とを有することを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、バリエーションを有するワークの種類ごとに異なる種々の位置に被把持部が形成されたワークに確実に対応することができる。また、3次元直交座標系は、極座標系よりも空間位置が把握し易く、ロボットティーチング等の作業もやり易くなるため、作業性が向上する。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の把持部位置決め装置であって、前記支持機構は、前記3軸の方向に延在するレールと当該レールに沿って転がり軸受を介して移動可能に係合されたブロックとを備えた直動ガイド機構を有することを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、3軸の方向に延在するレールに沿って係合部を滑らかにガタ無く移動させることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の把持部位置決め装置であって、前記係合部は、前記把持部がワークの被把持部を外側から内側に向けて押圧して把持するアウタータイプの場合には凸部であり、前記把持部がワークの被把持部を内側から外側に向けて押圧して把持するインナータイプの場合には凹部であることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、把持部がアウタータイプ、インナータイプ、あるいはこれらの両タイプが混在する場合にも対応することができる。また、複雑な構造のワークの把持にも対応することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の把持部位置決め装置であって、前記係合部は、複数種類のワークに応じて、異なる径の円形断面を有する複数の前記凸部及び/又は前記凹部を有することを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、サイズの異なる複数の把持部に適合するように、異なる径を有する複数の凸部及び/又は凹部を事前に用意しておくことができる。これにより、把持部のサイズがワークの種類によって異なる場合であっても対応可能となる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の把持部位置決め装置であって、前記ワーク把持装置位置決め部は、前記ワーク把持装置に設けられた把持装置側セット部にセット可能な基台側セット部が設けられ前記基台に立設された支柱を有することを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、ワーク把持装置と基台とを支柱を介してコンパクトな構成で位置決めすることができる。また、ワーク把持装置と基台との間において把持部を移動させるための空間を広く確保することができ、基台上における把持部位置決め機構のレイアウトの自由度が大きくなる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の把持部位置決め装置であって、前記把持部位置決め機構は、前記係合部の過可動を防止するストッパを有することを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、万一、係合部の走行異常が発生したとしても、係合部の移動がストッパで制限されるため、ワーク把持装置や把持部位置決め装置の保護を図ることができる。
【0022】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の把持部位置決め装置であって、前記把持部位置決め機構は、前記係合部の移動が許容された状態と規制された状態とに切り替え可能な係止機構を有することを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、係合部を移動させた後に所定位置に確実に停止させることができる。したがって、例えばエアシリンダ等の精密な移動制御が難しい駆動装置で係合部を移動させる場合には、前記所定位置を検知することにより係止機構を用いて係合部を停止させることができる。
【0024】
また、前記目的を達成するために、請求項9に記載の発明は、ロボットアームに装着されて種々のワークを把持部で把持するワーク把持装置における前記把持部をワークの種類に応じて移動させて位置決めするための把持部位置決め方法であって、床に設置された基台に設けられたワーク把持装置位置決め部に、前記ワーク把持装置における移動が許容された状態と規制された状態とに切り替え可能な前記把持部を備えた前記ワーク把持装置を、位置決めする工程(a)と、前記基台に設けられた把持部位置決め機構が、当該把持部位置決め機構に備えられ前記把持部と係合可能な係合部を3次元移動させて前記把持部と係合させる工程(b)と、前記把持部を前記ワーク把持装置における移動が許容された状態に設定する工程(c)と、前記把持部位置決め機構が、前記把持部と係合した前記係合部をワークの種類に応じて当該ワークの被把持部に対応した位置に移動させる工程(d)と、前記把持部を前記ワーク把持装置における移動が規制された状態に設定する工程(e)と、前記ワーク把持装置が複数の前記把持部を備える場合、前記工程(b)〜(e)を繰り返す工程(f)と、前記把持部位置決め機構が、前記把持部から前記係合部を離間させ、前記係合部を予め決められた係合部基準位置に復帰移動させる工程(g)と、前記ワーク把持装置位置決め部から前記ワーク把持装置を離間させ、前記ワーク把持装置を予め決められたワーク把持装置基準位置に復帰移動させる工程(h)と、を備えたことを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、ロボットアームに装着されたワーク把持装置に備えられた把持部を、ロボットやワーク把持装置に把持部を移動させるための駆動装置を設けることなく、ワークの種類の変更に応じて、移動させて位置決めすることにより、ワーク把持装置における把持部の位置を自動的に変更することが可能となる。
したがって、ロボットアームの先端側を軽量化しながらバリエーションを有する種々のワークに対応することが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ロボットアームに装着されたワーク把持装置に備えられた把持部を、ロボットやワーク把持装置に把持部を移動させるための駆動装置を設けることなく、ワークの種類の変更に応じて、移動させて位置決めすることにより、ワーク把持装置における把持部の位置を自動的に変更することが可能な、把持部位置決め装置および方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る把持部位置決め装置をワーク把持装置に適用した場合の使用例を説明するためのワーク搬出工程を示す平面図である。
【図2】ワーク把持装置の姿勢制御装置の主要部の構成を示す断面図である。
【図3】ワーク把持装置における把持機構の動作を示す図であり、(a)は断面図であり、(b)は先端部の側面図である。
【図4】ワーク把持装置における把持機構を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は把持する前の状態、(c)は従動部材の分解図、(d)は把持した状態を示す。
【図5】ワーク把持装置における把持機構の位置決めを把持部位置決め装置を使用して行う様子を示す概略断面図である。
【図6】姿勢制御装置における弾性機構の動作(ワークを載置するパレットの剛性が高い場合)を示す模式的正面図であり、(a)は把持機構の先端部を被把持部に挿入する前の状態、(b)は把持機構の先端部を被把持部に挿入した後の状態を示す。
