説明

押ボタンスイッチ

【課題】スイッチが破損しても、簡単な構成により、第1、第2の接点が接触状態或いは近接状態に戻ることを防止可能な押ボタンスイッチを提供する。
【解決手段】押ボタン5の非押込状態では、ばね55により押ボタン5を円筒体45と共に下方に付勢し、各移動部材37の上傾斜面41が各突起57の下傾斜面59に当接し、押ボタン5を非押込状態に保持する。一方、押ボタン5が押込操作されると、円筒体45が下動して円筒体45の各突起57の下傾斜面59が各移動部材37の上傾斜面41に摺接して各移動部材37をばね39に抗して両凹状部35内に押し込み、接触していた第1、第2の接点17,21が開離される。このとき、押込状態ではばね31の付勢力は押込操作前よりも小さいため、第1、第2の接点17,21は開離したままとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、押ボタンスイッチに関し、特に非常停止用に好適な押ボタンスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば工作機械の制御パネルには、安全装置として非常停止用の押ボタンスイッチが配設され、非常時にこの押ボタンスイッチを押込操作することにより、機械の主回路への電源供給を遮断してその動作を停止できるようになっている。そして、図19に示すように、この種の非常停止用押ボタンスイッチ201は、スイッチケース202と押ボタン203とを備えている。
【0003】
スイッチケース202は、接点収容部204とボタン収容部205とを備え、例えばボタン収容部205が図示しない制御パネル等に着脱自在に取り付けられ、接点収容部204が裏面側からボタン収容部205に接合されるようになっている。
【0004】
接点収容部204は断面凹字状を成し、この接点収容部204の内側ほぼ中央部には、接点収容部204の内部を上下に仕切る仕切板207が一体に形成され、この仕切板207の中央には透孔208が透設されている。
【0005】
更に、L字状を成す一対の導電部材209の水平部分が仕切板207の下面に沿って配設され、両導電部材209の垂直部分の下端部が接点収容部204の底面を貫通して外部に導出されている。そして、両導電部材209の水平部分の先端下面にはそれぞれ固定接点211が固着され、接点収容部204の内部であって導電部材209の水平部分の下方には導電板212が配設され、この導電板212の両端上面に両固定接点211に接離自在に可動接点213が固着されている。
【0006】
このとき、導電板212は、ばね215により接点収容部204の底面に対して上方に付勢され、両固定接点211に両可動接点213がそれぞれ適当な接圧で接触されている。
【0007】
ところで、導電板212の上面中央に操作体217が位置するように設けられ、透孔208を介して操作体217の上部が接点収容部204の仕切板207の上方に導出されている。
【0008】
ボタン収容部205は円筒状を有し、その下端部が接点収容部204の上端部内側に挿入されて接合されている。このボタン収容部205内側の中央部やや下寄りの位置には、所定間隔を隔てて1組の内側フランジ219,220が形成され、両内側フランジ219,220間の凹部には複数個の可動体221が配設されてばね222により中心軸に向かう方向に付勢され、これらの可動体221の上端部には斜め下向きの傾斜面223が形成されている。
【0009】
また、ボタン収容部205の内側には円筒体225が押ボタン203と一体となって上下に移動自在に収容され、ばね227が円筒体225の外周に巻回され、円筒体225の下端面には操作体217の上端が当接している。そして、円筒体225の外周上端部には外側フランジ226が形成され、この外側フランジ226とその下方に位置するボタン収容部205側の内側フランジ219とにばね227の両端が配設され、このばね227の付勢力により外側フランジ226を介して円筒体225が上方に付勢されている。
【0010】
更に、円筒体225の外周下端部の各可動体221それぞれにほぼ対向する位置には、突起229が形成され、各突起229の下面に斜め上向きの傾斜面230が形成され、押ボタン203の非押込時には、各突起229の傾斜面230は各可動体221の傾斜面223から少し離間しているが、押ボタン203の押込時に、各突起229の傾斜面230が各可動体221の傾斜面223に摺接するようになっている。
【0011】
そして、押ボタン203の円筒状を成す軸部233が円筒体225の上端に配設され、ボタン収容部205の上端部内周に沿って円筒体225と一緒に軸部233が上下するようになっている。そして、押ボタン203を押込操作することにより、円筒体225がボタン収容部205内を下方に押し込まれる。
【0012】
ところで、押ボタン203を押込操作していない状態では、円筒体225に対してばね227の上方への付勢力がかかるように、外側フランジ226とボタン収容部205側の内側フランジ219との間隔、及びばね227の長さが設定されている。そして、ばね227に抗して押ボタン203が押込操作されると、この押込操作によりばね227に抗して押ボタン203と共に円筒体225が下動し、これにより各可動体221の傾斜面223に各突起229の傾斜面230が摺接し、各可動体221がばね222に抗して両内側フランジ219,220間の凹部内に押し込まれ、円筒体225がさらに下動する。
【0013】
このような円筒体225の下動によって、操作体217がばね215に抗して下方に押され、それまで接触していた固定、可動接点211,213が開離すると共に、図20に示すように、各可動体221が各突起229の傾斜面230を乗り越え、各可動体221がばね222により中心軸に方向に押し出されるように付勢され、各可動体221の下面に円筒体225の各突起229の上面が係合する。
【0014】
このとき、押ボタン203の押込操作に伴う円筒体225の下動により、ばね227が圧縮されて円筒体225に対する上方への付勢力は増加するが、上記したように、各可動体221の下面に各突起229の上面が係合することで、ばね227の上方への付勢力による円筒体225の上動が阻止されて押ボタン203が円筒体225と共に押込状態にロックされ、円筒体225外周のばね227及び導電板212下側のばね215は共に、大きな付勢エネルギを保った状態のまま、固定、可動接点211,213が開離したまま押ボタン203が押込状態にロックされる。
【0015】
こうして、固定、可動接点211,213が開離したまま押ボタン203が押込状態にロックされることで、機械の回路を開路する。
【0016】
尚、このロック状態を解除するには、例えば押ボタン203と共に円筒体225を所定方向に少し回転することで、各可動体221の下面への各突起229の上面の係合状態が解除され、ばね227の付勢力が円筒体225に作用し、ばね227の上方への付勢力により円筒体225と共に押ボタン203が押し込み前の状態にまで上動するようになっている。
【0017】
ここで、円筒体225には、例えばこのようなロック状態を解除するための回転方向と反対方向への付勢力が、ねじりコイルばねなどの付勢手段により与えられており、ロック解除後にはこの付勢手段による回転力によって、円筒体225と共に押ボタン203が自動的に押し込み前の回転状態に戻るようになっている。
【0018】
また、このような押ボタンスイッチにおいて、固定端子31から離反する方向に付勢するばね38のばね力を、接点ホルダ36を介して可動端子39に常時作用させ、コンタクトブロック3を操作ブロック2から分離した場合に、このばね力により可動端子39側の接点40を固定端子31側の接点32から分離させ、コンタクトブロック3内の各接点32,40を確実にOFF状態に移行させるようにしたものもある(例えば、特許文献1参照)。
【0019】
【特許文献1】特開2001−35302号公報(段落「0037」、図1、図3、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかし、図19,20に示す従来の押ボタンスイッチ201の場合、上記したように、押ボタン203を完全に押し込んだときには、円筒体225外周のばね227及び導電板212下側のばね215は共に、大きな付勢エネルギを保った状態のまま、押ボタン203が円筒体225と共に押込状態にロックされるため、何らかの原因で押ボタンスイッチ201のいずれかの部分が破損したり、接点収容部204が外れたりすると、固定,可動接点211,213が接触し、工作機械等の回路が閉路されてしまうおそれがあった。
【0021】
即ち、従来の押ボタンスイッチ201では、ばね215によって固定、可動接点211,213が接触する方向に付勢されており、しかも円筒体225外周のばね227が円筒体225を介して押ボタン203を押し込み方向と反対方向に付勢しているため、押ボタンスイッチ201のいずれかの部分が破損したときに、ロック状態が勝手に解除されて固定、可動接点211,213が接触するという問題点があった。また、接点収容部204がボタン収容部205から外れた場合には、押ボタン203の押込状態のロックは解除されないものの、接点収容部204が外れることによって、ばね215の付勢力が作用して固定、可動接点211,213が勝手に接触状態に戻ることもあった。
