説明

掃除綿棒

【課題】特に、耳の損傷のいかなるリスクも与えることなく、ほこり、水分、耳垢を耳から容易に除去できるという意味で、公知の掃除綿棒を改良すること。
【解決手段】少なくとも一端部に吸収材から成る肥厚部を有する軸部を具備する掃除綿棒であって、前記軸部は、前記肥厚部を設けた前記端部付近に凹部を含み、前記吸収材は、前記凹部の開口部の入り口を残すように前記凹部の先端部を被覆し、前記軸部は、少なくとも2つの軸セグメントを有し、そして、前記肥厚部の方に向いた前記軸セグメントは、前記肥厚部からそむく前記軸セグメントよりも、より容易に変形することを特徴とする掃除綿棒。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一端に吸収材から成る肥厚部を備える軸部を含む掃除綿棒に関する。
【背景技術】
【0002】
このような肥厚部を備える掃除綿棒として、特に耳を掃除するため、すなわち、耳から特に耳垢を取り除くために用いられるものが一般的に知られている。実際に公知の掃除綿棒は、常に耳から耳垢を容易に除去することができないという欠点を有するように思える。すなわち、何人かの人は、尖ったものを用いて耳から耳垢をかき出そうと試みて、これにより外耳道に損傷を与えるというような、全ての危険な結果を引き起こすように思える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、特に、耳の損傷のいかなるリスクも与えることなく、ほこり(dirt)、水分(moisture)、耳垢を耳から容易に除去できるという意味で、公知の掃除綿棒を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、前に述べた種類の掃除綿棒は、軸部が、肥厚部を備える端部の近くに凹部を含み、また、凹部の開口部の入り口を残すように凹部の先端部を吸収材で被覆し、また軸部は、少なくとも2つの軸セグメントを有し、肥厚部の方に向いた軸セグメントは、肥厚部からそむく軸セグメントよりも、より容易に変形するということを特徴とする。
【0005】
好ましくは、吸収材が先端部、そして凹部の内部にわたり設けられている。本発明は、特に、本発明に係る掃除綿棒を外耳道に押し込み、そして掃除綿棒を回転させることを交互に行うことによって、耳垢が効果的に凹部に移動され、その上、凹部の先端が吸収材で被覆されているという点で、外耳道の損傷が防止されるという知覚を基礎にしている。吸収材は、特に、外耳道内に存在する水分を吸収することができる。さらに、軸部のセグメント構造は、例えば外耳道などに損傷を引き起こすいかなるリスクもなく、前記掃除を安全な方法で行われることに役立つ。
【0006】
注目すべきは、「より容易に変形する」という文言が、危険な荷重が掃除綿棒にかかった場合、肥厚部の方に向いた軸セグメントは、前記肥厚部からそむく軸セグメントよりもより早く変形するという意味に、特に理解されるということである。これは、より硬くないもので前記セグメントを作ることによって、しかし場合によってはまた、より強固ではないがより硬いもので前記セグメントを作ることによって得られる。それゆえ、肥厚部の方に向いた軸セグメントは、危険な限界荷重がかかったとき、それにもかかわらず、より早く変形し、高い局部荷重がかかることを防止することができる。
【0007】
本発明に係る掃除綿棒は、低コストで、また簡単な生産手段を使用することによって生産することができる。
【0008】
本発明は、耳を掃除するために掃除綿棒に限定されることなく、例えば口腔などの他の体腔を掃除するため、例えばメークアップに利用する化粧用途、あるいは例えば傷口を洗浄したり、軟膏を塗る医療用途などのような他の用途にまで適用範囲は広がるということが知られている。
【0009】
本発明に係る掃除綿棒の好ましい実施形態においては、吸収材は、綿、ウール、紙、及びプラスチックから成るグループから選択された少なくとも1つの材料を含む。
【0010】
本発明に係る掃除綿棒の別の好ましい実施形態においては、軸部は、肥厚部を備える軸部の端部に凹部を形成する内部チャンネルを具備している。チャンネルは、原則としては、円形状、または角のある形状のような断面形状を有する。従って、チャンネルは、必ずしもチューブ形状あるいは円筒形状とは限らない。
【0011】
