捩じり振動吸収装置、およびこれを備えた携帯型動力刈払機
【課題】既存の装置類の各部の変更を不要もしくは、最小限としつつ、より効率的に捩じり振動を除去することが可能な捩じり振動吸収装置を提供する。
【解決手段】中心軸S1周りに回転する第1部材1と、中心軸S2周りに回転する第2部材2と、一端31が第1部材1に、他端32が第2部材2に係止されたコイルバネ3と、を備え、中心軸S1,S2を一致させて相対軸転するように第1部材1と第2部材2とを相互に拘束する拘束手段Rと、第1部材1と第2部材2との相対軸転角を規制する規制手段と、を備えており、規制手段は、第1部材1から第2部材2の方向へ延出させた1または複数の第1突起12Bと、第2部材2から第1部材1の方向へ、第1突起12Bに対して第1または第2部材の周方向に干渉するように延出させた1または複数の第2突起22Bと、を含んでいる。
【解決手段】中心軸S1周りに回転する第1部材1と、中心軸S2周りに回転する第2部材2と、一端31が第1部材1に、他端32が第2部材2に係止されたコイルバネ3と、を備え、中心軸S1,S2を一致させて相対軸転するように第1部材1と第2部材2とを相互に拘束する拘束手段Rと、第1部材1と第2部材2との相対軸転角を規制する規制手段と、を備えており、規制手段は、第1部材1から第2部材2の方向へ延出させた1または複数の第1突起12Bと、第2部材2から第1部材1の方向へ、第1突起12Bに対して第1または第2部材の周方向に干渉するように延出させた1または複数の第2突起22Bと、を含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力源の出力軸の回転を伝達する伝動軸に生じる捩じり振動を吸収もしくは抑制する捩じり振動吸収装置、および、これを備えた携帯型動力刈払機に関する。
【背景技術】
【0002】
図11に、携帯型動力刈払機Xの一例を示す。この携帯型動力刈払機Xは、操作管100と、この操作管100の基端側に連結された小型2サイクルガソリンエンジン等の動力源200と、操作管100の先端側に支持された回転刃300とを備えて構成される。操作管100には、動力源200の出力軸の回転を伝達するための伝動軸(図に表れず)が回転可能に通挿支持されている。操作管100の先端側には、ベベルギヤ機構(図に表れず)を内蔵するギヤボックス400が取り付けられている。上記伝動軸は、その基端側が、動力源200のクラッチドラムと一体回転する出力軸に対してたとえばスプライン嵌合により連結され、その先端側が、ギヤボックス400内の一次側ベベルギヤの入力軸に対し、たとえばスプライン嵌合により連結されている。回転刃300は、ギヤボックス400内の二次側ベベルギヤの出力軸に支持されている。このようなベベルギヤ機構により、伝動軸の軸線(操作管100の軸線)と、回転刃300の回転軸線とが、所定角度で交差するように設定される。
【0003】
操作管100の基端側にはまた、U字ハンドル500が取り付けられている。このU字ハンドル500の適部には、動力源200の回転数を制御するためのスロットルレバーなどの操作部が設けられる。このような携帯型動力刈払機Xは、動力源200に近い操作管100の適部を肩掛けベルト(図示略)で吊るすようにして作業者の身体に支持される。作業者は、U字ハンドル500を両手で握持し、動力源200の回転数を所望の回転数に上げて回転刃300を回転させつつ、操作管100を左右に振回させ、回転刃300を地面に沿って左右に移動させることにより、刈払い作業を行う。
【0004】
ところで、伝動軸の回転の加減速や、回転刃300が切断対象を切断する際に生じる断続的な抵抗、あるいは、回転刃300が硬質の外物に衝突した場合に生じる衝撃的な制動力等に起因して、伝動軸にはさまざまなトルク変動が生じる。このようなトルク変動は、伝動軸が1.5m程度の長さをもち、かつ捩じり弾性を有していることとあいまって、伝動軸に捩じり振動を発生させ、この捩じり振動が操作管100ないし刈払機全体に複雑な振動となって伝播する。
【0005】
この種の携帯型刈払機は、上記したように両手でしっかりとU字ハンドルを握持し、しかも、身体に吊るすような恰好で作業者に支持して使用されるため、上記の振動は、作業者に直接、かつ強く体感される。しかも、この種の携帯型刈払機を用いる刈払い作業は、比較的長時間にわたって継続して行われる。そのため、この種の携帯型刈払機においては、伝動軸に生じるトルク変動に起因する振動を吸収ないし軽減することが、作業者の健康上の負担を軽減し、安全性や作業性を向上させるためにも強く求められる。
【0006】
たとえば、特許文献1には、エンジンのクラッチドラムの出力軸と、伝動軸との間に、コイルバネを介装するとともに、出力軸と伝動軸との間に所定以上の相対回転を規制する規制手段を設けた振動吸収継手が開示されている。このような構成によれば、クラッチハウジングの出力軸の回転を、コイルバネを介して伝動軸に伝達することが可能でありながら、伝動軸とクラッチドラムとの間の相対的な回転を許容するため、伝動軸に生じるトルク変動に起因した捩じり振動の発生を抑制することができる。
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された構成では、クラッチドラムの出力軸近傍に、コイルバネの一端を支持するためと、規制手段を形成するための特別な構成を付加せねばならず、構造が複雑化し、既存の携帯型動力刈払機に容易に適用できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4167679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、既存の装置類の各部の変更を不要もしくは、最小限としつつ、より効率的に捩じり振動を除去することが可能な捩じり振動吸収装置、および、これを備えた携帯型動力刈払機を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を採用している。
【0011】
すなわち、本発明の第1の側面によって提供される捩じり振動吸収装置は、中心軸周りに回転する第1部材と、中心軸周りに回転する第2部材と、一端が上記第1部材に、他端が上記第2部材に係止されたコイルバネと、を備えた捩じり振動吸収装置であって、上記第1部材と上記第2部材のいずれか一方または双方、もしくはこれらに付属する部材によって構成され、中心軸を一致させて相対軸転するように上記第1部材と上記第2部材とを相互に拘束する拘束手段と、上記第1部材と上記第2部材との相対軸転角を規制する規制手段と、を備えており、上記規制手段は、上記第1部材から上記第2部材の方向へ延出させた1または複数の第1突起と、上記第2部材から上記第1部材の方向へ、上記第1突起に対して上記第1または第2部材の周方向に干渉するように延出させた1または複数の第2突起と、を含んで構成されていることを特徴とする。
【0012】
