説明

掛け布団ずれ落ち防止具

【課題】 寝床脇に設置し寝床上からの掛け布団のずれ落ちを防ぐ器具において、寝床への出入りの邪魔にならず、また視覚的に圧迫感を与えない器具を提供する。
【解決手段】 器具最上部に高摩擦材を用いて掛け布団との間に生じる強い摩擦力を利用し掛け布団の動きを抑止する構造を用いることで、器具の高さを抑えても寝床上からの掛け布団のずれ落ちを防止可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に寝床上から掛け布団がずれ落ちるのを防止するための器具に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】 特開2009−213539号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
就寝時に寝床上から掛け布団がずれ落ちるのを防ぐための器具としては、寝床の脇に壁面のようなものを設け掛け布団がそれ以上外側に移動するのを防ぐといったものが多く用いられてきた。しかし厚手の掛け布団の場合、該器具上端の位置を高くしなければその上を掛け布団が超えてしまう可能性が大きいため、寝床面から該器具上端までの高さを最低でも掛け布団の厚みより高くする必要があった。その結果、器具は寝床への出入りの邪魔となる使い勝手の悪い、また視覚的にも圧迫感を与えるものとなってしまっていた。
【0004】
前記特許文献1の器具は前記壁面の部分がベッド側面の下部に倒れることでそのような課題を解決しようとするものであった。しかしながら器具の高さを有効な値に設定した場合、ベッド側面の下部の高さがそれより小さいと、器具を下部に倒した時に部屋の床に当たってしまう。しかも、出入りの度に器具を操作する必要があることから手軽さに欠け、またヒンジ部分の構造が複雑なため製造コストの点においても不利なものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり請求項1の発明では、寝床脇に設置し掛け布団が寝床上からずれ落ちるのを防止する器具において、前記器具の最上部に高摩擦材を用い、前記最上部と前記掛け布団との間に生じる強い摩擦力により前記掛け布団の動きを抑止し寝床上から前記掛け布団がずれ落ちるのを防止することを特徴とする掛け布団ずれ落ち防止具を提供する。
【0006】
請求項2の発明では、前記最上部の高さが調整可能であることを特徴とする請求項1記載の掛け布団ずれ落ち防止具を提供する。
【0007】
請求項3の発明では、前記最上部が回転体から成り、上空から見て寝床内側に向けてのみ回転可能な構造であり、掛け布団を寝床外側へ向け押しだそうとする力が働いた場合、前記回転体の回転が抑止されることにより前記回転体と掛け布団との間に強い摩擦力が生じ前記掛け布団の動きを抑止し、前記掛け布団の一部が前記最上部に掛かっている状態から前記掛け布団を寝床内側に向け引っ張る力が働いた場合、前記回転体が回転することにより強い摩擦力が生ずることなく前記掛け布団の動きを妨げないことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項記載の掛け布団ずれ落ち防止具を提供する。
【0008】
請求項4の発明では、前記最上部が高摩擦材から成る面と低摩擦材から成る面とを有し、掛け布団を寝床外側に向け押しだそうとする力が働いた場合、前記高摩擦材から成る面が前記掛け布団と接触して前記掛け布団との間に強い摩擦力が生じ前記掛け布団の動きを抑止し、前記掛け布団の一部が前記最上部に掛かっている状態から前記掛け布団を寝床内側に向け引っ張る力が働いた場合、前記高摩擦材から成る面は前記掛け布団と接触せずに、前記低摩擦材から成る面が前記掛け布団と接触することで強い摩擦力が生ずることなく前記掛け布団の動きを妨げないことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項記載の掛け布団ずれ落ち防止具を提供する。
【0009】
なお、請求項1文中の「掛け布団」とは就寝時に体に掛けるもの全般を述べたものであり、例えば毛布やタオルケットなどを含めたものである。
【0010】
また、請求項3文中の「上空から見て寝床内側に向け」とは、図1中の矢印で示した向きのことである。
【発明の効果】
【0011】