【0022】
また、特許文献1に記載の押ボタンスイッチの場合、スイッチが破損したり、スイッチの一部が外れたりしても、ばね38の作用により、両接点32,40が勝手に接触状態に戻るおそれはないものの、非常停止ボタン20の押込みにより可動する接点40をその押し込み方向と反対方向に付勢するために設けられたばね38であって、このばね38は、コンタクトブロック3を操作ブロック2から分離しない通常状態では、図1及び図3に示すようにボタン20を押し込み前後でその付勢力に差が生じない、つまり押し込み前後でその付勢力が一定であるように構成、配置されている。
【0023】
そのために、ばね38を収容する凹部をコンタクトブロック3の底に形成し、しかも押込み前後に関係なく接点ホルダ36の下端36bがコンタクトブロック3の底に常時当接するような構成にする必要があり、構成が複雑化し部品点数も増大するという不都合がある。
【0024】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、第1、第2の接点を開離方向に付勢してスイッチが破損したり、スイッチの一部が外れたりしても、簡単な構成により、第1、第2の接点が接触状態或いは近接状態に戻ることを防止できるようにした押ボタンスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記した課題を解決するため、本発明は、スイッチケース内に押し込み可能に収容された押ボタンの押込操作により、前記ケース内に収納された第1の接点と第2の接点との接触状態が解除される押ボタンスイッチにおいて、接触状態の前記第1、第2の接点を非接触となる開離方向に付勢し、当該両接点が接触状態に戻るような異常が発生しても当該両接点を開離状態に保持する開離付勢手段を備え、前記押ボタンの押込操作後の前記開離付勢手段による付勢力が、前記押ボタンの押込操作がないときの付勢力よりも小さくなるように設定されていることを特徴としている(請求項1)。
【0026】
このような構成によれば、押込操作後の開離付勢手段による付勢力が、押ボタンの押込操作がないときの付勢力よりも小さくなるように設定されているため、スイッチが破損したり、スイッチの一部(特に、接点を収容する部分)が外れたりするなどの異常が生じて、第1、第2の接点が接触状態或いは近接状態に戻ろうとしても、開離付勢手段の付勢力が作用して第1、第2の接点が開離状態に保持され、開離付勢手段という簡単な構成によって第1、第2の接点の接触状態或いは近接状態への戻りが防止される。
【0027】
また、本発明は、前記押ボタンの押込操作に連動して移動し、かつ、前記開離付勢手段により前記押ボタンの押込操作に連動して移動する方向と同じ方向に付勢されて移動する連動体を備え、前記連動体が、前記開離方向に移動して、前記第1および第2の接点を接触状態から解除することを特徴としている(請求項2)。
【0028】
このような構成によれば、開離付勢手段によって付勢されつつ押ボタンの押込操作に連動して開離方向に移動し、第1および第2の接点を接触状態から解除する連動体を備えることで、押込み操作による押込方向と開離付勢手段による付勢力が働く方向とを同じ方向とし、スイッチが破損したり、スイッチの一部が外れたりするなどの異常が生じても、簡単な構成により、第1、第2の接点が接触状態或いは近接状態に戻るのが防止される。
【0029】
こうすれば、押ボタンを押込操作すると、押ボタンの押込操作に伴って連動体が移動し、操作体により第1、第2の接点が開離されるため、スイッチが破損したり、スイッチの一部(特に、接点を収容する部分)が外れるなどの異常が生じても、第1、第2の接点の接触状態或いは近接状態への戻りを防止することが可能なスローアクションタイプのスイッチを実現することができる。
【0030】
また、前記開離付勢手段の付勢力を受け前記押ボタンの押込操作により前記押ボタンに連動して移動する連動体と、前記スイッチケース内に配設された常開接点と、一端部が他端部を中心に回転可能に前記スイッチケース内に配設された可動体と、前記押ボタンの押し込みに伴う前記連動体の移動に連動して一端部が他端部を中心に回転可能に前記ケース内に配設された作動体と、両端が前記可動体の一端部及び前記作動体の一端部に係止され前記可動体の一端部及び前記作動体の一端部を同時に一方向に付勢する作動付勢手段とを備え、前記第1、第2の接点のうち一方が前記可動体の他端部に設けられ、前記押ボタンを押し込みに伴い、前記作動付勢手段の前記一方向への付勢力に抗した前記作動体の一端部の回転量が、前記作動付勢手段による前記可動体及び前記作動体への付勢方向を一方向から他方向に切り換えるデッドポイントに達したときに、前記可動体に設けられた前記第1、第2の接点のうちの一方が他方に接触した状態から前記常開接点に接触する状態に切り換わると共に、前記開離付勢手段の付勢力により切り換った状態に保持されるようにしてもよい。
【0031】
こうすると、押ボタンを押込操作すると、押ボタンの押込操作に伴って連動体が移動し、この連動体の移動により作動体の一端部が回転し、作動付勢手段の付勢力に抗した作動体の一端部の回転量がデッドポイントに達すると、可動体に設けられた第1、第2の接点のうちの一方が他方に接触した状態から常開接点に接触する状態に切り換わると共に、開離付勢手段の付勢力により切り換った状態に保持される。
【0032】
そのため、スイッチが破損したり、スイッチの一部が外れたりしても、第1、第2の接点の接触或いは近接状態への戻りを防止することが可能なスナップアクションタイプのスイッチを実現することができる。
【0033】
ここで、前記第1、第2の接点は、タクトスイッチタイプのものであってもよい。更に、前記開離付勢手段は、ばねまたは磁石を備えていても構わない。
【0034】
また、前記スイッチケース内に設けられ前記押ボタンを押込方向に移動可能に支持する支持手段と、前記押ボタンの非操作時に前記押ボタンを非押込方向に付勢し、前記押ボタンの押込操作があれば前記押ボタンを押込方向に付勢する反転付勢手段とを備え、前記反転付勢手段の付勢により前記押ボタンを押込状態に保持するようにしてもよい。
【0035】
こうすれば、支持手段と反転付勢手段との組み合わせによって、押ボタンの非操作時には押ボタンを非押込状態に保持し、反転付勢手段による押込方向への付勢力により押ボタンの押込操作時には押ボタンを押込状態に保持することができる。ここで、反転付勢手段には、ばねのほか磁石等を用いることができる。
【0036】
また、本発明は、前記スイッチケース内に設けられ前記押ボタンを押込方向に付勢するボタン付勢手段と、前記押ボタンの非操作時に前記押ボタンを前記ボタン付勢手段の付勢力に抗して非押込状態に保持し、前記押ボタンの押込操作があれば、該押込の操作力と前記ボタン付勢手段の付勢力とにより前記押ボタンの押込状態への移行を許容する保持手段とを備えていることを特徴としている(請求項3)。
【0037】
このような構成によれば、保持手段により、押ボタンの非操作時には押ボタンがボタン付勢手段の付勢力に抗して非押込状態に保持され、押ボタンの押込操作時には、該押込の操作力とボタン付勢手段の付勢力とにより押ボタンの押込状態への移行が許容されるため、スイッチが破損したり、スイッチの一部(特に、接点を収容する部分)が外れたりするなどの異常が生じても、第1、第2の接点の接触状態或いは近接状態への復帰がより確実に防止される。
【0038】
更に、前記保持手段が、前記スイッチケース内に中心軸方向に向かって移動自在に配設され前記中心軸方向への移動時に前記押ボタンに係止する移動部材と、前記移動部材を中心軸方向に付勢する中心付勢手段とを備え、前記押ボタンの押込操作時に、前記押ボタンの押し込みに伴って前記移動部材が前記中心付勢手段の付勢力に抗して前記中心軸方向と反対方向に移動するものであってもよい。
【0039】
このとき、前記保持手段は、前記押ボタンに外方に向かって移動自在に配設され前記中心軸方向への移動時に前記押ボタンに係止する移動部材と、前記移動部材を外方に付勢する外方付勢手段とを備え、前記押ボタンの押込操作時に、前記押ボタンの押し込みに伴って前記移動部材が前記外方付勢手段の付勢力に抗して前記中心軸方向に移動するものであってもよく、外方に向かって移動自在に前記押ボタンの内側に配設され外方への移動時に前記押ボタンに係止する移動部材と、前記移動部材を外方に付勢する外方付勢手段とを備え、前記押ボタンの押込操作時に、前記押ボタンの押し込みに伴って前記移動部材が前記外方付勢手段の付勢力に抗して前記中心軸方向に移動するものであってもよい。
【0040】