【図7】姿勢制御装置における弾性機構の動作(ワークを載置するパレットの剛性が低い場合)を示す模式的正面図であり、(a)は把持機構の先端部を被把持部に挿入する前の状態、(b)は把持機構の先端部を被把持部に挿入した後の状態を示す。
【図8】ワーク把持装置の動作を説明するための部分正面断面図であり、把持装置で把持する前の状態を示す。
【図9】ワーク把持装置の動作を説明するための部分正面断面図であり、サポートシャフトがワークに当接した状態を示す。
【図10】ワーク把持装置の動作を説明するための部分正面断面図であり、サポートシャフトの外筒がワークに当接した状態を示す。
【図11】ワーク把持装置の動作を説明するための部分正面断面図であり、クランプが完了した状態を示す。
【図12】ワークが過剰に位置ずれを生じている場合のワーク把持装置の動作を説明するための部分正面断面図である。
【図13】把持部位置決め装置の平面図である。
【図14】把持部位置決め装置の側面図である。
【図15】図13および図14に示される係合凹部を有する係合部材の周辺を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図16】アウタータイプの把持機構を説明するための斜視図であり、(a)は外観を示し、(b)は内部構造を示す断面図である。
【図17】アウタータイプの把持機構の構成および動作を示す断面正面図であり、(a)は把持する前の状態、(b)は把持した状態を示す。
【図18】アウタータイプの把持機構を説明するための一部分解斜視図である。
【図19】ワークの被把持部がボス等の凸部である場合に使用される把持部位置決め装置の係合凸部を有する係合部材の周辺を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、本発明の実施形態に係る把持部位置決め装置が使用されるワーク把持装置1について、主として図1〜図5を参照しながら詳細に説明する。
【0029】
ワーク把持装置1は、図1に示すように、多関節ロボット100のロボットアーム101の先端部102に装着して種々のバリエーションを有するワークWを把持する把持装置(ロボットハンド)として好適に使用することができる。
本実施形態では、ワーク把持装置1を後記する姿勢制御装置2に搭載して多関節ロボット100に装着する場合について説明する。
多関節ロボット100は、搬送装置200によって取り出し位置まで搬送されてきたパレット201に載置されたワークWをロボットアーム101の先端部102に装着されたワーク把持装置1(図2を併せて参照)によりワークWの被把持部Wa(図2)を3箇所で把持し、ロボットアーム101を旋回させ把持状態を解除して搬出装置300まで搬送(ワークW1参照)する工程を担っている。
【0030】
ここでは、製品のバリエーションに応じて被把持部Waとなる凹部や凸部の位置が変わるトランスミッションケースやトルクコンバータケース等のワークWを把持する場合を想定しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、各種のワークを把持する場合に適用可能である。
【0031】
なお、本実施形態においては、ワーク把持装置1を姿勢制御装置2に搭載して多関節ロボット100に装着する場合について説明するが、これに限定されるものではなく、姿勢制御装置2を介さずにワーク把持装置1をロボットアーム101の先端部102に装着してもよい。
【0032】
ワーク把持装置1は、図2に示すように、ロボットアーム101に連結される支持プレート22と、この支持プレート22に配設されワークWの被把持部Waを把持する把持機構(把持部)11と、この把持機構11を自在移動可能に支持する自在移動機構である3軸移動機構12と、把持機構11の移動を規制する移動規制装置13と、を備えている。すなわち、把持機構11は、ワーク把持装置1における移動が許容された状態と規制された状態とに切り替えられ得る。
【0033】
そして、ワーク把持装置1は、図1に示すように、把持機構11を種々のワークに適合させるために、把持機構11をワークの種類に応じて移動させて位置決めするための把持部位置決め装置500を多関節ロボット100の近傍に別途備えている。この把持部位置決め装置500の詳細については後記する。
【0034】
なお、本実施形態において、ワーク把持装置1は、同様の把持機構11を3箇所に配設して、ワークWに形成された貫通穴等の凹部からなる被把持部Waを3箇所の把持機構11で把持しているが(図1参照)、3箇所に限定されるものではなく、ワークWの形状に応じて適宜1箇所でもよく、2箇所以上でもよい。3箇所に配設された把持機構11は同様の構成である。
【0035】
把持機構11は、図3に示すように、くさび形状部111aが形成された駆動部材111と、駆動部材111により拡径方向に移動する従動部材112と、駆動部材111および従動部材112を収容するホルダ113と、駆動部材111を往復移動して従動部材112を駆動させる駆動手段114(図2)と、を備えている。
【0036】
駆動部材111は、図4(b)に示すように、円柱形状をなし、先端部には円周方向に3箇所形成された平坦面からなるくさび形状部111aを備えている。
従動部材112は、図4(c)に示すように、ほぼ矩形形状をなし、円周方向に並べて3箇所に配設されている。従動部材112は、外側の一方の面にくさび形状部111aに適合する勾配部112aが形成され、内側の他方の面に被把持部Waに接合する接合部112bが形成されている。
接合部112bは、被把持部Waの穴形状に適合するように断面視で円弧状に形成されているが、これに限定されるものではなく、摩擦係数の高いゴム部材やローレット等の滑り止め加工を施してもよい。
【0037】
なお、勾配部112aは、平坦面からなるくさび形状部111aに適合するように平坦面で形成され、接合部112bはワークWの被把持部Waに適合するように断面視で円弧状に形成されているが、これに限定されるものではなく、ワークWの重量や摺動部の耐摩耗性、加工性の難易度等を考慮して適宜定めればよく、例えば勾配部112aとくさび形状部111aを断面視で円弧状に形成してもよい。
【0038】
ホルダ113は、図3に示すように、駆動部材111を図3(a)の上下方向に往復移動自在に支持する本体部113aと、この本体部113aの先端に螺合して接合された先端部113b(図4(a)参照)と、を備えている。
そして、ホルダ113は、本体部113aの内周面113cで駆動部材111を往復移動自在に支持し、先端部113bの支持部113d,113e(図3(b)参照)で従動部材112を図3(a)の左右方向(水平方向)に往復移動自在に支持している。
【0039】
駆動手段114は、図2に示すように、エアシリンダ等の往復駆動手段を駆動部材111に連結し、駆動部材111を往復移動できるように構成している。
把持機構11は、駆動手段114により、駆動部材111を図3(a)の上下方向に往復移動することで、従動部材112を図3(a)の左右方向に移動して(図4(b)参照)、ワークWの被把持部Waに従動部材112の接合部112bを押し付けるようにして(図4(d)参照)、ワークWを把持する機構である(図2参照)。
【0040】
3軸移動機構12は、図2に示すように、支持プレート22に配設されたX軸方向移動機構121と、このX軸方向移動機構121に支持されたY軸方向移動機構122と、このY軸方向移動機構122にブラケット124を介して支持されたZ軸方向移動機構123と、を備えている。
3軸移動機構12は、3軸とも同様に構成され、例えば、X軸方向移動機構121では、X軸方向に配設されたガイドレール121aと、このガイドレール121aに沿って移動自在に配設されたホルダ121bと、を備えている。
