説明

排藁切断装置

【課題】排藁切断長の長短切替操作を容易にし、排藁切断長の切替機構を簡易な構造とする排藁切断装置の提供を目的とする。
【解決手段】複数の第一大径回転刃22aと複数の第一小径回転刃22bを交互に固定した第一回転軸22と、複数の第二回転刃23aを固定するとともに、第一回転軸22に対して近接または離間可能に配置した第二回転軸23と、第二回転軸23を近接位置P2または離間位置P1に切替固定可能とする切替機構30とを備え、排藁の切断長を長短切替可能とする排藁切断装置20において、切替機構30は、揺動させることで第一位置決め部材31aまたは第二位置決め部材31bに係止して第二回転軸23を切替固定可能とするカム32を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排藁切断装置の技術に関する。より詳細には、排藁切断装置における排藁切断長を切り替えるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバイン等が備える排藁切断装置には、平行に配置された一対のカッター軸の軸間距離を切替レバー等の操作具で変更して、排藁切断長を切替可能としたものがある。この排藁切断装置は、排藁切断長の長短の切替を行う場合、切替機構で切替レバー等を手前に引く操作などの切替操作を行って、係止手段によるカッター軸の係止状態を解除することにより、一方のカッター軸を移動させ、その軸間距離を変更させるように構成されていた。
【0003】
このような切替機構においては、前記排藁切断装置の作動時に前記カッター軸が不安定とならないように強固に係止手段に係止されていたため、この係止状態を容易に解除できず、係止手段によるカッター軸の係止状態を解除する場合、切替レバー等を用いた切替操作に大きな労力が必要となっていた。そこで、前述の労力を軽減可能とする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−159555号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示された構成では、排藁切断長の長短の切替を行う際、切替レバーを手前に引き、切替機構で係止手段によるカッター軸の係止状態を解除し、この切替レバーの状態を維持しながら、カッター軸の軸間距離を変更した後、再度カッター軸を係止手段に係止しなければならなかった。そのため、排藁切断長の長短切替操作が煩雑となっていた。また、切替レバーに連結プレートを連動連結するなどしていたため、排藁切断長の切替に係る構造が複雑となり、部品点数が多くなっていた。
【0006】
本発明は係る課題を鑑みてなされたものであり、排藁切断長の長短切替操作を容易にし、排藁切断長の切替機構を簡易な構造とする排藁切断装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、請求項1においては、所定間隔をあけて複数の第一大径回転刃と第一小径回転刃とを交互に固定した第一回転軸と、所定間隔をあけて複数の第二回転刃を固定するとともに、前記第一回転軸に対して近接または離間可能に配置した第二回転軸と、該第二回転軸を近接位置または離間位置に切替固定可能とする切替機構とを備え、排藁の切断長を長短切替可能とする排藁切断装置において、前記切替機構は、前記第一回転軸と第二回転軸を支持する側板から突設した第一位置決め部材と第二位置決め部材と、該第一位置決め部材と第二位置決め部材の間に配置して、回動させることで該第一位置決め部材または第二位置決め部材に係止して前記第二回転軸を切替固定可能とするカムと、を具備するものである。
【0008】
請求項2においては、前記第二回転軸を支持するアームにアーム軸が枢支され、該アーム軸に前記カムの中央が固定され、該カムの両側に、前記第一位置決め部材に係止する第一係止溝と、前記第二位置決め部材に係止する第二係止溝と、カムの長短切替回動時に第一位置決め部材または第二位置決め部材と摺接して前記アームを回動させるガイド部とを形成するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0010】
請求項1の如く構成したので、排藁切断長の長短切替操作を容易に行うことができる。また、排藁切断長の切替機構を簡易な構造とすることが可能となり、コストの低減化を図ることができる。さらに、第二回転軸を切替機構により確実に固定することができる。
【0011】
請求項2の如く構成したので、排藁切断長の長短切替操作時に必要となる労力を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明に係るコンバインの実施の一形態であるコンバイン1について、図面を参照して説明する。
【0013】
まず、図1を用いてコンバイン1の概略構成について説明する。
