説明

捩り振動低減装置

【課題】回転数の増大に伴って増大する遠心力によってダンパ機構16の減衰効果が低下することを抑制もしくは防止することのできる捩り振動低減装置を提供する。
【解決手段】動力源から動力が伝達される入力部材と、入力部材と一体に連結された駆動部材17と、駆動部材17の動力が伝達されて流体伝達装置に動力を入力しかつ駆動部材と相対回転可能に形成された従動部材18と、駆動部材から従動部材に伝達される動力の作用方向に弾性力を作用させるように駆動部材17と従動部材18との少なくともいずれかの部材に形成された収納部20に収納された弾性体19とを備えた捩り振動低減装置において、前記弾性体19の半径が、該弾性体19が伸縮する方向に沿って大きい部分と小さい部分とを備えるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、入力側の部材と出力側の部材とを相対回転可能に連結するとともに、これらの部材が相互に相対回転した場合すなわち捩りが生じた場合に弾性変形する弾性体をそれらの部材の間に配置した捩り振動低減装置に関し、特に動力を入力する駆動軸と流体継手との間に配置される捩り振動低減装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
動力の発生自体が間欠的であるために出力トルクが周期的に変化したり、あるいは重心位置のずれなどが要因となって回転に伴って不可避的な振動が生じる場合には、捩り振動を低減するためのダンパなどの装置が用いられている。また、これと同様の機能を奏する装置としてトルクコンバータなどの流体継手もしくは流体伝動装置が知られている。これらのダンパ装置と流体伝動装置とを併用すれば、振動を更に効果的に低減することができ、例えば特許文献1には、クランクシャフトに連結された駆動側フライホイールと流体継手に設けられたクラッチに連結された従動側フライホイールとに、それらのフライホイールが相対回転した場合に、それらのフライホイールによって圧縮されるようにコイルスプリングが設けられた捩り振動低減装置が記載されている。すなわち、各フライホイールにコイルスプリングを収納する部分を形成し、その内部にコイルスプリングが収納されるように構成されている。
【0003】
また、特許文献2には、入力部材の内部に放射状に複数の弾性体を設けた捩り振動低減装置が記載されている。この捩り振動低減装置は、各弾性体が円周方向に板バネを積層して構成されており、板バネの一端を入力部材の外周側に配置された出力部材と連結し、他端を入力部材の内周側に形成された溝に収納するように構成されている。また、入力部材の回転に伴って板バネが溝の内部で半径方向に移動し、かつ捩り振動によって板バネが撓むことによって板バネと溝の側壁面とが面接触することによる面圧の増加やその面圧による摩耗の増加を抑制するために、溝の側壁面の曲率を不均一とするように構成されている。
【0004】
なお、特許文献3には、ドライブシャフトの捩り振動を低減するダイナミックダンパが記載されており、そのダイナミックダンパは、回転軸の外周側に隙間を空けかつその回転軸と一体に回転するように構成されたケーシングと、回転軸とケーシングとの隙間に設けられた慣性体と、その慣性体およびケーシングの内壁面に連結された弾性体とを備えている。また、弾性体は、弾性体と慣性体との連結部の断面積より弾性体とケーシングとの連結部の断面積を大きく形成されている。これは、慣性体に作用する遠心力によって弾性体が圧縮されることにより弾性体のバネ定数を変更することによって、ダンパとして機能する共振周波数を変更するため、すなわち広い周波数域の捩り振動を低減するためのものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平6−2048号公報
【特許文献2】特開平7−145824号公報
【特許文献3】特開平6−94075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように駆動側フライホイールと従動側フライホイールとが相対回転した場合に、それらのフライホイールにり圧縮されるコイルスプリングを設けることによって、各フライホイールが相対回転することによる捩り振動を低減することができる。しかしながら、コイルスプリングは、各フライホイールに収納されるように構成されているので、各フライホイールの回転数に基づく遠心力がコイルスプリングに作用して、フライホイールの半径方向においてコイルスプリングとそのコイルスプリングを収納している部分の内壁面とが接触してしまう可能性がある。そのため、コイルスプリングの伸縮方向に対する摩擦力が生じて、コイルスプリングの伸縮方向の動作負荷が増大してしまい、その結果、ダンパ機構としての減衰効果が低下してしまう可能性がある。
