排水管の接続工法
【課題】リフォームのときに、新たに設置する流し台や洗面台の設置位置近傍の壁面に下水管（或は下水管に導水する接続管。以下同じ。）が配設されている場合であっても、既存の排水管立ち上げ位置で排水の動水勾配を確保しつつ排水管と下水管とを横引き接続することができ、給湯水管を高い位置で配管することができるので、シャワー水栓用の水受けトレーや浄水器のカートリッジの置きスペースを容易に確保することができる、流し台や洗面台のシンク位置を変更するリフォームに好適な排水管の接続工法を提供する。
【解決手段】リフォーム工事のときに、新たに設置される流し台や洗面台のシンク下面に接続された排水管と、新たに設置される流し台や洗面台近傍の壁面に配設された下水管と、を高い位置で横引き接続する工法であって、上記排水管の排水トラップを、Ｐトラップ或はわんトラップとすることで、排水の動水勾配を高い位置でも確保できるように構成した。
【解決手段】リフォーム工事のときに、新たに設置される流し台や洗面台のシンク下面に接続された排水管と、新たに設置される流し台や洗面台近傍の壁面に配設された下水管と、を高い位置で横引き接続する工法であって、上記排水管の排水トラップを、Ｐトラップ或はわんトラップとすることで、排水の動水勾配を高い位置でも確保できるように構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
この発明は、流し台や洗面台のリフォームのときに、該流し台等に隣接する壁面の高い位置に排水管が配置されている場合であっても、排水の動水勾配を容易に確保しつつ接続することができ、その結果、給湯水管を高い位置で配管することができるので、シャワー水栓用の水受けトレーの置きスペースや浄水器のカートリッジの置きスペースを容易に確保することができる排水管の接続工法に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来の流し台キャビネットにあっては、掃除がし易く、破封が起き難いワントラップが一般的には用いられていたが、近年では、キャビネット内の収納量を大きくするため、Ｓトラップが多く用いられている（例えば、特許文献１参照）。この種のトラップは、洗面台や流し台などの排水管の途中に接続される器具で、排水管を通じて悪臭が室内に逆流するのを防ぎ、また、集合住宅では排水管の詰りによる排水の逆流を防ぎ、更には、外部から排水管を通って昆虫、ねずみなどが侵入するのを防ぐために用いられる。
【０００３】
【特許文献１】特開２００１−１９３１１４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
ところで、近年では、流し台や洗面台のリフォーム需要が増加しているが、このようなリフォーム工事において、下水管（或は下水管に導水する接続管）が、新たに設置する流し台や洗面台の設置位置近傍の壁面に配設されているケースもあり、それが高い位置に配置されている場合には、上記Ｓトラップ下端の位置が低いため、既存の排水管立ち上げ位置では、排水の動水勾配がとれず、流し台や洗面台のシンク位置を変えるリフォームには適さない、という問題を有していた。
【０００５】
この発明は、かかる現状に鑑み創案されたものであって、その目的とするところは、リフォームのときに、新たに設置する流し台や洗面台の設置位置近傍の壁面に下水管（或は下水管に導水する接続管。以下同じ。）が配設されている場合であっても、既存の排水管立ち上げ位置で排水の動水勾配を確保しつつ排水管と下水管とを横引き接続することができ、その結果、給湯水管を高い位置で配管することができるので、シャワー水栓用の水受けトレーの置きスペースや浄水器のカートリッジの置きスペースを容易に確保することができる、流し台や洗面台のシンク位置を変更するリフォームに好適な排水管の接続工法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上記目的を達成するため、請求項１に記載の発明にあっては、リフォーム工事のときに、新たに設置される流し台や洗面台のシンク下面に接続された排水管と、新たに設置される流し台や洗面台近傍の壁面に配設された下水管と、を高い位置で横引き接続する工法であって、上記排水管の排水トラップをＰトラップ或はわんトラップとすることで、排水の動水勾配を高い位置でも確保できるように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【０００７】