【0014】
コンバイン1は稲や麦等の収穫作業、より詳細には、圃場を走行しつつ圃場から穀稈を刈り取り、穀粒を脱穀する。本実施形態のコンバイン1は、刈り取られた穀稈のうち、穀粒の付いた穂先部のみを脱穀する自脱型のコンバインである。
【0015】
コンバイン1は、主として刈取装置2、脱穀装置3、選別装置4、排藁処理装置5を具備する。
【0016】
刈取装置2は、コンバイン1の前部に配置される。刈取装置2は、引起装置や下部搬送装置や穂先搬送装置や刈刃等を具備し、圃場から穀稈を刈り取り、当該穀稈を脱穀装置3へと渡す。
【0017】
脱穀装置3は、刈取装置2の後方に配置される。脱穀装置3は、主としてフィードチェーン3a、扱胴3b等を具備する。脱穀装置3は、フィードチェーン3aにより、刈取装置2から受け取った穀稈を横に倒した状態で前方から後方へと搬送しながら、扱胴3bの回転により、穀稈から穀粒を分離(脱穀)する。
【0018】
選別装置4は、脱穀装置3の下方に配置される。選別装置4は、脱穀装置3によって脱穀された穀粒に混じった藁屑や塵挨等を、風選別や揺動選別により分離する。
【0019】
排藁処理装置5は、脱穀装置3の後方に配置される。排藁処理装置5は、フィードチェーン3aから受け取った脱穀された穀稈(以下、単に「排藁」と記す)を排藁チェーン5aにより後方へ搬送し、排藁の切断する等の所定の処理を施す。
【0020】
選別装置4により藁屑等と分離された精粒は、揚穀筒6を経て脱穀装置3の右方に設けられたグレンタンク7内に搬入され、貯溜される。グレンタンク7には排出オーガ8が連通接続される。排出オーガ8が作動することにより、グレンタンク7に貯溜された精粒が、排出オーガ8を経てグレンタンク7の外部に搬出される。
【0021】
グレンタンク7の前方には、オペレータがコンバイン1を運転するための運転部9が配置される。
【0022】
次に、図2、図3を用いて、排藁処理装置5に備えた排藁切断装置20の構成について説明する。
【0023】
排藁切断装置20は、排藁チェーン5aにより搬送されてきた排藁を所定の長さに切断するものであり、排藁切断長を長短切替操作により長寸または短寸に切替可能に構成される。排藁切断装置20には、切断ケース21や第一回転軸22、第一大径回転刃22a、第一小径回転刃22b、第二回転軸23、第二回転刃23a、切替機構30などが備えられる。
【0024】
図2に示すように、切断ケース21は排藁チェーン5aの下方に配置される。切断ケース21は箱状に構成されており、左右両側に側板21a・21aを備える。切断ケース21の内側では、第一回転軸22と第二回転軸23とが左右両側側板21a・21aの間に左右水平方向に横架され、第二回転軸23が第一回転軸22の前上方に位置するように配置される。
【0025】
第一回転軸22には、円盤形状の複数の第一大径回転刃22a・22a・・・と第一小径回転刃22b・22b・・・とが交互に所定の間隔をあけて固設される。第二回転軸23には、円盤形状の複数の第二回転刃23a・23a・・・が所定の間隔をあけて固設される。第二回転軸23上の第二回転刃23a・23a・・・は、該第二回転軸23の位置に応じて第一回転軸22上の第一大径回転刃22a・22a・・・および第一小径回転刃22b・22b・・・と、もしくは第一大径回転刃22a・22a・・・のみと重複するように配置される。
【0026】
図3に示すように、第一回転軸22は左右両側側板21a・21aに回転自在に支持され、左側側板21aから切断ケース21の外側に突出される。この第一回転軸22の突出端部には、入力プーリ22dと駆動スプロケット22cとが相対回転不能に並設される。第二回転軸23は後述の切替機構30にて回転自在に支持され、左側側板21aから切断ケース21の外側に突出される。この第二回転軸23の突出端部には、大径ギア23bが相対回転不能に固設される。
【0027】
左側側板21aの第二回転軸23の下方には、支持軸24が回転自在に支持され、第二回転軸23に対して平行に切断ケース21の外側および内側に向かって突設される。支持軸24の外側には、従動スプロケット24aと小径ギア24bとが相対回転不能に支持される。
【0028】
第一回転軸22上の駆動スプロケット22cと、支持軸24上の従動スプロケット24aと、図示せぬスプロケットとの間にチェーン22fが巻回される。また、第二回転軸23上の大径ギア23bと支持軸24上の小径ギア24bとが噛合される。そして、コンバイン1のエンジンから伝達される動力が、第一回転軸22上の入力プーリ22dに駆動ベルト22e等を介して伝達可能とされる。
【0029】
入力プーリ22dに動力が伝達された場合、第一回転軸22が図3における反時計回り方向に回転され、これに伴って駆動スプロケット22cも同一方向に回転される。この駆動スプロケット22cから従動スプロケット24aにチェーン22fを介して動力が伝達されると、支持軸24が図3における反時計回り方向に回転され、これに伴って小径ギア24bが回転される。