かかる構成により、ワーク把持装置1は、3軸移動機構12により、把持機構11を前後(X軸)、左右(Y軸)、上下(Z軸)方向の3軸方向に自在に移動できるように支持している。
【0041】
なお、本実施形態においては3軸移動機構12を採用したが、これに限定されるものではなく、ワークWの被把持部Waの位置関係を考慮して適宜自由度を設定するものであり、1軸や2軸でもよいし、さらに回転軸を備えた移動機構を採用することもできる。
【0042】
移動規制装置13は、3軸とも同様に構成され、それぞれX軸方向移動機構121、Y軸方向移動機構122、およびZ軸方向移動機構123に設けられている。例えば、X軸方向移動機構121では、ガイドレール121aをクランプしてホルダ121bの移動を規制するロック機構を採用している。ただし、移動規制装置13におけるロック方式は、特に限定されるものではなく、エア式、電磁式等の種々の形態を採用することができる。
【0043】
かかる構成により、ワーク把持装置1は、移動規制装置13より、把持機構11をワークWの被把持部Waに位置合わせした状態でロックして移動しないように保持することができる。
このため、ワーク把持装置1は、後記する把持部位置決め装置500により(図5参照)、把持機構11を自在な位置に調整して被把持部Waの位置が異なる種々のワークに柔軟に対応することができる。
【0044】
<姿勢制御装置>
姿勢制御装置2は、図2に示すように、ロボットアーム101の先端部102に固定する固定プレート21と、固定プレート21に対してワーク把持装置1の支持プレート22を弾性支持する弾性機構3と、支持プレート22の変位検知手段4と、ワーク把持装置1の姿勢を検知する姿勢検知装置6と、を備えている。
なお、本実施形態においては、姿勢検知装置6を備えた場合について説明するが、これに限定されるものではなく、ワークWがパレット201(図1)に正規の状態で位置決めされている場合には姿勢検知装置6を備えなくともよい。
【0045】
固定プレート21は、支持プレート22を支持するベースとなる部材であり、平面視で矩形形状をなしている(図1参照)。
支持プレート22は、固定プレート21に四隅に配設された弾性機構3(図1を併せて参照)を介して弾性支持されている。支持プレート22には、把持機構11がワークWの所定の箇所(本実施形態では3箇所)を確実に把持できるように、姿勢検知装置6が所定の箇所(本実施形態では3箇所)に配設されている。
【0046】
弾性機構3は、図2に示すように、固定プレート21と支持プレート22の間に配設されたコイルスプリング31により、支持プレート22を固定プレート21から離れる方向(図2の下方向)に付勢して、支持プレート22を固定プレート21に対して弾性支持している。
【0047】
なお、本実施形態においては、弾性機構3のばね部材としてコイルスプリング31を採用したが、これに限定されるものではなく、姿勢制御に必要な荷重および撓み量が確保できるものであれば、ねじりコイルばね、板ばね、皿ばね等の種々のばね部材を採用することができる。また、ばね部材に限定されるものではなく、ガススプリングを採用することもできる。
【0048】
すなわち、ワーク把持装置1の動作内容に応じて、その姿勢制御に必要な荷重や撓み量(ストローク)を考慮して、適宜適切なばね部材またはガスプリングを選択して好適な姿勢制御を実現する。ばね部材は、たわみ量に応じて荷重が比例するので、姿勢制御力を徐々に増大させる用途に適し、ガススプリングは、たわみ量が変化しても一定の荷重を発生することができるので、当初から安定した一定の姿勢制御力を確保する用途に適する。
【0049】
変位検知手段4は、支持プレート22の固定プレート21に対する変位を検知する検知装置であり、近接センサ等の検知装置が使用される。
変位検知手段4は、支持プレート22の原位置を検知する第1検知器41および第1被検知部41aと、ワーク把持装置1による把持位置を検知する第2検知器42および第2被検知部42aと、支持プレート22の過剰変位を検知する第3検知器43および第3被検知部43aと、を備えている。
【0050】
かかる構成により、支持プレート22が図8に示す原位置から固定プレート21に近づく方向に移動し、第2被検知部42aが第2検知器42の位置までくるとワーク把持装置1による把持位置にあることを検知し(図9参照)、支持プレート22が把持位置を行き過ぎて第3被検知部43aが第3検知器43の位置までくると支持プレート22の過剰変位を検知することができる(図12(c)参照)。
【0051】
姿勢検知装置6は、図2に示すように、ワークWに当接させるサポートシャフト5と、サポートシャフト5の先端に設けられた可撓性部材5aと、サポートシャフト5を出没自在に内装する外筒61と、サポートシャフト5をワークWに押し付ける方向に付勢する付勢手段62と、サポートシャフト5がワークWに当接していることを検知する当接検知手段63と、外筒61を図3の上下方向に移動するエアシリンダ64と、を備えている。
【0052】
ここで、可撓性部材5aは、例えば、ゴム、発泡スチロール、スポンジ等を使用して、サポートシャフト5をワークWに当接させたときの衝撃力を緩和しワークWの損傷を防止することができる。
また、エアシリンダ64は、ワーク把持装置1における把持機構11の位置決めの際に姿勢検知装置6がワークWに干渉しないように外筒61およびサポートシャフト5を上方に逃がすための装置であり、外筒61およびサポートシャフト5を下方に下げた状態でサポートシャフト5がワークWと当接可能になる。
【0053】
当接検知手段63は、近接センサ等からなり、サポートシャフト5がワークWに当接してから所定の移動量S(図9(a)参照)だけ移動し、外筒61の先端面とサポートシャフト5の先端面が面一となった状態で(図10(a)参照)、対面する位置に移動してきた被検知部63aにより、サポートシャフト5がワークWに当接してから所定の移動量だけ移動したことを検知する。
【0054】
付勢手段62は、特に限定されず、コイルスプリング等を採用することができるが、付勢手段62の弾性係数は、弾性機構3のコイルスプリング31の弾性係数よりも小さく(弾性機構3の弾性係数が付勢手段62の弾性係数よりも大きく)なるように設定されている。
【0055】
かかる構成により、図9に示すように、サポートシャフト5がワークWに当接してから移動する移動量S(図9(a)参照)よりも、その間にコイルスプリング31(図5参照)が撓む移動量S′(図9(b)参照)の方が小さくなる。
【0056】
姿勢検知装置6は、ブラケット124に支持されて、ワーク把持装置1の把持機構11の近傍に配設されている。
姿勢検知装置6は、当接検知手段63により、ワークWを把持する従動部材112がワークWの被把持部Waに適正に挿入された状態であることを検知することができる。
【0057】
つまり、ロボットアーム101(図1参照)の先端部102を近づけてサポートシャフト5がワークWに当接した状態で、さらに先端部102をワークWに近づける方向に移動させると、ワーク把持装置1とともに外筒61が図3の下方に移動してサポートシャフト5が付勢手段62の付勢力に抗して外筒61内に収容され、外筒61の先端面とサポートシャフト5の先端面が面一となってワークWに当接する。
【0058】
このとき、同時に把持機構11の先端部では、ワークWを把持する従動部材112がワークWの被把持部Waに適正に挿入された状態となるように把持機構11に対して姿勢検知装置6が適正な位置および高さに配設されている。
【0059】