【0007】
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、回転数の増大に伴って増大する遠心力によってダンパ機構の減衰効果が低下することを抑制もしくは防止することのできる捩り振動低減装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、動力源から動力が伝達される入力部材と、該入力部材と一体に連結された駆動部材と、該駆動部材の動力が伝達されて流体伝達装置に動力を入力しかつ前記駆動部材と相対回転可能に形成された従動部材と、前記駆動部材から前記従動部材に伝達される動力の作用方向に弾性力を作用させるように前記駆動部材と前記従動部材との少なくともいずれかの部材に形成された収納部に収納された弾性体とを備えた捩り振動低減装置において、前記弾性体の半径が、該弾性体が伸縮する方向に沿って大きい部分と小さい部分とを備えるように形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記弾性体は、該弾性体が伸縮する方向における両端部の半径が最大となるように構成されていることを特徴とする捩り振動低減装置である。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記弾性体が接触して摺動する前記収納部の前記駆動部材の半径方向における外周側の内壁面に、前記弾性体が伸縮する方向の荷重に対向する方向に作用する摩擦力を低減させる部材が形成されていることを特徴とする捩り振動低減装置である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、動力源からの動力が伝達される入力部材と駆動部材とが一体に形成され、駆動部材から伝達された動力を流体伝達装置に入力しかつ駆動部材と相対回転可能に従動部材が形成されている。したがって、駆動部材から従動部材に伝達する動力の変動が生じた場合に、駆動部材と従動部材とが相対回転し、その相対回転を抑制するように弾性体の弾性力が作用して、動力の変動に起因して生じる捩り振動を抑制もしくは防止することができる。また、弾性体の半径が、弾性体が伸縮する方向に沿って大きい部分と小さい部分とを備えるように形成されている。そのため、弾性体に遠心力が作用して弾性体を収納する収納部と接触する際に、半径が大きい箇所が収納部と接触し、半径が小さい部分が収納部と接触しないようにすることができる、すなわち弾性体と収納部との接触面積を小さくすることができる。その結果、弾性体の伸縮方向の抵抗を低下させることができるので、捩り振動低減装置としての振動減衰性能の低下を抑制もしくは防止することができる。
【0012】
また、請求項2の発明によれば、弾性体は、弾性体が伸縮する方向における両端部の半径が最大となるように構成されている。そのため、弾性体に遠心力が作用した場合に、弾性体の位置を両端部で規制することができる。その結果、駆動部材もしくは従動部材から入力されるトルクを安定して弾性体に伝達することができる。さらに、駆動部材および従動部材と弾性体の両端部とが一体となって動作するので、その両端部で挟まれている箇所の弾性体が一体となって伸縮することができる。したがって、弾性体がダンパとして機能する伸縮長さの変化を抑制もしくは防止することができ、その結果、ダンパ機構としての減衰性能の変化を抑制もしくは防止することができる。
【0013】
さらに、請求項3の発明によれば、弾性体が接触して摺動する収納部の内壁面に、弾性体が伸縮する方向の荷重に対向する方向に作用する摩擦力を低減させる部材が形成されているので、弾性体と内壁面との接触部での弾性体の伸縮方向の摩擦抵抗を低下させることができ、その結果、捩り振動低減装置としての振動減衰性能の低下をより抑制もしくは防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明に係る弾性体の構成を説明するための模式図である。
【図2】この発明に係る捩り振動低減装置の構成を説明するための断面図である。
【図3】その平面図である。
【図4】この発明に係る捩り振動低減装置の他の構成を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