本発明に係る掃除綿棒の好ましい実施形態では、2つの軸セグメントは異なる部材で形成し、肥厚部の方に向いた軸セグメントの部材が、肥厚部からそむく軸セグメントの部材よりもより容易に変形するようにする。好ましくは、軸セグメントは互いに接着されている。他の好ましい変形では、前記軸セグメントが互いに熱で結合されている。好ましくは、軸セグメントはチューブ状のセグメントである。
【0012】
軸部が一つの出発物質で作られていると仮定して、軸部のセグメンテーションはまた、局部的に軸部に、例えば化学的処理あるいは物理的処理などの処理を施すことによって実現されるということが知られている。たとえば、紙/段ボールの出発物質の細長い切れは、端部領域の付近に、ミシン目、切り込みなどのような弱くなった部分を備える。従って、互いに強度の点で異なる軸セグメントは、細長い切れを軸のように巻いた後に形成される。ミシン目の形状は、例えば、変形態をチェックするために用いられるかもしれない。他の好ましい変形では、軸部のセグメンテーションが、(軸部の縦軸を基準にして特殊な角度であろうとなかろうと)凹部の先端部付近に切り込みを有する軸部を具備することによって実現されることができる。従って、粗いゴムの束として構成される軸部の前記端部はよりしなやかになる。
【0013】
本発明に係る掃除綿棒の他の好ましい実施形態では、凹部は切断側面(cutting profile)を含む。切断側面は、原則的には、任意の断面形状を有するけれども、好ましくは細糸状で、凹部、あるいは凹部の先端部付近の開口部を超えて伸びている切断側面の細糸状のものを有し、さらに、細糸状のものは、例えば接着剤によって、あるいは局部的に穴や切り目を設けることによって、前記先端部に、あるいは先端部付近に取り付けられるであろう。この結果、特定の切断動作あるいは剥離動作を実行することによって、特に耳垢を凹部に移動させることができるので、これにもかかわらず安全な方法で行うことができる。
【0014】
本発明に係る掃除綿棒の好ましい実施形態では、軸部は、軸部が体腔の深くに挿入されることを防止するために機能する停止面(a stop surface)を含む。この停止面は、特に取り外し可能に、好ましくはスナップ連結によって、軸部に連結されている。このようにして停止面は、容易に軸部にはめたり、取り外したりすることができる。
【0015】
本発明に係る掃除綿棒の他の好ましい実施形態では、軸部は、両端部に、凹部と吸収材の肥厚部とを具備し、この吸収材は、凹部の開口部の入り口を残すように凹部の先端部を被覆する。好ましくは、吸収材は先端部を超えて、かつ、凹部の内部にわたって設けられる。すなわち、軸部は、使用をより容易にする2つの深さがある部分を具備する。
【0016】
ドイツ特許DE196 38 913号は、のこぎり状の断面形状を有するプラスチック材の肥厚部を具備する掃除綿棒で、のこぎり形状の鋭角を使用することによって、耳垢が外耳道から取り除かれることを論じているが、のこぎり形状の鋭角を使用する結果として、耳への損傷のリスクを伴うということが知られている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る掃除綿棒の縦断面図である。
【図2】本発明に係る掃除綿棒の他の好ましい形態の縦断面図である。
【図3】本発明に係る掃除綿棒のさらに異なる他の好ましい形態の縦断面図である。
【図4】図4(a)は、横断面図で、図1〜図3に示す掃除綿棒の凹部に形成した切断側面の好ましい形態を示し、図4(b)は、出発部材の細長い切れを、図1〜図3の掃除綿棒の軸のように巻く方法を示す。
【図5】図5は、本発明に係る停止面を有する掃除綿棒の概略図である。
【図6】図6は、本発明に係る他の形態の停止面を有する掃除綿棒の概略図である。
【図7】図7は、本発明に係る他の形態の停止面を有する掃除綿棒の概略図である
【図8】図8は、本発明に係る他の形態の停止面を有する掃除綿棒の概略図である
【図9】図9は、本発明に係る他の形態の停止面を有する掃除綿棒の概略図である
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を、図面を参照しながら、より詳細に説明する。
【0019】