こうすると、中心付勢手段或いは外方付勢手段の付勢力による移動部材の付勢により、押ボタンの非操作時には移動部材が中心軸方向或いは外方に向かって移動して押ボタンやスイッチケースに係止するため、これにより押ボタンをボタン付勢手段の付勢力に抗して非押込状態に保持することができる。一方、押ボタンの押込操作時には、移動部材が中心付勢手段或いは外方付勢手段の付勢力に抗して外方或いは中心軸方向に移動するため、ボタン付勢手段の付勢力により押ボタンの押込状態への移行を許容することができる。
【0041】
また、押込操作される操作部と、前記第1、第2の接点の開閉を行う開閉部とを備え、前記操作部と前記開閉部とが一体化されていてもよい。
【0042】
こうすると、操作部と開閉部とが一体化されて成る押ボタンスイッチであって、スイッチが破損したり、スイッチの一部が外れたりしても、第1、第2の接点の接触状態或いは近接状態への戻りを防止できる押ボタンスイッチを提供することができる。
【0043】
更に、押込操作される操作部と、前記第1、第2の接点の開閉を行う開閉部と、前記操作部と前記開閉部とを連結する連結部とを備えていても構わない。
【0044】
こうすれば、操作部と開閉部とが連結部により連結されて成る押ボタンスイッチであって、スイッチが破損したり、スイッチの一部が外れたりしても、第1、第2の接点の接触状態或いは近接状態への戻りを防止できる押ボタンスイッチを提供することができる。
【0045】
ここで、前記連結部は、前記操作部と前記開閉部とを直結するものであってもよく、前記操作部及び前記開閉部の双方に係脱自在に係合し、係合時に前記操作部と前記開閉部とを互いに位相をずらした回転位置で連結保持する係合部材とを備え、前記操作部及び前記開閉部の回転により前記係合部材による前記操作部と前記開閉部との係合を解除するものであってもよい。
【0046】
更に、前記連結部は、ケースと、このケース内に磁石により浮上可能に配設され浮上時に前記操作部及び前記開閉部の双方に係脱自在に係合して前記操作部と前記開閉部とを連結する係合部材と、前記係合部材の係合を解除する解除部材とを備えていてもよく、ケースと、このケース内に配設されたばねと、前記ケース内に配設され前記ばねにより付勢されたレール部材と、前記レール部材のレールに沿って移動可能に前記ケース内に配設され前記操作部及び前記開閉部の双方に係脱自在に係合して前記操作部と前記開閉部とを連結する係合部材と、前記ばねの付勢に抗して前記係合部材の係合を解除する解除部材とを備えていても構わない。
【0047】
このような連結構造を採用することにより、操作部及び開閉部を簡単に分離することができるため、押ボタンスイッチのメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0048】
また、前記第1、第2の接点が外部装置の通電回路中に配線され、前記第1、第2の接点の接触時には前記通電回路が閉路され、前記押ボタンの押込操作による前記第1、第2の接点の非接触時には前記通電回路が開路されるものであってもよい。
【0049】
このようにすれば、第1、第2の接点の開離により、外部装置の通電回路が開路されるが、開離付勢手段の付勢力により、スイッチが破損したり、スイッチの一部が外れたりしても、第1、第2の接点の接触状態への戻りが防止されるため、外部装置の通電回路を開路したままにすることができる。
【0050】
更に、前記第1の接点及び前記第2の接点により構成されるスイッチ構造が、被検知部及び被検知部を検知してオンまたはオフする検知部から成る非接触式であり、前記開離付勢手段により前記検知部及び前記被検知部のいずれか一方を開離方向に付勢するものであってもよい。
【0051】
こうすると、開離付勢手段により、近接状態の検知部及び被検知部が開離されるため、スイッチが破損したり、スイッチの一部が外れたりしても、検知部及び被検知部が近接状態に戻るのを防止することができる。このとき、前記検知部が外部装置の通電回路中に配線され、前記検知部のオン時には前記通電回路が閉路され、前記押ボタンの押込操作による前記検知部のオフ時には前記通電回路が開路されるようにしてもよく、こうすれば外部装置の通電回路を開路したままにできて安全である。
【発明の効果】
【0052】
以上のように、請求項1に記載の発明によれば、押込操作後の開離付勢手段による付勢力が、押ボタンの押込操作がないときの付勢力よりも小さくなるように設定されているため、スイッチが破損したり、スイッチの一部(特に、接点を収容する部分)が外れたりするなどの異常が生じて、第1、第2の接点が接触状態或いは近接状態に戻ろうとしても、開離付勢手段の付勢力の作用により第1、第2の接点を開離状態に保持でき、開離付勢手段という簡単な構成により第1、第2の接点が接触状態或いは近接状態に戻るのを確実に防止することが可能になる。
【0053】
また、請求項2に記載の発明によれば、開離付勢手段によって付勢されつつ押ボタンの押込操作に連動して開離方向に移動し、第1および第2の接点を接触状態から解除する連動体を備えることで、押込み操作による押込方向と開離付勢手段による付勢力が働く方向とを同じ方向とし、スイッチが破損したり、スイッチの一部が外れたりするなどの異常が生じても、簡単な構成により第1、第2の接点が接触状態或いは近接状態に戻るのを確実に防止することが可能になる。
【0054】
また、請求項3に記載の発明によれば、保持手段により、押ボタンの非操作時には押ボタンがボタン付勢手段に抗して非押込状態に保持され、押ボタンの押込操作時には、該押込の操作力とボタン付勢手段の付勢力とにより押ボタンの押込状態への移行が許容されるため、スイッチが破損したり、スイッチの一部(特に、接点を収容する部分)が外れたりするなどの異常が生じても、第1、第2の接点の接触状態或いは近接状態への復帰を、より確実に防止することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
(第1実施形態)
この発明における押ボタンスイッチを非常停止用に適用した場合の第1実施形態について図1及び図2を参照して説明する。但し、図1及び図2はそれぞれ押ボタンの押し込み前後における断面図である。
【0056】
図1,2に示すように、この種の非常停止用押ボタンスイッチ1は、スイッチケース3と押ボタン5とを備えている。
【0057】
スイッチケース3は、いずれも樹脂製の接点収容部7とボタン収容部9とを備え、例えばボタン収容部9が図示しない制御パネル等に着脱自在に取り付けられ、接点収容部7が裏面側からボタン収容部9に接合されるようになっている。ここで、接点収容部7とボタン収容部9とは一体的に構成されていても構わない。
【0058】
接点収容部7は断面凹字状を成し、この接点収容部7の内側ほぼ中央部には、接点収容部7の内部を上下に仕切る仕切板11が一体に形成され、この仕切板11の中央には透孔13が透設されている。
【0059】
更に、L字状を成す一対の導電部材15の水平部分が仕切板11の下面に沿って配設され、両導電部材15の垂直部分の下端部が接点収容部7の底面を貫通して外部に導出されている。そして、両導電部材15の水平部分の先端下面にはそれぞれ第1の接点17が固着され、接点収容部7の内部であって導電部材15の水平部分下方には導電板19が配設され、この導電板19の両端上面に両第1の接点17に接離自在に第2の接点21が固着されている。
【0060】
ところで、接点収容部7内には、開閉部であるほぼ柱状の連動体23が上下動自在に配設され、この連動体23の上部が透孔13に遊挿されて仕切板11の上方に導出され、連動体23の下端部は、接点収容部7の底面に透設された透孔25を介して接点収容部7の下方へ突出するようになっている。但し、連動体23の下端部は接点収容部7の下方へ突出する構成でなくてもよく、接点収容部7内で上下動できる構成であっても構わない。
【0061】
このとき、連動体23の下端には係合突起27が一体的に形成される一方、接点収容部7の底面であって透孔25の周縁の一部には、接点収容部7の内方つまり上方に向かって立設するL字状の係合部29が一体的に形成され、開離付勢手段としてのばね31の両端が、接点収容部7の係合部29の上端と連動体23の係合突起27とに係止され、このばね31により連動体23が下方に付勢されている。尚、係合部29はL字状に限定されるものではない。
【0062】
更に、連動体23のほぼ中央部には、導電板19の厚みより若干大なる溝幅の水平方向への凹状溝33が形成され、この凹状溝33に導電板19が嵌挿されて連動体23と一緒に導電板19が上下に移動するようになっており、連動体23及び導電板19を介して、上記したばね31の付勢力より第1の接点17に接触している第2の接点21が非接触となる開離方向(ここでは、下方)に付勢されているのである。
【0063】
ボタン収容部9はほぼ円筒状を有し、その下端部が接点収容部7の上端部内側に挿入されて接合されている。このボタン収容部9の中央部やや下寄りの内周には、所定間隔を隔てて中心軸方向に向かって開口した凹状部35が形成され、この凹状部35には移動部材37が中心軸方向に移動自在に配設され、中心付勢手段であるばね39により各移動部材37が中心軸方向に付勢されており、これらの移動部材37の上端部及び下端部には、それぞれ斜め下向き及び斜め上向きの傾斜面41,43が形成されている。尚、本実施形態では移動部材37を2個設けた場合を例示しているが1個或いは3個以上であってもよく、その個数は限定されるものではない。