つぎに、この発明を図に示す具体例に基づいて説明する。図2は、流体継手であるトルクコンバータ1と、この発明における入力部材に相当するエンジン(図示せず)のクランクシャフト2との間に振動低減装置が設けた例を模式的に示しており、そのトルクコンバータ1は従来知られている構造のものであって、内周面にポンプブレード3を取り付けたポンプシェル4のフロント側(図2での右側)にフロントカバー5が一体化するように接合され、これらポンプシェル4とフロントカバー5とによって液密状態のケース(もしくはハウジング)6が構成されている。そのケース6の中心軸線に沿って円筒状の固定軸7が挿入されており、またその固定軸7の中心軸線に沿って変速機入力軸8が挿入され、その先端部はフロントカバー5の内面近くにまで延びており、さらにその変速機入力軸8は固定軸7によって回転自在に支持されている。そして、上記のポンプシェル4の内周端は、固定軸7の外周面に液密状態を維持して回転するように嵌合している。
【0016】
ケース6の内部には、タービン9がポンプシェル4もしくはポンプブレード3に軸線方向で対向した状態に配置されている。このタービン9は、ポンプシェル4とほぼ対象形状のタービンシェルの内周面に、ポンプブレード3とほぼ同形状の多数のタービンブレードを取り付けた公知の構造のものである。このタービン9は、前記固定軸7から突出している変速機入力軸8にスプライン嵌合していて変速機入力軸8と回転方向で一体化されている。
【0017】
また、ポンプシェル4の内周側の部分とタービン9の内周側の部分との間、すなわちポンプにおいては吸入部となる部分とタービン9においては吐出部となる部分との間には、ステータ10が配置されている。このステータ10は、タービン9から吐出されたオイルの流れ方向を変化させるためのものであって、一方向クラッチ11を介して前記固定軸7によって支持されている。さらに、タービン9とフロントカバー5の内面との間には、直結クラッチ(ロックアップクラッチ)12が配置されている。この直結クラッチ12は、フロントカバー5の内側面に摩擦接触することによりフロントカバー5からタービン9あるいは変速機入力軸8に直接トルクを伝達するためのものであって、円板状に形成され、タービン9を変速機入力軸8に連結しているいわゆるハブの部分に形成されている円筒部の外周面にスプライン嵌合している。すなわち、タービン9と一体となって回転するとともに、フロントカバー5の内側面に対して接近し、また離隔するように構成されている。そして、その直結クラッチ12のフロントカバー5に対向する面のうち外周側の部分には、摩擦材13が取り付けられている。なお、フロントカバー5のうち直結クラッチ12が摩擦接触する部分は平坦面に形成されている。また、この直結クラッチ12を油圧によって係合・解放させられるように構成されており、そのための油路の構成や油圧制御の手段は、従来知られているものでよい。
【0018】
上記のトルクコンバータ1とクランクシャフト2とは同一軸線上に配置されており、そのクランクシャフト2の先端部(トルクコンバータ1側の端部)にドライブプレート14が取り付けられ、そのドライブプレート14の外周部にはリングギヤ15が取り付けらている。そして、ドライブプレート14と前記トルクコンバータ1におけるフロントカバー5との間に、捩り振動を低減するためにダンパ機構16が設けられている。このダンパ機構16は、共に円板状をなす駆動側部材17と従動側部材18とを同一軸線上に相対回転可能に配置して対向させ、かつこれらの部材17,18を回転方向(円周方向)に対してこの発明の弾性体に相当するコイルスプリング19を介して連結したものであり、この原理的な構成は従来知られているものと同様である。
【0019】
図1および図2に示す構成では、外周側を半円状に形成された二つの板材17a,17bを合わせて形成された円形の隙間20にコイルスプリング19が収納されている。また、従動側部材18は各板材17a,17bの間に配置され、コイルスプリング19が配置されている部分に窓孔が形成されている。したがって、駆動側部材17と従動側部材18とに相対的な回転が生じると、隙間20と窓孔とが相対的に円周方向にずれることによりコイルスプリング19が圧縮されるように構成されている。そして、従動側部材18の端部が図に示す例では溶接21によってフロントカバー5と一体に形成されている。なお、上述したように構成された隙間20や窓孔が駆動側部材17および従動側部材18の円周方向に所定の間隔を空けて複数形成され、その隙間20毎にコイルスプリング19が収納されている。
【0020】
したがって、駆動側部材17に伝達された動力は、コイルスプリング19と従動側部材18とを介してフロントカバー5に伝達される。そのため、駆動側部材17の動力が変動すると、駆動側部材17と従動側部材18とに相対的な回転が生じてコイルスプリング19を圧縮するので、そのコイルスプリング19が駆動側部材17の動力の変動を吸収するように作用して、その結果、駆動側部材17から従動側部材18に伝達される動力の変動が抑制される。なお、駆動側部材17とドライブプレート14とは、ボルトもしくは溶接などによって締結されている。
