説明

掘取機

【課題】 収穫物に傷が付かない掘取作業ができる掘取機を提供する。
【解決手段】 掘取機1は、掘取刃5の後方に搬送コンベア30を備え、搬送コンベア30の後方に左右スライド可能及び正逆転可能な横搬送コンベア40を設ける。搬送コンベア30は駆動軸10から従動軸11への動力伝達により回転し、搬送コンベア30の回転速度を無断階に変速可能な変速手段90を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、馬鈴薯や玉葱等の掘取りを行う掘取機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の掘取機は、例えば搬送コンベアの後方に横搬送コンベアを配置して、掘取り、搬送後の収穫物を搬送コンベアの直後や横搬送コンベアの左右に落下配置する技術は知られている。
【特許文献1】実公昭54−29240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の掘取機では、搬送速度が一定のために、収穫物の品種や掘取時期あるいは土の乾き具合によって搬送時の収穫物に傷がつくおそれがある。
【0004】
本発明は収穫物に傷が付かない掘取作業ができる掘取機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の掘取機は、掘取刃の後方に搬送コンベアを設け、搬送コンベアの後方に左右スライド可能及び正逆転可能な横搬送コンベアを設けた掘取機において、前記搬送コンベアは駆動軸から従動軸への動力伝達により回転し、この搬送コンベアの回転速度を無断階に変速可能な変速手段を設けたものである。
【0006】
そして、この構成では、変速手段を設けたことにより搬送コンベアの回転速度を変速することにより、掘取条件に合った搬送速度で掘取作業ができるので、収穫物に傷が付かず効率の良い掘取作業ができる。
【0007】
請求項2記載の掘取機は、請求項1記載の掘取機において、変速手段は、駆動軸と従動軸との間に設けた可変プーリーにそれぞれベルトが掛け渡され、この可変プーリーの位置を変えることにより搬送コンベアの回転速度を無断階に変速可能にしたものである。
【0008】
そして、この構成では、可変プーリーの位置を任意の位置に変えることにより、搬送コンベアの回転速度を無断階に変速でき、掘取条件に合った搬送速度で安定した掘取作業ができる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、変速手段を設けたことにより搬送コンベアの回転速度を変速することにより、掘取条件に合った搬送速度で掘取作業ができるので、収穫物に傷が付かず効率の良い掘取作業ができる。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、可変プーリーの位置を任意の位置に変えることにより、搬送コンベアの回転速度を無断階に変速でき、掘取条件に合った搬送速度で安定した掘取作業ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の掘取機の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0012】
図1から図2において、1は掘取機で、この掘取機1は、走行車である牽引車としてのトラクタ(図示せず)に着脱可能に装着して使用する牽引式のもので、トラクタの牽引動作により圃場を進行方向Xに移動しながら玉葱等を掘り取る掘取機である。
【0013】
そして、掘取機1は、本体を構成する本体フレーム2とトラクタ連結部としての三点連結部3を備えている。また、トラクタのPTO軸よりジョイントを介して動力を伝達される入力軸7が、ケース4より前方に突出されている。
【0014】
さらに、ケース4の前方には、掘取刃5が掘取刃枠6に取り付けられている。また、ケース4の左側にはケース4内部のギアと噛合った駆動軸10が突出し、この駆動軸10にはプーリー20が組み付けられており、さらに、この駆動軸10の斜め後方部に従動軸11が設けられ、この従動軸11にプーリー21が組み付けられている。また、駆動軸10と従動軸11の中間位置には中間軸12が設けられており、この中間軸12に可変プーリー22が組み付けられている。
【0015】
そして、可変プーリー22にはプーリー21とプーリー22からそれぞれベルト24とベルト25が掛け渡されており、このベルト24,25により動力が伝達される。さらに、可変プーリー22の位置を任意位置に変えることができる位置変更手段80が設けられている。また、各プーリー及びベルトは伝動ケース14で覆われている。そして、伝動ケース14の中間軸12が組み付けられている部分には長孔が設けられている。
【0016】