【0064】
また、ボタン収容部9の内側には本発明における操作部である円筒体45が上下に移動自在に収容され、この円筒体45の下端には水平方向への延出片47が一体に形成され、連動体23の上端に形成された凹状の係止溝49にこの延出片47の先端が嵌挿して係止し、これによって円筒体45と連動体23が一緒に上下に移動する。ここで、延出片47及び係止溝49により、本発明における連結部が構成されている。
【0065】
そして、円筒体45の外周下端部には外側フランジ51が一体に形成され、外側フランジ51の上方位置においてボタン収容部9に内側フランジ53が一体に形成され、ボタン付勢手段としてのばね55が円筒体45の外周に巻回されると共に、両フランジ51,53にばね55の両端が配設され、このばね55の付勢力により外側フランジ51を介して円筒体45が下方、つまり押ボタン5の押込方向に付勢されている。
【0066】
更に、円筒体45の外周下端部の各移動部材37それぞれにほぼ対向する位置には、突起57が形成され、各突起57の下面及び上面に、それぞれ斜め上向き及び斜め下向きの傾斜面59,61が形成され、各移動部材37の上、下の傾斜面41,43それぞれに、各突起57の下、上の傾斜面59,61それぞれが摺接するようになっている。ここで、各移動部材37、各ばね39及び各突起57により、本発明における保持手段が構成されている。
【0067】
そして、押ボタン5の円筒状を成す軸部63が円筒体45の上端に配設され、ボタン収容部9の上端部内周に沿って円筒体45と一緒に軸部63が上下するようになっている。そして、押ボタン5を押込操作することにより、係止フランジ65を介して円筒体45がボタン収容部9内を下方に押し込まれる。尚、軸部63と円筒体45とは、ねじ構造により接合されていてもよい。また、押ボタン5の操作に若干の遊びを持たせて誤操作防止をしたり、いわゆるなぞり操作を可能にするために、軸部63の下端面と係止フランジ65の上面との間にばねを介挿した構造であってもよい。
【0068】
ところで、押ボタン5を押込操作していない状態では、ばね55は圧縮されて大きなエネルギを保持した状態にあり、円筒体45に対してばね55の下方への付勢力が強く作用し、押ボタン5が円筒体45と共に押込方向である下方に付勢された状態にあるが、各移動部材37の上傾斜面41に各突起57の下傾斜面59が当接し、この当接により円筒体45の下方への移動が規制されるため、押ボタン5が円筒体45と共に非押込状態に保持される。
【0069】
尚、この非押込状態では、図1に示すように、連動体23は上動している状態に保持されるため、第1、第2の接点17,21は接触状態に保持されている。
【0070】
このような非押込状態から押ボタン5が押込操作されると、この押込操作に円筒体45が下動し、これにより円筒体45の各突起57の下傾斜面59が各移動部材37の上傾斜面41に摺接し、円筒体45の下動に伴って各移動部材37がばね39の付勢力に抗して両凹状部35内に押し込まれるため、円筒体45の各突起57の下傾斜面59が各移動部材37の上傾斜面41を乗り越えるようにして円筒体45が押ボタン5と共に更に下動する。
【0071】
そして、円筒体45の下動に連動して連動体23が下動し、それまで接触していた第1、第2の接点17,21が強制的に開離され、やがて図2に示すように、各突起57が各移動部材37を完全に乗り越えてしまうと、各突起57の上傾斜面61が各移動部材37の下傾斜面43の下方に位置する状態となり、ばね55により、押ボタン5が円筒体45と共に押込状態に維持され、第1、第2の接点17,21が開離したままとなる。ここで、ばね55は圧縮されて大きなエネルギを保った状態から解放されてエネルギの小さな状態になる。円筒体45の各突起47の上傾斜面61と移動部材37の下傾斜面43は、押ボタン5の上方への遊びを防止する役目を有している。
【0072】
こうして、第1、第2の接点17,21が開離したままとなることで、外部装置である工作機械等の回路を開路することができるのである。
【0073】
このとき、押ボタン5の押込操作に伴う円筒体45の下動初期には、それまで圧縮されて大きなエネルギを保っていた開離付勢手段であるばね31が、圧縮状態から解放されるため、連動体23、円筒体45及び第2の接点21が開離方向である下方に付勢される。このとき、ばね55の付勢力が同時に作用して連動体23、円筒体45及び第2の接点21が開離方向である下方に付勢される。
【0074】
そして、押ボタン5を完全に押し込んで円筒体45の下動が完了すれば、ばね31,55は圧縮状態から解放されてそのエネルギが小さくなるため、連動体23、円筒体45及び第2の接点21に対するばね31,55の付勢力は小さい状態となる。
【0075】
尚、この押込状態を解除するには、例えば押ボタン5をスイッチケース3から引き抜く方向に少し引っ張り、または、押ボタン5を回転することにより円筒体45を引き上げ、これにより押込時とは逆に、円筒体45の各突起57の上傾斜面61が各移動部材37の下傾斜面43に摺接しつつ円筒体45が押ボタン5と共に上動し、各移動部材37がばね39の付勢力に抗して凹状部35内に押し込まれ、やがて各突起57が各移動部材37を完全に乗り越えるまで上動すると、各移動部材37がばね39の付勢により凹状部35から押し出され、円筒体45の各突起57の下傾斜面59が各移動部材37の上傾斜面41に摺接しつつ円筒体45が押ボタン5と共に更に上動し、押ボタン5が元の非押込状態に復帰される。
【0076】
また、押ボタン5の押込時に、移動部材37を円筒状にし、この円筒状の移動部材37の内周に傾斜面を有する内側突起を設けると共に、この内側突起をねじりコイルばねで円周方向に付勢しておき、円筒体45の外側に設けた外側突起を、押ボタン5の押し込みにより、移動部材37側の内側突起の傾斜面に摺接させて円筒状移動部材37をねじりコイルばねに抗して回転させ、これによりボタン5の押込操作を許容するようにしてもよい。更に、内周がカム面を成す凹部と、この凹部の内周に摺接する凸部との組み合わせにより、押ボタン5を元の非押込状態に容易に戻すために押ボタン5を回転させる際のガイドとしても構わない。
【0077】
以上のような構成において、開離付勢手段であるばね31の付勢力により、接触状態の第1、第2接点17,21が非接触となる開離方向に付勢され、押ボタン5の押込操作後におけるばね31による付勢力が押込操作前よりも小さくなるように設定されているため、押ボタンスイッチ1のいずれかの部分が破損するといった異常が発生して第1、第2の接点17,21が接触状態に戻ろうとしても、押ボタン5の押込操作前におけるばね31の大きな付勢力が作用することとなり、その結果第1、第2の接点17,21が接触状態に戻ることはなく、外部装置の通電回路を開路したままとなる。また、接点収容部7がボタン収容部9から外れた場合でも、上記と同様に、ばね31の付勢力により第1、第2の接点17,21が接触状態に戻ることはない。
【0078】
従って、第1実施形態によれば、ばね31を設けるのみで、押ボタンスイッチ1のいずれかの部分が破損するなどの異常が生じて第1、第2の接点17,21が接触状態に戻ろうとしたときに、押ボタン5の押込操作前におけるばね31の大きな付勢力の作用により、第1、第2の接点17,21が接触状態に戻るのを防止することができ、外部装置の通電回路を開路したままに保持しておくことができる。
【0079】
また、各移動部材37、ばね39及び各突起57により、押ボタン5の非操作時には押ボタン5がばね55の付勢力に抗して非押込状態に保持され、押ボタン5の押込操作時にはばね55の付勢力により押ボタン5の押込状態への移行が許容されるため、押ボタンスイッチ1のいずれかの部分が破損しても、押ボタン5が非操作状態に戻ることを防止でき、第1、第2の接点17,21の接触状態への復帰をより確実に防止することができる。
【0080】
更に、保持手段としての各移動部材37、各ばね39及び各突起57により、押ボタン5を非押込状態に保持し、押ボタン5の押込状態への移行を許容するため、押ボタン5の押込操作により、連動体23、円筒体45及び第2の接点21に対するばね31,55の付勢力が押込操作前よりも小さい状態で、第1、第2の接点17,21が開離したままとすることができる。
【0081】
また、延出片47及び係止溝49により、円筒体45及び連動体23を連結しているため、円筒体45及び連動体23を簡単に分離することができ、押ボタンスイッチ1のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0082】
なお、第1実施形態の変形例として、連動体23に形成する凹状溝33の溝幅を導電板19の厚みよりもかなり大きくし、凹状溝33の内下面と導電板19の下面との間にばねを介挿し、このばねにより導電板19を上方に付勢して、接触状態にある第1、第2の接点17,21を最適な接圧で接触するようにしても構わない。
【0083】
