説明

折板屋根構造

【課題】折板屋根3を成す折板31が劣化していても、断熱材5を安定して敷設し得るようにする。
【解決手段】屋根梁1にその長さ方向にタイトフレーム2を波状に固定し、そのタイトフレーム2を介して屋根梁1に折板屋根3を固定した折板屋根構造である。その折板屋根3の山部3aを跨ぐように板片状補強フレーム40を設けてその補強フレーム40を屋根梁1に固定し、さらに、その補強フレーム40に折板屋根3の山部3a長さ方向全長に亘る桟フレーム50を固定する。その桟フレーム50及び補強フレーム40を介して折板屋根3上面に断熱材5をビス止め6により敷設する。このとき、補強フレーム40に断熱材5等の負荷を十分に担う強度を有するものを使用して、折板31の劣化に関係なく、断熱材5を折板屋根3上に安定的に敷設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、折板を連結した折板屋根上に断熱材などの板状体を敷設した折板屋根構造に関するものである
【背景技術】
【0002】
折板屋根は、その施工のし易さから、工場などの多くの建造物に採用されている。その折板屋根を補修する場合、通常、保温性、美観性などから、断熱材(板)、コンクリートパネル(コンパネ)などの板状体がその上面に敷設される。
【0003】
その折板屋根構造は、例えば、図3に示すように、屋根梁1にその長さ方向にタイトフレーム2を波状に固定し(図1参照)、そのタイトフレーム2を介して前記屋根梁1に折板屋根3を固定し、その折板屋根3の上に固定具4を介して断熱材(板状体)5を敷設したものである。その折板屋根3は、折板31をハゼ締め(ハゼ)32により連結したものであり、連結させる折板31及びタイトフレーム2を吊子33を介在して突合せ、その突合せ部をボルト・ナット34により締結している。
【0004】
また、断熱材5は、固定具4をハゼ32に嵌めて折板屋根3の山部3aに設け、その固定具4の上にビス(セルフドリルアンカー)6止めしている。
さらに、断熱材5の上面には防水シート7が敷設され、この防水シート7は上記ビス6により固定のディスク8に電磁誘導加熱等による熱融着により固着して断熱材5に固定している(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−271456号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術は、それなりに有効ではあるが、折板屋根3に断熱材5等の付設部材の全ての負荷を担わせているため、折板屋根3の劣化が進行している場合、補修材として断熱材5等を設けると、折板31(折板屋根3)が長期に亘ってその負荷に耐え得ない恐れがある。
【0006】
この発明は、折板屋根3に負荷を極力かけることなく、断熱材などの板状体を敷設し得るようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するために、この発明は、折板屋根の山部を跨ぐように補強フレームを屋根梁に固定し、その補強フレームを介して板状体を敷設するようにしたのである。
この構成であれば、補強フレームに板状体などの負荷を十分に担う強度を有するものを使用すれば、折板の劣化に左右されずに、断熱材等の板状体を折板屋根に敷設することができる。
【発明の効果】
【0008】
この発明は、以上のように、折板屋根に負荷をかけることなく、断熱材等の板状体を敷設するようにしたので、折板屋根の寿命を延ばすことができ、劣化した折板屋根の補修においても、その屋根の耐用年数を延ばすことができるとともに、断熱性等を向上でき、今日、叫ばれている省エネルギー化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
この発明の実施形態としては、屋根梁に折板を固定して折板屋根を形成した折板屋根構造において、前記折板屋根の山部を跨ぐように補強フレームを設けてその補強フレームを前記屋根梁に固定し、前記補強フレームを介して折板屋根上面に断熱材などの板状体を敷設した構成を採用できる。
【0010】
この構成において、上記補強フレームに前記折板屋根の山部長さ方向全長に亘る桟フレームを固定し、その桟フレームを介して上記板状体を敷設したものとすることができる。
このようにすれば、板状体の支持面積が増加し、その支持が安定する。
【実施例】
【0011】
この発明の一実施例を図1、図2に示し、この実施例は、従来と同様に、屋根梁1にその長さ方向にタイトフレーム2を波状に固定し、そのタイトフレーム2を介して前記屋根梁1に折板屋根3を固定している。折板屋根3は、断面逆台形枠状の両端を横方向に伸ばした形状の折板31を、その両端片31aをハゼ締め(ハゼ)32により連結した波板状を呈したものである。
【0012】