好ましい実施の形態では、上記第1部材は、上記第2部材の方向へ延出する第1筒軸部を有するとともに、上記第2部材は、上記第1部材の方向へ延出する第2筒軸部を有しており、上記拘束手段は、上記第1筒軸部の内孔および上記第2筒軸部の内孔に軸体を共通に挿通配置することによって構成され、上記規制手段は、上記第1筒軸部および上記第2筒軸部に上記第1突起および上記第2突起を設けることによって構成され、かつ、上記コイルバネのコイル部は、上記第1筒軸部および上記第2筒軸部の外周に嵌装されている。
【0013】
他の好ましい実施の形態では、上記拘束手段は、上記第1部材と上記第2部材の一方に、他方の一部を内包するように延出する筒部を設けることによって構成され、上記規制手段は、上記筒部に上記第1突起または上記第2突起を設け、上記筒部を設けた部材と相対する部材に上記第2突起または上記第1突起を設けることにより構成され、上記コイルバネのコイル部は、上記筒部に内装されている。
【0014】
好ましい実施の形態ではまた、上記第1部材と上記第2部材の一方には、上記中心軸と一致する軸線をもって延出するスプライン軸が設けられ、上記第1部材と上記第2部材の他方には、上記中心軸と一致する軸線をもち、上記スプライン軸と同一径のスプライン孔が設けられている。
【0015】
本発明の第2の側面に係る携帯型動力刈払機は、操作管と、この操作管の基端側に連結された動力源と、上記操作管の先端側に支持された回転刃と、上記操作管に回転可能に通挿され、上記動力源の出力軸の回転を上記回転刃に伝達するための伝動軸と、を備えた携帯型動力刈払機であって、上記伝動軸の端部もしくは中間部に、本発明の第1の側面に係る捩じり振動吸収装置が介装されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る捩じり振動吸収装置は、駆動側第1部材と被動側第2部材とを同一中心軸周りに相対軸転するように拘束する拘束手段と、上記第1部材と上記第2部材との相対軸転角を規制する規制手段とが、いずれも、上記第1部材と上記第2部材のいずれか一方または双方、もしくはこれらに付属する部材に設けられているため、全体的な構成が簡略化され、駆動側第1部材に駆動力を入力するべき部材に特別な変更を施すことなく、駆動力が被動側の部材に伝達される間に、捩じり振動を効果的に除去または軽減することが可能となる。
【0017】
本発明のその他の特徴および利点は、図面を参照して以下に行う詳細な説明から、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る捩じり振動吸収装置の第1の実施形態を示す側面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図1に示す捩じり振動吸収装置を携帯型動力刈払機に適用した場合の一例を示す断面図である。
【図5】図1に示す捩じり振動吸収装置を携帯型動力刈払機に適用した場合の一例を示す断面図である。
【図6】本発明に係る捩じり振動吸収装置の第2の実施形態を示す側面図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】図6のIIX−IIX線に沿う断面図である。
【図9】図6に示す捩じり振動吸収装置を携帯型動力刈払機に適用した場合の一例を示す断面図である。
【図10】図6に示す捩じり振動吸収装置を携帯型動力刈払機に適用した場合の一例を示す断面図である。
【図11】携帯型動力刈払機の全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0020】
図1〜図3は、本発明の第1の実施形態に係る捩じり振動吸収装置A1を示し、図1は側面図、図2は図1のII−II線断面図、図3は図1のIII−III線断面図である。
【0021】
図2に良く表れているように、捩じり振動吸収装置A1は、駆動側第1部材1と、被動側第2部材2と、コイルバネ3と、連結軸4とを備えて大略構成される。
【0022】
第1部材1と第2部材2とは、いずれも中心軸S1,S2をもつ軸状を呈しており、両中心軸S1,S2が同一の軸線S上に配置されるように組み合わされる。第1部材1は、たとえば金属製であり、中間大径部10と、スプライン軸11と、第1筒軸部12とを備える。スプライン軸11は、中間大径部10から上記第2部材2と反対の方向へ延び、第1筒軸部12は、上記第2部材2の方向へ延びており、スプライン軸11と第1筒軸部12は、中間大径部10よりも小径である。第2部材2は、たとえば金属製であり、中間大径部20と、スプライン孔21Aを有する延出部21と、第2筒軸部22とを備える。延出部21は、中間大径部20から上記第1部材1と反対の方向へ延び、第2筒軸部22は、上記第1部材1の方向へ延びており、延出部21と第2筒軸部22は、中間大径部20より小径である。第1部材1の中間大径部10と、第2部材2の中間大径部20とは、同一の外径を有している。第1部材1の第1筒軸部12と第2部材2の第2筒軸部22とは、同一の外径を有しているとともに、これら第1筒軸部12と第2筒軸部22には、それらの先端から各中間大径部10,20に至る同一径の内孔12A,22Aがそれぞれ形成されている。第2部材2の延出部21に形成されるスプライン孔21Aは、第1部材1のスプライン軸11と、同一の呼び径を有している。
【0023】
上記連結軸4は、第1筒軸部12の内孔12Aと、第2筒軸部22の内孔22Aの内径と対応する外径を有しており、この連結軸4を、その一端4Aが第1筒軸部12の内孔12Aに、他端4Bが第2筒軸部22の内孔22Aに進入するように配することにより、第1部材1と第2部材2とは、同一軸線S周りに相対軸転可能に連携される。このようにして、中心軸S1,S2を一致させて相対軸転するように第1部材1と第2部材2とを相互に拘束する拘束手段Rが構成されている。なお、連結軸4は、いずれか一方の内孔12A,22Aに対して固定しても、差し支えない。また、連結軸4に相当する軸を、第1部材1または第2部材2に一体的に形成してもよい。
【0024】
図3に良く表れているように、第1筒軸部12の先端部には、その一定中心角部分を切除することにより、第2筒軸部22の方向へ延出する第1突起12Bが形成されている。すなわち、この第1突起12Bは、第1筒軸部12の先端部において、中心角が180度以下の部分円筒壁の形態を有している。これに対して第2筒軸部22の先端部にも、その一定中心角部分を切除することにより、第1筒軸部12の方向へ延出する第2突起22Bが形成されている。すなわち、この第2突起22Bは、第2筒軸部2の先端部において、中心角が180度以下の部分円筒壁の形態を有している。そして、第1突起12Bと第2突起22Bとが、各筒軸部12,22の周方向に干渉するように各筒軸部12,22が組み合わされており、これにより、第1部材1と第2部材2との相対軸転範囲を、第1突起12Bと第2突起22Bとがそれらの周方向一端部12Ba,22Baどうしが当接する状態(図3(B))から、それらの周方向他端部12Bb,22Bbどうしが当接する状態(図3(C))までの一定角度範囲に規制する規制手段Cが構成される。なお、この規制手段Cとしては、図に示す実施形態のように、第1筒軸部12と第2筒軸部22に、それぞれ1つの突起12B,22Bを形成するほか、相互に各筒軸部12,22の周方向に干渉する複数の突起を設けてもよい。
【0025】
