説明

掛け布団

【課題】 布団の本来の機能である保温性の優れた掛け布団を提供する。
【解決手段】 羽毛102を収容した布団本体1と該布団本体1の上側に重ね合わせた補助布団体2を周端部において互いに縫合すると共に、周端部Aで取り囲む面内部Aを、間隔を開けて配した少なくも2条のマチ布103,203で接続する。布団本体1の面内に並設した羽毛102の収容室101を構成する仕切り地1c上に、該仕切り地1cに連続させてマチ布103,203を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、羽毛、綿等の充填物を収容した布団本体と、該布団本体の上側に重ね合わせた補助布団とで成る掛け布団に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の掛け布団として、例えば、重ね合わせた第一、第二の布団体を、各布団体の周端に縫(着)合した第一、第二のマチ布によって接続した構成のもの(例えば、特許文献1)、3枚の生地を重ねて縫合して2つの仕切り室を備えた袋体とし、一方の仕切り室に羽毛や羊毛等の充填物を収容し、他方の仕切り室を空気層形成室として適用するようにした構造(例えば、特許文献2)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−154243号公報
【特許文献2】実開平02−145165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来構造のものは、いずれも上下一対の布団構成体を、それぞれの周端部において互いに縫合した構成を採るため、一対の構成体の面内部は、互いに規制されることなく自由に変形するので、布団としての体をなさなくなって、その機能を低下させることがある。殊に、布団構成体の充填物を羽毛のように軽量なもので構成した場合はそれが顕著に現われ、問題とされていた。
【0005】
本発明は、その解決策の一つとして提案するもので、布団本体に対する補助布団体の当初の位置関係をできるだけ保つようにして、二重布団の本来の機能である保温性を確実に保持することのできる掛け布団を提供することを目的として創案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
羽毛、綿等の充填物を収容した布団本体と該布団本体の上側に重ね合わせた補助布団体を周端部において互いに縫合すると共に、周端部で取り囲む面内部を、間隔を開けて配した少なくも2条のマチ布で接続したことを基本的手段とする。
【0007】
そして、布団本体の充填物を羽毛とした点を、この基本的手段に付加することにより保温性の優れた掛け布団を提供でき、また、布団本体の面内に並設した羽毛の収容室を構成する仕切り地上に、該仕切り地に連続させてマチ布を設けた点を付加することによりマチ布を布団本体に接続しても、その接続個所は布団本体側の仕切り片(本体側マチ布)部分であるから、マチ布を接続することによる布団本体側の保温力が低下することがなく、従って、保温が尚一層優れた掛け布団を提供できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、布団本体と補助布団体は周端部間のみならず、面内部においてもマチ布を介して接続されているから、補助布団体と布団本体は一体的に変形し、ばらばらな動きによって生じる隙間の発生を比較的防ぐことができ、従って、保温力の低下を防ぐことができ、しかも、布団本体と補助布団体間で空気層が生じ、該空気層の存在による保温力の優れた掛け布団を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一部欠截正面図。
【図2】一部欠截斜視図。
【図3】図2の一部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面は本発明に係る掛け布団の一実施形態を示し、本発明に係る掛け布団Aは、布団本体1と該布団本体1の上側に重ね合わせた補助布団体2とで構成する。
【0011】
布団本体1は、周端部を互いに縫合した上側地(ポリエステルを素材)1aと下側地(ポリエステルを主要素材)1bとの間に仕切り室101を碁盤目状にして列設し、該仕切り室101に所定量の羽毛102を充填して構成したものである。
【0012】
前記仕切り室101は、前記上側地1aと下側地1bとの間に、互いに平行な2条の縦方向仕切り地(ポリエステルを素材)1c,1cと、該縦方向仕切り地1c,1c間および縦方向仕切り地1cと前記周端部間にそれぞれ配した横方向仕切り地1c´,…とで構成し、各仕切り地1c,1c´は、上、下の地1a,1bに縫(着)合したものである。
【0013】
前記補助布団体2は、上側地(ポリエステルを素材)2aと下側地(ポリエステルを主要素材)2bの間にシート状の綿202を介在させてこれらを縫い合わせたキルティング体で成るものである。
【0014】
そして、前記布団本体1の上側地1aの表面には、該上側地1aの内側に配した、仕切り室101を構成する縦方向仕切り地1cに連続させるようにして、該仕切り地1cに沿わせて下側マチ布103を、また、該下側マチ布103と対応させて前記補助布団体2の下側地2bの表面には上側マチ布203をそれぞれ設け、これらの自由端部側を互いに縫合mして布団本体1上に補助布団体2を重ね合わせ、重ね合わせた周端部を互いに縫合mして実施形態の掛け布団Aとしたものである。すなわち、互いに重ね合わせた布団本体1と補助布団体2とが周端部において互いに縫合され、該周端部Aで取り囲まれる面内部Aにおいては互いに縫合した上、下のマチ布203を介して互いに接続された掛け布団Aとしたものである。
【0015】
実施形態では布団本体1側と補助布団体2側のそれぞれにマチ布の一端を取付けて他端側を互いに縫合するようにしているが、単一なマチ布の一端を布団本体1側に、他端を前期補助布団体2側に取り付ける(縫合する)ようにしても良いが、実施形態のようにするとマチ布103,203を介する布団本体1と補助布団体2との接続作業を円滑に行うことができる。
【0016】
また、マチ布(ポリエステルで成る)103,203は、布団本体1と補助布団体2の面内部における接続材として機能させ、布団本体1と補助布団体2との間に空気層が生じやすくして保温力を高めるものであるが、布団Aの縦方向全域に配する必要がなく、断続的乃至部分的に配しても必ずしも不都合があるといえない。
【0017】
また、実施形態にあっては、布団本体1側の縦方向仕切り地(マチ)1cの直上にマチ布103,203が存在する関係にあるので、布団本体1側の縦方向仕切り地1cで仕切る仕切り室101(仕切り地1cに沿って並ぶ),…と布団本体1側の上側地1aと補助布団体2の下側地2bおよび2条の前記マチ布103,203で囲まれる仕切り室は階層的に設けられ、従って、保温域が階層的に設けられ尚一層の保温効果を期待できる。
【0018】
布団本体1の充填物は羽毛であるが、羊毛でも良好で、本発明は、軽量であるがゆえに保形性に欠ける羽毛を充填物とするものに好適である。
【0019】
また、実施形態では、綿202を芯材とするキルティング体で補助布団体2を構成するが、毛布などのシート体で構成しても不都合はない。
【符号の説明】
【0020】
1 布団本体
2 補助布団体
103,203 マチ布
A 掛け布団

【特許請求の範囲】
【請求項1】
羽毛、綿等の充填物を収容した布団本体と該布団本体の上側に重ね合わせた補助布団体を周端部において互いに縫合すると共に、周端部で取り囲む面内部を、間隔を開けて配した少なくも2条のマチ布で接続した、掛け布団。
【請求項2】
布団本体の充填物を羽毛とした、請求項1記載の掛け布団。
【請求項3】
布団本体の面内に並設した羽毛の収容室を構成する仕切り地上に、該仕切り地に連続させてマチ布を設けた、請求項2記載の掛け布団。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−34649(P2013−34649A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172915(P2011−172915)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(390001753)昭和西川株式会社 (5)
【Fターム(参考)】