このため、姿勢検知装置6は、サポートシャフト5がワークWに当接してから所定の移動量だけ移動し外筒61の先端面とサポートシャフト5の先端面が面一となった状態を当接検知手段63によって検知することで、ワークWを把持する従動部材112がワークWの被把持部Waに適正に挿入された状態となっていることを確認することができる。
【0060】
次に、ワーク把持装置1を姿勢制御装置2に搭載して多関節ロボット100に装着して適用する場合の動作について図6から図12を参照しながら説明する。
<弾性機構3の動作>
まず、弾性機構3の動作について、主として図6と図7を参照しながら説明する。参照する図6はワークを載置するパレットの剛性が高い場合の弾性機構3の動作を示す模式的正面図であり、(a)は把持機構11の先端部を被把持部に挿入する前の状態、(b)は把持機構11の先端部を被把持部に挿入した後の状態を示す。図7はワークを載置するパレットの剛性が低い場合の弾性機構3の動作を示す模式的正面図である。
なお、図6と図7では、説明の便宜上、ワークWの傾き等を誇張して表現するが、実際には微小な変形量である。
【0061】
ここで、パレット201(図1参照)は、目的や用途に応じて種々の形態が採用されるが、例えば、金属製のアングル材等で構成する場合には一般的に剛性が高く、合成樹脂等で構成する場合には剛性が低くなるため、弾性機構3の付勢力(弾性支持力)とパレット201の剛性との関係により以下のように弾性機構3は異なる機能を奏する。
【0062】
<パレットの剛性が高い場合>
ワークを載置するパレットの剛性が高い場合には、弾性機構3は、ワークWの姿勢に合わせてワーク把持装置1の姿勢を制御するように動作する傾向を示す。
すなわち、弾性機構3は、図1に示すように、例えば、パレット201に載置されたワークWを把持機構11で把持しようとする際に、パレット201に載置されたワークWが所定の位置からずれていたり傾いていたりしている場合には、このずれ等によるずれ量に応じてワークWに対するワーク把持装置1の姿勢を制御する。
【0063】
具体的には、図6(a)に示すように、ワークWに角度αの傾きがある場合には、ロボットアーム101(図1参照)によりワーク把持装置1をワークWに対して所定の位置に配置し、把持機構11の先端部をワークWの被把持部Waに挿入する際に、ワークWの傾き角度αに応じてワークWの被把持部Waから支持プレート22を時計回りに回転させようとするモーメントMが反作用的に加えられる。
【0064】
そして、図6(b)に示すように、このようにして加えられたモーメントMがワークWに対するワーク把持装置1の角度αの傾きを適宜柔軟に吸収し、傾き角度αに応じて支持プレート22の位置や傾斜角度を補正することで、姿勢制御装置2は、ワークWに対するワーク把持装置1の姿勢を好適に制御することができる。
【0065】
<パレットの剛性が低い場合>
ワークを載置するパレットの剛性が低い場合には、弾性機構3は、ワークWの姿勢をワーク把持装置1に合わせるように動作する傾向を示す。
すなわち、弾性機構3は、図1に示すように、例えば、パレット201に載置されたワークWを把持機構11で把持しようとする際に、パレット201に載置されたワークWが所定の位置からずれていたり傾いていたりしている場合には、このずれ等を補正して、ワークWの姿勢をワーク把持装置1に合わせるように機能する。
【0066】
具体的には、図7(a)に示すように、把持機構11の先端部をワークWの被把持部Waに挿入する際に、弾性機構3はその付勢力(弾性支持力)により、傾き角度αでパレット201(図1参照)に載置されているワークWに付勢力(押圧力)を付与するため、パレット201のしなりや変形等によりワークWを反時計回りに回転させようとするモーメントM′が加えられる。
【0067】
そして、図7(b)に示すように、このようにして加えられたモーメントM′は、ワークWの姿勢が傾き角度αよりも小さいα′になるように作用するため、ワーク把持装置1とワークWとのずれを好適に補正してワークWの姿勢をワーク把持装置1に合わせることができる。
【0068】
なお、この例ではパレットのしなりや変形を小さくする方向でワークWにワーク把持装置1が正対するように機能する場合を説明したが、姿勢制御装置2が、パレットのしなりや変形を大きくする方向でワークWにワーク把持装置1が正対するように機能する場合もあり得る。
【0069】
また、本実施形態においては、便宜上、パレット201の剛性が高い場合と低い場合に分けて説明したが、実際には厳格に区別されるものではなく、弾性機構3による付勢力(弾性支持力)とパレット201の剛性との関係等により複合的に動作するが、弾性機構3による付勢力を適宜調整することで好適にワークWにワーク把持装置1が正対するように制御することができる。
【0070】
<ワーク把持装置の動作>
ワーク把持装置1の動作について、図8から図11を参照しながら説明する。参照する図において、図8は把持装置でワークを把持する前の状態、図9はサポートシャフトがワークに当接した状態、図10はサポートシャフトの外筒がワークに当接した状態、図11はクランプが完了した状態を示す部分正面断面図である。
【0071】
ワーク把持装置1がワークWに当接しない状態から(図8(a))、ロボットアーム101の先端部102をサポートシャフト5がワークWに当接するまで近づけた状態で(図9(a))、さらに先端部102をワークWに近づける方向にSだけ移動させると、図10(a)に示すように、ワーク把持装置1とともに外筒61が図3の下方に移動してサポートシャフト5が付勢手段62の付勢力に抗して外筒61内に収容され、外筒61の先端面とサポートシャフト5の先端面が面一となってワークWに当接する。
【0072】
そして、このようにして外筒61の先端面とサポートシャフト5の先端面が面一となった状態を当接検知手段63によって検知する。つまり、当接検知手段63は、サポートシャフト5がワークWに当接してから所定の移動量だけ移動したことを対面する位置に移動してきた被検知部63aにより検知する。
【0073】
一方、変位検知手段4は、図10(b)に示すように、ワーク把持装置1による把持位置を検知する第2検知器42が対面する位置に移動してきた第2被検知部42aの存在を検知する。このようにして、姿勢制御装置2は、ワーク把持装置1が正規の把持位置に位置決めされたことを確認する。
【0074】
このとき、ワーク把持装置1が正規の把持位置に位置決めされた状態であれば、同時に把持機構11の先端部では、ワークWを把持する従動部材112が所定の隙間δ(図10(a)参照)を形成してワークWの被把持部Waに適正に挿入された状態となっている。
【0075】
このようにして、姿勢検知装置6は、サポートシャフト5がワークWに当接してから所定の移動量だけ移動し外筒61の先端面とサポートシャフト5の先端面が面一となった状態を当接検知手段63によって検知することで、ワークWを把持する従動部材112がワークWの被把持部Waに適正に挿入された状態となっていることを確認することができる。
【0076】
そして、図11に示すように、ワークWに対してワーク把持装置1が所定の姿勢で位置決めされた状態で、把持機構11は、駆動手段114により、駆動部材111を従動部材112に押し込むように移動して(図11(a)参照)、ワークWの被把持部Waに従動部材112を押し付けるようにしてワークWを把持する。
【0077】
<ワークが過剰にずれている場合の動作>
図1におけるパレット201に載置されたワークWが振動や外的要因により過剰な位置ずれを生じている場合におけるワーク把持装置1の姿勢制御装置2の動作について図12を参照しながら説明する。
姿勢制御装置2は、弾性機構3によっても姿勢制御しきれないようなワークWが過剰な位置ずれを生じている場合には、その状態を姿勢検知装置6および変位検知手段4によって検知する。
【0078】