以上説明したように、請求項１に記載の発明にあっては、上記排水管の排水トラップをＰトラップ或はわんトラップとしたので、リフォームのときに、新たに設置する流し台や洗面台の設置位置近傍の壁面に下水管（或は下水管に導水する接続管。以下同じ。）が配設されている場合であっても、既存の排水管立ち上げ位置で排水の動水勾配を確保しつつ排水管と下水管とを横引き接続することができ、その結果、給湯水管を高い位置で配管することができるので、シャワー水栓用の水受けトレーの置きスペースや浄水器のカートリッジの置きスペースを容易に確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００８】
以下、添付図面に示す発明の実施例１に基づき、この発明を詳細に説明する。
【実施例１】
【０００９】
図１は、この発明を流し台Ｋのリフォームにおける配管の接続構造を示しており、設置される流し台Ｋの右側には、コンクリート壁面Ｗが立設されており、該コンクリート壁面Ｗ内に、下水管（図示せず）に連通接続された接続管１が排水の動水勾配を保って埋設されている。同様に、シャワー混合水栓２に湯と水を夫々供給する給湯管３及び給水管４も埋設されており、これら給湯管３及び給水管４の一端部は、この実施例１では、上記接続管１よりも高い位置に導出されている。尚、図中符号５は浄水器であり、該浄水器５のカートリッジ６には、上記給水管４が分岐接続されている。
【００１０】
このような設置環境において、新たな流し台Ｋをリフォームで設置する場合、シンク７の下面排水口（図示せず）には排水トラップ８が水密に取り付けられており、該排水トラップ８と上記接続管１とは、この実施例１では、図１と図２に示すＰトラップ１０が用いられている。
【００１１】
このＰトラップ１０は、図２に示すように、その上端部１１が上記排水トラップ８の流出口に連通接続され、また、クラウン１２が継手金具１３を介して接続管１に排水の動水勾配を保持しつつ連通接続されている。勿論、このＰトラップ１０のデイブ１４は、封水深さを保持するように設定されており、接続管１を通じて悪臭が室内に逆流するのを防ぐとともに、排水管の詰りによる排水の逆流を防ぎ、更には、外部から排水管・接続管１を通って昆虫、ねずみなどが侵入するのを確実に防ぐことができるように構成されている。
【００１２】
このように、Ｐトラップ１０を用いることで、従来のＳトラップでは、その下端の高さ位置よりも接続管１が上方に設置されていて、既存の排水管立ち上げ位置では、排水の動水勾配がとれない場合であっても、この動水勾配を確保しつつ、流し台Ｋのシンク位置を容易に変更することができ、また、給湯水管を高い位置で配管することができるので、シャワー水栓用の水受けトレーの置きスペースや浄水器のカートリッジの置きスペースを容易に確保することができる。
【００１３】
図３は、上記Ｐトラップ１０に代えて適用可能なわんトラップ（ベルトラップともいう。以下、同じ。）２０を示しており、該わんトラップ２０をシンクの排水口に接続することで、その排水管２１を継手（図示せず）を介して前記接続管に接続することで、既存の排水管立ち上げ位置では、排水の動水勾配がとれない場合であっても、上記配管接続環境下でも動水勾配を確保しつつ排水配管接続を行なうことができる。
【００１４】
尚、上記実施例１では、この発明を流し台Ｋのリフォーム工事において実施する場合を例にとり説明したが、この発明にあってはこれに限定されるものではなく、同様の環境下で洗面台や洗面化粧台をリフォームで設置する場合にも用いることができることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【００１５】
【図１】この発明の実施例１に係る排水管の接続工法が施された流し台の配管接続状態を示す説明図である。
【図２】同配管に用いられるＰトラップの構成を示す断面図である。
【図３】同配管に用いることが可能なわんトラップの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【００１６】
Ｋ 流し台
１ 接続管（排水管）
２ シャワー混合水栓
３ 給湯管
４ 給水管
７ シンク
８ 排水トラップ
１０ Ｐトラップ
１３ 継手金具
２０ わんトラップ（ベルトラップ）
【技術分野】
【０００１】