コイルバネ3は、そのコイル部30が両筒軸部12,22に共通に嵌装されるようにして配され、その一端部31が第1部材1に、他端部32が第2部材2に係止される。図に示す実施形態では、コイル部30の両端から上記軸線Sと平行に延びる直線部31A,32Aと、これらの直線部31A,32Aから各筒軸部12,22の中心に向かって折れ曲がる折曲部31B,32Bを形成し、各直線部31A,32Aを各筒軸部12,22の中間大径部10,20に設けたスリット10A,20Aに嵌め込むとともに、各折曲部31B,32Bを各筒軸部12,22の中間大径部10,20において、各内孔12A,22Aを径方向に横断するように嵌入したピンPに係止している。なお、コイル部30は、第1部材1に右回転の駆動力が作用する場合において、第1部材1が第2部材2に対して相対的に右回転した場合に、コイル径が絞られるように巻き方向を設定するのが好ましい。かかる構成において、駆動側第1部材1の軸転は、スリット10Aに対する直線部31Aの係合によりコイル部30に伝達され、コイル部30の軸転力は、直線部32Aのスリット20Aに対する係合により被動側第2部材2に伝達される。また、両折曲部31B,32Bが各ピンPに係止させられていることにより、第1部材1と第2部材1の軸方向への離脱が阻止される。
【0026】
図4は、図11に示してすでに背景技術の項で説明した携帯型動力刈払機Xにおける、伝動軸600とクラッチドラム700との間に上記第1の実施形態に係る捩じり振動吸収装置A1を適用した場合の構成例を示している。
【0027】
小型2サイクルガソリンエンジン(動力源)200と一体的なクラッチハウジング200Aの内部には、ベアリングBを介してクラッチドラム700の出力軸700Aが回転可能に支持されている。動力源200の回転数が一定以上に達すると、遠心クラッチが接続され、クラッチドラム700が回転駆動させられる。
【0028】
出力軸700Aには、スプライン孔700Bが形成されており、このスプライン孔700Bに、上記捩じり振動吸収装置A1の第1部材1のスプライン軸11が挿入連結される。また、操作管100に軸転可能に内装支持される伝動軸600の基端側には、スプライン軸600Aが形成されており、このスプライン軸600Aが、上記捩じり振動吸収装置A1の第2部材2のスプライン孔21Aに挿入連結されている。
【0029】
図5は、上記携帯型動力刈払機Xにおける伝動軸600の先端とギヤボックス400内の一次側ベベルギヤ400Aの入力軸400aとの間に上記第1の実施形態に係る捩じり振動吸収装置A1を適用した場合の構成例を示している。
【0030】
操作管100の先端に連結されるギヤボックス400内には、一次側ベベルギヤ400Aと、二次側ベベルギヤ400Bとが相互噛み合い状態で内装されており、二次側ベベルギヤ400Bの出力軸400bには、回転刃300が支持されている。一次側ベベルギヤ400Aの回転は、二次側ベベルギヤ400Bの回転となって伝達され、回転刃300が回転させられる。
【0031】
上記一次側ベベルギヤ400Aの入力軸400aには、スプライン孔(符号省略)が形成されており、このスプライン孔には通常、伝動軸600の先端側に形成されたスプライン軸600Bが直接挿入連結されるが、図5に示す構成例では、このスプライン孔に、上記捩じり振動吸収装置A1の第1部材1のスプライン軸11が挿入連結され、上記伝動軸600の先端側のスプライン軸600Bが、上記捩じり振動吸収装置A1の第2部材2のスプライン孔21Aに挿入連結されている。この場合、第2部材2が駆動側となり、第1部材11が被動側となる。また、この場合、伝動軸600の基端側のスプライン軸600Aは、クラッチドラム700の出力軸700Aのスプライン孔700Bに直接挿入連結されることになる。
【0032】
次に、第1の実施形態に係る捩じり振動吸収装置A1およびこれを備えた携帯型動力刈払機Xの作用について説明する。
【0033】
図4に示す構成例においては、クラッチドラム700の出力軸700Aの回転は、捩じり振動吸収装置A1を介して伝動軸600に伝達され、この伝動軸600の回転により、操作管100の先端部に支持させた回転刃300を回転させる。また、図5に示す構成例においては、伝動軸600の回転は、捩じり振動吸収装置A1を介して一次側ベベルギヤ400Aを回転させ、操作管100の先端部に支持させた回転刃300を回転させる。図4に示す構成例において、出力軸700Aの回転の加速状態においては、コイルバネ3を絞りながら第1部材1の回転が第2部材2に伝達されるが、第1部材1と第2部材2との相対回転範囲が規定されているため、出力軸700Aが急加速状態にあっても、コイルバネ3が必要以上に絞られることはなく、両突起12B,22Bの係合により、第1部材1の回転が効率的に第2部材2に伝達されて、伝動軸600が回転させられる。これと同様に、図5に示す構成例において、伝動軸600の回転の加速状態においては、コイルバネ3を絞りながら第2部材2の回転が第1部材1に伝達されるが、第1部材1と第2部材2との相対回転範囲が規定されているため、伝動軸600が急加速状態にあっても、コイルバネ3が必要以上に絞られることはなく、両突起12B,22Bの係合により、第2部材2の回転が効率的に第1部材1に伝達されて、一次側ベベルギヤ400Aが回転させられる。
【0034】
一方、回転刃300が切断対象を切断するとき、あるいは、回転刃300が小石等の硬質の外物に接触したような場合には、伝動軸600には、回転刃300側からの断続的な制動力が作用したり、回転数を回復するべく動力源200からの加速力が作用するなど、複雑なトルク変動が生じる。このようなトルク変動は、コイルバネ3の作用により、第1部材1と第2部材2とが弾性的な抵抗をもって相対軸転可能となっていることから吸収され、上記のトルク変動が原因する振動が操作管100や刈払機X全体に伝播することを効果的に抑制することができる。その結果、不快な振動を体感することなく、携帯型動力刈払機Xを用いた長時間の刈払い作業を楽に行えるようになる。
【0035】
また、捩じり振動吸収装置A1は、第1部材1から第2部材2に至る間に、第1部材1と第2部材2とを同一軸心周りに相対軸転可能に拘束する拘束手段Rと、第1部材1と第2部材2との相対軸転角度範囲を規制する規制手段Cとを構成しているので、動力源200やクラッチドラム700に対する変更を加える必要なく、伝動軸600を捩じり振動吸収装置A1の軸方向長さ分短縮するだけで、簡便に携帯型動力刈払機Xに組み込むことができる。
【0036】
図6〜図8は、本発明の第2の実施形態に係る捩じり振動吸収装置A2を示し、図6は側面図、図7は図6のVII−VII線断面図、図8は図6のIIX−IIX線断面図である。なお、これらの図において、先述した実施形態によるものと同一または類似の構成要素については、同一符号を付している。
【0037】
この捩じり振動吸収装置A2は、駆動側第1部材1と、被動側第2部材2と、コイルバネ3(図7参照)と、を備えて大略構成される。
【0038】