ワークWが所定の載置状態から過剰にずれている場合には、図12(a)に示すように、把持機構11の先端部がワークWの被把持部Waに接近しようとすると、ワークWが過剰にずれているため把持機構11の先端部をワークWの被把持部Waに挿入することができずに把持機構11の先端部がワークWに当接する。
【0079】
把持機構11の先端部がワークWに当接した状態では、ロボットアーム101の先端部102を移動させて、サポートシャフト5がワークWに当接するまで近づけようとしても、図12(b)に示すように、サポートシャフト5をワークWに当接させることができない。
【0080】
このため、当接検知手段63は、サポートシャフト5が所定の移動量Sだけ移動して、外筒61の先端面とサポートシャフト5の先端面が面一となった状態を検知することができない。
【0081】
そして、サポートシャフト5がワークWに当接していることを検知しない状態のままで、変位検知手段4により第2検知器42が対面する位置に移動してきた第2被検知部42aにより支持プレート22がワーク把持位置まで変位したことを検知する。
【0082】
しかしながら、変位検知手段4は、第2検知器42により支持プレート22がワーク把持位置まで変位したことを検知しても、当接検知手段63によりサポートシャフト5がワークWに当接していることを検知しないので、ワーク把持装置1がワークWに対して正規の位置に位置決めされたと判定することができない。
【0083】
このため、ロボットアーム101の先端部102をさらに移動させると、図12(c)に示すように、姿勢制御装置2は、変位検知手段4により第3検知器43が対面する位置に移動してきた第3被検知部43aにより支持プレート22の過剰変位を検知する。
【0084】
このようにして、姿勢制御装置2は、当接検知手段63によりサポートシャフト5がワークWに当接していることを検知しない状態で、変位検知手段4により支持プレート22の過剰変位を検知することで、ワークWが過剰にずれていると判断し、ワーク把持装置1によりワークWを把持しようとする際に生じる過度な負荷を未然に検知して回避することができる。
【0085】
次に、把持部位置決め装置500について詳細に説明する。
<把持部位置決め装置>
図13は、把持部位置決め装置の平面図である。図14は、把持部位置決め装置の側面図である。図15は、図13および図14に示される係合凹部を有する係合部材の周辺を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【0086】
図5、図13および図14に示すように、把持部位置決め装置500は、床Fに設置されるベースユニット(基台)510を有しており、ベースユニット510には、ワーク把持装置1における移動が許容された状態と規制された状態とに切り替えられ得る把持機構11を備えた前記ワーク把持装置1をベースユニット510に位置決めするワーク把持装置位置決め部520が設けられている。
【0087】
ワーク把持装置位置決め部520は、ベースユニット510の上板511に立設された支柱521,521を有しており、支柱521,521には、ワーク把持装置1の支持プレート22に設けられた略円筒形状のガイド部材(把持装置側セット部)221にセット可能なガイドポスト(基台側セット部)522,522が設けられている。ここでは、例えばAをBにセットするとは、AとBが特定の関係(位置関係)を満たした場合にAおよびBの両要素が一体化され、挙動を一にする関係にすることをいう。AやBは、例えば把持装置側セット部や基台側セット部である。
【0088】
かかる構成により、ワーク把持装置位置決め部520のガイドポスト522に支持プレート22に設けられたガイド部材221を嵌合させることで、ロボットアーム101(図1参照)の先端部102に装着されたワーク把持装置1を、把持部位置決め装置500に対して位置決めできるようになっている。
【0089】
ここで、ワーク把持装置1とベースユニット510とを支柱521,521を介してコンパクトな構成で位置決めすることができる。また、ワーク把持装置1とベースユニット510との間において把持機構11を移動させるための空間を広く確保することができ、基台上における後記する把持部位置決め機構530のレイアウトの自由度が大きくなる。
【0090】
ベースユニット510には、把持機構11と係合可能な係合凹部(係合部)531を備えた把持部位置決め機構530が設けられている。把持部位置決め機構530は、ワーク把持装置1における移動が許容された状態にある把持機構11と係合した係合凹部531を3次元移動させることにより把持機構11をワークW(図2参照)の種類に応じて当該ワークWの被把持部Wa(図2参照)に対応した位置に移動させて位置決めする機能を有している。
【0091】
図13および図14に示すように、把持部位置決め機構530は、X軸の方向に係合凹部531を移動自在に支持する第1支持機構541と、X軸の方向に係合凹部531を移動させるための第1駆動装置542とを有するX軸ユニット540を備えている。第1支持機構541は、X軸の方向に延在する第1レール543と当該第1レール543に沿って転がり軸受(図示せず)を介して移動可能に係合された第1ブロック544とを備えた第1直動ガイド機構545を有している。第1レール543は、ベースユニット510の上板511上に固定されている。また、第1ブロック544には、第1支持部546が固定されている。第1駆動装置542は、第1支持部546の下面に固定された第1ナット部547(図13参照)と、第1ナット部547に螺合されるボールねじ548(図13参照)と、ボールねじ548を回転駆動するモータ549とを有しており、回転するボールねじ548のねじ送り作用により、第1ナット部547、ひいては第1支持部546をX軸の方向に移動させることが可能となっている。
【0092】
また、把持部位置決め機構530は、Y軸の方向に係合凹部531を移動自在に支持する第2支持機構551と、Y軸の方向に係合凹部531を移動させるための第2駆動装置552とを有するY軸ユニット550を備えている。第2支持機構551は、Y軸の方向に延在する第2レール553と当該第2レール553に沿って転がり軸受(図示せず)を介して移動可能に係合された第2ブロック554とを備えた第2直動ガイド機構555を有している。第2レール553は、第1支持部546上に固定されている。また、第2ブロック554には、第2支持部556が固定されている。第2駆動装置552は、第2支持部556の下面に固定された第2ナット部(図示せず)と、第2ナット部に螺合されるボールねじ558(図13参照)と、ボールねじ558を回転駆動するモータ559(図14参照)とを有しており、回転するボールねじ558のねじ送り作用により、第2ナット部、ひいては第2支持部556をY軸の方向に移動させることが可能となっている。
【0093】
また、把持部位置決め機構530は、Z軸の方向に係合凹部531を移動自在に支持する第3支持機構561と、Z軸の方向に係合凹部531を移動させるための第3駆動装置562とを有するZ軸ユニット560を備えている。第3支持機構561は、Z軸の方向に延在する第3レール563と当該第3レール563に沿って転がり軸受(図示せず)を介して移動可能に係合された第3ブロック564とを備えた第3直動ガイド機構565を有している。第3レール563は、第2支持部556の側面に鉛直方向に沿って固定されている。また、第3ブロック564には、第3支持部566が固定されている。第3駆動装置562は、第3支持部566の側面に固定された第3ナット部567と、第3ナット部567に螺合されるボールねじ568(図14参照)と、ボールねじ568を回転駆動するモータ569(図14参照)とを有しており、回転するボールねじ568のねじ送り作用により、第3ナット部567、ひいては第3支持部566をZ軸の方向(上下方向)に移動させることが可能となっている。