【0030】
そして、小径ギア24bから大径ギア23bに動力が伝達され、第二回転軸23が図3における時計回り方向に回転される。このような第一回転軸22と第二回転軸23の回転により、各回転軸22・23上の第一大径回転刃22aおよび第一小径回転刃22bと、第二回転刃23aとが回転される。なお、第二回転軸23の回転速度は第一回転軸22の回転速度よりも低速となるように設定される。
【0031】
こうして、排藁切断装置20では、排藁チェーン5aにより搬送されてきた排藁が、切断ケース21に投入されると、第一回転軸22上の第一大径回転刃22aおよび第一小径回転刃22b、もしくは、第一大径回転刃22aのみと、第二回転軸23上の第二回転刃23aとによって所定の切断長に切断可能とされる。なお、切断後の排藁は切断ケース21の下部から圃場へ向かって排出される。
【0032】
図4から図8を用いて排藁切断装置20に備える切替機構30の構成について説明する。
【0033】
切替機構30は第一回転軸22に対して第二回転軸23を図5に示す近接位置P2または図4に示す離間位置P1に切替固定可能とするものであり、切断ケース21の左右両側に配置される。左右の切替機構30・30は略左右対称に構成されるため、右側の切替機構30についての説明は省略する。但し、左右の切替機構30は、一方(本実施例では左側)の切替機構30にのみ後述の切替レバー33を有する点で異なる。
【0034】
切替機構30には、支持軸24や下アーム25、上アーム26、アーム軸27、第一位置決め部材31a、第二位置決め部材31b、カム32、切替レバー33などが備えられる。下アーム25と上アーム26とは切断ケース21の内側に配置され、第一位置決め部材31aと、第二位置決め部材31bと、カム32と、切替レバー33は切断ケース21の外側に配置される。
【0035】
図4に示すように、切断ケース21の内側において、上アーム26と下アーム25とが上下に配置され、それぞれ上下方向に延設される。下アーム25の下部は、第二回転軸23上の第二回転刃23aよりも下方で左側側板21aから突出される前記支持軸24の内側に固設される。下アーム25の上部は、上アーム26の下部と連結され、この連結部に第二回転軸23が枢支される。
【0036】
上アーム26の上部は、第二回転軸23上の第二回転刃23aよりも上方で、左右両側側板21a・21aの間に左右水平方向に横架されたアーム軸27に固設される。アーム軸27は左右両側側板21a・21aに回動可能に支持され、左側側板21aから切断ケース21の外側に突出される。このアーム軸27の突出端部に切替レバー33の基端部が固設される。
【0037】
アーム軸27は左側側板21aに案内孔21bを介して貫通される。この案内孔21bは支持軸24を中心とする円周上に配置され、略前後方向に延伸する長孔にて形成される。そして、アーム軸27が案内孔21bに沿って所定の移動範囲で移動可能とされ、この移動に伴って上下のアーム26・25が支持軸24を中心として回動可能とされ、ひいては第二回転軸23が前後方向に移動可能とされる。
【0038】
左側側板21aの案内孔21bの前後両側にはそれぞれ第一位置決め部材31aと第二位置決め部材31bとが設けられる。第一位置決め部材31aと第二位置決め部材31bとは、本実施例においては、それぞれピン状部材で構成されており、案内孔21bと同じく支持軸24を中心とする円周上に配置され、アーム軸27に対して平行に切断ケース21の外側に突出される。
なお、本発明に係る第一位置決め部材及び第二位置決め部材は、本実施例における、第一位置決め部材31a及び第二位置決め部材31bに限定されず、例えばピン状部材と、当該ピン状部材にベアリング、又はカラー等の回転物を取り付ける構成としても良く、このように構成することで、カム32が該第一位置決め部材又は第二位置決め部材と係止する状態を解除する際の切替レバー33の操作荷重を軽減させることが可能となる。
【0039】
第一位置決め部材31aと第二位置決め部材31bとの間、かつ、アーム軸27の切替レバー33と左側側板21aとの間に、カム32が配置される。カム32はその上下中途部の前後両側にフック状のくびれ部からなる第一係止溝32aと第二係止溝32bとを備えて、側面視で略瓢箪型に形成される。カム32の長短切替回動によって、第一係止溝32aは第一位置決め部材31aと、第二係止溝32bは第二位置決め部材31bと択一的に係止可能とされる。
【0040】
カム32はその下部の前後両側に外周縁部をなめらかな曲線形状としたガイド部32cを備える。前後のガイド部32cは、第一係止溝32aと第一位置決め部材31a、第二係止溝32bと第二位置決め部材31bの係止もしくは係止解除を案内するものであり、それぞれ第一係止溝32aと第二係止溝32bと連続するように形成されて、前記第一位置決め部材31aまたは前記第二位置決め部材31bと摺接可能とされる。