第1部材1と第2部材2とは、いずれも中心軸S1,S2をもつ軸状を呈しており、両中心軸S1,S2が同一の軸線S上に配置されるように組み合わされる。第1部材1は、たとえば金属製であり、本体軸部15と、この本体軸部15に対して一体形成され、第2部材2と反対方向に延出するスプライン軸16と、本体軸部15に固定状に外嵌され、第2部材2の方向へ延出する円筒体17とを備える。第2部材2は、たとえば金属製であり、軸方向の一部分が上記円筒体17の内部に回転可能に内嵌される円筒状本体25と、この円筒状本体25に固定状に外嵌される円筒状外套体26とを備える。また、円筒状本体25の第1部材1と反対側の軸端には、スプライン孔27が形成されている。このスプライン孔27は、第1部材1のスプライン軸16と同一の呼び径を有している。上記のように円筒状本体25が円筒体17の内部に回転可能に内嵌されることにより、中心軸S1,S2を一致させて相対軸転するように第1部材1と第2部材2とを相互に拘束する拘束手段Rが構成されている。
【0039】
コイルバネ3は、第1部材1の本体軸部15と、円筒体17と、第2部材2の円筒状本体25とで囲まれる空間内にコイル部30が内装されている。コイルバネ30の一端部31は、上記本体軸部15に形成したスリット15Aに部分的に嵌合させられるとともに、上記本体軸部15と上記円筒体17とを相互に固定するためにそれらの径方向に通挿してカシメられたピンPに係止され、他端部32は、第2部材2の円筒状本体部25に形成したスリット25Aに部分的に嵌合させられるとともに、この円筒状本体部25に径方向に通挿固定されたピンPに係止される。第1部材1の軸転は、一端部31とスリット15Aとの嵌合によりコイル部30に伝達され、コイル部30の軸転は、他端部32とスリット25Aとの嵌合により第2部材2に伝達される。また、コイルバネ3の両端部31,32が第1部材1と第2部材2の上記各ピンPに係止させられていることにより、第1部材1と第2部材2との軸方向の離脱が阻止される。
【0040】
図8に良く表れているように、第1部材1の円筒体17の先端部には、その一定中心角部分を切除することにより、円筒状外套体26の方向へ延出する第1突起17Aが形成されている。すなわち、この第1突起17Aは、円筒体17の先端部において、中心角が180度以下の部分円筒壁の形態を有している。これに対して第2部材2の円筒状外套体26にも、その一定中心角部分を切除することにより、第1部材1の方向へ延出する第2突起26Aが形成されている。すなわち、この第2突起26Aは、中心角が180度以下の部分円筒体の形態を有している。そして、第1突起17Aと第2突起26Aとは、上記円筒体17または上記円筒状外套体26の周方向に干渉するように第1部材1と第2部材2との相互の軸方向の位置関係が規定されている。これにより、第1部材1と第2部材2との相対軸転範囲を、第1突起17Aと第2突起26Aとがそれらの周方向一端部17Aa,26Aaどうしが当接する状態(図8(B))から、それらの周方向他端部17Ab,26Abどうしが当接する状態(図8(C))までの一定角度範囲に規制する規制手段Cが構成される。なお、この規制手段Cとしては、図に示す実施形態のように、円筒体17と円筒状外套体26に、それぞれ1つの突起17A,26Aを形成するほか、相互にそれぞれの周方向に干渉する複数の突起を設けてもよい。
【0041】
上記構成の捩じり振動吸収装置A2は、第1の実施形態に係る捩じり振動吸収装置A1と同様にして、クラッチドラム700の出力軸700Aと、伝動軸600の基端部(スプライン軸)600Aとの間に介装することもできるし(図9参照)、伝動軸600の先端部(スプライン軸)600Bと一次側ベベルギヤ400Aの入力軸400aとの間に介装することもできる(図10参照)。そして、この実施形態に係る捩じり振動吸収装置A2を用いた携帯型動力刈払機Xにおいても、図4および図5を参照してすでに説明したのと同様にして、伝動軸600に生じる複雑なトルク変動に起因した振動が操作管100や刈払機X全体に伝播することを効果的に抑制することができる。その結果、不快な振動を体感することなく、携帯型動力刈払機Xを用いた長時間の刈払い作業を楽に行えるようになる。
【0042】
もちろん、本発明の範囲は上記した実施形態に限定されることはなく、各請求項に記載した事項の範囲内でのあらゆる変更は、すべて本発明の範囲に包摂される。
【符号の説明】
【0043】
A1,A2 捩じり振動吸収装置
X 携帯型動力刈払機
R 拘束手段
C 規制手段
1 第1部材
11,16 スプライン軸
12A 内孔
12 第1筒軸部
12B,17A 第1突起
17 円筒体(筒部)
S1 中心軸
2 第2部材
21A 内孔
22 第2筒軸部
21A,27 スプライン孔
22B,26A 第2突起
S2 中心軸
3 コイルバネ
30 コイル部
4 連結軸(軸体)
100 操作管
200 動力源
300 回転刃
600 伝動軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力源の出力軸の回転を伝達する伝動軸に生じる捩じり振動を吸収もしくは抑制する捩じり振動吸収装置、および、これを備えた携帯型動力刈払機に関する。
【背景技術】
【0002】
図11に、携帯型動力刈払機Xの一例を示す。この携帯型動力刈払機Xは、操作管100と、この操作管100の基端側に連結された小型2サイクルガソリンエンジン等の動力源200と、操作管100の先端側に支持された回転刃300とを備えて構成される。操作管100には、動力源200の出力軸の回転を伝達するための伝動軸(図に表れず)が回転可能に通挿支持されている。操作管100の先端側には、ベベルギヤ機構(図に表れず)を内蔵するギヤボックス400が取り付けられている。上記伝動軸は、その基端側が、動力源200のクラッチドラムと一体回転する出力軸に対してたとえばスプライン嵌合により連結され、その先端側が、ギヤボックス400内の一次側ベベルギヤの入力軸に対し、たとえばスプライン嵌合により連結されている。回転刃300は、ギヤボックス400内の二次側ベベルギヤの出力軸に支持されている。このようなベベルギヤ機構により、伝動軸の軸線(操作管100の軸線)と、回転刃300の回転軸線とが、所定角度で交差するように設定される。
【0003】
操作管100の基端側にはまた、U字ハンドル500が取り付けられている。このU字ハンドル500の適部には、動力源200の回転数を制御するためのスロットルレバーなどの操作部が設けられる。このような携帯型動力刈払機Xは、動力源200に近い操作管100の適部を肩掛けベルト(図示略)で吊るすようにして作業者の身体に支持される。作業者は、U字ハンドル500を両手で握持し、動力源200の回転数を所望の回転数に上げて回転刃300を回転させつつ、操作管100を左右に振回させ、回転刃300を地面に沿って左右に移動させることにより、刈払い作業を行う。
【0004】
ところで、伝動軸の回転の加減速や、回転刃300が切断対象を切断する際に生じる断続的な抵抗、あるいは、回転刃300が硬質の外物に衝突した場合に生じる衝撃的な制動力等に起因して、伝動軸にはさまざまなトルク変動が生じる。このようなトルク変動は、伝動軸が1.5m程度の長さをもち、かつ捩じり弾性を有していることとあいまって、伝動軸に捩じり振動を発生させ、この捩じり振動が操作管100ないし刈払機全体に複雑な振動となって伝播する。