【0021】
上述したようにコイルスプリング19を隙間20および窓孔の内部に配置するので、駆動側部材17と従動側部材18とが回転することに伴ってコイルスプリング19に遠心力が作用すると、コイルスプリング19が駆動側部材18の外周側に移動して隙間20もしくは窓孔の内壁面と接触する。そのため、コイルスプリング19の伸縮方向に対向する方向へ摩擦力が作用してしまい、ダンパ機構16としての振動減衰性能が低下してしまう可能性がある。この発明に係る捩り振動低減装置は、コイルスプリング19に遠心力が作用した場合に、コイルスプリング19と隙間20もしくは窓孔の内壁面との接触面積を少なくすることにより、ダンパ機構16としての振動減衰性能の低下を抑制するように構成されている。その構成を図1に示す具体例を参照しつつ説明する。図1は、図3に示すI部の拡大図であり、(a)はコイルスプリング19に遠心力が作用していない状態、(b)はコイルスプリング19に遠心力が作用している状態を示している。図に示すようにコイルスプリング19は、駆動側部材17の円周方向に伸縮するように素線22を巻いて形成されており、駆動側部材17と従動側部材18とが相対回転することによって、円周方向に圧縮されるように配置されている。つまり、コイルスプリング19は、素線22の中心軸線が駆動側部材17の回転中心を中心とした円弧上となるように配置されている。また、この発明に係るコイルスプリング19は、素線22の半径を変化させて、具体的には、コイルスプリング19の伸縮方向の両端部および中央部の半径を大きくし、両端部と中央部との間に位置する部分の半径が円周方向に向けて徐々に小さくなるように形成されている。
【0022】
このようにコイルスプリング19のコイル径を変化させることによって、コイルスプリング19に遠心力が作用して、コイルスプリング19が駆動側部材17の外周側に移動したときに、図1の(b)に示すように半径が大きい箇所と隙間20もしくは窓孔の内壁面とが接触し、半径が小さい箇所と隙間20もしくは窓孔の内壁面とが接触することを抑制もしくは防止することができる。そのため、コイルスプリング19に遠心力が作用した状態で、駆動側部材17と従動側部材18とが相対回転した場合であっても、コイルスプリング19の伸縮方向に摩擦力が作用する箇所は半径が大きい箇所に限られるので、少なくとも隙間20もしくは窓孔の内壁面と接触していない箇所がダンパ機構16として減衰性能を維持することができ、駆動側部材17が高回転数で回転した場合であっても減衰性能の低下を抑制もしくは防止することができる。
【0023】
また、コイルスプリング19に遠心力が作用した状態で圧縮されると、コイル径が大きい箇所と、その箇所に隣り合って相対的にコイル径が小さい箇所とが接触する方向に圧縮されるが、コイル径が小さい箇所の外周部、すなわち隙間20もしくは窓孔の外周側の内壁面と対向する部分は、少なからずコイル径が大きい箇所よりも、駆動側部材17もしくは従動側部材18の回転中心側に位置するため、コイル径が小さい箇所は回転中心側に向かって荷重を受ける。そのため、コイルスプリング19全体として同一円弧上に沿って伸縮するため、隣り合う素線22,22の外周部が同一円弧上に配置されて伸縮することを抑制もしくは防止することができる。言い換えれば、コイルスプリング19の外周部が同一円弧上に配列されて伸縮することを抑制もしくは防止することができる。したがって、半径が小さい箇所の素線22が、隣り合う半径の大きい箇所の素線22の内側に位置する、すなわちコイル径が小さい箇所の素線22とコイル径が大きい箇所の素線22とが円周方向においてオーバーラップして伸縮するので、線間密着したときのコイルスプリング19の長さをオーバーラップした量を積算した分、短くすることができる。言い換えると、コイルスプリング19が線間密着するまでのたわみ量もしくは伸縮長さを長くすることができる。さらに、半径が小さい箇所の素線22は、線間密着時に伸縮方向の荷重とその荷重の分力である半径方向の荷重とに分散して荷重を受けることとなり、その結果、線間密着した場合での各素線22に作用する応力を低下させることができる。
【0024】