また、従動軸11にはバーコンベアである搬送コンベア30の後部が巻き掛けられており、そして、従動軸11の前方下方部には軸13が設けられ、この軸13に搬送コンベア30の前部が巻き掛けられており、本体フレーム2に組み付けられている。そして、搬送コンベア30にて掘取刃5により掘り取られた収穫物を後方上方へ搬送している。
【0017】
さらに、位置変更手段80により可変プーリー22の位置を変えることにより、搬送コンベア30の回転速度を変速し、掘取条件に合った速度で搬送コンベア30を回転させる。
【0018】
この位置変更手段80は、本体フレーム2にプレート81を回動自在に設け、プレート81の上方部には可変プーリー22が組みつけられている。さらに、プレート81の先端部にはメネジ部を有する取付杆82が設けられ、この取付杆82に螺合するオネジ部を有するハンドル83が前方に突出している。
【0019】
そして、ハンドル83を操作することにより、可変プーリー22の位置が支点26を中心に円弧移動し、この可変プーリー22とプーリー21及びプーリー22とに掛け渡されているベルト24とベルト25によるプーリー径が変化し、搬送コンベア30の回転速度を変速させている。この位置変更手段80を変速手段90とし、無断階に変速可能になっている。
【0020】
また、搬送コンベア30の後方には、フラットコンベアである横搬送コンベア40が設けられている。この横搬送コンベア40は、操作BOX(図示せず)を操作することにより、伝動モーター43によって左右方向にスライドする。さらに、本体フレーム2に設けた油圧パッケージ50は入力軸7に伝達された動力によって駆動し、レバー51の操作によって、横搬送コンベア40の回転を正逆回転させることができ、レバー51を倒した方向に回転する。
【0021】
さらに、横搬送コンベア40は後方部の支点41を回動中心として、後方上方へ回動可能となっており、後方上方に回動させた場合はガススプリング42によりその姿勢が保持される。
【0022】
次に、上記掘取機1を用いて掘取作業をする場合について説明する。
【0023】
トラクタの作業連結部である三点ヒッチ部と掘取機1の三点連結部3とを連結させることでトラクタに掘取機1を装着する。
【0024】
その後、トラクタの牽引動作により掘取機1を進行方向Xに移動させる。すると、掘取刃5により掘り取られた収穫物が搬送コンベア30により後方へ搬送されて、横搬送コンベア40に乗り移り、左右のどちらかに落下する。この際に、横搬送コンベア40を左右方向にスライドさせたり、あるいは、回転を正逆回転させて、落下場所を後工程においてトラクタが踏む事が無いように側方に寄せたり、集荷し易い場所に落下させる。
【0025】
さらに、搬送コンベア30の後方に収穫物を落下させたいときには、横搬送コンベア40の支点41を回動中心にして、横搬送コンベア40を後方上方へ回動させてガススプリング42により姿勢を保持させると搬送コンベア30の後方に空間ができ、搬送コンベア30から収穫物が落花する。
【0026】
また、掘取条件や品種によって収穫物に傷が付かないように搬送コンベア30の回転速度を変える場合には、変速手段90のハンドル83を操作して可変プーリー22の位置を変えることにより、可変プーリー22に掛け渡されているベルト24とベルト25のプーリー径が変わり、搬送コンベア30の回転速度が掘取条件に合った速度に変速されて、収穫物に傷が付かないように搬送することができる。
【0027】
さらに、収穫物が落花するときに傷が付かないように、横搬送コンベア40の搬送速度を変速できるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の掘取機の一実施の形態を示す平面図である。
【図2】同上掘取機の側面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 掘取機
2 本体フレーム
3 三点連結部
5 掘取刃
10 駆動軸
11 従動軸
12 中間軸
22 可変プーリー
30 搬送コンベア
40 横搬送コンベア
80 位置変更手段
83 ハンドル
90 変速手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘取刃の後方に搬送コンベアを設け、搬送コンベアの後方に左右スライド可能及び正逆転可能な横搬送コンベアを設けた掘取機において、前記搬送コンベアは駆動軸から従動軸への動力伝達により回転し、この搬送コンベアの回転速度を無断階に変速可能な変速手段を設けたことを特徴とする掘取機。
【請求項2】
変速手段は、駆動軸と従動軸との間に設けた可変プーリーにそれぞれベルトが掛け渡され、この可変プーリーの位置を変えることにより搬送コンベアの回転速度を無断階に変速可能にしたことを特徴とする請求項1記載の掘取機。


【図1】
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【図2】
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