図1は、好適な接着剤でそれぞれの先端が連結されているチューブ状のセグメント2、3の2つの軸セグメントで構成されている軸部を有する掃除綿棒1を示す。軸セグメント3は使用時に耳のより深い位置に挿入されるので、軸セグメント3は、軸セグメント2よりも柔らかい素材で形成されており、耳への損傷が防止されるはずである。さらなる安全のために、軸セグメント3の先端は丸い部分Rを有している。脱脂綿のたまご型の肥厚部4は、掃除綿棒1の図示される端部の周りに、例えば好適な接着剤によってそれに接着されることによって、設けられている。図1に示すように、吸収材は、軸セグメント2、3の中の内部チャンネル7によって形成される凹部6の先端部5を被覆し、そして前記凹部6の内部まで吸収材が設けられている。
【0020】
図2は図1に対応する図であり、図1に示す部品に対応する部品は、同じ符号によって示される。図2は、軸セグメント3の一部分が軸セグメント2に移動し重なり、好ましくは、好適な接着剤によって軸セグメント3が軸セグメント2に連結される様子を示す図である。
【0021】
図3は図2に対応する図であり、図2に示す部品に対応する部品は、同じ符号によって示される。この実施形態においては、軸セグメント2は、中空ではない中身が詰まったセグメントであり、したがって、この実施形態では内部チャンネル7を有していない。
【0022】
図1、図2、または図3のいずれかの掃除綿棒を外耳道に押し込み、そしてそれを回転させることを交互に行うことによって、耳垢を凹部6に効果的に移動させることができ、さらに、凹部6の先端部5が吸収材で被覆されることで、外耳道の損傷が防止される。
【0023】
図4(a)は横断面図で、図1、図2、あるいは図3に示す耳掃除綿棒の凹部6中に形成することができる切断側面8を示す。切断側面8は、例えば、図4(a)に示すように十字型の形状の細糸状で、前記凹部6中の凹部6の壁に、例えば好適な接着剤を塗布することによって、あるいは、局所的に穴や切り込みを設けることによって連結されている。この結果、特定の切断動作あるいは剥離動作を実行することによって、耳垢が外耳道から凹部6に移動され、除去される。
【0024】
図4(b)に示される耳掃除綿棒1の軸部は、出発部材の細長い切れで形成されており、この細長い切れは、細長い切れの長手方向の端部付近に、この例においては例えばミシン目の弱くなっている部分が設けられている。2つの軸セグメント2、3から成る軸部は、その後、前記細長い切れを巻き上げることによって形成される。軸セグメント3は、ミシン目の存在のために、軸セグメント2よりもより容易に変形する。
【0025】
図5〜図9は、種々のタイプの停止面9を有する耳掃除綿棒1の種々の図面を示す。なお、図5〜図9は、掃除綿棒1自体は、前記図面をいたずらに複雑にしないように、詳細に図示しない。停止面9は、耳掃除綿棒1が耳の(奥)深くに挿入されすぎることを防止するために機能する。停止面9は、弓形のもの10、しなやかな環状のもの11、そして円盤12のように、図5、図6、及び図7にそれぞれ概略斜視図で示される。そして、好ましくは、3つの場合全てにおいて、停止面9は取り外し可能であり、特に耳掃除綿棒1の軸部にスナップ連結されている。図8は、2つのチップを有する耳掃除綿棒1に関する。すなわち、凹部6と、両端部にコットンから成る肥厚部4とを具備し、コットンは凹部6の先端部5を被覆する耳掃除綿棒1である。この図において、停止面(stops)9は、取り外し可能なウィング13のように概略斜視図で示される。なお、この実施形態でもまた、ウィング13は、耳掃除綿棒1の軸部に、特にスナップ連結されている。図9は、停止面9として機能する円形の外周の部品15を有する3つの耳掃除綿棒1が取り付けられた円形のホルダー14の概略正面図を示す。
【0026】
本発明は、ここに示した実施形態に限定されるものではなく、従属クレームの範囲の中にある他の好ましい変形例にまで及ばせることができるということが知られている。
【0027】
スナップ連結が形成される方向の配向は、図面に示されるような配向に限定されるものではない。さらに、停止面9は、水平方向で所望の角度、すなわち0〜360°の間の角度を含んでも良い。

【符号の説明】
【0028】
1 耳掃除綿棒
2,3 軸セグメント
4 肥厚部
6 凹部
7 内部チャンネル
9 停止面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一端部に吸収材から成る肥厚部を有する軸部を具備する掃除綿棒であって、