この発明は、流し台や洗面台のリフォームのときに、該流し台等に隣接する壁面の高い位置に排水管が配置されている場合であっても、排水の動水勾配を容易に確保しつつ接続することができ、その結果、給湯水管を高い位置で配管することができるので、シャワー水栓用の水受けトレーの置きスペースや浄水器のカートリッジの置きスペースを容易に確保することができる排水管の接続工法に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来の流し台キャビネットにあっては、掃除がし易く、破封が起き難いワントラップが一般的には用いられていたが、近年では、キャビネット内の収納量を大きくするため、Ｓトラップが多く用いられている（例えば、特許文献１参照）。この種のトラップは、洗面台や流し台などの排水管の途中に接続される器具で、排水管を通じて悪臭が室内に逆流するのを防ぎ、また、集合住宅では排水管の詰りによる排水の逆流を防ぎ、更には、外部から排水管を通って昆虫、ねずみなどが侵入するのを防ぐために用いられる。
【０００３】
【特許文献１】特開２００１−１９３１１４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
ところで、近年では、流し台や洗面台のリフォーム需要が増加しているが、このようなリフォーム工事において、下水管（或は下水管に導水する接続管）が、新たに設置する流し台や洗面台の設置位置近傍の壁面に配設されているケースもあり、それが高い位置に配置されている場合には、上記Ｓトラップ下端の位置が低いため、既存の排水管立ち上げ位置では、排水の動水勾配がとれず、流し台や洗面台のシンク位置を変えるリフォームには適さない、という問題を有していた。
【０００５】
この発明は、かかる現状に鑑み創案されたものであって、その目的とするところは、リフォームのときに、新たに設置する流し台や洗面台の設置位置近傍の壁面に下水管（或は下水管に導水する接続管。以下同じ。）が配設されている場合であっても、既存の排水管立ち上げ位置で排水の動水勾配を確保しつつ排水管と下水管とを横引き接続することができ、その結果、給湯水管を高い位置で配管することができるので、シャワー水栓用の水受けトレーの置きスペースや浄水器のカートリッジの置きスペースを容易に確保することができる、流し台や洗面台のシンク位置を変更するリフォームに好適な排水管の接続工法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上記目的を達成するため、請求項１に記載の発明にあっては、リフォーム工事のときに、新たに設置される流し台や洗面台のシンク下面に接続された排水管と、新たに設置される流し台や洗面台近傍の壁面に配設された下水管と、を高い位置で横引き接続する工法であって、上記排水管の排水トラップをＰトラップ或はわんトラップとすることで、排水の動水勾配を高い位置でも確保できるように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【０００７】
以上説明したように、請求項１に記載の発明にあっては、上記排水管の排水トラップをＰトラップ或はわんトラップとしたので、リフォームのときに、新たに設置する流し台や洗面台の設置位置近傍の壁面に下水管（或は下水管に導水する接続管。以下同じ。）が配設されている場合であっても、既存の排水管立ち上げ位置で排水の動水勾配を確保しつつ排水管と下水管とを横引き接続することができ、その結果、給湯水管を高い位置で配管することができるので、シャワー水栓用の水受けトレーの置きスペースや浄水器のカートリッジの置きスペースを容易に確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００８】
以下、添付図面に示す発明の実施例１に基づき、この発明を詳細に説明する。
【実施例１】
【０００９】
図１は、この発明を流し台Ｋのリフォームにおける配管の接続構造を示しており、設置される流し台Ｋの右側には、コンクリート壁面Ｗが立設されており、該コンクリート壁面Ｗ内に、下水管（図示せず）に連通接続された接続管１が排水の動水勾配を保って埋設されている。同様に、シャワー混合水栓２に湯と水を夫々供給する給湯管３及び給水管４も埋設されており、これら給湯管３及び給水管４の一端部は、この実施例１では、上記接続管１よりも高い位置に導出されている。尚、図中符号５は浄水器であり、該浄水器５のカートリッジ６には、上記給水管４が分岐接続されている。
【００１０】
このような設置環境において、新たな流し台Ｋをリフォームで設置する場合、シンク７の下面排水口（図示せず）には排水トラップ８が水密に取り付けられており、該排水トラップ８と上記接続管１とは、この実施例１では、図１と図２に示すＰトラップ１０が用いられている。