そして、この発明に係るコイルスプリング19は、両端部の半径が最大となるように構成されている。そのため、コイルスプリング19に遠心力が作用した場合に、コイルスプリング19の両端部で駆動側部材17の外周側に移動する位置を規制することができるので、駆動側部材17もしくは従動側部材18から入力されるトルクを安定してコイルスプリング19に伝達することができる。すなわち、コイルスプリング19が伸縮する位置、具体的には駆動側部材17もしくは従動側部材18の回転中心からの半径方向における位置を変化させることなく、言い換えると、コイルスプリング19が伸縮する位置が回転数に起因して変化することなく、コイルスプリング19を伸縮させることができるので、ダンパ性能の変化を抑制もしくは防止することができる。また、両端部の半径が最大となるように構成されているため、駆動側部材17および従動側部材18とコイルスプリング19の両端部とが一体となって動作するので、その両端部で挟まれている箇所のコイルスプリング19が一体となって伸縮することができる。したがって、コイルスプリング19がダンパとして機能する伸縮長さの変化を抑制もしくは防止することができ、その結果、ダンパ機構16としての減衰性能の変化を抑制もしくは防止することができる。
【0025】
さらに、コイルスプリング19と隙間20もしくは窓孔とが接触している箇所の摩擦抵抗を低減させるために、図4に示すようにコイルスプリング19に遠心力が作用した状態でコイルスプリング19が伸縮する場合に、コイルスプリング19の半径が大きい箇所の素線22が隙間20もしくは窓孔と接触して摺動する位置にガイドプレート23を設けてもよい。このように構成することによって、コイルスプリング19に圧縮方向のトルクが伝達された場合に、コイルスプリング19が伸縮しやすくなり、その結果、ダンパ機構16としての振動減衰性能を向上させることができる。なお、上記のガイドプレート23に代えて、隙間20もしくは窓孔の内壁面に摩擦係数の低い表面処理を施した構成としてもよい。
【0026】
この発明は、要は弾性体とその弾性体を収納する隙間もしくは窓孔の内壁面とが遠心力によって接触しないように、弾性体の半径が大きい箇所と小さい箇所とを備えるように形成されていればよく、上述したようにダンパ機構16として機能する弾性体がコイルスプリング19でなく、ゴムなどの弾性体であってもよい。また、上述した構成では、中央部の半径を大きく形成するように構成しているが、特に半径を大きく形成する箇所を特定する必要が無く、要は、遠心力が作用した場合に、弾性体の一部が隙間20もしくは窓孔の内壁面と接触し、半径を小さく形成された箇所が、上記内壁面と接触せずにダンパ機構16として機能するように構成されていればよい。さらに、この発明に係る捩り振動低減装置が連結される流体継手は、トルクコンバータ1のように増幅機能を備えたものであってもよく、単に入力されたトルクを作動油を利用して出力部材に伝達する流体継手であってもよい。
【符号の説明】
【0027】
1…トルクコンバータ、 14…ドライブプレート、 16…ダンパ機構、 17…駆動側部材、 18…従動側部材、 19…コイルスプリング。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源から動力が伝達される入力部材と、該入力部材と一体に連結された駆動部材と、該駆動部材の動力が伝達されて流体伝達装置に動力を入力しかつ前記駆動部材と相対回転可能に形成された従動部材と、前記駆動部材から前記従動部材に伝達される動力の作用方向に弾性力を作用させるように前記駆動部材と前記従動部材との少なくともいずれかの部材に形成された収納部に収納された弾性体とを備えた捩り振動低減装置において、
前記弾性体の半径が、該弾性体が伸縮する方向に沿って大きい部分と小さい部分とを備えるように形成されていることを特徴とする捩り振動低減装置。
【請求項2】
前記弾性体は、該弾性体が伸縮する方向における両端部の半径が最大となるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の捩り振動低減装置。
【請求項3】
前記弾性体が接触して摺動する前記収納部の前記駆動部材の半径方向における外周側の内壁面に、前記弾性体が伸縮する方向の荷重に対向する方向に作用する摩擦力を低減させる部材が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の捩り振動低減装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−207702(P2012−207702A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72647(P2011−72647)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】