【0094】
ここで、第1支持機構541、第2支持機構551、および第3支持機構561は、互いに直交するX軸、Y軸、およびZ軸の3軸の方向に係合凹部531を移動自在に支持する支持機構を構成している。また、第1直動ガイド機構545、第2直動ガイド機構555、および第3直動ガイド機構565は、直動ガイド機構を構成している。このように、支持機構は、直動ガイド機構を有しているため、3軸の方向に延在するレールに沿って係合凹部531を滑らかにガタ無く移動させることができる。
【0095】
また、第1駆動装置542、第2駆動装置552、および第3駆動装置562は、3軸の方向に係合凹部531を移動させるための駆動装置を構成している。駆動装置は、モータ549,559,569の回転軸(図示せず)、ひいてはボールねじ548,558,568の回転角度位置を制御することにより、係合凹部531の移動制御を行うことができる。このような構成によれば、バリエーションを有するワークの種類ごとに異なる種々の位置に被把持部Wa(図2参照)が形成されたワークWに確実に対応することができる。また、3次元直交座標系は、極座標系よりも空間位置が把握し易く、ロボットティーチング等の作業もやり易くなるため、作業性が向上する。
【0096】
把持部位置決め機構530は、第1ブロック544、第2ブロック554、および第3ブロック564、ひいては係合凹部531の過可動を防止するストッパ571,572,573をそれぞれ有している。このような構成によれば、万一、各ブロック544,554,564、ひいては係合凹部531の走行異常が発生したとしても、各ブロック544,554,564、ひいては係合凹部531の移動がストッパ571,572,573で制限されるため、ワーク把持装置1(図5参照)や把持部位置決め装置500の保護を図ることができる。
【0097】
また、把持部位置決め機構530は、係合凹部531のX軸、Y軸、およびZ軸の3軸の方向の基準位置をそれぞれ検出する基準位置検出部581,582,583を有している。ここでは、基準位置検出部581,582,583は、リミットスイッチであり、第1支持部546、第2支持部556、および第3支持部566に設けられた被検出部と当接することにより、予め決められた係合部基準位置を検出する。さらに、把持部位置決め機構530は、係合凹部531のX軸、Y軸、およびZ軸の3軸の方向の移動限界位置を検出するオーバーラン検出部を有している。符号584,585は、Y軸の方向の限界位置を検出するオーバーラン検出部を例示しており、X軸、およびZ軸の方向の限界位置を検出するオーバーラン検出部も同様に設けられている。また、把持部位置決め機構530は、ガイドポスト522にセットされるワーク把持装置1のガイド部材221を検出するガイド部材検出部586を有している。
【0098】
図15に示すように、第3支持部566の上端に設けられた取付板535には、係合凹部531を有する係合部材532が取り付けられている。ここでは、係合凹部531は、複数種類のワークW(図2参照)に応じて、異なる径の円形断面を有する複数の凹部531a,531b,531cから構成されており、係合部材532は、凹部531a,531b,531cをそれぞれ有する複数の部材532a,532b,532cから構成されている。部材532a,532b,532cは、ねじ部材536により取付板535に固定されるフランジ部533a,533b,533cと、フランジ部533a,533b,533cの上面にそれぞれ形成される円柱部534a,534b,534cとをそれぞれ備えており、円柱部534a,534b,534cの上面中央に、所定深さの凹部531a,531b,531cがそれぞれ形成されている。
【0099】
このような構成によれば、サイズの異なる複数の把持機構11に適合するように、異なる径を有する複数の凹部531a,531b,531cを事前に用意しておくことができる。これにより、把持機構11(図5参照)のサイズがワークWの種類によって異なる場合であっても対応可能となる。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、第3支持部566の取付板535に一種類のワークWに対応する一つの凹部を備えた係合凹部が配設されるように構成されていてもよい。
【0100】
次に、把持部位置決め装置500を用いて、ワーク把持装置1における把持機構11をワークWの種類に応じて移動させて位置決めする把持部位置決め方法について説明する。
【0101】
<把持部位置決め方法>
まず、多関節ロボット100を駆動させることにより、ロボットアーム101の先端部102に装着されたワーク把持装置1を移動させて、ワーク把持装置1のガイド部材221を、把持部位置決め装置500のワーク把持装置位置決め部520のガイドポスト522に嵌合させる。これにより、ワーク把持装置1を把持部位置決め装置500に対して位置決めする。ガイド部材検出部586がガイド部材221を検出することにより、ワーク把持装置1の把持部位置決め装置500へのセットが完了したものと判断される。
【0102】
続いて、ベースユニット510に設けられた把持部位置決め機構530が、当該把持部位置決め機構530に備えられ把持機構11と係合可能な係合凹部531を3次元移動させて、把持機構11の先端が係合凹部531に挿入されるようにして係合凹部531を把持機構11と係合させる。ここで、把持機構11は、係合凹部531を内側から外側に向けて押圧して把持する。
【0103】
そして、把持機構11をワーク把持装置1における3次元移動が許容された状態に設定する。続いて、把持部位置決め機構530が、把持機構11と係合した係合凹部531をワークWの種類に応じて当該ワークWの被把持部Waに対応した位置に移動させる。
【0104】
続いて、移動規制装置13により3軸移動機構12の移動を規制することで、把持機構11をワーク把持装置1における3次元移動が規制された状態に設定する(ロックする)。ここで、把持機構11は、係合凹部531の把持を解除する。ワーク把持装置1が複数の把持機構11を備える場合、前記工程を繰り返す。これにより、ワーク把持装置1における把持機構11が、ワークWの種類に応じて移動させられて位置決めされる。
【0105】
次に、把持部位置決め機構530が、把持機構11から係合凹部531を離間させ、係合凹部531を基準位置検出部581,582,583による検出位置まで移動させることにより予め決められた係合部基準位置に復帰移動させる。続いて、多関節ロボット100を駆動させることにより、ロボットアーム101の先端部102に装着されたワーク把持装置1を移動させて、把持部位置決め装置500のワーク把持装置位置決め部520からワーク把持装置1を離間させ、ワーク把持装置1を予め決められた把持装置基準位置に復帰移動させる。
【0106】
前記したように、本実施形態では、ワーク把持装置1における把持機構11をワークWの種類に応じて移動させて位置決めするための把持部位置決め装置500は、床Fに設置されるベースユニット510を有しており、ベースユニット510には、ワーク把持装置1における移動が許容された状態と規制された状態とに切り替えられ得る把持機構11を備えたワーク把持装置1をベースユニット510に位置決めするワーク把持装置位置決め部520と、把持機構11と係合可能な係合凹部531を備えワーク把持装置1における移動が許容された状態にある把持機構11と係合した係合凹部531を3次元移動させることにより把持機構11をワークWの種類に応じて当該ワークWの被把持部Waに対応した位置に移動させて位置決めする把持部位置決め機構530と、が設けられている。