【0005】
この種の携帯型刈払機は、上記したように両手でしっかりとU字ハンドルを握持し、しかも、身体に吊るすような恰好で作業者に支持して使用されるため、上記の振動は、作業者に直接、かつ強く体感される。しかも、この種の携帯型刈払機を用いる刈払い作業は、比較的長時間にわたって継続して行われる。そのため、この種の携帯型刈払機においては、伝動軸に生じるトルク変動に起因する振動を吸収ないし軽減することが、作業者の健康上の負担を軽減し、安全性や作業性を向上させるためにも強く求められる。
【0006】
たとえば、特許文献1には、エンジンのクラッチドラムの出力軸と、伝動軸との間に、コイルバネを介装するとともに、出力軸と伝動軸との間に所定以上の相対回転を規制する規制手段を設けた振動吸収継手が開示されている。このような構成によれば、クラッチハウジングの出力軸の回転を、コイルバネを介して伝動軸に伝達することが可能でありながら、伝動軸とクラッチドラムとの間の相対的な回転を許容するため、伝動軸に生じるトルク変動に起因した捩じり振動の発生を抑制することができる。
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された構成では、クラッチドラムの出力軸近傍に、コイルバネの一端を支持するためと、規制手段を形成するための特別な構成を付加せねばならず、構造が複雑化し、既存の携帯型動力刈払機に容易に適用できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4167679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、既存の装置類の各部の変更を不要もしくは、最小限としつつ、より効率的に捩じり振動を除去することが可能な捩じり振動吸収装置、および、これを備えた携帯型動力刈払機を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を採用している。
【0011】
すなわち、本発明の第1の側面によって提供される捩じり振動吸収装置は、中心軸周りに回転する第1部材と、中心軸周りに回転する第2部材と、一端が上記第1部材に、他端が上記第2部材に係止されたコイルバネと、を備えた捩じり振動吸収装置であって、上記第1部材と上記第2部材のいずれか一方または双方、もしくはこれらに付属する部材によって構成され、中心軸を一致させて相対軸転するように上記第1部材と上記第2部材とを相互に拘束する拘束手段と、上記第1部材と上記第2部材との相対軸転角を規制する規制手段と、を備えており、上記規制手段は、上記第1部材から上記第2部材の方向へ延出させた1または複数の第1突起と、上記第2部材から上記第1部材の方向へ、上記第1突起に対して上記第1または第2部材の周方向に干渉するように延出させた1または複数の第2突起と、を含んで構成されていることを特徴とする。
【0012】
好ましい実施の形態では、上記第1部材は、上記第2部材の方向へ延出する第1筒軸部を有するとともに、上記第2部材は、上記第1部材の方向へ延出する第2筒軸部を有しており、上記拘束手段は、上記第1筒軸部の内孔および上記第2筒軸部の内孔に軸体を共通に挿通配置することによって構成され、上記規制手段は、上記第1筒軸部および上記第2筒軸部に上記第1突起および上記第2突起を設けることによって構成され、かつ、上記コイルバネのコイル部は、上記第1筒軸部および上記第2筒軸部の外周に嵌装されている。
【0013】
他の好ましい実施の形態では、上記拘束手段は、上記第1部材と上記第2部材の一方に、他方の一部を内包するように延出する筒部を設けることによって構成され、上記規制手段は、上記筒部に上記第1突起または上記第2突起を設け、上記筒部を設けた部材と相対する部材に上記第2突起または上記第1突起を設けることにより構成され、上記コイルバネのコイル部は、上記筒部に内装されている。
【0014】
好ましい実施の形態ではまた、上記第1部材と上記第2部材の一方には、上記中心軸と一致する軸線をもって延出するスプライン軸が設けられ、上記第1部材と上記第2部材の他方には、上記中心軸と一致する軸線をもち、上記スプライン軸と同一径のスプライン孔が設けられている。
【0015】
本発明の第2の側面に係る携帯型動力刈払機は、操作管と、この操作管の基端側に連結された動力源と、上記操作管の先端側に支持された回転刃と、上記操作管に回転可能に通挿され、上記動力源の出力軸の回転を上記回転刃に伝達するための伝動軸と、を備えた携帯型動力刈払機であって、上記伝動軸の端部もしくは中間部に、本発明の第1の側面に係る捩じり振動吸収装置が介装されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る捩じり振動吸収装置は、駆動側第1部材と被動側第2部材とを同一中心軸周りに相対軸転するように拘束する拘束手段と、上記第1部材と上記第2部材との相対軸転角を規制する規制手段とが、いずれも、上記第1部材と上記第2部材のいずれか一方または双方、もしくはこれらに付属する部材に設けられているため、全体的な構成が簡略化され、駆動側第1部材に駆動力を入力するべき部材に特別な変更を施すことなく、駆動力が被動側の部材に伝達される間に、捩じり振動を効果的に除去または軽減することが可能となる。
【0017】
本発明のその他の特徴および利点は、図面を参照して以下に行う詳細な説明から、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る捩じり振動吸収装置の第1の実施形態を示す側面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図1に示す捩じり振動吸収装置を携帯型動力刈払機に適用した場合の一例を示す断面図である。
【図5】図1に示す捩じり振動吸収装置を携帯型動力刈払機に適用した場合の一例を示す断面図である。
【図6】本発明に係る捩じり振動吸収装置の第2の実施形態を示す側面図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】図6のIIX−IIX線に沿う断面図である。
【図9】図6に示す捩じり振動吸収装置を携帯型動力刈払機に適用した場合の一例を示す断面図である。
【図10】図6に示す捩じり振動吸収装置を携帯型動力刈払機に適用した場合の一例を示す断面図である。
【図11】携帯型動力刈払機の全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0020】
図1〜図3は、本発明の第1の実施形態に係る捩じり振動吸収装置A1を示し、図1は側面図、図2は図1のII−II線断面図、図3は図1のIII−III線断面図である。
【0021】
図2に良く表れているように、捩じり振動吸収装置A1は、駆動側第1部材1と、被動側第2部材2と、コイルバネ3と、連結軸4とを備えて大略構成される。
【0022】