たとえ寝相がそれほど悪くない者であっても、例えばベッドの長手側の一方を壁にぴたりと付けて置いているような場合、朝起きると掛け布団が半分寝床から落ちているといったことはよく起こることである。そしてこの程度の掛け布団のずれ落ちに悩まされている者にとっては、前記特許文献1のような器具ではかえって大げさでわずらわしいものと感じてしまう。つまり従来からの高さに頼った器具では、得られる効果よりも失う快適さの方が大きいため、ずれ落ちには困ってはいるが調度よい解決策がないといった状況となっている。
【0012】
前記のような掛け布団のずれ落ちは、就寝者の寝相による掛け布団を押し出す力に対し、はみ出した掛け布団の重みが寝床上の残りの部分を引きずり落とそうとする力が加わることで起こるものと考えられる。そこで本発明は、はみ出した掛け布団の重みが寝床上の残りの部分に伝わりにくくすることにより前記の引きずり落とそうとする力を弱めることで掛け布団のずれ落ちを防ごうとするものである。
【0013】
本発明によれば、まず寝床外側に向け押し出されようとした掛け布団は、該器具に設けた高摩擦材と接触することでそれら二方の間に強い摩擦力が働き、少なくともその部分は寝床外側に向けてのずれを起こさなくなる。
【0014】
そしてそこから更に寝床外側に押しだそうとする力が加わったとしても、例えば掛け布団が厚手のものであった場合、図2および図3に示すように、掛け布団の内側の部分は前記接触箇所を超えて外側にはみ出しはするものの、前記接触箇所を支点に自らの張力と、寝床上に残った部分の重みと、布団どうしの間に生じる摩擦力とにより大きく垂れ下がることなく寝床脇の空間に留まる。その結果、寝床上に残っている部分を引きずり下ろそうとする力は非常に小さなものとなり、部屋の床まで掛け布団が落ちてしまうのを防ぐことが可能となる。
【0015】
また、例えば図4に示すように最初から掛け布団の端が寝床脇に垂れ下がった状態で就寝する場合においても、その垂れ下がった部分の重みを強い摩擦力の働きにより該器具が受け支えるので、掛け布団による寝床上の就寝者の体を圧迫する力を弱める効果も得られる。
【0016】
なおこれらの効果を得るには、寝床面から該器具上端までの高さが、使用する掛け布団の厚みの3分の1程度、実寸にすると例えば40〜50mm程度あれば充分である。
【0017】
このように本発明により該器具の高さを低くできることから、該器具の土台部分の幅が広くなくとも安定して設置できるため器具全体を小型化することが可能となる。つまり従来のように大きなもの一つを設置するのではなく、図5に示すように小さなものを使用者自らが自分の寝相に合わせて必要な個数を適当な場所に設置でき、使用者は視覚的圧迫感を受けることなく、また該器具未設置時と大差のない動作で寝床への出入りが行えるようになるわけである。
【0018】
請求項2の発明によれば、様々な厚みの敷布団やマットレスに対応することが可能となる他、掛け布団の厚みの違いに対しても対応可能となる。
【0019】
請求項3または4の発明によれば、就寝者が該器具を設置した側の反対側に向けて寝がえりをした際、すなわち掛け布団が寝床内側に向け引っ張られた際、該器具最上部との間に強い摩擦力による抵抗を生じさせずより快適な使用感を提供することが可能となる。
【実施例】
【0020】
本実施例による掛け布団ずれ落ち防止具は、最上部1と支柱部2とベース部3とから成り詳細は次のとおりである。(図6参照)
【0021】
まず最上部1についてであるが、素材は掛け布団との間で高い摩擦力が期待できるゴム系の高摩擦材で、また脚などぶつけた時のケガ防止のため弾性素材が望ましく、例えば発泡ゴムで表面に適度な凹凸があるものやシリコーンゴムによるものがより望ましい。また摩擦力以外による引っかかりを防ぐため角を落とした形状とし、使用者が掛け布団の位置を整える時などに極度の引っかかりを感じさせないものとするのが望ましい。
【0022】
次に支柱部2であるが、本実施例では最上部1の高さを調整可能とするため、二重構造のパイプにより伸縮可能なものとし、ネジ4によりその伸縮を系止するといった構造とするのが望ましい。(図7参照)
【0023】
本器具の設置は、ベース部3をマットレスまたは敷布団の下に挟むことで寝床脇に設置する。その際該器具上端の高さがマットレスまたは敷布団の上面から40〜50mm程度となるように支柱部2の長さを調整するのが望ましい。
【0024】
請求項3の発明における実施例としては、該最上部を高摩擦材から成る回転体5とし、その回転体5内部に爪車機構6を備え、上空から見て寝床内側に向けてのみ回転可能とし、それとは逆向の回転を爪車の働きにより抑止する構造としたものが望ましい。(図1および図8参照)
【0025】