また、第1、第2の接点17,21は、いわゆるタクトスイッチタイプを構成していてもよい。具体的には、ラバー部材を介して第1の接点17を両導電部材15に取り付け、このラバー部材の可撓性により、第1、第2の接点17,21の最適な接圧を得るように構成するのが好ましい。
【0084】
一方、ラバー部材を介して第2の接点21を導電板19に取り付け、ばね31に代えてこのラバー部材を開離付勢手段として使用し、その弾性力を利用して第2の接点21に対して非接触となる開離方向(図1,2では下方)への付勢力を与えるようにしてもよい。ここで、ラバー部材の弾性力が不足する場合には、ばねや磁石を併用して第2の接点21に対する開離方向への付勢力を与えるようにしてもよい。
【0085】
更に、連動体23の上半部に空間を形成し、開離付勢手段としてのばね31をこの空間内に収容し、スイッチケース3側に固着した作動片によりこのばね31の付勢力を連動体23に対して開離方向である下方に与えるようにしてもよい。
【0086】
このとき、ばねに代えて一対の磁石の反発力を利用してこのような開離付勢手段としての付勢力を連動体23に与えるようにしてもよい。
【0087】
また、第1実施形態のその他の変形例として、保持手段を構成する各移動部材37、各ばね39及び各突起57を、ボタン付勢手段であるばね55よりも上位に配設してもよく、ばね55の付勢力に代えて磁石の反発力を利用してもよい。
【0088】
更に、各移動部材37及び各ばね39に相当する弾性部材をスイッチケース3のボタン収容部9側に設けても構わない。
【0089】
また、各移動部材37に相当する移動部材を180゜対向する位置に一対設け、両移動部材の両端それぞれを一対のばねより接合し、これら両ばねのばね力により両移動部材間に連動体23を挟持するようにし、連動体23の下動時に突起57により両移動部材を押し広げるような構成としてもよい。
【0090】
更に、各移動部材37に相当する移動部材を180゜対向する位置に一対設け、両移動部材に外側からばね性を有するC−リングやリング状ゴムを装着し、C−リングやリング状ゴムのばね力により両移動部材間に連動体23を挟持するようにし、連動体23の下動時に突起57により両移動部材を押し広げるような構成としても構わない。
【0091】
また、円筒体45と連動体23との連結は、延出片47及び係止溝49によるもの以外に、磁力を利用して連結したり、E−リングと称される補強部材を用いて着脱自在に連結するようにしてもよい。
【0092】
(第2実施形態)
この発明の第2実施形態について図3及び図4を参照して説明する。但し、図3及び図4はそれぞれ押ボタンの押し込み前後における接点周辺部分の断面図である。尚、本実施形態における押ボタンスイッチの基本的な構成は上記した第1実施形態とほぼ同じであるため、以下では図1,2も参照しつつ、主として第1実施形態と相違する点について説明する。
【0093】
図3,4に示すように、本実施形態における押ボタンスイッチ1は、いわゆるスナップアクションタイプであり、スイッチケース3の接点収容部7内には、開閉部であるほぼ柱状の連動体71が上下動自在に配設され、この連動体71の上部が透孔13に遊挿されて仕切板11の上方に導出され、連動体71の下端部は、接点収容部7の底面ほぼ中央に当接された透孔25を介して接点収容部7の下方へ突出するようになっている。
【0094】
このとき、連動体71の下端部に一体に形成された突起73と仕切板11の下面とにその両端がそれぞれ係止されて開離付勢手段としてのばね75が配設され、このばね75により連動体71が開離方向である下方に付勢されている。尚、連動体71の上端には、上記した円筒体45の延出片47の先端が嵌挿して係止する凹状の係止溝77が形成され、これによって円筒体45と連動体71が一体となって上下に移動する。この係止溝77及び延出片47により、本発明における連結部が構成される。
【0095】
そして、図3,4に示すように、L字状を成す導電部材79の水平部分が仕切板11の下面に沿って配設され、この導電部材79の垂直部分の下端部が接点収容部7の底面を貫通して外部に導出され、導電部材79の水平部分の先端下面には第1の接点に相当する常閉接点81が固着されている。
【0096】
また、L字状を成すもう一つの導電部材83が、接点収容部7の底面に貫設されて下端部が外部に導出され、接点収容部7内における導電部材83の水平部分が接点収容部7の底面に沿って配設され、導電部材83の水平部分の先端上面に常開接点85が固着されている。
【0097】
更に、接点収容部7の底面であって導電部材83と透孔25との間には支持部材87が貫設され、接点収容部7内部の支持部材87の先端には、作動体89の左端部及び可動体91の右端部が回転自在に支持され、可動体91の右端部の上下面には第2の接点に相当する可動接点93が固着され、作動体89の右端部及び下動体91の左端部には、作動付勢手段としてのばね95の両端がそれぞれ係止され、このばね95の付勢力により、作動体89の右端部及び可動体91の左端部が共に上方(本発明における一方向に相当)に付勢され、作動体89の右端部は、連動体71に形成された突起99の下面に当接している。
【0098】
そして、図3に示すように、押ボタン5の押込操作により連動体71が下動すると、作動体89の右端部が下方に押されて作動体89がばね95の付勢力に抗して回転する。
【0099】
やがて、押ボタン5を押し込みに伴う作動体89の右端部の回転量が、ばね95の付勢力による作動体89及び可動体91への付勢方向をそれまでの上方から下方に反転するデッドポイントに達すると、図4に示すように、可動接点93が常閉接点81との接触状態から常開接点85との接触状態に切り換わり、常閉接点81、可動接点93が開離したままとなる。尚、この押ボタン5の非押込状態への復帰は、第1実施形態と同様に行えばよい。
【0100】
従って、第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、押ボタン5を押込操作すると、押ボタン5の押込操作に伴って連動体71が移動し、この連動体71の移動により作動体89の右端部が回転し、ばね95に抗した作動体89の右端部の回転量が、ばね95の付勢力による可動体89への付勢方向を上方から下方に切り換えるデッドポイントに達した後は、可動接点93を常閉接点81に接触した状態から常開接点85に接触した状態にして、押ボタンスイッチ1のいずれかの部分が破損しても、常閉接点81及び可動接点93の接触状態への戻りを防止することが可能なスナップアクションタイプのスイッチを得ることができる。
【0101】
なお、第2実施形態の変形例として、図3,4では作動体89の右端部及び可動体91の左端部が共に上方に付勢されて上向きの“く”字状を形成するようにばね95を配設した場合について説明したが、作動体89及び可動体91が下向きの“く”字状を形成するようにばね95を配設してもよい。
【0102】
また、第2実施形態において、ばね75に代えて、第1実施形態におけるばね31と同様にばねを設けてもよく、逆に第1実施形態において、ばね31に代えて、第2実施形態におけるばね75と同様にばねを設けてもよい。
【0103】
(第3実施形態)
この発明の第3実施形態について図5を参照して説明する。但し、本実施形態における押ボタンスイッチの基本的な構成は上記した第1実施形態とほぼ同じであるため、以下では図1ないし図4も参照しつつ、主として第1実施形態と相違する点について説明する。
【0104】
図5に示すように、本実施形態における押ボタンスイッチ1は、近接スイッチなどの非接触型の接点構造を有するタイプであり、連動体23に被検知部としてのマグネット101を取り付けると共に、スイッチケース3の接点収容部7内にマグネット101の磁気を検知してオンする検知部としてのリードスイッチ103を配設し、リードスイッチ103の両端を接点収容部7の底面から外部に導出して図示しない外部装置である工作機械等の通電回路に接続する。
【0105】
このとき、押ボタン5を押し込んでいない状態では、リードスイッチ103がマグネット101に近接してオン状態になり、押ボタン5を押し込むと、リードスイッチ103がマグネット101から開離してオフ状態になるようにリードスイッチ103及びマグネット101の位置関係を設定しておく。尚、連動体23がばね31により開離方向である下方に付勢されているのは第2実施形態と同様である。尚、検知部は、磁気素子やホール素子であってもよい。
【0106】
従って、第3実施形態によれば、第1実施形態と同様、押ボタンスイッチ1のいずれかの部分が破損しても、リードスイッチ103及びマグネット101が近接状態に戻るのを防止することができる。
【0107】
なお、検知部であるリードスイッチ103を連動体23に取り付け、被検知部であるマグネット101を接点収容部7内に固定しておき、連動体23の移動に伴うリードスイッチ103の移動によって、リードスイッチ103がオン、オフするようにしても構わない。但し、この場合には、リードスイッチ103の移動により外部装置の通電回路との接続不良が発生しない対策をとっておくのが望ましい。