第1部材1と第2部材2とは、いずれも中心軸S1,S2をもつ軸状を呈しており、両中心軸S1,S2が同一の軸線S上に配置されるように組み合わされる。第1部材1は、たとえば金属製であり、中間大径部10と、スプライン軸11と、第1筒軸部12とを備える。スプライン軸11は、中間大径部10から上記第2部材2と反対の方向へ延び、第1筒軸部12は、上記第2部材2の方向へ延びており、スプライン軸11と第1筒軸部12は、中間大径部10よりも小径である。第2部材2は、たとえば金属製であり、中間大径部20と、スプライン孔21Aを有する延出部21と、第2筒軸部22とを備える。延出部21は、中間大径部20から上記第1部材1と反対の方向へ延び、第2筒軸部22は、上記第1部材1の方向へ延びており、延出部21と第2筒軸部22は、中間大径部20より小径である。第1部材1の中間大径部10と、第2部材2の中間大径部20とは、同一の外径を有している。第1部材1の第1筒軸部12と第2部材2の第2筒軸部22とは、同一の外径を有しているとともに、これら第1筒軸部12と第2筒軸部22には、それらの先端から各中間大径部10,20に至る同一径の内孔12A,22Aがそれぞれ形成されている。第2部材2の延出部21に形成されるスプライン孔21Aは、第1部材1のスプライン軸11と、同一の呼び径を有している。
【0023】
上記連結軸4は、第1筒軸部12の内孔12Aと、第2筒軸部22の内孔22Aの内径と対応する外径を有しており、この連結軸4を、その一端4Aが第1筒軸部12の内孔12Aに、他端4Bが第2筒軸部22の内孔22Aに進入するように配することにより、第1部材1と第2部材2とは、同一軸線S周りに相対軸転可能に連携される。このようにして、中心軸S1,S2を一致させて相対軸転するように第1部材1と第2部材2とを相互に拘束する拘束手段Rが構成されている。なお、連結軸4は、いずれか一方の内孔12A,22Aに対して固定しても、差し支えない。また、連結軸4に相当する軸を、第1部材1または第2部材2に一体的に形成してもよい。
【0024】
図3に良く表れているように、第1筒軸部12の先端部には、その一定中心角部分を切除することにより、第2筒軸部22の方向へ延出する第1突起12Bが形成されている。すなわち、この第1突起12Bは、第1筒軸部12の先端部において、中心角が180度以下の部分円筒壁の形態を有している。これに対して第2筒軸部22の先端部にも、その一定中心角部分を切除することにより、第1筒軸部12の方向へ延出する第2突起22Bが形成されている。すなわち、この第2突起22Bは、第2筒軸部2の先端部において、中心角が180度以下の部分円筒壁の形態を有している。そして、第1突起12Bと第2突起22Bとが、各筒軸部12,22の周方向に干渉するように各筒軸部12,22が組み合わされており、これにより、第1部材1と第2部材2との相対軸転範囲を、第1突起12Bと第2突起22Bとがそれらの周方向一端部12Ba,22Baどうしが当接する状態(図3(B))から、それらの周方向他端部12Bb,22Bbどうしが当接する状態(図3(C))までの一定角度範囲に規制する規制手段Cが構成される。なお、この規制手段Cとしては、図に示す実施形態のように、第1筒軸部12と第2筒軸部22に、それぞれ1つの突起12B,22Bを形成するほか、相互に各筒軸部12,22の周方向に干渉する複数の突起を設けてもよい。
【0025】
コイルバネ3は、そのコイル部30が両筒軸部12,22に共通に嵌装されるようにして配され、その一端部31が第1部材1に、他端部32が第2部材2に係止される。図に示す実施形態では、コイル部30の両端から上記軸線Sと平行に延びる直線部31A,32Aと、これらの直線部31A,32Aから各筒軸部12,22の中心に向かって折れ曲がる折曲部31B,32Bを形成し、各直線部31A,32Aを各筒軸部12,22の中間大径部10,20に設けたスリット10A,20Aに嵌め込むとともに、各折曲部31B,32Bを各筒軸部12,22の中間大径部10,20において、各内孔12A,22Aを径方向に横断するように嵌入したピンPに係止している。なお、コイル部30は、第1部材1に右回転の駆動力が作用する場合において、第1部材1が第2部材2に対して相対的に右回転した場合に、コイル径が絞られるように巻き方向を設定するのが好ましい。かかる構成において、駆動側第1部材1の軸転は、スリット10Aに対する直線部31Aの係合によりコイル部30に伝達され、コイル部30の軸転力は、直線部32Aのスリット20Aに対する係合により被動側第2部材2に伝達される。また、両折曲部31B,32Bが各ピンPに係止させられていることにより、第1部材1と第2部材1の軸方向への離脱が阻止される。
【0026】
図4は、図11に示してすでに背景技術の項で説明した携帯型動力刈払機Xにおける、伝動軸600とクラッチドラム700との間に上記第1の実施形態に係る捩じり振動吸収装置A1を適用した場合の構成例を示している。
【0027】
小型2サイクルガソリンエンジン(動力源)200と一体的なクラッチハウジング200Aの内部には、ベアリングBを介してクラッチドラム700の出力軸700Aが回転可能に支持されている。動力源200の回転数が一定以上に達すると、遠心クラッチが接続され、クラッチドラム700が回転駆動させられる。
【0028】
出力軸700Aには、スプライン孔700Bが形成されており、このスプライン孔700Bに、上記捩じり振動吸収装置A1の第1部材1のスプライン軸11が挿入連結される。また、操作管100に軸転可能に内装支持される伝動軸600の基端側には、スプライン軸600Aが形成されており、このスプライン軸600Aが、上記捩じり振動吸収装置A1の第2部材2のスプライン孔21Aに挿入連結されている。
【0029】
図5は、上記携帯型動力刈払機Xにおける伝動軸600の先端とギヤボックス400内の一次側ベベルギヤ400Aの入力軸400aとの間に上記第1の実施形態に係る捩じり振動吸収装置A1を適用した場合の構成例を示している。
【0030】
操作管100の先端に連結されるギヤボックス400内には、一次側ベベルギヤ400Aと、二次側ベベルギヤ400Bとが相互噛み合い状態で内装されており、二次側ベベルギヤ400Bの出力軸400bには、回転刃300が支持されている。一次側ベベルギヤ400Aの回転は、二次側ベベルギヤ400Bの回転となって伝達され、回転刃300が回転させられる。
【0031】
上記一次側ベベルギヤ400Aの入力軸400aには、スプライン孔(符号省略)が形成されており、このスプライン孔には通常、伝動軸600の先端側に形成されたスプライン軸600Bが直接挿入連結されるが、図5に示す構成例では、このスプライン孔に、上記捩じり振動吸収装置A1の第1部材1のスプライン軸11が挿入連結され、上記伝動軸600の先端側のスプライン軸600Bが、上記捩じり振動吸収装置A1の第2部材2のスプライン孔21Aに挿入連結されている。この場合、第2部材2が駆動側となり、第1部材11が被動側となる。また、この場合、伝動軸600の基端側のスプライン軸600Aは、クラッチドラム700の出力軸700Aのスプライン孔700Bに直接挿入連結されることになる。
【0032】
次に、第1の実施形態に係る捩じり振動吸収装置A1およびこれを備えた携帯型動力刈払機Xの作用について説明する。