請求項4の発明における実施例としては、支柱上部9にある程度柔軟な素材を用い、そこへ半面が高摩擦材で残りの半面が低摩擦材から成る最上部を、寝床脇に設置した際に高摩擦材から成る面7が寝床側となるように装着する。なお低摩擦材から成る面8の材質としては硬質で滑りのよいものが望ましい。(図9参照)
【0026】
これにより掛け布団10が寝床外側に押しだされようとすると、前記最上部が掛け布団10と接触し支柱上部9が折れ曲がり、高摩擦材から成る面7は上を向き掛け布団10と接触し強い摩擦力が発生することにより掛け布団10がそれより外側にずれるのを防ぐ。そして掛け布団10の一部が前記最上部に掛かっている状態から掛け布団10を寝床内側に向け引っ張る力が働いた場合には、前記最上部が反転し低摩擦材から成る面8が上方を向き掛け布団10と接触するため、強い摩擦力の発生は抑えられ掛け布団10の動きを妨げないものとなる。(図10参照)
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】 請求項3における発明一実施例による器具の回転方向を示す図である。
【図2】 本発明一実施例による器具2台設置時における、寝床外側に向け押し出された掛け布団の状態を寝床横方向から見た図である。
【図3】 図2におけるA−A線による展開図(斜線部は掛け布団の断面)である。
【図4】 本発明一実施例による器具使用時において、寝床頭側から見た図である。
【図5】 本発明一実施例による器具を2台寝床脇に設置した例を示す斜視図である。
【図6】 本発明一実施例による器具の斜視図である。
【図7】 図6における器具の支柱部を伸ばした状態での斜視図である。
【図8】 請求項3における発明一実施例による器具の斜視図である。
【図9】 請求項4における発明一実施例による器具の側面図である。
【図10】 図9における器具の動作を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
1.最上部
2.支柱部
3.ベース部
4.ネジ
5.回転体
6.爪車機構
7.高摩擦材から成る面
8.低摩擦材から成る面
9.支柱上部
10.掛け布団
11.マットレス
12.ベッドフレーム
13.本発明一実施例による器具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
寝床脇に設置し掛け布団が寝床上からずれ落ちるのを防止する器具において、前記器具の最上部に高摩擦材を用い、前記最上部と前記掛け布団との間に生じる強い摩擦力により前記掛け布団の動きを抑止し寝床上から前記掛け布団がずれ落ちるのを防止することを特徴とする掛け布団ずれ落ち防止具。
【請求項2】
前記最上部の高さが調整可能であることを特徴とする請求項1記載の掛け布団ずれ落ち防止具。
【請求項3】
前記最上部が回転体から成り、上空から見て寝床内側に向けてのみ回転可能な構造であり、掛け布団を寝床外側へ向け押しだそうとする力が働いた場合、前記回転体の回転が抑止されることにより前記回転体と掛け布団との間に強い摩擦力が生じ前記掛け布団の動きを抑止し、前記掛け布団の一部が前記最上部に掛かっている状態から前記掛け布団を寝床内側に向け引っ張る力が働いた場合、前記回転体が回転することにより強い摩擦力が生ずることなく前記掛け布団の動きを妨げないことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項記載の掛け布団ずれ落ち防止具。
【請求項4】
前記最上部が高摩擦材から成る面と低摩擦材から成る面とを有し、掛け布団を寝床外側に向け押しだそうとする力が働いた場合、前記高摩擦材から成る面が前記掛け布団と接触して前記掛け布団との間に強い摩擦力が生じ前記掛け布団の動きを抑止し、前記掛け布団の一部が前記最上部に掛かっている状態から前記掛け布団を寝床内側に向け引っ張る力が働いた場合、前記高摩擦材から成る面は前記掛け布団と接触せずに、前記低摩擦材から成る面が前記掛け布団と接触することで強い摩擦力が生ずることなく前記掛け布団の動きを妨げないことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項記載の掛け布団ずれ落ち防止具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−90932(P2012−90932A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253272(P2010−253272)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(507351322)
【Fターム(参考)】