【００１１】
このＰトラップ１０は、図２に示すように、その上端部１１が上記排水トラップ８の流出口に連通接続され、また、クラウン１２が継手金具１３を介して接続管１に排水の動水勾配を保持しつつ連通接続されている。勿論、このＰトラップ１０のデイブ１４は、封水深さを保持するように設定されており、接続管１を通じて悪臭が室内に逆流するのを防ぐとともに、排水管の詰りによる排水の逆流を防ぎ、更には、外部から排水管・接続管１を通って昆虫、ねずみなどが侵入するのを確実に防ぐことができるように構成されている。
【００１２】
このように、Ｐトラップ１０を用いることで、従来のＳトラップでは、その下端の高さ位置よりも接続管１が上方に設置されていて、既存の排水管立ち上げ位置では、排水の動水勾配がとれない場合であっても、この動水勾配を確保しつつ、流し台Ｋのシンク位置を容易に変更することができ、また、給湯水管を高い位置で配管することができるので、シャワー水栓用の水受けトレーの置きスペースや浄水器のカートリッジの置きスペースを容易に確保することができる。
【００１３】
図３は、上記Ｐトラップ１０に代えて適用可能なわんトラップ（ベルトラップともいう。以下、同じ。）２０を示しており、該わんトラップ２０をシンクの排水口に接続することで、その排水管２１を継手（図示せず）を介して前記接続管に接続することで、既存の排水管立ち上げ位置では、排水の動水勾配がとれない場合であっても、上記配管接続環境下でも動水勾配を確保しつつ排水配管接続を行なうことができる。
【００１４】
尚、上記実施例１では、この発明を流し台Ｋのリフォーム工事において実施する場合を例にとり説明したが、この発明にあってはこれに限定されるものではなく、同様の環境下で洗面台や洗面化粧台をリフォームで設置する場合にも用いることができることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【００１５】
【図１】この発明の実施例１に係る排水管の接続工法が施された流し台の配管接続状態を示す説明図である。
【図２】同配管に用いられるＰトラップの構成を示す断面図である。
【図３】同配管に用いることが可能なわんトラップの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【００１６】
Ｋ 流し台
１ 接続管（排水管）
２ シャワー混合水栓
３ 給湯管
４ 給水管
７ シンク
８ 排水トラップ
１０ Ｐトラップ
１３ 継手金具
２０ わんトラップ（ベルトラップ）
【特許請求の範囲】
【請求項１】
リフォーム工事のときに、新たに設置される流し台や洗面台のシンク下面に接続された排水管と、新たに設置される流し台や洗面台近傍の壁面に配設された下水管と、を高い位置で横引き接続する工法であって、上記排水管の排水トラップをＰトラップ或はわんトラップとすることで、排水の動水勾配を高い位置でも確保できるように構成したことを特徴とする排水管の接続工法。
【請求項１】
リフォーム工事のときに、新たに設置される流し台や洗面台のシンク下面に接続された排水管と、新たに設置される流し台や洗面台近傍の壁面に配設された下水管と、を高い位置で横引き接続する工法であって、上記排水管の排水トラップをＰトラップ或はわんトラップとすることで、排水の動水勾配を高い位置でも確保できるように構成したことを特徴とする排水管の接続工法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図２】
【図３】
【公開番号】特開２００６−３７５００（Ｐ２００６−３７５００Ａ）
【公開日】平成１８年２月９日（２００６．２．９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００４−２１８６２１（Ｐ２００４−２１８６２１）
【出願日】平成１６年７月２７日（２００４．７．２７）
【出願人】（０００００２２２２）サンウエーブ工業株式会社 (196)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年２月９日（２００６．２．９）
【国際特許分類】
【出願日】平成１６年７月２７日（２００４．７．２７）
【出願人】（０００００２２２２）サンウエーブ工業株式会社 (196)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]