【0033】
図4に示す構成例においては、クラッチドラム700の出力軸700Aの回転は、捩じり振動吸収装置A1を介して伝動軸600に伝達され、この伝動軸600の回転により、操作管100の先端部に支持させた回転刃300を回転させる。また、図5に示す構成例においては、伝動軸600の回転は、捩じり振動吸収装置A1を介して一次側ベベルギヤ400Aを回転させ、操作管100の先端部に支持させた回転刃300を回転させる。図4に示す構成例において、出力軸700Aの回転の加速状態においては、コイルバネ3を絞りながら第1部材1の回転が第2部材2に伝達されるが、第1部材1と第2部材2との相対回転範囲が規定されているため、出力軸700Aが急加速状態にあっても、コイルバネ3が必要以上に絞られることはなく、両突起12B,22Bの係合により、第1部材1の回転が効率的に第2部材2に伝達されて、伝動軸600が回転させられる。これと同様に、図5に示す構成例において、伝動軸600の回転の加速状態においては、コイルバネ3を絞りながら第2部材2の回転が第1部材1に伝達されるが、第1部材1と第2部材2との相対回転範囲が規定されているため、伝動軸600が急加速状態にあっても、コイルバネ3が必要以上に絞られることはなく、両突起12B,22Bの係合により、第2部材2の回転が効率的に第1部材1に伝達されて、一次側ベベルギヤ400Aが回転させられる。
【0034】
一方、回転刃300が切断対象を切断するとき、あるいは、回転刃300が小石等の硬質の外物に接触したような場合には、伝動軸600には、回転刃300側からの断続的な制動力が作用したり、回転数を回復するべく動力源200からの加速力が作用するなど、複雑なトルク変動が生じる。このようなトルク変動は、コイルバネ3の作用により、第1部材1と第2部材2とが弾性的な抵抗をもって相対軸転可能となっていることから吸収され、上記のトルク変動が原因する振動が操作管100や刈払機X全体に伝播することを効果的に抑制することができる。その結果、不快な振動を体感することなく、携帯型動力刈払機Xを用いた長時間の刈払い作業を楽に行えるようになる。
【0035】
また、捩じり振動吸収装置A1は、第1部材1から第2部材2に至る間に、第1部材1と第2部材2とを同一軸心周りに相対軸転可能に拘束する拘束手段Rと、第1部材1と第2部材2との相対軸転角度範囲を規制する規制手段Cとを構成しているので、動力源200やクラッチドラム700に対する変更を加える必要なく、伝動軸600を捩じり振動吸収装置A1の軸方向長さ分短縮するだけで、簡便に携帯型動力刈払機Xに組み込むことができる。
【0036】
図6〜図8は、本発明の第2の実施形態に係る捩じり振動吸収装置A2を示し、図6は側面図、図7は図6のVII−VII線断面図、図8は図6のIIX−IIX線断面図である。なお、これらの図において、先述した実施形態によるものと同一または類似の構成要素については、同一符号を付している。
【0037】
この捩じり振動吸収装置A2は、駆動側第1部材1と、被動側第2部材2と、コイルバネ3(図7参照)と、を備えて大略構成される。
【0038】
第1部材1と第2部材2とは、いずれも中心軸S1,S2をもつ軸状を呈しており、両中心軸S1,S2が同一の軸線S上に配置されるように組み合わされる。第1部材1は、たとえば金属製であり、本体軸部15と、この本体軸部15に対して一体形成され、第2部材2と反対方向に延出するスプライン軸16と、本体軸部15に固定状に外嵌され、第2部材2の方向へ延出する円筒体17とを備える。第2部材2は、たとえば金属製であり、軸方向の一部分が上記円筒体17の内部に回転可能に内嵌される円筒状本体25と、この円筒状本体25に固定状に外嵌される円筒状外套体26とを備える。また、円筒状本体25の第1部材1と反対側の軸端には、スプライン孔27が形成されている。このスプライン孔27は、第1部材1のスプライン軸16と同一の呼び径を有している。上記のように円筒状本体25が円筒体17の内部に回転可能に内嵌されることにより、中心軸S1,S2を一致させて相対軸転するように第1部材1と第2部材2とを相互に拘束する拘束手段Rが構成されている。
【0039】
コイルバネ3は、第1部材1の本体軸部15と、円筒体17と、第2部材2の円筒状本体25とで囲まれる空間内にコイル部30が内装されている。コイルバネ30の一端部31は、上記本体軸部15に形成したスリット15Aに部分的に嵌合させられるとともに、上記本体軸部15と上記円筒体17とを相互に固定するためにそれらの径方向に通挿してカシメられたピンPに係止され、他端部32は、第2部材2の円筒状本体部25に形成したスリット25Aに部分的に嵌合させられるとともに、この円筒状本体部25に径方向に通挿固定されたピンPに係止される。第1部材1の軸転は、一端部31とスリット15Aとの嵌合によりコイル部30に伝達され、コイル部30の軸転は、他端部32とスリット25Aとの嵌合により第2部材2に伝達される。また、コイルバネ3の両端部31,32が第1部材1と第2部材2の上記各ピンPに係止させられていることにより、第1部材1と第2部材2との軸方向の離脱が阻止される。
【0040】
図8に良く表れているように、第1部材1の円筒体17の先端部には、その一定中心角部分を切除することにより、円筒状外套体26の方向へ延出する第1突起17Aが形成されている。すなわち、この第1突起17Aは、円筒体17の先端部において、中心角が180度以下の部分円筒壁の形態を有している。これに対して第2部材2の円筒状外套体26にも、その一定中心角部分を切除することにより、第1部材1の方向へ延出する第2突起26Aが形成されている。すなわち、この第2突起26Aは、中心角が180度以下の部分円筒体の形態を有している。そして、第1突起17Aと第2突起26Aとは、上記円筒体17または上記円筒状外套体26の周方向に干渉するように第1部材1と第2部材2との相互の軸方向の位置関係が規定されている。これにより、第1部材1と第2部材2との相対軸転範囲を、第1突起17Aと第2突起26Aとがそれらの周方向一端部17Aa,26Aaどうしが当接する状態(図8(B))から、それらの周方向他端部17Ab,26Abどうしが当接する状態(図8(C))までの一定角度範囲に規制する規制手段Cが構成される。なお、この規制手段Cとしては、図に示す実施形態のように、円筒体17と円筒状外套体26に、それぞれ1つの突起17A,26Aを形成するほか、相互にそれぞれの周方向に干渉する複数の突起を設けてもよい。
【0041】
上記構成の捩じり振動吸収装置A2は、第1の実施形態に係る捩じり振動吸収装置A1と同様にして、クラッチドラム700の出力軸700Aと、伝動軸600の基端部(スプライン軸)600Aとの間に介装することもできるし(図9参照)、伝動軸600の先端部(スプライン軸)600Bと一次側ベベルギヤ400Aの入力軸400aとの間に介装することもできる(図10参照)。そして、この実施形態に係る捩じり振動吸収装置A2を用いた携帯型動力刈払機Xにおいても、図4および図5を参照してすでに説明したのと同様にして、伝動軸600に生じる複雑なトルク変動に起因した振動が操作管100や刈払機X全体に伝播することを効果的に抑制することができる。その結果、不快な振動を体感することなく、携帯型動力刈払機Xを用いた長時間の刈払い作業を楽に行えるようになる。