【0107】
このような本実施形態によれば、ロボットアーム101に装着されたワーク把持装置1に備えられた把持機構11を、ロボットやワーク把持装置1に把持機構11を移動させるための駆動装置を設けることなく、ワークWの種類の変更に応じて、移動させて位置決めすることにより、ワーク把持装置1における把持機構11の位置を自動的に変更することが可能となる。
したがって、ロボットアーム101の先端側を軽量化しながらバリエーションを有する種々のワークに対応することが可能となる。
【0108】
次に、前記した実施形態の一部の構成を変更した実施形態について、変更した構成(変形例)に関して説明する。前述した実施形態と同様の構成および作用は、以下の実施形態に取り込まれるものとして詳細な説明を適宜省略し、相違する点について主に説明する。
<変形例>
【0109】
例えば、把持部位置決め機構530は、係合凹部531の移動が許容された状態と規制された状態とに切り替え可能な係止機構(図示せず)を有していてもよい。このように構成すれば、係合凹部531を移動させた後に所定位置に確実に停止させることができる。したがって、例えばエアシリンダ等の精密な移動制御が難しい駆動装置で係合凹部531を移動させる場合には、前記所定位置を検知することにより前記係止機構を用いて係合凹部531を停止させることができる。
【0110】
この場合、前記係止機構は、電磁石、ギア駆動制御、直動ガイド機構の油圧制御、直動ガイド機構の空圧制御、および直動ガイド機構の電気制御などのいずれかを用いて、ブロック544,554,564、ひいては係合凹部531の移動が許容された状態と規制された状態とに切り替える構成とされ得る。このように、前記係止機構を具体的に提示されたものの中から選択して用いることにより、ブロック544,554,564、ひいては係合凹部531を所定位置に確実に移動して停止させることができる。
【0111】
また、前記した実施形態においては、被把持部WaがワークWに形成された貫通穴等の凹部であり、凹部を内側から外側に向けて押圧して把持するインナータイプの把持機構を採用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、被把持部がボス等の凸部である場合には、凸部を外側から内側に向けて押圧して把持するコレットチャック方式のアウタータイプの把持機構を採用することもできる。
【0112】
アウタータイプの把持機構11′について図16〜図18を参照しながら説明する。参照する図16はアウタータイプの把持機構を説明するための斜視図であり、(a)は外観を示し、(b)は内部構造を示す断面図である。図17はアウタータイプの把持機構の構成および動作を示す断面正面図であり、(a)は把持する前の状態、(b)は把持した状態を示す。図18はアウタータイプの把持機構の構成を説明するための一部分解斜視図である。なお、以下の説明において、前記した実施形態とは把持機構11との相違のみであるので他の構成の詳細な説明は省略する。
【0113】
把持機構11′は、図16および図17に示すように、くさび形状部111a′が形成された駆動部材111′と、くさび形状部111a′に適合する勾配部112a′が形成され拡径および縮径方向に移動する従動部材112′と(図18を併せて参照)、駆動部材111′に内設され従動部材112′を軸方向に移動自在に支持するホルダ113′と、従動部材112′を往復移動して従動部材112′を拡径および縮径させる駆動手段114(図2参照)に連結されたコレットバー114a′と、を備えている。
【0114】
駆動部材111′は、従動部材112′を拡径縮径するように駆動する部材であり、前記した実施形態におけるホルダ113(図3参照)と同様に3軸移動機構12側に固定されている。
駆動部材111′は、図17(a)に示すように、内部に凹部111b′が形成された筒状の胴部111c′と、胴部111c′の先端部に螺入して結合されたリング形状の蓋部111d′と、蓋部111d′の内周部に形成された前記くさび形状部111a′と、を備えている。
【0115】
従動部材112′は、図18に示すように、円周方向に隙間を挟んで3体を並べて全体としてコレット形状をなすように鍔状をなした根元部112c′で連結されている。
従動部材112′の外周部は、図17(a)に示すように、先端側が拡径されたテーパからなる勾配部112a′が形成されている。従動部材112′の内周部は、被把持部Wa′である凸部に適合させた貫通穴からなる被把持部Wa′との接合部112b′が形成されている。
【0116】
ホルダ113′は、図18に示すように、円周方向に隙間が形成されるようにして3体を並べて配設され、全体としてリング状をなして駆動部材111′内に軸方向(図17における上下方向)に摺動自在に内設されている。ホルダ113′の内周部には、周方向に沿ってリング溝113a′が形成され、このリング溝113a′内に従動部材112′の根元部112c′とコレットバー114a′の先端部114b′が埋設されている。
ホルダ113′は、従動部材112′とコレットバー114a′を一体として連結するように保持し、駆動部材111′に対して、従動部材112′を軸方向(図17における上下方向)に摺動自在に支持するとともに、縮径および拡径方向に移動自在に支持している。
【0117】
コレットバー114a′は、棒状の形状をなし、円盤状に拡径された先端部114b′と、駆動部材111′の凹部111b′に摺動自在に内設されるガイドリング114c′と、を備えている。コレットバー114a′の先端部114b′は、従動部材112′の根元部112c′に当接した状態でホルダ113′の内周部に埋設されている。
【0118】
かかる構成により、把持機構11′は、図17(a)に示すように、駆動手段114(図2参照)により、コレットバー114a′を図17(a)の下方向に移動すると、従動部材112を図17(a)の拡径方向に移動して、非把持状態にすることができる。
一方、図17(b)に示すように、把持機構11′は、駆動手段114(図2参照)により、コレットバー114a′を図17(b)の上方向に移動すると、従動部材112′を縮径方向に移動して、ワークW′の被把持部Wa′に従動部材112′の接合部112b′を押し付けるようにして、ワークW′を把持することができる。
【0119】
なお、前記したアウタータイプの把持機構11′においては、駆動部材111′を軸(上下)方向で移動しないように固定し、駆動手段114(図2参照)により従動部材112′が駆動部材111′に対して軸方向に移動することで縮径して把持するようにしたが、これに限定されるものではなく、従動部材112′を軸方向で移動しないように固定し、駆動手段114により駆動部材111′を従動部材112′に対して軸方向に移動して従動部材112′を縮径して把持してもよい。
【0120】
図19は、ワークの被把持部がボス等の凸部である場合に使用される把持部位置決め装置の係合凸部を有する係合部材の周辺を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【0121】
図19(a)(b)に示すように、第3支持部566の上端に設けられた取付板535には、係合凸部591を有する係合部材592が取り付けられている。ここでは、係合凸部591は、複数種類のワークW′(図17参照)に応じて、異なる径の円形断面を有する複数の凸部591a,591b,591cから構成されており、係合部材592は、凸部591a,591b,591cをそれぞれ有する複数の部材592a,592b,592cから構成されている。部材592a,592b,592cは、ねじ部材536により取付板535に固定されるフランジ部593a,593b,593cをそれぞれ備えており、フランジ部593a,593b,593cの上面に、所定高さの凸部591a,591b,591cがそれぞれ形成されている。