【0108】
(第4実施形態)
この発明の第4実施形態について図6及び図7を参照して説明する。但し、図6及び図7はそれぞれ押ボタンの押し込み前後における押ボタン部分の断面図である。尚、本実施形態における押ボタンスイッチの基本的な構成は上記した第1実施形態とほぼ同じであるため、以下では図1ないし図4も参照しつつ、主として第1実施形態と相違する点について説明する。
【0109】
本実施形態における押ボタンスイッチ1では、押ボタン5をスイッチケース3に対して押込可能に収容する構造が第1実施形態と相違している。より詳細には、図6に示すように、スイッチケース3のボタン収容部9の上端部内周における180゜の対向位置に一対の凹部105を形成し、これら両凹部105内に反転付勢手段としてのばね107を介して摺動体109をそれぞれ収容すると共に、押ボタン5及び円筒部45を一体化した構造にし、一対の連結体111の両端を押ボタン5と両摺動体109とにそれぞれ回転自在に枢支する。尚、両摺動体109及び両連結体111が、本発明における支持手段に相当する。
【0110】
このとき、押ボタン5の下端は連動体23の上端部に連結しておき、この連結状態で、図6に示すように、両ばね107の付勢力が両摺動体109及び両連結体111を介して押ボタン5に対して非押込方向である上方への押上力として作用するように設定しておき、押ボタン5を非押込状態に保持する。
【0111】
一方、押ボタン5の押込操作時には、押ボタン5の押し込みに伴う下動によって、両連結体111それぞれにより両ばね107に抗して両摺動体109を両凹部105内にそれぞれ押し込み、やがて図7に示すように、押ボタン5の押し込みが完了すると、両ばね107の付勢力が両摺動体109及び両連結体111を介して押ボタン5に対して押込方向である下方への押込力として作用し、このときのばね107の付勢力によって押ボタン5が押込状態に保持され、第1、第2の接点17,21が開離したままとなる。このとき、特に非押込状態における付勢力は押込状態よりも大きくて押ボタン5を非押込状態に保持できるように、各ばね107の付勢力を設定しておくのが望ましい。本実施形態では、凹部105、ばね107、摺動体109、連結体111をそれぞれ2個として説明したが、これらは1個或いは3個以上であってもよく、その個数は限定されるものではない。
【0112】
従って、第4実施形態によれば、上記した第1実施形態と同等の効果を得ることができるのは勿論のこと、支持手段としての摺動体109及び連結体111、並びに、反転付勢手段としてのばね107の組み合わせによって、押ボタン5の非操作時には押ボタン5を非押込状態に保持し、押ボタン5の押込操作時には押ボタン5を押込状態に保持することができる。
【0113】
なお、第4実施形態の変形例として、支持手段として上下面が異なる磁極に着磁されたリング状の磁石を押ボタン5の外周に埋設すると共に、反転付勢手段として上下面が異なる磁極に着磁されたリング状の磁石をボタン収容部9の上端部内周に埋設し、押ボタン5側の磁石の下面側の磁極と、ボタン収容部9側の上面側の磁極とが同じになり、かつ、押ボタン5の非押込状態時に押ボタン5側の磁石がボタン収容部9側の磁石よりも上位に位置するように配設し、これら磁石の磁気的な反発力を利用して押ボタン5を非押込状態に保持するようにしても構わない。
【0114】
(第5実施形態)
この発明の第5実施形態について図8及び図9を参照して説明する。但し、図8は一部の断面図、図9は異なる一部の概略図である。尚、本実施形態における押ボタンスイッチの基本的な構成は上記した第1実施形態とほぼ同じであるため、以下では図1ないし図4も参照しつつ、主として第1実施形態と相違する点について説明する。
【0115】
本実施形態における押ボタンスイッチ1では、押ボタン5をスイッチケース3に対して押込可能に収容する構造が第1実施形態と相違している。より詳細には、第1実施形態で用いた各移動部材37、各ばね39及び各突起57から成る保持手段に代えて、図8及び図9に示すように、円筒体45を介して押ボタン5を押込方向に付勢するばね55の上位であって係止フランジ65よりも下位位置における円筒体45の上端部外周の複数箇所に、上下方向の2条ずつのスリット113を形成し、両スリット113間に外方に向かって山状に突出した弾性を有する複数の突部115を、樹脂成型により円筒体45に一体形成し、ボタン収容部9に形成された内側フランジ53の先端の上下面に、各突部115が摺接する傾斜面117,119を形成している。
【0116】
ここで、各突部115は、自身の弾性力によって突部115自身を外方に付勢するものであるため、各突部115が本発明における移動部材及び保持手段、並びに、外方付勢手段に相当する。
【0117】
そして、押ボタン5の非押込状態では、各突部115の下面側が内側フランジ53の先端上面に当接し、各突部115のばね力により、ばね55に抗して押ボタン5の非押込状態に保持できるように、各突部115及びばね55のばね力を設定しておく。
【0118】
一方、押ボタン5の押込操作すれば、各突部115が自身のばね力に抗して内側に押し込まれながら、各突部115が内側フランジ53の先端上面の傾斜面117を摺接し、やがて各突部115が内側フランジ53の先端を乗り越え、押ボタン5の押し込みが完了すると、各突部115の上面側が内側フランジ53の先端下面の傾斜面119の下方に位置し、第1、第2の接点17,21が開離したままとなる。尚、ここでは突部115を複数として説明したが、その個数は限定されるものではない。
【0119】
従って、第5実施形態によれば、上記した第1実施形態と同等の効果を得ることができるのは勿論のこと、各突部115の外方への付勢により、押ボタン5の非操作時には突部115が外方に向かって移動してボタン収容部9の内側フランジ53の先端上面の傾斜面117に係止するため、これにより押ボタン5をばね55に抗して非押込状態に保持することができる。
【0120】
一方、押ボタン5の押込操作時には、各突部115が自身の弾性力に抗して中心軸方向に移動するため、押ボタン5の押込状態への移行を許容することができる。
【0121】
なお、第5実施形態の変形例として、各突部115に代えて、円筒体45の上端部外周に出没自在に移動部材を複数設け、これら各移動部材をばね等の外方付勢手段により外方に付勢するようにしてもよい。
【0122】
(第6実施形態)
この発明の第6実施形態について一部の断面を表わす図10を参照して説明する。但し、本実施形態における押ボタンスイッチの基本的な構成は上記した第1実施形態とほぼ同じであるため、以下では図1ないし図4も参照しつつ、主として第1実施形態と相違する点について説明する。
【0123】
本実施形態における押ボタンスイッチ1では、押ボタン5をスイッチケース3に対して押込可能に収容する構造が第1実施形態と相違している。より詳細には、第1実施形態で用いた各移動部材37、各ばね39及び各突起57から成る保持手段に代えて、図10に示すように、押ボタン5の軸部63の内側に、中心付勢手段であるねじりコイルばね121により外方に向かって回動自在に一対の移動部材123が配設され、両移動部材123の上面には斜め下向きの傾斜面125が形成されると共に、押ボタン5の軸部63の下端部内周に一対の突起127が形成され、押ボタン5の非押込時に、これら両突起127の下面に形成された斜め上向きの傾斜面129に両移動部材123の傾斜面125が摺接するようになっている。
【0124】
このとき、ねじりコイルばね121の中央の支点部は、例えばスイッチケース3の内側に設けられて押ボタン5の軸部63内に導入された係合部に係合され、これにより押ボタン5の押込動作に対して、両移動部材123はスイッチケース3と同様の相対動作をする。尚、ねじりコイルばね121及び両移動部材123両突起127により、本発明における保持手段が構成されている。
【0125】
そして、押ボタン5の非押込状態では、図10(a)に示すように、両突起127の傾斜面129に両移動部材123の傾斜面125が当接し、ばね121の付勢力によって両移動部材123が外方へ押し広げられるように付勢されることにより、両移動部材123が両突起127に係止して押ボタン5が非押込状態に保持される。
【0126】
この状態から、押ボタン5が押込操作されると、図10(b)に示すように、両突起127の傾斜面129に両移動部材123の傾斜面125が摺接し、両移動部材123がばね121の付勢力に抗して互いに接近する方向に押し縮められ、押ボタン5が次第に下動していき、やがて両突起127が両移動部材123を乗り越えると、図10(c)に示すように、両移動部材123に対してばね121による外方へ押し広げる付勢力が作用して、両移動部材123が互いに離れる方向に押し広げられ、両移動部材123の下面が両突起127の上面の上方にそれぞれ位置した状態となり、第1、第2の接点17,21が開離したままとなる。尚、押ボタン5を非押込状態に復帰するには、押ボタン5を回転して両移動部材123を両突起127それぞれの上方位置からずらしてから引っ張るか、或いは、両移動部材123の下面及び両突起127の上面にそれぞれ摺接可能な傾斜面を形成し、これらの傾斜面を摺接させつつ押ボタン5を引っ張るか、または、回転動作を用いて引っ張ればよい。ここでは、移動部材123、突起127をそれぞれ2個として説明したが、これらは1個或いは3個以上であってもよく、その個数は限定されるものではない。