【0042】
もちろん、本発明の範囲は上記した実施形態に限定されることはなく、各請求項に記載した事項の範囲内でのあらゆる変更は、すべて本発明の範囲に包摂される。
【符号の説明】
【0043】
A1,A2 捩じり振動吸収装置
X 携帯型動力刈払機
R 拘束手段
C 規制手段
1 第1部材
11,16 スプライン軸
12A 内孔
12 第1筒軸部
12B,17A 第1突起
17 円筒体(筒部)
S1 中心軸
2 第2部材
21A 内孔
22 第2筒軸部
21A,27 スプライン孔
22B,26A 第2突起
S2 中心軸
3 コイルバネ
30 コイル部
4 連結軸(軸体)
100 操作管
200 動力源
300 回転刃
600 伝動軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸周りに回転する第1部材と、中心軸周りに回転する第2部材と、一端が上記第1部材に、他端が上記第2部材に係止されたコイルバネと、を備えた捩じり振動吸収装置であって、
上記第1部材と上記第2部材のいずれか一方または双方、もしくはこれらに付属する部材によって構成され、中心軸を一致させて相対軸転するように上記第1部材と上記第2部材とを相互に拘束する拘束手段と、
上記第1部材と上記第2部材との相対軸転角を規制する規制手段と、を備えており、
上記規制手段は、上記第1部材から上記第2部材の方向へ延出させた1または複数の第1突起と、上記第2部材から上記第1部材の方向へ、上記第1突起に対して上記第1または第2部材の周方向に干渉するように延出させた1または複数の第2突起と、を含んで構成されていることを特徴とする、捩じり振動吸収装置。
【請求項2】
上記第1部材は、上記第2部材の方向へ延出する第1筒軸部を有するとともに、上記第2部材は、上記第1部材の方向へ延出する第2筒軸部を有しており、
上記拘束手段は、上記第1筒軸部の内孔および上記第2筒軸部の内孔に軸体を共通に挿通配置することによって構成され、
上記規制手段は、上記第1筒軸部および上記第2筒軸部に上記第1突起および上記第2突起を設けることによって構成され、かつ、
上記コイルバネのコイル部は、上記第1筒軸部および上記第2筒軸部の外周に嵌装されている、請求項1に記載の捩じり振動吸収装置。
【請求項3】
上記拘束手段は、上記第1部材と上記第2部材の一方に、他方の一部を内包するように延出する筒部を設けることによって構成され、
上記規制手段は、上記筒部に上記第1突起または上記第2突起を設け、上記筒部を設けた部材と相対する部材に上記第2突起または上記第1突起を設けることにより構成され、
上記コイルバネのコイル部は、上記筒部に内装されている、請求項1に記載の捩じり振動吸収装置。
【請求項4】
上記第1部材と上記第2部材の一方には、上記中心軸と一致する軸線をもって延出するスプライン軸が設けられ、上記第1部材と上記第2部材の他方には、上記中心軸と一致する軸線をもち、上記スプライン軸と同一径のスプライン孔が設けられている、請求項1ないし3のいずれかに記載の捩じり振動吸収装置。
【請求項5】
操作管と、この操作管の基端側に連結された動力源と、上記操作管の先端側に支持された回転刃と、上記操作管に回転可能に通挿され、上記動力源の出力軸の回転を上記回転刃に伝達するための伝動軸と、を備えた携帯型動力刈払機であって、
上記伝動軸の端部もしくは中間部に、請求項1ないし4のいずれかに記載の捩じり振動吸収装置が介装されていることを特徴とする、携帯型動力刈払機。
【請求項1】
中心軸周りに回転する第1部材と、中心軸周りに回転する第2部材と、一端が上記第1部材に、他端が上記第2部材に係止されたコイルバネと、を備えた捩じり振動吸収装置であって、
上記第1部材と上記第2部材のいずれか一方または双方、もしくはこれらに付属する部材によって構成され、中心軸を一致させて相対軸転するように上記第1部材と上記第2部材とを相互に拘束する拘束手段と、
上記第1部材と上記第2部材との相対軸転角を規制する規制手段と、を備えており、
上記規制手段は、上記第1部材から上記第2部材の方向へ延出させた1または複数の第1突起と、上記第2部材から上記第1部材の方向へ、上記第1突起に対して上記第1または第2部材の周方向に干渉するように延出させた1または複数の第2突起と、を含んで構成されていることを特徴とする、捩じり振動吸収装置。
【請求項2】
上記第1部材は、上記第2部材の方向へ延出する第1筒軸部を有するとともに、上記第2部材は、上記第1部材の方向へ延出する第2筒軸部を有しており、
上記拘束手段は、上記第1筒軸部の内孔および上記第2筒軸部の内孔に軸体を共通に挿通配置することによって構成され、
上記規制手段は、上記第1筒軸部および上記第2筒軸部に上記第1突起および上記第2突起を設けることによって構成され、かつ、
上記コイルバネのコイル部は、上記第1筒軸部および上記第2筒軸部の外周に嵌装されている、請求項1に記載の捩じり振動吸収装置。
【請求項3】
上記拘束手段は、上記第1部材と上記第2部材の一方に、他方の一部を内包するように延出する筒部を設けることによって構成され、
上記規制手段は、上記筒部に上記第1突起または上記第2突起を設け、上記筒部を設けた部材と相対する部材に上記第2突起または上記第1突起を設けることにより構成され、
上記コイルバネのコイル部は、上記筒部に内装されている、請求項1に記載の捩じり振動吸収装置。
【請求項4】
上記第1部材と上記第2部材の一方には、上記中心軸と一致する軸線をもって延出するスプライン軸が設けられ、上記第1部材と上記第2部材の他方には、上記中心軸と一致する軸線をもち、上記スプライン軸と同一径のスプライン孔が設けられている、請求項1ないし3のいずれかに記載の捩じり振動吸収装置。
【請求項5】
操作管と、この操作管の基端側に連結された動力源と、上記操作管の先端側に支持された回転刃と、上記操作管に回転可能に通挿され、上記動力源の出力軸の回転を上記回転刃に伝達するための伝動軸と、を備えた携帯型動力刈払機であって、
上記伝動軸の端部もしくは中間部に、請求項1ないし4のいずれかに記載の捩じり振動吸収装置が介装されていることを特徴とする、携帯型動力刈払機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−67794(P2012−67794A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210880(P2010−210880)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(591111972)山田機械工業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(591111972)山田機械工業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
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