【0041】
また、カム32は略中央でアーム軸27に貫通支持され、該アーム軸27と相対回転不能に固定される。そして、アーム軸27が案内孔21bに沿って回動されつつ移動される際に、カム32が当該アーム軸27と一体的に回動されつつ移動され、第一係止溝32aにて第一位置決め部材31aに、あるいは第二係止溝32bで第二位置決め部材31bに係止可能とされる。
【0042】
図6に示すように、カム32が第一係止溝32aで第一位置決め部材31aに係止されている場合には、アーム軸27が案内孔21bの前端まで案内され、上下のアーム26・25が支持軸24を中心として前方へ回動した状態となり、第二回転軸23が第一回転軸22に対して離間する離間位置P1、即ち排藁切断長を長寸とする位置に固定される。
【0043】
図8に示すように、カム32が第二係止溝32bで第二位置決め部材31bに係止されている場合には、アーム軸27が案内孔21bの後端まで案内され、上下のアームが支持軸24を中心として後方へ回動した状態となり、第二回転軸23が第一回転軸22に対して近接する近接位置P2、即ち排藁切断長を短寸とする位置に固定される。
【0044】
このような構成において、第二回転軸23が離間位置P1とされる場合、カム32は第一係止溝32aにて第一位置決め部材31aに係止され、アーム軸27は案内孔21bの前端に案内され、切替レバー33はアーム軸27から後下方へ延出される。この状態で排藁切断長の長短切替操作として切替レバー33が図6における時計回り方向に回動操作されると、まずアーム軸27とともにカム32が一体的に回動され、第一係止溝32aと第一位置決め部材31aとの係止状態が解除される。
【0045】
切替レバー33が更に同方向に回動されると、次にカム32の前側のガイド部32cが第一位置決め部材31aに摺接しながら押されて、図7に示すように、カム32とともにアーム軸27が案内孔21bに沿って前端から後端へ向かって移動される。そして、カム32の後側のガイド部32cが第二位置決め部材31bに摺接し、図8に示すように、第二係止溝32bと第二位置決め部材31bとが係止される。
【0046】
前記アーム軸27の移動と同時に、上下のアーム26・25は図6における時計回り方向に支持軸24を中心として回動され、この上下のアーム26・25に支持された第二回転軸23が後方に移動される。つまり、第二回転軸23が第一回転軸22に対して近接される。こうして、第一回転軸22と第二回転軸23との軸間距離が短くなるように設定され、カム32の第二位置決め部材31bへの係止により第二回転軸23が近接位置P2で固定される。
【0047】
このように第二回転軸23の位置が離間位置P1から近接位置P2に切り替えられることで、第二回転軸23上の第二回転刃23aが、第一回転軸22上の第一大径回転刃22aおよび第一小径回転刃22bと重複するように配置され、これらの回転刃22a・22b・23aにより切断される排藁の排藁切断長が図2における幅L1の長さとなる短寸に切り替えられる。
【0048】
一方、第二回転軸23が近接位置P2とされる場合、カム32は第二係止溝32bにて第二位置決め部材31bに係止され、アーム軸27は案内孔21bの後端に案内され、切替レバー33はアーム軸27から下方へ延出される。この状態で排藁切断長の長短切替操作として切替レバー33が図6における反時計回り方向に回動操作されると、まずアーム軸27とともにカム32が一体的に回動され、第二係止溝32bと第二位置決め部材31bとの係止状態が解除される。
【0049】
切替レバー33が更に同方向に回動されると、次にカム32の後側のガイド部32cが第二位置決め部材31bに摺接しながら押されて、図7に示すように、カム32とともにアーム軸27が案内孔21bに沿って後端から前端へ向かって移動される。そして、カム32の前側のガイド部32cが第一位置決め部材31aに摺接し、図6に示すように、第一係止溝32aと第一位置決め部材31aとが係止される。
【0050】
前記アーム軸27の移動と同時に、上下のアーム26・25は図8における反時計回り方向に支持軸24を中心として回動され、この上下のアーム26・25に支持された第二回転軸23が前方に移動される。つまり、第二回転軸23が第一回転軸22に対して離間される。こうして、第一回転軸22と第二回転軸23との軸間距離が長くなるように設定され、カム32の第一位置決め部材31aへの係止により第二回転軸23が離間位置P1で固定される。
【0051】
このように第二回転軸23の位置が近接位置P2から離間位置P1に切り替えられることで、第二回転軸23上の第二回転刃23aが、第一回転軸22上の第一大径回転刃22aのみと重複するように配置され、これらの回転刃22a・23aにより切断される排藁の排藁切断長が図2における幅L2の長さとなる長寸に切り替えられる。