【0127】
従って、第6実施形態によれば、上記した第1実施形態と同等の効果を得ることができるのは勿論のこと、ねじりコイルばね121による両移動部材123の外方への付勢により、押ボタン5の非操作時には両移動部材123が外方へ押し広げられて両突起127それぞれに当接するため、これにより押ボタン5をボタン付勢手段の付勢力に抗して非押込状態に保持することができる。
【0128】
一方、押ボタン5の押込操作時には、両移動部材123がねじりコイルばね121に抗して内方に押し縮められるため、押ボタン5の押込状態への移行を許容することができる。
【0129】
なお、第6実施形態の変形例として、ねじりコイルばね121に代えて、周知の圧縮コイルばねや磁石を外方付勢手段として用いても構わない。
【0130】
(第7実施形態)
この発明の第7実施形態について一部の断面を表わす図11及び図12を参照して説明する。但し、図11は一部の分解状態における斜視図、図12は図11の一部の底面図である。尚、本実施形態における押ボタンスイッチの基本的な構成は上記した第1実施形態とほぼ同じであるため、以下では図1ないし図4も参照しつつ、主として第1実施形態と相違する点について説明する。
【0131】
本実施形態における押ボタンスイッチ1では、連動体23と円筒体45とを連結する構造が第1実施形態と相違している。より詳細には、図11に示すように、操作部である円筒体45の下端に一対の翼状片131を形成すると共に、連動体23の上端にも同様の一対の翼状片133を形成し、これら円筒体45側の翼状片131と連動体23側の翼状片133の位相を90゜ずらして配設する。尚、このときの位相のずれは90゜に限定されるものではない。
【0132】
また、図12に示すように、中空円柱状の係合部材135の上下面に互いに90゜位相をずらして挿入孔137,139を透設し、図11に示すように、上側の挿入孔137から円筒体45側の翼状片131を係合部材135の内側に挿入すると共に、下側の挿入孔139から連動体23側の翼状片133を挿入し、翼状片131,133が挿入孔137,139から抜けないように係合部材135を回転し、これにより円筒体45と連動体23とを連結している。尚、挿入孔137,139の位相のずれも90゜に限定されるものではない。ここで、翼状片131,133及び係合部材135により、本発明における連結部が構成されている。
【0133】
このとき、係合部材135を係合時とは逆方向に回転して翼状片131,133を挿入孔137,139から抜き出せるようにすることで、円筒体45と連動体23との連結が解除される。
【0134】
従って、第7実施形態によれば、上記した第1実施形態と同等の効果を得ることができるのは勿論のこと、円筒体45及び連動体23を簡単に分離することができることから、押ボタンスイッチ1のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0135】
なお、第7実施形態の変形例として、挿入孔137及びこれに嵌挿される翼状片131をなくして円筒体45と係合部材135とを一体的に接合し、係合部材135の挿入孔139に連動体23の翼状片133を嵌挿するようにしてもよく、これとは逆に、挿入孔139及びこれに嵌挿される翼状片133をなくして連動体23と係合部材135とを一体的に接合し、係合部材135の挿入孔137に円筒体45の翼状片131を嵌挿するようにしてもよい。
【0136】
(第8実施形態)
この発明の第8実施形態について一部の断面を表わす図13及び図14を参照して説明する。但し、図13は一部の分解状態における斜視図、図14は動作説明図である。尚、本実施形態における押ボタンスイッチの基本的な構成は上記した第1実施形態とほぼ同じであるため、以下では図1ないし図4も参照しつつ、主として第1実施形態と相違する点について説明する。
【0137】
本実施形態における押ボタンスイッチ1では、連動体23と円筒体45とを連結する構造が第1実施形態と相違している。より詳細には、図13に示すように、円筒体45の全体或いは下端の一部を柱状体45’にすると共に、連動体23も柱状にし、立方体状の中空ケース141の一内側面に磁石143を固着し、ケース141内に磁石143と対向する側面の反対側面に凹部145が形成された係合部材147を配設し、この係合部材147の磁石141に対向する側面に磁石143と反発する磁石149を埋設する。
【0138】
そして、柱状体45’の下端及び連動体23の上端に切欠部151,153を形成して鈎状にしておき、図14(a),(b)に示すように、ケース141の上下面からそれぞれ柱状体45’の下端及び連動体23の上端を挿入して、両磁石141,149の反発力を利用して柱状体45’及び連動体23の切欠部151,153に係合部材147の凹部145の先端部分を係脱自在に嵌挿、係合して柱状体45’及び連動体23を連結する。
【0139】
このとき、切欠部151,153は凹部145に対峙する向きに形成されている。尚、ケース141、磁石143、係合部材147及び後述する解除部材155により、本発明における連結部が構成されている。
【0140】
一方、柱状体45’及び連動体23の連結を解除するために、ケース141に解除部材155を貫設し、ケース141の外部にこの解除部材155の先端を導出し、解除部材155をケース141内に押し込むことによって係合部材147を磁石143方向に押し込んで切欠部151,153から凹部145の先端部分を外し、これにより柱状体45’及び連動体23の連結を解除する。
【0141】
従って、第8実施形態によれば、上記した第1実施形態と同等の効果を得ることができるのは勿論のこと、上記した第7実施形態と同様、柱状体45’及び連動体23を簡単に分離することができることから、押ボタンスイッチ1のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0142】
また、係合部材147が磁石143に摺接することがないため、摺接によって、係合部材147や柱状体45’、連動体23等の摩耗や破損が発生するおそれは全くない。
【0143】
なお、第8実施形態の変形例として、図13,14に示す係合部材147に代えて、図15に示すように、柱状体45’及び連動体23の切欠部151,153を磁石143と対向する向きと反対向きに形成しておき、先端がケース141の外部に導出された解除部材157と一体化された磁性材から成る係合部材159を切欠部151,153に係合することにより、柱状体45’及び連動体23を連結すると共に、磁石143による吸引力により係合部材159を吸引してこの連結状態を保持するようにしてもよい。
【0144】
ここで、柱状体45’及び連動体23の連結を解除するには、解除部材157をケース141から引き抜くように引っ張れば、係合部材159が切欠部151,153から外れて柱状体45’及び連動体23の連結が解除される。尚、本実施形態では、柱状体45’に代えて円筒体を用いてもよく、その形状も特定のものに限定されるものではない。
【0145】
(第9実施形態)
この発明の第9実施形態について一部の断面を表わす図16及び図17を参照して説明する。但し、図16は一部の分解状態における正面図、図17は図16の一部の斜視図である。尚、本実施形態における押ボタンスイッチの基本的な構成は上記した第1、第8実施形態とほぼ同じであるため、以下では図1ないし図4並びに図13及び図14も参照しつつ、主として第1、第8実施形態と相違する点について説明する。
【0146】
本実施形態における押ボタンスイッチ1では、連動体23と柱状体45’とを連結する構造が第1実施形態と相違している。より詳細には、図16,17に示すように、立方体状の中空ケース161の一内側面にばね163の一端を固着すると共に、ばね163と対向する側面を反対側面に2条のレール165が形成されたレール部材167をケース161内に配設してばね163の他端をこのレール部材167に固着し、レール部材167のレール165に沿って移動自在に係合部材169を配設すると共に、係合部材169のレール165に対向する側面の反対側面に凹部171を形成し、柱状体45’の下端及び連動体23の上端に切欠部151,153に係合部材169の凹部171の先端部分を係脱自在に嵌挿、係合して柱状体45’及び連動体23を連結する。尚、レール165は1条でもよく、更にレール165はなくても構わない。
【0147】