前記軸部は、前記肥厚部を設けた前記端部付近に凹部を含み、
前記吸収材は、前記凹部の開口部の入り口を残すように、前記凹部の先端部を被覆し、
前記軸部は、少なくとも2つの軸セグメントを有し、
そして、前記肥厚部の方に向いた前記軸セグメントは、前記肥厚部からそむく前記軸セグメントよりも、より容易に変形することを特徴とする掃除綿棒。
【請求項2】
前記吸収材が、前記凹部の前記先端部を超えて、かつ前記凹部の内部にわたって設けられていることを特徴とする請求項1に記載の掃除綿棒。
【請求項3】
前記吸収材は、綿、ウール、紙、及びプラスチックから成るグループから選ばれた少なくとも1つの材料を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の掃除綿棒。
【請求項4】
前記軸部は、前記肥厚部を具備する前記軸部の前記端部に前記凹部を形成する内部チャンネルを具備することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の掃除綿棒。
【請求項5】
前記軸セグメントは、前記肥厚部の方に向いた前記軸セグメントと、前記肥厚部の方からそむく前記軸セグメントとで異なる部材で作られており、また、前記肥厚部の方に向いた前記軸セグメントの部材は、前記肥厚部の方からそむく前記軸セグメントの部材よりもより容易に変形することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の掃除綿棒。
【請求項6】
前記軸セグメントは互いに接着されていることを特徴とする請求項5に記載の掃除綿棒。
【請求項7】
前記肥厚部の方に向いた前記軸セグメントは、弱くなった部分を具備することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の掃除綿棒。
【請求項8】
前記弱くなった部分は、ミシン目または切り込みによって形成されていることを特徴とする請求項7に記載の掃除綿棒。
【請求項9】
前記軸部は、出発部材が細長い切れで形成されており、また前記細長い切れは平らな出発部材から好ましくは巻き上げることによって使用時の位置に変えることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の掃除綿棒。
【請求項10】
前記凹部は切断側面に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の掃除綿棒。
【請求項11】
前記軸部は、該軸部が体腔の深くに挿入されることを防止するために機能する停止面を有することを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の掃除綿棒。
【請求項12】
前記停止面は前記軸部に取り外し可能に連結されていることを特徴とする請求項11に記載の掃除綿棒。
【請求項13】
前記軸部は前記凹部と前記吸収材の前記肥厚部とを両端部付近に具備し、前記吸収材は、前記凹部の開口部の入り口を残すように前記凹部の前記先端部を被覆することを特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の掃除綿棒。
【請求項14】
前記吸収材は前記先端部を超えて、かつ、前記凹部の内部にわたって設けられていることを特徴とする請求項13に記載の掃除綿棒。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−542309(P2009−542309A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518021(P2009−518021)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【国際出願番号】PCT/NL2007/050329
【国際公開番号】WO2008/004869
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(509000518)
【氏名又は名称原語表記】FARHOUDI,Behrouz
【住所又は居所原語表記】Slachthuis−straat23,NL−1508 EC Zaandam(NL)
【Fターム(参考)】