【0052】
以上のように軸方向に所定間隔をあけて複数の第一大径回転刃22aと第一小径回転刃22bとを交互に固定した第一回転軸22と、軸方向に所定間隔をあけて複数の第二回転刃23aを固定するとともに、第一回転軸22に対して近接または離間可能に配置した第二回転軸23と、第二回転軸23を近接位置P2または離間位置P1に切替固定可能とする切替機構30とを備え、排藁の切断長を長短切替可能とする排藁切断装置20において、切替機構30は、第一回転軸22と第二回転軸23を支持する側板21aから突設した第一位置決め部材31aと第二位置決め部材31bと、第一位置決め部材31aと第二位置決め部材31bの間に配置して、回動させることで第一位置決め部材31aまたは第二位置決め部材31bに係止して第二回転軸23を切替固定可能とするカム32と、を具備したので、排藁切断長の長短切替操作を切替レバー33の回動操作のみとして容易に行うことができる。また、排藁切断長の切替機構30を簡易な構造とすることが可能となり、コストの低減化を図ることができる。さらに、第二回転軸23を切替機構30により確実かつ強固に固定することができる。
【0053】
また、第二回転軸23を支持する上下のアーム26・25にアーム軸27が枢支され、アーム軸27にカム32の中央が固定され、カム32の両側に、第一位置決め部材31aに係止する第一係止溝32aと、第二位置決め部材31bに係止する第二係止溝32bと、カム32の長短切替回動時に第一位置決め部材31aまたは第二位置決め部材31bと摺接して前記上下のアーム26・25を回動させるガイド部32cとを形成するので、排藁切断長の長短切替操作時に必要となる労力、即ち切替レバー33の操作力を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施例に係るコンバインの全体的な構成を示した側面図。
【図2】排藁切断装置の構成を示した平面図。
【図3】排藁切断装置の駆動部の構成を示した左側面図。
【図4】第二回転軸を離間位置とした場合における排藁切断装置の構成を示した左側面図。
【図5】第二回転軸を近接位置とした場合における排藁切断装置の構成を示した左側面図。
【図6】第二回転軸を離間位置とした場合における切替機構の構成を示した左面図。
【図7】第二回転軸を離間位置と近接位置とに切り替える過程における切替機構の構成を示した左面図。
【図8】第二回転軸を近接位置とした場合における切替機構の構成を示した左面図。
【符号の説明】
【0055】
1 コンバイン
20 排藁切断装置
21a 切断ケースの側板
21b 案内孔
22 第一回転軸
22a 第一大径回転刃
22b 第一小径回転刃
23 第二回転軸
23a 第二回転刃
24 支持軸
25 下アーム
26 上アーム
27 アーム軸
30 切替機構
31a 第一位置決め部材
31b 第二位置決め部材
32 カム
32a 第一係止溝
32b 第二係止溝
33 切替レバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔をあけて複数の第一大径回転刃と第一小径回転刃とを交互に固定した第一回転軸と、
所定間隔をあけて複数の第二回転刃を固定するとともに、前記第一回転軸に対して近接または離間可能に配置した第二回転軸と、
該第二回転軸を近接位置または離間位置に切替固定可能とする切替機構とを備え、排藁の切断長を長短切替可能とする排藁切断装置において、
前記切替機構は、
前記第一回転軸と前記第二回転軸とを支持する側板から突設した第一位置決め部材及び第二位置決め部材と、
該第一位置決め部材と第二位置決め部材との間に配置して、回動させることで該第一位置決め部材または第二位置決め部材に係止して前記第二回転軸を切替固定可能とするカムと、を具備することを特徴とする排藁切断装置。
【請求項2】
前記第二回転軸を支持するアームにアーム軸が枢支され、該アーム軸に前記カムの中央が固定され、該カムの両側に、前記第一位置決め部材に係止する第一係止溝と、前記第二位置決め部材に係止する第二係止溝と、カムの長短切替回動時に第一位置決め部材または第二位置決め部材と摺接して前記アームを回動させるガイド部とを形成することを特徴とする請求項1に記載の排藁切断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−165423(P2009−165423A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−8438(P2008−8438)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(391025914)八鹿鉄工株式会社 (131)
【Fターム(参考)】