一方、柱状体45’及び連動体23の連結を解除するために、ケース161に解除部材173を貫設し、ケース161の外部にこの解除部材173の先端を導出し、解除部材173をケース161内に押し込むことによって係合部材169をばね163の付勢力に抗して押し込んで切欠部151,153から凹部171の先端部分を外し、これにより柱状体45’及び連動体23の連結を解除する。尚、ケース161、ばね163、レール部材167、係合部材169及び解除部材173により、本発明における連結部が構成されている。ここで、本実施形態では、柱状体45’に代えて円筒体を用いてもよく、その形状も特定のものに限定されるものではない。
【0148】
従って、第9実施形態によれば、上記した第1実施形態と同等の効果を得ることができるのは勿論のこと、上記した第8実施形態と同様、柱状体45’及び連動体23を簡単に分離することができることから、押ボタンスイッチ1のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0149】
また、本発明は上記した各実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。
【0150】
例えば、押ボタン5、円筒体45または柱状体45’及び連動体23は別個に形成されたものを一体化可能に構成されていてもよく、押ボタン5、円筒体45または柱状体45’及び連動体23はひとつの部材により構成されていても構わない。
【0151】
また、上記したようにスイッチケース3の接点収容部7とボタン収容部9とは接合される構造であり、特に接点収容部7には第1、第2の接点等が収容され、ボタン収容部9には円筒体45または柱状体45’や押ボタン5が収容された後に接合されるため、例えば図1に示されるように、接合前にはばね31は伸びた状態にあって接点収容部7内における第1、第2の接点17,21は開離している。この状態から接点収容部7をボタン収容部9に接合して第1、第2の接点17,21を接触状態にするには、何らかの手段により連動体23をばね31の付勢力に抗して押ボタン5側に引き込む必要がある。
【0152】
そこで、図18(a)に示すように、連動体23の上端を筒状にし、円筒体45または柱状体45’の下端に連動体23の上端内側に挿脱自在の挿入部181を設け、この挿入部181の外周に少なくとも1個の突起183を設け、連動体23の上端には、例えば“し”字状のガイド溝185を形成しておき、接合時に接点収容部7をボタン収容部9方向に押し込むことで、挿入部181を連動体23の上端に嵌挿させて突起183をガイド溝185上部に嵌挿させ、その後同図(b)に示すように、接点収容部7を回転して突起183をガイド溝185の奥部にまで移動させて係止させ、これによりばね31の付勢力に抗して連動体23を円筒体45または柱状体45’側に引き込むのが望ましい。
【0153】
但し、連動体23は接点収容部7と一緒に回転するようにしておく。こうすれば、接点収容部7をボタン収容部9に接合する際に、簡単に第1、第2の接点17,21を接触した状態にすることができる。この場合、接点収容部7とボタン収容部9を嵌合させるようにしてもよい。尚、接点収容部7を回転させて外すと、円筒体45または柱状体45’と連動体23(ガイド溝185と挿入部181の係合)が外れる。
【0154】
また、接点が非接触式であっても同様であり、ガイド溝185と突起183との形成部位は逆であってもよい。更に、必ずしもガイド溝に限定されるものではなく、カム構造にしてもよく、円筒体45または柱状体45’に連動体23が係止される構造であればよい。また、接点収容部7を回転させずに連動体23だけを回転させることができる構造にしてもよい。
【0155】
更に、上記した各実施形態では、非常停止用に用いる押ボタンスイッチ1の例を示しているが、非常停止用に限らず、常閉の第1,第2の接点を押込操作により開離するいわゆる常閉スイッチとして使用することも勿論可能であって、上記した各実施形態と同等の効果を得ることができる。また、押ボタンを押込方向に付勢するばね55も省略してもよい。なお、操作部は、円筒体でも柱状体でもよく、その形状は特定のものに限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】この発明の第1実施形態のある状態における断面図である。
【図2】この発明の第1実施形態の異なる状態における断面図である。
【図3】この発明の第2実施形態における一部のある状態における断面図である。
【図4】この発明の第2実施形態における一部の異なる状態における断面図である。
【図5】この発明の第3実施形態のにおける一部の断面図である。
【図6】この発明の第4実施形態における一部のある状態における断面図である。
【図7】この発明の第4実施形態における一部の異なる状態における断面図である。
【図8】この発明の第5実施形態における一部の断面図である。
【図9】この発明の第5実施形態における異なる一部の断面図である。
【図10】この発明の第6実施形態における一部の断面図である。
【図11】この発明の第7実施形態における一部の分解状態の斜視図である。
【図12】図11の一部の底面図である。
【図13】この発明の第8実施形態における一部の分解状態の斜視図である。
【図14】この発明の第8実施形態の動作説明図である。
【図15】この発明の第8実施形態の変形例の説明図である。
【図16】この発明の第9実施形態における一部の分解状態の正面図である。
【図17】図16の一部の斜視図である。
【図18】この発明のその他の実施形態の動作説明図である。
【図19】従来例の動作説明図である。
【図20】従来例の動作説明図である。
【符号の説明】
【0157】
1……押ボタンスイッチ
3……スイッチケース
5……押ボタン
17…第1の接点
21…第2の接点
23,71…連動体
31,75…ばね(開離付勢手段)
37…移動部材(保持手段)
39…ばね(中心付勢手段、保持手段)
45…円筒体(操作部)
45’…柱状体(操作部)
47…延出片(連結部)
49,77…係止溝(連結部)
55…ばね(ボタン付勢手段)
57…突起(保持手段)
81…常閉接点(第1の接点)
85…常開接点
89…作動体
91…可動体
95…ばね(作動付勢手段)
87…支持部材
93…可動接点(第2の接点)
101…マグネット(被検知部)
103…リードスイッチ(検知部)
107…ばね(反転付勢手段)
109…摺動体(支持手段)
111…連結体(支持手段)
115…突部(移動部材、外方付勢手段、保持手段)
121…ねじりコイルばね(外方付勢手段、保持手段)
123…移動部材(保持手段)
127…突起(保持手段)
131,133…翼状片(連結部)
135…係合部材(連結部)
141…ケース(連結部)
143,149…磁石(連結部)
147,159…係合部材(連結部)
155,157…解除部材(連結部)
161…ケース(連結部)
163…ばね(連結部)
165…レール
167…レール部材(連結部)
169…係合部材(連結部)
173…解除部材(連結部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチケース内に押し込み可能に収容された押ボタンの押込操作により、前記ケース内に収納された第1の接点と第2の接点との接触状態が解除される押ボタンスイッチにおいて、
接触状態の前記第1、第2の接点を非接触となる開離方向に付勢し、当該両接点が接触状態に戻るような異常が発生しても当該両接点を開離状態に保持する開離付勢手段を備え、
前記押ボタンの押込操作後の前記開離付勢手段による付勢力が、前記押ボタンの押込操作がないときの付勢力よりも小さくなるように設定されていることを特徴とする押ボタンスイッチ。
【請求項2】
前記押ボタンの押込操作に連動して移動し、かつ、前記開離付勢手段により前記押ボタンの押込操作に連動して移動する方向と同じ方向に付勢されて移動する連動体を備え、
前記連動体が、前記開離方向に移動して、前記第1および第2の接点を接触状態から解除することを特徴とする請求項1に記載の押ボタンスイッチ。
【請求項3】
前記スイッチケース内に設けられ前記押ボタンを押込方向に付勢するボタン付勢手段と、
前記押ボタンの非操作時に前記押ボタンを前記ボタン付勢手段の付勢力に抗して非押込状態に保持し、前記押ボタンの押込操作があれば、該押込の操作力と前記ボタン付勢手段の付勢力とにより前記押ボタンの押込状態への移行を許容する保持手段と
を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の押ボタンスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−115703(P2007−115703A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−326535(P2006−326535)
【出願日】平成18年12月4日(2006.12.4)
【分割の表示】特願2002−108776(P2002−108776)の分割
【原出願日】平成14年4月11日(2002.4.11)
【特許番号】特許第3909082号(P3909082)
【特許公報発行日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)
【Fターム(参考)】