【0122】
このような構成によれば、サイズの異なる複数の把持機構11に適合するように、異なる径を有する複数の凸部591a,591b,591cを事前に用意しておくことができる。これにより、把持機構11(図5参照)のサイズがワークW′の種類によって異なる場合であっても対応可能となる。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、第3支持部566の取付板535に一種類のワークW′に対応する一つの凸部を備えた係合凸部が配設されるように構成されていてもよい。
【0123】
前記したように、把持機構と係合可能な係合部は、把持機構がワークの被把持部を外側から内側に向けて押圧して把持するアウタータイプの場合には係合凸部591とし、把持機構がワークの被把持部を内側から外側に向けて押圧して把持するインナータイプの場合には係合凹部531とすることができる。
【0124】
このように構成すれば、把持機構11がアウタータイプ、インナータイプ、あるいはこれらの両タイプが混在する場合にも対応することができる。また、複雑な構造のワークの把持にも対応することができる。
【0125】
なお、ワークの被把持部が凸部である場合に、当該凸部は、前記したボス等の円柱形状に限定されるものではなく、リブ等の直方体形状(衝立形状)であってもよい。この場合、把持機構11′は、リブ等の直方体形状の凸部の相対する2面を挟むように外側から内側に向けて押圧してワークを把持するものであり、この把持機構11′と係合可能な把持部位置決め機構の係合凸部は、ワークの被把持部であるリブ等の直方体形状の凸部に対応した形状に形成される。
【0126】
以上、本発明について、実施形態に基づいて説明したが、本発明は、前記実施形態(変形例を含む)に記載した構成に限定されるものではなく、前記した構成を適宜組み合わせ乃至選択することを含め、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【符号の説明】
【0127】
1 ワーク把持装置
11,11′ 把持機構(把持部)
101 ロボットアーム
221 ガイド部材(把持装置側セット部)
500 把持部位置決め装置
510 ベースユニット(基台)
520 ワーク把持装置位置決め部
521 支柱
522 ガイドポスト(基台側セット部)
530 把持部位置決め機構
531 係合凹部(係合部)
541,551,561 支持機構
542,552,562 駆動装置
543,553,563 レール
544,554,564 ブロック
545,555,565 直動ガイド機構
571,572,573 ストッパ
591 係合凸部(係合部)
F 床
W,W′ ワーク
Wa,Wa′ 被把持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアームに装着されて種々のワークを把持部で把持するワーク把持装置における前記把持部をワークの種類に応じて移動させて位置決めするための把持部位置決め装置であって、
床に設置される基台と、
前記基台に設けられ、前記ワーク把持装置における移動が許容された状態と規制された状態とに切り替えられ得る前記把持部を備えた前記ワーク把持装置を前記基台に位置決めするワーク把持装置位置決め部と、
前記基台に設けられ、前記把持部と係合可能な係合部を備え前記ワーク把持装置における移動が許容された状態にある前記把持部と係合した前記係合部を3次元移動させることにより前記把持部をワークの種類に応じて当該ワークの被把持部に対応した位置に移動させて位置決めする把持部位置決め機構と、
を備えたことを特徴とする把持部位置決め装置。
【請求項2】
前記把持部位置決め機構は、互いに直交する3軸の方向に前記係合部を移動自在に支持する支持機構と、前記3軸の方向に前記係合部を移動させるための駆動装置とを有することを特徴とする請求項1に記載の把持部位置決め装置。
【請求項3】
前記支持機構は、前記3軸の方向に延在するレールと当該レールに沿って転がり軸受を介して移動可能に係合されたブロックとを備えた直動ガイド機構を有することを特徴とする請求項2に記載の把持部位置決め装置。
【請求項4】
前記係合部は、前記把持部がワークの被把持部を外側から内側に向けて押圧して把持するアウタータイプの場合には凸部であり、前記把持部がワークの被把持部を内側から外側に向けて押圧して把持するインナータイプの場合には凹部であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の把持部位置決め装置。
【請求項5】
前記係合部は、複数種類のワークに応じて、異なる径の円形断面を有する複数の前記凸部及び/又は前記凹部を有することを特徴とする請求項4に記載の把持部位置決め装置。
【請求項6】
前記ワーク把持装置位置決め部は、前記ワーク把持装置に設けられた把持装置側セット部にセット可能な基台側セット部が設けられ前記基台に立設された支柱を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の把持部位置決め装置。
【請求項7】
前記把持部位置決め機構は、前記係合部の過可動を防止するストッパを有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の把持部位置決め装置。
【請求項8】
前記把持部位置決め機構は、前記係合部の移動が許容された状態と規制された状態とに切り替え可能な係止機構を有することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の把持部位置決め装置。
【請求項9】
ロボットアームに装着されて種々のワークを把持部で把持するワーク把持装置における前記把持部をワークの種類に応じて移動させて位置決めするための把持部位置決め方法であって、
床に設置された基台に設けられたワーク把持装置位置決め部に、前記ワーク把持装置における移動が許容された状態と規制された状態とに切り替え可能な前記把持部を備えた前記ワーク把持装置を、位置決めする工程(a)と、
前記基台に設けられた把持部位置決め機構が、当該把持部位置決め機構に備えられ前記把持部と係合可能な係合部を3次元移動させて前記把持部と係合させる工程(b)と、
前記把持部を前記ワーク把持装置における移動が許容された状態に設定する工程(c)と、
前記把持部位置決め機構が、前記把持部と係合した前記係合部をワークの種類に応じて当該ワークの被把持部に対応した位置に移動させる工程(d)と、
前記把持部を前記ワーク把持装置における移動が規制された状態に設定する工程(e)と、
前記ワーク把持装置が複数の前記把持部を備える場合、前記工程(b)〜(e)を繰り返す工程(f)と、
前記把持部位置決め機構が、前記把持部から前記係合部を離間させ、前記係合部を予め決められた係合部基準位置に復帰移動させる工程(g)と、
前記ワーク把持装置位置決め部から前記ワーク把持装置を離間させ、前記ワーク把持装置を予め決められたワーク把持装置基準位置に復帰移動させる工程(h)と、
を備えたことを特徴とするワーク把持装置の把持部位置決め方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−107160(P2013−107160A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252933(P2011−252933)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】