その折板屋根3の屋根梁1に対応する箇所には、その屋根梁1に沿ってタイトフレーム2が波状に設けられている。そのタイトフレーム2は、一方の折板31の下面に沿って折板屋根3の山部3aに至った後、垂直に降りて屋根梁1に至り、さらに折板屋根3の谷部3bの中程に至ってその端で屋根梁1にビス9止めされている部材21と、他方の折板31の山部下面に沿った後下方に伸びた断面L字状部材22とからなる。その両部材21、22の垂直片の間に吊子33を介在してボルト・ナット34止めして、タイトフレーム2により、折板屋根3(折板31)を屋根梁1に固定している。これまでの構成は、従来と同様であり、他の従来の種々の構成を採用しうる。
【0013】
この実施例は、この折板屋根3を補修したものであり、その折板屋根3の山部3aを跨ぐように板片状補強フレーム40を設けて、この補強フレーム40を介して折板屋根3上面に断熱材5を敷設している。補強フレーム40は、鋼板製であって、断面等脚台形枠状でその両端を横方向に延ばしたものであり、その端の片を屋根梁1にビス9により固定したものである。そのビス9にはシーリングワッシャー9aを介在する。補強フレーム40は、屋根梁1と同一金属が好ましいが、電蝕等の支障がない限りにおいて異種金属でもよい。
【0014】
補強フレーム40の山部には、断面下向きコ字状の桟フレーム50がその両端の片51を被せることにより不動に嵌められており、この桟フレーム50は折板屋根3の山部3aの長さ方向全長に亘っている。このため、桟フレーム50は、その長さ方向における各屋根梁1に固定の補強フレーム40に嵌められて、少なくとも2点で支持されている。
【0015】
この桟フレーム50の上に断熱材5が載置され、適宜箇所において、鉄製ディスク8を介したビス6がその断熱材5を貫通して桟フレーム50にねじ込まれており、このねじ込みにより、断熱材5が桟フレーム50に固定されて、折板屋根3全域が断熱材5で覆われている。
その断熱材5の上面全域には防水シート7が敷設され、この防水シート7は、適宜箇所において、ディスク板8を介して電磁誘導加熱により断熱材5に固定されている。
【0016】
防水シート7(断熱材5)上には、架台61を介して太陽電池ユニット60等を適宜に設置する。その架台61の固定には、ディスク板8固定用のビス6が防水シート7を突出するものとして、その突出ボルト6aにナット止めするなどの手段を採用する。ビス6の突出部分は防水処理70を行う。
【0017】
この実施例では、屋根梁1にI型鋼が使用されているため、穴を開けてもその穴開け時の切粉が下に落ちにくく、屋内の設置物などに対する切粉による影響は極力少ない。さらに、折板31だけの部分には穴を開ける必要がないため、改修した防水層に不具合が発生した場合でも、既存防水層である折半屋根は一定の防水機能を保持しているため、漏水に直ぐつながる恐れはなく、二重防水機能を発揮することができる。
【0018】
なお、断熱材5に変えて、コンパネ等の各種の板状体を採用することもできる。また、折板屋根3の補修にかぎらず、新たに折板屋根3を作る場合にも、この発明を採用できることは勿論である。さらに、折板31の連結はハゼ締めに限らず、他の種々の手段を採用できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】一実施例の一部切断斜視図
【図2】同実施例の要部切断正面図
【図3】従来例の要部切断正面図
【符号の説明】
【0020】
1 屋根梁
2 タイトフレーム
21、22 タイトフレーム部材
3 折板屋根
3a 折板屋根山部
3b 折板屋根谷部
31 折板屋根用折板
32 ハゼ(ハゼ締め)
5 断熱材(板状体)
6 ビス(セルフドリルアンカー)
7 防水シート
8 防水シート固定用ディスク
9 ビス
40 補強フレーム
50 桟フレーム
60 太陽電池ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根梁1に折板31を固定して折板屋根3を形成した折板屋根構造において、
上記折板屋根3の山部3aを跨ぐように板片状補強フレーム40を設けてその補強フレーム40を上記屋根梁1に固定し、前記補強フレーム40を介して折板屋根3上面に断熱材などの板状体5を敷設した折板屋根構造。
【請求項2】
上記補強フレーム40に前記折板屋根3の山部3a長さ方向全長に亘る桟フレーム50を固定し、その桟フレーム50を介して上記板状体5を敷設したことを特徴とする請求項1に記載の折板屋根構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−37622(P2006−37622A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−221959(P2004−221959)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(593148619)株式会社北榮ルーフ工業 (1)
【出願人】(000178619)アーキヤマデ株式会社 (39)
【Fターム(参考)】